特許第6589336号(P6589336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589336
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】モータおよび車載装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20191007BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
   H02K5/16 Z
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-69814(P2015-69814)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-189687(P2016-189687A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】右田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】新子 剛央
(72)【発明者】
【氏名】川上 真央
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴裕
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/112301(WO,A1)
【文献】 特開2007−195326(JP,A)
【文献】 特開2010−009644(JP,A)
【文献】 実開平02−030264(JP,U)
【文献】 特開2014−158421(JP,A)
【文献】 特開2008−118792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心としたシャフトを有するロータと、
前記ロータと対向して配置され、複数のコイルを有するステータと、
前記シャフトを支持するベアリングと、
前記ステータを軸方向から覆い、前記ベアリングを支持する金属製のベアリングホルダと、
前記ステータに対し前記ベアリングホルダより軸方向外側に位置し、前記コイルから延びるコイル端と接続される接続端子を有するバスバーと、
前記ステータと前記ベアリングホルダとの間に位置し、前記ステータに固定されたコイルサポートと、を備え、
前記ベアリングホルダには、軸方向に貫通して前記コイル端を通過させる貫通孔が設けられ、
前記コイルサポートは、軸方向に貫通して前記コイル端を通過させる開口部が設けられた絶縁支持部を有し、
前記コイルから前記コイル端へと延びるコイル線は、径方向外側から内側に向かって引き回され、
前記開口部は、径方向外側に向かって切り欠かれ、
前記絶縁支持部の前記開口部の最も狭い部分は、軸方向から見て前記ベアリングホルダの貫通孔の内側に位置するモータ。
【請求項2】
前記ステータが、インシュレータを有し、
前記コイルサポートが、スナップフィットにより前記インシュレータに固定されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
軸方向に延びる中心軸を中心としたシャフトを有するロータと、
前記ロータと対向するように配置され、複数のコイルを有するステータと、
前記シャフトを支持するベアリングと、
前記ステータを軸方向から覆い、前記ベアリングを支持する金属製のベアリングホルダと、
前記ステータに対し前記ベアリングホルダより軸方向外側に位置し、前記コイルから延びるコイル端と接続される接続端子を有するバスバーと、
前記バスバーを支持するバスバーホルダと、を備え、
前記ベアリングホルダには、軸方向に貫通して前記コイル端を通過させる貫通孔が設けられ、
前記バスバーホルダは、軸方向に貫通して前記コイル端を通過させる開口部が設けられた絶縁支持部を有し、
前記絶縁支持部の開口部の最も狭い部分は、軸方向から見て前記ベアリングホルダの貫通孔の内側に位置する、モータ。
【請求項4】
前記絶縁支持部の前記開口部の最も狭い部分が、前記ステータと反対側に位置する、
請求項1〜3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記絶縁支持部は、前記開口部の縁の少なくとも一部から軸方向に沿って前記ベアリングホルダ側に延びる壁部を有する、
請求項1〜4の何れか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記壁部が前記コイル端の外周の少なくとも一部と前記ベアリングホルダの貫通孔の内周面の間に位置する、
請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記壁部が、前記コイル端の外周を囲む、
請求項5又は6に記載のモータ。
【請求項8】
記絶縁支持部には、前記開口部から前記一方向に広がり、軸方向に貫通する誘導孔が設けられ、
前記コイルの巻き始めおよび巻き終りのいずれか一方の位置は、前記誘導孔と軸方向から見て重なる、
請求項5又は6に記載のモータ。
【請求項9】
前記開口部は、前記ステータ側に向かって広がっている、
請求項1〜8の何れか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記絶縁支持部の1つの前記開口部および前記ベアリングホルダの1つの貫通孔には、
複数の前記コイル端が通過して、複数の前記コイル端が前記バスバーの1つの前記接続端子に接続される、
請求項1〜9の何れか一項に記載のモータ。
【請求項11】
同一の前記開口部を通過する複数の前記コイル端は、同相のコイル端であり、
前記開口部は、相数の倍数だけ設けられる、
請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記バスバーが本体部と、前記本体部から径方向内側に延びる接続端子と、を有し、
前記コイルの巻き始めおよび巻き終りから軸方向に沿って接続端子側にコイル線が引き出される位置は、前記ステータの径方向内側である、
請求項1〜11の何れかに記載のモータ。
【請求項13】
前記バスバーが本体部と、前記本体部から径方向外側に延びる接続端子と、を有し、
前記コイルの巻き始めおよび巻き終りから軸方向に沿って接続端子側にコイル線が引き出される位置は、前記ステータの径方向内側である、
請求項1〜11の何れかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインナーロータ型のブラシレスモータが知られている。例えば、特許文献1のモータは、ベアリングと、ベアリングを保持する絶縁プレートと、絶縁プレートより軸方向外側に位置するバスバーとを有する。このモータのコイルの巻線端は、絶縁プレートに設けられた貫通穴を通過させてバスバーの端子と接続されている。巻線端は、貫通穴により位置決めが行われ、バスバーの端子との接続が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4902738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用のモータは、強い振動を受けるために、ベアリングを保持する部材(特許文献1の絶縁プレートに相当)として、剛性の高い金属材料を用いることが好ましい。しかしながら、ベアリングを保持する部材を金属材料とした場合に、コイル端との絶縁が確保できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コイル端の短絡を防止すると共に、コイル端の位置決めを容易とするモータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心としたシャフトを有するロータと、前記ロータと対向して配置され、複数のコイルを有するステータと、前記シャフトを支持するベアリングと、前記ステータを軸方向から覆い、前記ベアリングを支持する金属製のベアリングホルダと、前記ステータに対し前記ベアリングホルダより軸方向外側に位置し、前記コイルから延びるコイル端と接続される接続端子を有するバスバーと、前記ステータと前記ベアリングホルダとの間に位置し、前記ステータに固定されたコイルサポートと、を備え、前記ベアリングホルダには、軸方向に貫通してコイル端を通過させる貫通孔が設けられ、前記コイルサポートは、軸方向に貫通してコイル端を通過させる開口部が設けられた絶縁支持部を有し、前記コイルから前記コイル端へと延びるコイル線は、径方向外側から内側に向かって引き回され、前記開口部は、前記ステータ側に向かって切り欠かれ、前記絶縁支持部の前記開口部の最も狭い部分は、軸方向から見て前記ベアリングホルダの貫通孔の内側に位置する。
【0007】
本発明のモータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心としたシャフトを有するロータと、前記ロータと対向するように配置され、複数のコイルを有するステータと、前記シャフトを支持するベアリングと、前記ステータを軸方向から覆い、前記ベアリングを支持する金属製のベアリングホルダと、前記ステータに対し前記ベアリングホルダより軸方向外側に位置し、前記コイルから延びるコイル端と接続される接続端子を有するバスバーと、前記バスバーを支持するバスバーホルダと、を備え、前記ベアリングホルダには、軸方向に貫通してコイル端を通過させる貫通孔が設けられ、前記バスバーホルダは、軸方向に貫通してコイル端を通過させる開口部が設けられた絶縁支持部を有し、前記絶縁支持部の開口部の最も狭い部分は、軸方向から見て前記ベアリングホルダの貫通孔の内側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る例示的な一実施形態によれば、コイル端の短絡を防止すると共に、コイル端の位置決めを容易とするモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のモータの平面図である。
図2図2は、一実施形態のモータの断面図である。
図3図3は、一実施形態のモータの分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態のモータの部分断面図である。
図5図5は、一実施形態のステータの平面図である。
図6図6は、変形例1のステータの平面図である。
図7図7は、変形例2のステータの平面図である。
図8図8は、変形例3のステータの平面図である。
図9図9は、変形例4のコイルサポートの斜視図である。
図10図10は、変形例5のコイルサポートを備えたモータの断面図である。
図11図11は、変形例6のモータの平面図である。
図12図12は、変形例6のモータの部分断面図である。
図13図13は、一実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0011】
図面においては、モータの中心軸Jと平行なZ軸を示す。また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、以下の説明においては、上下方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼び、中心軸Jと平行な方向(即ち、上下方向又はZ軸方向)を、軸方向と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に中心軸Jと平行な方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、上下方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
<モータ>
図1は、本実施形態のモータ1を示す平面図(+Z側から見た図)である。図2は、図1のII−II線に沿ったモータ1の断面図である。図3は、モータ1の分解図である。
【0014】
本実施形態のモータ1は、図2に示すように、ロータ10と、ステータ20と、第1のベアリング12と、第2のベアリング13と、ベアリングホルダ30と、バスバー40を有するバスバーユニット49と、コイルサポート50と、ハウジング60と、を備える。
【0015】
[ロータ]
図2に示すように、ロータ10は、シャフト11と、ロータコア14と、ロータマグネット15と、を有する。
シャフト11は、軸方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする。シャフト11は、第1のベアリング12と第2のベアリング13とによって、中心軸Jの軸周りに回転可能に支持されている。
シャフト11の上側端部11aは、ベアリングホルダ30に対して上側に突出している。また、シャフト11の上側端部11aには、センサマグネット16が固定されている。センサマグネット6の上側には、図示略のセンサ素子が対向して配置され、センサ素子によってシャフト11の回転角が測定される。
シャフト11の下側端部11bは、出力軸孔部61aを介してハウジング60の外部に突出している。シャフト11の下側端部11bには、モータ1の駆動対象物が取り付けられる。
【0016】
ロータコア14は、シャフト11に固定されている。ロータコア14は、シャフト11を周方向に囲んでいる。ロータマグネット15は、ロータコア14の周方向に沿った外側面に固定されている。ロータコア14およびロータマグネット15は、シャフト11と一体となって回転する。
【0017】
[ステータ]
図2に示すように、ステータ20は、ロータ10と対向してロータ10の径方向外側を囲んでいる。ステータ20は、ステータコア25と、上側インシュレータ26と、下側インシュレータ27と、と、複数のコイル21と、を有する。
ステータコア25は、コアバック部25aと、コアバック部25aから径方向内側に延びる複数のティース部25bと、を有する。ティース部25bには、上側インシュレータ26および下側インシュレータ27を介しコイル21が巻き付けられる。
【0018】
上側インシュレータ26は、ステータコア25の上側に位置する。下側インシュレータ27は、ステータコア25の下側に位置する。上側インシュレータ26と下側インシュレータ27とは、ステータコア25のティース部25bの周方向端面および軸方向端面を覆う。
【0019】
図4は、モータ1の中心軸Jに沿いかつ図2とは異なる断面を取った部分断面図である。図4に示すように、上側インシュレータ26には、上側に延びる複数の爪部26aが設けられている。爪部26aは、ステータ20の内周縁に沿って設けられている。爪部26aの上端部には、径方向外側に突出する突起26bが設けられている。爪部26aの上端部の突起26bは、後述するコイルサポート50の爪受け部56に掛かる。
【0020】
図5に、ステータ20の平面図(+Z側から見た図)を示す。なお、図5において、ステータ20は、ハウジング60に収容された状態として示す。また、図5には、ひとつのバスバー40を例示的に示す。
図5に示すように、本実施形態のステータ20は、12個のコイル21を有する。各コイル21からは、コイル線22が延び出ている。コイル線22は、ステータ20の上側を通って、コイルサポート50の開口部53(図1参照)の下側まで引き回されている。コイル線22の端部であるコイル端21aは、開口部53を通過して開口部53の上側で、バスバー40に接続されている。
【0021】
12個のコイル21は、2組の三相回路を構成する。一方の三相回路は、U相、V相、W相にそれぞれ2つのコイル21を有する。他方の三相回路は、U’相、V’相、W’相にそれぞれ2つのコイル21を有する。同組の三相回路の同相のコイル21から延びるコイル端21a同士は、同一のバスバー40に接続される。これにより、同組の三相回路の同相のコイル21同士は、並列接続されている。
【0022】
各コイル21からは、上下に一本ずつコイル線22が引き出される。コイル端21aは、コイル21の巻き始め又は巻き終りから上側に延び出るコイル線22の端部である。本実施形態において、各コイル21の巻き始めおよび巻き終りから軸方向に沿って接続端子側(上側)にコイル線22が引き出される位置は、ステータ20の径方向外側である。コイル21から延びるコイル線22は、ステータ20の上側において、径方向外側から内側に向かって引き回され、コイル端21aにおいて、ステータ20の径方向内側寄りでバスバー40に接続される。したがって、コイル線22は、ステータ20上面の径方向内側、又は外側に集中することがなく、コイル線22が上下方向(軸方向)に重なることを抑制して引き回すことができ、ステータ20の軸方向の寸法増大を抑制できる。
【0023】
[ベアリング]
図2に示すように、第1のベアリング12および第2のベアリング13は、シャフト11を回転可能に支持する。第1のベアリング12は、ステータ20の上側に位置し、第2のベアリング13は、ステータ20の下側に位置する。第1のベアリング12および第2のベアリング13の構成は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングを用いてもよい。
【0024】
[ベアリングホルダ]
図2に示すように、ベアリングホルダ30は、ステータ20の上側に位置し、ステータ20を軸方向上側から覆う。ベアリングホルダ30は、第1のベアリング12を支持する。ベアリングホルダ30は、ハウジング60に固定されている。ベアリングホルダ30の平面視(XY面視)形状は、例えば、シャフト11と同心の円形状である。
ベアリングホルダ30は、第1のベアリング保持部33と、円板部32と、を有する。
【0025】
第1のベアリング保持部33は、シャフト11と同心の円筒状である。第1のベアリング保持部33の径方向内側には、第1のベアリング12の外輪が嵌め合わされる。第1のベアリング保持部33は、上端から径方向内側に延びる上縁部33bを有する。上縁部33bの中央には、シャフト11と同心の円形の孔部33aが設けられている。孔部33aには、シャフト11が貫通する。
【0026】
円板部32は、第1のベアリング保持部33から径方向外側に延びている。円板部32の上下面は、中心軸Jと直交している。円板部32には、複数の貫通孔31が設けられている。すなわち、ベアリングホルダ30には、複数の貫通孔31が設けられている。貫通孔31は、ベアリングホルダ30を軸方向に貫通する。貫通孔31には、コイル21から延びるコイル端21aが通過する。本実施形態において、1つの貫通孔31には、複数(2本)のコイル端21aが通過する。
【0027】
ベアリングホルダ30は、金属製である。このため、ベアリングホルダ30は、剛性が高く、第1のベアリング12を強固に支持することができる。振動下においても、第1のベアリング12を介しベアリングホルダ30に支持されたシャフト11が中心軸Jに対して軸振れを起こしにくくなる。これにより、振動下においても、モータ1の回転性能を安定させることができる。
【0028】
[ハウジング]
ハウジング60は、ステータ20と第2のベアリング13とを支持する。図2に示すように、ハウジング60は、上側に開口する筒形状を有する。ハウジング60は、モータ筒状部62と、底部63と、第2のベアリング保持部61と、を有する。
【0029】
モータ筒状部62は、ステータ20の径方向外側を囲む円筒形状を有する。モータ筒状部62の内側面には、ステータ20が固定されている。
底部63は、モータ筒状部62の下端に設けられている。
第2のベアリング保持部61は、底部63の平面視中央に位置している。第2のベアリング保持部61は、シャフト11と同心の円筒状である。第2のベアリング保持部61の径方向内側には、第2のベアリング13の外輪が嵌め合わされている。第2のベアリング保持部61は、下端から径方向内側に延びる下縁部61bを有している。下縁部61bの中央には、シャフト11と同心の円形状を有する出力軸孔部61aが設けられている。
【0030】
[バスバーユニット]
図2に示すように、バスバーユニット49は、ベアリングホルダ30の上側に位置している。バスバーユニット49は、ハウジング60の上側の開口を覆う。バスバーユニット49は、ハウジング60に固定されている。
バスバーユニット49は、バスバーホルダ48と、複数(6つ)のバスバー40と、を有する。
【0031】
図1に示すように、バスバー40は、本体部42と、接続端子41と、を有する。本体部42は、図示略の外部装置と接続するためのソケット部42aを有する。
【0032】
接続端子41は、コイル21から延びるコイル端21aと接続される。接続端子41は、径方向外側に開口するU字形状を有する。接続端子41とコイル端21aとは、コイル端21aを挟み込んだ状態で溶接することにより接続されている。なお、図1には、接続端子41とコイル端21aとが接続される前の状態を示す。接続端子41は、コイル端21aを挟み込むように電極棒(図示略)により加圧されて、さらに電極棒から電流が流されることで、コイル端21aと溶接(抵抗溶接)される。
【0033】
接続端子41は、本体部42から径方向内側に延びる。コイル端21aは、ステータ20の上側において、径方向外側寄りの位置から径方向内側寄りへ引き回されて、接続端子41と接続される。
【0034】
本実施形態において、1つの接続端子41には、複数(2つ)のコイル端21aが接続される。接続端子41に接続される複数のコイル端21aは、同相のコイル端21aである。このように、バスバー40の1つの接続端子41に複数のコイル端21aを接続することで、バスバー40の数を減らすことができる。加えて、接続端子41にコイル端21aを接続することにより、同相のコイル端21a同士を結線することができる。すなわち、製造工程において、コイル端21aの結線のための工程を省略することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0035】
バスバーホルダ48は、樹脂材料からなり、バスバー40の一部を埋め込んでインサート成型することで一体化したバスバーユニット49を構成する。
図1に示すように、バスバーホルダ48は、円筒部45と、バスバー保持部46と、複数の橋部47と、を有する。円筒部45は、シャフト11と同心の円筒形状を有し上下に開口する。円筒部45の内側には、シャフト11が貫通する。バスバー保持部46は、円筒部45を外側から囲む円環形状を有する。バスバー保持部46の内部には、バスバー40の本体部42が埋め込まれている。円筒部45とバスバー保持部46との間には、径方向に延びる橋部47が設けられている。また、円筒部45とバスバー保持部46との間には、バスバー40の接続端子41が位置する。
【0036】
[コイルサポート]
図2に示すように、コイルサポート50は、ステータ20とベアリングホルダ30の間に位置している。コイルサポート50は、ステータ20に固定されている。コイルサポート50は、例えば樹脂などの絶縁材料からなる。
【0037】
図3に示すように、コイルサポート50は、環状板部55と、複数の(6つの)絶縁支持部51と、複数の爪受け部56と、を有する。絶縁支持部51には、コイル端21aを通過させる開口部53が設けられている。
【0038】
環状板部55は、円環形状の板材からなり、上下面が中心軸Jと直交している。環状板部55の中央には、シャフト11と同心の円形開口55aが設けられている。円形開口55aには、シャフト11が貫通する。環状板部55は、ステータ20の上側、且つベアリングホルダ30の下側に位置している。したがって、環状板部55は、ステータ20の上側で引き回されているコイル線22(図5参照)の上側を覆い、コイル線22とベアリングホルダ30との絶縁を確保する。
【0039】
図4に示すように、複数の爪受け部56は、それぞれ環状板部55の内周縁55bから下側に延びている。複数の爪受け部56は、軸方向から見て、上側インシュレータ26の爪部26aと重なる位置に配置されている。爪受け部56は、下側に延びる一対の支持軸56aと、支持軸56aの下端同士を繋ぐ下端爪受け体56bと、とを有し、矩形の枠形状を構成する。
【0040】
爪受け部56の下端爪受け体56bには、上側インシュレータ26の爪部26aの突起26bが掛け止められる。すなわち、コイルサポート50の爪受け部56と上側インシュレータ26の爪部26aは、スナップフィットを構成する。スナップフィットによって、コイルサポート50は、上側インシュレータ26に固定される。コイルサポート50は、周方向の位置を合わせてステータ20に重ね合わさることで、容易にステータ20に固定できる。
【0041】
本実施形態によれば、コイルサポート50をステータ20に固定する構造とすることで、コイル端21aの開口部53および貫通孔31への挿入の容易性を高めることができる。
本実施形態のモータ1では、組み立て作業者は、コイルサポート50の開口部53にコイル端21aを通過させながら、コイルサポート50をステータ20に取り付ける。その後に、コイルサポート50の上側からベアリングホルダ30の貫通孔31にコイル端21aを通過させながら、ベアリングホルダ30を取り付ける。このように、コイルサポート50をステータ20に固定する構造とすることで、コイル端21aは、開口部53と貫通孔31とに別々に挿入する組み立て手順を構成できる。また、ベアリングホルダ30の取り付け工程では、コイル端21aがコイルサポート50により支持されているため、コイル端21aの貫通孔31の挿入が容易である。
比較例として、コイルサポート50が、ベアリングホルダ30に固定される場合を想定する。この場合、組み立て作業者は、コイル端21aをコイルサポート50の開口部53とベアリングホルダ30の貫通孔31とに、連続して挿入する必要が生じる。また、挿入する際にコイル端21aは、支持がなされていないため、挿入の困難性が増す。
【0042】
図3に示すように、コイルサポート50の複数の絶縁支持部51は、環状板部55の内周縁55bに沿って周方向に並んで設けられている。絶縁支持部51には、軸方向に貫通する開口部53が設けられている。また、絶縁支持部51は、開口部53の縁から軸方向に沿ってベアリングホルダ30側(すなわち上側)に延びる壁部52を有する。
【0043】
図1に示すように、開口部53は、軸方向から見て、径方向に延びる角丸の長孔である。本実施形態において、1つの開口部53には、複数(2本)のコイル端21aが通過する。同一の開口部53を通過する複数のコイル端21aは、同相のコイル端21aである。
開口部53に同相のコイル端21aをまとめて通過させることで、異なる相のコイル端21a同士が短絡することを防止できる。また、開口部53は、バスバー40の1つの接続端子41に接続されるコイル端21aを束ねる機能を果たし、接続端子41へのコイル端21aの接続が容易となる。
【0044】
図2に示すように、開口部53は、軸方向に沿って大きさの異なる第1領域53aと第2領域53bとを有する。第1領域53aは、上側(ステータ20と反対側)に位置し、第2領域53bは、下側に位置する。第1領域53aと比較して第2領域53bは、大きく開口している。第1領域53aは、開口部53の最も狭い部分である。第1領域53aと第2領域53bとは、テーパ面によりなだらかに繋がっている。すなわち、開口部53は、ステータ20側(下側)に向かって広がっている。コイル端21aは、ステータ20側から開口部53に挿入されるため、開口部53を下側に向かって広がる形状とすることで、挿入作業が容易となる。
【0045】
開口部53の第1領域53a(すなわち、最も狭い部分)は、軸方向から見てベアリングホルダ30の貫通孔31の内側に位置する。開口部53を通過するコイル端21aは、ベアリングホルダ30の貫通孔31の内側を通過する。これにより、開口部53は、ベアリングホルダ30とコイル端21aとの接触を抑制することができる。
【0046】
壁部52は、開口部53の縁から上側に延び、筒形状を有している。すなわち、壁部52の内側には、開口部53が設けられている。壁部52は、コイル端21aの外周を囲んで支持する。これにより、壁部52は、コイル端21aの外周を軸方向の十分な長さで支持することが可能となり、コイル端21aの支持の確実性を高めることができる。
【0047】
壁部52は、ベアリングホルダ30の貫通孔31を貫通する。壁部52は、コイル端21aの外周とベアリングホルダ30の貫通孔31の内周面の間に位置する。これにより、コイル端21aと貫通孔31の内周面とが、壁部52により隔てられ、コイル端21aとベアリングホルダ30との絶縁の確実性を高めることができる。
【0048】
本実施形態のモータ1によれば、コイルサポート50の絶縁支持部51により、コイル端21aを支持することで、コイル端21aを位置決めすることができる。これにより、コイル端21aとバスバー40の接続端子41との接続を容易に行うことができる。また、コイルサポート50の絶縁支持部51の支持により、コイル端21aがベアリングホルダ30の貫通孔31の内周面と接触することを防止できる。すなわち、コイル端21aとベアリングホルダ30との絶縁の確実性を高めて、モータ1の動作の安定性を高めることができる。
【0049】
<変形例1〜変形例3>
次に、上述したモータ1に採用可能な、変形例1〜変形例3のステータ20Aについて説明する。
図6図8は、変形例1〜変形例3のステータ20A、20B、20Cを示す平面図である。なお、図6図8において、ステータ20A、20B、20Cは、ハウジング60に収容された状態として示す。また、図6図8には、ひとつのバスバーを例示的に示す。
変形例1〜変形例3のステータ20A、20B、20Cは、コイル21の巻き始めおよび巻き終りから上側にコイル線22が引き出される位置又はコイル端21aとバスバーとの接続位置が、上述した実施形態と異なる。
【0050】
図6に示す変形例1において、バスバー40は、上述した実施形態と同様に、本体部42と、本体部42から径方向内側に延びる接続端子41と、を有する。
また、ステータ20Aは、コイル21の巻き始めおよび巻き終りから上側にコイル線22Aが引き出される位置が、ステータ20Aの径方向内側である。ステータ20Aにおいて、コイル21から延びるコイル端21aは、ステータ20Aの径方向内側寄りでバスバー40に接続される。
ステータ20Aの上側においてコイル線22Aは、ステータ20Aの内側寄りに集中して、引き回されている。本変形例によれば、コイル線22Aの長さを短くすることができ、コイル線22Aの引き回しが容易となる。
【0051】
図7に示す変形例2において、バスバー40Bは、本体部42Bと、本体部42Bから径方向外側に延びる接続端子41Bと、を有する。
また、ステータ20Bは、コイル21の巻き始めおよび巻き終りから上側にコイル線22Bが引き出される位置が、ステータ20Bの径方向外側である。ステータ20Bにおいて、コイル21から延びるコイル端21aは、ステータ20Bの径方向外側寄りでバスバー40Bに接続される。
ステータ20Bの上側においてコイル線22Bは、ステータ20Bの外側寄りに集中して、引き回されている。本変形例においても、変形例1と同様に、コイル線22Bの長さを短くすることができ、コイル線22Bの引き回しが容易となる。
【0052】
図8に示す変形例3において、バスバー40Bは、変形例2と同様に、本体部42Bと、本体部42Bから径方向外側に延びる接続端子41Bと、を有する。
また、ステータ20Cは、コイル21の巻き始めおよび巻き終りから上側にコイル線22Cが引き出される位置が、ステータ20Cの径方向内側である。ステータ20において、コイル21から延びるコイル端21aは、ステータ20の径方向外側寄りでバスバー40Bに接続される。
ステータ20の上側においてコイル線22Cは、径方向内側から外側に引き回されている。このため、コイル線22Cは、内側、又は外側に集中することがない。本変形例によれば、コイル線22Cを上下方向(軸方向)に重なることを抑制しながら引き回すことができ、ステータ20の軸方向の寸法増大が抑制される。
【0053】
<変形例4>
次に、上述したモータ1に採用可能な、変形例4のコイルサポート150について説明する。
図9は、本変形例のコイルサポート150の絶縁支持部151の斜視図である。本変形例のコイルサポート150は、上述のコイルサポート50と比較して、絶縁支持部151の構成が異なる。
【0054】
絶縁支持部151には、軸方向に貫通する開口部153が設けられている。絶縁支持部151には、1本のコイル端21aが通過する。また、絶縁支持部151には、開口部153から一方向(径方向外側)に広がり、軸方向に貫通する誘導孔155が設けられている。
【0055】
絶縁支持部151は、開口部153の縁から軸方向に沿って上側に延びる壁部152を有する。壁部152は、軸方向と直交する面内の一方向(径方向外側)に開口している。壁部152の開口方向は、開口部153に対し誘導孔155が広がる方向と一致している。壁部152は、開口部153の縁にのみ設けられ、誘導孔155の縁には設けられていない。本明細書において、開口部153と誘導孔155とが繋がって構成された1つの孔のうち、壁部152の内側に位置する領域が開口部153であり、それ以外の領域が誘導孔155である。
【0056】
壁部152は、平面視においてU字形状を有する。壁部152は、互いに対向する一対の対向壁152aと、一対の対向壁152aを径方向内側で連結する連結壁152bと、を有する。一対の対向壁152a同士が対向する壁面には、それぞれ凸部152cが設けられている。一対の凸部152c同士の距離は、コイル端21aの線径より若干狭くなっている。壁部152の内側であって、一対の凸部152cと連結壁152bとにより囲まれる領域は、平面視において、コイル端21aの外形に沿った形状を有する。壁部152は、一対の凸部152cと連結壁152bとによりコイル端21aを囲んで、コイル端21aを支持することができる。
【0057】
壁部152の内側であって、一対の凸部152cと連結壁152bとにより囲まれる領域は、開口部153の最も狭い部分である。開口部153の最も狭い部分は、軸方向から見てベアリングホルダ30の貫通孔31の内側に位置する。これにより、コイル端21aをベアリングホルダ30の貫通孔31の内側で支持し、貫通孔31とコイル端21aとの接触を抑制できる。
【0058】
次に、本変形例の絶縁支持部151の開口部153へのコイル端21aの挿入手順を説明する。まず、作業者は、コイル端21aを誘導孔155に挿入する。次いで、作業者は、コイル端21aを軸方向内側に移動させ、コイル端21aの外周面により一対の凸部152cを押し広げてコイル端21aを凸部152cの径方向内側に嵌め込む。これにより、壁部152によりコイル端21aを支持させる。
【0059】
本変形例の絶縁支持部151によれば、開口部153から広がる誘導孔155が設けられていることで、開口部153への挿入作業を容易とすることができる。また、コイル端21aを凸部152cの径方向内側に嵌め込むことで、コイル端21aの支持の確実性を高めることができる。加えて、凸部152c同士の距離をコイル端21aの線径より狭くすることで、コイル端21aが開口部153から誘導孔155に移動することを抑制でき、絶縁の確実性を高めることができる。
【0060】
壁部152は、上述した実施形態の壁部52と同様に、上側に延びてベアリングホルダ30の貫通孔31を貫通して配置される(図2参照)。したがって、壁部152は、コイル端21aの外周の少なくとも一部とベアリングホルダ30の貫通孔31の内周面の間に位置する。これにより、壁部152は、コイル端21aとベアリングホルダ30との絶縁の確実性を高めることができる。
【0061】
なお、誘導孔155は、コイルサポート150の一方側(径方向外側)に向かって開口する切欠であってもよい。
また、本変形例において、1つの開口部153には、1本のコイル端21aが通過する。しかしながら、1つの開口部153に同相のコイル21から延びる2本以上のコイル端21aを通過させてもよい。
【0062】
<変形例5>
次に、上述したモータ1に採用可能な、変形例5のコイルサポート350について説明する。
図10は、変形例5のコイルサポート350を採用したモータ1の部分断面図である。本変形例のコイルサポート350は、上述のコイルサポート50と比較して、主に絶縁支持部351の構成が異なる。コイルサポート350の絶縁支持部351は、壁部を有していない。
【0063】
コイルサポート350は、ステータ20とベアリングホルダ30の間に位置している。コイルサポート350は、ステータ20に固定されている。
コイルサポート350は、絶縁支持部351を有する。絶縁支持部351には、軸方向に貫通する開口部353が設けられている。開口部353には、コイル端21aが通過する。なお、本変形例において、1つの開口部353には、2本以上のコイル端21aを通過させてもよい。
【0064】
開口部353は、ベアリングホルダ30の貫通孔31より小さい開口径を有する。開口部353は、軸方向に一様な内径を有し、軸方向に沿う全域が最も狭い部分である。開口部353は、軸方向から見て貫通孔31の内側に位置する。開口部353を通過するコイル端21aは、ベアリングホルダ30の貫通孔31の内側を通過する。これにより、開口部353は、ベアリングホルダ30とコイル端21aとの接触を抑制することができる。
【0065】
本変形例によれば、コイルサポート350が、開口部353の周縁から延びる壁部を有してない。このような場合であっても、開口部353の最も狭い部分が、軸方向から見て貫通孔31の内側に位置していれば、コイル端21aとベアリングホルダ30との接触を抑制し絶縁を確保できる。
なお、開口部353の最も狭い部分の内径は、貫通孔31の内径に対して小さいほど、コイル端21aが傾いた場合であっても、絶縁確保が容易となる。また、開口部353は、貫通孔31に近いほど、コイル端21aが傾いた場合であっても絶縁確保が容易となる。
【0066】
<変形例6>
次に、変形例6のモータ2を説明する。
図11は、本変形例のモータ2の平面図である。また、図12は、図11のXII−XII線に沿う断面図である。
モータ2は、上述のモータ1と比較して、コイルサポート50を備えていない点と、バスバーユニット249の構成と、が主に異なる。モータ2に関する以下の説明において、上述のモータ1と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
モータ2は、上述したモータ1と同様に、ロータ10と、ステータ20と、第1のベアリング12と、第2のベアリング13と、ベアリングホルダ30と、ハウジング60と、を備えている(図2参照)。また図11に示すように、モータ2は、バスバーユニット249を備えている。
【0068】
バスバーユニット249は、ベアリングホルダ30の上側に位置している。バスバーユニット249は、バスバー(中性点用バスバー240Aおよび相用バスバー240B)とバスバーホルダ248とを有する。すなわち、モータ2は、バスバー240A、240Bと、バスバーホルダ248と、を備えている。
【0069】
図11に示すように、中性点用バスバー(バスバー)240Aは、バスバーユニット249に1つ備えられている。中性点用バスバー240Aは、本体部242Aと、本体部242Aから延びる複数(4つ)の接続端子241と、を有する。中性点用バスバー240Aは、それぞれの接続端子241に接続されるコイル端21a同士を電気的に繋ぎ、スター結線される三相回路の中性点として機能する。
【0070】
相用バスバー(バスバー)240Bは、バスバーユニット249に3つ備えられている。相用バスバー240Bは、本体部242Bと、接続端子241と、を有する。本体部242Bは、それぞれのバスバーごとに異なる形状を有する。本体部242Bは、図示略の外部装置と接続するための接続部242aを有する。
【0071】
図11に示すように、中性点用バスバー240Aおよび相用バスバー240Bの接続端子241は、一方に開口するU字形状を有する。接続端子241とコイル端21aとの接続は、コイル端21aを挟み込んだ状態で溶接することによりなされている。なお、図11には、接続端子241とコイル端21aとが接続される前の状態を示す。
なお、本変形例においては、1つの接続端子241に1つのコイル端21aが接続されるが、複数のコイル端21aを接続してもよい。
【0072】
バスバーホルダ248は、樹脂材料からなり、バスバー240A、240Bの一部を埋め込んでインサート成型することで一体化したバスバーユニット249を構成する。バスバーホルダ248は、バスバー240A、240Bを支持する。
【0073】
図11に示すように、バスバーホルダ248は、円板形状を有する。バスバーホルダ248の中央には、シャフト11が貫通する孔248aが設けられている。また、バスバーホルダ248は、周方向に並ぶ複数の絶縁支持部251を有する。
【0074】
絶縁支持部251には、軸方向に貫通してコイル端21aを通過させる開口部253が設けられている。開口部253の上側には、中性点用バスバー240A又は相用バスバー240Bの接続端子241が位置しており、開口部253を通過したコイル端21aが接続されている。
【0075】
図12に示すように、絶縁支持部251は、開口部253の縁から軸方向に沿ってベアリングホルダ30側(すなわち下側)に延びる壁部252を有する。すなわち、壁部252の内側の領域が開口部253である。
【0076】
壁部252は、円筒形状を有している。壁部252の内周面の下端には、下側に広がるテーパ面252aが設けられている。したがって、壁部252の内側の開口部253は、ステータ20側(下側)に向かって広がっている。コイル端21aは、ステータ20側から開口部253に挿入される。開口部253を下側に向かって広がる形状とすることで、コイル端21aは、開口部253に容易に挿入される。
【0077】
壁部252の内周面のうち、テーパ面252aを除く部分には、軸方向に延びる周面252bが設けられている。周面252bに囲まれた領域は、開口部253の最も狭い部分である。開口部253の最も狭い部分は、軸方向から見てベアリングホルダ30の貫通孔31の内側に位置する。これにより、コイル端21aをベアリングホルダ30の貫通孔31の内側で支持し、貫通孔31とコイル端21aとの接触を抑制できる。
【0078】
壁部252は、ベアリングホルダ30の貫通孔31に挿入される。壁部252は、コイル端21aの外周とベアリングホルダ30の貫通孔31の内周面の間に位置する。これにより、コイル端21aと貫通孔31の内周面とが、壁部252により隔てられ、コイル端21aとベアリングホルダ30との絶縁の確実性を高めることができる。
【0079】
本変形例によれば、上述したモータ1と同様に、コイル端21aとベアリングホルダ30の貫通孔31との絶縁を確保できる。また、モータ1と同様に、コイル端21aを位置決めしてコイル端21aと接続端子241との接続を容易とすることができる。
加えて、上述したモータ1と比較して、コイルサポート50を備えることなく、上述の効果を奏することができる。すなわち、部品点数を少なくすることができるため、コスト削減を図ることができる。
【0080】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。
【0081】
<電動パワーステアリング装置>
次に、上述したモータ1(又はモータ2)を搭載する装置の実施形態について説明する。本実施形態においては、モータ1を電動パワーステアリング装置(車載装置)500に搭載した例について説明する。図13は、本実施形態の電動パワーステアリング装置500を示す模式図である。
【0082】
電動パワーステアリング装置500は、自動車の車輪の操舵機構に搭載される。電動パワーステアリング装置500は、操舵力を油圧により軽減する装置である。図13に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置500は、モータ1と、操舵軸574と、オイルポンプ576と、コントロールバルブ577と、を備える。
【0083】
操舵軸574は、ステアリング571からの入力を、車輪572を有する車軸573に伝える。オイルポンプ576は、車軸573に油圧による駆動力を伝えるパワーシリンダ575に油圧を発生させる。コントロールバルブ577は、オイルポンプ576のオイルを制御する。電動パワーステアリング装置500において、モータ1は、オイルポンプ576の駆動源として搭載されている。
【0084】
上述した実施形態のモータ1(又はモータ2)は、電動パワーステアリング装置500に代表する車載装置に好適に採用できる。モータ1は、絶縁支持部51によって、コイル端21aとベアリングホルダ30との絶縁の確実性を高めている。したがって、車載装置のような、強い振動を受ける環境下においても絶縁を確保することができる。
【0085】
なお、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0086】
1、2…モータ、10…ロータ、11…シャフト、12、13…ベアリング、20、20A、20B、20C…ステータ、21…コイル、21a…コイル端、22、22A、22B、22C…コイル線、26…(上側)インシュレータ、26a…爪部、26b…突起、27…(下側)インシュレータ、30…ベアリングホルダ、31…貫通孔、40、40B、240A、240B…バスバー、41、41B、241…接続端子、42、42B、242A、242B…本体部、48、248…バスバーホルダ、49、249…バスバーユニット、50、150、350…コイルサポート、51、151、251、351…絶縁支持部、52、152、252…壁部、53、153、253、353…開口部、53a…第1領域、53b…第2領域、56…爪受け部、56b…下端爪受け体、60…ハウジング、152c…凸部、155…誘導孔、252a…テーパ面、500…電動パワーステアリング装置(車載装置)、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13