(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着色基材層は、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上の顔料を含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧シート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態の化粧シート及び化粧材について図面を参照して説明する。
(化粧材)
図1は、化粧材の一実施形態における構造を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の化粧材1は、化粧シート10に、接着層21を介して基材20が貼り合わされてなる。
本実施形態の化粧材1は、波長が0.7μmから1000μmの赤外光に対する印刷層13の透過率を高め、透過した赤外光を着色基材層11で反射することによって基材20の蓄熱を防いでいる。
【0012】
(化粧シート)
化粧シート10は、
図1に示すように、着色基材層11の一方の面側に、絵柄が印刷された印刷層13及び2層以上の透明熱可塑性樹脂層51、53がこの順で積層されたものである。即ち、化粧シート10は、着色基材層11、印刷層13、ヒートシール層15及び透明熱可塑性樹脂層5を有している。また、透明熱可塑性樹脂層5は、最外層53と最外層53の下側に位置する内側層51を含む2層以上の層からなる。ここで、本実施形態の説明においては、化粧材1や化粧シート10を構成する各層について、着色基材層11を基準として印刷層13が形成される側を一方の面(上面、上側の面)とし、接着層21や後述する基材20が設けられる側を他方の面(下面、下側の面)として説明する。
【0013】
以下、化粧シート10の各層について説明する。
<着色基材層>
着色基材層11は、着色ベースフィルム層等の熱可塑性樹脂基材層である。着色基材層11に用いられる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。
【0014】
上記したように、着色基材層11は、化粧シート10を貼り合せる基材20等の一方の面を隠蔽するために着色剤を含有しているが、特にこれに限定されるものではなく、一方の面に隠蔽層(図示せず)を設けたり顔料をベタ印刷したりしたものであっても良い。
【0015】
着色基材層11には、着色剤のほか、充填剤(シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等)紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(ステアリン酸、金属石けん等)、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
【0016】
また、本実施形態では、着色基材層11における赤外光の反射率を高めるための顔料を着色基材層11に含有させてもよい。
着色基材層11に含有させる顔料としては、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上が用いられる。
【0017】
ここで、本実施形態では、着色基材層11に例えば、酸化チタンを23質量部以上含有させることにより、遮熱性が向上させる。上記隠蔽層として酸化チタンを用いる場合、隠蔽層としての酸化チタンの含有量と添加された酸化チタンとの合計が23質量部以上であればよい。また、着色基材層11が隠蔽層として酸化チタンを23質量部以上含む場合、これ以上酸化チタンを添加しなくともよい。
ただし、着色基材層11に添加される酸化チタンが多くなると、着色基材層11の膜質に酸化チタンが影響を及ぼす。このため、着色基材層11の酸化チタンの好適な含有量は、23質量部以上50質量部以下である。
【0018】
[酸化チタン層]
また、本実施形態は、
図1に示したように、着色基材層11の印刷層13の側の面に酸化チタンを塗布して酸化チタン層111を設けてもよい。なお、酸化チタン層111を設ける場合であっても、酸化チタン層111によって着色基材層11が酸化チタンを23質量部以上含有すれば着色基材層11による基材20への遮熱性が向上する。このような条件により、酸化チタン層111の厚さとしては、5μm〜10μmが好ましい。また、酸化チタン層111に代わりに、上記顔料(イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン)からなる層を設けてもよい。
【0019】
着色基材層11の厚さとしては、80〜110μmが好適であるが、これに限定されるものではなく、他の樹脂層の厚みと構成材料とによって適宜調整される。
着色基材層11の成形方法としては、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法などが使用可能である。
【0020】
<印刷層>
印刷層13は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものである。本実施形態においては着色基材層11の一方の面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄模様を有する印刷層13が設けられる。
【0021】
印刷層13は、着色基材層11に好適な着色剤(インキ)を用いて設けられる。具体的には着色基材層11がポリプロピレン樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
【0022】
上記着色剤としては、特に黒色顔料として、アゾメチンアゾ系顔料を用いる。これにより印刷層13への赤外線の吸収を少なく、蓄熱機能を抑え、化粧シートとしての赤外線反射率を高くすることが可能となる。
【0023】
[アゾメチンアゾ系顔料]
上記アゾメチンアゾ系顔料としては、テトラクロロフタルイミドとアミノアニリンの反応化合物であるジアゾニウム基を有するものであり、特には粒子径が0.1〜0.3μmのものが好適である。これらを用いることで、可視部で吸収、赤外部で反射といった特性を顕著に現すものとなる。
本発明の発明者らは、以上の着色剤の赤外光の透過率を測定した。この測定によれば、上記着色剤の波長が0.781μm〜2.5μmの光の透過率は、80%以上であった。
【0024】
その他、印刷層13には、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
【0025】
印刷層13の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インキジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には前記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
【0026】
また、印刷層13の形成に先立ち、必要に応じて、着色基材層11の一方の面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、着色基材層11と印刷層13との間の密着性を向上することもできる。
【0027】
印刷層13が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、従来より化粧シートの分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
【0028】
<ヒートシール層>
ヒートシール層15は、着色基材層11と透明熱可塑性樹脂層5とを強固に貼り合せる場合に適宜使用される。着色基材層11と透明熱可塑性樹脂層5が接着性を有している場合には必要ないが、層間強度を上げるために使用することが好適である。ヒートシール層15に用いられるヒートシール剤としては、アクリル−ポリエステル−塩化酢酸ビニル系樹脂が好適である。ただし、本実施形態のヒートシール層15は、特にアクリル−ポリエステル−塩化酢酸ビニル系樹脂に限定されるものではない。
【0029】
<透明熱可塑性樹脂層>
上記したように、本実施形態の透明熱可塑性樹脂層5は、最外層53及び内側層51の二層構造を有している。内側層51としては、アクリル系樹脂が用いられる。具体的には、内側層51は、メチルメタアクリレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(Tgは−20℃程度)等が使用可能である。内側層51の厚みは、透明熱可塑性樹脂層5の総厚に対する比率が85%〜90%の範囲が耐候性の点で好適である。また、内側層51に公知の紫外線吸収剤を添加しても良い。
【0030】
本実施形態の最外層53には、内側層51に用いられたアクリル樹脂の透湿度よりも低い透湿度を有する樹脂が使用される。また、最外層53表面の各種耐性を考慮すれば、最外層53にはフッ素樹脂が好適に用いられる。
具体的には、最外層53の材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が使用可能であり、特には折り曲げ白化性、アクリル樹脂層との密着性の点でポリフッ化ビニリデン(PVDFのTgは−39℃)が好適である。
また、透明熱可塑性樹脂層5の総厚に対し、最外層53は、厚みが5%〜15%となる範囲に水分を含むことが耐候性の点で好適である。
【0031】
透明熱可塑性樹脂層5の最外層53と内側層51とを合わせた厚さは、20〜80μmが望ましく、特には耐候性の点で30〜60μmが好適である。
【0032】
(基材)
基材20は、表面に化粧シート10を貼着(ラミネート)して使用するものである。基材20には、金属系基材や木質系基材等の各種材料のものがある。金属系基材としては、アルポリック材がある。アルポリック材は、塗装や鏡面仕上げ等の表面加工処理が施された金属板で樹脂材を挟んだアルミ樹脂複合板である。金属板としては、アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレス及びチタン等が使用される。また、樹脂材としては、ポリエチレン単体、あるいはポリエチレンに無機材を加えたもの等が使用される。
また、木質系基材としては、例えば、MDF(medium density fiberboard)や合板、パーチクルボード等が使用される。
【0033】
<接着層>
接着層21としては、化粧シートと基材との貼り合わせに使用される公知の接着剤であれば、どのようなものを用いてもよい。また、本実施形態では、例えば、反応性ホットメルト系の接着剤を使用して接着層21を形成することができる。特に、反応性ホットメルト系の接着剤のうち、2液タイプのポリウレタンの接着剤を用いて接着層21を形成してもよい。このような接着層21のうち、本実施形態では、特に、一般社団法人日本壁装協会の規定による不燃認定を受けている部材を用いることが望ましい。
接着層21は、紫外線吸収剤や光安定剤等を含有するものであってもよい。また、接着層21の厚みは、5μm〜50μm程度が好ましい。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、黒色顔料としてアゾメチンアゾ系の黒色顔料を用いたため、印刷層における光の透過率が既存の化粧シートよりも高まる。印刷層13を透過した赤外光は着色基材層11で反射されるため、基材20に熱が伝わらず、基材20の蓄熱を防ぐことができる。そして、基材20の蓄熱を防ぐことにより、屋外で使用しても太陽光による反り等が発生し難い化粧材1を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態は、最外層53の透明熱可塑性樹脂層の樹脂の透湿度を内側層51のアクリル系樹脂の透湿度より低いものを用いることで、アクリル系樹脂の耐候性に加えて化粧シート10の表面の水分含有が抑えられる。このことにより、本実施形態は、化粧シートを、長期の耐候性試験においてもチョーキング白化やクラック白化等が発生しないものとすることが可能となる
【0036】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、実施形態中の図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は上記説明を参酌して判断すべきものである。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の実施例について
図1を参照して説明する。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤3質量部、紫外線吸収剤1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤1質量部、酸化チタン23質量部添加し、厚み70μmの着色基材層11を製膜した。そして、着色基材層11の一方の面に、印刷層13として、ウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合した硬化剤を3質量部添加して、イソインドリノン、ポリアゾ、フタロシアニン及び黒色顔料として平均粒経0.2μmのアゾメチンアゾ系樹脂(大日精化工業(株)製「クロモファインブラックA−1103」)を3質量部添加してインキとし、導管模様をグラビア印刷して形成した。
【0038】
さらに、実施例1では、印刷層の上に、ヒートシール層を形成した。ヒートシール層の形成は、アクリル−ポリエステル−塩酢ビ系熱接着性樹脂(アクリル/ポリエステル/塩酢ビ=30/30/30)を、乾燥後の塗布量が1.5g/m
2となるようにグラビアコート法により塗工することによって行った。
次に、実施例1では、最外層となる透明熱可塑性樹脂層と、内側層となる透明熱可塑性樹脂層とをヒートシート層上に押出し、積層して化粧シートを得た。最外層には、厚み5μm、透湿度5.0g/m
2・24h(JIS−K−7129−1992に準ずる)のポリフッ化ビニリデン樹脂が使用され、内側層の透明熱可塑性樹脂層としては、厚み45μm、透湿度200g/m
2・24h(JIS−K−7129−1992に準ずる)のメチルメタアクリレート樹脂を使用した。最外層及び内側層は、溶融押出し成形により2層のシートとして成形と同時にヒートシート層と積層して実施例1の化粧シートを作製した。
【0039】
(実施例2)
実施例1の化粧シート10における着色基材層11の材料のうち、ポリプロピレン樹脂100質量部をポリエチレン樹脂100質量部に代えた以外は実施例1と同様にして実施例2の化粧シート10を作製した。
【0040】
(実施例3)
実施例1の化粧シート10における着色基材層11の顔料を、ジケトピロロピロール2質量部、キイナクリドン2質量部、フタロシアニン1質量部及び酸化チタン23質量部に代えた以外は実施例1と同様にして実施例3の化粧シート10を作製した。
【0041】
(比較例1)
実施例1の化粧シート10における印刷層13の黒色顔料としてアゾメチンアゾ系樹脂を、カーボンブラックに代えた以外は実施例1と同様にして比較例1の化粧シート10を作製した。
【0042】
<評価>
実施例1〜3及び比較例1で得られた化粧シートについて、それぞれ遮熱性能、蓄熱性能及び耐候性を評価した。
[遮熱性能]
遮熱性能として、JIS規格、K5602に規定された塗膜の日射反射率の測定方法を用いて測定した。測定は、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600(製品名)によって行われた。そして、JIS規格、K5602の規定により、塗膜の日射反射率が40%以上であれば「〇」と評価し、40%以下であれば「×」と評価した。
【0043】
[蓄熱性能]
蓄熱性能の評価として、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて化粧シートを貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の一方の面及び他方の面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。
【0044】
[耐候性]
メタルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いて化粧シートの促進耐候性を評価した。試験は、メタルハライドランプの放射照度650W/m
2、ブラックパネル温度(試験片温度)53℃の条件で行われた。そして、照射後、試験片に著しい変化の無い場合を「○」と評価し、表面樹脂層(透明熱可塑性樹脂層)のクラック、剥離が発生した場合を「×」と評価した。
なお、このような促進耐候性の試験方法は、JIS規格、K5602に規定されたものである。
【0045】
【表1】
【0046】
表1は、上記遮熱性能、蓄熱性能及び耐候性の評価をまとめて示している。表1によれば、黒色顔料としてアゾメチンアゾ系樹脂を用いた実施例1〜3の化粧シートは、いずれも耐候性及び遮熱性能について「〇」の評価を得た。一方、比較例1の化粧シートは、耐候性能について「〇」の評価を得たものの、遮熱性能については「×」と評価された。
【0047】
また、蓄熱性能については、実施例1〜3の試験片がいずれも60℃になったのに対し、比較例1の試験片は71℃にまで温度が上昇した。このような差異は、実施例1〜3がアゾメチンアゾ系樹脂の黒色顔料を使用しているのに対し、比較例1は黒色顔料としてカーボンブラックを使用しているために生じたと考えられる。
【0048】
さらに、印刷層に用いられる各インキの透過率を測定した。印刷インキは、赤外光の透過率が40%以上となっている。それゆえ、絵柄印刷層2が赤外光を透過し、透過した赤外光を着色熱可塑性樹脂層1が反射するため、赤外光の熱による蓄熱作用が低減される。
ここで、上記インキ(印刷インキ)の透過率の測定方法としては、例えば、厚み25μmの2軸延伸PETフィルム(東レ株式会社製ルミラーS50)に対し、重量1g/m
2となるよう顔料を分散したインキで印刷し、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600によって波長782nm以上2500nm以下の領域を2nm毎に測定点数860点の透過率を測定し、各波長の透過率(%T)の合計値を測定点数で除算した除算結果を、赤外光の透過率とする方法がある。即ち、式「赤外光の透過率=赤外線各波長(782nm以上2500nm以下)の測定透過率(%T)合計値÷測定点数(860)」で算出する。
上記結果から、実施例1〜3で使用されたインキは、赤外光に対して高い透過率を有していることが分かる。