特許第6589711号(P6589711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000002
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000003
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000004
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000005
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000006
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000007
  • 特許6589711-平型半導体スタックユニット 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589711
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】平型半導体スタックユニット
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/467 20060101AFI20191007BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20191007BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H01L23/46 C
   H01L23/34 C
   H05K7/20 G
   H05K7/20 U
   H05K7/20 H
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-58432(P2016-58432)
(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-174935(P2017-174935A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】石田 裕行
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−039444(JP,U)
【文献】 実開昭62−154654(JP,U)
【文献】 実開昭56−084359(JP,U)
【文献】 特開平08−125366(JP,A)
【文献】 実開昭58−000436(JP,U)
【文献】 特開昭51−036875(JP,A)
【文献】 実開昭54−082547(JP,U)
【文献】 実開昭57−135891(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平型の半導体素子と、
冷却フィンを含むとともに前記複数の半導体素子と交互に積層される複数の冷却体と、
前記冷却フィンに冷却風を送風するとともに、前記複数の半導体素子と対向するように設けられるファンと、
前記冷却フィンを通過した冷却風を前記ファンに導く導風部材と、を備え、
前記導風部材は、前記複数の冷却体の各々の前記冷却フィンごとに別個に設けられるとともに対応する前記冷却フィンと接続され、前記冷却フィンの前記ファン側の端部から前記ファン側に延びるように設けられる複数の筒状の第1の導風部材と、前記複数の第1導風部材と前記ファンとの間において前記複数の第1の導風部材の各々と接続され、前記複数の第1の導風部材の各々を通過した冷却風に対して共通の第1導風路を構成するとともに、前記ファンに対して前記複数の半導体素子が積層される方向の両側に設けられる第2の導風部材と、を含む、平型半導体スタックユニット。
【請求項2】
前記複数の第1の導風部材の各々は、絶縁性の部材によって形成されている、請求項1に記載の平型半導体スタックユニット。
【請求項3】
前記複数の冷却体の各々は、前記冷却フィンが側面に突出して設けられる冷却体本体部をさらに含み、
前記冷却フィンは、平面視において、前記冷却体本体部から前記ファン側に突出するように構成されており、
前記複数の第1の導風部材の各々は、前記冷却フィンの前記冷却体本体部から突出した部分に取り付けられている、請求項2に記載の平型半導体スタックユニット。
【請求項4】
前記第2の導風部材の前記ファン側の開口部の高さ方向の長さは、前記第2の導風部材の前記冷却体側の高さ方向の長さよりも小さくなるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平型半導体スタックユニット。
【請求項5】
前記複数の冷却体の各々は、前記冷却フィンが設けられる冷却体本体部をさらに含み、
前記冷却フィンの、前記冷却体本体部と接続する側とは反対側の端部に取り付けられる壁部をさらに備え、
前記冷却フィンと前記壁部とによって、前記冷却フィンに冷却風を通過させる第2導風路が構成されており、前記第2導風路と、前記導風部材とが接続されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平型半導体スタックユニット。
【請求項6】
前記複数の半導体素子および前記複数の冷却体は、互いに電気的に導通するように交互に積層されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平型半導体スタックユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平型半導体スタックユニットに関し、特に、半導体素子を冷却する冷却体を備える平型半導体スタックユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子を冷却する冷却体を備える平型半導体スタックユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の平型半導体スタックユニット(装置)は、複数の平型半導体素子と複数の冷却体(放熱体)とが、交互に積層されるように構成されている。平型半導体素子は、上部および下部のそれぞれに設けられた放熱体によって、冷却されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−368164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、平型半導体スタックユニット(装置)の冷却において、冷却体(放熱体)にファン等から冷却風を送風することによって、放熱体の冷却を行う方法が知られている。しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来の平型半導体スタックユニットでは、複数の放熱体の全てを冷却するために、装置全体にファン等からの冷却風を吹き付ける必要がある。そして、装置全体にファン等から冷却風を吹き付けることによって、必ずしも冷却が必要でない部分にも冷却風が流れるため、冷却効率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷却が必要ではない部分に冷却風が流れることを抑制することが可能な平型半導体スタックユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による平型半導体スタックユニットは、複数の平型の半導体素子と、冷却フィンを含むとともに複数の半導体素子と交互に積層される複数の冷却体と、冷却フィンに冷却風を送風するとともに、複数の半導体素子と対向するように設けられるファンと、冷却フィンを通過した冷却風をファンに導く導風部材と、を備え、導風部材は、複数の冷却体の各々の冷却フィンごとに別個に設けられるとともに対応する冷却フィンと接続され、冷却フィンのファン側の端部からファン側に延びるように設けられる複数の筒状の第1の導風部材と、複数の第1導風部材とファンとの間において複数の第1の導風部材の各々と接続され、複数の第1の導風部材の各々を通過した冷却風に対して共通の第1導風路を構成するとともに、ファンに対して複数の半導体素子が積層される方向の両側に設けられる第2の導風部材と、を含む。
【0008】
この発明の一の局面による平型半導体スタックユニットでは、上記のように、冷却フィンを通過した冷却風をファンに導く導風部材を備えることによって、冷却フィンを通過した冷却風を容易にファンに導くことができるので、導風部材が設けられない場合に比べて、冷却が必要ではない部分に冷却風が流れることを抑制することができる。これにより、ファンによる冷却フィンの冷却効率を向上させることができる。その結果、ファンまたは冷却フィンを大型化するか、または、ファンの台数を増大することなく、冷却フィンを十分に冷却することができるので、平型半導体スタックユニット全体を小型化することができる。
【0012】
上記一の局面による平型半導体スタックユニットにおいて、好ましくは、複数の第1の導風部材の各々は、絶縁性の部材によって形成されている。このように構成すれば、半導体素子および冷却体と、第2の導風部材とが第1の導風部材を介して電気的に導通することを防止することができるので、半導体スタックユニットの動作を安定させることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、複数の冷却体の各々は、冷却フィンが側面に突出して設けられる冷却体本体部をさらに含み、冷却フィンは、平面視において、冷却体本体部からファン側に突出するように構成されており、複数の第1の導風部材の各々は、冷却フィンの冷却体本体部から突出した部分に取り付けられている。このように構成すれば、第1の導風部材を冷却フィンに容易に取り付けることができる。
【0014】
上記一の局面による平型半導体スタックユニットにおいて、好ましくは、第2の導風部材のファン側の開口部の高さ方向の長さは、第2の導風部材の冷却体側の高さ方向の長さよりも小さくなるように構成されている。このように構成すれば、第2の導風部材に流入した冷却風を、第2の導風部材のファン側の開口部に集中するように移動させることができるので、ファンを小型化させることができる。
【0015】
上記一の局面による平型半導体スタックユニットにおいて、好ましくは、複数の冷却体の各々は、冷却フィンが設けられる冷却体本体部をさらに含み、冷却フィンの、冷却体本体部と接続する側とは反対側の端部に取り付けられる壁部をさらに備え、冷却フィンと壁部とによって、冷却フィンに冷却風を通過させる第2導風路が構成されており、第2導風路と、導風部材とが接続されている。このように構成すれば、壁部によって、冷却フィンを通過する冷却風が導風路から外部に漏れることが抑制されるので、ファンによる冷却フィンの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0016】
上記一の局面による平型半導体スタックユニットにおいて、好ましくは、複数の半導体素子および複数の冷却体は、互いに電気的に導通するように交互に積層されている。このように構成すれば、積層された複数の半導体素子と複数の冷却体とに冷却風を吹き付ける場合に比べて、導風部材により、複数の冷却体に設けられる冷却フィンだけに冷却風を吹き付けることによって、ファンによる冷却フィンの冷却効率を容易に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、冷却が必要ではない部分に冷却風が流れることを抑制することが可能な平型半導体スタックユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニットの全体構成を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニットの全体構成を示した正面図である。
図3】本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニットの電気回路構成を示した図である。
図4図1の200−200線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニットの冷却風の流れを示した図である。
図6図4の300−300線に沿った断面図である。
図7図2の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施形態]
まず、図1図7を参照して、本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニット100の構成について説明する。
【0021】
平型半導体スタックユニット100は、たとえば、船舶用の電源装置などに適用される。具体的には、平型半導体スタックユニット100は、船舶等に交流電源の電力を供給するように構成されている。
【0022】
(平型半導体スタックユニットの構成)
本発明の一実施形態による平型半導体スタックユニット100は、図1に示すように、平型半導体スタック1と、平型半導体スタック1の後方(X1方向)に取り付けられるファン2とを備える。ファン2は、X1方向に冷却風を送風するように構成されている。
【0023】
平型半導体スタック1は、4つの平型の半導体素子3を含む。また、平型半導体スタック1は、半導体素子3に取り付けられる5つの冷却体4を含む。4つの半導体素子3と5つの冷却体4とは、Z方向に交互に積層されている。すなわち、最も下側(Z2方向側)には冷却体4が配置されるとともに、最も上側(Z1方向側)にも冷却体4が配置される。また、最も上側の冷却体4の上部、および、最も下側の冷却体4の下部には、それぞれ、周辺部材との電気的導通を防止するための絶縁板101が取り付けられている。
【0024】
ここで、本実施形態では、平型半導体スタックユニット100は、冷却体4に設けられる後述する冷却フィン40を通過した冷却風をファン2に導くダクト5を備える。具体的には、冷却フィン40を通過した冷却風は、ダクト5の後述する第1ダクト部分50と後述する第2ダクト部分51とを通り、半導体スタック1の外部へ出される。なお、ダクト5は、特許請求の範囲の「導風部材」の一例である。また、第1ダクト部分50、および、第2ダクト部分51は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1の導風部材」および「第2の導風部材」の一例である。
【0025】
また、本実施形態では、図2に示すように、半導体素子3および冷却体4は、互いに電気的に導通するように構成されている。具体的には、また、4つの半導体素子3はそれぞれ、内部にサイリスタ30を含んでいる。半導体素子3は、サイリスタ30を介して、上部に積層されている冷却体4と電気的に導通するように構成されている。
【0026】
上側(Z1方向側)の2つの半導体素子3のサイリスタ30は、ゲートに電圧が印加されており、電気的に導通している。また、下側(Z2方向側)の2つの半導体素子3のサイリスタ30は、ゲートに電圧が印加されておらず、電気的に導通していない。なお、上側の2つの半導体素子3は、常用の電源として備えられており、下側の2つの半導体素子3は、予備の電源として備えられている。また、ゲート電圧が印加されるサイリスタ30を切り替えることによって、常用の電源と予備の電源とを切り替えるように構成されている。
【0027】
5つの冷却体4はそれぞれ接続端子102を有している。上側(Z1方向側)から1番目、3番目、および、5番目の冷却体4の接続端子102は、出力端子103に電気的に接続されている。また、上側から2番目の冷却体4の接続端子102は、入力端子104に電気的に接続されている。また、上側から4番目の冷却体4の接続端子102は、入力端子105に電気的に接続されている。
【0028】
図2および図3に示すように、出力端子103の電圧が入力端子104の電圧よりも大きい場合は、Z1方向から2番目の半導体素子3を介して、出力端子103から入力端子104に電流が流れる。また、入力端子104の電圧が出力端子103の電圧よりも大きい場合は、Z1方向から1番目の半導体素子3を介して、入力端子104から出力端子103に電流が流れる。
【0029】
図2に示すように、半導体素子3の上面3a(Z1方向側の面)および下面3b(Z2方向側の面)はそれぞれ平坦な面である。また、冷却体4の上面4a(Z1方向側の面)および下面4b(Z2方向側の面)はそれぞれ平坦な面である。半導体素子3の上面3a、下面3b、冷却体4の上面4a、および、下面4bは、それぞれ、矩形形状であるとともに略同等の大きさを有している。半導体素子3の上面3aは、冷却体4の下面4bと重なるように密接しており、半導体素子3の下面3bは、冷却体4の上面4aと重なるように密接している。
【0030】
半導体素子3と冷却体4とは、半導体スタック1の上下方向から圧力がかけられることによって圧接されている。また、半導体素子3と冷却体4とは、圧接されることによって、電気的に導通可能な状態となる。
【0031】
冷却体4は、上面4aおよび下面4bを有する冷却体本体部41を含む。また、冷却体4は冷却体本体部41に設けられる冷却フィン40を含む。冷却フィン40は、冷却体本体部41のY方向の両側の側面41aに設けられている。冷却フィン40への送風等によって冷却フィン40が冷却された場合、熱伝導によって冷却体本体部41が冷却される。そして、冷却体本体部41が冷却されることによって、冷却体本体部41と密接する半導体素子3が冷却される。また、冷却フィン40および冷却体本体部41はそれぞれ、アルミニウムにより形成されている。
【0032】
また、本実施形態では、図4に示すように、ダクト5は、冷却フィン40とファン2とを接続するように構成されている。具体的には、ダクト5は、5つの冷却体4のそれぞれの冷却フィン40に接続されるように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、詳細には、ダクト5は、冷却フィン40と接続される第1ダクト部分50を含む。また、ダクト5は、第1ダクト部分50とファン2との間に設けられ、第1ダクト部分50と接続される第2ダクト部分51を含む。そして、冷却フィン40と第1ダクト部分50との間から、冷却フィン40を通った冷却風が流出する隙間がないように接続されている。また、第1ダクト部分50と第2ダクト部分51との間から、第1ダクト部分50を通った冷却風が流出する隙間がないように接続されている。
【0034】
また、本実施形態では、第1ダクト部分50は、絶縁性の部材によって形成されている。具体的には、第1ダクト部分50は、シリコンゴムによって形成されている。なお、第2ダクト部分51は、金属(たとえば、鉄)により形成されている。
【0035】
また、本実施形態では、第2ダクト部分51のファン2側(X1方向側)の開口部51aの高さ方向(Z方向)の長さL1は、第2ダクト部分51の冷却体4側(X2方向側)の高さ方向の長さL2よりも小さくなるように構成されている。具体的には、第2ダクト部分51は、ファン2を挟んで上側(Z1方向側)および下側(Z2方向側)のそれぞれに設けられる傾斜部51bを含む。ファン2より上側の傾斜部51bは、X2方向からX1方向に向かって斜め下方に傾斜するように構成されている。ファン2より下側の傾斜部51bは、X2方向からX1方向に向かって斜め上方に傾斜するように構成されている。すなわち、第2ダクト部分51は、X2方向からX1方向に向かって先細るテーパ形状を有している。また、開口部51aおよびファン2はそれぞれ、高さ方向(Z方向)において、第2ダクト部分51の略中央に設けられている。これにより、第2ダクト部分51に流入した冷却風は、第2ダクト部分51の高さ方向の中央付近に集中するように移動する。
【0036】
また、本実施形態では、図6に示すように、冷却フィン40は、冷却体本体部41からファン2側に突出した突出部40aを含む。また、第1ダクト部分50は、冷却フィン40の突出部40aに取り付けられている。具体的には、突出部40aは、冷却体本体部41の側面41aからファン2側(X1方向側)に長さL3だけ突出している。また、第1ダクト部分50は、冷却フィン40側(X2方向側)に矩形形状の開口部50aを含む。冷却フィン40と第1ダクト部分50とは、突出部40aが開口部50aに嵌合することによって接続されている。なお、突出部40aは、特許請求の範囲の「冷却体本体部から突出した部分」の一例である。
【0037】
図4図6に示すように、第1ダクト部分50には、第2ダクト部分51の第1ダクト部分50側(X2方向側)の開口部51c(図6参照)と係合する溝部50bが設けられている。また、第1ダクト部分50の第2ダクト部分51側(X1側)の端部50c(図
6参照)は、開口部51cから第2ダクト部分51の内部に挿入されている。
【0038】
また、本実施形態では、図7に示すように、冷却フィン40の、冷却体本体部41と接続する側とは反対側の端部40bに取り付けられる壁部40cを備える。また、冷却フィン40と壁部40cとによって、冷却フィン40に冷却風を通過させる導風路40dが構成されている。また、導風路40dとダクト5とは接続されている。具体的には、壁部40cと冷却フィン40とによって、冷却風の、Y方向およびZ方向それぞれへの移動が制限されている。また、壁部40cと冷却フィン40とは、銀蝋により溶接されることによって密着している。
【0039】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
本実施形態では、上記のように、平型の半導体素子3と、半導体素子3に取り付けられ、冷却フィン40を含む冷却体4と、冷却フィン40に冷却風を送風するファン2と、冷却フィン40を通過した冷却風をファン2に導くダクト5と、を備えるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、冷却フィン40を通過した冷却風を容易にファン2に導くことができるので、ダクト5が設けられない場合に比べて、冷却が必要ではない部分に冷却風が流れることを抑制することができる。これにより、ファン2による冷却フィン40の冷却効率を向上させることができる。その結果、ファン2または冷却フィン40を大型化するか、または、ファン2の台数を増大することなく、冷却フィン40を十分に冷却することができるので、平型半導体スタックユニット100全体を小型化することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、ダクト5が、冷却フィン40とファン2とを接続するように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、ダクト5によって、冷却フィン40とファン2との間において、冷却フィン40を通過した冷却風が外部に漏れることが抑制されるので、ファン2による冷却フィン40の冷却効率をより向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、半導体素子3および冷却体4が、それぞれ、複数設けられ、複数の半導体素子3と複数の冷却体4とが交互に積層され、ダクト5は、複数の冷却体4のそれぞれの冷却フィン40に接続されるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、ダクト5によって、複数の冷却フィン40のそれぞれとファン2との間において、冷却風が外部に漏れることが抑制されるので、ファン2による冷却フィン40の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、ダクト5が、冷却フィン40と接続される第1ダクト部分50と、第1ダクト部分50とファン2との間に設けられ、第1ダクト部分50と接続される第2ダクト部分51と、を含むように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、第1ダクト部分50と第2ダクト部分51とによって、冷却フィン40とファン2との間において、冷却フィン40を通過した冷却風が外部に漏れることが抑制されるので、ファン2による冷却フィン40の冷却効率を容易に向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、第1ダクト部分50が、絶縁性の部材によって形成されるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、半導体素子3および冷却体4と、第2ダクト部分51とが第1ダクト部分50を介して電気的に導通することを防止することができるので、半導体スタックユニット100の動作を安定させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、冷却体4が、冷却フィン40が側面41aに突出して設けられる冷却体本体部41をさらに含み、冷却フィン40が、平面視において、冷却体本体部41からファン2側に突出するように構成されており、第1ダクト部分50は、冷却ファン2の冷却体本体部41から突出した部分に取り付けられるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、第1ダクト部分50を冷却フィン40に容易に取り付けることができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、第2ダクト部分51のファン2側の開口部51aの高さ方向の長さL1が、第2ダクト部分51の冷却体4側の高さ方向の長さL2よりも小さくなるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、第2ダクト部分51に流入した冷却風を、第2ダクト部分51のファン2側の開口部51aに集中するように移動させることができるので、ファン2を小型化させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、冷却体4が、冷却フィン40が設けられる冷却体本体部41をさらに含み、冷却フィン40の、冷却体本体部41と接続する側とは反対側の端部40bに取り付けられる壁部40cをさらに備え、冷却フィン40と壁部40cとによって、冷却フィン40に冷却風を通過させる導風路40dが構成されており、導風路40dと、ダクト5とが接続されるように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、壁部40cによって、冷却フィン40を通過する冷却風が導風路40dから外部に漏れることが抑制されるので、ファン2による冷却フィン40の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、半導体素子3および冷却体4が、互いに電気的に導通するように交互に積層されるように、それぞれ、複数設けられ、ダクト5は、複数の冷却体4のそれぞれに設けられる冷却フィン40とファン2との間を接続するように、平型半導体スタックユニット100を構成する。これにより、積層された複数の半導体素子3と複数の冷却体4とに冷却風を吹き付ける場合に比べて、ダクト5により、複数の冷却体4に設けられる冷却フィン40だけに冷却風を吹き付けることによって、ファン2による冷却フィン40の冷却効率を容易に向上させることができる。
【0049】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0050】
たとえば、上記実施形態では、冷却体4がアルミニウムにより形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷却体4は、銅により形成されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、第2ダクト部分51が金属(たとえば、鉄)により形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2ダクト部分51は、金属以外の部材によって形成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、下側の2つの半導体素子3を、予備の電源として備える構成の例を示したが本発明はこれに限られない。予備の電源を備えずに、常用の電源だけ備えるような構成であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、半導体素子3は、サイリスタ30を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、半導体素子3は、GTOサイリスタ(Gate turn−off thyristor)、または、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含んでいてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、4つの半導体素子3と5つの冷却体4とが、交互に積層される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。半導体素子3の数が4つ以外であり、冷却体4の数が5つ以外であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、半導体素子3の上面3a、下面3b、冷却体4の上面4a、および、下面4bはそれぞれ、矩形形状である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。半導体素子3の上面3a、下面3b、冷却体4の上面4a、および、下面4bはそれぞれ、矩形形状以外であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、半導体素子3の上面3a、下面3b、冷却体4の上面4a、および、下面4bはそれぞれ、略同等の大きさを有している構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。半導体素子3の上面3a、下面3b、冷却体4の上面4a、および、下面4bはそれぞれ、異なる大きさを有していてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、上側の2つの半導体素子3が常用の電源であり、下側の2つの半導体素子3が予備の電源である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上側の2つの半導体素子3が予備の電源であり、下側の2つの半導体素子3が常用の電源であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、サイリスタ30によって、半導体素子3と、半導体素子3の上部の冷却体4とが電気的に通電する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、半導体素子3と、半導体素子3の下部の冷却体4とが電気的に通電する構成であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、冷却フィン40とファン2とが、ダクト5によって接続される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ダクト5が、冷却フィン40とファン2とに接続されずに、冷却フィン40とファン2との間に配置されるだけであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
2 ファン
3 半導体素子
4 冷却体
5 ダクト(導風部材)
40 冷却フィン
40a 突出部(冷却体本体部から突出した部分)
40b 端部
40c 壁部
40d 導風路
41 冷却体本体部
50 第1ダクト部分(第1の導風部材)
51 第2ダクト部分(第2の導風部材)
51a 開口部
L1 長さ(開口部の高さ方向の長さ)
L2 長さ(第2の導風部材の高さ方向の長さ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7