特許第6589314号(P6589314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6589314画像形成システム、画像処理装置、画像形成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589314
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像処理装置、画像形成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20191007BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20191007BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G06F3/12 326
   G06F3/12 305
   G06F3/12 392
   B41J29/38 Z
   B41J29/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-56917(P2015-56917)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-177509(P2016-177509A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 彰英
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−262317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09−3/12
H04N 1/00
B41J 5/00−5/52;21/00−21/18
B41J 29/00−29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置を含む画像形成システムであって、
各画像形成装置に設けられ、端末装置と通信する第1通信手段と、
各画像形成装置に設けられ、他の一以上の画像形成装置と通信する第2通信手段と、
各画像形成装置に設けられ、画像を媒体上に形成する画像形成手段と、
自装置と前記他の一以上の画像形成装置の動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶手段と、
前記端末装置からの問い合わせに応じて、前記連携情報を通知する通知手段と、
前記端末装置から画像データと連携情報の指定とを受信する受信手段と、
該受信した画像データに基づいて、いずれかの画像形成装置に係る画像形成手段を用いて画像形成を実行する実行手段と
を有する画像形成システム。
【請求項2】
他の一以上の画像形成装置と通信する第1通信部と、
端末装置と通信する第2通信部と、
画像データに基づいて媒体上に画像を形成する画像形成部と、
自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶部と、
前記端末装置から要求を受け付けると前記連携情報に従った処理を実行する実行制御部と
を備え、
前記連携情報には自装置が属する画像形成装置のグループを識別する識別情報が含まれ、
前記実行制御部は、前記端末装置から問い合わせを受け付けると、前記識別情報を当該端末装置に通知する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記連携情報には、前記端末装置からの問い合わせに対して自装置は応答しないことが記述される
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記識別情報は、当該グループに属する画像形成装置の設置場所を表す
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連携情報には、自装置が属するグループ内において画像形成を担当する一の画像形成装置を指定する情報が含まれ、
前記実行制御部は、該指定された一の画像形成装置が自装置でない場合は、当該指定された一の画像形成装置に画像データを送信して当該画像データに基づく画像形成処理の実行を指示する
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記連携情報には、各画像形成装置についての画像形成に関する機能を示す機能情報が含まれ、
前記端末装置からの問い合わせには、画像形成に関する条件を表す条件情報が含まれ、
前記実行制御部は、前記端末装置から取得した条件情報と前記機能情報とに基づいて、前記画像形成を担当する一の画像形成装置を決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記端末装置の識別情報を生成する生成部を更に有し、
前記実行制御部は、該生成された情報を、前記第2通信部を用いて前記他の一以上の画像形成装置に送信する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成を担当する一の画像形成装置をユーザに報知する報知部を更に有する
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
他の画像形成装置と通信を行うことにより、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報であって、自装置が属する画像形成装置のグループを識別する識別情報が含まれる連携情報を取得するステップと、
端末装置から要求を受け付けると、該取得した連携情報に従った処理を実行するステップと
前記端末装置から問い合わせを受け付けると、前記識別情報を当該端末装置に通知するステップと
を有する画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
画像形成装置のコンピュータに、
他の画像形成装置と通信を行うことにより、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報であって、自装置が属する画像形成装置のグループを識別する識別情報が含まれる連携情報を取得するステップと、
端末装置から要求を受け付けると、前記連携情報に従った処理を実行するステップと
前記端末装置から問い合わせを受け付けると、前記識別情報を当該端末装置に通知するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用可能な複数の画像処理装置を用いて画像形成を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置を用いて印刷を行う際に、当該端末からアクセス可能な複数のプリンタの一覧を表示してユーザに印刷を実行する一つのプリンタを選択させることが行われている。
特許文献1には、各プリンタの筐体に、自装置が実行指示を受けたプリンタであることをユーザに報知するための機構を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−099090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端末装置を用いて印刷を行う際に当該端末からアクセス可能な複数の画像形成装置の一覧から印刷を実行する画像形成装置をユーザが選択する構成であると、ユーザは実際に印刷を実行したい画像形成装置を端末装置に表示される画像形成装置の一覧から特定する必要があった。
本発明は、端末装置を用いて印刷を行う際に当該端末からアクセス可能な複数の画像形成装置の一覧から印刷を実行する画像形成装置をユーザが特定する構成に比べ、ユーザが印刷を実行したい画像形成装置を容易に特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の画像形成システムは、複数の画像形成装置を含む画像形成システムであって、各画像形成装置に設けられ、端末装置と通信する第1通信手段と、各画像形成装置に設けられ、他の一以上の画像形成装置と通信する第2通信手段と、各画像形成装置に設けられ、画像データに基づいて画像を媒体上に形成する画像形成手段と、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間の動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶手段と、前記端末装置からのからの問い合わせに応じて、前記連携情報を通知する通知手段と、前記端末装置から画像データと連携情報の指定とを受信する受信手段と、該受信した画像データに基づいて、いずれかの画像形成装置に係る画像形成手段を用いて画像形成を実行する実行手段と有する。
請求項2記載の画像形成装置は、他の一以上の画像形成装置と通信する第1通信部と、端末装置と通信する第2通信部と、画像データに基づいて媒体上に画像を形成する画像形成部と、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶部と、前記端末装置から要求を受け付けると前記連携情報に従った処理を実行する実行制御部とを備え、前記連携情報には自装置が属する画像形成装置のグループを識別する識別情報が含まれ、前記実行制御部は、前記端末装置から問い合わせを受け付けると、前記識別情報を当該端末装置に通知する。
請求項3記載の画像形成装置において、前記連携情報には、前記端末装置からの問い合わせに対して自装置は応答しないことが記述される。
請求項4記載の画像形成装置において、前記識別情報は、当該グループに属する画像装置の設置場所を表す。
請求項5記載の画像形成装置において、前記連携情報には、自装置が属するグループ内において画像形成を担当する一の画像形成装置を指定する情報が含まれ、前記実行制御部は、該指定された一の画像形成装置が自装置でない場合は、当該指定された一の画像形成装置に画像データを送信して当該画像データに基づく画像形成処理の実行を指示する。
請求項6記載の画像形成装置において、前記連携情報には、各画像形成装置についての画像形成に関する機能を示す機能情報が含まれ、前記端末装置からの問い合わせには、画像形成に関する条件を表す条件情報が含まれ、前記実行制御部は、前記端末装置から取得した条件情報と前記機能情報とに基づいて、前記画像形成を担当する一の画像形成装置を決定する。
請求項7記載の画像形成装置は、前記端末装置の識別情報を生成する生成部を更に有し、前記実行制御部は、該生成された情報を、前記第2通信部を用いて前記他の一以上の画像形成装置に送信する。
請求項8記載の画像形成装置は、前記画像形成を担当する一の画像形成装置をユーザに報知する報知部を更に有する。
請求項9記載の画像形成方法は、他の画像形成装置と通信を行うことにより、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報を取得するステップと、端末装置から要求を受け付けると、該取得した連携情報に従った処理を実行するステップと、前記端末装置から問い合わせを受け付けると前記識別情報を当該端末装置に通知するステップとを有する。
請求項1記載のプログラムは、画像形成装置のコンピュータに、他の画像形成装置と通信を行うことにより、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報を取得するステップと、端末装置から要求を受け付けると、前記連携情報に従った処理を実行するステップと、前記端末装置から問い合わせを受け付けると前記識別情報を当該端末装置に通知するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2、9、10に係る発明によれば、端末装置を用いて印刷を行う際に当該端末からアクセス可能な複数の画像形成装置の一覧から印刷を実行する画像形成装置をユーザが特定する構成に比べ、ユーザが印刷を実行したい画像形成装置を容易に特定することができる。また、グループ単位で画像形成装置をユーザに選択させることができる。
請求項に係る発明によれば、ユーザは、画像形成装置の設置場所を参考にして、画像形成を実行する一の画像形成装置を決定することができる。
請求項に係る発明によれば、ユーザは、印刷を実行する画像形成装置と異なる画像形成装置に画像データを送信することができる。
請求項に係る発明によれば、画像形成を実行する一の装置を決定する際に、付加条件と機能情報とが加味される。
請求項に係る発明によれば、画像形成装置側において、連携情報を生成し共有することができる。
請求項に係る発明によれば、ユーザによる画像が形成された媒体の受取りが支援される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成システム800の概念図。
図2】携帯端末100の機能ブロック図。
図3】画像形成装置200の機能ブロック図
図4】連携情報LIの構造の例。
図5】グルーピングの例。
図6】ジョブテーブルJTの構造の例。
図7】画像形成システム800の動作フロー図。
図8】(a)〜(c)は携帯端末100に表示される画面の例。
図9】画像形装置の配置例。
図10】従来技術において端末装置に表示される画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
複数のユーザが存在するオフィス等の空間において、複数のプリンタが異なる位置に設置され、各ユーザが携帯端末等を用いて無線通信により各プリンタに対して印刷指示を送信することが行われている。図9は、複数のプリンタの配置した空間の見取り図の例を示す。同図の例では、執務スペースRC、休憩スペースRB、エレベータホールRAを有するフロアに、計9台のプリンタ299−1〜299−9が設けられる。一カ所にまとまって設置されているプリンタもあれば、孤立して設けられるプリンタもある。
【0009】
このような状況において、従来技術では、携帯端末を用いて印刷を行う際、まず携帯端末と接続可能なプリンタを問い合わせる(検索する)。そして、応答があったプリンタの情報(典型的にはプリンタ名)の一覧を携帯端末に表示する。ユーザが所望のプリンタ名を選択すると、印刷対象の画像データとともに実行指示が当該プリンタに送信される。ユーザは当該プリンタまで出向いて、印刷された原稿を受け取る。このように、ユーザは自分から近くにあるプリンタあるいは他人に使用されていないプリンタを選ぶことができるので、この技術によれば、使用するプリンタが固定される場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0010】
ここで、無線通信により端末装置から要求を受信した各プリンタ299は、予め定められたプロトコルに従ってそれぞれ自己の装置の名称やその他の識別情報を返信する。この結果、例えば9台のプリンタが検出されたとすると、携帯端末に表示される画面には、図10に示すように、検出された9台全てのプリンタについて、予め定められた識別名称(製品の型番、会社名、モデル名等;F91~F99)が表示されることになる。特に、普段と異なるプリンタを選択しようとする場合や応答するプリンタが頻繁に変化する場合など、表示名を見ただけではそれぞれが実際の装置どのように対応しているのかを把握することは困難であり、ユーザは選択に戸惑う場合がある。適当に選択したのはいいが、その印刷物を発見するのに苦労するといったことにもなりかねない。
【0011】
加えて、表示名とプリンタの対応を把握できたとしても、その選択が的確であったという保証がない。というのも、プリンタはユーザから見えない位置にある場合など、そのプリンタの稼働状況がユーザに把握できないことも多く、プリンタまで印刷物を取りに行くとその装置が他人に使用されていたことが判明し、自分の処理が開始されるまで待たされるといった場合も考えられる。
【0012】
図1は、画像形成システム800の概念図である。画像形成システム800は、携帯端末100、画像形成装置200(画像形成装置200−1、200−2、200−3、および200−4)を含む。複数の画像形成装置200は、予め定められた関係(例えば、設置位置が近いなど)にある装置と一つのグループを形成し、グループ内での取り決めに従ってユーザ900からの要求に対して連携して動作する。この場合は、画像形成装置200−1、200−2、および200−3が一つのグループを形成する。
なお、便宜上、同図においては、画像形成システム800に存在する装置として、携帯端末100を一つ、画像形成装置200を4つ、グループを一つ示しているが、携帯端末100の数、一つのグループに含まれる画像形成装置200の数、画像形成システム800内のグループの総数は例示である。
【0013】
図2は、携帯端末100の機能ブロックを示す。携帯端末100は、汎用の携帯端末やスマートフォンであって、ユーザ900によって持ち運ばれ、無線によるデータ通信機能および情報の入出力機能を有する。具体的には、携帯端末100は、表示部102、通信部103、制御部105、記憶部104を含む。
表示部102は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスによって実現され、連携情報LIに基づいた画面を生成し、ユーザ900に提示する。
【0014】
ここで連携情報LIとは、グループを形成した1以上の画像形成装置200の間で共有される情報であり、所属するグループを識別する情報のほか、携帯端末100からのアクセスがあった際の応対の方法、および携帯端末100から受け付けた指示に基づいて画像の形成に関する処理をどのように実行するかについて規定する。携帯端末100との応対に関する情報には、例えば、応答するか否か、応答する場合は携帯端末100に通知する内容を指定する情報が含まれる。画像形成に関する情報には、例えば、グループ内のどの装置において、画像データの格納や画像形成を実行するのかを決定する際に参照される情報が含まれる。
【0015】
入力部101は、キーやボタン、タッチパネル等のユーザ900によって操作される入力デバイスであって、画像形成装置200の検索の指示、印刷の指示、印刷に係る画像データの指定等に用いられる。なお、入力部101、表示部102はタッチパネルとして一体に実装されてもよい。通信部103は、Wifi−Direct(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、ZigBee(登録商標)、AirPrint(登録商標)などの予め定められた無線通信規格に従って無線通信を実行する無線通信インタフェースである。
【0016】
記憶部104は、半導体メモリ等の記憶装置であって、制御部105にて実行されて後述する機能を実現するためのOS等のプログラムのほか、印刷対象の画像データDI、ジョブID、およびユーザID)を記憶する。IDは、印刷指示の実行時に生成され、印刷処理(ジョブ)を一意に識別するための情報である。ユーザIDは印刷指示の送信元を識別する情報であって、例えばユーザの氏名や識別番号、あるいは端末識別子(NFC認証用IDや無線通信モジュールのシリアル番号)である。加えて、記憶部104には、画像形成装置200を選択するため際に考慮すべき条件や制限(画質、速度、ランニングコスト、付加機能など)を表す印刷条件データCDが格納されていてもよい。
【0017】
制御部105は、CPUなどのプロセッサであって、入力部101、表示部102、通信部103、記憶部104を制御する。具体的には、制御部105は、ユーザ900からの指示に応じて、通信部103に検索要求を送信させ、画像形成装置200側から受信したグループ識別情報GIに基づいた画面を表示部102に表示させる。ユーザ900が印刷実行を指示すると、D1を読み出して、必要な情報(ジョブID、ユーザID、印刷条件データCD等)とともに画像形成装置200側に送信する。
【0018】
図3は、画像形成装置200の機能ブロックを示す。画像形成装置200は、携帯端末100と通信を行って、画像の形成および出力を行うプリンタとしての基本的に機能を有する。なお、画像形成装置200は、コピー、スキャン、スキャンデータの転送、FAX送受信、その他ホチキス止めの画像形成に関するオプション機能を備えていてもよい。具体的には、画像形成装置200は、第1通信部201、第2通信部202、入力部203、表示部204、制御部250、および画像形成機構207を含む。
【0019】
画像形成機構207は、画像処理プロセッサ、現像器、感光体、光源、トナー、用紙などの記憶媒体を備え、画像データDIに基づいて媒体上に画像を形成する。
【0020】
表示部204は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスによって実現され、ユーザ900が印刷物の受取りに必要な情報を当該ユーザ900に通知する。連携情報LIに基づいた画面を生成し、ユーザ900に提示する。入力部203は、キーやボタン、タッチパネル等のユーザ900によって操作される入力デバイスであって、ジョブの指定やユーザ認証に用いられる。なお、入力部203、表示部204はタッチパネルとして一体に実装されてもよい
【0021】
記憶部206は、ハードディスクや半導体メモリ等の内蔵のまたは外付けの記憶装置であって、プロセッサによって実行されると、他の一以上の画像形成装置200と通信を行うことにより、自装置と前記他の一以上の画像形成装置200と間における動作の連携を規定した連携情報を取得するステップと、無線通信によって携帯端末100から要求を受け付けると、前記連携情報に従った処理を実行するステップとを実行するプログラムを記憶する。このプログラムは、記憶媒体に記憶された各画像形成装置200にインストールされてもよいし、インターネットを介して各画像形成装置200にダウンロードされてもよい。
加えて、記憶部206には、携帯端末100から取得した印刷対象の画像データDI、および携帯端末100からの検索要求や印刷指示を受けた場合に自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作を規定する連携情報LIが格納される。
さらに、各画像形成装置についての画像形成に関する機能を示す機能管理テーブルFTや受け付けたジョブの内容を表すジョブテーブルJTを記憶することができる。
なお、連携情報LIについては全ての画像形成装置200が保有するが、画像データDI、機能管理テーブルFT、ジョブテーブルJTについては、少なくとも一つの画像形成装置200が保有していればよい。
【0022】
第1通信部201は、Ethernet(登録商標)、Wifi−DirectやBluetooth、NFCなどの規格に従って他の一以上の画像形成装置と有線または無線により通信をするための通信インタフェースである。第2通信部202は、Wifi−DirectやBluetooth、NFCなどの規格に従って携帯端末100と無線により通信する。第1通信部201と第2通信部202とを、同一の通信方式を採用した一体のモジュールとして実装してもよい。
【0023】
制御部250は、端末応対部251、印刷応対部259、および基本処理部258を含む。制御部250は、専用のプロセッサ、モジュール、ソフトウェアとして実装され、携帯端末100から要求を受け付けると連携情報LIに従った処理を実行する。具体的には、連携情報LIに基づいて制御部250内のどの機能を有効にするのかが決定される。
なお、全ての画像形成装置200が後述する機能の全てを有する必要はない。つまり、画像形成装置200ごとに制御部250内の機能は異なりうる。画像形成システム800において、一つのグループ内において、端末応対部251〜画像形成部256が実現されていればよい。ただし、各画像形成装置200は、端末応対部251、認証部254、および報知部255は必ず備えている。
【0024】
印刷応対部259は、グループ管理部252および連携処理部253を含む。グループ管理部252は、予め定められたアルゴリズムに従って他の一以上のネゴシエーションを行って、グルーピングの形成、グループ内の他装置へのグループ情報の通知、およびグルーピングの変更・更新等その他のグループの管理に関する処理を実行する。グルーピングが新たに生成・更新されると、その情報は連携情報LIに書き込まれ、グループ内の他の全ての画像形成装置200に通知される。これにより、グループ内の全ての画像形成装置200に対して、自装置がグループに属すことと、携帯端末100からの要求を受信すると連携情報LIに従って動作すべきことが共有される。
【0025】
他の装置の認識する方法は、具体的には、グループ管理部252は、該生成された情報を前記他の一以上の画像形成装置に送信するWifi−DirectやBluetoothなどの無線ネットワークで近隣検索を行い、応答可能なデバイス間でお互いの識別情報(IPアドレスやMacアドレス、通信プロトコルや通信時の識別IDなど)を交換する。例えばBluetoothを利用した場合は、ピコネットによるマスター・スレーブ通信を行うことで実現される。連携情報LIを生成・更新するタイミングについては、例えば複数の画像形成装置200のうちいずれかの装置が起動したときであってもよいし、定期的に近隣探索を行ってもよい。あるいは、いずれかの画像形成装置200が携帯端末100から最初に検索要求を受信した時にグループを生成してもよい。要するに、携帯端末100からの検索要求および印刷実行指示に対して、複数の画像形成装置200が連携して対応できる状態となっていればよい。
【0026】
図5にグルーピングの例を示す。RA内に設置された画像形成装置200−1、200−2、200−3が一つのグループを形成し、RB内に設置された画像形成装置200−4、200−5、200−6、200−7で一つのグループを形成し、RC内に設置された画像形成装置200−8および200−9で一つのグループを形成する。
【0027】
図4に連携情報LIの構造の例を示す。連携情報LIは、グループ識別情報GI、項目DM2、DM3、DM4、DM5を含む。グループ識別情報GIは、連携情報LIには自装置が属する画像形成装置のグループを識別する識別情報(同図「01」)と、そのグループの名称とを含む。名称は、「複合機設置コーナー」、「エレベータホールの複写機」、「印刷機集合エリア」など、ユーザ900が設置場所を容易に理解できる名称が設定される。
【0028】
項目DM2には、携帯端末100から要求を受信した場合に、その要求に対してどのように対応するのかを記述した情報である。具体的には、自装置が応答すべきなのか、他装置に応答を依頼するのか、何も応答しないのかが規定される。また、応答の要否に加えて応答方法や応答条件を記述してもよい。
例えば、Wifi(Directモード/infrastructureモード/adhocモード)やZigBee(登録商標)を用いた検索要求を携帯端末100から受信した場合、応答担当の装置は自装置のESS−IDを当該携帯端末100に返送する一方、グループ内の他の画像形成装置200は要求を無視するという動作が記述される。あるいは、Bluetoothによる探索要求を携帯端末100から受信した場合は、応答担当の画像形成装置200だけがペアリングモードに移行してもよい。また、Air−Print、Bonjoure、WSD−Discovery、ICMPなどのネットワーク検索プロトコルにより検索要求を受信した場合、該要求を受信した画像形成装置200は、他のグループ内の画像形成装置200とネゴシエーションを行って応答担当の一つの画像形成装置200を決定し、該決定した装置に、該要求に対する応答を依頼してもよい。
【0029】
ネゴシエーションは、例えば、まずWifi−DirectやBluetoothなどの無線通信で近隣にあるデバイスを検索して、ローカルネットを一時的に構築する。ローカル接続された画像形成装置200間で、それぞれのデバイスが有する通信機能(対応している通信規格種別、その通信規格の中で利用可能なアプリケーション(下位の規格)の種別、各規格のバージョンなど)についての情報を交換する。そして、最も通信性能の高い、もしくは対応するプロトコルの多い、もしくは対応するバージョンの新しい装置のインタフェースが利用できる一の画像形成装置200を決定する。なお、携帯端末100が使用する通信規格(WifiとBluetooth)に応じて異なる画像形成装置200を応対担当として定めてもよい。なお、画像形成装置200同士がピアツーピア接続を採用している場合、画像形成装置200間で予め上述の通信機能に関する情報を交換グループ内で共有しておけば、ネットワークを構築する必要はない。
【0030】
項目DM3は、自装置が属するグループ内において、画像データDIを格納する担当の画像形成装置200および画像データDIに基づいた画像形成および出力を担当する一つの画像形成装置200を指定する情報を含む。同図では、格納担当、印刷担当ともに、画像形成装置200−2が指定されている例を示す。格納担当については、例えば、記憶装置の性能(容量や読み出し速度)がグループの中で最も良い装置が指定される。あるいは、信頼性・可用性が最も高い画像形成装置200が選択される。例えば、常時電源が入っていて、応答速度が高く、外部記憶装置(サーバーやNASなどの記憶装置)を有していてバックアップ機構が充実している画像形成装置200を選択することが好ましい。
【0031】
印刷や格納の担当の選定は固定的でなく、動的であってもよい。例えば、画像形成装置200の稼働状況、印刷要求の詳細(印刷部数、画質など)、携帯端末100と画像形成装置200とで採用している通信規格、画像形成装置200間で採用される通信規格等に応じて、印刷担当や格納担当を決定する。例えば、携帯端末100の印刷要求を受け付けた装置が格納や印刷を担当する。印刷担当についての項目には、各画像形成装置200から該画像形成装置200の機能管理テーブルFTを取得し、印刷条件データCDと機能管理テーブルFTとを予め定められたアルゴリズムを用いて、最も適する一つの画像形成装置200を決定することが記述されてもよい。
【0032】
また、各画像形成装置200に対して選択の優先順位を予め定めておき、例えば実行指示とともに印刷条件データCDを受信した場合は、印刷条件データCDおよび他の画像形成装置200の稼働状況を加味して選択することが記述されてもよい。また、格納担当や印刷担当に指定される画像形成装置200は、複数でもよい。例えば、一つのジョブに係る指示が複数の画像を含むものである場合、複数の画像形成装置200がそれぞれ一部の画像の格納や印刷を行うこと(分散処理)が記述される。
【0033】
項目DM4は、連携情報LIの生成や更新を管理する担当の画像形成装置200(同図の例では画像形成装置200−3)を示す。
項目DM5は、印刷物を受取りに来たユーザ900に対する応対内容を記述する。項目DM5は、ユーザ900が印刷物を格納した画像形成装置でない画像形成装置に対して印刷物を受取りに来る可能性があることを考慮して設けられている。具体的には、ユーザ900が要求する印刷物を自装置が出力していない場合、あるいはそもそも当該画像データDIを保有していない場合は、画像データDIの格納または出力している画像形成装置200をユーザ900に報知するか、あるいは当該画像データDIを取得して自装置にて出力するかが記述される。
【0034】
図3に戻って説明する。
端末応対部251は、携帯端末100から問い合わせを受け付けると、携帯端末100に対して連携情報LIの項目DM2に規定された動作を行う。
連携処理部253は、連携情報LIの項目DM3に規定された動作を行う。具体的には、項目DM3で規定された画像形成装置200が自装置でない場合は、当該指定された画像形成装置200に画像データDIを送信し、当該画像データDIに基づく画像データDIの格納または出力を指示する。この際、携帯端末100から印刷条件データCDを取得した場合は、印刷条件データCDと機能管理テーブルFTとに基づいて、格納や印刷を担当する画像形成装置200が決定さされる。
【0035】
基本処理部258は、認証部254、報知部255、画像形成部256を含む。画像形成部256は、画像処理プロセッサや画像形成機構207を制御するための制御回路、を有する。認証部254は、ジョブテーブルJTを参照し、230から入力された、ユーザ900が要求しているジョブ特定する。加えて、ジョブの指示者であるユーザ(または端末装置)を認証してもよい。
【0036】
報知部255は、ジョブテーブルJTを参照して画像形成を担当する画像形成装置200を特定し、情報を表示部204に供給する。なお、印刷物を受け取る際に実行するユーザ認証またはジョブの特定は、画像形成装置200のタッチパネルなどからIDを入力するのに替えて、ユーザID(あるいは加えてジョブID)が書き込まれたICカードを、各画像形成装置200に設けたカードリーダーに読み込ませることで実現されてもよい。あるいは、NFC、IrDA(赤外線通信)、Bluetooth、Wifi(adhocモード)などピアtoピアによる近距離無線通信を用いて実行してもよい。
【0037】
図6の(a)にジョブテーブルJTの例を示す。ジョブテーブルJTは複数のレコードからなる。各レコードは、携帯端末100から印刷指示を受け付けるたびに生成される。各レコードには、各ジョブを識別するジョブIDと、当該ジョブを発生させたユーザ(あるいはユーザが有する携帯端末100)を識別するIDと、印刷対象の画像データDIを格納する担当の画像形成装置200を識別する情報、当該画像データDIに基づいて印刷を実行する担当の画像形成装置200を識別する情報とが格納される。ジョブIDは印刷物の受け取りに必要となる情報である。なお、ジョブIDは画像形成装置200によって発行されてもよいし、携帯端末100によって発行されてユーザ900に通知してもよい。格納担当や印刷担当は、それぞれ項目DM3、項目DM4に記述された情報に基づいて決定された画像形成装置200となる。
【0038】
ジョブテーブルJTは、全ての画像形成装置200で共有される。一の態様において、全ての画像形成装置200が同一内容のジョブテーブルJTを有しており、一のグループ内のいずれかの画像形成装置200は、ジョブテーブルJTが生成・更新されると、当該グループ内の他の全ての画像形成装置200に送信することで常に最新の情報に同期される。あるいは、グループ内の少なくともいずれかの画像形成装置200のみがジョブテーブルJTを保有し、ジョブテーブルJTを保有しない画像形成装置200においては、ジョブテーブルJTを保有する画像形成装置200を識別する情報のみを保有しておいてもよい。この場合、ジョブテーブルJTを保有しないユーザ900から原稿の取得要求を受け付けた場合は、ジョブテーブルJTを保有する画像形成装置200に対し、要求に係るジョブの特定を依頼する。
【0039】
同図の(b)は機能管理テーブルFTの例である。機能管理テーブルFTは、グループ内の全ての画像形成装置200について、画像形成に関する機能の詳細(印刷速度、印刷物の画質)および稼働状況が記憶される。機能管理テーブルFTは、各画像形成装置200が保有してもよいし、グループ内の少なくともいずれか一つのみが保有していてもよい。機能管理テーブルFTは、制御部250の各部によって参照され、携帯端末100への応対担当、格納担当、印刷担当、報知態様の少なくともいずれか一つについての決定に用いられることができる。
【0040】
図7は画像形成システム800における動作フローの例を表す。
画像形成装置200−3にてグルーピング処理が開始される(S102)。画像形成装置200−1、画像形成装置200−2、画像形成装置200−3の間でグルーピングのためのネゴシエーションが行われ(S103、S105)、グルーピングが確定する(S104)。この結果生成された連携情報LIは、画像形成装置200−3から画像形成装置200−1、画像形成装置200−2に送信され、連携情報LIがこのグループに参加する全ての画像形成装置200で共有される。これ以降、画像形成装置200−3、200−1、200−2は、携帯端末100からの要求に対して連携して動作を行う。換言すると、携帯端末100にとっては1台の装置が存在するようにふるまう。
【0041】
今、図5に示すグルーピングがなされていると仮定する。携帯端末100から送信された無線電波は画像形成装置200−1〜200−9のいずれにも届くものとする。各グループ内では同様の動作が行われるが、以下、画像形成装置200−1、200−2、200−3で構成されるグループに注目して説明する。グループ内の各画像形成装置200−1〜200−3は、携帯端末100から要求を受け付けると、該取得した連携情報に従った処理を実行する(S203〜S306)。
【0042】
以下、処理の内容を詳細に説明する。ユーザ900は、印刷を指示するに際し、携帯端末100を操作して(S202)、検索要求を送信する(S203)。各画像形成装置200は携帯端末100から検索要求(S203)を受信すると、連携情報LIの項目DM2に規定された動作を行う。この結果、例えば、画像形成装置200−2、画像形成装置200−3は何も応答しない(S208)。一方、画像形成装置200−1は応答する(S210)。具体的には、グループ識別情報GIを読み出し、少なくともグループの名称「エレベータ−ホール」を通知する(S211)。
【0043】
携帯端末100では、それぞれのグループから取得したグループ名称が表示される(S212)。
図8(a)〜(c)はこのとき携帯端末100に表示される画面の例である。画面SC1では、個別の画像形成装置200の識別名は表示されず、計3つのグループにそれぞれ対応する3つのグループ名称を表示する項目F11〜F13が表示され、各項目がユーザ900にて選択され得るようになっている。そして、グループに属する個々の画像形成装置を識別する情報は表示されない。すなわち、ユーザ900にはアクセス可能な3台の画像形成装置しか存在していないように知覚される。
画面SC2は、項目DM2の内容が、グループの名称に加えて個別の装置の識別名を通知するとなっていた場合に、表示される画面の例である。この場合、複数のプリンタが一つのグループ(表示項目F20)を形成していることが通知される。ただし、携帯端末100では個別のプリンタを選択することはできず、グループ単位での選択しか受け付けないようになっている。
画面SC3では、グループ名でなく、各グループを代表する一つの画像形成装置200の識別名称が表示され(表示項目F31〜F33)、選択の対象となる。
いずれの場合でも、携帯端末100において、接続可能な個別の画像形成装置200を一覧表示するのではなく、グルーピングの情報が反映され、グループ単位での選択のみ受け付けるユーザインタビューフェースが生成される。
【0044】
図7に戻り、ユーザ900は図8の画面を参照して、グループ名称を参考にするなどして、所望のグループを一つ選択し(S214)、画像データDIを指定して、ユーザIDとともに印刷指示を無線送信する(S215)。なおこの指示に印刷条件データCDを付加してもよい。
当該指示を受け取った各画像形成装置200は、連携情報LIの項目DM2を参照して、対応処理を決定する。この結果、例えば、画像形成装置200−2、画像形成装置200−3には当該指示を無視する(S208)。一方、画像形成装置200−1は、連携情報LIを参照して格納担当と印刷担当とを特定する(S216)。この際、必要に応じて機能管理テーブルFTを参照する。画像形成装置200−1はジョブIDを発行し、決定した格納担当と印刷担当(両者とも画像形成装置200−2とする)の情報を記憶する。また、ジョブIDを携帯端末100に通知する。
【0045】
画像形成装置200−1は、画像形成装置200−2へ画像データDIを送信して印刷の実行を指示する(S217)。画像形成装置200−2は、画像データDIを受信すると、当該画像データDIに基づいて媒体に画像を形成し、出力する(S218)
【0046】
ユーザは、印刷物を受け取るべく、エレベータホールの画像形成装置200群に来訪する(S302)。
グループ内のどれか一つの装置(ここでは画像形成装置200−3とする)において、ユーザ情報およびジョブIDを入力する(S304)。画像形成装置200−3は、ジョブテーブルJTを参照し、ユーザを認証し、当該ユーザの要求するジョブを特定する(S306)。自装置が印刷担当でない場合は、連携情報LIの項目DM5に従って印刷担当の装置(この場合は、画像形成装置200−2)を報知するか、または画像形成装置200−2から画像データDIを取得して自装置で印刷する。ジョブテーブルJTを保有していない場合は、特定したジョブIDをグループ内の画像形成装置200に対して問い合わせ、印刷を実行した装置の情報を問い合わせる、画像データDIの取得を依頼する、画像データDIに基づいて印刷の実行を依頼する、のいずれかの動作を行う。
【0047】
上記実施例によれば、ユーザ900は設置場所を示すグループ名を参考にして画像形成装置200を選択することができる。よって、ユーザ900はアクセス可能な全て画像形成装置200について、画像形成装置200についてその識別名称と設置場所との対応を把握しておく必要がない。そして、画像形成装置200の選択や印刷物の受取りにおいても迷うことがない。また、ユーザ900が受取りに来た画像形成装置200以外の同一グループ内の装置にて印刷が実行される場合であっても、その装置は今いる装置の近隣に設定されているはずである。また、当該受取りに来た画像形成装置200において、その装置への案内が行われるので、ユーザ900はスムーズに印刷物を受け取ることができる。
【0048】
この際、画像形成装置200がインジケータを発光させるなど、印刷物の存在を報知するために、画像形成装置200の周囲にいる無関係な人を驚かせかねないような動作を実行する必要もない。また、携帯端末100に応対する装置や、印刷を実行するする装置はグループ内でそれぞれ一つ存在すればよい。よって、全ての画像形成装置200が同一の機能を有していなくてもよい。例えば、一部の画像形成装置が電源入っていないその他機能的に問題がある場合でも、ユーザのそのような事実を意識することなく、画像形成装置の選択および実行指示を行うことができる。
また、画像形成に関する機能や通信に関する機能がグループ内の画像形成装置で統一されていなくても、通信プロトコル、印刷内容、印刷条件、プリンタの機能、稼働状況等に応じて、ユーザの要求に最も適合する画像形成装置200を決定することができる。
【0049】
上記実施例は本発明の一実施態様にすぎない。画像形成システム800は、画像形成に関係する処理を行うものであればよい。例えば、印刷物の出力処理に替えて、画像データの読取り処理(スキャン)や読み取って得られた画像データの他の装置への転送処理に対して、画像形成システム800を適用してもよい。
【0050】
具体的には、各画像形成装置200に、画像形成機能に加えてスキャン処理および生成した画像データの転送する処理(以下、スキャン転送処理)を実行するための機能を設ける。ユーザ900は、上述した例と同様、検索要求を行って、画像形成装置200を選択する。続いて、画像形成システム800を用いてスキャンを行う場合、携帯端末100から応対担当の画像形成装置200に対し、印刷指示に替えてスキャンの設定指示が、印刷条件データCDに替えてスキャン転送を実行するのに必要な設定情報(例えば、読取りの解像度、画像データの形式、転送先の装置のアドレスなど)が送信される。このとき、ユーザから入力された指示に対してジョブIDが発行される点は、上述した例と同様である。
【0051】
画像形成装置200側では、必要に応じて機能管理テーブルFTを参照し、該取得した設定情報に基づくスキャン転送処理を実行するのに適した一の画像形成装置200を決定する。決定した一の画像形成装置200に設定情報が送信され、当該装置に格納される。
【0052】
その後、ユーザ900は、選択したグループが設置されている場所まで赴き、そのうちいずれかの一つの画像形成装置200においてジョブID(あるいはこれに加えてユーザを識別する情報)を入力する。この際、入力はタッチパネルを用いて行ってもよいし、近距離無線通信を用いて、携帯端末100に記憶されたジョブIDやユーザ認証情報を当該画像形成装置200に送信してもよい。すると、当該ジョブIDに対応づけられた設定情報の格納先が特定され、特定された格納先が自装置であれば設定情報を自装置の記憶部104から読み出し、他装置であれば当該装置から当該設定情報を取得する。そして、自装置のタッチパネルを用いて、当該読み出したまたは取得した設定情報が反映されることをユーザに通知する。設定内容を確認したユーザ900は、その装置に対して原稿をセットして実行指示を入力すると、その設定情報に従って読取りおよび転送が実行される。
なお、転送対象の画像データを予めユーザ900が所有している場合は、設定情報とともに画像データを携帯端末100から画像処理装置200側へ送信し、スキャン転送処理を実行する装置に転送されるようにしてもよい。この場合、ユーザの認証を行うためだけにユーザ900は画像形成装置まで赴くことになる。
【0053】
この例によれば、ユーザ900は、スキャン転送処理の実行を指示する度に設定情報を画像形成装置200に入力する必要がない。例えば送信先をメールアドレスによって指定する場合、一文字ずつ画像形成装置200に設けられたタッチパネル等を用いて入力する必要がある。このように設定情報の画像形成装置200への入力はユーザの負担になる場合があるが、この例によれば、そのメールアドレスが携帯端末に記憶されていれば、ユーザ900は、スキャン指示を画像形成装置200側に送信する際にそのメールアドレスを指定するだけでよいから、ユーザの負担が緩和される。
【0054】
要するに、本発明に係る画像形成システムは、複数の画像形成装置を含み、各画像形成装置に設けられ端末装置と通信する第1通信手段と、各画像形成装置に設けられ他の一以上の画像形成装置と通信する第2通信手段と、各画像形成装置に設けられ、画像を形成する画像形成手段と、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間の動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶手段と、前記端末装置からのからの問い合わせに応じて、前記連携情報を通知する通知手段と、前記端末装置から連携情報の指定を受信する受信手段と、いずれかの画像形成装置に設けられた画像形成手段を用いて、画像形成を実行する実行手段とを有すればよい。この画像形成には、ユーザから提供された画像データに基づいて画像を媒体へ形成する処理や、ユーザから提供された原稿を読み取って画像データを生成する処理ことや、該生成された画像データを他の装置へ送信する処理、その他、画像の形成に関連する処理を含む。
また、本発明の画像形成装置は、他の一以上の画像形成装置と通信する第1通信部と、端末装置と通信する第2通信部と、画像データに基づいて媒体上に画像を形成する画像形成部と、自装置と前記他の一以上の画像形成装置と間における動作の連携を規定した連携情報を記憶する記憶部と、前記端末装置から要求を受け付けると前記連携情報に従った処理を実行する実行制御部とを備えていればよい。
【符号の説明】
【0055】
100・・・携帯端末、800・・・画像形成システム、200−1〜200−9・・・画像形成装置、101・・・入力部、102・・・表示部、103・・・通信部、104・・・記憶部、105・・・制御部、201・・・第1通信部、202・・・第2通信部、203・・・入力部、204・・・表示部、206・・・記憶部、207・・・画像形成機構、250・・・制御部、251・・・端末応対部、252・・・グループ管理部、253・・・連携処理部、254・・・認証部、255・・・報知部、256・・・画像形成部、257・・・画像形成機構、259・・・印刷応対部、258・・・基本処理部、LI・・・連携情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10