(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記複数のショーケースの各々の負荷レベルに基づいて各々の前記ショーケースへの運転指令の回数を算出するとともに、前記ショーケース毎に前記運転指令の回数分を前記所定期間に亘って振り分ける制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の冷却システムの制御装置。
前記制御部は、過去から現在までの運転実績を対象に算出された前記複数のショーケースの各々の運転率に基づいて前記負荷レベルを判別するとともに、判別された前記負荷レベルに基づいて、前記各期間に亘って同時運転される前記複数のショーケースの台数が互いに略同等になるように、前記各期間における前記ショーケースへの運転指令および停止指令を前記ショーケース毎に前記所定期間に亘って振り分ける制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却システムの制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたショーケース冷却装置では、制御上、同時運転されるショーケースの台数を制限することによって冷凍機(圧縮機)に対する負荷が一時期に集中するのが回避される一方、制限された台数の範囲内でもショーケースの運転台数が少ない期間と多い期間とが混在する場合には、ショーケース側の負荷変動に追従して圧縮機の回転数もその変動幅が大きく揺れ動く状況が生じやすいと考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷凍機と複数のショーケースとを含む冷却システムにおいて、ショーケース側の負荷が時間とともに変動しても、冷凍機側の負荷を安定化させることが可能な冷却システムの制御装置および冷却システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による冷却システムの制御装置は、冷凍機と、冷凍機に接続された複数のショーケースとを含む冷却システムの制御装置であって、ショーケースの各々の負荷レベルに基づいて、冷凍機が運転される所定期間を複数の期間に分割した各期間に
亘って同時運転される
複数のショーケースの台数が互いに略同等になるように、各期間におけるショーケースへの運転指令および停止指令をショーケース毎に所定期間に亘って振り分けるように構成された制御部を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による冷却システムの制御装置では、上記のように、ショーケースの各々の負荷レベルに基づいて、冷凍機が運転される所定期間を複数の期間に分割した各期間に
亘って同時運転される
複数のショーケースの台数が互いに略同等になるように、各期間におけるショーケースへの運転指令および停止指令をショーケース毎に所定期間に亘って振り分けるように構成された制御部を設ける。これにより、複数のショーケースへの運転指令および停止指令が所定期間内の一時期に集中することに起因して冷凍機(圧縮機)に大きな負荷がかかる期間と負荷がほとんどかからない期間とが交互に繰り返される状況を回避することができる。すなわち、互いに異なる負荷レベルを有するショーケースが1つの冷凍機に接続された冷却システムにおいて、各期間に同時運転されるショーケースの台数が互いに略同等になる状態が所定期間に亘って持続されるので、冷凍機(圧縮機)に対する負荷をこの複数の期間からなる所定期間に亘って平準化させることができる。この結果、ショーケース側の負荷が時間とともに変動しても、冷凍機側の負荷を随時安定化させることができる。また、冷凍機の負荷が安定化されるので、圧縮機の不必要な発停(起動および停止)も少なくなり、冷却システムの省エネ性を向上させることができる。
【0009】
上記第1の局面による冷却システムの制御装置において、好ましくは、制御部により、複数のショーケースの各々の負荷レベルに基づいて、各期間に
亘って同時運転させる
複数のショーケースの組み合せが各期間に略同等のショーケースの台数になるように所定期間に亘って順次割り当てられた運転テーブルが作成されるように構成されており、運転テーブルに基づいて各々のショーケースが運転されるように構成されている。このように構成すれば、運転テーブルを作成することによって、冷凍機の負荷を安定化させた状態で、各ショーケースの負荷レベルを容易に反映させて冷却システム全体の運転制御を行うことができる。また、各々のショーケースの負荷レベルの変動に応じて運転テーブルの内容を更新する(常に略同等の運転台数になるように運転させるショーケースと停止させるショーケースとの組合せを期間毎に組み替える)ことができるので、各々のショーケースの負荷レベルの変動に追随させながらも冷凍機の負荷の安定化(均一化)を容易に維持することができる。
【0010】
上記第1の局面による冷却システムの制御装置において、好ましくは、制御部は、複数のショーケースの各々の負荷レベルに基づいて各々のショーケースへの運転指令の回数を算出するとともに、ショーケース毎に運転指令の回数分を所定期間に亘って振り分ける制御を行うように構成されている。このように構成すれば、各々のショーケースの負荷レベルに基づいて算出されたショーケース毎の運転指令の回数を、各期間において同時運転させるショーケースの台数を互いに略同等にする条件を満たしつつ、ショーケース毎の運転指令の回数分を複数の期間からなる所定期間に亘って容易に振り分けることができる。
【0011】
上記第1の局面による冷却システムの制御装置において、好ましくは、ショーケースの負荷レベルに応じて所定期間におけるショーケースの運転パターンが予め登録されており、制御部は、複数のショーケースの負荷レベルに基づいて、予め登録されたショーケースの運転パターンを互いに組み合せることにより、各期間に
亘って同時運転される
複数のショーケースの台数が互いに略同等になるようにショーケースへの運転指令および停止指令をショーケース毎に所定期間に亘って振り分ける制御を行うように構成されている。このように構成すれば、各期間に略同等の同時運転台数になるショーケースの組み合せを、予め登録されたショーケースの運転パターンの中から迅速に選択することができる。したがって、制御部からショーケースの負荷変動に影響されることなく冷凍機の負荷を安定化させるための運転制御指令を各ショーケースに対して迅速に配信することができる。
【0012】
上記第1の局面による冷却システムの制御装置において、好ましくは、制御部は、過去から現在までの運転実績を対象に算出された複数のショーケースの各々の運転率に基づいて負荷レベルを判別するとともに、判別された負荷レベルに基づいて、各期間に
亘って同時運転される
複数のショーケースの台数が互いに略同等になるように、各期間におけるショーケースへの運転指令および停止指令をショーケース毎に所定期間に亘って振り分ける制御を行うように構成されている。このように構成すれば、過去から現在までの運転実績を対象に算出された各ショーケースの運転率に基づき把握された負荷レベルに基づいて、現在以降の所定期間における各ショーケースへの運転指令/停止指令の回数を容易に決定することができる。そして、各ショーケースの負荷レベルに基づき決定された回数分に対応する運転指令および停止指令を、複数の期間からなる所定期間の中に容易に振り分けることができる。
【0013】
この発明の第2の局面による冷却システムの制御方法は、冷凍機と、冷凍機に接続された複数のショーケースとを含む冷却システムの制御方法であって、冷凍機に接続される複数のショーケースの負荷レベルを取得するステップと、取得された負荷レベルに基づいて、冷凍機が運転される所定期間を複数の期間に分割した各期間に
亘って同時運転される
複数のショーケースの台数が互いに略同等になるように、各期間におけるショーケースへの運転指令および停止指令をショーケース毎に所定期間に亘って振り分けるステップとを備える。
【0014】
この発明の第2の局面による冷却システムの制御方法では、上記のように構成することによって、複数のショーケースへの運転指令および停止指令が所定期間内の一時期に個別に集中することに起因して冷凍機(圧縮機)に大きな負荷がかかる期間と負荷がほとんどかからない期間とが交互に繰り返される状況を回避することができる。すなわち、互いに異なる負荷レベルを有するショーケースが1つの冷凍機に接続された冷却システムにおいて、各期間に同時運転されるショーケースの台数が互いに略同等になる状態が所定期間に亘って持続されるので、冷凍機(圧縮機)に対する負荷をこの複数の期間からなる所定期間に亘って平準化させることができる。この結果、ショーケース側の負荷が時間とともに変動しても、冷凍機側の負荷を随時安定化させるように冷却システムを運用することができる。また、冷凍機の負荷が安定化(均一化)されるので、圧縮機の不必要な発停(起動および停止)も少なくなり、冷却システムの省エネ性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、冷凍機と複数のショーケースとを含む冷却システムにおいて、ショーケース側の負荷が時間とともに変動しても、冷凍機側の負荷を安定化(均圧化)させることが可能な冷却システムの制御装置および冷却システムの制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、
図1〜
図7を参照して、本発明の第1実施形態によるショーケース冷却システム100の構成について説明する。なお、ショーケース冷却システム100は、特許請求の範囲の「冷却システム」の一例である。
【0019】
(ショーケース冷却システムの構成)
本発明の第1実施形態によるショーケース冷却システム100は、
図1に示すように、店舗110(二点鎖線枠内)に設置された6台のショーケース1〜6と、ショーケース1〜6に冷媒配管20を介して接続された1台の冷凍機10と、ショーケース1〜6および冷凍機10の運転を統括制御する統合コントローラ90とを備える。なお、統合コントローラ90は、特許請求の範囲の「冷却システム制御装置」の一例である。
【0020】
(ショーケースの構成)
ショーケース1〜6は機器構成が基本的に同様であるので、ショーケース1を代表して説明する。説明の都合上、ショーケース2〜6の構成についても適宜言及する。ショーケース1(2〜6)と冷凍機10とによって冷媒を循環させる冷凍サイクル装置が構成されている。冷凍機10は、回転数(運転周波数)の変更により冷媒吐出量が制御可能なインバータ制御式の1台の圧縮機11と、凝縮器12と、凝縮器12を冷却する外気ファン13とを備える。また、ショーケース1〜6は、店舗110の屋外または屋内の機械室等に設置された冷凍機10に対して冷媒配管20を介して互いに並列に接続されている。
【0021】
ショーケース1は、電磁弁1aと、膨張弁1bと、蒸発器1cと、商品収納庫内と蒸発器1cとの間で冷気を循環させる庫内ファン1dと、商品収納庫の温度を検出する庫内温度センサ1eとを備える。圧縮機11から矢印P方向に吐出された冷媒は、凝縮器12を経た後に分流して蒸発器1c〜6cに流通した後、圧縮機11に戻される。なお、電磁弁1a〜6aのいずれかが閉状態に制御された場合、対応する蒸発器1c〜6cのいずれかには冷媒が流通しないことになり、そのショーケースは、冷却運転が停止される。
【0022】
また、ショーケース1は、
図2に示すように、制御部1fと記憶部1gとを備える。また、電磁弁1aと膨張弁1bと庫内ファン1dと庫内温度センサ1eとが制御部1fに電気的に接続されている。また、冷凍機10は、制御部15と記憶部16とを備える。そして、圧縮機11と外気ファン13と記憶部16とが制御部15に電気的に接続されている。
【0023】
ショーケース1の運転内容としては、庫内温度の設定値と庫内温度センサ1eにより検出される現在値との偏差に応じて制御部1fにより電磁弁1aが開状態または閉状態に制御される。電磁弁1aが開かれると冷凍機10からの冷媒が膨張弁1bを経て蒸発器1cに流通される。膨張弁1bの開度制御とともに蒸発器1cへの冷媒流量が制御されて冷却能力が発揮される。庫内温度が設定値に達すると電磁弁1aが閉状態に切り替えられて蒸発器1cの冷却動作が停止される。そして庫内温度が設定値未満になると再び電磁弁1aが開状態に切り替えられて蒸発器1cの冷却動作が再開される。これにより、ショーケース1の庫内温度が設定の温度範囲に保たれる。ショーケース2〜6についても、運転内容は同様である。したがって、同じ時刻におけるショーケース1〜6の運転状態(電磁弁1a〜6aの各々の開閉状態)に応じて冷凍機10の負荷も変動する。この場合、ショーケースの運転台数(電磁弁の開状態)に対応して設定された圧縮機11の吸入圧力設定値と現在の吸入圧力との偏差に基づいて圧縮機11の回転数(運転周波数)制御が行われる。これにより、冷凍サイクル装置内を循環する冷媒量が調整される。
【0024】
また、ショーケース1は、稼働状況に関する運転データを有する。
図3に示すように、運転データには、運転モードとしての「温調運転状態」、「除霜運転状態」、「清掃・点検状態」または「警報発生状態」などや、温調運転時における電磁弁1aの開閉情報(開状態または閉状態)、商品収納庫の庫内温度および設定温度、除霜タイマ情報、照明調光情報などの各種データが含まれる。これらの運転データは、記憶部1gに随時記憶される。
【0025】
そして、
図1に示すように、ショーケース1〜6と統合コントローラ90、および、冷凍機10と統合コントローラ90は、共に通信回線80を介して通信可能に接続されている。ショーケース1〜6の各々の記憶部(記憶部1gなど)に記憶された運転データ(
図3参照)が、統合コントローラ90に収集されるとともに、所定の処理判断に基づく統合コントローラ90からの制御指令に基づいて、ショーケース1〜6の各々からの運転要求に応じてショーケース1〜6および冷凍機10が運転制御されるように構成されている。
【0026】
ここで、第1実施形態では、ショーケース1〜6から収集された運転データに基づいて、各々のショーケースの負荷レベルが統合コントローラ90側で把握されるとともに、各ショーケースの負荷レベルに応じて冷凍機10の負荷(圧縮機11の運転周波数)が制御されるように構成されている。すなわち、特定の時間に圧縮機11に対する負荷が集中しないように1分間毎の負荷配分が行われる。したがって、1分間に同時に運転されるショーケースの台数が平準化されて、圧縮機11の運転周波数の変動幅が小さくなるように構成されている。この点に関して、統合コントローラ90の制御的な構成を以下に説明する。
【0027】
(統合コントローラの構成)
統合コントローラ90は、ショーケース1〜6および冷凍機10とは別個な制御機器として構成されており、圧縮機11の運転周波数の指令値を冷凍機10に出力し、かつ、電磁弁1a〜6aに対する開閉指令(後述する送信データ51)をショーケース1〜6の各々の制御部1f〜6fに出力するための制御回路が内部に組み込まれている。
【0028】
具体的には、
図2に示すように、統合コントローラ90は、統括制御部30(破線で示す)と、統括制御部30の指令に基づきショーケース1〜6および冷凍機10との通信を行うための通信部40と、運転データ記憶部41と、他の制御データを記憶可能な記憶部42と、表示画面部43とを備える。また、統括制御部30は、運転率算出手段31と、運転帯域決定手段32と、運転テーブル作成手段33として機能する。なお、統括制御部30において、運転率算出手段31、運転帯域決定手段32および運転テーブル作成手段33の各機能は、制御プログラムなどのソフトウェアにより実現可能に構成されている。なお、統括制御部30は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0029】
運転データ記憶部41は、通信部40を介して取得されたショーケース1〜6の運転データを記憶する機能を有する。具体的には、
図3に示すように、時間経過に伴うショーケース1〜6の稼働状況(温調運転状態「0」、除霜運転状態「1」、清掃作業中「2」または警報発生状態「3」)などが記憶される。また、運転データ記憶部41には、上記した運転データに加えて、温調運転時における電磁弁1aの開閉情報(開状態または閉状態)、商品収納庫の庫内温度、設定温度、除霜タイマ情報、照明調光情報なども記憶される。また、表示画面部43(
図6参照)は、図示しない操作ボタンを介して運転データ記憶部41に記憶されたショーケース1〜6の運転データや、統合コントローラ90により作成された運転テーブル50(
図6参照)などが表示されるように構成されている。
【0030】
次に、統括制御部30(
図2参照)における運転率算出手段31(
図2参照)は、運転データ記憶部41に記憶された運転データ(
図3参照)から、ショーケース1〜6ごとの運転率Pを算出する機能を有する。たとえば、ショーケース1の運転率Pは、下記の式(1)によって示される。
運転率P=(電磁弁1aが開状態のデータ数)÷(電磁弁1aの開状態および閉状態のデータ総数)×100[%]・・・(1)
上記式(1)の算出期間は、現在時刻から過去30分間であり、運転率算出手段31により対象となるショーケース1の過去30分間の運転実績が運転率Pとなって算出される。
【0031】
運転帯域決定手段32(
図2参照)は、運転率算出手段31により算出された運転率Pを基準として、次の10分間のショーケース1の運転帯域Wを決定する機能を有する。第1実施形態では、運転帯域W=運転率Pとして設定される。したがって、運転帯域決定手段32により、次の10分間は、運転帯域W(=運転率P)でショーケース1を運転することが決定される。なお、運転帯域Wは、特許請求の範囲の「負荷レベル」の一例である。
【0032】
より詳細には、
図4に示すように、統合コントローラ90(
図2参照)による制御開始点(0分)から数えて30分間の第1期間に対して1回目の算出が行われて運転率P1が算出された場合、次の10分(31分〜40分)の運転帯域W1が運転率P1に設定される。そして、その10分後(40分)には、10分から数えて30分間の第2期間に対して2回目の算出が行われて運転率P2が算出された場合、次の10分(41分〜50分)の運転帯域W2が運転率P2に設定される。さらに、その10分後(50分)には、20分から数えて30分間の第3期間に対して3回目の算出が行われて運転率P3が算出された場合、次の10分(51分〜60分)の運転帯域W3が運転率P3に設定される。このようにして、10分ごとに運転率Pxの算出期間(30分)がスライドしながら次の10分間の運転帯域Wx(=運転率Px)が設定されるように構成されている。
【0033】
そして、
図5に示すように、ショーケース1〜6をそれぞれ1号機〜6号機とした場合、ある時刻において算出された運転率Pxに対して次の10分間の運転帯域Wxがそれぞれ設定される。一例として、1号機の運転帯域Wxが60%、2号機の運転帯域Wxが70%、3号機の運転帯域Wxが40%、4号機の運転帯域Wxが40%、5号機の運転帯域Wxが50%、6号機の運転帯域Wxが30%のように設定されているとする。
【0034】
そして、運転テーブル作成手段33(
図2参照)は、運転帯域決定手段32(
図2参照)により決定(設定)されたショーケース1〜6(1号機〜6号機)の各々の運転帯域Wxに基づいて、次の10分間における1号機の電磁弁1aから6号機の電磁弁6aの開閉のタイミングチャート(運転テーブル50(
図6参照))を作成する機能を有する。
【0035】
具体的には、
図6に示すように、1号機(ショーケース1)は、運転帯域Wxが60%なので、単位時間通番における第1分〜第6分が「開」に割り当てられ、第7分〜第10分が「閉」に割り当てられる。すなわち、ショーケース1の運転帯域Wx=60%に基づいてショーケース1への運転指令(電磁弁1aを開く指令)の回数が「6回」と算出されるとともに、この6回分が10分間中に振り分けられる。同様に、2号機(ショーケース2)は、運転帯域Wxが70%なので、1号機の続きで、第7分〜第10分が「開」かつ単位時間通番における先頭の第1分〜第3分が「開」に割り当てられ、残りの単位時間通番は「閉」に割り当てられる。3号機(ショーケース3)は、運転帯域Wxが40%なので、2号機の続きで、第4分〜第7分が「開」に割り当てられ、他の単位時間通番は「閉」に割り当てられる。
【0036】
4号機(ショーケース4)は、運転帯域Wxが40%なので、3号機の続きで、第8分〜第10分が「開」かつ単位時間通番における先頭の1分が「開」に割り当てられ、残りの単位時間通番は「閉」に割り当てられる。5号機(ショーケース5)は、運転帯域Wxが50%なので、4号機の続きで、第2分〜第6分が「開」に割り当てられ、他の単位時間通番は「閉」に割り当てられる。最後に、6号機(ショーケース6)は、運転帯域Wxが30%なので、5号機の続きで、第7分〜第9分が「開」に割り当てられ、他の単位時間通番は「閉」に割り当てられる。なお、10分間は、特許請求の範囲の「所定期間」の一例である。
【0037】
これにより、
図6において単位時間通番を縦に見た場合、第1分は、1号機、2号機および4号機の電磁弁が「開」であり、この1分間におけるショーケースの同時運転台数は、3台になる。第2分および第3分は、1号機、2号機および5号機の電磁弁が「開」であり、各々の1分間におけるショーケースの同時運転台数は、3台になる。また、第4分〜第6分は、1号機、3号機および5号機の電磁弁が「開」であり、各々の1分間におけるショーケースの同時運転台数は、3台になる。第7分は、2号機、3号機および6号機の電磁弁が「開」であり、この1分間におけるショーケースの同時運転台数は、3台になる。また、第8分および第9分は、2号機、4号機および6号機の電磁弁が「開」であり、各々の1分間におけるショーケースの同時運転台数は、3台になる。そして、第10分は、2号機および4号機の電磁弁が「開」であり、この1分間におけるショーケースの同時運転台数は、2台になる。このように、ショーケース毎の運転帯域Wに基づいて、1分間に同時運転させるショーケースの台数がより少なくなるように、各々の1分間における電磁弁の「開」指令をショーケース毎に10分間に亘って振り分けている。なお、1分間は、特許請求の範囲の「所定期間を複数の期間に分割した各期間」の一例である。
【0038】
したがって、10分間では、第1分〜第9分までがショーケースの同時運転台数は3台になり、第10分がショーケースの同時運転台数は2台になり、10分間を通して冷凍機10に対する負荷変動はショーケース1台分にも満たなくされる。すなわち、10分間を通して圧縮機11に対する運転周波数の制御値も大幅に変動することはなく、運転周波数が小さい変動幅(この場合、第10分目で若干下げられる程度)に抑えられる状態となる。
【0039】
このように、第1実施形態では、ショーケース1〜6の各々の運転帯域Wに基づいて、冷凍機10が運転される10分間を10分割した1分間において同時運転されるショーケース1〜6の台数が互いに略同等(2台ないし3台)になるように、各1分間におけるショーケース1〜6への運転指令および停止指令をショーケース毎に10分間に亘って振り分けるような運転テーブル50が統合コントローラ90の統括制御部30より作成されるように構成されている。また、運転率Pxに基づいて、現在以降のショーケース1〜6毎の運転帯域Wxが予測されるので、運転テーブル50は、過去から現在そして現在以降へと変遷するショーケース1〜6の各々の運転帯域Wxの変動を把握しつつ、現在から次の10分間におけるショーケース1〜6の同時運転台数の変動分を冷凍機10側の負荷の見積もりに反映させて作成される。したがって、ショーケース毎の運転帯域Wxに基づいて圧縮機11の負荷が10分毎に見直されて、随時平準化される制御が行われる。
【0040】
そして、運転テーブル50(
図6参照)は、統括制御部30(
図2参照)において
図7に示す送信データ51に作り替えられる。たとえば、1号機については、次の10分間の運転パターンとして「1号機のアドレス番号」+「1、1、1、1、1、1、0、0、0、0」+「エラーチェックコード」からなるデータ列として作成される。ここで、「1」は「電磁弁1aを開く」を意味し、「0」は「電磁弁1aを閉じる」を意味する。2号機〜6号機についても同様の要領でデータ列が作成される。そして、通信部40(
図2参照)を介してショーケース1〜6(各々の制御部1f〜6f(
図2参照))に向けて配信される。
【0041】
したがって、ショーケース1〜6では、受信された送信データ51に従って電磁弁1a〜6aの開閉制御を行うように各々の制御部1f〜6f(
図1参照)が構成されている。なお、送信データ51に基づく10分間毎の電磁弁の開閉制御は、ショーケース1〜6の全てが温調運転状態の運転モードに入って一定の時間が経過してから実際に実行される。また、冷凍機10においては、運転テーブル50に基づき制御されるショーケースの運転台数(電磁弁の開状態)に対応して設定された圧縮機11の吸入圧力設定値と現在の吸入圧力との偏差に基づいて、制御部15により圧縮機11の回転数の制御が行われる。
【0042】
このように、ショーケース冷却システム100では、ショーケース1〜6から収集された運転データに基づいて、ショーケース1〜6の現在の運転帯域Wが統合コントローラ90側で把握されるとともに、ショーケース1〜6の運転帯域Wに応じて冷凍機10の負荷が制御される。すなわち、特定の時間に圧縮機11に対する負荷が集中しないように1分間毎の負荷配分が行われるので、1分間に同時に運転されるショーケースの台数が2台ないし3台に平準化されて、圧縮機11の運転周波数の変動幅が小さくなる。第1実施形態によるショーケース1の統合コントローラ90は、上記のように構成されている。
【0043】
次に、
図1、
図2および
図6〜
図8を参照して、統合コントローラ90における統括制御部30の制御動作に関する処理フローについて説明する。
【0044】
(統合コントローラの制御動作の説明)
図8に示すように、ある時刻において、ステップS1では、統括制御部30(
図2参照)の指令に基づき、現在時刻から遡って過去30分間分の運転データがショーケース1(2〜6)(
図1参照)から通信部40(
図2参照)を介して収集される。ステップS2では、運転データ(過去30分間分)に含まれる電磁弁1a(
図2参照)の開閉情報(閉状態「0」、開状態「1」)に基づいて、運転率算出手段31(
図2参照)により運転率Pが算出される。なお、運転率Pの算出式は、上記式(1)が使用される。その後、ステップS3では、運転率算出手段31により算出された運転率Pに基づいて、運転帯域決定手段32(
図2参照)により次の10分間のショーケース1(2〜6)の運転帯域Wが決定(設定)される。
【0045】
ステップS4では、運転帯域決定手段32により決定(設定)されたショーケース1〜6(1号機〜6号機)の各々の運転帯域Wに基づいて、次の10分間における1号機の電磁弁1aから6号機の電磁弁6aの開閉指令を規定した運転テーブル50(
図6参照)が運転テーブル作成手段33(
図2参照)により作成される。その後、ステップS5では、ステップS4で作成された運転テーブル50が送信データ51(
図7参照)に作り替えられて通信部40(
図2参照)を介して、ショーケース1〜6の各々の制御部1f〜6f(
図2参照)に配信された後、本制御フローは終了される。
【0046】
次に、
図1、
図2、
図6、
図7および
図9を参照して、統括制御部30によるショーケースの運転台数の割り当て方式(運転台数割り当て方式A)について説明する。
【0047】
(運転台数割り当て方式Aの説明)
図9に示すように、ステップS21では、全てのショーケース1〜6(
図1参照)に対する運転台数割り当て処理が終了したか否かが、統括制御部30(
図2参照)により判断される。ステップS21において、全てのショーケース1〜6に対する運転台数割り当て処理が終了したと判断された場合、本制御フローは終了される。
【0048】
また、ステップS21において、全てのショーケース1〜6に対する運転台数割り当て処理が終了していないと判断した場合、ステップS22では、1つ前のショーケースで割り当てた単位時間通番の続きから単位時間通番10(第10分)までの残りの時間枠に運転を割り当てる。ただし1号機は、単位時間通番1(第1分)から順次割り当てを行う。
【0049】
ステップS23では、単位時間通番10(第10分)を割り当てた時点で、まだ運転を割り当てる時間枠があるか否かが、統括制御部30(
図2参照)により判断される。ステップS23において、単位時間通番10を割り当てた時点で、運転を割り当てる時間枠が存在しないと判断された場合、ステップS21に戻る。一方、ステップS23において、単位時間通番10を割り当てた時点で、運転を割り当てる時間枠がまだ存在すると判断された場合、ステップS24において、未割り当て分を単位時間通番1(第1分)から順次割り当てる。そして、処理フローは、ステップS21に戻る。このようにして、
図6に示した運転テーブル50が作成される。なお、作成された運転テーブル50は、
図7に示すようなデータ形式(送信データ51)に作り替えられて、本制御フローは終了される。
【0050】
次に、
図2、
図7および
図10を参照して、ショーケース側における制御部15による制御動作に関する処理フローについて説明する。
【0051】
(ショーケース側における動作の説明)
図10に示すように、ステップS31では、制御部15(
図2参照)の指令に基づき統合コントローラ90から配信された送信データ51(
図7参照)を受信する。また、ステップS32では、受信された送信データ51(運転テーブル50)が記憶部16(
図2参照)に一時的に記憶される。また、ステップS33では、カウンタ値が、N=1に設定される。そして、ステップS34では、カウンタ値が「10」に到達したか否かが、制御部15により判断される。ステップS34においてカウンタ値が「10」に到達していないと判断された場合、ステップS35では、送信データ51が記憶部16から読み出される。
【0052】
その後、ステップS36では、送信データ51に基づいて電磁弁1aが開状態または閉状態に切り替えられる。そして、ステップS37では、1分間の待機が行われる。すなわち、ステップS36で開状態または閉状態に切り替えられた電磁弁1aの状態が、1分間保持される。その後、ステップS38では、カウンタ値が、N=N+1に設定される。そして、制御フローは、ステップS34に戻される。また、ステップS34においてカウンタ値が「10」に到達したと判断された場合、本制御フローは終了される。
【0053】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0054】
第1実施形態では、ショーケース1〜6の各々の運転帯域Wに基づいて、冷凍機10が運転される10分間を10分割した1分間において同時運転されるショーケース1〜6の台数が2台ないし3台(略同等)なるように、1分間におけるショーケース1〜6への運転指令および停止指令をショーケース1〜6毎に10分間に亘って振り分ける統括制御部30を統合コントローラ90に設ける。これにより、ショーケース1〜6への運転指令および停止指令が10分間のうちの一時期に個別に集中することに起因して冷凍機10(圧縮機11)に大きな負荷がかかる期間と負荷がほとんどかからない期間とが交互に繰り返される状況を回避することができる。すなわち、冷凍機10に対して互いに異なる運転帯域Wを有するショーケース1〜6が混在するショーケース冷却システム100において、1分間に同時運転されるショーケース1〜6の台数が互いに略同等(2台ないし3台)になる状況が10分間に亘って持続されるので、冷凍機10(圧縮機11)にかかる負荷を、この各1分を10回連続させた10分間に亘って平準化させることができる。この結果、ショーケース1〜6側の負荷が時間とともに変動しても、冷凍機10側の負荷を安定化させることができる。また、冷凍機10の負荷が安定化されるので、圧縮機11の不必要な発停(起動および停止)も少なくなり、ショーケース冷却システム100の省エネ性を向上させることができる。
【0055】
また、第1実施形態では、ショーケース1〜6の各々の運転帯域Wに基づいて、1分間に同時運転させるショーケース1〜6の組み合せが1分間に略同等の台数(2台ないし3台)になるように10分間に亘って順次割り当てられた運転テーブル50を作成するように統括制御部30を構成する。そして、運転テーブル50に基づき各々のショーケース1〜6が運転されるように構成する。これにより、運転テーブル50を作成することによって、冷凍機10の負荷を安定化させた状態で各ショーケース1〜6の運転帯域Wを容易に反映させてショーケース冷却システム100全体の運転制御を行うことができる。また、ショーケース1〜6の運転帯域Wの変動に応じて運転テーブル50の内容を更新する(常に略同等の運転台数になるように運転させるショーケースと停止させるショーケースとの組み合せを1分毎に組み替える)ことができるので、各々のショーケース1〜6の運転帯域Wの変動に追随させながらも冷凍機10の負荷の安定化を容易に維持することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、各ショーケースの運転帯域Wに基づいて各ショーケースへの運転指令の回数を算出する(W=60%なら電磁弁の「開」指令を6回と算出する)とともに、ショーケース1〜6毎に運転指令の回数分を10分間の中に振り分けるように統括制御部30を構成する。これにより、ショーケース1〜6の各々の運転帯域Wに基づいて算出されたショーケース1〜6毎の運転指令(電磁弁の「開」指令)の回数)を1分間において同時運転させるショーケース1〜6の台数を互いに略同等にする条件を満たしつつ、各ショーケースの運転指令の回数分を10分間の中に容易に振り分けることができる。
【0057】
また、第1実施形態では、過去から現在までの運転実績を対象に算出されたショーケース1〜6の各々の運転率Pに基づいて運転帯域Wを判別するとともに、判別された運転帯域Wに基づいて、1分間において同時運転されるショーケース1〜6の台数が互いに略同等になるように、1分間におけるショーケース1〜6への運転指令/停止指令をショーケース1〜6毎に10分間に亘って振り分けるように統括制御部30を構成する。これにより、過去から現在までの運転実績を対象に算出されたショーケース1〜6の各々の運転率Pに基づき把握された運転帯域Wに基づいて、現在以降の10分間における各ショーケースへの運転指令/停止指令の回数(たとえば、運転帯域Wが80%なら10分間のうち電磁弁の開弁指令を8回(8分間)にして、電磁弁の閉弁指令を2回(2分間)にすること)を容易に決定することができる。そして、ショーケース1〜6の各々の運転帯域Wに基づき決定された回数分に対応する運転指令および停止指令を、1分間を10回足し合わせた10分間(所定期間)の中に容易に振り分けることができる。
【0058】
[第2実施形態]
図1、
図2、
図5および
図11〜
図13を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なる運転台数の割り当て方式(運転台数割り当て方式B)を適用して運転テーブル60を作成する点について説明する。
【0059】
本発明の第2実施形態によるショーケース冷却システム200(
図2参照)では、運転帯域Wごとに運転パターンが予め規定(指定)された基本テーブル61(
図11参照)が記憶部42(
図2参照)に予め登録(記憶)されるように構成されている。
【0060】
(基本テーブルの構成)
具体的には、2台のショーケース(ショーケース1および2)を合算した運転帯域Wが100%になる組み合せとして、100%−0%、90%−10%、80%−20%、70%−30%、60%−40%および50%−50%の6つの組み合せが存在する。
【0061】
そこで、
図11に示すように、6つの組み合せを「組み合せ番号1」〜「組み合せ番号6」とし、各々の組み合せ番号における1台目のショーケースおよび2台目のショーケースの運転パターンが基本テーブル61に規定されている。たとえば、「組み合せ番号3」では、80%−20%の関係に対応するように、1台目のショーケースは10分間のうち第1分、第2分、第4分〜第7分、第9分および第10分に電磁弁1aの開指令が指定され、第3分および第8分は電磁弁1aの閉指令が指定されている。一方、2台目のショーケースは、1台目とは反対に、第3分および第8分に電磁弁2aの開指令が指定され、第1分、第2分、第4分〜第7分、第9分および第10分は電磁弁2aの閉指令が指定されている。
【0062】
そして、第2実施形態では、
図12に示すように、この予め登録された基本テーブル61(
図11参照)に基づいて、現在から次の10分間における1号機の電磁弁1aから6号機の電磁弁6aの開閉制御の運転テーブル60が作成されるように構成されている。
【0063】
具体的には、運転帯域Wが2台で100%になる組み合せとして、
図5に示された運転帯域Wxの設定例に基づくと、1号機(ショーケース1)の60%と3号機(ショーケース3)の40%が該当する。したがって、1号機には、
図11における基本テーブル61の「組み合せ番号5」の1台目のショーケースに該当する運転パターンが適用され、3号機には、「組み合せ番号5」の2台目のショーケースに該当する運転パターンが適用される。同様に、運転帯域Wが2台で100%になる組み合せとして、
図5に示された運転帯域Wxの設定例に基づくと、2号機(ショーケース2)の70%と6号機(ショーケース6)の30%が該当する。したがって、2号機には、基本テーブル61の「組み合せ番号4」の1台目のショーケースに該当する運転パターンが適用され、6号機には、「組み合せ番号4」の2台目のショーケースに該当する運転パターンが適用される。
【0064】
そして、これらの組み合せから漏れた4号機(ショーケース4)および5号機(ショーケース5)については、上記第1実施形態と同様に、4号機は運転帯域Wが40%なので、単位時間通番における第1分〜第4分が「開」に割り当てられ、第5分〜第10分が「閉」に割り当てられる。また、5号機は運転帯域Wが50%なので、4号機の続きで第5分〜第9分が「開」に割り当てられ、第10分と先頭に戻った第1分〜第4分が「閉」に割り当てられる。
【0065】
これにより、
図12においては、第1分は、1号機、2号機および4号機の電磁弁が「開」であり、この1分間におけるショーケースの同時運転台数は3台になる。第2分は、2号機、3号機および4号機の電磁弁が「開」であり、各々の1分間における同時運転台数は、3台になる。第3分は、3号機、4号機および6号機の電磁弁が「開」であり、各々の1分間における同時運転台数は3台になる。そして、第10分は、1号機および2号機の電磁弁が「開」であり、この1分間におけるショーケースの同時運転台数は2台になる。
【0066】
したがって、10分間では、第1分〜第9分までが同時運転台数は3台になり、第10分の同時運転台数は2台になり、10分間を通して冷凍機10に対する負荷の変動はショーケース1台分にも満たなくされる。すなわち、10分間を通して圧縮機11に対する回転数制御の制御値も大きく変動せず回転数が小さい変動幅に抑えられるように制御される。
【0067】
次に、
図1、
図2、
図11および
図13を参照して、統括制御部30によるショーケースの運転台数割り当て方式(運転台数割り当て方式B)について説明する。
【0068】
(運転台数割り当て方式Bの説明)
図13に示すように、ステップS41では、全てのショーケース1〜6(
図1参照)に対する運転台数割り当て処理が終了したか否かが統括制御部30(
図2参照)により判断される。ステップS41において、全てのショーケース1〜6に対する運転台数割り当て処理が終了したと判断された場合、制御フローは、後述するステップS48へ移行する。
【0069】
ステップS41において、全てのショーケース1〜6に対する運転台数割り当て処理が終了していないと判断された場合、ステップS42では、100%から、対象となるショーケースの運転帯域Wα(%)を差し引いた運転帯域Wβ(%)を算出する。そして、ステップS43では、未割り当てのショーケース群の中に運転帯域Wβが設定されたショーケースが存在するかが検索される。そして、ステップS44では、運転帯域Wβが設定されたショーケースが存在するか否かが判断される。ステップS44において運転帯域Wβが設定されたショーケースが存在すると判断された場合、ステップS45では、事前登録された基本テーブル61(
図11参照)の中に運転帯域Wα(%)および運転帯域Wβ(%)の組み合せ(ペアーのショーケース)が存在するか否かが判断される。
【0070】
ステップS45において事前登録された基本テーブル61の中に運転帯域Wαおよび運転帯域Wβの組み合せが存在すると判断された場合、ステップS46では、その組み合せに対応する運転パターンを用いて、2台分(ペアー)のショーケースの10分間における運転台数の割り当てを決定する。その後、処理は、ステップS41に戻される。
【0071】
また、ステップS44で運転帯域Wβが設定されたショーケースが存在しないと判断された場合、および、ステップS45において事前登録された基本テーブル61の中に運転帯域Wαおよび運転帯域Wβの組み合せが存在しないと判断された場合、ステップS47では、対象としたショーケースを未割り当て状態として認識し、ステップS41に戻る。
【0072】
また、ステップS41において、全てのショーケース1〜6に対する運転台数割り当て処理が終了したと判断された場合、ステップS48では、未割り当てのショーケースが存在するか否かが判断される。ステップS48において、未割り当てのショーケースが存在すると判断された場合、ステップS49では、未割り当てのショーケースに対して、上記第1実施形態で説明した「運転台数割り当て方式A」を適用して運転台数の割り当てを行う。すなわち、
図9に示したステップS21〜S24が実行される。また、ステップS48において、未割り当てのショーケースが存在しないと判断された場合、本制御フローは終了される。なお、第2実施形態によるその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
第2実施形態では、ショーケース1〜6の運転帯域Wに応じて10分間におけるショーケース1〜6の運転パターン(基本テーブル61)を予め登録しておく。そして、ショーケース1〜6の運転帯域Wに基づいて、予め登録された運転パターン(基本テーブル61)を組み合せることにより、1分間において同時運転されるショーケース1〜6の台数が2台ないし3台(略同等)になるようにショーケース1〜6への運転指令および停止指令をショーケース1〜6毎に10分間に亘って振り分ける制御が統括制御部30により行われる。これにより、各期間に略同等の同時運転台数になるショーケース1〜6の組み合せを、予め登録されたショーケース1〜6の運転パターン(基本テーブル61)の中から迅速に選択することができる。したがって、統括制御部30からショーケース1〜6の負荷変動に影響されることなく冷凍機10の負荷を安定化させるための運転制御指令(送信データ51)を各ショーケース1〜6に対して迅速に配信することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、運転帯域Wを10分間に設定し、この10分間を10分割した1分間毎に各ショーケースへの運転指令/停止指令を指定可能に運転テーブル50を構成したが、本発明はこれに限られない。たとえば、運転帯域Wを20分間に設定し、20分間を10分割した2分間毎に各ショーケースへの運転指令/停止指令を指定可能に運転テーブル50を構成してもよい。また、所定期間を5分間としてもよいが、この場合であっても、分割数については10分割以上がより好ましい。
【0077】
また、上記第1実施形態では、ショーケース1〜6(1号機〜6号機)の順に運転指令/停止指令の運転パターンを順次割り当てて最終的に同時運転されるショーケースの台数が各期間で互いに略同等になるように運転テーブル50を作成したが、本発明はこれに限られない。たとえば、過去の運転履歴(負荷レベル)に基づいて負荷レベルの高い順に運転指令/停止指令の運転パターンを順次割り当てて運転テーブル50を作成してもよいし、割り当てる順番が順不同であってもよい。また、予め指定した順番で割り当ててもよい。
【0078】
また、上記第1および第2実施形態では、6台のショーケースによりショーケース冷却システム100(200)を構成したが、本発明はこれに限られない。ショーケースの台数は、複数台であれば台数に制限はない。
【0079】
また、上記第1および第2実施形態では、運転帯域W=運転率Pとして設定したが、本発明はこれに限られない。運転率Pと他の補正要素とを加味して次の10分間の運転帯域W(負荷レベル)を設定して運転テーブル50を作成してもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、1台の圧縮機11を用いて冷凍機10を構成したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数台の圧縮機11が並列接続された冷凍機10における個々の圧縮機11の負荷の平準化に対しても本発明は適用可能である。これにより、冷凍機が複数台の圧縮機から構成される場合にショーケース側の負荷が小さいにも拘らず個々の圧縮機の起動および停止が頻繁に繰り返されるような状況が回避される。したがって、冷却システムとしての省エネ性(省電力化)を向上させることができる。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、統括制御部30の制御に関する制御処理を「フロー駆動型」のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、統括制御部30の処理をイベント単位で処理を実行する「イベント駆動型」の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動型およびフロー駆動型を組み合せて行ってもよい。