特許第6589382号(P6589382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589382
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20191007BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20191007BHJP
【FI】
   F21S2/00 214
   F21V23/00 150
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-110089(P2015-110089)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-225129(P2016-225129A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川尻 兼史
(72)【発明者】
【氏名】松本 加奈江
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−110013(JP,A)
【文献】 特開2015−038822(JP,A)
【文献】 特開2014−235792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を実装した基板を載置する平板部と、
導電性を有する材料から前記平板部の裏面に一体に形成される胴体部と、
前記胴体部の終端に設けられた絶縁性の筒部を介して接続される口金と、を有するランプであって、
前記胴体部及び前記筒部の内部に亘って収容される電気回路基板と、
前記胴体部の内側面と前記電気回路基板との間に配設される可撓性を有する絶縁シートと、を備え、
前記筒部の前記胴体部との接続側端部の上面には、前記電気回路基板に形成された載置部と前記絶縁シートの終端とが載り、なおかつ、前記胴体部の内側面と前記絶縁シートとの間に延出する突出部全周に亘って形成されており、
前記電気回路基板の載置部には、前記絶縁シートの終端が面する箇所に、前記接続側端部の上面との間に隙間を形成する切欠が設けられている
ことを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記突出部は、前記筒部の前記接続側端部から前記胴体部の側に向かって厚みが薄くなり、内周面が傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記胴体部は、前記平板部の側の端部に、前記電気回路基板との距離をとる逃げ部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記胴体部の直径は、前記電気回路基板が収まる程度に小さく形成されており、
前記筒部の外径は前記胴体部の外径よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLEDや有機EL等の発光素子を光源に備え、既設のソケットに装着可能なLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの高出力化、及び低コスト化に伴い、電球の代替として使用可能な電球型のLEDランプが普及している。この種のLEDランプは、一般に、LEDを実装したLED基板を平円板に載置し、この平円板の裏面に、電源回路等の電気回路基板を収めた筒状の胴体部を接続し、この胴体部の終端に絶縁部を挟んで口金を設けて構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、この種のLEDランプでは、平円板及び胴体部を熱伝導性材で形成するとともに、当該胴体部に放熱フィンを設け、LEDの発熱を平円板及び胴体部に伝導させて放熱フィンから放熱する放熱構造が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−010134号公報
【特許文献2】特開2009−206104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、胴体部にあっては、放熱性を高めるために材料に導電性材を用いると、電気回路基板との間の電気的な絶縁性が悪くなる、という問題がある。胴体部と電気回路基板との間の隙間を大きくすることで、胴体部と電気回路基板とが十分に絶縁されるが、そうすると、胴体部が大型化し、また重くなるという問題がある。
なお、かかる問題は、LEDに限らず、他の発光素子を光源に備え、電気回路基板を内蔵したランプに共通するものである。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電気回路基板と胴体部とを十分に絶縁できるランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、発光素子を実装した基板を載置する平板部と、導電性を有する材料から前記平板部の裏面に一体に形成される胴体部と、前記胴体部の終端に設けられた絶縁性の筒部を介して接続される口金と、を有するランプであって、前記胴体部及び前記筒部の内部に亘って収容される電気回路基板と、前記胴体部の内側面と前記電気回路基板との間に配設される可撓性を有する絶縁シートと、を備え、前記筒部の前記胴体部との接続側端部の上面には、前記電気回路基板に形成された載置部と前記絶縁シートの終端とが載り、なおかつ、前記胴体部の内側面と前記絶縁シートとの間に延出する突出部全周に亘って形成されており、前記電気回路基板の載置部には、前記絶縁シートの終端が面する箇所に、前記接続側端部の上面との間に隙間を形成する切欠が設けられていることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記ランプにおいて、前記突出部は、前記筒部の前記接続側端部から前記胴体部の側に向かって厚みが薄くなり、内周面が傾斜面であることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記ランプにおいて、前記胴体部は、前記平板部の側の端部に、前記電気回路基板との距離をとる逃げ部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記ランプにおいて、前記胴体部の直径は、前記電気回路基板が収まる程度に小さく形成されており、前記筒部の外径は前記胴体部の外径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒部の胴体部との接続側端部に、胴体部の内側面と絶縁シートとの間に延出する突出部を全周に亘って形成したため、筒部と胴体部との境目と、電気回路基板との間の沿面距離を伸ばすことができ、電気回路基板と胴体部とを十分に絶縁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るLEDランプの外観構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
図2】LEDランプを分解して示す斜視図である。
図3】LEDランプの内部構成を示す断面図である。
図4】ベース板の平面図である。
図5】絶縁シートの構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は胴体部への装着状態時の平面図、(C)は胴体部への装着状態時の側面図である。
図6】電気回路基板の構成を示す図である。
図7】絶縁筒部と胴体部との接続部分の拡大断面図である。
図8】逃げ部の構成を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、発光素子を光源に備えるランプとして、LEDを光源に備えたLEDランプを例示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば有機EL等の他の発光素子を光源に備えるランプにも適用可能である。
【0013】
図1は本実施形態に係るLEDランプ1の外観構成を示す図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は側面図、図1(C)は底面図である。図2はLEDランプ1を分解して示す斜視図である。図3はLEDランプ1の内部構成を示す断面図である。
これらの図に示すように、LEDランプ1は、既存の電球と形状及び光学特性が略同じになるように構成されており、既存の電球の代替として使用可能となっている。
【0014】
すなわち、LEDランプ1は、図1に示すように、高熱伝導性を有する材料から形成された略円筒状の胴体部2を有し、この胴体部2の先端2C(図3参照)に発光部12が設けられる。胴体部2の、終端2Aには、絶縁性を有する材料から形成された筒状の絶縁筒部10が設けられており、この絶縁筒部10の終端10A(図2)に口金3が冠着されている。口金3は、既存のソケット(不図示、例えばE26型ソケット)に螺合するネジ山が切られた筒状のシェル5と、このシェル5の端部の頂部に絶縁部6を介して設けられたアイレット7とを備え、シェル5及びアイレット7がソケットに装着可能な形状寸法に構成されている。これにより、当該LEDランプ1は、天井や壁面に既設のソケットや、既存の電球を装着して使用するランプホルダーのソケットに装着でき、既存の電球の代替として使用できる。
【0015】
発光部12は、複数のLED15を光源に備え、図2及び図3に示すように、LED15の点灯に要するドライバ回路や電源回路等の電気回路を搭載した電気回路基板8が胴体部2及び絶縁筒部10に配設されている。電気回路基板8の電源回路と、口金3のシェル5、及びアイレット7とは、それぞれリード線9A、9Bにより電気的に接続されており、これらシェル5、及びアイレット7を通じてソケットからの電力が電気回路基板8の電源回路に供給される。
【0016】
シェル5と胴体部2とは絶縁筒部10によって電気的に絶縁されており、胴体部2の放熱性を高めるべく導電性を有する材料で構成しても、口金3のシェル5と胴体部2との間の絶縁が良好に維持されるように構成される。本実施形態では、胴体部2を熱伝導性樹脂から形成するとともに、絶縁筒部10を絶縁性樹脂から形成し、胴体部2及び絶縁筒部10をインサート成形している。なお、胴体部2及び絶縁筒部10を二色成形により形成してもよい。
【0017】
胴体部2を熱伝導性樹脂から形成することで、アルミニウム等の金属材料でベース板13及び胴体部2を形成したときよりもLEDランプ1の軽量化が図られ、電球の代替としてLEDランプ1を既存のソケットや既存のランプホルダーに装着する場合でも、当該LEDランプ1の重量を支えるために既存のソケットや既存のランプホルダーを補強する作業や部材が必要なく、そのまま代替使用することができる。また軽量化により、後述の放熱フィン25の枚数を増やすことができるので、表面積が増え、より効率的に放熱性を高めることができる。このような熱伝導性樹脂としては、例えば高熱伝導性のカーボン繊維(本実施形態では帝人(株)製ラヒーマ(登録商標))を混入したポリカーボネイト樹脂を好適に用いることができる。また胴体部2と絶縁筒部10とを樹脂材のインサート成形により一体に形成することで接合が強固なものとなる。
【0018】
図4に示すように、絶縁筒部10は有底筒状に形成され、底を成す終端10Aには、終端10Aを貫通する配線孔31A、31Bが形成されている。配線孔31A、31Bにおける胴体部2側の面には、胴体部2側ほど拡径する導入穴部32が形成されている。
リード線9A、9Bは、電気回路基板8における口金3側の端に接続され、配線孔31A、31Bを通ってシェル5、及びアイレット7にそれぞれ接続される。配線孔31Aから引き出されたリード線9Aは、絶縁筒部10の終端10Aで外側に屈曲して絶縁筒部10の外側面に沿って延びシェル5に接続される。一方、配線孔31Bから引き出されたリード線9Bは、そのまま直線的に延びてアイレット7に接続される。また、絶縁筒部10に口金3を取り付ける際には、シェル5を絶縁筒部10の終端10Aに係合させた状態で、外周側から絶縁筒部10にかしめて固定する。
【0019】
次いでLEDランプ1の発光部12について詳述する。
発光部12は、上述の通り、胴体部2における口金3と逆側の先端2Cに設けられている。発光部12は、板状のベース板13を有し、このベース板13の上面に、複数のLED15が実装された、後述のLED基板16が設けられている。ベース板13は、胴体部2よりも大きな径の上面視略円板状の部材であり、裏面には上記胴体部2の先端2Cが連接されている。ベース板13、及び胴体部2は同一の材料、すなわち熱伝導性樹脂材から一体に形成されており、これらベース板13、胴体部2、及び絶縁筒部10により、LEDランプ1の筐体35が構成されている。
【0020】
図4はベース板13の平面図である。
同図に示すように、ベース板13の面内には、当該胴体部2の連接箇所に対応して、電気回路基板8を胴体部2に挿入するための上面視略円形(胴体部2と略同径)の挿入開口14が形成されている。挿入開口14の一部には、外径方向に切り欠いて形成された逃げ部115が設けられる。逃げ部115は、詳細については後述するが、電気回路基板8の幅方向の両端部が対向する位置に設けられる。電気回路基板8は、図3に示すように、胴体部2の先端から絶縁筒部10にかけて延びる長さで、この胴体部2の中空形状に係合する正面視形状を有して形成されている。
【0021】
図3に示すように、胴体部2の直径Rは、電気回路基板8の横幅と略同程度に形成されており、胴体部2の内側には、図4に示すように、胴体部2の終端2A側に電気回路基板8の縁8Bを挟み込む固定用溝部51Aが設けられる。電気回路基板8を挿入開口14から挿入すると、電気回路基板8の縁8Bが固定用溝部51Aに挟み込まれ、電気回路基板8が胴体部2内に固定される。
胴体部2の中には電気回路基板8を取り囲むように巻かれた絶縁シート28が設けられており、当該絶縁シート28により、胴体部2と電気回路基板8との間が電気的に絶縁されている。
【0022】
LED15は、例えばSMDやCOBのようなLED素子をパッケージ化してなるLEDを好適に用いることができる。本実施形態では、LED15に白色LEDが用いられている。なお、LED15に白色以外の他の発光色のLEDを用いても良いことは勿論である。LED15は、図2に示すように、円板状の回路基板である上記LED基板16の上に複数配置されている。
【0023】
LED基板16は、図2に示すように、上記ベース板13にネジ止め固定され、その略中央には、リード線引出開口17が形成されている。胴体部2に挿着された電気回路基板8から電力供給用の陽極及び陰極のリード線(図示せず)がリード線引出開口17を通じて引出されて、このLED基板16の上面に形成されている回路パターン80に電気的に接続され、当該回路パターンを通じて各LED15に電力が供給される。
【0024】
ベース板13は、図2及び図3に示すように、周縁に沿って側壁19を有したトレー状を成し、この側壁19の内周面にLED基板16を覆うグローブ22が取り付けられている。このグローブ22と側壁19の間には、詳細については後述するが、シール部材26が設けられており、グローブ22を側壁19に挿入するのに伴い、シール部材26がグローブ22と側壁19の間に挟み込まれる。このように、グローブ22と側壁19との間にシール部材26を挟み込むことで発光部12の防水性が保持される。
グローブ22には、図示を省略するが、LEDランプ1の銘番を内面に印刷や刻印等で設けている。これにより、LEDランプ1が風雨に晒されても銘番が消えることがなく、また擦れによって消えたりすることもない。
【0025】
図2及び図3に示すように、発光部12には、各LED15から側壁19に向かい遮光される光線成分Saを反射させグローブ22から取り出して照明に利用可能にする環状の反射体21が設けられている。環状の反射体21には、各LED15を取り囲むようにベース板13の円周に沿って配置され、LED15から入射する光線成分Saをグローブ22に向けて反射する反射面21Aが形成されている。かかる反射体21を備えることで、LEDランプ1の光利用効率が向上し、また、水平方向(LED基板16の面に平行な方向)への光の拡がりが抑えられる。
なお、各LED15から側壁19に向かって遮光される光線成分Saをグローブ22から取り出して照明に利用可能にすべく、反射体21の反射面21Aは、高い反射率が得られるように高反射グレード素材を使用しているが、アルミニウム蒸着等でも良い。また、カバーには、拡散材を添加したり、シボ加工を施したり、ショットブラスト等による表面処理により、拡散性を持たせてもよい。
【0026】
LED基板16とベース板13の間には、図2及び図3に示すように、LED基板16と同等の面積かそれ以下の大きさのLED基板用放熱シート20が挟まれており、LED15の発熱がLED基板16からLED基板用放熱シート20を通じてベース板13に効率良く導かれ、このベース板13を含む筐体35の全体から外気に放熱される。なお、LED基板用放熱シート20を用いることなく、LED基板16の裏面に放熱性能を有する弾性材質からなる樹脂を所要の厚さコートし一体化する構成としても良い。LED基板用放熱シート20またはLED基板16の裏面のコートに絶縁性能を持たせても良い。
すなわち、ベース板13及び上記胴体部2は共に高熱伝導性を有する材料から一体に形成されていることから、ベース板13と胴体部2の間の熱抵抗は小さく、ベース板13に導かれた熱が胴体部2にロスを少なくして伝えられる。
【0027】
また、LED基板用放熱シートの代わりに銅やアルミ等熱伝導率の高い金属板をLED基板16とベース板13の間に設置してもよい。LED基板16からの熱をベース板13に効率よく伝えるとともに、金属板がヒートスプレッダとして働き複数のLED15からの熱をベース板13の全体に伝え、放熱フィン25の全体から放熱することで放熱効率を上げることができる。
尚、金属板をLED基板16よりも大きく形成し、金属板をヒートシンクとして利用することもできる。このとき金属板の周縁部を折り曲げ放熱面積を増やしてもよい。
【0028】
胴体部2の外周面には、先端2Cから終端2Aに延びる板状の放熱フィン25が胴体部2の軸線を中心にして放射状に多数立設されており、胴体部2に導かれた熱が各放熱フィン25から放熱される。各放熱フィン25は、フィン端部25Aがベース板13の裏面13Aに連接されるとともに、これら放熱フィン25、胴体部2及びベース板13が一体に形成されている。これにより、胴体部2に伝わった熱がロスなく放熱フィン25から放熱されるとともに、ベース板13からも直接放熱フィン25に熱が伝えられることから、放熱フィン25への伝熱量が増加して高い放熱性能が得られる。
【0029】
また胴体部2の直径Rは、上述の通り、内蔵の電気回路基板8が収まる程度(電気回路基板8の幅程度)に小さく形成されているため、LED基板16とベース板13の接触面積を確保できLED基板16とベース板13間での伝熱量を多くできる。これに加え、ベース板13と胴体部2の径の差も大きくなるため、放熱フィン25のフィン端部25Aを胴体部2からベース板13の縁部(側壁19)まで延びる長さとすることで、このフィン端部25Aと裏面13Aの接触面積も大きくなり、より多くの発熱を放熱フィン25に導き放熱できる。
【0030】
ところで、胴体部2にあっては直径Rを電気回路基板8の幅程度まで小さくすると、胴体部2に電気回路基板8が近接し、胴体部2と電気回路基板8との間の電気的な絶縁性能が劣化する。そこで、上述の通り、胴体部2の中には、電気回路基板8を囲むように巻いた絶縁シート28を設けることにより、胴体部2の内側面の全体を絶縁シート28で覆い、電気回路基板8と胴体部2の間の絶縁性能を高めることとしている。絶縁シート28は可撓性及び絶縁性を有する1枚のシートを帯状に形成したものであって、胴体部2への装着時には、シートの両端28A、28B同士が重なるように筒状に巻いた状態でベース板13の挿入開口14から挿入される。胴体部2の中では絶縁シート28が巻き戻りによって拡がり、このときの巻き戻る力によって胴体部2の内側面を覆うように装着される。このように、絶縁シート28を帯状に形成し、巻いた状態でベース板13の挿入開口14に挿入し、絶縁シート28の巻き戻りによって胴体部2の中に装着する構成としたため、胴体部2の内側面の全面を覆うように絶縁シート28を簡単に装着することができる。
【0031】
図5は絶縁シート28の構成を示す図であり、図5(A)は平面図、図5(B)は胴体部2への装着状態時の平面図、図5(C)は胴体部2への装着状態時の側面図である。
同図に示すように、絶縁シート28は可撓性及び絶縁性を有する1枚のシートを帯状に形成したものであって、胴体部2への装着時には、両端28A、28B同士が重なるように筒状に巻いた状態でベース板13の挿入開口14から挿入される。
胴体部2の中では絶縁シート28が巻き戻りによって拡がり、このときの巻き戻る力によって胴体部2の内側面を覆うように装着される。
このように、絶縁シート28を帯状に形成し、巻いた状態でベース板13の挿入開口14に挿入し、絶縁シート28の巻き戻りによって胴体部2の中に装着する構成としたため、胴体部2の内側面の全面を覆うように絶縁シート28を簡単に装着することができる。
【0032】
図6は、電気回路基板8の構成を示す図である。図3に示したように、絶縁筒部10の直径Rbは、胴体部2の直径Raよりも小さくなるため、電気回路基板8の下端部8A側は、上端部側よりも幅が小さく形成される。図6に示すように、電気回路基板8は、下端部8Aを絶縁筒部10内に挿入可能にすべく、長手方向の途中で段状に幅が変えられている。電気回路基板8は、筐体35内部に格納された状態で、この段状の載置部8Dが、絶縁筒部10の、胴体部2との接続側端部10Bに載置される。また、絶縁筒部10の接続側端部10Bには、絶縁シート28の終端28Dが載置される。
ところで、電気回路基板8の載置部8Dと胴体部2との間において、絶縁シート28の終端28Dと絶縁筒部10の接続側端部10Bとの境目から落雷時に放電が発生する可能性があった。
【0033】
そこで、本実施形態では、図3及び図7に示すように、絶縁筒部10の胴体部2との接続側端部10Bに、胴体部2側に突出する突出部110を設けた。突出部110は、胴体部2の内周面と、絶縁シート28との間に延出するように形成される。また、突出部110は、胴体部2の内周面に沿って接続側端部10Bから延び、接続側端部10Bの全周に亘って形成される。また、突出部110は、接続側端部10Bから、胴体部2側に向かって厚みが薄くなり、内周面が傾斜面111となるように形成される。絶縁シート28の終端28Dは、胴体部2の中に挿入された際に、突出部110の傾斜面111により、突出部110と電気回路基板8の間に案内されて、接続側端部10Bに載置される。
【0034】
この構成によれば、絶縁シート28の終端28Dが、突出部110と電気回路基板8との間に配設されるため、絶縁筒部10と胴体部2との境目を絶縁シート28で覆うことができ、絶縁性能を向上することができる。また、突出部110を、胴体部2の内周面と、絶縁シート28との間に延出させたため、電気回路基板8と胴体部2との間の沿面距離を突出部110に沿って伸ばすことができ、絶縁性能を向上することができる。
【0035】
また、絶縁筒部10の接続側端部10Bと、絶縁シート28の終端28Dとの境目と同じように、胴体部2の挿入開口14近傍と、絶縁シート28の始端28Eとの境目では、絶縁性能が弱くなってしまう。そこで、本実施形態では、図8に示すように、挿入開口14の周縁の一部を、周方向に所定区間に亘って外径方向に切り欠いて、胴体部2と電気回路基板8との距離をとる逃げ部115を設けている。
図8は、逃げ部115の構成を示す図である。図8に示すように、逃げ部115は、筐体35の一部を胴体部2の外径方向に切り欠いて設けられる。また、逃げ部115は、電気回路基板8の幅方向の両端部に対向する位置に設けられる。
【0036】
上述したように、胴体部2と電気回路基板8との間には、絶縁シート28が配設される。絶縁シート28は、始端28Eが、電気回路基板8よりも上方に位置するように構成される。また、逃げ部115は、絶縁シート28と対向する面の上端115Aが、絶縁シート28の始端28Eよりも、下方に位置するように形成される。
この構成によれば、絶縁シート28の始端28Eが、電気回路基板8の上端8C及び、逃げ部115の上端115Aよりも上方に配置される。これにより、電気回路基板8と筐体35との間の沿面距離を伸ばすことが出来、絶縁性能を向上することができる。
【0037】
以上説明した実施形態によれば次のような効果を奏する。
すなわち、本実施形態のLEDランプ1によれば、LED15(発光素子)を実装したLED基板16を載置するベース板13(平板部)と、導電性を有する材料からベース板13の裏面13Aに一体に形成される胴体部2と、胴体部2の終端2Aに設けられた絶縁性の絶縁筒部10を介して接続される口金3と、を有するLEDランプ1であって、胴体部2及び絶縁筒部10の内部に亘って収容される電気回路基板8と、胴体部2の内側面と電気回路基板8との間に配設される絶縁シート28と、を備え、絶縁筒部10の胴体部2との接続側端部10Bに、胴体部2の内側面と絶縁シート28との間に延出する突出部110を全周に亘って形成した。この構成によれば、絶縁筒部10と胴体部2との境目を絶縁シート28で覆うことができ、絶縁性能を向上させることができる。また、電気回路基板8と胴体部2との間の沿面距離を突出部110に沿って伸ばすことができ、絶縁性能を向上させることができる。
【0038】
また本実施形態のLEDランプ1によれば、突出部110は、絶縁筒部10の接続側端部10Bから胴体部2側に向かって厚みが薄くなり、内周面が傾斜面である。この構成によれば、筒状に巻いた状態で挿入開口14から挿入された絶縁シート28は、終端28Dが突出部110の内周面に沿って案内される。これにより、絶縁筒部10と胴体部2との境目を確実に絶縁シート28で覆うことができ、絶縁性能を向上することができる。
【0039】
また本実施形態のLEDランプ1によれば、胴体部2は、先端2Cに、電気回路基板8との距離をとる逃げ部115を備えたため、筐体35と電気回路基板8との間の沿面距離を伸ばすことができ、絶縁性能を向上することができる。
【0040】
また本実施形態のLEDランプ1によれば、電気回路基板8は、絶縁筒部10の接続側端部10Bに載置される載置部8Dを備える。この構成によれば、電気回路基板8は、載置部8Dが絶縁筒部10の接続側端部10Bに載置された状態で筐体35内部に格納されるため、電気回路基板8の絶縁性を向上することができる。
【0041】
また本実施形態のLEDランプ1によれば、絶縁シート28は、絶縁筒部10の接続側端部10Bに載置されるため、絶縁筒部10と胴体部2との境目を確実に絶縁シート28で覆うことができ、絶縁性能を向上することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 LEDランプ
2 胴体部
2A 終端
2C 先端
3 口金
8 電気回路基板
8C 上端
8D 載置部
10 絶縁筒部
10B 接続側端部
12 発光部
13 ベース板
14 挿入開口
15 LED
22 グローブ
25 放熱フィン
28 絶縁シート
28D 終端
28E 始端
35 筐体
110 突出部
111 傾斜面
115 逃げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8