(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、光学装置における一実施形態について、
図1〜
図11を参酌して説明する。なお、各図(
図12〜
図15も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係る光学装置1は、光L1を出射する光源21を複数有する第1光源群2と、光L2を出射する光源31を複数有する第2光源群3とを備えている。また、光学装置1は、第1光源群2から出射された光L1が入射される第1光学体4と、第2光源群3から出射された光L2が入射される第2光学体5とを備えている。
【0015】
光学装置1は、入射された光L1,L2の少なくとも一部を蛍光に変換して出力する蛍光素子6を備えている。また、光学装置1は、第1光源群2から出射された光L1が入射され且つ該光L1を第1光学体4に向けて出射する第1光学系7と、第2光源群3から出射された光L2が入射され且つ該光L2を第2光学体5に向けて出射する第2光学系8とを備えている。そして、光学装置1は、第1光学体4及び第2光学体5から出射された光L1,L2が入射され且つ該光L1,L2を蛍光体6に向けて出射する第3光学系9を備えている。
【0016】
光学装置1は、光源群2,3、光学体4,5、蛍光素子6、及び光学系7〜9を内部に収容する筐体10を備えている。また、光学装置1は、筐体10に対する第1光学体4の位置を調節する第1調節機構11と、筐体10に対する第2光学体5の位置を調節する第2調節機構12とを備えている。
【0017】
そして、光学装置1は、光源群2,3及び蛍光素子6を冷却する冷却体13を備えている。なお、冷却体13は、薄板状に形成される複数のフィン131aを有するヒートシンク131と、密閉されたパイプ内に多孔質材などを内張りし、液体を封入したヒートパイプ132とを備えている。
【0018】
なお、
図1〜
図3(
図4以降も同様)において、第1方向D1は、光源21,31が光L1,L2を出射する方向である。また、第2方向D2は、第1方向D1と直交する方向であり、第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2とそれぞれ直交する方向である。
【0019】
筐体10は、矩形状で且つ平板状の第1壁部101と、第1壁部101と直交するように連結され、矩形状で且つ平板状の第2〜第5壁部102〜105とを備えている。そして、第1壁部101は、透光性を有する出射部101aを備えている。なお、筐体10の出射部101a以外の部分は、遮光性を有している。
【0020】
第1壁部101は、第1方向D1に対して直交し、且つ、第2方向D2及び第3方向D3に対して平行に配置されている。第2壁部102及び第3壁部103は、互いに対面するように配置され、そして、第2方向D2に対して直交し、且つ、第1方向D1及び第3方向D3に対して平行に配置されている。第4壁部104及び第5壁部105は、互いに対面するように配置され、そして、第3方向D3に対して直交し、且つ、第1方向D1及び第2方向D2に対して平行に配置されている。
【0021】
第1及び第2光源群2,3のそれぞれにおいて、複数の光源21,31は、第2方向D2に沿って複数並列され、且つ、第3方向D3に沿って複数並列されている。本実施形態においては、第1及び第2光源群2,3のそれぞれにおいて、光源21,31は、第2方向D2に4つ並列され、且つ、第3方向D3に6つ並列され、合計で24個(=4列×6列)備えられている。
【0022】
光源21,31は、例えば、アレイタイプの半導体レーザの発光部としている。なお、光源21,31は、シングルエミッタタイプの半導体レーザの発光部でもよく、LEDでもよい。本実施形態においては、光源21,31は、青色光(例えば、波長が400〜470nmの光)を出射している。
【0023】
第1及び第2光学系7,8のそれぞれは、光源21,31から出射された光L1,L2が入射され且つ該光L1,L2を光学体4,5に向けて出射するレンズ71,81を複数備えている。本実施形態においては、レンズ71,81は、入射された光を集束光にして出射する集光レンズとしている。なお、レンズ71,81は、入射された光を平行光にして出射するコリメートレンズでもよい。
【0024】
レンズ71,81は、一つの光源21,31に対して一つ備えられている。本実施形態においては、第1及び第2光学系7,8のそれぞれにおいて、レンズ71,81は、第2方向D2に4つ並列され、且つ、第3方向D3に6つ並列され、合計で24個(=4列×6列)備えられている。
【0025】
第1及び第2光学体4,5のそれぞれは、光源21,31から出射された光L1,L2が第1方向D1から入射される複数の反射部41,51と、複数の反射部41,51を支持する本体部42,52とを備えている。そして、反射部41,51は、第1方向D1から入射された光L1,L2を、第3方向D3に向けて反射している。
【0026】
図4(
図4においては、第1光学体4のみ図示している)に示すように、複数の反射部41,51は、第2方向D2に沿ってそれぞれ長尺に形成されている。そして、複数の反射部41,51は、第3方向D3に並列されている。本実施形態においては、第1及び第2光学体4,5のそれぞれにおいて、反射部41,51は、第3方向D3に6つ備えられている。なお、複数の反射部41,51は、第1方向D1で、それぞれ離間している。即ち、光学体4,5は、本体部42,52が階段状に形成されている階段ミラーである。
【0027】
ところで、反射部41,51は、複数(本実施形態においては、4つ)の光源21,31と複数(本実施形態においては、4つ)のレンズ71,81と、第1方向D1で重なるように配置されている。これにより、複数の光源21,31から出射された光L1,L2は、それぞれの反射部41,51に対して、第2方向D2に沿って複数(本実施形態においては、4つ)の位置に入射されている。なお、
図4において、反射部41に入射される光L1の形状は、破線で図示されている。
【0028】
図3に戻り、第3光学系9は、入射された光L1〜L4の一部を反射し且つ他部を透過するダイクロイックミラー91を備えている。また、第3光学系9は、第1方向D1で並列されている第1〜第3レンズ92〜94を備えている。
【0029】
ダイクロイックミラー91は、入射された光L1〜L3の一部を反射し且つ他部を透過する第1領域91aと、入射された光L4を全て透過する第2領域91bとを備えている。なお、第1領域91aは、例えば、光の一方の偏光成分(例えば、S偏光成分)を反射し、光の他方の偏光成分(例えば、P偏光成分)を透過する。
【0030】
図3において、1点鎖線は、光源群2,3の光源21,31から出射された光L1,L2を示しており、第1光源群2の光源21から出射された光L1についてのみ、蛍光素子6に入射されるまでの進路を示している。また、
図3において、2点鎖線は、蛍光素子6から出力された光L3,L4が光学装置1の外部に出射されるまでの進路を示している。
【0031】
ところで、光源群2,3の光源21,31から出射され光L1,L2は、S偏光成分のみからなる直線偏光のレーザ光である。したがって、光学体4,5でそれぞれ反射された光L1,L2は、全てダイクロイックミラー91の第1領域91aに入射され、その後、反射される。そして、該光L1,L2は、第1レンズ92、第2レンズ93、及び第3レンズ94をそれぞれ通過した後に、蛍光素子6に入射される。
【0032】
このとき、
図5に示すように、第1光源群2から出射された光L1は、第1光学系7、第1光学体4、及び第3光学系9を経由することで、蛍光素子6に入射される際に、第3方向D3で長尺なビーム形状となっている。また、第2光源群3から出射された光L2は、第2光学系8、第2光学体5、及び第3光学系9を経由することで、蛍光素子6に入射される際に、第3方向D3で長尺なビーム形状となっている。なお、光源群2,3から出射された光L1,L2のビーム形状、即ち、当該光L1,L2の外縁は、例えば、光強度がビーム断面内の最大値に対してe
-2(=0.1353)となる位置である。
【0033】
したがって、蛍光素子6に入射される際の、第1光源群2から出射された光L1のビーム形状と第2光源群3から出射された光L2のビーム形状とは、それぞれ同じ方向、即ち、第3方向D3で長尺となっている。本実施形態においては、当該光L1,L2のビーム形状のそれぞれは、第3方向D3で最大寸法となり、第3方向D3と直交する第2方向D2で最小寸法となっている。
【0034】
図3に戻り、蛍光素子6から出力された光L3,L4は、第3レンズ94、第2レンズ93、及び第1レンズ92をそれぞれ通過した後に、ダイクロイックミラー91に入射される。ところで、蛍光素子6から出力された光は、拡散されているため、S偏光成分だけでなく、P偏光成分も有している。
【0035】
したがって、蛍光素子6から出力されて第1領域91aに入射された光L3においては、S偏光成分の光L3aは、ダイクロイックミラー91で反射される一方、P偏光成分の光L3bは、ダイクロイックミラー91を透過する。また、蛍光素子6から出力されて第2領域91bに入射された光L4は、全てダイクロイックミラー91を透過する。そして、ダイクロイックミラー91を透過した光L3b,L4は、筐体10の出射部101aを経由して、筐体10の外部に出射される。
【0036】
ところで、蛍光素子6は、励起光を蛍光に変換する蛍光体を有している。本実施形態においては、蛍光体は、YAG系の結晶材料で形成されており、光源21,31から出射された励起光である青色光を、黄緑色の蛍光(例えば、波長が525〜575nmにピークを持ち、450〜800nmにかけた広い可視域のスペクトルを持った光)に変換する。
【0037】
そして、蛍光素子6は、入射された励起光L1,L2の一部を、蛍光体で蛍光に変換している。したがって、蛍光素子6から出力された光L3,L4は、蛍光素子6で変換された蛍光と、蛍光素子6で変換されなかった未変換光(励起光のままの光)とを含んでいる。本実施形態においては、蛍光素子6から出力された光(即ち、出射部101aから出射される光L3b,L4は、蛍光である黄緑色光と未変換光である青色光とが合成されて、白色光となる。
【0038】
図6〜
図9に示すように、調節機構11は、光学体4と筐体10とを接続する複数(本実施形態においては、3つ)の接続体15を備えている。また、調節機構11は、筐体10に対して光学体4を付勢する複数(本実施形態においては、3つ)の付勢体17と、光学体4が筐体10に対して所定量以上移動することを規制する規制部18とを備えている。
【0039】
なお、
図6〜
図9は、第1調節機構11(及び第1光学体4)について図示しているが、第2調節機構12(及び第2光学体5)は、第1調節機構11(及び第1光学体4)と略同じ構成及び作用を備えている。具体的には、第2調節機構12(及び第2光学体5)の構成は、第3方向D3と直交する基準面に対して、第1調節機構11(及び第1光学体4)の構成と、面対称の構成になっている。
【0040】
付勢体17は、筐体10と光学体4との間に配置されている。そして、付勢体17は、光学体4が筐体10から離れるように、光学体4を付勢している。また、付勢体17は、接続体15に挿通される挿通部171を備えている。
【0041】
付勢体17は、弾性を有しており、弾性変形している。そして、付勢体17は、復元力により、光学体4を付勢している。本実施形態においては、付勢体17は、板バネ部材としている。なお、付勢体17は、接続体15に挿通される筒状の弦巻バネ部材としてもよい。
【0042】
接続体15は、光学体4と接触する第1接触部151と、筐体10と接触する第2接触部152と、筐体10に対する光学体4の位置を調節するために、筐体10の外側から操作される操作部153と、第1接触部151と第2接触部152とを連結する連結部154と、を備えている。そして、筐体10の第1壁部101は、接続体15の連結部154に挿通される貫通孔部101bを備えている。
【0043】
第1接触部151は、筐体10の内部に配置されている。そして、第1接触部151は、螺子形状であり、光学体4の本体部42は、第1接触部151と螺合する螺合部42aを備えている。具体的には、第1接触部151は、雄螺子形状であり、光学体4の螺合部42aは、雌螺子形状である。
【0044】
第2接触部152は、筐体10の外部に配置されている。そして、第2接触部152は、筐体10の貫通孔部101bよりも大きく形成されている。これにより、第2接触部152は、貫通孔部101bから抜けることなく、筐体10の外側面に接触している。なお、第2接触部152は、付勢体17が光学体4を付勢することにより、筐体10の外側面に加圧接触している。
【0045】
操作部153は、筐体10の外部に配置されている。また、操作部153は、筐体10の外側から、手や工具(例えば、ドライバー)により、第1方向D1回りに回転するように操作される。そして、操作部153が操作されることにより、第1接触部151が光学体4と接触する部位は、変化する。具体的には、接続体15が第1方向D1回りに1回転することで、第1接触部151が光学体4と接触する部位は、螺子の1ピッチ分だけ変化する。これにより、光学体4が筐体10に対して移動する。なお、第2接触部152が筐体10と接触する部位は、変化しない。
【0046】
規制部18は、光学体4から筐体10の第1壁部101に向けて突出しており、筐体10の第1壁部101は、規制部18に挿入される挿入孔101cを、内側面に備えている。これにより、規制部18は、挿入孔101cに当たることで、光学体4が筐体10に対して所定量以上移動することを、規制することができる。
【0047】
本実施形態に係る光学装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る光学装置1の作用について、
図10及び
図11を参酌して説明する。
【0048】
複数の接続体15は、第2方向D2及び第3方向D3にそれぞれ離れて配置されている。具体的には、接続体15は、第3方向D3で離れるように、第3方向D3の内側に1つ配置され且つ第3方向の外側に2つ配置され、また、第3方向D3の外側に配置される2つの接続体15,15は、第2方向D2で離れて配置されている。これにより、調節機構11は、光学体4を、筐体10に対して第2方向D2回り及び第3方向D3回りにそれぞれ回動させることができる。
【0049】
なお、調節機構11は、第3方向D3において内側に配置される接続体15の操作部153が操作されることにより、光学体4を、第2方向D2回りに(第2方向D2と平行な方向を中心に)回動できる。また、調節機構11は、第3方向D3において外側に配置される接続体15の一方の操作部153が操作されることにより、光学体4を、筐体10に対して第3方向D3回りに(第3方向D3と略平行な方向を中心に)回動できる。
【0050】
ところで、例えば、
図10に示すように、光学体4が筐体10に対して第1方向D1回りに回動する場合には、光源21から出射された光L1が、反射部41から外れた位置に入射し易い。それに対して、本実施形態に係る調節機構11によれば、光学体4が筐体10に対して第2方向D2及び第3方向D3の少なくとも一つの方向回りに回動するため、光源21から出射された光L1が反射部41から外れた位置に入射することを、抑制することができる。
【0051】
また、調節機構11,12が、光学体4,5を、筐体10に対して第3方向D3回りに回動することで、
図11に示すように、光源群2,3から出射された光L1,L2の、蛍光素子6への入射位置は、第2方向D2に移動する。これにより、蛍光素子6に対して、光L1,L2の入射位置を分散することができる。したがって、例えば、蛍光素子6の温度が上昇することを抑制することができるため、蛍光素子6の温度消光や破損等を抑制することができる。
【0052】
しかも、光学体4が筐体10に対して第3方向D3方向回りに回動するため、光L1,L2の蛍光素子6への入射位置は、蛍光素子6に入射される際のビーム形状が長尺となる第3方向D3に対して直交する第2方向D2に、移動する。これにより、光L1,L2が蛍光素子6に入射される領域は、第2方向D2及び第3方向D3で、より均等な寸法となる。
【0053】
したがって、例えば、蛍光素子6から出射された光L3,L4が、第3光学系9及び出射部101aを通過する際に、損失することを抑制することができる。また、例えば、蛍光素子6から出射された光L3,L4が、第3光学系9及び出射部101aを通過する際に損失することを抑制しつつも、第3光学系9及び出射部101aの小型化を図ることができる。
【0054】
また、操作部153が、筐体10の外側から操作される。これにより、光学体4,5が、筐体10の内部に収容された状態で、光学体4,5が、筐体10に対して移動できる。したがって、例えば、光源21,31から光を出射させた状態で、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節することができる。
【0055】
このとき、筐体10が遮光機能を有しているため、例えば、安全性を確保することができる。しかも、例えば、出射部101aから出射する光をモニタリングすることで、筐体10に対する光学体4,5の位置を容易に且つ適切に調節することもできる。
【0056】
また、操作部153は、全て、筐体10の第1壁部101側に配置されている。したがって、筐体10に対して、操作部153を一方向(第1方向D1)から操作することができる。したがって、例えば、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節する作業を、簡素化することができる。
【0057】
以上より、本実施形態に係る光学装置1は、光L1,L2が入射される光学体4,5と、前記光学体4,5を内部に収容する筐体10と、前記筐体10に対する前記光学体4,5の位置を調節する調節機構11,12と、を備え、前記調節機構11,12は、前記光学体4,5と前記筐体10とを接続する接続体15を備え、前記接続体15は、前記光学体4,5と接触する第1接触部151と、前記筐体10と接触する第2接触部152と、前記筐体10に対する前記光学体4,5の位置を調節するために、前記第1接触部151が前記光学体4,5と接触する部位及び前記第2接触部152が前記筐体10と接触する部位の少なくとも一方(本実施形態では、第1接触部151が光学体4,5と接触する部位)が変化するように、前記筐体10の外側から操作される操作部153と、を備える。
【0058】
斯かる構成によれば、接続体15は、光学体4,5と接触する第1接触部151と、筐体10と接触する第2接触部152と、操作される操作部153とを備えている。そして、操作部153が操作されることにより、第1接触部151が光学体4,5と接触する部位及び第2接触部152が筐体10と接触する部位の少なくとも一方(本実施形態では、第1接触部151が光学体4,5と接触する部位)が、変化する。これにより、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節することができる。
【0059】
しかも、操作部153は、筐体10の外側から操作される。これにより、光学体4,5が筐体10の内部に収容された状態で、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節することができる。したがって、例えば、光L1,L2が光学体4,5に入射された状態で、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る光学装置1においては、前記筐体10は、前記接続体15に挿通される貫通孔部101bを備え、前記第2接触部152は、前記筐体10の外側面に接触するように、前記貫通孔部101bよりも大きく形成され、前記第1接触部151は、前記光学体4,5と螺合する螺子形状である、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、筐体10は、接続体15に挿通される貫通孔部101bを備えている。そして、第2接触部152は、貫通孔部101bよりも大きく形成されるため、筐体10の外側面に接触し、第1接触部151は、光学体4,5と螺合する螺子形状である。これにより、操作部153が操作されることにより、第2接触部152が筐体10と接触する部位は、変化することなく、第1接触部151が光学体4,5と接触する部位が、変化する。その結果、筐体10に対する光学体4,5の位置を調節することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る光学装置1は、光L1を出射する光源21を少なくとも一つ有する第1光源群2と、光L2を出射する光源31を少なくとも一つ有する第2光源群3と、入射された光L1,L2の少なくとも一部を蛍光に変換して出力する蛍光素子6と、をさらに備え、前記光学体4,5は、前記第1光源群2から出射された第1の光L1が入射される第1光学体4と、前記第2光源群3から出射された第2の光L2が入射される第2光学体5と、の二つを備えられ、前記調節機構11,12は、前記筐体10に対する前記第1光学体4の位置を調節する第1調節機構11と、前記筐体10に対する前記第2光学体5の位置を調節する第2調節機構12と、の二つを備えられ、前記第1光学体4は、前記第1の光L1を前記蛍光素子6に向けて反射する反射部41を備え、前記第2光学体5は、前記第2の光L2を前記蛍光素子6に向けて反射する反射部51を備え、前記第1調節機構11は、前記第1の光L1が前記蛍光素子6に入射する位置が、変化するように、前記筐体10に対する前記第1光学体4の位置を調節可能に構成され、前記第2調節機構12は、前記第2の光L2が前記蛍光素子6に入射する位置が、変化するように、前記筐体10に対する前記第2光学体5の位置を調節可能に構成される、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、第1光学体4は、第1光源群2から出射された第1の光L1が入射され、反射部41で、第1の光L1を蛍光素子6に向けて反射する。そして、第2光学体5は、第2光源群3から出射された第2の光L2が入射され、反射部51で、第2の光L2を蛍光素子6に向けて反射する。
【0064】
そこで、第1調節機構11が、筐体10に対する第1光学体4の位置を調節することで、第1の光L1が蛍光素子6に入射する位置は、変化する。そして、第2調節機構12が、筐体10に対する第2光学体5の位置を調節することで、第2の光L2が蛍光素子6に入射する位置は、変化する。これにより、例えば、蛍光素子6に対する光L1,L2の入射領域が、分散されるため、蛍光素子6の温度が上昇することを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る光学装置1においては、前記蛍光素子6に入射される際の、前記第1の光L1のビーム形状と前記第2の光L2のビーム形状とは、それぞれ同じ所定方向D3で長尺であり、前記第1調節機構11は、前記第1の光L1が前記蛍光素子6に入射する位置が、前記所定方向D3と直交する方向D2で変化するように、前記筐体10に対する前記第1光学体4の位置を調節可能に構成され、前記第2調節機構12は、前記第2の光L2が前記蛍光素子6に入射する位置が、前記所定方向D3と直交する方向D2で変化するように、前記筐体10に対する前記第2光学体5の位置を調節可能に構成される、という構成である。
【0066】
斯かる構成によれば、蛍光素子6に入射される際の、第1の光L1のビーム形状と第2の光L2のビーム形状とは、それぞれ同じ所定方向D3で長尺である。そして、第1の光L1が蛍光素子6に入射する位置は、所定方向D3と直交する方向D2で変化し、さらに、第2の光L2が蛍光素子6に入射する位置は、所定方向D3と直交する方向D2で変化する。これにより、蛍光素子6に対する光L1,L2の入射領域においては、長尺な所定方向D3の寸法と、当該所定方向D3と直交する方向D2の寸法とを、均一化することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る光学装置1は、光L1,L2を出射する複数の光源21,31を備え、前記光学体4,5は、前記光源21,31から出射された光L1,L2が第1方向D1から入射される複数の反射部41,51を備え、前記複数の反射部41,51は、前記第1方向D1と直交する第2方向D2に沿ってそれぞれ長尺に形成されると共に、前記第1方向D1及び前記第2方向D2とそれぞれ直交する第3方向D3に並列され、前記複数の光源21,31から出射された光L1,L2は、前記反射部41,51に対して、前記第2方向D2に沿って複数の位置に入射され、前記調節機構11,12は、前記筐体10に対して前記光学体4,5を、前記第2方向D2及び前記第3方向D3の少なくとも一つの方向(本実施形態では、第2方向D2及び第3方向D3)回りに回動可能(当該方向D2,D3と平行な方向を中心に回動可能だけでなく、当該方向D2,D3と略平行な方向を中心に回動可能も含む)に構成される、という構成である。
【0068】
斯かる構成によれば、光学体4,5は、光源21,31から出射された光L1,L2が第1方向D1から入射される複数の反射部41,51を備えている。複数の反射部41,51は、第1方向D1と直交する第2方向D2に沿ってそれぞれ長尺に形成されると共に、第1方向D1及び第2方向D2とそれぞれ直交する第3方向D3に並列されている。
【0069】
ところで、複数の光源21,31から出射された光L1,L2は、反射部41,51に対して、第2方向D2に沿って複数の位置に入射されている。そこで、光学体4,5は、調節機構11,12により、筐体10に対して第2方向D2及び第3方向D3の少なくとも一つの方向(本実施形態では、第2方向D2及び第3方向D3)回りに回動できる。これにより、筐体10に対する光学体4,5の位置調節を容易に行うことができる。
【0070】
なお、光学装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、光学装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0071】
上記実施形態に係る光学装置1においては、第2接触部152は、筐体10の外側面に接触するように、筐体10の貫通孔部101bよりも大きく形成され、第1接触部151は、光学体4,5と螺合する螺子形状である、という構成である。しかしながら、光学装置は、斯かる構成に限られない。例えば、
図12〜
図15に示すように、第2接触部152は、筐体10と螺合する螺子形状であり、第1接触部151は、外周部が光学体4と接触する板カムである、という構成でもよい。
【0072】
斯かる構成によれば、第2接触部152は、筐体10と螺合する螺子形状であり、第1接触部151は、外周部が光学体4と接触する板カムである。これにより、操作部153が操作されることにより、第2接触部152が筐体10と接触する部位は、変化し、第1接触部151が光学体4と接触する部位も、変化する。その結果、筐体10に対する光学体4の位置を調節することができる。
【0073】
図12〜
図15に係る調節機構11について、以下に詳細を説明する。
【0074】
調節機構11は、光学体4と筐体10とを接続する第1及び第2の接続体15,16を備えている。また、調節機構11は、筐体10に対して光学体4を付勢する複数の付勢体17と、光学体4が筐体10に対して所定量以上移動することを規制する第1及び第2の規制部18,19とを備えている。
【0075】
付勢体17は、筐体10と光学体4との間に配置されている。そして、付勢体17は、光学体4が筐体10から離れるように、光学体4を付勢している。また、付勢体17は、弾性を有している。そして、付勢体17は、弾性変形しているため、その復元力により、光学体4を付勢している。具体的には、付勢体17は、第1の規制部18に挿通される筒状の弦巻バネ部材としている。
【0076】
接続体15,16は、光学体4と接触する第1接触部151,161と、筐体10と接触する第2接触部152,162と、筐体10に対する光学体4の位置を調節するために、筐体10の外側から操作される操作部153,163と、第1接触部151,161と第2接触部152,162とを連結する連結部154,164とを備えている。なお、第1の接続体15は、筐体10の第2壁部102と光学体4とを接続しており、第2の接続体16は、筐体10の第4壁部104と光学体4とを接続している。
【0077】
第2接触部152,162は、筐体10と螺合する螺子形状であり、筐体10は、第2接触部152,162と螺合する螺合部102a,104aを備えている。具体的には、第2接触部152,162は、雄螺子形状であり、筐体10の螺合部102a,104aは、雌螺子形状である。なお、第1の螺合部102aは、第1の接続体15の第2接触部152と螺合し、且つ、第2壁部102に配置されており、また、第2の螺合部104aは、第2の接続体16の第2接触部162と螺合し、且つ、第4壁部104に配置されている。
【0078】
第1接触部151,161は、筐体10の内部に配置されている。そして、第1接触部151,161は、外周部が光学体4と接触する非円形の板カムであり、光学体4の本体部42は、内周部が第1接触部151,161の外周部に接触される接触凹部42b,42cを備えている。なお、第1の接触凹部42bは、第1の接続体15の第1接触部151と接触し、本体部42の、第2壁部102と対面する部分に配置されており、また、第2の接触凹部42cは、第2の接続体16の第1接触部161と接触し、本体部42の、第4壁部104と対面する部分に配置されている。
【0079】
操作部153,163は、筐体10の外側から、工具(例えば、ドライバー)により、回転するように操作される。そして、操作部153,163が操作されることにより、接続体15,16が回転するため、第2接触部152,162が筐体10と接触する部位は、変化し、さらに、第1接触部151,161が光学体4と接触する部位も、変化する。
【0080】
なお、第1の接続体15の軸線方向は、第2方向D2と平行である。したがって、第1の接続体15の操作部153が操作されることにより、第1の接続体15は、第2方向D2回りに(第2方向D2と略平行な方向を中心に)回転することができる。これにより、光学体4を、筐体10に対して第3方向D3回りに(第3方向D3と略平行な方向を中心に)回動させることができる。
【0081】
また、第2の接続体16の軸線方向は、第3方向D3と平行である。したがって、第2の接続体16の操作部163が操作されることにより、第2の接続体16は、第3方向D3回りに回転することができる。これにより、光学体4を、筐体10に対して第2方向D2回りに回動させることができる。
【0082】
第1の規制部18は、光学体4から筐体10の第1壁部101に向けて突出しており、筐体10の第1壁部101は、第1の規制部18に挿入される挿入孔101cを、内側面に備えている。これにより、第1の規制部18は、挿入孔101cに当たることで、光学体4が筐体10に対して所定量以上移動することを、規制することができる。
【0083】
第2の規制部19は、筐体10の第1壁部101の内側面から突出する第1の突出部191と、第1の突出部191と光学体4の本体部42とを連結する球面軸受192とを備えている。また、第2の規制部19は、筐体10の第3壁部103の内側面から突出する第2の突出部193と、第2の突出部193と光学体4の本体部42とを連結する球面軸受194とを備えている。
【0084】
また、上記実施形態に係る光学装置1においては、光学体4,5は、光源21,31から出射された光L1,L2が入射される複数の反射部41,51を備える階段ミラーである、という構成である。しかしながら、光学装置は、斯かる構成に限られない。例えば、光学体は、反射部を一つ備えるミラーでもよい。また、例えば、光学体は、入射した光を集束したり平行にしたりして出射するレンズでもよく、入射した光を拡散する拡散素子でもよく、入射した光を均一化するインテグレータ素子でもよい。
【0085】
また、上記実施形態に係る光学装置1においては、調節機構11,12は、筐体10に対して光学体4,5を、第2方向D2回り及び第3方向D3回りにそれぞれ回動可能に構成される、という構成である。しかしながら、光学装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調節機構11,12は、筐体10に対して光学体4,5を、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3の少なくとも一つの方向回りに回動可能に構成される、という構成でもよい。また、例えば、調節機構11,12は、筐体10に対して光学体4,5を、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3の少なくとも一つの方向に沿って移動可能に構成される、という構成でもよい。