(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送ベースは、前記搬送ベース回動軸線と交わる位置に配置された基部と、前記ラベル吸着部を有すると共に、前記基部により、前記搬送ベース回動軸線に対して離接可能に支持された補助部と、を備えていることを特徴とする請求項7記載の製品搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る製品搬送装置及び製品搬送システムを、実施例1及び実施例2により説明する。
実施例1として、
図1〜
図19を参照して、TKユニット51(テイクアウトローダユニット51)を備えた製品搬送装置52及び製品搬送装置52を含むレーザ加工システムSTを説明する。実施例2として、
図20〜
図33を参照して、ラベル貼付装置としてのTKユニット51Aを備えた製品搬送装置52A及び製品搬送装置52Aを含むレーザ加工システムSTAを説明する。
【0011】
(実施例1)
実施例1の製品搬送装置52を含むレーザ加工システムSTの全体の構成について、斜視図である
図1及びブロック図である
図2を参照して説明する。説明の便宜上、上下左右前後の各方向を
図1の矢印で規定する。上下方向は鉛直方向であり、前方は作業者の立ち位置側である。
【0012】
レーザ加工システムSTは、レーザ加工機53,製品搬送装置52,及び制御装置54を含んで構成されている。
製品搬送装置52は、レーザ加工機53の左右いずれか(
図1では右側)に隣接配置されている。
制御装置54は、レーザ加工システムSTの全体の動作を制御する。
レーザ加工機53と製品搬送装置52との間に、ワークパレットを多階層で保管可能な棚ユニットを設置してもよい。
【0013】
レーザ加工機53は、レーザ発振器53aと、レーザ発振器53aで生成されたレーザ光を射出するレーザ加工ヘッド(不図示)とを有する。
レーザ発振器53aは、例えばファイバレーザである。レーザ発振器53aで生成されたレーザ光は、プロセスファイバ53bを介してレーザ加工ヘッドに供給される。
【0014】
レーザ加工機53は、また、ワークWを載置したワークパレット31(
図7も参照)をレーザ加工機53内で左右方向に移動可能にすると共に、レーザ加工ヘッドを前後及び上下方向に移動可能としている。
また、レーザ加工機53は、
図1における右側面に、ワークパレット31を出入りさせるパレット出入口53cを有し、レーザ加工機53の内外にパレット出入口53cを通してワークパレット31を出し入れできるようになっている。
図1では、レーザ加工機53から製品搬送装置52側に排出されたワークパレット31が、素材となる板状のワークW(鎖線で表示)を載置した状態で示されている。
このように、レーザ加工機53は、ワークパレット31に載置されたワークWの任意の部位に対し、上方に位置したレーザ加工ヘッドからレーザ光を照射してレーザ加工を行えるようになっている。
【0015】
製品搬送装置52は、パレットテーブル52a及び移し替えテーブル52bを有している。
パレットテーブル52aは、レーザ加工機53の右隣の、パレット出入口53cに対応した位置に備えられている。
移し替えテーブル52bは、パレットテーブル52aの前方に並設されている。
図1において、ワークパレット31は、パレットテーブル52aに移送された状態で示されている。
【0016】
製品搬送装置52は、一対のトップフレーム52c,52dを備えている。一対のトップフレーム52c,52dは、複数の支柱52e及び壁部52fによって左右に離隔し前後に平行延在する姿勢で支持されている。
また、製品搬送装置52は、
図1における右側前方及び前方の鎖線で示した部分にフェンス52f1を有している。フェンス52f1は、作業者の立ち入りを防ぐための格子網状のフェンスである。
製品搬送装置52の右側面における、壁部52fとフェンス52f1との間には、右外方に突出する部分としてプリンタボックス61が設置されている。
【0017】
プリンタボックス61の上下方向中段には、棚板61aが設けられ、棚板61aの上にプリンタ62が設置されている。
図3は、
図1におけるS3−S3位置で示される上方視断面図であり、プリンタボックス61のプリンタ62の設置状態を説明するための図である。
プリンタ62は、上下に延びるプリンタ回動軸線CL61まわり〔
図3(b):矢印DRa〕に回動可能とされた棚板61aの上に設置されている。
プリンタ62は、棚板61aの回動及び回動ロックによって、
図3(a)に示される使用位置と
図3(b)に示されるメンテナンス位置とに維持できる。
【0018】
図3(c)に示されるように、プリンタ62は、使用位置において、制御装置54から送信された印刷情報(例えば「AM」なる文字情報)を、裏面が粘着処理されたラベル62aの表面62a1に印刷し、印刷した面(表面)を上向きにしてパレットテーブル52a側にほぼ全体が突出するまで排出して維持する。
ここで、ラベル62aは、予め所定サイズにハーフカットされロール状の剥離紙の上に等間隔で貼り付いた状態で印刷に供される。
そして、プリンタ62は、印刷後のラベル62aをプリンタ62から排出する際に、排出口近傍で剥離紙を下側に急峻に折り返し巻き戻すようになっている。
【0019】
これにより、押し出されたラベル62aは、その後端側の一部のみが剥離紙に貼り付いたほぼ片持ち状態で維持される。さらに、プリンタ62は、ラベル62aの突出した部分の先頭側(前端側)が自重で下がってしまわないように、下からエアを吹き付けるエア噴出部(不図示)を備えて、ラベル62aの姿勢を、ほぼ水平に維持するようになっている。
【0020】
突出したラベル62aの上下方向位置は、パスラインPL(
図7参照)よりも上方とされる。この上下方向位置は、
図7に示されるように、パスラインPL上に載置された製品WPの上面WPbから距離Haだけ上方の位置である。
【0021】
図1に戻り、一対のトップフレーム52c,52dは、パレットテーブル52aの幅に対応した位置に配設されている。
また、一対のトップフレーム52c,52dは、少なくともパレットテーブル52aと移し替えテーブル52bとを合わせた前後方向長さに対応した範囲に、レール52g,52hを有している。
レール52g,52hは、左右方向に延びる可動フレーム52jを前後方向に移動可能(矢印DR)に支持している。
可動フレーム52jは、TKユニット51を左右方向に移動可能(矢印DRb)に支持している。
【0022】
図2に示されるように、製品搬送装置52は、パレット駆動部71,TK水平駆動部72,TK昇降駆動部73,TK回動駆動部74を備えている。
パレット駆動部71は、制御装置54の制御の下、ワークパレット31を、パレットテーブル52aと他の装置の内部位置(例えばレーザ加工機53の内部)との間で左右方向に移動させる。
TK水平駆動部72は、制御装置54の制御の下、レール52g,52hに対する可動フレーム52jの前後移動、及び可動フレーム52jに対するTKユニット51の左右移動を実行する。
TK水平駆動部72の動作により、TKユニット51は、パレットテーブル52a及び移し替えテーブル52bの任意位置の上方、並びに、使用位置にあるプリンタ62の近傍に移動可能となっている。
【0023】
図4に示されるように、TKユニット51は、下部に、製品吸着パッド部5cを複数有する基部2を含む搬送ベースとして製品吸着部51aを備えている。製品吸着パッド部5cは、製品WPなどの板状部材を吸着できる。
図2及び
図4に示されるTK昇降駆動部73は、製品吸着部51aを可動フレーム52jに対し昇降させる。
図2及び
図4に示されるTK回動駆動部74は、製品吸着部51aを、上下に延びる回動軸線CL51まわりに、例えば最大で左右方向にそれぞれ180°角度範囲の合計360°の角度範囲で回動させる。
TK昇降駆動部73及びTK回動駆動部74の動作は、制御装置54によって制御される。
【0024】
図2に示されるように、制御装置54は、圧縮空気制御部54b及びプリンタ制御部54cを含む中央処理装置(CPU)54aを有する。
【0025】
以上の構成により、製品搬送装置52は、レーザ加工機53から搬送されたワークパレット31に載置されている、製品WP及び残材であるスケルトンWS(
図7参照)の中から、製品WPを移し替えテーブル52bに載せ替えることができる。
具体的な動作としては、まずTKユニット51を製品WPの上方に移動して下降させる。次いで、製品吸着部51aによって製品WPを吸着した後上昇させ、水平移動により移し替えテーブル52bの上方に移動した後、下降して吸着を解除する。
これにより、製品WPは、ワークパレット31上から移し替えテーブル52b上に移送される。
【0026】
図1に示されるように、ワークパレット31は、上方に尖った複数の尖突部31a1を有する金属板であるスキッド31aを複数枚並設した矩形のパレットである。ワークパレット31に載置されたワークWは、複数の尖突部31a1によって支持される。
【0027】
次に、TKユニット51の詳細構造を、
図4〜
図6を主に参照して説明する。
まず、
図4は、
図1に示されるTKユニット51を前方わずかに右斜め上方から見た斜視図である。
TKユニット51を支持する可動フレーム52jは、鎖線で示されている。
【0028】
TKユニット51は、サーボモータ(不図示)を有し可動フレーム52jに支持された既述のTK昇降駆動部73と、TK昇降駆動部73のサーボモータを動力源として可動フレーム52jに対し昇降する柱状の本体部1と、本体部1の下部に取り付けられた既述の搬送ベースである製品吸着部51aと、を有する。
製品吸着部51aは、既述のTK回動駆動部74の動作によって、本体部1に対し上下に延びる回動軸線CL51まわりに回動する(矢印DR1参照)。回動範囲は、例えば、
図4に示される姿勢から時計回り及び反時計回りにそれぞれ180°の合計360°である。これに伴い、以下、回動軸線CL51を、搬送ベース回動軸線CL51と称する。
【0029】
搬送ベースである製品吸着部51aは、基部2及び一対の補助部3,4を備えている。基部2は、概ね六面体形状で形成されている。
一対の補助部3,4は、基部2の左右それぞれから補助腕駆動部783,784の動作によって出入りする支持腕部3a,4aの先端に支持されている。
補助腕駆動部783,784の動作により、補助部3,4は、基部2に密着した基本位置と左方及び右方に張り出した張り出し位置との間で移動する(矢印DRc参照)。
すなわち、補助部3,4は、搬送ベース回動軸線CL51に対し水平移動により離接可能とされている。
図2では、基本位置にある補助部3,4を実線で、張り出し位置にある補助部3,4を鎖線で示している。
【0030】
図4及び
図5に示されるように、基部2及び補助部3,4の下部には、吸着ユニット5が上下方向を軸として複数配置されている。
吸着ユニット5の下部には製品吸着パッド部5cが備えられている。
製品吸着パッド部5cは負圧を発生するポンプ771(
図2も参照)に接続されている。ポンプ771の動作は、圧縮空気切換部76により直接的に制御される。また圧縮空気切換部76は、制御装置54の圧縮空気制御部54bによって制御される。
製品吸着パッド部5cの下方先端には、円錐台の周面状に形成されたゴム製の吸盤部5c1が備えられている。これにより、ポンプ771の動作で吸盤部5c1の内部が負圧となって製品WPなどの平板部材が吸着可能になっている。
製品吸着部51aは、補助部3,4の一方(この例において補助部4)に、ラベル62aを吸着するためのラベル吸着部11を備えている。
詳しくは、ラベル吸着部11は、補助部4における右縁部付近の前後方向中央部に一つ備えられている。
【0031】
図5は、ラベル吸着部11の側面図であって、
図1における前面図に相当する。
ラベル吸着部11は、軸線CL11が上下に延びる姿勢で補助部4に固定されたエアシリンダ11aと、エアシリンダ11aの下面から軸線CL11に沿って出入りするロッド11bと、ロッド11bの下先端部に取りつけられたパッド部12と、を有する。
制御装置54の制御によるエアシリンダ11aの動作で、パッド部12は、所定のストロークで上下動する(
図5:矢印DRd)。
【0032】
パッド部12は、平板状を呈し
図5における左縁部側にロッド11bの先端が固定されたベースプレート13と、ベースプレート13の下面の右縁部側に取り付けられたラベルパッド部14と、を有している。
すなわち、ベースプレート13は、ロッド11bに対し搬送ベース回動軸線CL51から離れる方向に延びるように取り付けられている。
この例において、ラベルパッド部14は、
図5における左右方向に並設された二つのラベルパッド14a,14bの組である。
ラベルパッド14a,14bは、同じ部材であって、
図5において前後方向(紙面表裏方向)に長い直方体状のスポンジ体として形成されている。材質は、例えばクロロプレンゴムのスポンジ体である。
従って、ラベルパッド14a,14bは、少なくとも上下方向に弾力性を有する。
【0033】
図6は、パッド部12の下面図である。
図6に示されるように、ラベルパッド14a,14bは、上下に貫通した複数の通気孔14hを有している。この例において、通気孔14hは、ラベルパッド14a,14bの底面14a1,14b1全体に概ね均等に分散する3列の千鳥配列で設けられている。
【0034】
通気孔14hは、ベースプレート13を通してラベルパッド14a,14bそれぞれベースプレート13の上面から引き出されたホース15a,15bに接続されている。
ホース15a,15bは、負圧を発生するポンプ772に接続されている。
既述のように、圧縮空気切換部76は、ポンプ771及びポンプ772の動作を制御する。圧縮空気切換部76は、圧縮空気制御部54bの制御の下、ポンプ771を動作させて製品吸着パッド部5cでの空気吸引を行うか、ポンプ772を動作させてラベル吸着部11のラベルパッド部14での空気吸引を行うか、或いは両方で空気吸引を行うか、を選択して実行する。
【0035】
圧縮空気切換部76の制御によってポンプ772が動作し、負圧がラベル吸着部11のラベルパッド部14にかかると、ラベルパッド14aの底面14a1,14b1の通気孔14hから空気が吸引される(矢印DRe)。
これにより、ラベルパッド部14の底面14a1,14b1でラベル62aを吸着することができる。
また、圧縮空気切換部76の制御によって負圧が吸着ユニット5の製品吸着パッド部5cにかかると、吸盤部5c1から空気が吸引される。
これにより、製品吸着パッド部5cで製品WPを吸着することができる。
【0036】
ラベルパッド14aの底面14a1は平坦であり、そのサイズは、例えば70(mm)×22(mm)である。このラベルパッド14aと同じラベルパッド14bとを、適切な間隙Vaを設けて並設したラベルパッド部14は、60(mm)角の矩形ラベルの吸引に用いることができる。
図6には、ラベルパッド部14に吸着されたラベル62aの外形を、鎖線で示してある。
【0037】
ラベルパッド14a,14bは直方体を呈し、吸着面はフラットな底面14a1,14b1となっている。
これにより、ラベルパッド部14で吸着したラベル62aは、中央が持ち上がるなど、変形して吸着されることはない。
また、底面14a1,14b1に形成された空気吸引する通気孔14hは、比較的小さい径で複数が概ね均等分散設置されている。これにより、ラベル62aを吸着した際の吸着力は、底面14a1,14b1において場所による偏りはなくなり、ラベル62aが吸着後に脱落してしまうなどの不具合が生じない。
【0038】
上述構成の製品搬送装置52は、吸着ユニット5の製品吸着パッド部5cによって製品WPを吸着し、吸着した製品WPを、TKユニット51により、その可動範囲内の任意の位置に任意の向きで移動させることができる。
また、ラベル吸着部11によって、プリンタ62から押し出されて露出したラベル62aを吸着し、吸着したラベル62aを、TKユニット51により、その可動範囲内において、ワークパレット31に載置された製品WPの上面WPbの任意の位置に任意の向きで貼付することができる。
このように、TKユニット51は、製品WPを搬送する装置であると共にラベル62aを製品WPに貼付するラベル貼付装置でもある。
【0039】
次に、TKユニット51によるラベル62aの貼付動作と製品WPの吸着移動とを直列動作として組み合わせた製品搬送動作の例を、次に説明する。
製品搬送動作とは、ワークパレット31に載置された製品WPの所望位置にラベル62aを貼付するラベル貼付工程と、ラベル62aが貼付された製品WPを、移し替えテーブル52bに移送する製品搬送工程との直列的組み合わせを含む動作である。
【0040】
図7〜
図14は、ラベル貼付工程と製品搬送工程とを含む製品搬送動作を説明する模式的側面図である。以下に説明する動作は、制御装置54により制御される。
図7には、動作開始の基準状態が示されている。
【0041】
(基準状態;
図7参照)
ワークパレット31の複数のスキッド31aには、前工程の、例えばレーザ加工によって素材の板材から切り出された製品WPと残材であるスケルトンWSとが、切断された状態で載置されている。
基準状態において、TKユニット51は、上昇位置にあり、製品吸着部51aは製品WPの直上にある。
基準状態において、ラベル吸着部11のエアシリンダ11a(
図5参照)は、ロッド11bを引き込んだ状態にある。この状態で、ラベルパッド部14の底面14a1,14b1は、吸着ユニット5の吸盤部5c1の吸着高さHRよりも上方に距離Hbだけ隔てた位置にある。
また、プリンタ62において、印字後に筐体外に押し出されたラベル62aの上下方向位置(高さ)は、パスラインPLよりも上方であって、製品WPの上面WPbから上方に距離Haだけ隔てた位置にある。
【0042】
移し替えテーブル52bには、既に移し替えられた製品WPが複数枚積層されて、製品積層体WPTが形成されている。
【0043】
(ラベル貼付工程:
図8〜
図12参照)
図8に示されるように、制御装置54は、TKユニット51を基準状態から上昇位置のまま水平移動させ(矢印DRf)、ラベル吸着部11を、プリンタ62から押し出されているラベル62aの上方に位置させる。
次いで、ラベル吸着部11のエアシリンダ11a(
図5参照)を動作させ、
図9に示されるように、ラベルパッド部14を含むパッド部12を下降させる(矢印DRg)。
これと共に、圧縮空気切換部76(
図2及び
図5参照)は、ラベル吸着部11で空気吸引を行えるように負圧経路をラベルパッド部14に接続する。
【0044】
TKユニット51の基準状態における高さは、パッド部12が下降して上下動範囲の最下位置あるときに、ラベルパッド部14の底面14a1,14b1がラベル62aに接触する又は近接する位置にあるように設定されている。この底面14a1,14b1の位置は、吸盤部5c1の吸着高さHRよりも距離Hcだけ低くなっている。
すなわち、エアシリンダ11aの動作により、ラベルパッド部14の底面14a1,14b1は、吸盤部5c1の吸着高さHRの位置を上方から下方にまたいで下降し、ラベル62aの上面に接触又は近接するようになっている。
少なくとも、このラベルパッド部14の下降途中で、ラベルパッド部14の通気孔14hからの空気吸引が開始する。
そのため、ラベル62aは、ラベルパッド部14が近接した時点でラベルパッド部14に吸着される。
【0045】
図9に示されるように、ラベルパッド部14に吸着されたラベル62aは、製品WPの上面よりも距離Haだけ高い位置にある。
そのため、ラベル吸着部11がラベル62aを吸着したら、
図10に示されるように、TKユニット51は、その高さを維持したまま水平移動し、ラベル62aを製品WPの貼付すべき位置の上方まで移動できる(
図10:矢印DRh)。
【0046】
プリンタ62は、このTKユニット51の水平移動と連動し、水平移動を開始する直前に、ラベルパッド部14によって吸着されたラベル62aの後端部を、内蔵カッタ(不図示)により切断する。
【0047】
ラベルパッド部14が吸着したラベル62aを、製品WPの貼付位置上方に移動したら、制御装置54は、
図11に示されるように、TKユニット51を、所定の距離Hdだけ下降させる(矢印DRj)。制御装置54は、必要に応じ、TKユニット51を下降させる前又は下降途中において、TK回動駆動部74によってTKユニット51をラベル62aが所定の向きとなるように回動させる。
【0048】
所定の距離Hdは、距離Ha以上とする。距離Hdを距離Haより大きく設定すると、ラベルパッド部14が圧縮され、その弾性反発力によってラベル62aを製品WPの上面WPbに押し付けるので望ましい。
【0049】
詳しくは、ラベルパッド14a,14bは、既述のように弾力性をもったスポンジ状に形成されている。そのため、ラベルパッド部14の圧縮による弾性反発力で、吸着したラベル62aは、製品WPの上面WPbに、底面14a1,14b1の全面で押し付けられて貼付される。
これにより、ラベル62aは、部分的な浮き上がりがなく、全面が製品WPの表面に確実に貼付され、貼付品位が高品位で安定する。
【0050】
圧縮空気制御部54bは、TKユニット51が下降してラベル62aが製品WPに接触したら、ラベルパッド部14に繋がる負圧経路を閉じて通気孔14hからの吸引を停止する。
【0051】
図12に示されるように、制御装置54は、ラベル62aを貼付した後、TKユニット51の高さ位置を維持したままエアシリンダ11aを動作させてラベル吸着部11を上昇させる(矢印DRk)。
ここまでがラベル貼付工程である。
【0052】
(製品WP搬送工程:
図13及び
図14参照)
ラベル吸着部11を上昇させてラベル貼付工程が完了したら、制御装置54は、TKユニット51を製品WPの吸着部位(通常は中央)の上方に水平移動し、その後下降させる(
図13:矢印DRm)。
詳しくは、制御装置54は、TKユニット51を、製品WPにおける吸着位置として設定された位置の上方に移動し、必要であればTK回動駆動部74の動作により所定の回動姿勢にし、その後下降させる。
遅くとも、TKユニット51が下降中に、圧縮空気制御部54bは、製品吸着パッド部5cに繋がるポンプ771を動作させ、吸盤部5c1による空気吸引を開始しておく。そして、TKユニット51の下降完了時に、製品吸着パッド部5cによって製品WPを吸着する。
【0053】
製品WPを吸着したら、制御装置54は、TKユニット51を上昇させ、移し替えテーブル52bに形成されている製品積層体WPTの上方に水平移動させる(
図14:矢印DRn)。必要な場合には、TKユニット51を所定の姿勢に回動させる(
図14:矢印DRp)。
そして、制御装置54は、TKユニット51を下降させ、搬送してきた製品WPを製品積層体WPTの上に載置する。次いで圧縮空気制御部54bによりポンプ771を停止させて吸盤部5c1による空気吸引を停止し、製品WPを開放する。
製品WPを開放したら、制御装置54は、TKユニット51を基準状態に戻す。
以上により、ラベル貼付工程及び製品搬送工程が完了する。
【0054】
製品搬送装置52において、ラベル62aの、製品WPの上面WPbにおける貼付位置及び貼付姿勢(向き)は自由である。
図15は、ワークパレット31に載置された製品WP及び残材となるスケルトンWSへのラベル62aの貼付例を示した図である。
図15では、製品WPとして形状の異なる2つの製品WP1,WP2が示されている。
【0055】
製品搬送装置52は、ラベル62aを、製品WPの上面WPbの所定部位に貼付可能である。ここで所定部位とは、ラベル吸着部11を、TKユニット51の水平方向の移動及び回動によって上方に位置させることが可能な部位である。
例えば、
図15に示されるように、製品WP2の中央への貼付(A)及び製品WP2が部分的に外方に張り出した張り出し部WP2aへの貼付(B)が可能である。
また、製品搬送装置52は、ラベル62aを、製品WP1のように、外形に水平面上で左右方向に対し傾斜した外形ラインWP1aがある場合に、その外形ラインWP1aに沿って傾いた向きでの貼付(C)が可能である。
これにより、製品搬送装置52は、移送する製品WPの表面の任意の位置に任意の姿勢でラベル62aを貼り、ラベル62aが貼られた製品WPを所定の位置に移送させることができる。
【0056】
上述のように、製品搬送装置52は、TKユニット51に、製品WPを吸着する搬送ベースである製品吸着部51aと製品吸着部51aに対し独立して昇降する昇降機能を有するラベル吸着部11とを有している。
そのため、ラベル62aの製品WPへの貼付を、TKユニット51の水平移動及び回動により制約なく自由な位置と姿勢で行うことができ、貼付品位を高いレベルで安定的に維持できる。
また、ラベル吸着部11は、吸盤状ではなく、直方体状でラベル吸着面がフラットな平面状のラベルパッド14a,14bを有している。
これにより、ラベル62aは、ラベルパッド14a,14bに対し大きく変形することなく吸着されるので、貼付で皺が生じるなどの不具合は生じない。
【0057】
また、ラベル吸着部11は、製品吸着部51aが製品WPを吸着する高さである吸着高さHRよりも上方に待機し、吸着高さHRよりも下方でラベルを吸着保持し、かつ貼付できるように、エアシリンダ11aの昇降ストローク、並びに、その昇降ストロークでのラベルパッド部14の最上昇位置及び最下降位置が設定されている。
これにより、ラベル62aを吸着した状態でTKユニット51全体を水平移動でき、製品吸着動作に対し、ラベル吸着部11は何ら影響を与えない。そのため、製品搬送動作に、ラベル貼付動作を含ませても、ラベル貼付時間はわずかな時間となって製品搬送装置52の製品搬送効率の低下が抑制される。
【0058】
また、ラベル吸着部11は、
図16にも示されるように、TKユニット51の基部2から側方に延びる補助部4(又は補助部3)に備えられている。
そのため、TKユニット51の水平方向の中心となる搬送ベース回動軸線CL51の位置とパッド部12の中心軸線CL12との間の距離L12を、ラベル吸着部11を基部2に備えた場合よりも補助部4の延出分だけ長くすることができる。
これにより、プリンタ62の設置可能範囲が拡大し、製品搬送装置52の設計自由度が増す。また、ラベル62aを吸着するために移動するTKユニット51の移動距離を、補助部4の延出分のさらに往復分減らせるので、ラベル貼付の動作時間が短くなり稼働効率が高くなる。
【0059】
本発明の実施例1は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0060】
ラベル吸着部11は、パッド部12を支持するロッド11bを回動できるラベル吸着部としての回動部111に変形してもよい。
回動部111を
図17を参照して説明する。
回動部111は、出力軸11c2が下向きとなる姿勢で補助部4に固定されたモータ11c1を有する。モータ11c1は、ステップモータなどの回転角度を制御できるモータである。
モータ11c1の出力軸11c2の先端には、ホルダ11c3が設けられホルダ11c3にはエアシリンダ11aの上部が固定されている。
モータ11c1の動作は、制御装置54によって制御される。
【0061】
この構成により、モータ11c1を回動させることで、エアシリンダ11a及びパッド部12は、軸線CL11まわりに回動する(矢印DRq)。これに伴い以下、軸線CL11をラベル吸着回動軸線CL11と称する。
これにより、ラベルパッド部14で吸着したラベル62aの向きを、TKユニット51を搬送ベース回動軸線CL51まわりに回動させることなく自由に変えることができる。すなわち、回動部111を搭載することで、ラベル62aを、TKユニット51を回動させることなく自由な向きで製品WPに貼付することができる。
また、ロッド11bが、昇降ストロークの下端側に位置していない状態でパッド部12を回動させたときに、補助部4の吸着ユニット5と干渉する場合があり得る。
そこで、制御装置54は、モータ11c1の回動は、ロッド11bが最下端部及び吸着ユニット5と干渉しない下端部側に位置しているときにのみ実行させる。
また、制御装置54は、ロッド11bを上昇させる際には、ベースプレート13を搬送ベース回動軸線CL51から離れる方向に延びて吸着ユニット5と干渉しない向きになるよう回動してから上昇させるように制御する。
また、ベースプレート13を長尺とし、ラベルパッド部14が旋回したときに、基部2の中心位置又は搬送ベース回動軸線CL51と交わる位置にあるようにしてもよい。
【0062】
回動部111を用いたラベル62aの貼付の具体例を、
図18(a)〜
図18(e)を参照して説明する。
図18(a)は、ワークパレット31に載置されたスケルトンWS及び製品WPを示す部分平面図であり、
図18(b)〜(e)は、
図18(a)における、製品WPの出隅部分であるA部拡大図である。
図18(b)は、ラベルパッド部14が、
図5に示されるように、ラベル吸着回動軸線CL11に対して右方に位置している基準位置でラベル62aを貼付した場合を示す。この場合、ラベル62aの表示文字「AM」が、製品WPの右方から見て正立する向きになるものとする。
【0063】
図18(c)〜(e)は、
図18(b)に対し、モータ11c1をそれぞれ上方から見て時計回りに90°,180°,270°回転させた状態でラベル62aを貼付した場合を示す。
図18(c)〜(e)において、ラベル62aの向きは、それぞれ、表示文字「AM」が製品WPの前方,左方,後方からみて正立する向きとなる。
モータ11c1の回転角度により、ラベル62aを前後左右方向に対し傾斜させた向きで貼付させることも容易に可能である。
【0064】
図18(b)〜(e)に示されるように、ラベル62aを異なる向きで同じ位置に貼付する場合は、TKユニット51を、ラベル吸着回動軸線CL11と中心軸線CL12との偏心距離に応じて水平方向に移動させる必要がある。しかしながら、その移動距離は、TKユニット51の全体寸法からすると僅かであり、移動に回動を伴わないため作業効率への影響はほとんどない。
【0065】
ラベル吸着部11のパッド部12は、ロッド11bに対し交換可能であるとよい。これにより、ラベル62aのサイズ及び形状に応じた最適なサイズ及び形状のラベルパッド部14を使用でき、貼付がより確実になると共により高い貼付品位が得られる。
また、ラベルパッド14a,14bは、底面14a1,14b1がフラットな面であれば、直方体に限定されない。例えば、ラベルパッド14a,14bは円錐台形状であってフラットな底面に通気孔が形成されているものであってもよい。
通気孔の数は限定されないが複数であることが望ましい。
【0066】
TKユニット51は、複数のラベル吸着部11を備えていてもよい。
例えば、プリンタ62を、2枚の製品WP1,WP2それぞれに対応したラベル62a3,62a4を順に押し出せるようにしておき、2つのラベル吸着部11でラベル62a3,62a4をそれぞれ吸引してから、製品WP1,WP2への貼付動作を実行するようにしてもよい。
これにより、TKユニット51を、製品WP1,WP2とプリンタ62との間で2往復させる必要はなく、実質的に1往復で済む。従って、複数箇所のラベル貼付動作を効率よく行うことができる。
【0067】
ラベル62aは、
図19(a)に示されるラベル621aに変形してもよい。
図19(a)は、ラベル621aを下面(粘着面)から見た図である。
ラベル621aは、排出時に下面となる粘着層を有する面の、幅方向(矢印で示される排出方向に対し直交する方向)の一対の縁部が、排出方向に延びて粘着層を有していない非粘着部621bとされている。すなわち、ラベル621aは、下面において、幅方向の中央にハッチングを付した粘着部621cと、粘着部621cを幅方向に挟む一対の非粘着部621bと、を有する。
【0068】
一方、
図19(b)に示されるように、プリンタ62は、ラベル621aを使用する場合には、排出されるラベル621aの非粘着部621bに対応した位置に、そのラベル621aを水平姿勢となるよう下から支える一対の支持具62bが装着される。
これにより、剥離紙なく所定の突出量まで排出されたラベル621aは、一対の支持具62bにより概ね水平姿勢で支持される。そのため、エアを下から吹き付けて姿勢を維持する必要がなく、吸着されるまでの待機姿勢が安定する。
【0069】
プリンタ62のラベル62aは、上述のような、ロール状から剥離紙を残すハーフカットで形成されたものでなくてもよい。ラベル62aを、例えば、剥離紙と共にロール状で印刷されるものとし、プリンタ62は内部にカッタを備えて、印刷後、ラベルパッド部14で吸着移送する際に、剥離紙と分離すると共にプリンタ62の内部に備えたカッタで切断分離してもよい。
【0070】
また、製品WPは、板状の素材から切り出されたものに限らない。前工程の加工の有無や加工の種類によらず、板状の部材であることを意味する。
【0071】
(実施例2)
次に、実施例2の製品搬送装置52Aを含むレーザ加工システムSTAの全体構成について、説明する。
レーザ加工システムSTAは、TKユニット51をTKユニット51Aに置き換えたものであり、外観上の構成は、
図1に示されるレーザ加工システムSTとほぼ同じである。
図1には、符号51A,符号52A,及び符号STAを括弧付きで併記して示してある。
【0072】
図20に示されるように、TKユニット51Aは、TKユニット51に対し、補助部4に備えていたラベル吸着部11を削除し、基部2にラベル吸着部21を設けたものである。また、
図22に示されるように、制御装置54において、CPU54dは、ラベル吸着部21が有する回動シリンダ211(
図21参照)の動作を司る回動シリンダ制御部54dを有する。
従って、実施例1のレーザ加工システムSTと実施例2のレーザ加工システムSTAとは、ラベル吸着部11及びラベル吸着部21以外において、構成及び実行できる動作は同じである。
【0073】
基部2に設けられたラベル吸着部21について、
図20〜
図24を参照して説明する。
図20は、TKユニット51Aの斜視図であり、
図21は、ラベル吸着部21の動作を説明する斜視図であり、
図22〜
図23は、ラベル吸着部21の動作制御を説明するためのレーザ加工システムST全体の機能ブロック図及びラベル吸着部21に関連するブロック図である。
図24(a)は、TKユニット51Aが備える製品吸着部51aAの前面図であり、
図24(b)は製品吸着部51aAの下面図である。
【0074】
図20及び
図21に示されるように、TKユニット51Aは、TK昇降駆動部73A,本体部1A,及び搬送ベースとしての製品吸着部51aAを有する。
TK昇降駆動部73Aは、サーボモータ(不図示)を有し可動フレーム52jに設けられている。本体部1Aは、TK昇降駆動部73Aのサーボモータを動力源として可動フレーム52jに対し昇降するように支持されている。製品吸着部51aAは、本体部1Aの下部に取り付けられている。
製品吸着部51aAは、TK回動駆動部74Aの動作によって、本体部1Aに対し上下に延びる搬送ベース回動軸線CL51Aまわりに回動する(矢印DR1A参照)。回動範囲は、例えば、
図20に示される姿勢から時計回り及び反時計回りにそれぞれ180°の合計360°である。
【0075】
搬送ベースである製品吸着部51aAは、基部2A及び一対の補助部3A,4Aを備えている。製品吸着部51aAの上面視形状が、概ね対称の場合、搬送ベース回動軸線CL51Aは、製品吸着部51aAの中心位置を通るように設定される。
基部2は、概ね六面体形状で形成されている。
一対の補助部3A,4Aは、基部2Aの左右それぞれから補助腕駆動部783A,784Aの動作によって出入りする支持腕部3aA,4aAの先端に支持されている。
補助腕駆動部783A,784Aの動作により、補助部3A,4Aは、基部2Aに密着した基本位置と左方及び右方に張り出した張り出し位置との間で移動する(矢印DRc参照)。
すなわち、補助部3A,4Aは、搬送ベース回動軸線CL51Aに対し離接するように水平移動する。
図20では、基本位置にある補助部3A,4Aを実線で、張り出し位置にある補助部3A,4Aを鎖線で示している。
【0076】
図20及び
図24に示されるように、基部2A及び補助部3A,4Aの下部には、実施例1と同じ吸着ユニット5が上下方向を軸として複数配置されている。
吸着ユニット5として、吸着ユニット5dとそれより吸引力の強い吸着ユニット5eが用いられている。
詳しくは、
図24に示されるように、基部2Aにおいて、中央の範囲には、吸引力が強い複数の吸着ユニット5eが、密の千鳥配列で配置されている。また中央範囲を囲む枠状の周縁範囲には、吸着ユニット5eより吸引力が低い複数の吸着ユニット5dが、吸着ユニット5eより粗の千鳥配列で配置されている。
吸着ユニット5dの前後方向の配置間隔D5〔
図24(b)参照〕は、直状のアーム212が吸着ユニット5dに干渉せずに進入可能となる間隔とされている。
【0077】
各吸着ユニット5の下部には製品吸着パッド部5cが備えられている。
図22及び
図23に示されるように、製品吸着パッド部5cは負圧を発生するポンプ771に接続され、ポンプ771の動作は、圧縮空気切換部76により制御される。
製品吸着パッド部5cの下方先端には、円錐台の周面状に形成されたゴム製の吸盤部5c1が備えられている。これにより、ポンプ771の動作に応じて、吸盤部5c1の内部を負圧にして製品WPなどの平板部材を吸着できるようになっている。ポンプ771の動作は圧縮空気切換部76により直接的に制御され、圧縮空気切換部76は、制御装置54によって制御される。
【0078】
図21及び
図24に示されるように、ラベル吸着部21は、本体部211a及びロッド211bを有する回動シリンダ211と、アーム212と、パッド部22とを有する。
本体部211aは、回動軸線CL21が搬送ベース回動軸線CL51Aと平行となる姿勢で基部2に固定されている。ロッド211bは、回動軸線CL21上を所定のストロークで上下動し180°の角度範囲で回動する。
ロッド211bの先端には連結ホルダ213を介してアーム212が取り付けられている。アーム212は、回動軸線CL21に直交する方向に延びる姿勢でアーム212に取り付けられている。
【0079】
アーム212は、回動軸線CL21を中心とする径方向に延びる直状に形成されている。アーム212の先端部には、パッド部22が取り付けられている。パッド部22は、実施例1におけるパッド部12と同様の構造を有する。
すなわち、パッド部22は、ラベルパッド23a,23bの組であるラベルパッド部23を有する。ラベルパッド23a,23bは、同じ部材の一組をなし、それぞれ
図20において左右方向に長い直方体状のスポンジ体として形成されている。材質は、例えばクロロプレンゴムのスポンジ体である。
従って、ラベルパッド23a,23bは、少なくとも上下方向に弾力性を有する。
【0080】
ラベルパッド23a,23bは、上下に貫通した複数の通気孔(不図示)を有しており、その通気孔は、
図23に示されるように、アーム212を通してアーム212の上面から引き出されたホース23c,23dに接続されている。
図23において、ホース23c,23dは、負圧を発生するポンプ772に接続されている。
圧縮空気切換部76には、既述のように、ポンプ771及びポンプ772が接続されている。圧縮空気切換部76は、制御装置54の制御の下で、ポンプ771及びポンプ772に対し、吸着ユニット5の製品吸着パッド部5c及びラベル吸着部21のラベルパッド部23のいずれで空気吸引するか、或いは両方で空気吸引するか、の動作制御を行う。
【0081】
圧縮空気切換部76の制御によって、ポンプ772が動作し、負圧がラベル吸着部21のラベルパッド部23にかかると、ラベルパッド23a,23bの各底面の通気孔(不図示)から空気が吸引される。
これにより、ラベルパッド部23の底面でラベル62aを吸着することができる。
また、圧縮空気切換部76の制御によって、負圧経路が吸着ユニット5の製品吸着パッド部5cにかかると、吸盤部5c1から空気が吸引される。これにより、製品吸着パッド部5cで製品WPを吸着することができる。
【0082】
先端にラベルパッド部23を有するアーム212は、回動シリンダ211の動作により180°の回動角度で旋回する。
図20に示されたアーム212は、回動角度範囲の上方から見た右端位置にある。
【0083】
回動シリンダ211は、例えばサーボモータを内蔵し、制御装置54の制御により動作する。詳しくは、
図23に示されるように、ロッド211bは、制御装置54からの直動信号SG1に応じて回動軸線CL21に沿う方向(上下方向)に移動し、回動信号SG2に応じて回動軸線CL21まわりに所定角度範囲で回動する。これに伴い、以下、回動軸線CL21をラベル吸着回動軸線CL21と称する。
【0084】
回動シリンダ211の直動及び回動動作により、ロッド211bに連結されたアーム212は、少なくとも第1位置PS1〜第4位置PS4の4つの位置を取り得る。
図24〜
図27は、それぞれアーム212が第1位置PS1〜第4位置PS4にある状態を示している。
【0085】
図24に示される第1位置PS1において、アーム212は上下動の最下位置にあり、回動範囲においては、
図24(b)の下方視における反時計まわり方向の最端位置にある。この最端位置を、アーム212の第1の旋回位置と称する。
このとき、アーム212は、全体が上下方向において吸着ユニット5よりも下方に位置する。従って、ロッド211bが回動してアーム212が旋回しても、アーム212は吸着ユニット5に干渉しない。
また、第1位置PS1において、アーム212のラベル吸着回動軸線CL21の平面上の位置は、搬送ベース回動軸線CL51Aから前方に距離Daの位置にある。アーム212において、ラベルパッド部23は搬送ベース51aAの外形よりも外側であり、ラベル吸着回動軸線CL21とラベルパッド部23の中心軸線CL22との間の腕長である距離Dbは、距離Daと等しくなっている。
【0086】
図25に示される第2位置PS2において、アーム212は第1位置PS1と同じく上下動の最下位置にあり、回動範囲においては、第1位置PS1から90°回動した中央位置にある。
【0087】
図26に示される第3位置PS3において、アーム212は第1位置PS1及び第2位置PS2と同じく上下動の最下位置にあり、回動範囲においては、第1位置SP1から180°回動した
図26(b)の下方視における時計まわり方向の最端位置にある。第3位置PS3において、ラベルパッド部23の中心軸線CL22は、基部2Aの搬送ベース回動軸線CL51Aと同じ位置にある。この位置を、アーム212の第2の旋回位置と称する。
【0088】
図27に示される第4位置PS4において、アーム212は、回動範囲において第2位置PS2と同じ位置にあって上下動の最上位置にある。また、ラベルパッド部23は搬送ベース51aAの外形よりも内側にある。
また、第4位置PS4において、ラベルパッド23a,23bの下面は、吸着ユニット5の吸盤部5c1の下面よりも距離Heだけ上方に位置する。
距離Heは、吸着ユニット5でワークWを吸着したときに、吸盤部5c1の変形によらず、ラベルパッド23a,23bがワークWに接触しないように設定されている。
【0089】
ラベル吸着部21を備えたTKユニット51Aによって、プリンタ62からラベル62aを吸着して取得する状態,TKユニット51Aにより取得したラベル62aを製品WPに貼付する状態,及び製品WPを製品吸着部51aAによって吸着した状態を、それぞれ
図28〜
図30を参照して説明する。尚、
図28〜
図30において制御装置54は不図示である。
【0090】
図28に示されるように、ラベル62aの取得動作では、制御装置54は、TKユニット51Aを、アーム212を第1位置PS1にすると共にTKユニット51Aをアーム212が左右方向に延びる姿勢となるよう回動する。次いで、TKユニット51Aをプリンタ62近傍に移動し、ポンプ772を動作させてラベル62aを吸着取得する。
アーム212が第1位置PS1にあるときに、ラベルパッド部23は基部2Aよりも外側に突出している。そのため、TKユニット51Aの移動距離が少なくて済み、移動効率がよい。
【0091】
図29に示されるように、ラベル62aの製品WPへの貼付動作では、制御装置54は、TKユニット51Aを、アーム212を第3位置PS3にすると共に、ラベル62aの貼付する向きに応じて回動する。また、製品WPに貼付するラベル62aの中心位置となる貼付位置に、TKユニット51Aの中心位置である搬送ベース回動軸線CL51Aの位置を合致させる。次いで、TKユニット51Aを、降下させ(矢印DRj2)、ポンプ772を停止させつつラベル62aを製品WPに押圧して貼付し、その後上昇させる。
【0092】
図30に示されるように、製品WPの吸着動作では、制御装置54は、アーム212を第2位置PS2を経て第4位置PS4とする。これにより、ラベルパッド部23が製品WPの吸着に影響しない上方位置に待避する。
制御装置54は、TKユニット51Aを、製品WPにおける吸着位置の上方に水平移動した後、下降させる(矢印DRmA)。次いで、制御装置54は、ポンプ771を動作させ、吸着ユニット5によって製品WPを吸引保持する。
【0093】
製品WPを吸引保持した後、実施例1において
図14を参照した説明と同様に、製品WPを所定の場所へ移載する。
このように、TKユニット51Aは、製品WPを搬送する装置であると共にラベル62aを製品WPに貼付するラベル貼付装置でもある。
【0094】
図31は、レーザ加工システムSTAにおける、TKユニット51Aによるラベル62aの取得時及び貼付時の製品吸着部51aAの位置及び姿勢の例を説明するための模式的平面図である。
図31には、ワークパレット31及びワークパレット31に載置されたワークWと、製品吸着部51aAとが示されている。
図31の右上に示された(P1)部には、ラベル62aの取得態様、左上に示された(P2)部にはラベル貼付の第1の態様、左下に示された(P3)部にはラベル貼付の第2の態様が示されている。それぞれの態様において、基部2A及び補助部3A,4Aは外形を鎖線で示されている。
【0095】
図31の(P1)部に示されるように、レーザ加工システムSTAは、TKユニット51Aによりラベル62aをプリンタ62から取得する際に、アーム212を第1位置PS1にすることでラベル吸着部21を基部2Aから離隔した位置で取得できる。
これにより、プリンタ62をワークパレット31から離隔した位置に設置しても、基部2Aの中心である搬送ベース回動軸線CL51Aの位置を、ワークパレット31に対応する範囲内にしたままラベル62aを取得できる。
【0096】
(P2)部及び(P3)部に示されるように、ラベル62aの貼付位置の中心は、TKユニット51Aの基部2Aの搬送ベース回動軸線CL51Aと一致している。従って、貼付するラベル62aの向きは、基部2Aを回動させることで自由に決めることができる。
例えば、(P2)部におけるラベル62aの貼付の向きは、プリンタ62から取得した向きに対し180°回動した向きとなり、(P3)部におけるラベル62aの貼付の向きは、プリンタ62から取得した向きに対し反時計まわり方向に90°回動した向きとなる。
【0097】
このように、実施例2のレーザ加工システムSTAは、ラベル62aを異なる向きで同じ位置に貼付する場合に、TKユニット51Aを水平方向に移動させる必要はなく、同じ位置で基部2Aを回動させるだけでよい。そのため、ラベル62aの自由な向きでの貼付作業を高効率で行うことができる。
また、ラベル62aの貼付動作において、TKユニット51Aの中心位置は、ワークパレット31に対応した範囲内で移動させればよいので、移動時間が短く、この点においても貼付作業を高効率で行うことができる。
【0098】
実施例1で説明したTKユニット51は、基部2の中心である回動軸線CL51の位置とパッド部12の中心軸線CL12との間の距離L12は、0(ゼロ)ではなく、かつ補助部4の基部2に対する離接移動によって変化する。
そのため、実施例1では、TKユニット51の動作を司るプログラム上、製品WPを吸着保持する中心位置とラベル62aを貼付する中心位置との二つの位置の座標を指定すると共に、ラベル62aの貼付位置の座標は、常に補助部4と基部2との距離を反映させて指定する必要がある。
これに対し、実施例2のTKユニット51Aは、基部2Aの中心である搬送ベース回動軸線CL51Aの位置とパッド部22の中心軸線CL22との間の距離が、0(ゼロ)であり、かつ補助部4Aが基部2Aに対し離接移動しても変わらない。
そのため、プログラム上、製品WPを吸着保持する中心位置とラベル62aを貼付する中心位置との座標を一致させて指定でき、プログラムが簡単になりプログラムミスも少なくなる。
【0099】
本発明の実施例2は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0100】
アーム212は、直状でなくてもよい。例えば、
図32に示されるように、基部2Aにおける吸着ユニット5のうちの吸着ユニット5dが密な千鳥配列で配置されて、直状のアーム212を第4位置PS4において吸着ユニット5d間に退避できない場合、吸着ユニット5eに干渉しない非直状形状のアーム212Aとしてよい。
図32では、アーム212Aは、一例としてジグザグ状とされている。
【0101】
回動シリンダ211は、サーボモータで動作するものに限定されない。例えば、エアシリンダであって、エアによってロッド211bを直動及び回動させるものでもよい。
図33は、回動シリンダ211がエアシリンダの場合のエア回路例を示す図である。この変形例において、レーザ加工システムSTAは、回動シリンダ211を駆動するエア駆動部8を備えている。
エア駆動部8は、5ポートタイプのソレノイドバルブ25,26と、スピードコントローラ251,252,251,262と、一端側がソレノイドバルブ25に接続されたエア経路AR1、AR2及びソレノイドバルブ26に接続されたエア経路AR3,AR4を含んで構成されている。ソレノイドバルブ25,26の動作は、回動シリンダ制御部54dにより制御される。
【0102】
エア経路AR1は、スピードコントローラ251を有し、他端側はエアの供給でロッド211bを下降させる気室に接続されている。エア経路AR2は、スピードコントローラ252を有し、他端側はエアの供給でロッド211bを上昇させる気室に接続されている。
エア経路AR3は、スピードコントローラ261を有し、他端側はエアの供給でロッド211bを
図34における反時計回り方向(矢印DRt1)に回動させる気室に接続されている。エア経路AR4は、スピードコントローラ262を有し、他端側はエアの供給でロッド211bを
図34における時計回り方向(矢印DRt2)に回動させる気室に接続されている。
【0103】
回動シリンダ制御部54dの制御により、ソレノイドバルブ25は、エア経路AR1及びAR2のいずれか一方に選択的にエアを供給する。これにより、ロッド211bは上下動し、上下ストロークの選択された一方の端部位置で維持される。また、回動シリンダ制御部54dの制御により、ソレノイドバルブ26は、エア経路AR3及びAR4のいずれか一方に選択的にエアを供給する。これにより、ロッド211bは回動し、回動範囲の選択された一方の端部位置で維持される。
従って、アーム212の第1位置PS1及び第3位置PS3は、ソレノイドバルブ25,26の切り替え動作のみで得られる。
【0104】
アーム212を回動範囲の中央である第2位置PS2及び第4位置PS4で維持させる場合は、例えば次のようにする。すなわち、スピードコントローラ261,262を調整して気室からのエアの排出速度を調整する。これと共に、ソレノイドバルブ26の動作によるエアの供給タイミングを調整する。この調整により、回動に寄与する二つの気室の圧力バランスをとり、アーム212が回動範囲の中央位置で維持されるようにする。
【0105】
この場合、アーム212が維持される回動位置にある程度のばらつきが生じることが予想される。そのため、
図23に示されるように、基部2側にガイドプレート24を設置し、アーム212側にガイドローラ213bを設置するとよい。
ガイドプレート24は、下方に案内となるよう幅が拡張する傾斜部を有して開放し、上方に延びるガイドスリット241を有する。ガイドローラ213bは、ローラブラケット213aの先端に取り付けられており、ガイドスリット241に対し、幅方向の隙間がほとんどなく係合して上下動するようになっている。
【0106】
これにより、アーム212側のローラブラケット213aに取り付けられたガイドローラ213bが、第4位置PS4で、ガイドプレート24のガイドスリット241に案内されて係合する。そのため、アーム212の回動位置がしっかり決まり、アーム212は吸着ユニット5の間に確実に進入退避するようになる。
【0107】
第1実施例及び第2実施例、並びにそれらの変形例において、プリンタ62は、
図34に示されるプリンタ62Aであってもよい。
プリンタ62Aは、排出口67から排出されたラベル62aを受ける部材として、ベース板65とラベル受けプレート66とを有する。
ベース板65は、中央部位に、ゴムなどによって上方へ枠状に突出形成されたシール枠部65cと、シール枠部65cの範囲内に設けられた貫通孔(不図示)とを有する。
ラベル受けプレート66は、ラベル62aを載置する上面にコーティングが施され、下面側にベース板65に取り付けた状態でシール枠部65cに囲まれる範囲内に、小径の通気孔66cを複数有している。
【0108】
ラベル受けプレート66は、ベース板65に対し、ボルト65bによって下面がシール枠部65cに密着した状態で取り付けられている。この状態で、シール枠部65cで囲まれた空間は、ベース板65の貫通孔及びラベル受けプレート66の複数の通気孔66cのみで外部と連通している。
【0109】
ラベル受けプレート66は、上面にコーティングによって非粘着層66aが形成されている。この非粘着層66aは、接触する貼着剤に対して非貼着性を有する。
すなわち、ラベル受けプレート66に載ったラベル62aは、その貼着剤がラベル受けプレート66に貼りつかず、単に載置された状態となる。そのため、ラベル受けプレート66に載ったラベル62aは、ラベルパッド部23により吸着して容易に移動できる。
コーティングは、ここでは、例えば、基材上に、炭化物系の容射膜とシリコーン樹脂膜とをこの順に積層形成する処理及びその処理で形成した表面層を意味する。
【0110】
プリンタ62Aからラベル62aが排出されると、ラベル62aはラベル受けプレート66に滑り載る。その際に、外部からベース板65の貫通孔を通してシール枠部65c内にエアを供給する。このエアは、ラベル受けプレート66の通気孔66cから上方外部に吹き出し、排出途中のラベル62aをわずかに持ち上げる。
これにより、排出途中のラベル62aの先端部はラベル受けプレート66を擦りにくくなる。そのため、コーティングが剥がれにくく、ラベル受けプレート66の非粘着性が長期間維持される。
【0111】
上述の構成を有する製品搬送装置52Aは、吸着ユニット5の製品吸着パッド部5cによって製品WPを吸着し、吸着した製品WPを、TKユニット51の移動により任意位置に移動できる。
また、製品搬送装置52Aは、ラベル吸着部21によって、プリンタ62から押し出されて露出したラベル62aを吸着保持する。そして、吸着保持したラベル62aを、TKユニット51Aの水平移動,昇降,及び回動、並びに、ラベル吸着部21のアーム212の昇降及び回動動作によって、製品WPの上面WPbの任意の位置に貼付できる。また、製品搬送装置52Aは、ラベル62aを、TKユニット51Aの搬送ベース回動軸線CL51Aの位置を貼付中心位置として、上面WPbに対し任意の向きで容易に貼付できる。
【0112】
アーム212の第2の旋回位置において、ラベルパッド部23は、搬送ベース52aAにおける基部2Aの下方中心位置及び基部2Aの下方の搬送ベース回動軸線CL51と交わる位置のいずれかにある。
搬送ベース回動軸線CL51Aは、搬送ベース51aAの上方視での外形形状が対称でも、中心位置を通らないように設定されていてよい。
搬送ベース51aAの上方視での外形形状が非対称で中心が設定できない場合、第2の旋回位置でのラベルパッド部23の平面上の位置は、基部2Aの下方の搬送ベース回動軸線CL51Aと交わる位置にする。
【0113】
実施例1の変形例と実施例2の変形例は、可能な範囲で適宜組み合わせてよい。
製品搬送装置52及び52Aのいずれかと、プリンタ62及び62Aのいずれかと、ワークパレット31との組を製品搬送システムHST(
図1参照)と称して扱ってもよい。