(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板生産物を準備する前記工程は、前記第1半導体メサの前記第1部分の上面に到達する接続開口を前記構造物に形成して、前記構造物から絶縁性埋込領域を形成する工程を更に含み、
前記下部絶縁体領域は前記絶縁性埋込領域を含み、前記絶縁性埋込領域は、前記第1開口と、前記第2エリアにおいて前記第2部分の上面に到達する第2開口とを含み、
前記電極は、前記絶縁性埋込領域の前記第1開口を前記接続開口として利用して前記第1半導体メサの前記第1部分に接触を成し、
前記第2開口は、エッチング開口を前記構造物に形成する前記工程において、前記構造物の前記エッチング開口として形成される、請求項1に記載された半導体光素子を作製する方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
引き続き、いくつかの具体例を説明する。
【0015】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法は、(a)半導体主面の第1エリア、第2エリア及び第3エリア上にそれぞれ設けられた第1部分、第2部分及び第3部分を含む第1半導体メサと、前記半導体主面上に設けられ前記第1半導体メサを覆う下部絶縁体領域と、前記第1半導体メサの前記第1部分に接続された電極と、前記電極に接続され前記下部絶縁体領域上を延在する配線電極とを含む基板生産物を準備する工程と、(b)前記基板生産物上に上部絶縁体領域を形成する工程と、(c)前記配線電極に到達するスルーホールを前記上部絶縁体領域に形成する工程と、(d)前記上部絶縁体領域に前記スルーホールを形成した後に、前記上部絶縁体領域上に導電体を形成する工程と、を備え、前記下部絶縁体領域は、前記第1エリアにおいて前記第1部分の上面に到達する第1開口と、前記第3エリアにおいて前記第3部分上に設けられた被覆部とを含み、前記基板生産物を準備する前記工程は、コンタクト層のための半導体層を含む半導体積層を加工して、該半導体積層から前記第1半導体メサを形成する工程と、前記半導体メサの側面及び上面を覆う構造物を形成する工程と、前記第1半導体メサの前記第2部分の上面に到達するエッチング開口を前記構造物に形成する工程と、前記第2部分の前記コンタクト層の一部又は全部を除くと共に前記第1部分及び前記第3部分に前記コンタクト層を残すように、前記構造物の前記エッチング開口を用いて前記第1半導体メサの前記第2部分の加工を行う工程と、を含み、前記導電体は、前記半導体メサの前記第2部分又は前記第3部分上を延在する。
【0016】
この半導体光素子を作製する方法によれば、基板生産物の準備に際して、半導体メサを形成した後に、第1半導体メサの側面及び半導体主面を覆う構造物を用いて、第2部分からコンタクト層の一部又は全部を除くための加工を行う。加工に際して構造物における被覆のお陰で、第1半導体メサの第2部分内のコンタクト層の一部又は全部が、第2部分内のコンタクト層以外の半導体層並びに第1部分及び第3部分に対して選択的に除かれる。この加工工程の結果、第1半導体メサの第1部分及び第3部分ではコンタクト層が元のまま残されており、第2部分では加工の結果としてコンタクト層の一部又は全部が除去されている。第1半導体メサを形成した後における上記加工に際して構造物が半導体主面を覆うので、コンタクト層の有無の切り替えは、第1半導体メサの上面に位置する。これ故に、半導体メサを形成する工程を備える既存の工程フロー内に、上記の加工処理(コンタクト層の加工処理)を取り込める。
また、半導体光素子において、第1半導体メサのコンタクト層内のドーパントに起因する光吸収が第2部分において低減されている。一方、第1半導体メサの第1部分のコンタクト層は、半導体積層と電極との電気接触を良好にする。また、絶縁性埋込領域、電極、及び配線電極上に上部絶縁体領域を形成するので、第1半導体メサは、第1半導体メサの第2部分又は第3部分上を延在する導電体から上部絶縁体領域によって隔置される。導電体は、第1半導体メサを横切るために上部絶縁体領域上を延在できる。
【0017】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法では、前記基板生産物を準備する前記工程は、前記第1半導体メサの前記第1部分の上面に到達する接続開口を前記構造物に形成して、前記構造物から絶縁性埋込領域を形成する工程を更に含み、前記下部絶縁体領域は前記絶縁性埋込領域を含み、前記絶縁性埋込領域は、前記第1開口と、前記第2エリアにおいて前記第2部分の上面に到達する第2開口とを含み、前記電極は、前記絶縁性埋込領域の前記第1開口を前記接続開口として利用して前記第1半導体メサの前記第1部分に接触を成し、前記第2開口は、エッチング開口を前記構造物に形成する前記工程において、前記構造物の前記エッチング開口として形成される。
【0018】
この半導体光素子を作製する方法によれば、半導体光素子のための絶縁性埋込領域の第2開口が、第1半導体メサの第2部分からコンタクト層の一部又は全部を除去するために用いられる。絶縁性埋込領域の第1開口が、第1半導体メサの第1部分内のコンタクト層への接続のために用いられる。
【0019】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法では、前記基板生産物は、前記下部絶縁体領域に覆われた第2半導体メサを含み、前記基板生産物は、前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサを搭載する半絶縁性半導体基板を含み、前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサは、前記半絶縁性半導体基板の主面上に設けられた導電性半導体領域上に設けられ、前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサは、前記導電性半導体領域に接続された導電性の下部半導体領域、コア層及び上部半導体層を備え、前記コンタクト層は前記上部半導体層上に設けられ、前記絶縁性埋込領域は、前記第1半導体メサ上の第1シリコン系無機絶縁体と、前記第1シリコン系無機絶縁体上に形成された第1樹脂とを備え、前記上部絶縁体領域は、第2シリコン系無機絶縁体と、前記第2シリコン系無機絶縁体上に形成された第2樹脂とを備える。
【0020】
この半導体光素子を作製する方法によれば、上部絶縁体領域の樹脂は、上部絶縁体領域に平坦な表面を提供できる。また、上部絶縁体領域のシリコン系無機絶縁体は、導電体にその下地に対して良好な密着性を提供できる。
【0021】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法は、(a)半導体主面の第1エリア、第2エリア、及び第3エリア上にそれぞれ設けられた第1部分、第2部分及び第3部分を有し半導体積層を含む半導体メサ上及び前記半導体主面上に絶縁膜を成長すると共に前記絶縁膜上に埋込領域を形成して、前記絶縁膜及び前記埋込領域を含み前記半導体メサの側面及び上面を覆う絶縁性埋込領域を作製する工程と、(b)前記半導体主面の前記第1エリア及び前記半導体メサの前記第1部分上の前記絶縁膜及び前記埋込領域を除去して、前記半導体メサの前記第1部分に到達する第1開口を前記絶縁性埋込領域に形成する工程と、(c)前記第1開口を形成した後に、前記半導体メサの前記第1部分上に電極を形成する工程と、(d)前記半導体主面の前記第2エリア上の前記絶縁膜及び前記埋込領域を除去して、前記半導体メサの前記第2部分に到達する第2開口を前記絶縁性埋込領域に形成する工程と、(e)前記第2開口を用いて前記半導体メサの前記半導体積層内のコンタクト層の一部又は全部をエッチングにより除去する工程と、(g)前記第1開口、前記第2開口及び前記電極を形成した後に、前記半導体主面の前記第3エリアにおいて前記半導体メサを横切る導電体を形成する工程と、を備え、前記電極は、前記半導体メサの前記第1部分において前記コンタクト層に接触を成す。
【0022】
この半導体光素子を作製する方法によれば、絶縁性埋込領域の第2開口に露出された半導体メサの第2部分を部分的にエッチングするので、絶縁性埋込領域により半導体メサの第2部分の側面を保護しながら、半導体メサ内の第2部分においては半導体積層内のコンタクト層の一部又は全部を除くことができる。この第2部分においては、半導体メサのコンタクト層内のドーパントに起因する光吸収が低減される。一方、半導体メサの第1部分のコンタクト層は、半導体メサの半導体積層と電極との電気接触を良好にする。第3エリア上の導電体は、絶縁性埋込領域上を延在して、絶縁性埋込領域の開口を備えない第3部分において半導体メサを横切ることができる。
【0023】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法は、前記第2開口は、前記第1開口の形成に先立って形成される。
【0024】
この半導体光素子を作製する方法によれば、第1開口の形成に先立って、第2部分のコンタクト層が除去される。
【0025】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法は、(a)半導体主面の第1エリア、第2エリア及び第3エリア上にそれぞれ設けられた第1部分、第2部分及び第3部分を有し半導体積層を備える半導体メサ上及び前記半導体主面上に、前記半導体メサを埋め込むダミー領域を作製する工程と、(b)前記半導体メサの前記第2部分上の前記ダミー領域を除去して、前記半導体メサの前記第2部分上に位置するエッチング開口を前記ダミー領域に形成する工程と、(c)前記ダミー領域の前記エッチング開口に露出された前記半導体メサの前記第2部分の前記半導体積層のコンタクト層の一部又は全部をエッチングにより除去する工程と、(d)前記半導体メサの前記第2部分において前記エッチングを行った後に、前記ダミー領域を除去する工程と、(e)前記ダミー領域を除去した後に、前記半導体メサ上及び前記半導体主面上に絶縁膜を成長すると共に前記絶縁膜上に埋込領域を形成して、前記絶縁膜及び前記埋込領域を含み前記半導体メサを覆う絶縁性埋込領域を作製する工程と、(f)前記半導体メサの前記第1部分上の前記絶縁膜及び前記埋込領域を除去して、前記半導体メサの前記第1部分上に位置する接続開口を前記絶縁性埋込領域に形成する工程と、(g)前記絶縁性埋込領域に前記接続開口を形成した後に、前記絶縁性埋込領域の前記接続開口に前記半導体メサの前記第1部分上に電極を形成する工程と、(h)前記電極を形成した後に、前記半導体主面の前記第2エリア又は前記第3エリアにおいて前記半導体メサを横切る導電体を形成する工程と、を備え、前記電極は、前記半導体メサの前記第1部分において前記コンタクト層に接触を成す。
【0026】
この半導体光素子を作製する方法によれば、半導体メサを覆うダミー領域を作製すると共に、ダミー領域の加工により、半導体メサの第2部分上に位置する開口をダミー領域に形成する。ダミー領域は、半導体メサの第2部分上に位置する開口を有すると共に、半導体メサの側面を覆っている。これ故に、ダミー領域により半導体メサの側面をエッチャントから保護しながら、エッチングにより半導体積層内のコンタクト層の一部又は全部を半導体メサの第2部分から除くことができる。この第2部分においては、半導体メサのコンタクト層内のドーパントに起因する光吸収が低減される。一方、半導体メサの第1部分のコンタクト層は、半導体積層と電極との電気接触を良好にする。この電気接触のために、半導体メサの第2部分における部分的なエッチングの後にダミー領域は除去されると共に、この除去の後に半導体メサを埋め込むように絶縁性埋込領域が形成される。電気接続の配線のための導電体は、絶縁性埋込領域上を延在して、第1エリア又は第3エリア上において半導体メサを横切ることができる。
【0027】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法では、前記ダミー領域は、SOG(スピン・オン・グラス)を備える。
【0028】
この半導体光素子を作製する方法によれば、半導体メサの埋込に際して用いられるSOGに、平坦な表面を提供できる。
【0029】
一形態に係る半導体光素子を作製する方法では、前記絶縁性埋込領域の前記絶縁膜は、シリコン系無機絶縁体を備え、前記絶縁性埋込領域の前記埋込領域は、樹脂を備える。
【0030】
この半導体光素子を作製する方法によれば、埋込領域の樹脂は、半導体メサの埋込に際して用いられる絶縁性埋込領域に平坦な表面を提供できる。また、絶縁膜のシリコン系無機絶縁体は、電極及び導電体がその下地に対して良好な密着性を提供することを可能にする。
【0031】
一形態に係る半導体光素子は、(a)半導体主面の第1エリア、第2エリア、及び第3エリア上にそれぞれ設けられた第1部分、第2部分及び第3部分を有する半導体メサと、(b)前記半導体メサ上及び前記半導体主面上に設けられた絶縁膜、並びに前記絶縁膜上に設けられた埋込領域を含み、前記半導体メサの前記第1部分上に位置する第1開口及び前記半導体メサの前記第2部分上に位置する第2開口を有する絶縁性埋込領域と、(c)前記絶縁性埋込領域の前記第2開口を覆う絶縁性の被覆層と、(d)前記絶縁性埋込領域の第1開口を介して前記半導体メサの前記第1部分に接触を成す電極と、(e)前記第3エリア上において、前記絶縁性埋込領域及び前記半導体メサを横切るように延在する導電体と、を備え、前記絶縁性埋込領域は樹脂を備え、前記半導体メサの前記第1部分及び前記第3部分はコンタクト層を含み、前記半導体メサの前記第2部分はコンタクト層を含まない。
【0032】
この半導体光素子によれば、絶縁性埋込領域の第1開口において半導体積層内のコンタクト層の一部又は全部が半導体メサの第1部分において除かれる。この第1部分においては、半導体メサのコンタクト層内のドーパントに起因する光吸収が低減される。一方、半導体メサの第2部分のコンタクト層は、半導体積層と電極との電気接触を良好にする。導電体は、第2エリア上の絶縁性埋込領域及び半導体メサ上の延在を避けて、絶縁性埋込領域及び半導体メサを横切るように延在できる。
【0033】
一形態に係る半導体光素子は、(a)半導体主面の第1エリア、第2エリア、及び第3エリア上にそれぞれ設けられた第1部分、第2部分及び第3部分を有する半導体メサと、(b)前記半導体メサ上及び前記半導体主面上に設けられた絶縁膜、並びに前記絶縁膜上に設けられた埋込領域を含み、前記半導体メサの前記第1部分上に位置する第1開口及び前記半導体メサの前記第2部分上に位置する第2開口を有する絶縁性埋込領域と、(c)前記絶縁性埋込領域の前記第2開口を覆う絶縁性の被覆層と、(d)前記絶縁性埋込領域の第1開口を介して前記半導体メサの前記第1部分に接触を成す電極と、(e)前記絶縁性埋込領域、前記被覆層、及び前記電極上に設けられた上部絶縁体領域と、(f)前記上部絶縁体領域上に設けられ、前記半導体主面の前記第2エリア又は前記第3エリア上において前記半導体メサを横切るように延在する導電体と、を備え、前記半導体メサの前記第1部分及び前記第3部分はコンタクト層を含み、前記半導体メサの前記第2部分はコンタクト層を含まず、前記絶縁性埋込領域は第1樹脂を備え、前記上部絶縁体領域は第2樹脂を備える。
【0034】
この半導体光素子によれば、導電体は、上部絶縁体領域及び絶縁性埋込領域上を延在して、半導体メサを横切ることができる。
【0035】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、半導体光素子を作製する方法、及び半導体光素子に係る本実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0036】
図1は、複数のマッハツェンダ−変調器をモノリシックに集積する半導体光素子の一例を模式的に示す平面図である。
図2は、半導体光素子の一例として示されるマッハツェンダ−変調器の導波路メサ及び電極の配置を模式的に示す図面である。
図1を参照すると、半導体光素子11は、複数のマッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4を含む。マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4が、第1分岐導波路W1DV、第2分岐導波路W2DV及び第3分岐導波路W3DVを介して入力導波路WGINに光学的に結合される。入力導波路WGINは入力ポートLP0に結合されている。マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2が、第4分岐導波路W4DVを介して第1出力導波路W1GTに光学的に結合され、また、マッハツェンダ−変調器MZ3、MZ4が、第5分岐導波路W5DVを介して第2出力導波路W2GTに光学的に結合される。第1出力導波路W1GT及び第2出力導波路W2GTは、それぞれ、第1出力ポートLP1及び第2出力ポートLP2に結合されている。第1出力ポートLP1及び第2出力ポートLP2は、ぞれぞれ、光出力(X)及び光出力(Y)を提供する。
【0037】
図2を参照すると、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4の各々は、入力側分岐導波路M1DV、第1アーム導波路W1ARM、第2アーム導波路W2ARM、及び出力側分岐導波路M2DVを含む。マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4の各々において、第1変調電極ED1M及び第1位相調整電極ED1Pが第1アーム導波路W1ARM上に設けられ、第2変調電極ED2M及び第2位相調整電極ED2Pが第2アーム導波路W2ARM上に設けられる。マッハツェンダ−変調器MZ2の出力は、第1(π/2)位相シフタP1SHを介してマッハツェンダ−変調器MZ1の出力と合波される。マッハツェンダ−変調器MZ4の出力は、第2(π/2)位相シフタP2SHを介してマッハツェンダ−変調器MZ3の出力と合波される。外側位相調整電極ED1PM、ED2PM、ED3PM、ED4PMは、ぞれぞれ、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4の出力導波路上に設けられる。マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2からの変調光は、それぞれ、外側位相調整電極ED1PM、ED2PMによる位相調整を受けた後に合波されて、合波光が第1出力導波路W1GTを伝搬する。また、マッハツェンダ−変調器MZ3、MZ4からの変調光は、それぞれ、外側位相調整電極ED3PM、ED4PMによる位相調整を受けた後に合波されて、合波光が第2出力導波路W2GTを伝搬する。
【0038】
図1に示されるように、第1伝送線EW1、第2伝送線EW2、第3伝送線EW3、及び第4伝送線EW4は、パッド電極(PS1〜PS4)からの個々の変量信号を受けるために、それぞれ、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4の第1変調電極EDM1及び第1位相調整電極ED1Pに接続される。第1終端線TW1、第2終端線TW2、第3終端線TW3、及び第4終端線TW4は、個々の終端のためにパッド電極(PT1〜PT4)に接続され、それぞれ、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4の第1変調電極ED1Mに接続される。第1位相調整電極ED1P及び外側位相調整電極ED1PMは、パッド電極(PP1、PP2)に接続される。第1伝送線EW1、第2伝送線EW2、第3伝送線EW3、及び第4伝送線EW4、並びに第1終端線TW1、第2終端線TW2、第3終端線TW3、及び第4終端線TW4の一部又は全部は、光導波路を横切る。
【0039】
図2において、半導体光素子11は、第1部分11a、第2部分11b及び第3部分11cを備える。第1部分11aでは、光導波路のための半導体メサを覆う絶縁埋込領域は、半導体メサの上面上に開口を有する。電極が、開口を介して半導体メサのコンタクト層に接触を成す。第2部分11bでは、光導波路のための半導体メサは、光吸収を避けるためにコンタクト層を含まない。第3部分11cは、第1部分11a及び第2部分11bの一方から他方への切り替えの領域であり、第3部分11cでは、半導体メサは、コンタクト層を含むけれども、電極の接続のための開口が絶縁埋込領域に設けられていない。第3部分11cは、必要な場合に設けられる。
【0040】
上記の実施形態に係る半導体光素子11を作製する方法を説明する。作製工程における部材と半導体光素子11の対応物との関連に関する理解を容易にするために、可能な場合には、
図1及び
図2に示された参照符合を
図3〜
図11に付する。
【0041】
図3〜
図11は、第1実施形態に係る半導体光素子を作製する方法の主要な工程における生産物の断面を示す図面である。
図3は、半導体光素子の一部分であって一対のアーム導波路を形成すべきエリアにおいて該アーム導波路の導波路軸に交差する線に沿ってとられた断面を示す。半導体の結晶の成長のための基板(例えば
図3の(a)部における基板13)を準備する。基板13は、例えば半絶縁性InPウエハであることができる。基板13上に、半導体光素子11のための複数の半導体層(下部半導体層のための第1導電型半導体層、コア層のためのi型半導体層、上部半導体層のための第2導電型半導体層、及びコンタクト層のための高ドープ半導体層)を順にエピタキシャルに成長して、半導体積層(例えば
図3の(a)部における一点鎖線の半導体積層15)を形成する。
【0042】
図3の(a)部に示されるように、工程S101では、半導体積層15上に導波路の形状を規定する第1マスク17を形成する。第1マスク17を用いて半導体積層15をエッチングして、光導波路のための半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20を形成する。半導体メサ19は第1導電型半導体領域20上に位置しており、第1導電型半導体領域20は、第1導電型半導体層に由来する。半導体メサ19は、下部半導体層21a、コア層21b、上部半導体層21c、及びコンタクト層21dを含む。第1マスク17は例えばSiNであることができる。半導体積層15のエッチングは、例えば塩素系ガスを用いるドライエッチングであることができる。エッチングの後に、第1マスク17を除去する。
半導体積層15及び半導体メサ19の一例。
第1導電型半導体領域20及び下部半導体層21aのための第1導電型半導体層:n型SiドープInP。
コア層21bのためのi型半導体層: AlGaInAs井戸層及びAlInAsバリア層から成る多層量子井戸構造。
上部半導体層21cのための第2導電型半導体層:p型ZnドープInP。
コンタクト層21dのための高ドープ半導体層:p型ZnドープGaInAs。
【0043】
第1マスク17を除去した後に、
図3の(b)部に示されるように、工程S102では、素子分離エリアを規定する第2マスク23を半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20上に形成する。第2マスク23のパターンは、例えばマッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4毎に第1導電型半導体領域20を分離するように規定される。第2マスク23を用いて第1導電型半導体領域20をエッチングして、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4のための素子分離メサ25を形成すると共に、これら素子分離メサ25の間のエリアに基板13を露出させる。半導体メサ19は素子分離メサ25上に位置しており、素子分離メサ25は、第1導電型半導体領域20に由来する。第2マスク23は例えばSiNであることができる。第1導電型半導体領域20のエッチングは、例えば塩素系ガスを用いるドライエッチングであることができる。エッチングの後に、第2マスク23を除去する。
【0044】
図3の(c)部に示されるように、工程S103では、半導体メサ19、半導体主面13d(基板13の主面内の露出エリア)及び素子分離メサ25上に第1絶縁層27を成長する。第1絶縁層27は、例えばシリコン系無機絶縁膜であることができ、具体的にはシリコン酸化物(例えばSiO
2)等である。半導体光素子11の埋込領域のための樹脂体29を第1絶縁層27上に形成する。樹脂体29の形成は、例えば塗布工程及び塗布後の熱処理工程を含む。樹脂体29は、半導体メサ19の上面及び側面上に設けられて半導体メサ19を埋め込む。樹脂体29の表面は、実質的に平坦である。樹脂体29は、例えばベンゾシクロブテン(BCB)等であることができる。本実施例では、第1絶縁層27及び樹脂体29は、絶縁性埋込領域31を構成する。第1絶縁層27の厚さは、例えば0.05〜0.5μm程度であり、樹脂体29の厚さは、素子分離メサ25上において、例えば3.0〜7.5μm程度である。半導体メサ19の高さは、例えば2.0〜3.5μm程度である。素子分離メサ25上において、樹脂体29の厚さは半導体メサ19の高さより大きい。
【0045】
半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cにおける断面を参照しながら、引き続く工程の説明を行う。半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cは、それぞれ、半導体光素子11における第1部分11a、第2部分11b及び第3部分11cに対応する。
【0046】
引き続く工程では、第2部分19bにおけるコンタクト層の部分的な除去、及び第1部分19aに接触を成す電極の形成を行う。本実施例では、半導体メサ9におけるコンタクト層の部分的な除去を行った後に、第1部分19aに接触を成す電極の形成を行うけれども、実施形態はこの順序に限定されない。
【0047】
図4は、コンタクト層の部分的な除去を行う工程における生産物を模式的に示す図面である。
図4の(a)部、(b)部及び(c)部は、それぞれ、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cに工程S104において行われる処理を示す。半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cは、それぞれ、基板13の第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13c上に設けられる。第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13cは、半導体主面13dを構成する。
【0048】
工程S104では、半導体メサ19の第2部分19bのコンタクト層の除去のための第3マスク33を形成する。工程S103の生産物の絶縁性埋込領域31上に第3マスク33を形成する。第3マスク33は、第2エリア13b上及び第2部分19b上に開口33aを有する。第3マスク33は、第1エリア13a上及び第1部分19a上、並びに第3エリア13c上及び第3部分19c上に設けられて、第3マスク33を用いる処理から第1エリア13a上及び第1部分19a上並びに第3エリア13c上の樹脂体29を保護する。開口33aは、半導体メサ19の延在方向に第2部分19bにわたって設けられており、開口33aの幅MW3は、半導体メサ19の幅W19より大きいことが良い。開口33aの幅MW3は、例えば1.0〜20μm程度である。開口33aの幅MW3及び半導体メサ19の幅W19は、半導体メサ19の延在方法に交差する方法に規定される。
図2に示された半導体光素子11を作製する方法では、第3部分19cは、第1部分19a及び第2部分19bの一方から他方への切り替えのために第1部分19aと第2部分19bとの間に設けられる。
【0049】
第3マスク33を用いて、第2エリア13bにおける絶縁性埋込領域31に、第2部分19bの上面に到達する第2開口31bを形成する。第2開口31bの形成のために、第3マスク33を用いたドライエッチングにより第3マスク33の開口33aのパターンを樹脂体29及び第1絶縁層27に転写する。ドライエッチングは、例えばCF
4/O
2のエッチャントを用いることができる。この工程S104では、第3マスク33の開口33a及び絶縁性埋込領域31の第2開口31bには、半導体メサ19の第2部分19bの上面が現れている。第2開口31bを有する絶縁性埋込領域31が、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物として役立つ。第3マスク33を除去することなく、次の工程を行う。
【0050】
図5は、コンタクト層の部分的な除去を行う工程における生産物を模式的に示す図面である。
図5の(a)部、(b)部及び(c)部は、それぞれ、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cに工程S105において行われる処理を示す。絶縁性埋込領域31(半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物)の第2開口31bを利用して、半導体メサ19の第2部分19bのコンタクト層21dの一部又は全部を除去する。この除去は、例えばウエットエッチングにより行われることができ、このためのエッチャントは、例えば硫酸及び過酸化水素の混合水溶液(硫酸/過酸化水素水/水=3/2/40)を備えることができ、厚さ200nmのGaInAs層のエッチング時間は、例えば7分である。コンタクト層21dに対する所望のエッチング量(コンタクト層21dの一部又は全部)のためのウエットエッチングが完了した後に、第3マスク33を除去する。本実施例は、第2部分19bのコンタクト層21dの全部を除去する。
【0051】
絶縁性埋込領域31(半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物)によって覆われている第1部分19a及び第3部分19cのコンタクト層21dは、エッチングされない。
【0052】
コンタクト層のエッチングの際に生じる可能性がある樹脂体の変質に対して厳格な回避を確実にすることを必要とする場合には、工程S104Mを行うことができる。工程S104Mは、第3マスク33を用いたドライエッチングにより第3マスク33の開口33aのパターンを樹脂体29及び第1絶縁層27に工程S104において転写した後に、工程S105におけるコンタクト層21dのエッチングに先だって行われる。
図6は、工程S104Mにおける生産物を模式的に示す図面である。工程S104Mにおいて、
図6の(a)部に示されるように、保護用の無機絶縁膜37及び第4マスク39を形成する。無機絶縁膜37は、例えばシリコン系無機絶縁体を備えることができ、本実施例では、第1絶縁層27と同じ材料からなる。第2部分19bの上面を覆っていた第1絶縁層27を除去した後に、無機絶縁膜37を成長して樹脂体29及び第2部分19bの上面を覆う。第4マスク39は、第2部分19bの上面に位置する開口39aを有する。開口39aの幅(第4幅MW4)は、半導体メサ19の上面の幅に等しい或いはより大きく、開口39aの縁は半導体メサ19の側面上の第1絶縁層27の外側面の位置より内側であることが良い。第4マスク39を用いて無機絶縁膜37をエッチングして、
図6の(b)部に示されるように、無機絶縁膜37に開口37aを形成する。第4マスク39の形成のための正確なパターン形成を容易にするためには、第3マスク33における開口33aの幅を大きくし、開口33aの幅は、例えば1.0μm以上であることが良い。
【0053】
開口37aを有する無機絶縁膜37を形成した後に、この無機絶縁膜37をマスクとして用いて、工程S105と同様にコンタクト層21dのエッチングを行うことができる。
【0054】
工程S106では、半導体メサ19の上面(半導体メサ19のコンタクト層21d)に電気的な接続を形成するために、
図7に示されるように、第5マスク41を用いて、第1部分19aの上面に到達する第1開口31aを第1エリア13aにおける絶縁性埋込領域31に形成する。第1開口31aの形成のために、
図7の(b)部に示されるように、第5マスク41を用いたドライエッチングにより第5マスク41の開口パターン41aを樹脂体29及び第1絶縁層27に転写する。ドライエッチングは、例えばCF
4/O
2のエッチャントを用いることができる。この工程S106では、第5マスク41の開口パターン41a及び絶縁性埋込領域31の第1開口31aには、半導体メサ19の第1部分19aの上面が現れている。第2開口31bを有する絶縁性埋込領域31が、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第3部分19cの上面を覆う構造物として役立つ。本実施例では、絶縁性埋込領域31に、第2開口31bを形成した後に第1開口31aを形成する工程順を採用する。しかしながら、第2開口31b及び第1開口31aの作製の順序が、入れ替えることができる。
【0055】
本実施例では、半導体メサ19の下部半導体層21aに電気的な接続を形成するために、
図8の(a)部に示されるように、第6マスク43を用いて、半導体メサ19の間に位置する素子分離メサ25の上面に到達する第3開口31cを第1エリア13aにおける絶縁性埋込領域31に形成する。第3開口31cの形成のために、
図8の(b)部に示されるように、第6マスク43を用いたドライエッチングにより第6マスク43の開口43aのパターンを樹脂体29及び第1絶縁層27に転写する。
図8の(c)部に示されるように、半導体メサ19の第2部分19b及び第2エリア13b(同様に、第3部分19c及び第3エリア13c)は、第6マスク43により覆われている。ドライエッチングは、例えばCF
4/O
2のエッチャントを用いることができる。第6マスク43の開口43a及び絶縁性埋込領域31の第3開口31cには、素子分離メサ25内の第1導電型半導体の上面が現れている。絶縁性埋込領域31は、半導体メサ19の第1部分19aに位置する第1開口31aと、第2部分19bに位置する第2開口31bと、第1エリア13aにおける半導体メサ19の間の素子分離メサ25上に位置する第3開口31cとを含む。可能な場合には、単一のマスクを用いたエッチングにより第1開口31a及び第3開口31cを形成するようにしてもよい。
【0056】
図9は、オーミック電極を形成する工程における生産物を模式的に示す図面である。
図9の(a)部、(b)部及び(c)部は、それぞれ、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cに工程S107において行われる処理を示す。工程S107では、オーミック電極を形成する。オーミック電極の形成には、リフトオフ法が用いられる。リフトオフ法では、オーミック電極の形状を規定する開口パターンを有するリフトオフマスクを形成すると共に、この後にオーミック電極用の金属層を堆積する。リフトオフマスクを除去すると、オーミック電極が残される。本実施例では、第1エリア13a上の半導体メサ19の第1部分19aの上面に第1開口31aを介して接触を成す第1オーミック電極45aを形成すると共に、第1エリア13a上の半導体メサ19間の素子分離メサ25の上面に第3開口31cを介して接触を成す第2オーミック電極45bを形成する。
第1オーミック電極45a:TiPtAu。
第2オーミック電極45b:AuGeNiAu。
第2部分19bの第2開口31bにはいかなるオーミック電極も形成されない。
【0057】
この半導体光素子を作製する方法によれば、絶縁性埋込領域31の第2開口31bに露出された半導体メサ19の第2部分19bを部分的にエッチングするに際して、絶縁性埋込領域31により半導体メサ19の第2部分19bの側面を保護しながら、半導体メサ19内の第2部分19bにおいては半導体積層内のコンタクト層21dの一部又は全部を除くことができる。この第2部分19bにおいては、半導体メサ19のコンタクト層21d内のドーパントに起因する光吸収が低減される。電極(第1オーミック電極45a)は、絶縁性埋込領域31の第1開口31aを介して半導体メサ19の第1部分19aのコンタクト層21dに接触を成す。第1部分19aのコンタクト層21dは、電極(第1オーミック電極45a)に対する電気接触を良好にする。
【0058】
図10は、オーミック電極を形成する工程における生産物を模式的に示す図面である。
図10の(a)部、(b)部及び(c)部は、それぞれ、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cに工程S108において行われる処理を示す。オーミック電極を形成して後に、工程S108では、金属配線又はパッド電極のための導電体を形成するための準備を行う。導電体の形成に先立って、基板の全面に、具体的には第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13cに被覆層47を成長する。被覆層47は、例えばシリコン系無機絶縁膜であることができ、具体的にはシリコン酸化物(例えばSiO
2)等であることができる。被覆層47は、第2エリア13b上の第2部分19b及び絶縁性埋込領域31上に設けられ、具体的には第2エリア13b上の第2部分19bの上面に設けられて絶縁性埋込領域31の第2開口31bを塞ぐ。被覆層47は、第2開口31bにおいて、第2部分19bの上面及び絶縁性埋込領域31の無機絶縁体にしっかりと密着して、樹脂体上の被覆層47の膜剥がれの発生を低減する。
【0059】
この被覆層47上に、オーミック電極への接続のための開口を規定する第7マスク49を形成する。第7マスク49は、第2エリア13b及び第3エリア13c上の絶縁性埋込領域31及び被覆層47を覆うと共に、第1エリア13a上の第1オーミック電極45a上の第1開口パターン49aと、第2オーミック電極45b上の第2開口パターン49bとを含む。第7マスク49を用いて被覆層47をエッチングして、第1オーミック電極45a及び第2オーミック電極45b上の被覆層47にそれぞれ第1接続開口47a及び第2接続開口47cを形成する。エッチングの後に、第7マスク49を除去する。
【0060】
図11は、オーミック電極を形成する工程における生産物を模式的に示す図面である。
図11の(a)部、(b)部及び(c)部は、それぞれ、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cに工程S109において行われる処理を示す。オーミック電極を形成して後に、工程S109では、金属配線又はパッド電極のための導電体を形成する。導電体の形状、具体的には金属配線又はパッド電極のための導電体の形状を規定する第8マスク51を形成する。第8マスク51は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに設けられる導電体のための第1開口51a、第2オーミック電極45bに設けられる導電体のための第2開口51b、並びに第3エリア13c上の絶縁性埋込領域31上に設けられる導電体のための第3開口51cを有する。第8マスク51を用いたメッキ工程により、第8マスク51によって規定された開口部分に導電体53が形成される。メッキ工程では、例えば金(Au)をメッキにより成長させることができる。導電体53は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに第1接続開口47aを介して繋がる第1導電体部分53a(53)、第2オーミック電極45bに第2接続開口47cを介して繋がる第2導電体部分53b(53)、並びに第3エリア13cの絶縁性埋込領域31上を延在する第3導電体部分53c(53)を含む。メッキ工程の後に、第8マスク51を除去する。導電体53は、第3エリア13c上の絶縁性埋込領域31上を延在して、絶縁性埋込領域31が開口を備えない第3部分19cにおいて半導体メサ19を横切ることができる。
【0061】
これらの工程により、半導体光素子11が作製される。
図12は、作製工程の説明において参照された第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13cにおける素子断面を示す。半導体光素子11は、半導体メサ19、絶縁性埋込領域31、被覆層47、電極(45a、53a)、及び導電体53(53c)を備える。半導体メサ19は、半導体からなる半導体主面13dの第1エリア13a、第2エリア13b、及び第3エリア13c上にそれぞれ設けられた第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cを有する。絶縁性埋込領域31は、半導体メサ19上及び半導体主面13d上に設けられた第1絶縁層27、並びに第1絶縁層27上に設けられた埋込領域のための樹脂体29を含む。絶縁性埋込領域31は、半導体メサ19の第1部分19a上に位置する第1開口31a及び半導体メサ19の第2部分19b上に位置する第2開口31bを有する。被覆層47は、絶縁性を有しており。また絶縁性埋込領域31の第2開口31bを覆う。電極(45a、53a)は、半導体メサ19の第1部分19aにおいてコンタクト層21dに接触を成す。電極(45b、53b)は、絶縁性埋込領域31の第3開口31cを介して素子分離メサ25上の半導体上面に接触を成す。導電体53(53c)は、第2エリア13b上の絶縁性埋込領域31及び半導体メサ19を避けて、絶縁性埋込領域31及び半導体メサ19を横切るように延在する。半導体メサ19の第1部分19a及び第3部分19cはコンタクト層21dを含み、半導体メサ19の第2部分19bはコンタクト層を含まない。
【0062】
この半導体光素子11によれば、絶縁性埋込領域31の第2開口31bにおいて半導体積層15内のコンタクト層21dの一部又は全部が半導体メサ19の第2部分19bにおいて除かれる。この第2部分19bにおいては、半導体メサ19のコンタクト層21d内のドーパントに起因する光吸収が低減される。さらに第2部分19bにおいてコンタクト層21dを除去することは、第1部分11a間の電気的な分離抵抗を上げることに寄与する。分離抵抗を上げることにより、半導体光素子11の電気的応答の帯域の劣化を抑制することができる。一方、半導体メサ19の第1部分19aのコンタクト層21dは、半導体積層15と電極(45a、53a)との電気接触を良好にする。導電体53(53c)は、第2エリア13b上の絶縁性埋込領域31及び半導体メサ19上の延在を避けて、半導体メサ19を横切るように絶縁性埋込領域31上を延在できる。
【0063】
本実施形態に係る半導体光素子11を作製する別の方法を説明する。以下の作製工程における部材と半導体光素子11の対応物との関連に関する理解を容易にするために、可能な場合には、
図1及び
図2に示された参照符合を
図13〜
図16に付する。
【0064】
図13〜
図16は、第2実施形態に係る半導体光素子を作製する方法の主要な工程における生産物の断面を示す図面である。
図13は、半導体光素子の一部分であって一対のアーム導波路を形成すべきエリアにおいて該アーム導波路の導波路軸に交差する線に沿った断面を示す。半導体の結晶の成長のための基板(例えば
図13の(a)部における基板13)を準備する。基板13上に、半導体光素子11のための複数の半導体層(下部半導体層のための第1導電型半導体層、コア層のためのi型半導体層、上部半導体層のための第2導電型半導体層、及びコンタクト層のための高ドープ半導体層)を順にエピタキシャルに成長して、半導体積層を形成する。
【0065】
図13の(a)部に示されるように、工程S201では、フォトリソグラフィ及びエッチング(工程S101と同様に第1マスク17)を用いて、半導体積層(
図3における半導体積層15)から光導波路のための半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20を形成する。半導体メサ19は第1導電型半導体領域20上に位置しており、半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20は、第1導電型半導体層に由来する。半導体メサ19は、下部半導体層21a、コア層21b、上部半導体層21c、及びコンタクト層21dを含む。
【0066】
工程S202では、
図13の(b)部に示されるように、半導体メサ19を覆うダミー領域55を形成する。ダミー領域55は、半導体主面13d(第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13c)の全体にわたって形成される。具体的には、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19c並びに第1導電型半導体領域20の表面を覆う第1ダミー絶縁膜57を成長する。第1ダミー絶縁膜57は、シリコン系無機絶縁膜であることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により成長された厚さ500nmのSiNであることができる。第1ダミー絶縁膜57上に、ダミー埋込領域59を形成する。ダミー埋込領域59は、例えば、スピン・オン・グラス(SOG)を備えることができる。SOGは、塗布及び塗布後の熱処理により形成されることができ、熱処理されたSOGの厚さは、半導体メサ19の側面及び上面を覆う厚さであり、例えば半導体メサ19の上面上において1〜500nm程度である。ダミー埋込領域59上に第2ダミー絶縁膜61を成長する。第2ダミー絶縁膜61は、シリコン系無機絶縁膜であることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により成長されたSiONであることができる。塗布及び焼成により形成されるSOGを用いて半導体メサ19を埋め込むので、ダミー領域55は、フォトリソグラフィを適用可能な優れた平坦性を示す。
【0067】
工程S203では、
図13の(c)部に示されるように、ダミー領域55上に、半導体メサ19の第2部分19b上のダミー埋込領域59を除去するためのマスク62(例えば、レジストマスク)を形成する。マスク62は、半導体メサ19の第1部分19a及び第3部分19cを覆うと共に、第2部分19b上に位置する第1コンタクト開口62aを有する。マスク62を用いたエッチングによりダミー領域55を加工して、半導体メサ19の第2部分19b上に位置する開口55aをダミー領域55に形成する。具体的には、CF
4ガスを用いたドライエッチングにより、SiON/SOG/SiNの絶縁膜積層をエッチングして、第2部分19b上の上面を露出させる。第2部分19b上の上面はコンタクト層21dから構成される。ダミー領域55は、半導体メサ19の第2部分19bの上面を露出させる開口55a(57a、59a、61a)を有すると共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面及び側面を覆う。半導体メサ19の第2部分19bにおける下部半導体層21a、コア層21b及び上部半導体層21cは、ダミー領域55によって覆われている。開口55aを有するダミー領域55は、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第2部分19b及び第3部分19cの上面を覆う構造物として役立つ。本実施例では、エッチングの後に、マスク62を残す。
【0068】
ダミー領域55に開口55aを形成した後に、
図14の(a)部に示されるように、工程S204では、ダミー領域55をマスクとして用いて、開口55aに露出させる第2部分19bのコンタクト層21dの一部又は全部を除去する。コンタクト層21d(例えばp+型GaInAs)の除去は、例えばウエットエッチングにより行われることができ、このためのエッチャントは、例えば硫酸及び過酸化水素の混合水溶液(硫酸/過酸化水素水/水=3/2/40)を備えることができる。本実施例は、第2部分19bのコンタクト層21dの全部を除去するので、エッチングされた第2部分19bの上面は、上部半導体層21cから構成される。
【0069】
工程S205では、コンタクト層21dの除去の後に、
図14の(b)部に示されるように、エッチングの後に、マスク62(レジストマスク)を除去すると共に、ダミー領域55を除去する。レジストマスクの剥離は、O2プラズマ処理により行われ、ダミー領域55(SiON/SOG/SiN)の除去は、バッファドフッ酸(BHF)により行われる。ダミー領域55の除去により、半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20が露出される。
【0070】
ダミー領域55を除去した後に、
図14の(c)部に示されるように、工程S206では、素子分離エリアを規定するマスク(工程S102における第2マスク23)を半導体メサ19及び第1導電型半導体領域20の半導体主面上に形成する。このマスクは、第2マスク23と同様に、例えばSiNであることができる。エッチングにより、マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4毎に素子分離メサ25が形成される。マッハツェンダ−変調器MZ1、MZ2、MZ3、MZ4毎に第1導電型半導体領域20を分離する素子分離メサ25の形成により、素子分離メサ25の間のエリアに基板13を露出させる。半導体メサ19は素子分離メサ25上に位置しており、素子分離メサ25は、第1導電型半導体領域20に由来する。素子分離メサの形成の後に、素子分離用の第2マスク23を除去する。
【0071】
図15の(a)部に示されるように、工程S207では、半導体メサ19、並びに基板13の半導体主面13d内の露出エリア及び素子分離メサ25といった半導体主面上に第1絶縁層27を成長する。第1絶縁層27は、例えばシリコン系無機絶縁膜であることができ、具体的にはシリコン窒化物(例えばSiN)等であることができる。半導体光素子11の埋込領域のための樹脂体29を第1絶縁層27上に形成する。樹脂体29の形成は、例えば塗布工程及び塗布後の熱処理工程を含む。樹脂体29は、半導体メサ19の上面及び側面上に設けられて半導体メサ19を埋め込む。樹脂体29の表面は、実質的に平坦であることができる。樹脂体29は、例えばベンゾシクロブテン(BCB)等であることができる。本実施例では、第1絶縁層27及び樹脂体29は、絶縁性埋込領域63を構成する。絶縁性埋込領域63は、半導体メサ19を覆う第1絶縁層27及び樹脂体29を含む。
【0072】
工程S208では、半導体メサ19の第1部分19aの上面(半導体メサ19のコンタクト層21d)に電気的な接続を形成するために、
図15の(b)部に示されるように、マスク(工程S106における第5マスク41)を用いて、第1部分19aの上面に到達する第1コンタクト開口63a(第1開口31aのような開口)を第1エリア13aにおける絶縁性埋込領域63に形成する。本実施例では、半導体メサ19の下部半導体層21aに電気的な接続を形成するために、
図15の(b)部に示されるように、半導体メサ19の間に位置する素子分離メサ25の上面に到達する第3コンタクト開口63c(第3開口31cのような開口)を第1エリア13aにおける絶縁性埋込領域63に形成する。第1コンタクト開口63a、63bの形成のために、マスク(工程S106における第5マスク41)を用いたドライエッチングにより行われる。絶縁性埋込領域63は、絶縁性埋込領域31が第1部分19a上の第1開口31a及び第3開口31cに加えて第2開口31bを有する点で、絶縁性埋込領域31と異なる。
【0073】
引き続く工程において、絶縁性埋込領域63の第1コンタクト開口63a及び第3コンタクト開口63cにそれぞれ、第1エリア13a上の半導体メサ19の第1部分19aの上面に絶縁性埋込領域63の第1コンタクト開口63aを介して接触を成す第1オーミック電極45aを形成すると共に、第1エリア13a上の半導体メサ19間の素子分離メサ25の上面に絶縁性埋込領域63の第3コンタクト開口63cを介して接触を成す第2オーミック電極45bを形成する。第2部分19b及び第3部分19cの上面は、絶縁性埋込領域63により覆われている。第2部分19b及び第3部分19cには、電極の接続はない。
【0074】
この半導体光素子11を作製する方法によれば、絶縁性埋込領域63は半導体メサ19の第2部分19bを覆っているけれども、絶縁性埋込領域63の形成に先立って、ダミー領域55により絶縁性埋込領域31により半導体メサ19の第2部分19bの側面を保護しながら、半導体積層内のコンタクト層21dの一部又は全部が除かれている。この第2部分19bにおいては、半導体メサ19のコンタクト層21d内のドーパントに起因する光吸収が低減される。一方、電極(第1オーミック電極45a)は、絶縁性埋込領域63の第1コンタクト開口63aを介して半導体メサ19の第1部分19aのコンタクト層21dに接触を成す。第1部分19aのコンタクト層21dは、電極(第1オーミック電極45a)に対する電気接触を良好にする。
【0075】
オーミック電極を形成して後に、金属配線又はパッド電極のための導電体を形成するための準備を行う。
図16の(a)部に示されるように、工程S210では、導電体の形成に先立って、基板の全面に、具体的には第1エリア13a、第2エリア13b及び第3エリア13cに被覆層47を成長する。第2部分19b及び第3部分19cの上面は、絶縁性埋込領域63により覆われているので、被覆層47は、絶縁性埋込領域63及び電極(第1オーミック電極45a及び第2オーミック電極45b)上に成長される。この成長の後に、第7マスク49と同様に開口マスク65を形成する。開口マスク65は、第1エリア13a上の第1部分19aの上面上の第1オーミック電極45aに位置する開口、及び第1エリア13a上の素子分離メサ25の表面上の第2オーミック電極45bに位置する開口を有する。開口マスク65を用いて被覆層47をエッチングして、第1オーミック電極45a及び第2オーミック電極45b上にそれぞれ到達する第1接続開口47a及び第2接続開口47cを被覆層47に形成する。エッチングの後に、マスクを除去する。第2部分19b及び第3部分19cの上面は、被覆層47及び絶縁性埋込領域63により覆われている。
【0076】
第1オーミック電極45a及び第2オーミック電極45b並びに第1接続開口47a及び第2接続開口47cを形成した後に、工程S211では、金属配線又はパッド電極のための導電体を形成する。導電体の形状、具体的には金属配線又はパッド電極のための導電体の形状を規定するメッキマスク67を形成する。
メッキマスク67は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに設けられる導電体のための第1開口67a、第2オーミック電極45bに設けられる導電体のための第2開口67b、並びに第3エリア13c(及び/又は第2エリア13b)上の絶縁性埋込領域63上に設けられる導電体のための第3開口(例えば
図11の第3開口51c)を有する。メッキマスク67を用いたメッキ工程により、メッキマスク67によって規定された開口部分に導電体53が形成される。メッキ工程では、例えば金(Au)をメッキにより成長させることができる。導電体53は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに第1接続開口47aを介して繋がる第1導電体部分53a(53)、第2オーミック電極45bに第2接続開口47cを介して繋がる第2導電体部分53b(53)、並びに第3エリア13c(及び/又は第2エリア13b)の絶縁性埋込領域31上を延在する第3導電体部分53c(53)を含む。メッキ工程の後に、メッキマスク67を除去する。導電体53は、絶縁性埋込領域63上を延在して、絶縁性埋込領域63が開口を備えない第2部分19b及び第3部分19cにおいて半導体メサ19を横切ることができる。
【0077】
この半導体光素子11を作製する方法によれば、半導体メサ19を覆うダミー領域55を作製すると共に、ダミー領域55の加工により、半導体メサ19の第2部分19b上に位置する開口55aをダミー領域55に形成する。ダミー領域55は、半導体メサ19の第2部分19b上に位置する開口55aを有すると共に、半導体メサ19の側面を覆っている。これ故に、ダミー領域55により半導体メサ19の側面をエッチャントから保護しながら、エッチングにより半導体積層内のコンタクト層21dの一部又は全部を半導体メサ19の第2部分19bから除くことができる。この第2部分19bにおいては、半導体メサ19のコンタクト層21d内のドーパントに起因する光吸収が低減される。一方、半導体メサ19の第1部分19a内のコンタクト層21dは、半導体積層と電極との電気接触を良好にする。この電気接触のために、半導体メサ19の第2部分19bにおける部分的なエッチングの後にダミー領域55は除去されると共に、この除去の後に半導体メサ19を埋め込むように絶縁性埋込領域63が形成される。電気接続の配線のための導電体53が、絶縁性埋込領域63上を延在して、第2エリア13b又は第3エリア12c上において半導体メサを横切ることができる。
【0078】
実施形態に係る半導体光素子11を作製する更なる方法を説明する。
図17〜
図21は、第2実施形態に係る半導体光素子を作製する方法の主要な工程における生産物の断面を示す図面である。以下の作製工程における部材と半導体光素子11の対応物との関連に関する理解を容易にするために、可能な場合には、
図1及び
図2に示された参照符合を
図17〜
図21に付する。
【0079】
工程S301では、基板生産物を準備する。
図17に示されるように、基板生産物は、半導体主面13d上に設けられた半導体メサ19と、半導体主面13d上に設けられ半導体メサ19を覆う下部絶縁体領域71と、半導体メサ19上に設けられた第1オーミック電極45aと、素子分離メサ25上に設けられた第2オーミック電極45bと、第1オーミック電極45aといった電極に接続され下部絶縁体領域71上を延在する配線電極(
図18の配線電極73)とを含む。
【0080】
工程S301は、例えば第1工程、第2工程、第3工程、及び第4工程を含む。第1工程では、
図3及び工程S101を参照しながら説明したように、コンタクト層21dのための半導体層を含む半導体積層15を加工して、該半導体積層15から半導体メサ19を形成する。
【0081】
第2工程では、第2部分19bを露出させる第2開口31bを有すると共に半導体メサ19の第1部分19a及び第3部分19cと半導体メサ19の側面とを覆う構造物(絶縁性埋込領域31)を形成する。具体的には、
図5及び工程S105を参照しながら説明したように、第2開口31bを有する絶縁性埋込領域31が、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物として役立つ。或いは、
図13の(c)部及び工程S203を参照しながら説明したように、開口55aを有するダミー領域55が、半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物として役立つ。
【0082】
第3工程では、上記の構造物を用いて半導体メサ19の加工を行って、第2部分19bのコンタクト層21dの一部又は全部を除く。具体的には、
図5及び工程S105を参照しながら説明したように、絶縁性埋込領域31(半導体メサ19の第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cの側面を覆うと共に、第1部分19a及び第3部分19cの上面を覆う構造物)の第2開口31bを利用して、半導体メサ19の第2部分19bのコンタクト層21dの一部又は全部を除去する。或いは、
図14の(a)部及び工程S204を参照しながら説明したように、ダミー領域55をマスクとして用いて、開口55aに露出させる第2部分19bのコンタクト層21dの一部又は全部を除去する。
【0083】
第4工程では、絶縁性埋込領域31、63の第1コンタクト開口
31a、63aを介して半導体メサ19の第1部分19aにおいてコンタクト層21dに接触を成すように電極(第1オーミック電極45a)を形成する。具体的には、
図9及び工程S107を参照しながら説明したように、第1エリア13a上の半導体メサ19の第1部分19aの上面に第1開口31aを介して接触を成す第1オーミック電極45aを形成すると共に、第1エリア13a上の半導体メサ19間の素子分離メサ25の上面に第3開口31cを介して接触を成す第2オーミック電極45bを形成する。或いは、
図15の
(c)部及び工程
S209を参照しながら説明したように、第1エリア13a上の半導体メサ19の第1部分19aの上面に絶縁性埋込領域63の第1コンタクト開口63aを介して接触を成す第1オーミック電極45aを形成すると共に、第1エリア13a上の半導体メサ19間の素子分離メサ25の上面に絶縁性埋込領域63の第3コンタクト開口63cを介して接触を成す第2オーミック電極45bを形成する。
【0084】
これらの説明から理解されるように、基板生産
物を準備するために、工程S101から工程S108の作製過程を利用でき、また工程S201から工程
S209の作製過程を利用できる。
図17は、工程S101から工程S108の作製過程から得られる基板生産物を示す。
図17の(a)部は、
第2エリア13bにおける生産物の断面を示し、
図17の(b)部は、
第1エリア13aにおける生産物の断面を示す。下部絶縁体領域71は、第2エリアにおいて第2部分19b上に設けられた被覆層47と、第1エリア13aにおいて第1部分19aの上面に到達する第1開口71aと、第1エリア13aにおいて素子分離メサ25の上面に到達する第3開口71cとを含む。
【0085】
工程S302では、
図18に示されるように、基板生産物の作製のために、第1オーミック電極45aといった電極に接続されるように、下部絶縁体領域71上を延在する配線電極73を形成する。配線電極73は、メッキパターンを規定するパターンマスク75を用いて形成される。パターンマスク75は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに接続される配線電極のための第1開口75a及び第2オーミック電極45bに接続される配線電極のための第2開口75bを有する。パターンマスク75を用いたメッキ工程により、パターンマスク75によって規定された開口部分に配線電極73が形成される。メッキ工程では、例えば金(Au)をメッキにより成長させることができる。配線電極73は、第1エリア13a上の第1オーミック電極45aに第1開口71aを介して繋がる第1配線電極部分73a(73)、第2オーミック電極45bに第2開口71bを介して繋がる第2配線電極部分73b(73)を含む。メッキ工程の後に、パターンマスク75を除去する。この工程の結果、上記の基板生産物が作製される。
【0086】
以下の説明では、工程S101から工程S108の作製過程を適用して作製された基板生産物に、引き続く工程を適用する、
図18を参照すると、下部絶縁体領域71は絶縁性埋込領域31を含み、第1エリア13aにおいて第1部分19aの上面に到達する第1開口71aと、第2エリアにおいて第2部分19bの上面に到達する第2開口71bと、第1エリア13aにおいて素子分離メサ25の上面に到達する第3開口71cとを有する。下部絶縁体領域71は第3エリア13cにおいて第3部分19cの上面を被覆する。この半導体光素子11を作製する方法によれば、半導体光素子のための絶縁性埋込領域31の第2開口31bが、半導体メサ19の第2部分19bからコンタクト層21dの一部又は全部を除するために用いられる。絶縁性埋込領域31の第1開口31aが、半導体メサ19の第1部分19a内のコンタクト層21dへの接続のために用いられる。
【0087】
工程S303では、
図19に示されるように、基板生産物上に上部絶縁体領域77を形成する。
図19の(a)部は、半導体メサ19の第2部分19bを表す断面を示し、
図19の(b)部は、半導体メサ19の第1部分19aを表す断面を示す。本実施例では、基板生産物上に第2絶縁層79を成長する。第2絶縁層79は、例えばシリコン系無機絶縁膜であることができ、具体的にはシリコン酸化物(例えばSiO
2)等であることができる。具体的には、
図19の(b)部に示されるように、配線電極73の表面を覆っている。半導体光素子11の埋込領域のための第2樹脂体81を第2絶縁層79上に形成する。第2樹脂体81の形成は、例えば塗布工程及び塗布後の熱処理工程を含む。第2樹脂体81は、例えばベンゾシクロブテン(BCB)等であることができる。第2樹脂体81上に第3絶縁層83を成長する。第3絶縁層83は、例えばシリコン系無機絶縁膜であることができ、具体的にはシリコン酸化物(例えばSiO
2)等であることができる。本実施例では、第2絶縁層79、第2樹脂体81及び第3絶縁層83が、上部絶縁体領域77を構成する。第2絶縁層79の厚さは、例えば0.1〜0.5μm程度であり、第3絶縁層83の厚さは、例えば0.1〜0.5μm程度である。2層の樹脂体を備える半導体光素子11において、第2樹脂体81の厚さは、半導体メサ19上において、例えば1.0〜4.0μm程度であり、一方、樹脂体29の厚さは、素子分離メサ25上において、例えば3.0〜7.5μm程度である。半導体メサ19の高さは、例えば2.0〜3.5μm程度である。樹脂体29の厚さは第2樹脂体81の厚さより大きいことが良い。
【0088】
第2樹脂体81は、基板生産物の全体にわたって形成されて、下部絶縁体領域71の第3開口71cを埋め込むので、第2樹脂体81の表面は、生産物の全体にわたって実質的に平坦であることができる。二度の樹脂塗布に起因して、第3開口71cの外側の素子分離メサ25上には、第1絶縁層27、樹脂体29及び被覆層47、第2絶縁層79、第2樹脂体81及び第3絶縁層83が順に配列されている。一方、第3開口71cでは、二度の樹脂の塗布を行ったけれども、第2絶縁層79、第2樹脂体81及び第3絶縁層83が、第2配線電極部分73b(73)上に順に配列されて、より簡素な層間構造が形成されている。また、第1配線電極部分73a(73)上には、第2絶縁層79、第2樹脂体81及び第3絶縁層83が順に配列されている。
【0089】
工程S304では、
図20に示されるように、上部絶縁体領域77に第1スルーホール77a及び第2スルーホール77bを形成する。
図20の(a)部は、半導体メサ19の第2部分19bを表す断面を示し、
図20の(b)部は、半導体メサ19の第1部分19aを表す断面を示す。スルーホールの形成のために、スルーホールマスク85を形成する。スルーホールマスク85の材料は、例えばレジストであることができる。スルーホールマスク85を用いたドライエッチングにより、上部絶縁体領域77を加工する。第1スルーホール77a及び第2スルーホール77bは、それぞれ、第1配線電極部分73a及び第2配線電極部分73bに到達する。二度の樹脂の塗布を行ったけれども、第1配線電極部分73a及び第2配線電極部分73b上には、第2絶縁層79、第2樹脂体81及び第3絶縁層83からなる積層体が設けられている、スルーホール形成のためのエッチングは、CF
4、O
2ガスを用いたドライエッチングを用いて行われる。第1スルーホール77a及び第2スルーホール77bを形成した後に、スルーホールマスク85を除去する。
【0090】
工程S305では、
図21及び
図22に示されるように、第1スルーホール77a及び第2スルーホール77bを形成した後に、上部絶縁体領域77上に導電体87を形成する。
図21の(a)部は、半導体メサ19の第2部分19bを表す断面を示し、
図21の(b)部は、半導体メサ19の第1部分19aを表す断面を示す。
図22は、半導体メサ19の第3部分19cを表す断面を示す。本実施例では、第2メッキマスク89を用いて導電体87をメッキ法により作製する。導電体87が、上部絶縁体領域77のシリコン系無機絶縁体上に形成されるとき、その下地に対して良好な密着性を提供できる。具体的には、導電体87は金(Au)を備えることができる。導電体87の第1導体部87aは、半導体メサ19の第1部分19a及び第1エリア13a上に位置する第1配線電極部分73aに第1スルーホール77aを介して接続されるように形成され、また第2導体部87bは、素子分離メサ25及び第1エリア13a上に位置する第2配線電極部分73bに第2スルーホール77bを介して接続されるように形成される。また、導電体87の第3導体部87cは、半導体メサ19の第3部分19c上を延在するように形成され、必要な場合には、半導体メサ19の第2部分19b上を延在するように形成される。
【0091】
この半導体光素子11を作製する方法によれば、基板生産物の準備に際して、半導体メサ19を形成した後に、半導体メサ19の側面及び半導体主面を覆う構造物(例えば、下部絶縁体領域71)を用いて、第2部分19bからコンタクト層21dの一部又は全部を除くための加工を行う。この加工に際して構造物(例えば、下部絶縁体領域71)の被覆のお陰で、半導体メサ19の第2部分19b内のコンタクト層21dの一部又は全部が、第2部分19b内のコンタクト層21d以外の半導体層並びに第1部分19a及び第3部分19cに対して選択的に除かれる。この加工工程の結果、半導体メサ19の第1部分19a及び第3部分19cではコンタクト層21dが元のまま残されており、第2部分19bでは加工の結果としてコンタクト層21dの一部又は全部が除去されている。半導体メサ19を形成した後における上記加工に際して構造物(例えば、下部絶縁体領域71)が半導体主面を覆うので、コンタクト層21dの有無の切り替えは、半導体メサ19の上面に位置する。これ故に、半導体メサ19を形成する工程を備える既存の工程フロー内に、上記の加工処理(コンタクト層21dの加工処理)を取り込める。
【0092】
半導体光素子11において、半導体メサ19のコンタクト層21d内のドーパントに起因する光吸収が第2部分19bにおいて低減されている。一方、半導体メサ19の第1部分19aのコンタクト層21dは、半導体積層と電極との電気接触を良好にする。また、絶縁性埋込領域31、第1オーミック電極45a、及び配線電極73上に上部絶縁体領域77を形成するので、半導体メサ19は、半導体メサ19の第2部分19b又は第3部分19c上を延在する導電体87から上部絶縁体領域77によって隔置される。導電体87は、半導体メサ19を横切るために上部絶縁体領域77上を延在できる。
【0093】
図23及び
図24は、上記の工程によって作製される半導体光素子を模式的に示す図面である。
図23の(a)部は、半導体メサ19の第2部分19bに係る素子断面を示し、
図23の(b)部は、半導体メサ19の第1部分19aに係る素子断面を示す。
図24は、半導体メサ19の第3部分19cに係る素子断面を示す。半導体光素子11は、半導体メサ19と、上部絶縁体領域77と、第1オーミック電極45aと、導電体87とを備える。半導体メサ19は、半導体主面13dの第1エリア13a、第2エリア13b、及び第3エリア13c上にそれぞれ設けられた第1部分19a、第2部分19b及び第3部分19cを有する。下部絶縁体領域71は、絶縁性埋込領域31及び被覆層47を含む。絶縁性埋込領域31は、半導体メサ19上及び半導体主面13d上に設けられた第1絶縁層27、並びに第1絶縁層27上に設けられた埋込領域(例えば、樹脂体29)を含み、絶縁性埋込領域31は、半導体メサ19の第1部分19a上に位置する第1開口31a及び半導体メサ19の第2部分19b上に位置する第2開口31bを有する。被覆層47は、絶縁性の材料からなり、絶縁性埋込領域31上に設けられて、これにより第2開口31bを覆う。第1オーミック電極45aは、絶縁性埋込領域31の第1開口31aを介して半導体メサ19の第1部分19aに接触を成す。上部絶縁体領域77は、絶縁性埋込領域31、被覆層47、及び第1オーミック電極45a上に設けられる。導電体87は、上部絶縁体領域77上に設けられ、第2エリア13b又は第3エリア13c上において半導体メサ19を横切るように延在する。半導体メサ19の第1部分19a及び第3部分19cはコンタクト層21dを含み、第2部分19bはコンタクト層を含まない。絶縁性埋込領域31は、BCBといった第1樹脂を備え、上部絶縁体領域77は、BCBといった第2樹脂を備える。この半導体光素子11によれば、導電体87は、上部絶縁体領域77及び絶縁性埋込領域31上を延在して、半導体メサ19を横切ることができる。
【0094】
図25は、マッハツェンダ変調器のアーム導波路の導波路軸の方向にとられた素子断面を示す図面である。
図25に示される実施例では、半導体メサ19における切り替えは、第1部分19aと第2部分19bとの間に第3部分19cが設けられている。第1オーミック電極45aが第1開口31aを介して第1部分19aに接触を成しており、また第2部分19bに先立つ第3部分19c上において終端している。第2開口31bは、第2部分19b上に設けられ、第2部分19bと第3部分19cとの境界で終端している。
【0095】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。