(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1端から前記第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1の値と前記第2の値との間の差のQパーセント以内にあり、Qは10以下である、請求項1に記載の伝送線路。
前記第1端から当該伝送線路の長さに沿った各点までで測定される当該伝送線路の直列抵抗が、前記第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下の所定の範囲内にある、請求項1又は2に記載の伝送線路。
前記第1端から当該伝送線路の長さに沿った各点までで測定される当該伝送線路の直列抵抗が、前記第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下のRパーセント以内にあり、Rは10以下である、請求項3に記載の伝送線路。
当該伝送線路の長さに沿った点における当該伝送線路の特性インピーダンスが、その点が当該伝送線路の長さに沿って前記第1端から前記第2端まで動くにつれて、線形あるいは階段状に低下する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の伝送線路。
前記第1端から前記第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1端で入力される信号のエネルギーのうちの半分以上が当該伝送線路内で消散あるいは吸収されるのに十分な大きさである、請求項1乃至6の何れか一項に記載の伝送線路。
前記間隙の各々の幅が、前記第1端から前記第2端まで当該伝送線路の長さに沿って減少する、あるいは、複数の前記間隙の幅の組み合わせが、前記第1端から前記第2端まで当該伝送線路の長さに沿って減少する、請求項9に記載の伝送線路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の問題の一部又は全てを解決することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、第1端及び第2端を有する(損失性の)電気信号伝送線路であって、第1端における特性インピーダンスが第1の値を有し、第2端における特性インピーダンスが、前記第1の値より低い第2の値を有し、且つ第1端から第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1の値と前記第2の値との間の差の所与の範囲内にある、ように構成された伝送線路が提供される。
【0009】
このような伝送線路は、並列に配置された信号導電体と1つ以上の(グランド)リターンパス(戻り経路)とを有することができ、線路の第1端及び第2端はそれぞれ、各々が導電体とリターンパスとの間の、線路の入力端子及び出力端子であるようにされる。2つ以上のリターンパスが設けられる場合、それらは共に接続されて、組み合わされたリターンパスを形成し得る。
【0010】
第1の特性インピーダンス値と第2の特性インピーダンス値との間の差は実体的なものとすることができ、線路の直列抵抗も同様とし得る。線路は、入射される入力電気信号によって第1端に供給されるエネルギーのうちの半分以上(場合により、1/4若しくは1/3又はそれ以上)を当該線路が吸収あるいは消散するという点で、損失線路であるとし得る。
【0011】
第1端から第2端までで測定される直列抵抗は、上記第1の値と上記第2の値との間の差のQパーセント以内とすることができ、Qは20、好ましくは10、より好ましくは5、より好ましくは5未満(例えば、1、2、3又は4)である。第1端から第2端までで測定される直列抵抗は、上記第1の値と上記第2の値との間の差に実質的に(すなわち、実質上、あるいは許容誤差内で)等しいとしてもよい。
【0012】
第1端から伝送線路の長さに沿った1つ又は複数の点の各々までで測定される伝送線路の直列抵抗は、第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下の所定の範囲内とし得る。上記複数の点は、線路の長さに沿った全ての点を有していてもよい。
【0013】
第1端から伝送線路の長さに沿った上記1つ又は複数の点の各々までで測定される伝送線路の直列抵抗は、第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下のRパーセント以内にあるとすることができ、Rは20、好ましくは10、より好ましくは5、より好ましくは5未満(例えば、1、2、3又は4)である。第1端から伝送線路の長さに沿った上記1つ又は複数の点の各々までで測定される伝送線路の直列抵抗は、第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下に実質的に等しいとしてもよい。
【0014】
伝送線路の長さに沿った点における伝送線路の特性インピーダンスは、その点が伝送線路の長さに沿って第1端から第2端まで動くにつれて、単調に低下するとし得る。伝送線路の長さに沿った点における伝送線路の特性インピーダンスは、その点が伝送線路の長さに沿って第1端から第2端まで動くにつれて、線形あるいは階段状に低下し得る。
【0015】
第1端から伝送線路の長さに沿った点までで測定される伝送線路の直列抵抗は、その点が伝送線路の長さに沿って第1端から第2端まで動くにつれて、線形に増加するとし得る。その他の曲線をなす抵抗値上昇も当然ながら可能であり、線路の信号導電体の物理的特性(抵抗率、長さ、断面積)によって支配される。
【0016】
特性インピーダンスの上記第2の値は上記第1の値のS倍又はそれ未満であるとすることができ、Sは0.9、好ましくは0.7、より好ましくは0.5、より好ましくは0.25以下である。例えば、0.25より小さいSの値が、殆ど全ての入射エネルギーが(対応する直列抵抗を所与とした)線路の長さに沿って吸収される特定の実施形態において使用され得る。Sの値は、0.08、0.06、0.04又は0.02ほどに低くてもよい。
【0017】
第1端から第2端までで測定される直列抵抗は、第1端で入力される信号のエネルギーのうちの半分以上が伝送線路内で消散あるいは吸収されるのに十分な大きさとし得る。
【0018】
伝送線路は、(信号)導電体と1つ以上の別個のグランド若しくはリターンのパス(例えば、グランドプレーン)とを有し得る。線路の直列抵抗は、この(信号)導電体の直列抵抗と見なされ得る。この導電体は、信号を搬送するためのものとすることができ、各グランドパスは、基準電圧(例えば、グランド)サプライ(供給源)への接続用とし得る。
【0019】
導電体の少なくとも一部は、その長さに沿って直線状とし得る。導電体の少なくとも一部は、その長さに沿って湾曲していてもよい。導電体はその長さ全体に沿って実質的に直線状であってもよい。
【0020】
伝送線路の直列抵抗は、その長さに沿った導電体の電気抵抗率及び断面積によって設定され得る。導電体は、その長さに沿って同一材料で製造され得る。導電体は、少なくとも第1端及び第2端において、矩形断面を有し得る。導電体は、その長さの一部又は全てに沿って矩形断面を有していてもよい。導電体は、その長さの一部又は全てに沿って実質的に一定の断面積を有していてもよい。
【0021】
導電体は、互いに垂直且つ伝送線路の長さ方向に垂直に、伝送線路に沿って定められる幅と厚さとを有し、導電体は、その長さの一部又は全てに沿って実質的に一定の幅及び/又は厚さを有していてもよい。
【0022】
導電体は、幅と厚さとを有するストリップの形態としてもよく、少なくとも1つの第1のプレーン内に配設され得る(すなわち、導電体は、複数の異なるプレーンを占有する並列接続された部分を有していてもよい)。グランドパスは、上記少なくとも1つの第1のプレーンに平行な1つ以上の第2のプレーン内に配設され得る(すなわち、グランドパスも、複数の異なるプレーンを占有する並列接続された部分を有していてもよい)。導電体は、誘電体基板によってグランドパスから離隔され得る。
【0023】
伝送線路の長さに沿った伝送線路の特性インピーダンスは、伝送線路の長さに沿って、導電体の幅及び/又は厚さと、誘電体基板の比誘電率と、誘電体基板の厚さ又は導電体のプレーンに平行なプレーン内での導電体とグランドパスとの間の距離と、のうちの1つ以上を変化させることによって設定され得る。
【0024】
第2のプレーン内に配設されたグランドパスは第1のグランドパスであるとし得る。第2及び/又は第3のグランドパスが、導電体と同じプレーン内で、導電体の両側それぞれに、それぞれの間隙だけ導電体から離隔されて配設され得る。このような場合、伝送線路の長さに沿った伝送線路の特性インピーダンスは、伝送線路の長さに沿って、導電体の幅及び/又は厚さと、誘電体基板の比誘電率と、誘電体基板の厚さ又は導電体のプレーンに平行なプレーン内での導電体とグランドパスとの間の距離と、導電体と第2及び第3のグランドパスとの間の間隙の一方若しくは双方の幅と、のうちの1つ以上を変化させることによって設定され得る。
【0025】
これらの間隙の一方若しくは双方の幅、及び/又は上記距離は、第1端から第2端まで伝送線路の長さに沿って減少し得る。これらの幅と上記距離との組み合わせが、第1端から第2端まで伝送線路の長さに沿って減少してもよい。
【0026】
導電体は、共に直列に接続された複数の部分区画を有することができ、必要に応じて、これらの部分区画間の間隙を有し、必要に応じて、ICチップの異なる層を占有する異なる部分区画を有し、必要に応じて、その長さに沿って一定の特性インピーダンスを有する各個々の部分区画を有し得る。
【0027】
導電体は、共に並列に接続された複数の部分区画を有していてもよく、必要に応じて、これらの部分区画間の間隙を有し、必要に応じて、ICチップの異なる層を占有する互いに並列な部分区画を有し得る。
【0028】
伝送線路は、ストリップライン伝送線路又はマイクロストリップ伝送ラインとし得る。例えば、上記導電体は、誘電体基板の上面の上に配置されてもよいし、誘電体基板内に埋め込まれてもよい。
【0029】
伝送線路の第1端及び第2端は、それぞれ、伝送線路の入力端子及び出力端子とし得る。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、本発明の上記第1の態様による伝送線路と、抵抗器とを有する抵抗回路であって、抵抗器が伝送線路の第2端で伝送線路と直列に接続されている抵抗回路が提供される。この回路は、終端される必要がある出力端子に、終端回路として接続され得る。例えば、この回路は、伝送線路の第1端を出力端子に接続し且つ抵抗器をグランドサプライに接続して、出力端子とグランドサプライとの間に接続され得る。
【0031】
抵抗器は、伝送線路の第2端における特性インピーダンスと実質的に等しい(あるいは、該特性インピーダンスの所与の範囲内の)抵抗値を有し得る。抵抗器はポリシリコン抵抗とし得る。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、本発明の上記第1の態様による伝送線路、又は本発明の上記第2の態様による抵抗回路、の何れかを有するICチップが提供される。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、ICチップと、該ICチップがマウントされた基板と、本発明の上記第2の態様による抵抗回路と、を有するICパッケージであって、抵抗回路が、ICチップ及び基板のうちの一方上に形成されるか、あるいはそれらの間で分散されるかであるICパッケージが提供される。
【0034】
本発明の第5の態様によれば、ICチップと、該ICチップがマウントされた基板と、該基板がマウントされた回路ボードと、本発明の上記第2の態様による抵抗回路と、を有するICパッケージシステムであって、抵抗回路が、ICチップ、基板及び回路ボードのうちの1つ上に形成されるか、あるいはこれらのうちの2つ以上の間で分散されるかであるICパッケージシステムが提供される。
【0035】
本発明の上記第3の態様によるICチップ、本発明の上記第4の態様によるICパッケージ、又は本発明の上記第5の態様によるICパッケージシステムは、出力端子を有する機能ブロックを有することができ、該出力端子に終端回路として上記抵抗回路が接続され、また場合により、該機能ブロックはデジタル−アナログ変換器である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2は、
図1の終端抵抗6を置き換え得る抵抗回路10の模式図である。比較を容易にするため、
図1に即して、出力4及びその出力端子若しくはピン8(並びにグランドサプライ)を
図2に含めている。
【0038】
図2は、
図1においてのような50Ω終端抵抗6が、アンドープのポリシリコンにて実装されるものである
図1における50Ω終端抵抗6と直列に50Ω“無損失”伝送線路12(すなわち、線路インピーダンスZ
LINE=50Ωを有するが、直列抵抗は無視できる)を有する抵抗回路10として実装され得る、と本発明の発明者が考えたことを指し示している。
図1のDAC2(又は、このような出力4を有する何らかのその他の回路)によって見られる抵抗回路10の入力インピーダンスZ
INは、示されているように50Ωである。
【0039】
終端抵抗6は、抵抗R
polyと寄生キャパシタンスC
polyとを有するものとして示されている。
図1との比較及び以下での更なる説明を容易にするため、R
polyはX=50Ωを有すると仮定し、C
polyは値Yを有すると仮定する。
【0040】
抵抗回路10において、伝送線路12は、金属にて実装されるとともに、理想的にはゼロ抵抗、あるいは少なくとも非常に小さいか無視できるかの抵抗を有するように構成される(例えば、非常に幅広く且つ/或いは厚いことによる)。また、特性インピーダンスZ=sqrt(L/C)であるので、伝送線路12は伝送線路そのものであってキャパシタンス及びインダクタンスが伝送線路インピーダンスを定めるものとして考慮されるとして、伝送線路12は寄生キャパシタンスを有しないものと見なされ得る。
【0041】
終端抵抗6などでのポリシリコンに対する、伝送線路12などでの金属の利点は、存在するプロセス上の3σ公差が、およそ±10%と、より低いことである。しかしながら、抵抗回路10においては、
図1の終端抵抗6と本質的に同じ(ひいては、同じ問題を有する)50Ωポリシリコン終端抵抗6の問題が依然として存在する。
【0042】
次に、本発明の実施形態を検討する。これらの実施形態は損失伝送線路を含み有し、特に、入力端子から出力端子まで線路に沿って特性インピーダンスが低下する“テーパードインピーダンス”損失伝送線路を含み有する。思い出すことには、単位長当たりの線路のインダクタンスをLとし、単位長当たりの線路のキャパシタンスをCとして、特性インピーダンスZ=sqrt(L/C)である。故に、伝送線路は、或る特定の点(実効的に非常に短い―無限に短い―線路部分である)において、或る特性インピーダンスを有すると見なされ得る。故に、線路に沿った或る点での特性インピーダンスは、“ローカル(局所)”特性インピーダンス、すなわち、あたかも線路がその点で切断されたかの場合の実効的な入力インピーダンスとして考えることができる。
【0043】
本発明に従った伝送線路は、有意な直列抵抗(これは、‘通常’の無損失伝送線路では回避される)を有することにおいて、“損失性”である。例えば、このような線路は、(入力電気信号によって)その入力端子に供給される入射エネルギーの少なくとも半分が、線路の長さに沿って(熱として)吸収あるいは消散されるように構成され得る。
【0044】
例えば、このような伝送線路の出力端子(第2端)における特性インピーダンスは、入力端子(第1端)における特性インピーダンスのS倍以下とすることができ、Sは0.9、好ましくは0.7、より好ましくは0.5、さらに好ましくは0.2とし得る。また、伝送線路の直列抵抗は、出力端子(第2端)における特性インピーダンスと入力端子(第1端)における特性インピーダンスとの間の差に実質的に等しい(あるいは、この差の或る範囲内)とし得る。上記範囲は、±20%、又は±10%、又は±5%とし得る。
【0045】
本発明に従った損失性の電気信号伝送線路は、第1端及び第2端を有し、第1端における特性インピーダンスが第1の値を有し、第2端における特性インピーダンスが第1の値より低い第2の値を有し、第1端から第2端までで測定される直列抵抗が上記第1の値と上記第2の値との間の差の所与の範囲内である、ように当該伝送線路が構成されている、と見なされ得る。このような伝送線路のことを、ここでは、損失性テーパードインピーダンス伝送線路と称することとする。このような伝送線路のことを、“整合損失(マッチドロス)”伝送線路と記述することもある。
【0046】
図3は、
図1の50Ω終端抵抗6を置き換え得るような、本発明を具現化する抵抗回路(抵抗性回路)20の模式図である。比較を容易にするため、
図1に即して、出力4及びその出力端子若しくはピン8(並びにグランドサプライ)を
図3に含めている。
【0047】
図3は、
図1においてのような50Ω終端抵抗6が、終端抵抗6より値が小さいポリシリコン終端抵抗24と直列に接続された損失性テーパードインピーダンス伝送線路22を有する抵抗回路20として実装され得ることを指し示している。
図1のDAC2(又は、このような出力4を有する何らかのその他の回路)によって見られる抵抗回路20の入力インピーダンスZ
INは、
図1及び2との一貫性のための例として、50Ωであるように構成される。
【0048】
損失性テーパードインピーダンス伝送線路22は、それ自体も本発明を具現化するものであり、図示のように、その両端のうちの一方(第1端)に入力端子を有し、その両端のうちの他方(第2端)に出力端子を有すると見なされる。さらに、伝送線路22は、それが有する50Ωという所望のZ
INと一致する50ΩのZ
LINEを(入力端子にて)見るが、そのインピーダンス値が線路長に沿って出力端子に向かうにつれて低下するようなインピーダンスを有するように構成される。
図3の例の場合、線路の特性インピーダンスは、その出力端子で17Ωまで低下する。これは、50ΩのZ
LINE(入力端子)及び17ΩのZ
LINE(出力端子)として
図3に示されている。
【0049】
余談として、このような低下していくインピーダンスを模式的に指し示すために、伝送線路22をその長さ方向に入力端子から出力端子まで徐々に狭くなるように描写することができる。しかしながら、より低いインピーダンスは一般に、(信号を搬送する)線路の導電体が物理的に一層広いことを必要とする(その他のものは等しいとして)。従って、低下していくインピーダンスが、どのようにして、導電体の幅を変化させることによって物理的に達成され得るかを模式的に示すために、伝送線路22をその長さ方向に徐々に広くなるように描写することも等しく可能である。
【0050】
上述のように、テーパードインピーダンス伝送線路22は、損失性であるように具体設計される。実際には(実用的な一実施形態において)、線路を可能な限り短くすることができるよう、また、線路がその入力に入射されるエネルギーの大部分を消散するよう、そして、線路が例えば最小のチップ面積のみを消費するよう、可能な限り損失が多いように線路を構成することが望ましい(これは、伝送線路の状況において普通でない)。
【0051】
伝送線路22の直列抵抗(損失)は(長さ方向に特性インピーダンスに影響を及ぼす線路の観点の設計とともに)、入力端子から線路に沿った任意の点までの抵抗が、その点までの特性インピーダンスの低下に略等しくなるように選定される。
【0052】
図3においては、故に、線路全体の直列抵抗R
LINE(分布)が33Ωであるとして示されている。従って、伝送線路22はそれ自体が抵抗器又は抵抗として作用すると見なされることができ、ポリシリコン終端抵抗24は、直列にされた線路22及び抵抗24が
図1の抵抗6に取って代わるので、抵抗6より小さい抵抗値を有することができる。故に、R
LINE(分布)が33Ωであるこの例において、ポリシリコン終端抵抗24の抵抗R
polyは17Ωであり、これはX/3に略等しい(
図2参照)。抵抗器の幅は、この例においてはそのままである電流定格によって設定され得るが、抵抗器の長さは略1/3に短縮されることになり、抵抗器面積も同様に縮小されることになる。結果として、ポリシリコン終端抵抗24の寄生キャパシタンスC
polyはY/3に略等しい(
図2参照)。これは、
図3におけるRpoly及びCpolyを
図2におけるこれらの値の約1/3まで低くすることを可能にする。関連する利点については後述する。
【0053】
一部の実施形態において、線路の特性インピーダンスがその出力端子において17Ωより低くまで(例えば、5Ω又は更にはたった数Ωまで)低下するようにしてもよいが、これは伝送線路がかなり長いことを必要とする。しかしながら、これの利点は、一部の用途においては潜在的に数Ω又は更には0Ω(すなわち、抵抗器を必要としない)までとし得るような一層と小さい値を抵抗24が持つことである。
【0054】
図4は、線路の特性インピーダンスZ
LINE(この例においては50Ωから17Ωまで低下する)が、線路の長さ方向に入力端子から出力端子まで、どのように変化し得るかを示すグラフである。また、入力端子から線路に沿った点までで測定される直列抵抗(この例においては0Ωから33Ωまで増大する)が、この点が入力端子から出力端子まで動くにつれて、どのように増大するのかも示されている。
【0055】
なお、33Ω(50Ωから17Ωまで)という線路に沿ったインピーダンスの低下は、33Ωという線路の分布抵抗に略等しい。同じことが、線路に沿った任意の点について当てはまり、すなわち、線路に沿った任意の点において、入力端子からその点までの分布抵抗が、入力端子からその点までの実効インピーダンスの低下に略等しい。
【0056】
なお、
図4は、線路に沿った任意の点において入力端子からその点までの分布抵抗が入力端子からその点までの実効インピーダンスの低下に等しいという理想的なケースを表しているが、実際の実施形態はこの理想ケースを(他の設計要求を考慮に入れて可能な限り近くなるように)近似したものとなり得る。例えば、線路に沿った任意の点において、入力端子からその点までの分布抵抗は、入力端子からその点までの実効インピーダンスの低下に(例えば、この低下の或る範囲内で)近いものにされ得る。
【0057】
また、
図4のグラフにおけるトレースは線形であるが、これは必須のことではない。何らかの曲線(例えば、階段状、指数関数状など)も可能である。例えば、インピーダンス値は、
図4においてのような連続的なプロファイルではなく、階段状のプロファイル(伝送線路の構成への長さ方向での段階的な変更によって達成される)を有していてもよい。そうはいっても、抵抗値は図示のような線形プロファイルを有し、線形の抵抗値プロファイルと階段状のインピーダンスプロファイルとが一緒になって、実際の実施形態がどのように上述の理想ケースを近似しようとし得るかの一例をなす。
【0058】
ちなみに、線形以外の何かによって、(例えば、)所与のZ
IN/Z
OUTインピーダンス比に対して、より小さい面積が与えられるかもしれない。しかしながら、伝送線路幅(すなわち、導電体の幅)が一定に保たれて(例えば、出力4を有する回路(例えば、DAC)の出力電流を搬送するのにちょうど十分な広さで)、インピーダンス変化が、導電体の幅や厚さではなく、伝送線路のグランドリターンパス(戻り経路)に対する間隔を変化させることによって実現される場合(
図6及び7参照)、(一様な導電体材料とすると)単位長さ当たりの抵抗は一定となり、故に、抵抗値の低下は線形となる。
【0059】
認識されるように、上述の理想ケースは、抵抗24との完全なる整合を所与として信号反射が不存在あるいは最小となる例であり、理想ケースからの逸脱が大きいほど、信号反射の問題が大きくなる。
【0060】
一点言及しておくに、
図3の伝送線路のテーパードインピーダンス特性は、線路自体の幅(すなわち、上述のように、導電体の幅)を変化させることによって達成され得るが、テーパードインピーダンス特性は、後述のように(
図6及び7参照)伝送線路の長さ方向でGNDに対する間隙を変化させることによっても達成され得る。従って、実際には、所望の分布抵抗特性を念頭に置いて、線路自体の物理的な幅を一定に保ち、その代わりに上記間隙の大きさを変化させる方が良いことがある。その場合、線路の幅は、DAC出力電流を搬送するのにちょうど十分な広さで一定にされ、それにより、線路の長さ及びそれによって占有される面積が最小化されることになる。
【0061】
抵抗回路20の利点は、
図5(a)を
図5(b)と比較することによって理解され得る。
図5(a)には、出力端子4に直接的に接続された終端回路として単独で作用する‘伝統的’なポリシリコン抵抗6が示されている。上記実行例を続けて、R
polyは値X=50Ωを有すると仮定し、C
polyは値Yを有すると仮定する。
【0062】
図5(b)は、対照的に、抵抗回路20に相当する実効的な回路を示している。金属のテーパードインピーダンス伝送線路22が、実効抵抗(寄生キャパシタンスを有しない)として示されており、これがポリシリコン抵抗24(その寄生キャパシタンスを有する)と直列接続されている。
【0063】
図3及び4で与えられた数値例を用いると、すなわち、X=50Ωとすると、ポリシリコン終端抵抗24の抵抗R
polyは、前述のようにX/3に略等しいものである17Ωである。同様に、ポリシリコン終端抵抗24の寄生キャパシタンスC
polyはY/3に略等しい。伝送線路22の抵抗R
LINEはこの例では33Ωである。R
poly及びC
polyにおけるこれらの低減により、
図5(b)に示される抵抗回路20は(
図5(a)のような終端抵抗6の単純使用と比較して)およそ30倍の性能構造をもたらすと考え得る。
【0064】
説明として、ポリシリコンの寄生キャパシタンスC
polyは、略3倍小さく、且つやはり略3倍小さい抵抗R
polyと並列にされており、故に、RC時定数(これより下の面積がS
11に影響するものである)は略9倍小さい。そして、これが、R
polyより略2倍大きい抵抗R
LINEによって出力4から分離されており、故に、出力4に現れる出力電圧のうちの略1/3のみがポリシリコン抵抗24を横切って現れる。従って、アンドープポリシリコン抵抗24の寄生キャパシタンスに起因して入力で見られる反射による誤差は、
図5(a)のような終端抵抗6の単純使用の場合より略27倍小さく、すなわち、およそ30倍の改善がもたらされる。当然ながら、このような改善の程度は、所与の実施形態における回路要素の値及び構成に依存する。
【0065】
図6は、本発明に係るテーパードインピーダンス損失伝送線路30の断面図の一例を表す模式図である。然るに、テーパードインピーダンス伝送線路30は、テーパードインピーダンス伝送線路22に対応する。
【0066】
テーパードインピーダンス伝送線路30は、ストリップの形態をした(故に、図示のような概して長方形の断面を有する)メイン導電体32を有している。この導電体は、誘電体基板34の一方の表面上に配設されており、グランドのパス(経路)又はプレーン36が誘電体基板34の反対側の表面上に配設されている。更なるグランドパス、プレーン又はストリップ38、40が、導電体32があるのと同じ表面上で導電体32のそれぞれの側に配設されている。認識されるように、この一般構成は、例えばICチップ上で、集積回路内に実装され得る。
【0067】
導電体32は、所望の信号を搬送するためのものであり、実際には、上述の出力4に接続される線路の部分であり、また、ポリシリコン抵抗24に接続される線路の部分である。故に、線路の一端の入力端子は導電体とグランドとの間にあり、線路の他端の出力端子も導電体とグランドとの間にある。導電体32と同じ層のグランドプレーン又はストリップ38、40は、ビア(図示せず)によってグランドプレーン36に結び付けられることができ、この構造は、グランド上コプレナー(共平面)伝送線路と呼ばれることがある。
【0068】
故に、伝送線路22の取り得る形状(例えば、幅)及び材料に関する上述の検討は主として、(上述のような)その導電体(すなわち、
図6においては導電体32)に関係する。例えば、伝送線路30の直列抵抗は、導電体32の材料と導電体32の長さ方向の寸法との選択によって設定され得る。
【0069】
また、伝送線路30のインピーダンス値(実効入力インピーダンス、又は特性インピーダンス)は、導電体32の寸法と、導電体32と相互作用するグランドプレーン(パス)36、38、40及び誘電体基板34の相対的な配置/寸法/材料とに関係する。
【0070】
これを念頭に置いて、以下のパラメータ値を考える。
図6において、導電体32は、厚さT1(導電体32からグランドプレーン36までの距離をも表す)を有する誘電体基板34によって、グランドプレーン36から離隔されている。この導電体自体は幅W1と厚さT2とを有しており、これらがその断面積を定めている。グランドプレーン又はストリップ38及び40は、それぞれ幅W2及びW3を有する間隙によって、導電体32から離隔されている。
【0071】
導電体32及びグランドプレーン36、38、40は、同じ材料(例えば、銅又はアルミニウムなどの金属)で製造されてもよいし、相異なる材料(金属)で製造されてもよい。例えば、導電体は、図示の断面においてρ1の電気抵抗率を有することができ、グランドプレーンは、図示の断面においてρ2の電気抵抗率を有することができる。誘電体基板34は比誘電率ε
rを有し得る。
【0072】
なお、
図6は長さLを有し得る伝送線路30の単一の断面を表しており、上述のパラメータ値は長さLに沿って変化してもよい。例えば、グランドプレーン(パス)36、38、40及び導電体32は、長さLに沿った様々な箇所の2つ以上の層(例えば、並列部分を有する)を占めてもよく、且つ/或いは長さLに沿って1つの層から別の層へと移ってもよい。一緒に、所望のテーパードインピーダンス及び損失特性を伝送線路30に与えるため、パラメータ値が長さLに沿って設定され得る。
【0073】
典型的な一実施形態において、実効入力インピーダンスを線路に沿って低下させるように入力端子から出力端子へと線路に沿って(各々が、あるいは組み合わせて)低減され得るものである値W2及びW3(並びに場合により、導電体32からグランドプレーン36までの距離という意味でのT1)を除いて、上述のパラメータ値の全てが伝送線路に沿って一定にされ得る。有利には、線路に沿って一定のW1、T2及びρ1を有することにより(すなわち、導電体32として一様なストリップを有することにより)、直列抵抗が
図4に一致して線路に沿って線形に増大し得る。
【0074】
上述のパラメータに関する典型的(すなわち、例としての)値/範囲は以下である:
・W1=3μm(入力から出力まで一定)
− 金属の電流搬送キャパシティ、及び出力4を備えた例えばDACといった回路の出力電流に依存する。例えば、平均電流が24mAであり、且つキャパシティが(上部レイヤ群内の厚メタルに典型的な)8mA/μmである場合に、W1=3μm。
・W2=(入力から出力まで)線路に沿って3μmから0.5μm
・W3=(入力から出力まで)線路に沿って3μmから0.5μm
・T2=1μm(入力から出力まで一定)
・T1=(入力から出力まで)線路に沿って3μmから1μm
− 例えば、どの金属層がGNDプレーン36に使用されるかを変化させることによって達成される。
・L=3000μm
・ρ1=0.03Ω/□(スクエア)(入力から出力まで一定)
・ρ2=0.03Ω/□(スクエア)(入力から出力まで一定)
・導電体の材料=銅(入力から出力まで一定)
・グランドプレーンの材料=銅(入力から出力まで一定)
図7(a)及び7(b)は、伝送線路30の一部、具体的には導電体32(信号を搬送する)並びにグランドプレーン若しくはストリップ38及び40の部分を示しており、伝送線路30の“テーパード”インピーダンス特性がその導電体の幅W1を変化させることによって作り出される必要がないことを示すものである。例えば、導電体32とグランドプレーン38及び40(並びに36)の位置のグランドサプライ(GND)との間の物理的な間隙が代わりに変化され得る。
【0075】
図7(b)において、
図7(a)と比較して、導電体32の幅W1は不変であるが、グランドプレーン又はストリップ38及び40に対する間隙が、結果としての実効入力インピーダンスZ
LINEの低下を伴って、縮小されている。
【0076】
上述のように、
図6に示した、下に位置するGNDプレーン36に対する高さを、このGNDプレーンに使用される金属層を変更することによって変化させることで、インピーダンスに影響を及ぼしてもよい。例えば、導電体32がICチップの金属層10にて形成される場合、下に位置するGNDプレーン36は金属層9又は8又は7等々にて形成され得る。この間隔を増大させることは、より高いインピーダンスをもたらし、その逆もまた然りである。これが行われる場合、下に位置するGNDプレーンが金属層を変える箇所でインピーダンスに階段状変化が存在することになり得るが、これは、同じ箇所で共平面のGNDトラック38、40に対する間隔/間隙W2及びW3をも変化させることによって補償されることができる。事実上、組み合わされたグランドプレーン/パスの全てと導電体との間の間隔がインピーダンス値に影響する。
【0077】
当然ながら、伝送線路(導電体)の寸法を変化させることと、その長さに沿った間隙を変化させることとの組み合わせが使用されてもよい。また、“インピーダンスのテーパー付け”は、既に述べたように、真に連続的である必要はなく、(幅及び/又は間隙における)階段状プロファイルが採用されてもよい。実際には、リソグラフィルールは典型的に0°と90°(そして時折、45°)のエッジを可能にするのみであるので、形状における如何なるテーパーも小さい増分(インクリメント)での階段状になる。
【0078】
図8は、本発明に係る損失性テーパードインピーダンス伝送線路が1つの連続線路である必要がないことを示す模式図であり、本開示及び本発明は然るべく理解されることになる。
図8(a)の伝送線路50においてのように、伝送線路は、ここでは便宜上AからDまでラベルを付した、複数の直列接続されたセグメント又は部分区画(通常の信号線配線又はビアによって接続される)を有していてもよい。上述の伝送線路22と一致させて、特性インピーダンス値Z
LINEの例を各セグメントの先頭及び末端について示している。
【0079】
一点言及しておくに、
図8(a)において、AからDまでの順次のセグメントの各々が先行するものより低い特性インピーダンスを有するようにして、個々のセグメントの各々はその長さに沿って一定あるいは一様な特性インピーダンスを有するように構成してもよい。これは、上述の理想ケースに近付けるための1つの実用的な手法となり得る。例えば、より多数のこのようなセグメントに、より細かい相互間の特性インピーダンス差を持たせるほど、伝送線路全体が理想ケースに、より近付くことになる。より少数のこのようなセグメントに、より大きい相互間の特性インピーダンス差を持たせるほど、伝送線路全体が理想ケースから、より遠ざかることになる(そして、信号反射の問題が悪化することになる)。
【0080】
図8(b)の伝送線路60においてのように、伝送線路は、ここでは便宜上EからHまでラベルを付した、複数の直列且つ/或いは並列接続されたセグメント又は部分区画を有していてもよい。上述の伝送線路22と一致させて、実効入力インピーダンス値Z
LINEの例を入力端子及び出力端子について示している。
【0081】
例えばICチップ内の複数の平行な金属層を用いて、如何なる組み合わせの直列あるいは並列接続されたセグメントが使用されてもよい。本発明に係る伝送線路は、実際に、抵抗のバラつきを更に低減するために、2つ以上の金属層(例えば、2つ又は3つの層)から形成され得る。例えば、各金属層の抵抗バラつきが相関関係なく各々10%である場合、トータルの金属抵抗は7%のバラつきを有することになる。
【0082】
なお、これらのセグメントは各々それ自身の直列(分布)抵抗を有し、故に、線路構成を設計するとき、所望のテーパードインピーダンス特性とともにこれらの抵抗(直列/並列構成にある)を考慮に入れる必要がある。
【0083】
図3の例における伝送線路22(50Ωインピーダンスが17Ωまで低下する)はおよそ2.75mmの長さを要することが見積もられる。例えば、0.03Ω/□にて、33Ωは1100□、すなわち、w=2.5μmでl=2750μmを要することになる。これは、8mA/μm幅という金属の電流能力と20mAという各端子での平均出力電流とを仮定すると、許容可能なものである。高速DAC回路用の半導体レイアウトの状況においては、2.75mmの伝送線路は非常に長いものであり、故に、直線状線路にて実装される必要はない。
【0084】
図9に示すように、抵抗回路20の伝送線路22は、直線状線路である必要はなく、蛇行した形態で実装されてもよい。当然ながら、実際上、如何なる組み合わせの直線部分及び曲線部分が使用されてもよい。そのような蛇行形態において、複数の平行な直線部分は、
図8(a)におけるような伝送線路の複数のセグメントとして、これらのセグメントを単純に共に直列接続したものとし得る。これは実用的な一実施形態であり、実際、そのようなセグメントは各々それ自体、上述のように一様な特性インピーダンスを有し得る(線路に沿って階段状のインピーダンスプロファイルをもたらす)。
【0085】
本発明に係る伝送線路は、マイクロストリップ伝送線路又はストリップライン伝送線路と考えることができる。これらは、グランドを備えた共平面導波路と見なされることもある。故に、
図6の構成は単に1つの構成例である。
【0086】
ストリップライン回路は、基板内で2つの平行なグランドプレーン間に挟まれた平坦な金属ストリップを使用する。基板の絶縁材料が誘電体を形成する。ストリップの幅、基板の厚さ、及び基板の比誘電率が、伝送線路であるストリップの特性インピーダンスを決める。中央の導電体は、グランドプレーン間で等間隔にされる必要はない。一般的なケースにおいて、誘電体材料は中央の導電体の上と下とで異なっていてもよい。
【0087】
ちなみに、集積回路はICチップの形態で提供され得ることが認識されるであろう。そのようなICチップは、基板上にマウントされて、ICパッケージを形成し得る。そのようなICパッケージは、回路ボード上にマウントされて、ICパッケージシステムを形成し得る。
【0088】
これを念頭に置いて、言及しておくに、本発明に係る抵抗回路又は抵抗性回路(
図3においてのように伝送線路と終端抵抗とを直列に有する)は、柔軟に実装され得る。例えば、抵抗回路はその全体が、ICチップ上、基板上、あるいは回路ボード上に実装されてもよい。他の一例として、伝送線路はICチップ上に実装され、終端抵抗は、該チップがマウントされた基板上に実装されてもよい。他の一例として、伝送線路は、ICチップが実装された基板上に実装され、終端抵抗は、該基板がマウントされた回路ボード上に実装されてもよい。更なる他の一例として、伝送線路はICチップ上に実装され、該チップは基板上にマウントされ、終端抵抗は、該基板がマウントされた回路ボード上に実装されてもよい。これらの例の各々において、チップ、基板、及び回路ボード(適用可能なとき)は、例えば後に組み立てられるように、別々に提供されてもよい。
【0089】
伝送線路インピーダンスの定義はZ=sqrt(L/C)であり、線路を下る伝播速度は1/sqrt(LC)である。従って、所与のインピーダンスに対し、どちらも単位長さ当たりのものであり且つ寸法及び誘電体材料に依存するものであるL/Cの比を制御することが望ましい。例えば、典型的な誘電体材料上の50Ω導電体線路は、マイクロストリップでは例えばW/H=2を有し、埋め込みストリップラインでは例えばW/H=1を有する。線路の長さLもWに比例し得る(一定数の正方形)ので、面積はW
2に比例し得る。故に、面積を最小化するには、Wが可能な限り小さいこと、実際には、電流を搬送するのにちょうど十分な広さであることが望ましい。
【0090】
本発明に係る伝送線路及び抵抗回路はまた、寄生キャパシタンスが最小である正確な抵抗を有することが望ましい無線周波数回路又は高周波回路、特に、電流が比較的高くて(例えば、10mA以上)、従来の抵抗では電流を搬送するために大きい面積(大きい寄生キャパシタンス)を有しなければならないような回路、にも適用され得る。
【0091】
本発明に係る回路は、デジタル−アナログ変換器の一部を形成し得る(例えば、その出力に設けられるという意味において)。本発明に係る回路は、例えばICチップ上で、集積回路として実装され得る。本発明は、上述のような集積回路及びICチップ、そのようなICチップを有する回路ボード、並びにそのような回路ボードを有する通信ネットワーク(例えば、インターネット光ファイバネットワーク及び無線ネットワーク)及びそのようなネットワークのネットワーク機器に及ぶ。
【0092】
本発明は、添付の請求項の範囲内で、数多くの他の異なる形態でも具現化され得るものである。
【0093】
以上の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1端及び第2端を有する損失性の電気信号伝送線路であって、
前記第1端における特性インピーダンスが第1の値を有し、
前記第2端における特性インピーダンスが、前記第1の値より低い第2の値を有し、且つ
前記第1端から前記第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1の値と前記第2の値との間の差の所与の範囲内にある、
ように構成された伝送線路。
(付記2) 前記第1端から前記第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1の値と前記第2の値との間の差のQパーセント以内にあり、Qは20、好ましくは10、より好ましくは5以下である、付記1に記載の伝送線路。
(付記3) 前記第1端から当該伝送線路の長さに沿った各点までで測定される当該伝送線路の直列抵抗が、前記第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下の所定の範囲内にある、付記1又は2に記載の伝送線路。
(付記4) 前記第1端から当該伝送線路の長さに沿った各点までで測定される当該伝送線路の直列抵抗が、前記第1端における特性インピーダンスからその点における特性インピーダンスまでの特性インピーダンスの低下のRパーセント以内にあり、Rは20、好ましくは10、より好ましくは5以下である、付記3に記載の伝送線路。
(付記5) 当該伝送線路の長さに沿った点における当該伝送線路の特性インピーダンスが、その点が当該伝送線路の長さに沿って前記第1端から前記第2端まで動くにつれて、線形あるいは階段状に低下する、付記1乃至4の何れか一に記載の伝送線路。
(付記6) 前記第2の値は前記第1の値のS倍以下であり、Sは0.9、好ましくは0.7、より好ましくは0.5、より好ましくは0.25以下である、付記1乃至5の何れか一に記載の伝送線路。
(付記7) 前記第1端から前記第2端までで測定される直列抵抗が、前記第1端で入力される信号のエネルギーのうちの半分以上が当該伝送線路内で消散あるいは吸収されるのに十分な大きさである、付記1乃至6の何れか一に記載の伝送線路。
(付記8) 当該伝送線路は、信号導電体と1つ以上の別個のグランドパスとを有し、且つ
前記直列抵抗は、前記導電体の直列抵抗である、
付記1乃至7の何れか一に記載の伝送線路。
(付記9) 前記導電体は、その長さの一部又は全てに沿って実質的に一定の断面積を有する、付記8に記載の伝送線路。
(付記10) 当該伝送線路の長さに沿った当該伝送線路の特性インピーダンスは、当該伝送線路の長さに沿って、
前記導電体の幅及び/又は厚さ、
前記導電体と各グランドパスとの間の間隙の幅
のうちの1つ以上を設定することによって設定される、付記8又は9に記載の伝送線路。
(付記11) 前記間隙の各々の幅が、前記第1端から前記第2端まで当該伝送線路の長さに沿って減少する、あるいは、複数の前記間隙の幅の組み合わせが、前記第1端から前記第2端まで当該伝送線路の長さに沿って減少する、付記10に記載の伝送線路。
(付記12) 前記導電体は、共に直列且つ/或いは並列に接続された複数の部分区画を有し、
部分区画間の間隙、
ICチップの異なる層を占有する異なる部分区画、
前記ICチップの異なる層を占有する互いに並列な部分区画、及び
その長さに沿って一定の特性インピーダンスを有する少なくとも1つの部分区画、
のうちの1つ以上を有する、付記8乃至11の何れか一に記載の伝送線路。
(付記13) 付記1乃至12の何れか一に記載の伝送線路と、
抵抗器と
を有し、
前記抵抗器は、前記伝送線路の前記第2端で前記伝送線路と直列に接続されている、
抵抗回路。
(付記14) 前記抵抗器は、前記伝送線路の前記第2端における特性インピーダンスと実質的に等しい抵抗値、又は該特性インピーダンスの所定の範囲内の抵抗値を有する、付記13に記載の抵抗回路。
(付記15) ICチップと、
前記ICチップがマウントされた基板と、
付記13又は14に記載の抵抗回路と
を有し、
前記抵抗回路は、前記ICチップ及び前記基板のうちの一方上に形成され、あるいは前記ICチップと前記基板との間で分散されている、
ICパッケージ。