(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分散剤(X)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0022】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤、分散剤、バインダー樹脂、エポキシ化合物、および溶剤を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
分散剤が、
テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分X1’と、
エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分X2’とを有し、
該熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である分散剤(X)を含有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を構成する各成分について詳述する。
【0023】
<着色剤>
本発明の着色組成物に用いることができる着色剤としては、従来公知の種々の顔料、および染料から任意に選択することができる。これらの顔料・染料は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0024】
着色剤の含有量は、着色組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、充分な色再現性を得る観点から10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。また、着色組成物の安定性の観点から、好ましい着色剤含有量は90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、最も好ましくは70重量%以下である。
なお、着色剤が染料を含有する場合、染料の含有量は、顔料100重量部に対し1〜800重量部であることが好ましい。より好ましくは5〜400重量部である。染料の添加量がこの範囲にあることにより、明度およびコントラスト比に優れたものとすることができる。
【0025】
《有機顔料》
着色剤としてカラーフィルタの画素を形成する場合に使用できる顔料の具体例を示す。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、または254であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、または254である。
【0026】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。また、アルミフタロシアニン顔料を用いることも好ましく、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることもできる。
【0027】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55または58を挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36または58である。
【0028】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、または185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、または180である。
【0029】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、または23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0030】
[顔料の微細化]
本発明で顔料を用いる場合、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いカラーフィルタを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径としている。
本発明の着色組成物は、熱架橋性官能基を含有する特定の顔料分散剤とともに、エポキシ化合物を含有することで、このような微細化処理された顔料を用いた場合にも、耐性に優れ、輝度およびコントラスト比の高いカラーフィルタ用着色組成物とすることができるものである。
【0031】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0032】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
【0033】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0034】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0035】
《染料》
本発明の着色組成物は、着色剤として、染料を用いることもできる。染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
一般的に染料を用いた着色組成物は、耐性に問題のあることが多いが、本発明の分散剤(X)とエポキシ化合物とを含有する着色組成物は、このような染料を用いた場合にも、耐熱性や溶剤耐性に優れるために、高品質のカラーフィルタを得ることが可能となる。
【0036】
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、またはこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
【0037】
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、または酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
【0038】
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
【0039】
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができる。
【0040】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0041】
[キサンテン系染料]
本発明において好ましく用いることのできるキサンテン系染料は、赤色、紫色を呈するものであり、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料のいずれかの形態を有するものであることが好ましい。またこれらの染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
これらの中でも、キサンテン系油溶性染料、キサンテン系酸性染料、を用いることが色相に優れるために好ましい。
【0042】
赤色、紫色を呈するとは、C.I.ソルベントレッド、C.I.ソルベントバイオレット等の油溶性染料、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット等の塩基性染料、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドバイオレット等の酸性染料、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトバイオレット等の直接染料等、に属するものが挙げられる。
ここで直接染料は、構造中にスルホン酸基(−SO
3H、−SO
3Na)を有しており、本発明においては、直接染料は酸性染料として見なすものである。
【0043】
また、キサンテン系塩基性染料は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化して用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、キサンテン系酸性染料は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることが耐性の面で好ましい。
【0044】
これらの中でも特に、キサンテン系酸性染料の造塩化合物および/またはキサンテン系酸性染料のスルホン酸アミド化合物が色相および耐性に優れているために好ましく、さらにキサンテン系酸性染料を、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物を用いて造塩化した化合物、およびキサンテン系酸性染料をスルホンアミド化したスルホン酸アミド化合物を用いることがより好ましいものである。
【0045】
また、キサンテン系色素の中でも、ローダミン系色素は発色性、耐性にも優れているために好ましい。
【0046】
以下、本発明に用いるキサンテン系色素の形態について具体的に詳述する。
【0047】
〔キサンテン系油溶性染料〕
キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などがあげられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
【0048】
〔キサンテン系塩基性染料〕
キサンテン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)等があげられる。中でも発色性に優れる点において、C.I.ベーシックレッド1、C.I.ベーシックバイオレット10を用いることが好ましい。
【0049】
〔キサンテン系酸性染料〕
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も好ましい。
【0050】
また、これらの酸性染料は、酸性染料と含窒素化合物との造塩化合物であることが好ましく、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化し、キサンテン系酸性染料の造塩化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。
また、酸性染料と、オニウム塩基を有する化合物との造塩化合物であってもよく、なかでも、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂であることにより、明度および耐性に優れた着色組成物とすることが出来る。
【0051】
一級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリドデシルアミン、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アリルアミン等の脂肪族不飽和1級アミン、アニリン、ベンジルアミン等が挙げられる。
【0052】
二級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等の脂肪族不飽和2級アミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジココアルキルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる
【0053】
三級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
【0054】
四級アンモニウム塩化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)等が挙げられる。
【0055】
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、例えば花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
【0056】
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂)
側鎖にカチオン性基を有する樹脂について説明する。造塩化合物を得るための側鎖にカチオン性基を有する樹脂としては、側鎖に少なくとも1つのオニウム塩基を有するものであれば、特に制限はないが、好適なオニウム塩構造としては、入手性等の観点からは、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、及びホスホニウム塩であることが好ましく、保存安定性(熱安定性)を考慮すると、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩であることがより好ましい。さらに好ましくはアンモニウム塩である。
【0057】
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(3)で表わされる構造単位を含むアルカリ樹脂であって一般式(3)中のカチオン性基が、キサンテン系酸性染料のアニオン性基と塩形成することで、造塩化合物を得ることができる。
【0058】
一般式(3)
【化1】
[一般式(3)中、R
51は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R
52〜R
54は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R
52〜R
54のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R
55−、−COO−R
55−を表し、R
55はアルキレン基を表す。Y
−は無機または有機のアニオンを表す。]
【0059】
(塩形成)
酸性染料と、含窒素化合物または側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物は、従来知られている方法により製造することができる。特開平11−72969号公報などに具体的な手法が開示されている。
キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、キサンテン系酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでキサンテン系酸性染料中のスルホン酸基(−SO
3H)、スルホン酸ナトリウム基(−SO
3Na)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH
4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶媒である。
【0060】
また、本発明に用いる造塩化合物は、一般式(3)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、酸性染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいは一般式(3)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液と酸性染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアンモニウム基と酸性染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、および酸性染料は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
また、その他の酸性染料においても、キサンテン系染料と同様の手法で、含窒素化合物または側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物を得ることができる。
【0061】
(スルホン酸アミド化合物)
本発明に用いる酸性染料は、スルホン酸アミド化合物と、アニオン性染料とを反応させて得られたスルホン酸アミド化合物であっても構わない。
本発明の酸性染料に好ましく用いることのできる酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、−SO
3H、−SO
3Naを有する酸性染料を常法によりクロル化して、−SO
3Hを−SO
2Clとし、この化合物を、−NH
2基を有するアミンと反応して製造することができる。
また、スルホンアミド化において好ましく使用できるアミン化合物としては、具体的には、2−エチルへキシルアミン、ドデシルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロへキシルアミン等を用いることが好ましい。
キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、C.I.アシッドレッド289を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合は、C.I.アシッドレッド289をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド289のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、C.I.アシッドレッド52を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合も、C.I.アシッドレッド52をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド52のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、その他の酸性染料においても、キサンテン系染料と同様の手法でスルホン酸アミド化合物を得ることができる。
【0062】
このようなキサンテン系染料としては、特開2010−032999号公報、特開2011−138094号公報、特開2011−227313号公報、特開2011−242752号公報、特開2012−107192号公報、特開2013−033194号公報、特願2011−71888号公報、特願2013−72263号公報、特願2013−81209号公報、特開2014−173064号公報、特願2013−53028号公報、特願2013−52186号公報、特開2014−196392号公報、特開2014−196393号公報、特開2014−201714号公報、特開2014−201715号公報、特開2013−050693号公報、特開2013−178478号公報、特開2013−203956号公報、国際公開第2013/011687号パンフレット等に記載されている公知技術を用いることができる。
【0063】
[ジピロメテン系染料]
ジピロメテン系染料としては、ジピロメテン色素に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する染料であり、ジピロメテン化合物、およびジピロメテン化合物と金属、または金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物が好ましく、なかでも、一般式(I)で表わされる構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(以下、適宜「ジピロメテン金属錯体化合物」と称する。)が好ましい。
【0064】
〔ジピロメテン金属錯体化合物〕
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)について説明する。
【0066】
一般式(I)中、R
1〜R
6は、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、R
7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。金属又は金属化合物には、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、B等の他に、AlCl3、InCl3、FeCl3、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2などの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)2等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、金属又は金属化合物としては、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、B、又はVOが最も好ましい。
【0067】
このようなジピロメテン系染料としては、特開2008−292970号公報、特開2010−85758号公報、特開2010−84009号公報、特願2010−43530号公報、特開2013−080010号公報、特開2013−210596号公報、国際公開第2013/141156号パンフレット等に記載されている公知技術を用いることができる。
【0068】
[トリフェニルメタン系色素]
トリフェニルメタン系染料骨格としては、ジアミノトリフェニルメタン系染料骨格、トリアミノトリフェニルメタン系染料骨格、OH基を有するロゾール酸系染料骨格等があげられる。
トリアミノトリフェニルメタン系染料骨格は、色調に優れ、他のものよりも日光堅牢性に優れている点で好ましい。その中でも、塩基性染料であるジフェニルナフチルメタン染料骨格が特に好ましい。
【0069】
〔トリフェニルメタン系塩基性染料〕
トリフェニルメタン系塩基性染料は、中心の炭素に対してパラの位置にあるNH
2あるいはOH基が酸化によりキノン構造をとることによって発色するものである。
NH
2、OH基の数によって以下3つの型に分けられるが、中でもトリアミノアリールメタン系の塩基性染料の形態であることが良好な青色、赤色、緑色を発色する点で好ましいものである。
a)ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
b)トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
c)OH基を有するロゾール酸系塩基性染料
トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料、ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料は色調が鮮明であり、他のものよりも日光堅ロウ性に優れ好ましいものである。
【0070】
ブルー系のトリフェニルメタン系塩基性染料は、400〜440nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有しているために、とくに青色フィルタセグメントの形成用に用いた場合に、高い明度とすることができるために好ましいものである。
【0071】
トリフェニルメタン系塩基性染料として具体的には、C.I.ベーシック バイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B conc.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等があげられる。
中でも明度の点から、C.I.ベーシック ブルー7を用いることが好ましい。
【0072】
また、トリフェニル系塩基性染料の場合、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、または酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
【0073】
具体的にはヘテロポリ酸や、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸等の有機硫酸、芳香族カルボン酸、脂肪酸などの有機カルボン酸といった有機酸、または酸性染料の形態を有するものである。またはそれらの金属塩であってもよい。また、酸基を有する樹脂との造塩化合物も好ましい。
【0074】
(塩形成)
これらの塩基性染料とアニオン性カウンターとの造塩化合物は従来知られている方法により合成することができる。特開2003−215850号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、トリアリ−ルメタン系塩基性染料を水に溶解した後、有機スルホン酸や(有機スルホン酸ナトリウム)溶液を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでトリアリ−ルメタン系塩基性染料中のアミノ基(−NHC
2H
5)の部分と有機スルホン酸のスルホン酸基(−SO
3H)の部分が結合した造塩化合物が得られる。
ここで有機スルホン酸は造塩処理を行う前に、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に溶解させ、スルホン酸ナトリウムの形態(−SO
3Na)として用いることもできる。また本発明においては、スルホン酸基(−SO
3H)とスルホン酸ナトリウムである官能基(−SO
3Na)も同義である。
【0075】
このようなトリフェニルメタン系染料としては、特開2002−014222号公報、特開2003−246935号公報、特開2003−246935号公報、特開2008−304766号公報、特開2010−256598号公報、特願2011−200560号公報、特開2011−186043号公報、特開2012−173399号公報、特開2012−233033号公報、特開2012−098522号公報、特願2012−288970号公報、特願2012−200469号公報、特開2014−196262号公報、国際公開第2010/123071号パンフレット、国際公開第2011/162217号パンフレット、国際公開第2013/108591号パンフレット等に記載されている公知技術を用いることができる。
【0076】
[シアニン系染料]
シアニン系染料としては、分子内にシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物であれば、制限無く用いることができる。
シアニン系染料としては、例えばC.I.ベーシックエロー11、12、13、14、21、22、23、24、28、29、33、35、40、43、44、45、48、49、51、52、53、C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、27、35、36、37、45、48、49、52、53、66、68、C.I.ベーシックバイオレット7、15、16、20、21、39、40、C.I.ベーシックオレンジ27、42、44、46、C.I.ベーシックブルー62、63等が挙げられる。
その他、特開2014−224970、特開2013−261614等に記載されているシアニン系染料も用いることができる。
【0077】
[アントラキノン系染料]
アントラキノン染料は、分子内にアントラキノン骨格を有する染料である。
アントラキノン染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー117、163、1
67、189、C.I.ソルベントオレンジ77、86、C.I.ソルベントレッド111、143、145、146、150、151、155、168、169、172、175、181、207、222、227、230、245、247、C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60、C.I.ソルベントブルー14、18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139、C.I.ソルベントグリーン3、28、29、32、33、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドグリーン25、27、28、41、C.I.アシッドバイオレット34、C.I.アシッドブルー25、27、40、45、78、80、112、C.I.ディスパースイエロー51、C.I.ディスパースバイオレット26、27、C.I.ディスパースブルー1、14、56、60、C.I.ダイレクトブルー40、C.I.モーダントレッド3、11、C.I.モーダントブルー8等が挙げられる。また、特開平9−291237号公報、国際公開第2003/080734号パンフレット、国際公開第2006/024617号パンフレット、特開2011−174987号公報、特開2013−53273号公報等に記載のアントラキノン染料を公知技術として用いることができる。アントラキノン染料は、有機溶媒に溶解するものが好ましく、青色、バイオレット色又は赤色のアントラキノン染料がより好ましい。アントラキノン染料としては、C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー45、C.I.アシッドブルー80、C.I.ソルベントブルー104、及びC.I.ソルベントブルー122が明度やコントラストの観点で好ましい。
【0078】
<分散剤>
一般に、分散剤は着色剤に吸着する部位と、着色剤担体及び分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。
つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の着色剤に吸着する性能と着色剤担体及び分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。ここで言う着色剤担体とは、固形分から着色剤成分と分散剤を除いた、樹脂及びその前駆体又はそれらの混合物からなる。
本発明の分散剤は、分散剤(X)を含有することを特徴とする。
【0079】
《分散剤(X)》
分散剤(X)は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分X1’と、
エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分X2’を有し、
該熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である分散剤である。
また、架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基、または(メタ)アクリロイル基である場合、溶剤耐性に優れるものとなるために好ましい。
【0080】
ここで、主鎖のポリエステル部分X1’が、着色剤吸着基として、側鎖のビニル重合体部分X2’が着色剤担体親和基として、作用することにより、着色剤の凝集を抑え、安定性に優れた分散体を得ることができる。そして更に、この分散剤(X)における側鎖のビニル重合体部分X2’が、熱架橋性基を有することにより、該分散剤(X)とエポキシ化合物とともに含有する着色組成物は、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性が優れる。
【0081】
分散剤(X)の含有量は、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜60重量部、更に好ましくは5〜40重量部である。分散剤(X)の含有量がこの範囲にある場合、分散性および耐性に優れたものとすることができる。
【0082】
また、分散剤(X)の重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜100,000である。
重量平均分子量が2,000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、100,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、着色組成物の増粘が起きる場合がある。又、得られた分散剤の酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。更に好ましくは、5〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜100mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満では、着色剤への吸着能が低下し分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり着色組成物の粘度が高くなる場合がある。
【0083】
続いて、分散剤(X)の各構成要素について説明する。
[水酸基含有化合物(a)]
水酸基含有化合物としては、分子内に水酸基を有してさえいれば、特に制限されないが、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオールであることが好ましく、特に分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)であることが好ましい。
【0084】
〔分子内に2の水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)〕
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0085】
〔その他のポリオール(a2)〕
用いることのできるその他のポリオール(a2)として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のグループ(1)〜(7)に属するものがある。これらのポリオール化合物を併用することでカルボン酸基の密度や、溶剤溶解部の割合の調整が容易になる。
【0086】
(1)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、又はヘキサントリオール等の多価アルコール類;
【0087】
(2)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等の各種のポリエーテルグリコール類;
【0088】
(3)上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、若しくはアリルグリシジルエーテル等の(環状)エーテル結合含有化合物と、の開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
【0089】
(4)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸、若しくは2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等で特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
【0090】
(5)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、若しくは3−メチル−δ−バレロラクトン等の各種ラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、又は、上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種のラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
【0091】
(6)ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/若しくは多価アルコール類のグリシジルエーテル、又は、一塩基酸及び/若しくは多塩基酸類のグリシジルエステル等のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;あるいは、
【0092】
(7)ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物、又は水酸基含有シリコン樹脂等のその他のポリマーポリオール等が挙げられる。
【0093】
これら(1)〜(7)に示された任意に添加する、その他のポリオール(a2)は、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40〜10,000が好ましく、より好ましくは、100〜2,000であり、更に好ましくは、100〜1,000である。重量平均分子量が、40未満では、相溶性や分散安定性を改善する効果は小さく、重量平均分子量が、10,000以上では、かえって相溶性が悪くなる場合がある。
【0094】
その他のポリオール(a2)の一分子中の水酸基の数は、目的とする分散剤が合成できれば特に限定はないが、ジオールが好ましい。特に、テトラカルボン酸二無水物(b1)と反応することで、主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ嵩高くなり、分散効果が得られにくくなる場合がある。ポリエステル(X)の分子量調整や、分散液の粘度調整のため等、設計の観点から最小限に止めるべきである。
【0095】
[酸無水物(b)]
本発明の酸無水物(b)は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上を含有する。
テトラカルボン酸二無水物(b1)の二つの無水物基は、水酸基含有化合物(a)の水酸基と反応することによって、分散剤(X)の主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。
また、トリカルボン酸無水物(b2)を使用した場合は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、カルボキシル基を残すことができる。
【0096】
また、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)以外のポリカルボン酸無水物である、ジカルボン酸無水物、5個以上カルボン酸を有する化合物の無水物を併用することもできる。
【0097】
〔テトラカルボン酸無水物(b1)〕
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物(b1)としては、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0098】
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、ポリオールとの反応により、ポリエステルの一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、顔料吸着性の観点から、本発明の分散剤(X)の構成要素として好ましい。
【0099】
更に、本発明に好ましく使用されるものは、着色剤に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、更に、好ましくは、芳香族環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物である。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて顔料吸着能が高く、更に、芳香族環を2つ以上有するカルボン酸は、顔料吸着に適した骨格であり、耐熱性も高い。
【0100】
具体的には、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0101】
一般式(1):
【化3】
[一般式(1)中、kは1または2である。]
【0102】
一般式(2):
【化4】
[一般式(2)中、Q
1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH
2CH
2OCO−、−SO
2−、−C(CF
3)
2−、一般式(3):
【0103】
【化5】
で表される基、または一般式(4):
【0105】
〔トリカルボン酸無水物(a2)〕
トリカルボン酸無水物(b2)としては、脂肪族トリカルボン酸無水物、又は芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0106】
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0107】
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。本発明に好ましく使用されるものは、顔料に対する吸着性の観点から、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物である。
【0108】
テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、水酸基含有化合物(a)中の水酸基の比率は、
酸無水物基/水酸基が、0.5〜1.5であることが好ましい。
0.5より小さい場合、1.5以上より大きい場合、いずれも反応しない部分が多くなり、目的とする分散剤が得られないことが多い。
【0109】
[エチレン性不飽和単量体(c)]
本発明の分散剤(X)は、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなるビニル重合体部位X2’を有する。
〔エチレン性不飽和単量体(c1)〕
エチレン性不飽和単量体(c1)は、熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体、または熱架橋性基を導入するためのエチレン性不飽和単量体である。
このような水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)、を含むエチレン性不飽和単量体を共重合することにより、ビニル重合体部分X2’に、熱架橋性基を導入することができる。
または、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる水酸基含有重合体中の水酸基と、
イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基と、を反応させることにより、ビニル重合体部分X2’に、(メタ)アクリロイル基を導入することができる。
【0110】
また、このようなエチレン性不飽和単量体(c1)の含有量は、全エチレン性不飽和単量体(c)の合計を基準(100重量%)として、5〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。5重量%以上であると、架橋性に優れ、耐性がより良い結果となり、70重量%未満であれば、安定性に優れたものとすることができる。
【0111】
(水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1))
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
【0112】
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
【0113】
(オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2))
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)としては、メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3−イル)メチル等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3−イル)メチル)(宇部興産製)などが挙げられる。
【0114】
(t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3))
t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)としては、例えば、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレートなどが挙げられる。
【0115】
(ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4))
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)としては、メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、カレンズMOI−BM(メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工製)、カレンズMOI−BP(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工製)などが挙げられる。
【0116】
(イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有する
エチレン性不飽和単量体(c1−5))
イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)は、1つのイソシアネート基、および1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、1つのイソシアネート基、および1つまたは2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、具体的には2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましい。
本発明で使用されるイソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)は、上記に例示した化合物に限らず、イソシアネート基および1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有していれば、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
【0117】
〔その他のエチレン性不飽和単量体〕
その他のエチレン性不飽和単量体としては、上記したエチレン性不飽和単量体(c1)以外に、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類があげられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
【0118】
又、上記アクリル単量体と併用できる単量体として、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
【0119】
[分散剤(X)の合成方法]
分散剤(X)の合成方法としては、下記の合成方法(1)〜(3)による方法が挙げられるが、これらに制限されない。
【0120】
〔合成方法(1)〕
水酸基含有化合物(a)の存在下に、
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体中の水酸基と、
テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させることにより、架橋性基としてオキセタン基、t−ブチル基、またはブロックイソシアネート基を有する分散剤が得られる。
【0121】
このような合成方法1に水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を用いると、酸無水物(b)中の酸無水物基が、エチレン性不飽和単量体(c1−1)の有する水酸基とも反応してしまうため、ビニル重合体の片末端の水酸基と反応させるという目的を達せなくなり、目的の構造が得られない場合があるために、好ましくない。
【0122】
このとき、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜90重量%使用するのが好ましく、20〜60重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
【0123】
〔合成方法(2)〕
水酸基含有化合物(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させて生成される化合物の存在下に、
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合することにより、架橋性基として水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、またはブロックイソシアネート基を有する分散剤が得られる。
【0124】
このとき、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜90重量%使用するのが好ましく、20〜60重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
【0125】
〔合成方法(3)〕
水酸基含有化合物(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させて生成される化合物の存在下に、
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる水酸基含有化合物中の水酸基と、
1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(c1−5)中のイソシアネート基と、を反応させることにより、架橋性基として(メタ)アクリロイル基を有する分散剤が得られる。
【0126】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜70重量%使用するのが好ましく、10〜50重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、70重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
【0127】
このとき、ラジカル重合後の共重合体における水酸基と、イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基とのモル比は、ラジカル重合後の共重合体における水酸基中の水酸基1モルに対して、イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基が0.2〜1.0モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.0モル、最も好ましくは0.5〜1.0モルである。0.2モル未満であると、(メタ)アクリロイル基の量が少なくなってしまうために硬化性が不十分な場合があり、1.0モルを超えると、樹脂中に未反応のイソシアネート基が残存してしまい、保存安定性が悪くなってしまう場合がある。
反応温度は50℃〜150℃、好ましくは70℃〜120℃の範囲で行う。反応温度が
50℃未満では反応速度が遅く、150℃を超えると反応により生成したウレタン基が分
解してしまう場合がある。
【0128】
〔ポリエステル部位X1’の合成〕
ポリエステル部分X1’の合成は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させる工程である。
【0129】
(反応触媒)
本発明のポリエステル部分X1’の製造に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒として例えば、
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、又は1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の3級アミン系化合物、あるいは、モノ−n−ブチル錫(IV)オキシド等が挙げられる。
【0130】
(反応溶剤)
本発明のポリエステル部分X1’の製造には、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になる等の問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、又はアセトニトリル等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用したりすることもできる。
【0131】
(反応温度)
ポリエステル部分X1’の合成の反応温度は50℃〜180℃、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、酸価測定により97%以上の酸無水物がハーフエステル化したとき反応を止めてもよい。
【0132】
〔ビニル重合体部分X2’の合成〕
分散剤(X)における、ビニル重合体部分X2’は、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有する。このビニル重合体部分X2’が分散剤(X)の側鎖として溶剤および着色剤担体の親和性部位として機能するために、微細な顔料を用いた場合や、染料を使用した場合にも、安定性に優れたものとすることができる。また、熱架橋性基を有していることで、エポキシ樹脂と塗膜の耐性向上といった効果を発揮することができる。
【0133】
ビニル重合体部分X2’の重量平均分子量は、1000〜20000が好ましく、より好ましくは2000〜15000、更に好ましくは2000〜12000、特に好ましくは3000〜8000である。この部分X2’が分散媒である溶剤への親和性部分となる。ビニル重合体部分X2’の重量平均分子量が1000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。又、20000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。更に、分散体の粘度が高くなる場合がある。
【0134】
また、エチレン性不飽和単量体(c)の含有量は、水酸基含有化合物(a)1重量部に対して、3〜100重量部用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましい。より好ましくは8〜25重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。100重量部を超えると、ビニル重合体部位X2’の分子量が高すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合があり、10重量未満であると、ビニル重合体部位X2’の分子量が低すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなると共に、顔料の凝集を抑えることが困難になる場合がある。
【0135】
重合の際、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0136】
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
【0137】
分散剤(X)としては、国際公開第2008/007776号パンフレット、特開2009−155406号公報、特開2011−157416号公報等に記載されている公知技術を用いることができる。
【0138】
《その他の分散剤》
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、その他の分散剤を併用してもよい。
その他の分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0139】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0140】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、着色剤を分散、染色、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0141】
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0142】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0143】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0144】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
【0145】
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000重量部以下の量で用いることが好ましい。
【0146】
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0147】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0148】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0149】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0150】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0151】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0152】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0153】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0154】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0155】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0156】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0157】
<エポキシ化合物>
本発明の着色組成物は、エポキシ化合物を含み、エポキシ化合物と分散剤(X)とを含むことにより、着色組成物を硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性に優れる。
本発明におけるエポキシ化合物としては、エポキシ基を有していれば特に制限はなく、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよいが、とくに多官能のエポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ化合物のエポキシ基が、カラーフィルタ作製工程である焼成時に、バインダー樹脂や分散剤のカルボキシル基、水酸基と熱架橋することにより、架橋密度が高い着膜を得ることができる。
【0158】
エポキシ樹脂である場合、好ましい重量平均分子量としては、200以上100,000以下が好ましい。より好ましい分子量は300以上10,000以下であり、さらに好ましくは500以上5000以下である。
【0159】
カラーフィルタ用着色組成物の固形分中のエポキシ化合物の含有量は、5〜20重量%が好ましい。5重量%以上であれば、耐溶剤性の改善効果が高くなり、20重量%以下である場合、耐熱性が良好であり、さらにベーク後の黄変等もなく、高明度の着色組成物とすることができる。
【0160】
エポキシ化合物と分散剤(X)との合計含有量は、着色剤100重量部に対し30〜200部が好ましく、エポキシ化合物と分散剤(X)との合計含有量が、着色組成物の固形分中、10〜50重量%が好ましい。
また、エポキシ化合物の含有量は、分散剤(X)100重量部に対し、25〜150重量部であることが好ましい。より好ましくは35〜120重量部である。
このような範囲にすることで、明度、コントラスト比だけでなく、耐性に優れた着色組成物とすることができる。
【0161】
本発明に使用できるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などがいずれも使用できる。
好ましくは、ノボラック型エポキシ樹脂、および脂環式エポキシ樹脂であり、特に好ましくは脂環式エポキシ樹脂である。
官能基数は、2官能以上であることが好ましく、より好ましくは、熱架橋性に優れるため、3官能以上である。
【0162】
2官能のエポキシ化合物としては、DIC製のEPICLON830、840、850、860、1050、2050、3050、4050、7050、HM−091、101、ナガセケムテックス製デナコールEX−211、212、252、711、721などが挙げられる。
【0163】
本発明に使用できる3官能以上の多官能エポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ樹脂、高分子脂環族主鎖エポキシ樹脂であるEHPE3150(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
【0164】
ノボラック型エポキシ樹脂とは、下記一般式(8)で表される化合物で、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に分類される。
【0166】
R101は、それぞれ独立にメチル基または水素原子、qは、2〜100の整数である。
【0167】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−4500、EOCN−4600、XD−1000、XD−1000−L、XD−1000−2L、NC−3000、NC−3000−H(以上、日本化薬社製)、YDPN−638、YDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5、YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−704A(以上、新日鐵化学社製)、N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、N−665−EXP、N−672−EXP、N−655−EXP−S、N−662−EXP−S(以上、DIC社製)などが挙げられる。
【0168】
高分子脂環族主鎖エポキシ樹脂であるEHPE3150(ダイセル化学工業社製)とは、下記一般式(9)で表される化合物であり、官能基数は、約15である。
一般式(9)
【化8】
Rは非開示、nは約15である。
【0169】
これ以外の3官能以上の多官能エポキシ化合物としては、三官能のエポキシ樹脂であるテクモアVG3101(プリンテック社製)、四官能のエポキシ樹脂であるTETRAD−C、TETRAD−X(以上、三菱ガス化学社製)などが挙げられる。
また、ナガセケムテックス製デナコールEX−313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622などが挙げられる。
また、三菱化学製JER1031S、1302H60、604、630、630LSDなどが挙げられる。
【0170】
最近、カラーフィルタの物性として、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性がより求められるようになっている。
従来より、カラーフィルタ用着色組成物にエポキシ樹脂を含有させることにより、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性が向上することがわかっており、検討が進められてきた。しかしながら、これだけでは最近の耐薬品性、耐溶剤性のレベルは達成できない状況になってきている。
一方、分散剤に熱架橋基を含有させることにより、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性が向上することがわかっており、検討が進められてきた。しかしながら、こちらもこれだけでは最近の耐薬品性、耐溶剤性のレベルは達成できない状況にある。
これについては、カラーフィルタ用着色組成物にエポキシ樹脂を含有させるだけでも、分散剤に熱架橋基を含有させるだけでも課題解決には至らない。
【0171】
しかしながら、分散剤(X)が、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分X1’と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分X2’を有し、該熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、さらにエポキシ化合物を含むことにより、大きく耐性は向上する。
これについては、次のように考えられる。
耐性の向上には塗膜全域において架橋密度が高いことが要求され、部分的に架橋密度の低い部分があると、架橋密度の高い部分があっても、全体の耐性は良くならない。これまで、分散剤は一般的に架橋性が弱い場合が多く、エポキシ樹脂を添加することにより、エポキシ樹脂が反応する周辺は架橋密度が高くなっても、分散剤が存在する周辺は架橋密度が低く、溶剤と接触した部分から着色剤の溶出が起こってしまうと推測される。一方、分散剤に架橋性官能基を持たせても、エポキシ樹脂を含まない場合には、分散剤周辺のみ架橋密度が高い状態となり、それ以外の部分で着色剤の溶出が起きてしまう。
しかし、架橋性官能基を有した分散剤(X)とエポキシ化合物を両方含む場合には、単にそれぞれを含有する場合に比べても、大きく耐性が向上することとなる。
【0172】
また、エポキシ化合物以外に、その他の熱硬化性化合物を含んでも良い。例えば、ベンゾグアナミン化合物/樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン化合物/樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等の熱硬化性化合物や、これら熱硬化性樹脂の加熱重合前のモノマー及びオリゴマーを用いることもできる。
【0173】
<溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0174】
溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0175】
溶剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、100〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部の量で用いることができる。
【0176】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0177】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0178】
光重合性単量体の含有量は、着色剤100重量部に対し、5〜500重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜400重量部であることがより好ましい。
【0179】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0180】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0181】
光重合開始剤含有量は、着色剤100重量部に対し、1〜500重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から5〜400重量部であることがより好ましい。
【0182】
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0183】
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
上記増感剤の中で、特に好適な増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N−エチルカルバゾール、3−ベンゾイル−N−エチルカルバゾール、3,6−ジベンゾイル−N−エチルカルバゾール等が用いられる。
【0184】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0185】
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。
多官能チオールは上述の光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用着色組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
【0186】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0187】
多官能チオールの含有量は、着色剤100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。
多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基が1個の単官能チオールを用いた場合には、このような現像耐性の向上は得られない。
【0188】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量100重量部に対し、0.003〜1.0重量部用いることが好ましい。
【0189】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0190】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0191】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0192】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0193】
<紫外線吸収剤、重合禁止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
【0194】
紫外線吸収剤としては、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(トリアセトン−アミン−N−オキシル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0195】
重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4−ベンゾキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス−(1−ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられる。
これらの重合禁止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0196】
紫外線吸収剤および重合禁止剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の量で用いることができる。
紫外線吸収剤または重合禁止剤を0.01重量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
【0197】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塗膜の透過率を上げるために、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0198】
酸化防止剤として好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはスルフィド系酸化防止剤などが挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0199】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、及び2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
【0200】
ヒンダードアミン系酸化防止剤では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。
【0201】
リン系酸化防止剤としては、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)が挙げられる。
【0202】
スルフィド系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。
【0203】
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜5重量%の量で用いることが好ましい。
酸化防止剤が0.1重量%より少ない場合、透過率アップの効果が少なく、5重量%より多い場合、硬度が大きくダウンし、またカラーフィルタ用着色組成物の感度が大きく低下する。
【0204】
<その他の成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤、または溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物等を含有させることができる。
【0205】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
【0206】
シランカップリング剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0207】
アミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0208】
<カラーフィルタ用着色組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤を、分散剤(X)を用いて、樹脂などの着色剤担体および/または溶剤中に、必要に応じて分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。
エポキシ化合物は、着色剤分散体を調製する段階で加えてもよく、調製した着色剤分散体に後から加えても同様の効果が得られる。
染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。この場合、分散剤(X)は、染料等を溶解した着色剤溶液に添加、混合するだけで用いることもできる。
【0209】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0210】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、分散剤だけでなく、適宜、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度および粘度安定性が良好になる。
【0211】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
【0212】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
【0213】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0214】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。界面活性剤の含有量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0215】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0216】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、基材上に、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものであり、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、または黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよいく、前記少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されてなるものである。
【0217】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0218】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0219】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0220】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0221】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0222】
透明基板あるいは反射基板等の基材上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0223】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0224】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0225】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0226】
透明基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるブラックマトリックスが好ましいものである。又、前記の透明基板又は反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0227】
フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
【0228】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色カラーフィルタ用着色組成物として調製したカラーフィルタ用着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
【0229】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いフィルタセグメントおよびブラックマトリックスが形成できる。
【0230】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記カラーフィルタ用着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0231】
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜等が形成される。
【0232】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0233】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0234】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAc」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
【0235】
また、樹脂の重量平均分子量(Mw)、側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価、および顔料の平均一次粒子径の測定方法は以下の通りである。
【0236】
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0237】
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価)
鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した値であり、固形分のアンモニウム塩価を示す。
【0238】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0239】
続いて、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液、分散剤、色素誘導体、側鎖にカチオン性基を有する樹脂、微細化顔料、染料、顔料分散体、染料溶液、および緑色レジスト材の製造方法について説明する。
【0240】
<アクリル樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにPGMAcを添加してアクリル樹脂1を調製した。
【0241】
<分散剤の製造方法>
(分散剤(XC−1)の合成)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(XC−1)を得た。
【0242】
(分散剤(X−1)の合成)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、t−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(X−1)を得た。
【0243】
(分散剤(X−2〜4)の合成)
表1に示す原料に変更した以外は、分散剤1と同様にして、分散剤(X−2〜4)を合成した。
【0244】
【表1】
【0245】
表1の各略号は以下のとおりである。
《エチレン性不飽和単量体(c)》
MMA:メチルメタクリレート
n-BA:n-ブチルアクリレート
【0246】
[熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体]
t-BA:tert-ブチルアクリレート
OXMA:宇部興産製「ETERNACOLL OXMA」
(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート
MOI−BM:昭和電工製「カレンズ MOI−BM」
メタクリル酸 2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル
【0247】
AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル
PMA:ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)
TMA:トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社製)
DBU:1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ株式会社製)
【0248】
(分散剤(X−5))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(X−5)を得た。
【0249】
(分散剤(X−6))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。さらに、MOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)23.9部、ヒドロキノン0.04部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm−1のピークの消失を確認するまで反応を行った。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで不揮発分50%に調整し、不飽和二重結合当量907、酸価43、重量平均分子量9500の分散剤(X−6)を得た。
【0250】
<色素誘導体の製造方法>
(色素誘導体1)
色素成分である銅フタロシアニン50部をクロロスルホン化した後、アミン成分である
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン14部と反応させて塩基性基を有する色素誘導体1を得た。
色素誘導体1
【化9】
CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
【0251】
(色素誘導体2)
色素成分としてジフェニルジケトピロロピロールを、アミン成分としてN−アミノプロ
ピルモルホリンを使用し、色素誘導体1の製造と同様の方法により、塩基性基を有する色素誘導体2を得た。
色素誘導体2
【化10】
【0252】
(色素誘導体3、4)
特開2007−156395号公報、特開2007−79094号公報の記載の通りに合成し、色素誘導体3、4を得た。
色素誘導体3
【化11】
【0253】
色素誘導体4
【化12】
【0254】
<側鎖にカチオン性基を有する樹脂の製造方法>
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂1)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n−ブチルメタクリレート28.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、6830である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0 部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47重量%のアンモニウム基を有する側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は34mgKOH/gであった。
【0255】
<微細理顔料の製造方法>
(微細化顔料(PB−1))
C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PB−1)を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0256】
(微細化顔料(PR−1))
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「B−CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化顔料(PR−1)を得た。平均一次粒子径は27.6nmであった。
【0257】
(微細化顔料(PR−2))
C.I.ピグメントレッド177(PR177)(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PR−2)を得た。平均一次粒子径は33nmであった。
【0258】
(微細化顔料(PR−3))
C.I.ピグメントレッド269(Clariant社製「Toner Magenta F8B」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化顔料(PR−3)を得た。平均一次粒子径は39.6nmであった。
【0259】
(微細化顔料(PG−1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーケム社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、117部の微細化顔料(PG−1)を得た。平均一次粒子径は32.6nmであった。
【0260】
(微細化顔料(PG−2):PG58)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGENGREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PG−2)97部を得た。平均一次粒子径は28.2nmであった。
【0261】
(微細化顔料(PY−1))
C.I.ピグメントイエロー138(PY138)(BASF社製「パリオトールイエローK0960−HD」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の微細化顔料(PY−1)を得た。平均一次粒子径は40.2nmであった。
【0262】
<染料の製造方法>
(染料1)
下記の手順でC.I.アシッド レッド 52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1とからなる造塩化合物である染料1を製造した。
水2000部に固形分換算で30部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッド レッド 52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッド レッド 52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1との造塩化合物である染料(1)を得た。このとき染料(1)中のC.I.アシッド レッド 52に由来する有効色素成分の含有量は25重量%であった。
【0263】
(染料2)
下記の手順でC.I.アシッド レッド 289と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1とからなる造塩化合物である染料2を製造した。
水2000部に固形分換算で30部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッド レッド 289を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッド レッド 289と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1との造塩化合物である染料2を得た。このとき染料2の中のC.I.アシッド レッド 289に由来する有効色素成分の含有量は27重量%であった。
【0264】
(染料3)
下記の手順でC.I.アシッド レッド 52とジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(コータミンD86P)(カチオン部分の分子量が550)とからなる造塩化合物である染料3を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、C.I.アシッド レッド 52を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、コータミンD86Pを少しずつ滴下していく。またコータミンD86Pは水に溶解し水溶液として用いても良い。コータミンD86Pを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、C.I.アシッド レッド 52とジステアリルジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物である染料3を得た。
【0265】
(染料4〜6)
特開2013−203956号公報の記載に基づき、以下のキサンテン系スルホン酸アミド化合物である染料4〜6を得た。
なお、
【化13】
である。
【0266】
染料4
【化14】
【0267】
染料5
【化15】
【0268】
染料6
【化16】
【0269】
(染料7)
ジピロメテン系染料
特開2008−292970号公報記載の例示化合物I−1を得て、これを染料7とした。(段落0107参照)
【0270】
(染料8、9)
シアニン系染料
特開2015−18208号公報の実施例記載の蛍光を有する色素(A−11)、蛍光を有する色素(A−17)を得て、これらをそれぞれ染料8、9とした。(段落0318参照)
【0271】
(染料10、11)
アントラキノン系染料
特開2011−174987号公報の実施例記載の造塩化合物(A−1)、造塩化合物(A−11)を得て、これらをそれぞれ染料10、染料11とした。
(段落0142、段落0152参照)
【0272】
(染料12)
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、2,8−ジアミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸(分子量334)を溶解させ十分に混合・攪拌を行いそのナトリウム塩を得る。この2,8−ジアミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸ナトリウム塩水溶液を70〜90℃に加熱した後、ビクトリアピュアブルー染料(C.I.ベーシック ブルー7)を少しずつ滴下していく。またビクトリアピュアブルー染料は水に溶解し水溶液として用いても良い。ビクトリアピュアブルー染料を滴下した後、70〜90℃で40〜60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い水洗する。水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、ビクトリアピュアブルー染料と2,8−ジアミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸との造塩化合物、トリアリールメタン系造塩化合物である染料12を得た。
【0273】
(染料13)
環流管を付けた1Lのステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、C.I.ベーシックバイオレット10(BV10:田岡化学社製:Rodamine B)を5.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1.6部をジクロロメタン40mlに溶解させ、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 2.2部、ジメチルアミノピリジン0.25部を添加して室温で24時間攪拌を行った。得られたジクロロメタン溶液を、水で洗浄し、減圧乾燥させた後、シリカゲルカラムにて精製を行い、染料13を得た。収率は51.6%であった。
【0274】
【化17】
BV10 染料13
【0275】
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(DP−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体(DP−1)を得た。
顔料分散体はPGMAcにより固形分20重量%となるように調整した。
以下、固形分重量を示す。
微細化顔料(PB−1) :11.0部
ピグメントブルー15:6
色素誘導体1 : 1.0部
分散剤(XC−1) : 8.0部
【0276】
(顔料分散体(DP−2〜18))
表2に示す組成に変更した以外は、顔料分散体(DP−1)と同様にして、顔料分散体(DP−2〜18)を得た。
なお、DP−17、18については、微細化顔料(PG−1)(PG36)と微細化顔料(PY−1)(PY138)を2種使用して、(PG−1)/(PY−1)=7/3となるように配合した。
【0277】
【表2】
【0278】
<染料溶液の製造方法>
(染料溶液(DA−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5.0μmのフィルタで濾過し染料溶液(DA−1)を作製した。
染料1 :16.0部
PGMAc :84.0部
【0279】
染料を、表3に示す組成に変更した以外は、上記の染料溶液(DA−1)と同様にして、染料溶液(DA−2〜8)を得た。
【0280】
【表3】
【0281】
<緑色レジスト材の製造方法>
(アルカリ現像型緑色レジスト材(E1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し緑色顔料分散体(DPE−1)を得た。
顔料分散体はPGMAcにより固形分20重量%となるように調整した。
以下、固形分重量を示す。
微細化顔料(PG−2) : 6.0部
ピグメントグリーン58
EFKA4300 (BASF社製) : 4.0部
【0282】
次に、固形分が以下の配合量(重量部)になるように、以下の原料を混合、攪拌し、PGMAcを加えて不揮発分16重量%に調整し、1.0μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型緑色レジスト材(E1)を得た。
緑色顔料分散体(DPE−1) :66.7部
アクリル樹脂1 :13.3部
アロニックスM402(東亜合成社製) :10.0部
イルガキュア907(BASF社製) :10.0部
【0283】
[実施例1]
(アルカリ現像型青色レジスト材(RB−1))
固形分が以下の配合量になるように、顔料分散体(DP−6)、および染料溶液(DA−1)を用いて、以下の原料を混合、攪拌し、PGMAcを加えて不揮発分16重量%に調整し、1.0μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型青色レジスト材(RB−1)を得た。
以下、固形分重量を示す。
顔料分散体(DP−6) :33.3部
染料1 : 5.0部
アクリル樹脂1 :11.7部
エポキシ化合物 :10.0部
(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(官能基数2)、
ナガセケムテックス社製「EX−211」)
光重合性単量体 :30.0部
(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
光重合開始剤 :10.0部
イルガキュア907(BASF社製)
【0284】
[実施例2〜35、比較例1〜17]
(アルカリ現像型青色レジスト材(RB−2〜51))
表4、5記載の組成、配合量(固形分重量部)となるように混合し、PGMAcを用いて不揮発分16重量%に調整し、アルカリ現像型青色レジスト材(RB−1)と同様にして、(アルカリ現像型青色レジスト材(RB−2〜51))を得た。
なお、レジスト材(RB−47〜51)は、染料溶液に、分散剤溶液を配合し、混合して得たものである。
【0285】
【表4】
【0286】
【表5】
【0287】
[実施例36]
(アルカリ現像型赤色レジスト材(RR−1))
固形分が以下の配合量になるように、顔料分散体(DP−11)、および染料溶液(DA−13)を用いて、以下の原料を混合、攪拌し、PGMAcを加えて不揮発分16重量%に調整し、1.0μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型赤色レジスト材(RR−1)を得た。
以下、固形分重量を示す。
顔料分散体(DP−11) :53.3部
染料13 : 8.0部
アクリル樹脂1 : 3.7部
エポキシ化合物 :10.0部
(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(官能基数15)、
ダイセル化学工業社製「EHPE3150」)
光重合性単量体 :15.0部
(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
光重合開始剤 :10.0部
イルガキュア907(BASF社製)
【0288】
[実施例37〜51、比較例18〜29]
(アルカリ現像型青色レジスト材(RR−2〜28))
表6、7記載の組成、配合量(固形分重量部)となるように混合し、PGMAcを用いて不揮発分16重量%に調整し、アルカリ現像型赤色レジスト材(RR−1)と同様にして、(アルカリ現像型赤色レジスト材(RR−2〜28))を得た。
なお、レジスト材(RR−13〜28)は、染料溶液に、分散剤溶液を配合し、混合して得たものである。
【0289】
【表6】
【0290】
【表7】
【0291】
[実施例52]
(アルカリ現像型緑色レジスト材(RG−1))
固形分が以下の配合量になるように、顔料分散体(DP−18)を用いて、以下の原料を混合、攪拌し、PGMAcを加えて不揮発分16重量%に調整し、1.0μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型緑色レジスト材(RG−1)を得た。
以下、固形分重量を示す。
顔料分散体(DP−18) :66.7部
アクリル樹脂1 : 3.3部
エポキシ化合物 :10.0部
(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(官能基数15)、
ダイセル化学工業社製「EHPE3150」)
光重合性単量体 :10.0部
(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
光重合開始剤 :10.0部
イルガキュア907(BASF社製)
【0292】
[比較例30]
(アルカリ現像型緑色レジスト材(RG−2))
表8記載の組成、配合量(固形分重量部)となるように混合し、PGMAcを用いて不揮発分16重量%に調整し、アルカリ現像型緑色レジスト材(RG−1)と同様にして、(アルカリ現像型緑色レジスト材(RG−2))を得た。
【0293】
【表8】
【0294】
表4〜8中の略語を下記に記す。
エポキシ含有量
*1(組成物中)
カラーフィルタ用着色組成物の固形分中のエポキシ化合物の含有量(重量%)
*2(対分散剤(X))
分散剤(X)100重量部に対するエポキシ化合物の含有量(重量部)
【0295】
<エポキシ化合物>
・EX−211:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(官能基数2)
ナガセケムテックス社製「EX−211」
・EX−314:グリセロールポリグリシジルエーテル(官能基数3)
ナガセケムテックス社製「EX−314」
・EOCN−1020:
【化18】
新日鐵化学社製「EOCN−1020」(官能基数5〜8)
・EHPE3150:
【化19】
Rは非開示であり、nは約15である。
ダイセル化学工業社製「EHPE3150」(官能基数約15)
<光重合性不飽和単量体>
M402:東亜合成社製「アロニックスM402」
<光重合開始剤>
IRG907:BASF社製「イルガキュア907」
<溶剤>
PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0296】
<カラーフィルタ用着色組成物の評価>
実施例および比較例で得られた着色組成物のNMP耐性、塗膜耐熱性の評価を下記の方法で行った。表9〜11に評価結果を示す。
なお、塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて測定した。
また、◎は実用上良好なレベル、○は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
【0297】
なお、以下でレジスト材を塗布した後に、特定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去して特定のパターンを形成している。この特定のパターンは、直線状のパターンが並んだストライプ状のパターンであり、パターンの幅は200μm、パターン間の距離も200μmである。
【0298】
(NMP耐性の評価)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.5μmとなるように得られたレジスト材を塗布し、先述のストライプ状のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去してストライプ状のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃20分加熱焼成した。ここで、C光源での色度(L*(1),a*(1),b*(1))を測定した後、NMP(N−メチルピロリドン)に30分間浸漬し、さらにC光源での色度(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
NMP浸漬前後の色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔE*abを算出し、塗膜の耐熱性を、下記の3段階で評価した。
ΔE*ab=[[L*(2)−L*(1)]
2+[a*(2)−a*(1)]
2+[b*(2)−b*(1)]
2]
1/2
ΔE*abが3以上:×
ΔE*abが1より大きく3より小さい:○
ΔE*abが1以下:◎
【0299】
(塗膜耐熱性の評価)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.5μmとなるように得られたレジスト材を塗布し、先述のストライプ状のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去してストライプ状のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃20分加熱焼成した。その後、ITO(酸化インジウムスズ)膜を平均膜厚1500オングストロームの厚さになるようにスパッタリング法を用いて成膜した。得られた塗膜のC光源での色度1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱試験としてオーブンで230℃3時間加熱し、C光源での色度2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔE*abを算出し、塗膜の耐熱性を評価した。
ΔE*ab=[[L*(2)−L*(1)]
2+[a*(2)−a*(1)]
2+[b*(2)−b*(1)]
2]
1/2
ΔE*abが3以上:×
ΔE*abが1より大きく3より小さい:○
ΔE*abが1以下:◎
として、判定した。
【0300】
【表9】
【0301】
【表10】
【0302】
【表11】
【0303】
<カラーフィルタの製造>
100mm×100mmのガラス基板上にダイコータで赤色レジスト材(RR−1)を約2.5μmの厚さに塗工し、70℃のオーブン内に20分間溶剤を除去乾燥させた。次いで、露光装置を用いて紫外線によりストライプパターン露光を行った。露光量は100mJ/cm
2とした。更に、炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して線幅約50μmの赤色フィルタセグメントを形成した。次いで、同様の所作により、赤色フィルタセグメントの隣にレジスト材E1を用いて緑色フィルタセグメントを、次いで青色レジスト材(RB−3)を用いて青色フィルタセグメントを形成し、同一ガラス基板上に3色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタを得た。
【0304】
本発明におけるカラーフィルタ用レジスト材を用いると、広い色度範囲において耐溶剤性が良好で、高明度および高コントラスト比のカラーフィルタを得ることができた。