【0017】
本発明においては、上記で調製したパイを、水分を40〜70重量%含有する素材と接着させ、複合食品とすることが出来る。
ここで、水分を40〜70重量%含有する素材としては、バニラアイス、チョコアイスを例示できる冷菓素材やカスタードクリーム、ジャム、餡を例示できるフィリング素材を挙げることが出来る。また、ミートペーストを例示できる惣菜素材を挙げる事ができる。このうち特に、冷菓素材を使用した場合に、本発明の効果がより顕著に現れ、好ましい複合食品、即ち複合食品を得ることが出来る。
なお、本発明で言う複合食品とは、パイと、それ以外の食品を接着して一体化し、そのまま食する食品のことをいう。すなわち、本発明に係るパイで、それ以外の食品を挟んだり、また、パイの中に他の食品を充填するような態様が想定される。
【実施例】
【0019】
検討1
表1記載のパイ生地配合にて、以下に示す「○パイ生地調製法」に従い、パイ生地を調製した。
その後、当該生地を用いて、以下に示す「○折り込み、焼成法」により焼成パイとした。
得られたパイについて、「○食感維持評価法」により評価を行った。結果を表2に示した。
【0020】
表1 パイ生地配合
・ショートニングには不二製油株式会社製「パンパスデラックス30」を使用した。
・水中油型乳化油脂組成物Aには、不二製油株式会社製「ガトーノイエ22」を使用した。
・水中油型乳化油脂組成物Bには、不二製油株式会社製「クリアホイップN」を使用した。
【0021】
○パイ生地調製法
1.表に示す各実施例、比較例の原料すべてを、ミキサーボール(株式会社愛工舎製作所社製「ケンミックス メジャーKM−005」)へ入れた。
2.1速2分、2速5分で攪拌し、生地とした。
なお、上記条件で生地にオイルオフがみられる場合は、調製不可と判断した。
【0022】
○折り込み、焼成法
1.パイ生地に対し30重量%のシート状油中水型乳化油脂組成物を包み込んだ。シート状油中水型乳化油脂組成物としては不二製油株式会社製「アートピア200(M)」(油分82.1重量%)を使用した。
2.3つ折りを4回行った後、5℃で30分リタードし、更に3つ折りを 5回行い、5℃で30分リタードした。更に、2つ折りし、合計216層とした。
3.実厚1.8mmまで展延し、両面にピケを入れた。
4.40×80mmにカットした。
5.塗り卵及びグラニュー糖をつけ、上火160℃/下火140℃ 25分、100℃ 20分間焼成した。
【0023】
○食感維持評価法
1.「○折り込み、焼成法」で得られた焼成パイ(3×7cm)の表面に、アイスクリーム冷菓((明治社製「バニラ2L 業務用バルクアイス」)を3×7×1cmに切り出したものを載せ、更に、焼成同大きさのパイを載せサンドした。さらに、上から形が崩れない程度に抑え、アイスクリーム冷菓と焼成パイを密着させた。
2.1で得られたものを冷凍庫(−25℃)へ入れ、30日間放置した。
3.2の冷凍放置したもの(Aと称す)と、それぞれのサンプルについて焼成パイを載せてサンドしてすぐのもの(Bと称す)について、パネラー5名により食し、以下の基準で合議により評価採点した。
5点 AとBで食感が同等であると感じられるもの。
4点 AはBに比べわずかに湿気た食感であるが、ほとんど違和感ないと感じられるもの。
3点 AはBに比べ湿気た食感であるが、許容範囲と感じられるもの。
2点 AはBに比べ湿気た食感で、許容できないと感じられるもの。
1点 AはBに比べ明らかに湿気た食感で、許容できないと感じられるもの。
3点以上を合格とした。
【0024】
表2 結果
【0025】
考察
パイ生地の油分を一定の範囲とすることで、水分を比較的多く含む素材と接着保管しても、サクサクとした食感を維持できるパイを得ることが出来た。この場合、パイ生地の調製において一般的に使用される油脂組成物である、ショートニングの量を単に増やした場合は、生地調製時にオイルオフがみられ、調製できなかった。これに対し、水中油型乳化油脂組成物として添加した場合は、オイルオフも見られず、生地の調製ができた。