特許第6589100号(P6589100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6589100
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】フレーム組立体
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/06 20060101AFI20191007BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20191007BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20191007BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20191007BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B64C1/06
   B64C27/08
   B64C39/02
   B64D27/24
   H05K7/20 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-110152(P2018-110152)
(22)【出願日】2018年6月8日
【審査請求日】2019年1月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717007295
【氏名又は名称】株式会社Liberaware
(74)【代理人】
【識別番号】100179822
【弁理士】
【氏名又は名称】中畑 稔
(72)【発明者】
【氏名】野平 幸佑
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−051545(JP,A)
【文献】 特開2018−064060(JP,A)
【文献】 特開平11−233904(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0297703(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0106966(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0072431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼機用のフレーム組立体であって、
回転翼を回転させるモータを制御する制御回路を実装可能なプリント基板を備え、前記プリント基板は伝熱層を含み、前記伝熱層の表層には絶縁層が形成され、
前記プリント基板は、前記モータを搭載可能であり、搭載された前記モータを冷却するための冷却構造を備え、前記冷却構造では、前記モータの搭載面の前記絶縁層が削られて前記伝熱層が暴露されること、
を特徴とするフレーム組立体。
【請求項2】
請求項に記載のフレーム組立体であって、
前記伝熱層は金属であること、
を特徴とするフレーム組立体。
【請求項3】
請求項1に記載のフレーム組立体であって、
前記伝熱層は、前記制御回路が実装される部分と前記冷却構造が設けられる部分との間で連通していること、
を特徴とするフレーム組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプロペラを有する無人飛行体が各種の分野で使われている。プロペラはモータにより回転される。モータの故障を防止するためにモータの放熱が考慮される。特許文献1には、モータの上端に放熱防水蓋を設け、放熱防水蓋から放出される気流によりモータの放熱を行う無人航空機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017−535478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無人航空機では放熱防水蓋を各モータに取り付けるため重量増が不可避である。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、軽量化を図りつつモータを放熱することのできるフレーム組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、回転翼機用のフレーム組立体であって、回転翼を回転させるモータを制御する制御回路を実装可能なプリント基板を備え、前記プリント基板は、前記モータを搭載可能であり、搭載された前記モータを冷却するための冷却構造を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軽量化を図りつつモータを放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るフレーム組立体1の下面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフレーム組立体1の上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るフレーム組立体1の斜視図である。
図4】ボトムプレート11にモータ20を搭載した状態のモータマウント111の断面を表す模式図である。
図5】モータマウント111近傍の拡大図である。
図6】制御回路19からの熱伝導を説明する図である。
図7】塗料141を削った状態を表すモータマウント111の斜視図である。
図8図7のA−A断面図である。
図9】放熱VIA24を設けた場合のモータマウント111の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
回転翼機用のフレーム組立体であって、
回転翼を回転させるモータを制御する制御回路を実装可能なプリント基板を備え、
前記プリント基板は、前記モータを搭載可能であり、搭載された前記モータを冷却するための冷却構造を備えること、
を特徴とするフレーム組立体。
【0012】
[項目2]
請求項1に記載のフレーム組立体であって、
前記プリント基板は伝熱層を含み、
前記冷却構造は、前記モータの搭載面に前記伝熱層を暴露していること、
を特徴とするフレーム組立体。
【0013】
[項目3]
請求項2に記載のフレーム組立体であって、
前記伝熱層は金属であること、
を特徴とするフレーム組立体。
【0014】
[項目4]
請求項1に記載のフレーム組立体であって、
前記プリント基板は伝熱層を含み、
前記伝熱層は、前記制御回路が実装される部分と前記冷却構造が設けられる部分との間で連通していること、
を特徴とするフレーム組立体。
【0015】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の一実施形態に係るフレーム組立体1について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のフレーム組立体1は、飛行体のフレームを構成する。図1は本実施形態に係るフレーム組立体1の下面図であり、図2は本実施形態に係るフレーム組立体1の上面図である。図3は本実施形態に係るフレーム組立体1の斜視図である。図1および図2の紙面における上下方向が、飛行体の前後方向である。
【0016】
フレーム組立体1は、ボトムプレート11と、ボトムプレート11に略平行なトッププレート12とを備える。ボトムプレート11は、両面に回路が形成される銅コア基板のプリント基板である。ボトムプレート11には、例えばモータ20の制御を行うフライトコントローラなどの電子部品が実装される。本実施形態では、ボトムプレート11の中央部115の前後中央部分にフライトコントローラを含む制御回路19が実装される。図1の例では、制御回路19が実装される部分の下部には、制御回路19を保護するカバー18が配されている。ボトムプレート11は、繊維強化された基板の上に銅箔および回路パターンが形成され、表層に絶縁層(レジスト)が形成される。基板は、例えばガラスエポキシ基板(FR4;Flame Retardant Type 4)である。ボトムプレート11上で電子部品が配置されて半田付けが行われる部分には絶縁層が設けられず、銅箔にメッキが施される。本実施形態では、トッププレート12もボトムプレート11と同じプリント基板であるものとする。本実施形態のフレーム組立体1では、ボトムプレート11およびトッププレート12は、全体にわたって(ただし回路が形成される部分を除く)銅箔が配される。銅箔の張力を利用してボトムプレー11およびトッププレート12の曲げ強度を高めることができる。さらに、伝熱性の銅箔を回路と連通させることで、回路の熱を拡散させることもできる。すなわち、一般的にプリント基板の銅箔部分は回路やノイズシールドを構成するために使用されるところ、本実施形態のフレーム組立体1では、フレームの補強と放熱とにも利用している。なお、ボトムプレート11は、銅などの金属をコアとするメタルコア基板またはメタルベース基板であってもよい。
【0017】
ボトムプレート11は、モータ20を実装可能である4つのモータマウント111を備える。図1ないし図3では、モータマウント111にはモータ20が搭載された状態が示されている。モータマウント111はアーム112および113により支持される。アーム112および113は、ボトムプレート11と一体的に形成される。アーム112および113は、ボトムプレート11の外側に湾曲している。これにより、側面方向での衝突時に側面からの力に耐えることができる。
【0018】
複数のモータマウント111を備えるボトムプレート11は点対称になっている。これにより、飛行体の操作時には、操縦者に重心のブレを感じにくくさせることができる。さらに、フレーム組立体1は前後対称でありかつ左右対称である。これにより、飛行体の制御特性の対称性が確保され、操作の違和感を低減することが可能となり、さらには、飛行体の落下時においても、水平を保ちやすくすることができる。したがって、飛行体の落下時には空気抵抗で減速することが期待され、破損被害を少なくすることができる。
【0019】
モータマウント111はモータ20の底面と同一または底面よりも大きく形成される。これにより、衝突時にモータ20を保護することができる。
【0020】
ボトムプレート11の前後方向端部にはプロペラガード114が設けられ、トッププレート12の前後方向端部にはプロペラガード121が設けられる。プロペラガード114および121は、飛行体の衝突時に、モータ20に取り付けられる回転翼(プロペラ)21とモータ20とを保護する。
【0021】
アーム112およびアーム113は、略直線上に配置され、モータマウント111から略逆方向に延在する。すなわち、アーム112およびアーム113は、モータマウント111を略対向する位置で支持する。アーム112およびアーム113がモータマウント111を略対向する位置で支持することにより、モータマウント111を安定的に支持することが可能となる。したがって、モータ20が回転した場合にも、プロペラ21による推力に反発する応力に耐え得る。また、モータ20の動作に起因する振動を抑制し得る。よって、フレーム組立体1の強度を向上するとともに、モータ20を安定させて、ひいては飛行体の飛行を安定させることができる。また、プロペラの後流を遮るアームの面積を減らしエネルギ効率を向上することができる。なお、アーム112およびアーム113は、直線上になくてもよいが、幾何的に、2つある支持点の中点と作用点(モータ20の中心)を結ぶ線が片持ちアームと等価となり、2つのアーム112および113が直線に近づくほど、片持ちアームの場合で言うアームの長さが短くなり撓みにくくなる。計算上、アーム112およびアーム113により形成される鋭角は20度以下であることが好適である。
【0022】
アーム112および113は、ボトムプレート11の絶縁層に含まれる強化繊維の長手方向に延在する。これにより、ボトムプレート11の絶縁層の強度を効果的に活かすことができる。
【0023】
ボトムプレート11の左右それぞれにおいて、前後のアーム113の間にはブリッジ119が設けられる。これによりフレーム組立体1のねじれ剛性が向上される。
【0024】
アーム112、モータマウント111、アーム113、中央部115およびプロペラガード114により開口部120が形成される。開口部120を設けることにより、プロペラ21が回転された場合に発生する気流を遮らないようにすることができ、またフレーム組立体1を軽量化することができる。
【0025】
ボトムプレート11のプロペラガード114は、カメラガード117の張力とアーム112の支持とにより、フレーム組立体1が前方または前方斜め方向からの力を受けた場合にその応力に耐える剛性を確保する。また、トッププレート12のプロペラガード121は、カメラガード123の張力により、フレーム組立体1が前方または前方斜め方向からの力を受けた場合にその応力に耐える剛性を確保する。プロペラガード121の剛性は、プロペラガード114の剛性よりも低いため、ボトムプレート11のプロペラガード114の外側端部118は、トッププレート12のプロペラガード121の端部124よりも外側に突出している。
【0026】
ボトムプレート11の中央部115上の前方端部近傍には、カメラ30が搭載可能である。ボトムプレート11の前方端部には凹部116が形成され、トッププレート12の前方端部にも同様の凹部122が形成される。カメラ30が搭載された場合にそのカメラ30がフレーム組立体1から突出しないように、ボトムプレート11およびトッププレート12にはそれぞれカメラガード117および123が設けられる。これにより、衝突時にカメラ30を保護することができる。なお、凹部116および122は、ボトムプレート11がカメラ30の画角に入らないように、左右端部がテーパー形状となっている。
【0027】
カメラ30が中央部115に搭載されることから、ロール操作時におけるカメラ30による重心のズレが抑制される。したがって、飛行体に安定的な飛行をもたらすことが可能となる。また、本実施形態では、カメラ30を搭載した飛行体の重心はカメラ30の重心と略一致するものとする。これにより、飛行体の飛行時において、カメラ30により撮影された一人称視点(First Person View;FPV)での映像の違和感を低減することができる。
【0028】
ボトムプレート11とトッププレート12との間には、ボトムプレート11およびトッププレート12に略垂直な2つの垂直プレート13と複数のスペーサ14とが配され、ボトムプレート11とトッププレート12とが離間される。垂直プレート13もボトムプレート11およびトッププレート12と同一のプリント基板とすることができる。2つの垂直プレート13の間にもスペーサ16が配される。ボトムプレート11とトッププレート12とが離間する距離は、モータ20にプロペラ21を搭載した高さ以上であるものとする。垂直プレート13は板状であり、飛行体の上下移動時における空気抵抗を減らすことができる。
【0029】
スペーサ14は、ねじ15と螺合し、ねじ15によりボトムプレート11およびトッププレート12のそれぞれに係合される。スペーサ16は、ねじ17と螺合し、ねじ17により垂直プレート13に係合される。ボトムプレート11、トッププレート12および垂直プレート13に設けられるねじ穴の直径は、ねじ15および17の直径よりも大きくする。これにより、フレーム組立体1に衝撃が与えられた場合にも、ねじ15および17にほとんど負荷がかからないようにすることができる。よって、剛性の高いねじ15および17からの応力がボトムプレート11、トッププレート12および垂直プレート13のねじ穴部分に集中することを回避し、破損を防止することができる。
【0030】
ボトムプレート11には前側嵌合部131および後ろ側嵌合部132の場所にそれぞれスリットが設けられ、垂直プレート13の突出部と嵌合する。トッププレート12にも前側嵌合部133および後ろ側嵌合部134の場所にそれぞれスリットが設けられ、垂直プレート13の突出部と嵌合する。これにより、ボトムプレート11と、垂直プレート13と、トッププレート12とが箱型構造を構成することになる。したがって、フレーム組立体1全体としての強度を確保することができる。その一方で、ボトムプレート11およびトッププレート12と垂直プレート13とは嵌合により箱型構造を構成し、ねじなどを用いた螺合や接着剤による接着等の処理を施す必要がなく、ねじ等の余計な部材を追加する必要がないので、フレーム組立体1を軽量に保つことができる。また、各嵌合部131、132、133および134の近傍にはスペーサ14が設けられる。フレーム組立体1が衝撃を受け、ボトムプレート11やトッププレート12に撓みが発生すると、嵌合部131、132、133および134における嵌合が外れることがあるが、スペーサ14を各嵌合部131、132、133および134の近傍に設けることで、嵌合部の変形量が小さくなることが期待され、嵌合を強化することができる。
【0031】
垂直プレート13とボトムプレート11とは応力受容部135において当接する。開口部120の外縁は2つの円弧部分136および137を含み、応力受容部135は円弧部分136および137の接続部分に設けられる。応力受容部135は、垂直プレート13からの応力を受容するように構成される。円弧部分136および137の半径は異なり、ボトムプレート11の中心に近い円弧部分137の半径が円弧部分136の半径よりも短い。これにより当接部136において、垂直プレート13から応力を受ける面積を広げることが可能となり、フレーム組立体1の強度を向上することができる。
【0032】
図4は、ボトムプレート11にモータ20を搭載した状態のモータマウント111の断面を表す模式図である。ボトムプレート11は、エポキシガラス層143を含み、エポキシガラス層143の上下には銅箔142が配され、銅箔142の外面に絶縁層となる塗料141が塗布され、この塗料141の表面に回路が配される。モータ20は、上面の塗料141の外面に載置され、ボトムプレート11を貫通するねじ22により固定される。ねじ22が挿入されるねじ穴はスルーホール加工してもよい。ねじ22が金属や高熱伝導性樹脂など熱伝導性を有する素材である場合、モータ20の熱はねじ22を介して矢印211が示すように銅箔142に伝達され、熱伝導部分212においてねじ22から銅箔142に熱が伝導し、矢印213が示すように銅箔142を通じて熱拡散される。
【0033】
図5は、図2の点線部分で表示される左下モータマウント111近傍の拡大図である。上述のとおり、モータ20の熱はねじ22を介して銅箔142に伝達される。アーム112においては矢印152の方向に熱伝導し、アーム113においては矢印153の方向に熱伝導する。ここでプロペラ21は点線の円151で示される範囲を回転し、プロペラ21の回転により生じる気流は下方向に流れる。すなわち、プロペラ21の回転により生じた気流はアーム112および113に向かって流れる。したがって、アーム112および113が気流により冷却される。つまり、プロペラ21の下に配置されるアーム112および113は、アーム112および113の内部に配される銅箔142を伝達される熱を冷却する機能を有する。
【0034】
図6は、制御回路19からの熱伝導を説明する図である。ボトムプレート11の銅箔142は、制御回路19が実装される中央部分15の前後中央部と各アーム113との間で連通する。したがって、制御回路19(の少なくとも一部)により発せられる熱は、矢印154ないし157で示す方向に拡散される。上述したようにプロペラ21の回転による気流はアーム13を冷却するため、少なくともアーム113は制御回路19の冷却構造としても機能する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のフレーム組立体1では、熱伝導層である銅箔142を含むボトムプレート11上に、伝熱性のねじ22によりモータ20をねじ止めすることで、プロペラ21により生ずる気流を冷却に用いるという冷却構造を形成することができる。モータ20は高熱になると、磁力低下による性能劣化、ひいては銅損や鉄損などの故障が発生し得るところ、本実施形態のフレーム組立体1によれば、ボトムプレート11の銅箔142を利用した冷却構造を構成することができるので、冷却部品を追加することなく、フレーム組立体1を軽量に保ちながらも、モータ20を冷却することができる。したがって、モータ20の故障を抑止し、モータ20の性能劣化を防ぐことができるので、フレーム組立体1が適用された飛行体の安全性を高めることができるとともに、性能を向上することができる。
【0036】
また、モータ20と銅箔142とを直接接触させることでさらに冷却効率を上げることができる。具体的には、モータマウント111において塗料141を削り、モータ20の底面23と銅箔142とを当接させる。図7は塗料141を削った状態を表すモータマウント111の斜視図であり、図8図7のA−A断面図である。モータマウント111の上面にある塗料141を削り、銅箔142の上面に暴露面148を形成する。モータ20をモータマウント111に搭載した場合、モータ20の底面23が暴露面148に当接する。これにより、発熱体であるモータ20と、熱伝導層である銅箔142とが接触する接触面積を大きくすることができる。モータ20からの熱は、底面23と暴露面148とが当接する領域214においてモータ20から銅箔142に直接伝導する。したがって、ねじ22を介する場合よりも熱伝導率は高く、モータ20が接触する銅箔142において矢印213に示すように伝導する熱量が大きくなる。したがって、モータ20の熱をより速く拡散させることが可能となり、モータ20をより効果的に冷却することができる。発明者が測定したところでは、暴露面148の削り出しをする前においてモータ20の温度は70度から90度程度の温度であったが、暴露面148を削り出しを行った後には、モータ20の温度は30度から40度程度に保たれた。このように、冷却構造に暴露面148を設けることにより、モータ20の冷却効率が向上する。
【0037】
さらに、ボトムプレート111に放熱VIA24を設けることにより放熱効果を高めることができる。図9は、放熱VIA24を設けた場合のモータマウント111の断面図である。上述したように、モータ20からの熱は、モータ20の底面23と銅箔142とが接触する領域214においてモータ20から銅箔142に直接伝導する。放熱VIA24をモータマウント111の近傍に設けることにより、伝導した熱は矢印213のように銅箔142を移動し、放熱VIA24を通り、矢印216に示すように他の銅箔142にも伝導するようにすることができる。したがって、より放熱効果が向上することが期待される。
【0038】
また、矢印216にも示すように、モータ20の底面23と直接接触しない銅箔142(図9の下段の銅箔142)から、モータ20の底面23と当接する銅箔142(図9の上段の銅箔142)の方向にも熱は伝導する。したがって、ねじ22を介して伝導した熱を、鉛直方向にも拡散させることが可能となり、より効果的な放熱効果が期待される。
【0039】
なお、放熱VIA24は、発熱体であるモータ20の近傍に設けることが好適である。たとえば、モータ20の底面23と当接する暴露面148の位置に放熱VIA24を設けるようにしてもよい。また、放熱VIA24は、図5の円151が示す範囲に含まれる場所に設けることが好適である。この場合、放熱VIA24にはプロペラ21からの気流が当たることになるため、冷却効果を向上させることができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0041】
例えば、本実施形態では、ボトムプレート11とトッププレート12とは略平行であるものとしたが、不等間隔に離間して配されてもよい。また、ボトムプレート11およびトッププレート12は、平面状でなく湾曲していてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、モータマウント111はボトムプレート11に4つ設けられるものしたが、これに限らず、任意の数の複数のモータマウント111を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、プロペラガード114は前後方向に対してプロペラ21を保護するが、側面(左右方向)に対しては、別体のプロペラガードを装着することでプロペラ21を保護することが可能である。プロペラガード114はボトムプレート11と一体的に形成されてアーム113に対する応力を分散することができる一方で、側面のプロペラガードについては、一体的に形成せずに着脱可能部品とすることで、飛行体としての軽量化を図ることができる。また衝突時に損傷の可能性が高いプロペラガードを容易に交換することができる。
【0044】
また、本実施形態では、アーム112および113はいずれも強化繊維の長手方向に延在するものとしたが、一方のみが強化繊維の長手方向に延在し、他方は異なる方向に延在するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、カメラ30を搭載した飛行体の重心はカメラ30の重心と略一致するものとしたが、カメラ30の重心は、ボトムプレート11の前後方向の中心線上にあればよい。この場合、少なくとも飛行体のロール操作時におけるFPVの違和感を軽減することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ボトムプレート11とトッププレート12と垂直プレート13とがプリント基板であるものとしたが、トッププレート12および垂直プレート13の少なくともいずれかは別の素材としてもよい。例えば、トッププレート12および垂直プレート13の少なくともいずれかは、銅箔を設けないガラス繊維を含めたエポキシ樹脂の板とすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 フレーム組立体
11 ボトムプレート
12 トッププレート
13 垂直プレート
14 スペーサ
20 モータ
21 プロペラ
22 ねじ
23 底面
24 放熱VIA
30 カメラ
111 モータマウント
112 アーム
113 アーム
114 プロペラガード
115 中央部
116 凹部
117 カメラガード
118 外側端部
119 ブリッジ
120 開口部
121 プロペラガード
122 凹部
123 カメラガード
124 端部
131 前側嵌合部
132 後ろ側嵌合部
133 前側嵌合部
134 後ろ側嵌合部
135 応力受容部
141 塗料
142 銅箔
143 エポキシガラス層
148 暴露面
【要約】      (修正有)
【課題】軽量化を図りつつモータを放熱することができる回転翼フレーム組立体を提供する。
【解決手段】回転翼機用のフレーム組立体1は、回転翼21を回転させるモータを制御する制御回路を実装可能なプリント基板であるボトムプレート11を備えている。ボトムプレートは、モータを搭載可能であり、搭載されたモータを冷却するための冷却構造として、全体にわたって(ただし回路が形成される部分を除く)銅箔が配される。伝熱性の銅箔を回路と連通させることで、回路の熱を拡散させることができる。かかる構成によれば、軽量化を図りつつモータを放熱することができる。
【選択図】図1
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図9