(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電源装置100のブロック図である。
【0010】
本実施形態に係る電源装置100は、電池群10と、コントローラ20とを備えている。電源装置100は、負荷30に対して電力を供給する電源である。また、電源装置100は、負荷30からの電力により、電池体M
nに含まれるバッテリB
nを充電することも可能である。電源装置は、負荷30に接続されている。
【0011】
電池群10は、n個の電池体Mを有する。n個の電池体Mは並列に接続されている。n個の電池体Mの正極は、負荷30に接続されている。またn個の電池体Mの負極はグランド(GND)に接続されている。なお、nは2以上の整数である。
【0012】
電池体M
nは、リレーRa
nと、リレーRb
nと、バッテリB
nと、絶縁抵抗検知回路IR
nとを備えている。n個の電池体Mは、電源装置100内で並列に接続されている。nは、電源装置内に組み込まれる電池体の個数を表しており、
図1に示すように、1番目の電池体M
1、2番目の電池体M
2の順で、n番目の電池体M
nまでの電池体が接続されている。n個の電池体Mは電源装置100から取り外すことができる。例えば、n個の電池体Mが接続されている状態から、2番目の電池体M
2を取り外すことができる。そして、電源装置100は、2番目の電池体M
2を取り外した状態で、他の電池体(M
1、M
3、M
n)により電力を供給できる構成になっている。また、取り外した2番目の電池体M
2の代わりに、他の電池体Mが、2番目の電池体M
2の位置に接続されてもよい。このとき、新たに接続される他の電池体Mは、必ずしも未使用の電池体に限らず、使用後の電池体であってもよい。これにより、電源装置100は、負荷30の規模により、電池容量をフレキシブルに合わせることができる。
【0013】
リレーRa
nは、バッテリB
nのプラス側の回路を導通及び遮断するスイッチである。リレーRa
nは、バッテリB
nの正極に接続されている。リレーRa
nがオン状態であるときには、バッテリB
nの正極は負荷30及び他のリレーRa
1〜Ra
n−1と電気的に導通され、リレーRa
nがオフ状態であるときには、バッテリB
nの正極は負荷30及び他のリレーRa
1〜Ra
n−1と遮断される。
【0014】
リレーRb
nは、バッテリB
nのマイナス側の回路を導通及び遮断するスイッチである。リレーRb
nは、バッテリB
nの負極に接続されている。リレーRb
nがオン状態であるときには、バッテリB
nの負極は負荷30及び他のリレーRb
1〜Rb
n−1と電気的に導通され、リレーRb
nがオフ状態であるときには、バッテリB
nの負極は負荷30及び他のリレーRb
1〜Rb
n−1と遮断される。
【0015】
バッテリB
nは、複数の二次電池を直列に接続された電池の直列体である。二次電池には、例えばリチウムイオン電池が用いられる。
【0016】
絶縁抵抗検知回路IR
nは、電池体M
n内の絶縁抵抗を検知するための回路である。また絶縁抵抗検知回路IR
nは、バッテリB
nの絶縁抵抗も検知できる。絶縁抵抗検知回路IR
nは、バッテリB
nとリレーRb
nとの間を接続する接続線と、グランド(GND)との間に接続されている。すなわち、絶縁抵抗検知回路IR
nは、電池体M
nの強電と、弱電のグランドの間に接続されている。そして、絶縁抵抗検知回路IR
nは、強電と弱電との間のインピーダンスを測定することで、バッテリB
nの絶縁抵抗を含めて、電池体M
n内の絶縁抵抗を検知する。絶縁抵抗検知回路IR
nは、バッテリB
nを含んだ、リレーRa
nからリレーRn
bまでの絶縁抵抗を検知している。絶縁抵抗検知回路IR
nは、電圧を検出することで、絶縁抵抗を検知している。
【0017】
絶縁抵抗検知回路IRnによる強電と弱電との間のインピーダンスの検出方法は例えば、所定の振幅を有する電圧信号であるパルスを電池体Mnの強電との接続点に出力し、その際の接続点の電圧変化から検出することができる。すなわち、接続点にパルス状の電圧を印加した際の接続点の電圧振幅は強電と弱電との間のインピーダンスによって変化し、インピーダンスが低いほど接続点の電圧振幅が小さくなるため、接続点の電圧振幅を計測することによって電池体Mn内の絶縁抵抗を検出することができる。このような絶縁抵抗の検出方法は、例えば特開2003−250201や特開2004−53365公報等に記載されているように、既に良く知られた公知の手法であるため、詳細な説明は省略する。
【0018】
なお、電池体M
1〜電池体M
n−1の構成は、電池体M
nと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0019】
コントローラ20は、n個の電池体Mを制御するためのコントローラであって、CPU、RAM等を備えている。また、コントローラ20は、電池体Mを制御する際の機能ブロックとして、電池管理部21と、リレー制御部22と、異常診断部23とを有している。
【0020】
電池管理部21は、n個の電池体Mに含まれる各バッテリBの状態を管理しつつ、電池体Mの出力及び入力を制御する。電池管理部21は、電池体Mに接続されたセンサ(図示しない)の検出値(バッテリBの電圧)を用いて、バッテリBの状態を管理する。電池管理部21は、各バッテリBが過充電又は過放電にならないように、バッテリBの充電及び放電を制御する。また、電池管理部21は、バッテリBが過充電又は過放電になりそうな場合には、対象のバッテリBに接続されたリレーRa、Rbをオフにするための制御信号を、リレー制御部22に出力する。リレー制御部は、制御信号により特定されたリレーRa、Rbをオフにするように、スイッチング信号を出力する。これにより、過充電又は過放電になりそうなバッテリBが切り離されて、安全性を担保できる。
【0021】
リレー制御部22は、n個のリレーRaのオン、オフ、及び、n個のリレーRbのオン、オフをそれぞれ切り替える。リレー制御部22は、オン、オフを切り替えるスイッチング信号をn個のリレーRa及びn個のリレーRbにそれぞれ出力して、リレーRa、Rbの状態を切り替える。リレー制御部22は、n個の電池体Mの電力を負荷30に供給する場合には、全てのリレーRa、Rbをオンにする。また、n個の電池体Mのうち一部の電池体Mを切り離す場合には、リレー制御部22は、切り離しの対象となる電池体MのリレーRa、Rbをオフにし、切り離し対象外の電池体MのリレーRa、Rbをオンにする。また、リレー制御部22は、異常診断部23からの制御指令により、リレーRa、Rbの異常及びバッテリBの異常を診断するためのスイッチング信号を、リレーRa、Rbに送信する。
【0022】
異常診断部23は、n個のリレーRaの異常、n個のリレーRbの異常、及び、n個のバッテリBの地絡をそれぞれ診断する。異常診断部23には、n個の絶縁抵抗検知回路IRにより検知された絶縁抵抗の抵抗値(検出値)が入力される。異常診断部23は、リレー制御部22によるリレーRa、Rbの切り替え機能を用いて、リレーRa、Rbの異常及びバッテリBの地絡(絶縁抵抗の低下)を診断する。そして、異常診断部23は、入力された絶縁抵抗の抵抗値及びリレー制御部22から出力されるスイッチング信号に基づいて、リレーRa、Rbの異常及びバッテリBの地絡を診断する。異常診断部23による診断機能の詳細は後述する。
【0023】
ところで、リレーRa、Rbは、高電圧下で大電流の導通、遮断を切り換える。そのため、リレーRa、Rbの接点が固着する可能性がある。例えば、過充電又は過放電の電池体Mを切り離す際に、リレーRa、Rbがオン側に固着している場合には、リレーRa、Rbをオフにすることできずに、電池体Mの電流を遮断できなくなってしまう。そこで、本実施形態に係る電源装置100は、以下の要領で、リレーRa、Rbの異常を診断している。
【0024】
図2〜
図4を用いて、リレーRa、Rbの異常を診断する診断制御及びバッテリBの絶縁抵抗の低下を検知する検知制御を説明する。
図2は、プラス側のリレーRaを診断する際の診断制御のフローチャートである。
図3は、1番目のリレーRa
1の異常を診断する際の診断制御のフローチャートである。
図4は、マイナス側のリレーRbを診断する際の診断制御のフローチャートである。
【0025】
初期条件として、リレー制御部22は、マイナス側の全てのリレーRbをオフにする。
【0026】
ステップS1にて、リレー制御部22は、リレーRaをオフにするためのスイッチング信号を、プラス側の全てのリレーRaに出力する。異常診断部23は、全てのリレーRaに対してオフ信号を出力した際に、絶縁抵抗検知回路IR
1〜IR
nにより、各電池体M
1〜M
nの絶縁抵抗を検知する。そして、異常診断部23は、バッテリB
1〜B
nの地絡及びリレーRa
1〜Ra
nのオン固着(On固着)を診断する。
【0027】
絶縁抵抗検知回路IR
1〜IR
nの各検出値(各電池体M
1〜M
nの絶縁抵抗の抵抗値)のうち、1個の検出値が正常値(予め定めた、地絡が発生していない場合の抵抗値)より低い場合には、ステップS2にて、異常診断部23は、バッテリBの絶縁抵抗が低下していると判定する。絶縁抵抗が低下したバッテリBは、正常値より低い絶縁抵抗をもつ電池体Mに含まれるバッテリBである。正常値は、バッテリBが正常な状態であるときの電池体Mの絶縁抵抗を示し、予め設定された値である。バッテリBの絶縁抵抗が低下している場合には、バッテリBに地絡が生じている可能性がある。そのため、異常診断部23は、バッテリBに異常が生じている旨の指令を、電池管理部21に出力し、診断の制御フローを終了する。
【0028】
絶縁抵抗検知回路IR
1〜IR
nの各検出値(各電池体M
1〜M
nの絶縁抵抗の抵抗値)のうち、2個以上の検出値が正常値より低い場合には、ステップS3にて、異常診断部23は、プラス側のリレーRaのオン固着が発生していると判定する。オン固着が発生したリレーRaは、正常値より低い絶縁抵抗をもつ電池体Mに含まれるリレーRaである。異常診断部23は、リレーRaのオン固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0029】
絶縁抵抗検知回路IR
1〜IR
nの全ての検出値が正常値以上である場合には、ステップS4にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1の固着を診断する。
【0030】
図3を用いて、ステップS4の制御フローを説明する。
図3は、ステップS4のサブ制御フローを示している。まず、異常診断部23は、ステップS21からステップS27までの制御フローにより、リレーRa
1にオン固着が発生しているか否かを診断する。
【0031】
ステップS21にて、リレー制御部22は、リレーRaをオンにするためのスイッチング信号(オン指令とも称す)を2番目のリレーRa
2に出力し、リレーRaをオフにするためのスイッチング信号(オフ指令とも称す)を1番目のリレーRa
1と3番目からn番目までのリレーRa
3〜Ra
nに出力する。
【0032】
ステップS22にて、異常診断部23は、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低いか否か判定する。
【0033】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低い場合には、ステップS23にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1のオン固着が発生していると判定する。1番目のリレーRa
1のオン固着が発生している場合には、1番目のリレーRa
1と、スイッチング信号によりオン状態である2番目のリレーRa
2との間が電気的に導通されるため、1番目の電池体M
1と2番目の電池体M
2との間で閉ループが形成される。そのため、オン指令が2番目のリレーRa
2に出力された際に、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の検出値に比べて低下する。
【0034】
すなわち、リレーRa
1とリレーRa
2の両方がオンとなっている場合には電気的に、電池体M
1(バッテリB
1)と電池体M
2(バッテリB
2)とで構成される直列体とグランド間の絶縁抵抗は、電池体M
1とグランド間の絶縁抵抗と電池体M
2とグランド間の絶縁抵抗とが並列接続された状態となる。このため、リレーRa
1のオン固着が発生していない場合(リレーRa
1がオフの場合)には、リレーRa
2がオンとなった際に絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値は変化しないが、リレーRa
1のオン固着が発生している場合(リレーRa
1がオンの場合)には、リレーRa2がオンとなった際に絶縁抵抗検知回路IR1の検出値が低下する。
異常診断部23は、1番目のリレーRaのオン固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0035】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値以上である場合には、3番目のリレーRa
3をオンにして、1番目のリレーRa
1のオン固着が発生しているか否かを再度、判定する。
【0036】
ステップS21〜ステップS23の制御フローにおいて、2番目のリレーRa
2のオフ固着が発生している場合には、リレーRa
2にオン指令を出力しても、1番目のリレーRa
1の状態に関わらず、1番目の電池体M
1と2番目の電池体M
2との間で閉ループが形成されない。そのため、異常診断部23が、1番目のリレーRa
1のオン固着を診断できない可能性がある。そこで、本実施形態では、ステップS3にて、2番目のリレーRa
2以外の他のプラス側のリレーをオンにして、リレーRa
1のオン固着の再診断を行っている。
【0037】
ステップS24にて、リレー制御部22は、オン指令を3番目のリレーRa
3に出力し、リレーRaをオフにするためのスイッチング信号を1番目のリレーRa
1と、2番目のリレーRa
2と、4番目からn番目までのリレーRa
4〜Ra
nにそれぞれ出力する。
【0038】
ステップS25にて、異常診断部23は、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低いか否か判定する。
【0039】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低い場合には、ステップS26にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1のオン固着が発生していると判定する。
【0040】
一方、絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値以上である場合には、ステップS27にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1にオン固着が発生していないと判定する。
【0041】
次に、異常診断部23は、ステップS28からステップS34までの制御フローにより、リレーRa
1にオフ固着が発生しているか否かを診断する。
【0042】
ステップS28にて、リレー制御部22は、オン指令を1番目のリレーRa
1、及び3番目のリレーRa
3に出力し、オフ指令を2番目のリレーRa
2及び4番目からn番目までのリレーRa
4〜Ra
nに出力する。
【0043】
ステップS29にて、異常診断部23は、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低いか否か判定する。
【0044】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値以上である場合には、ステップS30にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1のオフ固着が発生していると判定する。1番目のリレーRa
1のオフ固着が発生している場合には、オン指令が、1番目のリレーRa
1と3番目のリレーRa
3に対して出力されても、1番目のリレーRa
1と3番目のリレーRa
3との間が電気的に導通されないため、1番目の電池体M
1と3番目の電池体M
3との間で閉ループが形成されない。そのため、オン指令が1番目のリレーRa
1及び3番目のリレーRa
3に出力されたとしても、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の検出値に比べて低下しない。異常診断部23は、1番目のリレーRaのオフ固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0045】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低い場合には、ステップS31にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1と2番目のリレーRa
2をオンにして、1番目のリレーRa
1のオフ固着が発生しているか否かを再度、判定する。2番目のリレーRa
2のオン固着が発生している場合には、ステップS28からステップS30の制御フローでは、リレーRa
1のオフ固着を正確に判定できない可能性があるため、本実施形態では、2番目のリレーRa
2をオンにして、リレーRa
1のオフ固着の再診断を行っている。
【0046】
ステップS31にて、リレー制御部22は、オン指令を1番目のリレーRa
1、及び2番目のリレーRa
2に出力し、オフ指令を3番目からn番目までのリレーRa
3〜Ra
nに出力する。
【0047】
ステップS32にて、異常診断部23は、1番目の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低いか否か判定する。
【0048】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値以上である場合には、ステップS33にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1のオフ固着が発生していると判定する。
【0049】
絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値が、オン指令の出力前の絶縁抵抗検知回路IR
1の検出値より低い場合には、ステップS34にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1のオフ固着が発生していないと判定する。そして、ステップS35にて、異常診断部23は、1番目のリレーRa
1が正常であると判定する。これにより、1番目のリレーRa
1の状態が正常であることが確定し、ステップS4の制御フローが終了する。
【0050】
図2に示すように、ステップS5にて、リレー制御部22は、オン指令を1番目のリレーRa
1に出力し、オフ指令を2番目からn番目までのリレーRa
2〜Ra
nにそれぞれ出力する。ステップS6にて、異常診断部23は、2番目からn番目までの絶縁抵抗検知回路IR
2〜IR
nの検出値が、オン指令の出力前の2番目からn番目までの絶縁抵抗検知回路IR
2〜IR
nの検出値より低いか否かを、それぞれ判定する。
【0051】
2番目からn番目までの絶縁抵抗検知回路IR
2〜IR
nの検出値のうち、いずれか一つの検出値が、オン指令の出力前の検出値より低い場合には、ステップS7にて、異常診断部23は、プラス側のリレーRaのオン固着が発生していると判定する。オン固着が発生したリレーRaは、オン指令の出力前の検出値より低い絶縁抵抗をもつ電池体Mに含まれるリレーRaである。異常診断部23は、リレーRaのオン固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0052】
2番目からn番目までの絶縁抵抗検知回路IR
2〜IR
nの検出値が、オン指令の出力前の検出値以上である場合には、ステップS8にて、異常診断部23は、2番目からn番目のリレーRa
2〜Ra
nにオン固着が発生していないと判定する。
【0053】
ステップS4の診断制御により、リレーRa
1の状態が正常であることが確定している。プラス側の全てのリレーRa
1〜n及びマイナス側の全てのリレーRb
1〜nがオフ状態で、1番目のリレーRa
1にオン指令を出力した際に、2番目からn番目のリレーRa
2〜Ra
nのうち、いずれか一つのリレーRaにオン固着が発生している場合には、1番目のリレーRa
1とオン固着のリレーRaとの間が電気的に導通され、絶縁抵抗検知回路IRの検出値は、オン指令の出力前の検出値よりも低下する。そして、異常診断部23は、絶縁抵抗の低下した絶縁抵抗検知回路IRを特定することで、2番目からn番目のリレーRa
2〜Ra
nのうち、どのリレーRaにオン固着が発生しているか、診断できる。
【0054】
一方、2番目からn番目の全てのリレーRa
2〜Ra
nでオン固着が発生していない場合には、1番目のリレーRa
1と2番目からn番目のリレーRa
2〜Ra
nとの間は遮断された状態のため、絶縁抵抗検知回路IR
1〜IR
nの検出値は、オン指令の出力前の検出値よりも低下しない。そのため、異常診断部23は、2番目からn番目のリレーRa
2〜Ra
nにオン固着が発生していないことを診断できる。
【0055】
ステップS8の制御の後、ステップS9にて、リレー制御部22は、オン指令の出力対象となるリレーRaを2番目のリレーRa
2に設定する(
図2に示す、p=2に相当する。なおpは2からnまでの整数である。)。ステップS10にて、リレー制御部22は、オン指令を1番目のリレーRa
1及びp番目リレーRa
pに出力し、オフ指令を1番目のリレーRa
1及びp番目リレーRa
p以外のリレーRaにそれぞれ出力する。
【0056】
ステップS11にて、異常診断部23は、p番目の絶縁抵抗検知回路IR
pの検出値が、オン指令の出力前のp番目の絶縁抵抗検知回路IR
pの検出値より低下したか否かを判定する。p番目の絶縁抵抗検知回路IR
pの検出値が、オン指令の出力前の検出値より低下していない場合には、ステップS12にて、異常診断部23は、p番目のリレーRa
pのオフ固着が発生していると判定する。異常診断部23は、p番目のリレーRa
pのオフ固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0057】
p番目の絶縁抵抗検知回路IR
pの検出値が、オン指令の出力前の検出値より低下した場合には、ステップS13にて、異常診断部23は、p番目のリレーRa
pにオフ固着が発生していないと判定する。ステップS14にて、異常診断部23は、pがnに達したか否かを判定する。pがn未満である場合には、ステップS15にて、コントローラ20は、pをインクリメントしつつ、ステップS10の制御フローを実行する。そして、コントローラ20が、pがnに達するまで、ステップS10からステップS15までの制御フローを繰り返し実行することで、オフ固着の診断が、2番目からn番目まで行われる。
【0058】
pがnと等しい場合には、ステップS16にて、コントローラ20は、プラス側の全てのリレーRa
1〜nが正常であると判定し、プラス側のリレーRaの診断の制御フローを終了する。
【0059】
ステップS8までの制御フローにより、リレーRa
1の状態が正常であること、及び、リレーRa
2〜nのオン固着が発生していないことが確定している。プラス側の全てのリレーRa
1〜n及びマイナス側の全てのリレーRb
1〜nがオフ状態で、1番目のリレーRa
1及びp番目のリレーRa
pにオン指令を出力した際に、p番目のリレーRa
pにオフ固着が発生している場合には、1番目のリレーRa
1とオフ固着のリレーRa
pとの間が電気的に遮断され、絶縁抵抗検知回路IR
1、IR
pの検出値は、オン指令の出力前の検出値より低下しない。これにより、異常診断部23は、p番目のリレーRa
pにオフ固着が発生していることを、診断できる。
【0060】
一方、p番目のリレーRa
pにオフ固着が発生していない場合には、1番目のリレーRa
1とp番目のリレーRa
pとの間が電気的に導通され、絶縁抵抗検知回路IR
1、IR
pの検出値は、オン指令の出力前の検出値より低下する。
【0061】
これにより、異常診断部23は、p番目のリレーRa
pにオフ固着が発生していないことを、診断できる。さらに、オン指令を出力するp番目のリレーRa
pを、2番目からn番目まで順に切り換えることで、異常診断部23は、2番目からn番目までのリレーRa
2〜nのオフ固着を診断できる。
【0062】
プラス側の全てのリレーRaが正常であることが診断された場合には、異常診断部23は、
図4に示す制御フローを実行することで、マイナス側のリレーRbの異常を診断する。マイナス側のリレーRbを診断する際の初期条件として、リレー制御部22は、プラス側の全てのリレーRbをオフにする。
【0063】
ステップS41からステップS48までの制御フローは、ステップS1からステップS8までの制御フローと同様であるため、説明を省略する。また、ステップS44の制御フロー(1番目のマイナス側のリレーRb
1の診断制御)は、
図3に示す制御フローと同様である。ただし、スイッチング信号を出力するリレーと、診断対象のリレーは、プラス側ではなく、マイナス側とする。
【0064】
ステップS48の制御の後、異常診断部23は、マイナス側のリレーRbのオフ固着を診断する。ステップS49にて、リレー制御部22は、全てのマイナス側のリレーRb
1〜nにオン指令を出力する。
【0065】
プラス側のリレーRaのオン固着の診断制御の際には(
図2に示すステップS10〜S15の制御フローに相当)、マイナス側のリレーRbが正常であることは確定していないため、2番目からn番目まで、1つずつリレーRaをオンにしていた。これにより、オンになったプラス側のリレーRaと、オン固着が発生しているマイナス側のリレーRbとの間が、電気的に導通することを防ぐことができる。
【0066】
一方、マイナス側のリレーRaのオン固着の診断制御の際には、プラス側のリレーRaが正常であることは確定しているため、全てのプラス側のリレーRaをオフにしつつ、全てのマイナス側のリレーRbをオンにしても、プラス側のリレーRaとマイナス側のリレーRbが導通することはない。すなわち、2番目からn番目まで、1つずつリレーRbをオンにしなくてもよいため、制御フローが簡素化され、コントローラ20の演算負荷を軽減できる。
【0067】
ステップS50にて、異常診断部23は、2番目からn番目の絶縁抵抗検知回路IR
2〜nの検出値が、オン指令の出力前の2番目からn番目の絶縁抵抗検知回路IR
2〜nの検出値より低下したか否かを判定する。2番目からn番目の絶縁抵抗のうち、いずれか1つの絶縁抵抗がオン指令の出力前の絶縁抵抗よりも低下していない場合には、ステップS51にて、異常診断部23は、リレーRbのオフ固着が発生していると判定する。オフ固着が発生したリレーRbは、オン指令の出力前の検出値より低い絶縁抵抗をもつ電池体Mに含まれるリレーRbである。異常診断部23は、リレーRbのオフ固着を診断した後、診断の制御フローを終了する。
【0068】
一方、2番目からn番目までの絶縁抵抗検知回路IR
2〜IR
nの検出値が、オン指令の出力前の検出値以上である場合には、ステップS52にて、異常診断部23は、2番目からn番目のリレーRb
2〜Rb
nにオフ固着が発生していないと判定する。ステップS53にて、コントローラ20は、マイナス側の全てのリレーRb
1〜nが正常であると判定し、マイナス側のリレーRbの診断の制御フローを終了する。
【0069】
コントローラ20は、上記の制御フローにより、バッテリBの絶縁抵抗の低下を検知した場合には、絶縁抵抗の低下したバッテリBを他のバッテリBから切り離すように、リレーRa、Rbを制御する。また、コントローラ20は、上記の制御フローにより、リレーRa、Rbの固着を検知した場合には、フェールセーフ制御により、バッテリBの安全性を確保する。
【0070】
上記のように、本実施形態では、バッテリB、リレーRa、及びリレーRbを有した電池体を並列に接続した電池群10のそれぞれの絶縁抵抗を検出し、リレーRa、Rbのオン、オフを切り換えるスイッチング指令を出力し、絶縁抵抗の検出値及びスイッチング指令に基づいて、リレーRa、Rbの少なくともいずれか一方のリレーの異常を診断する。これにより、電池が負荷に対して充電又は放電していない状態で、スイッチの異常を診断できるため、本発明は、電池容量のばらつきを変化させることなく、電源装置の状態を診断できる。
【0071】
本実施形態では、全てのリレーRa、Rbをオフにした状態で、複数のリレーRaのうちいずれか一つのリレーRa、又は、複数のリレーRbのうちいずれか一つのリレーRbをオンにするオン指令を出力する。そして、オン指令をリレーRaに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力前の絶縁抵抗値より低下した場合には、オン指令が出力されたリレーRa以外のリレーRaにオン固着が発生していると診断する。また、オン指令をリレーRbに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力前の絶縁抵抗値より低下した場合には、オン指令が出力されたリレーRb以外のリレーRbにオン固着が発生していると診断する。これにより、本実施形態は、リレーRa,Rbのオン固着を診断できる。
【0072】
本実施形態では、全てのリレーRa、Rbをオフにした状態で、複数のリレーRaのうちいずれか一つのリレーRa、又は、複数のリレーRbのうちいずれか一つのリレーRbをオンにするオン指令を出力する。そして、オン指令をリレーRaに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力前の絶縁抵抗値より低下していない場合には、オン指令が出力されたリレーRa以外のリレーRaにオン固着が発生していないと診断する。また、オン指令をリレーRbに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力前の絶縁抵抗値より低下していない場合には、オン指令が出力されたリレーRb以外のリレーRbにオン固着が発生していないと診断する。これにより、リレーRa,Rbの状態を診断できる。
【0073】
また本実施形態では、リレーRa,Rbの全てのスイッチをオフにするオフ指令を出力し、オフ指令をリレーRa,Rbに出力した際に、N個の電池体のうち、複数の絶縁抵抗の検出値が正常値より低い場合には、絶縁抵抗が低下した電池体Mに含まれるリレーRa又はリレーRbにオン固着が発生していると診断する。これにより、リレーRa、Rbのオフ固着を診断できる。
【0074】
また本実施形態では、リレーRa,Rbの全てのスイッチをオフにするオフ指令を出力し、オフ指令をリレーRa,Rbに出力した際に、N個の電池体の絶縁抵抗のそれぞれの検出値が正常値より低い場合には、絶縁抵抗が低下した電池体Mに含まれるバッテリBの絶縁抵抗が低下していると診断する。これにより、バッテリBの状態を診断できる。
【0075】
また本実施形態では、全てのリレーRa、Rbをオフにした状態で、複数のリレーRa又は複数のリレーRbをオンにするオン指令を出力する。そして、オン指令を複数のリレーRaに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力までの絶縁抵抗値より低下していない場合には、オン指令が出力された複数のリレーRaのうち、いずれか1つのリレーRaにオフ固着が発生していると診断する。また、そして、オン指令を複数のリレーRbに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力までの絶縁抵抗値より低下していない場合には、オン指令が出力された複数のリレーRbのうち、いずれか1つのリレーRbにオフ固着が発生していると診断する。これにより、リレーRa、Rbのオフ固着を診断できる。
【0076】
また本実施形態では、全てのリレーRa、Rbをオフにした状態で、複数のリレーRa又は複数のリレーRbをオンにするオン指令を出力する。そして、オン指令を複数のリレーRaに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力までの絶縁抵抗値より低下した場合には、オン指令が出力された複数のリレーRaにオフ固着が発生していないと診断する。また、そして、オン指令を複数のリレーRbに出力した際に、絶縁抵抗の検出値がオン指令の出力までの絶縁抵抗値より低下した場合には、オン指令が出力された複数のリレーRbにオフ固着が発生していないと診断する。これにより、リレーRa、Rbの状態を診断できる。
【0077】
なお、本実施形態では、プラス側のリレーRa及びマイナス側のリレーRbの両方のリレーを診断したが、プラス側又はマイナス側のいずれか一方のリレーのみを診断してもよい。また、プラス側のリレーRaの診断の後に、マイナス側のリレーRbの診断を行ったが、マイナス側のリレーRbの診断を、プラス側よりも先に行ってもよい。
【0078】
なお、本実施形態では、1番目のリレーRa
1の状態を診断した後に、他のリレーRaの状態を診断したが、必ずしも1番目のリレーRa
1に限らず、他のリレーRaの診断を1番目に行ってもよい。
【0079】
なお、本実施形態では、1番目のリレーRa
1が正常であることを確定させた後で、1番目のリレーRa
1と他のリレーRaにオン指令を出力して、当該他のリレーRaのオフ固着を診断している(ステップS10〜ステップS13の制御フローに相当)。本実施形態では、1つのリレーRaが正常であることを確定させることなく、複数のリレーRaにオン指令を出力し、絶縁抵抗を検知することで、複数のリレーRaのうち、いずれか1つのリレーRaにオン固着が発生していると診断してもよい。
【0080】
上記リレーRaが本発明に係る「正側スイッチ」に相当し、リレーRbが本発明に係る「負側スイッチ」に相当し、絶縁抵抗検知回路IRが本発明に係る「絶縁抵抗検出手段」に相当し、リレー制御部22が本発明の「スイッチ制御手段」に相当し、異常診断部23が本発明の「異常診断手段」に相当する。