特許第6589731号(P6589731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589731
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】祭祀設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   E04H13/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-80356(P2016-80356)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-190612(P2017-190612A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−192165(JP,A)
【文献】 特開2001−020561(JP,A)
【文献】 特開2012−188801(JP,A)
【文献】 特開平11−013314(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3007383(JP,U)
【文献】 特開平06−316306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0062168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
祭祀対象体を保管する保管部と、前記保管部から祭祀用支持部に前記祭祀対象体を搬送する搬送装置と、を備えた祭祀設備であって、
前記祭祀用支持部として、仏壇の装飾を施した仏壇仕様祭祀箇所に配置されて、人が仏壇を祭祀する場合の祭祀対象である仏壇祭祀体を前記祭祀対象体として支持する仏壇支持部と、墓地の装飾を施した墓地仕様祭祀箇所に配置されて、人が墓地を祭祀する場合の祭祀対象又はそれを収容した容器であって前記仏壇祭祀体と異なる外形の墓地祭祀体を前記祭祀対象体として支持する墓地支持部との双方を備え、
前記搬送装置は、前記仏壇仕様祭祀箇所において仏壇祭祀指令が指令されると、当該仏壇祭祀指令に基づいて前記仏壇祭祀体を前記仏壇支持部に搬送するとともに、前記墓地仕様祭祀箇所において墓地祭祀指令が指令されると、当該墓地祭祀指令に基づいて前記墓地祭祀体を前記墓地支持部に搬送し、
前記保管部は、同じ仕様の単位保管部を上下左右に配列した棚状に構成され、
前記仏壇祭祀体は、前記墓地祭祀体よりも小型であり、
前記仏壇祭祀体は、設定数の前記仏壇祭祀体を支持自在なパレットに支持された状態で前記単位保管部に保管され、
前記墓地祭祀体は、前記墓地支持部に支持される荷姿のまま前記単位保管部に保管される祭祀設備。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記単位保管部と中継部とに亘って前記祭祀対象体を搬送する入出庫搬送装置と、前記中継部と前記祭祀用支持部とに亘って前記祭祀対象体を搬送する中継搬送装置と、を備え、
前記入出庫搬送装置は、前記墓地祭祀体及び前記パレットを支持自在でかつ前記墓地祭祀体及び前記パレットを前記単位保管部及び前記中継部に対して移載自在な移載装置を前記保管部に対して移動自在に備え、
前記中継部として、前記墓地祭祀体が搬送される墓地中継部と、前記パレットに支持された状態の前記仏壇祭祀体が搬送される仏壇中継部と、が設けられ、
前記中継搬送装置として、前記仏壇中継部に支持されている前記パレットと前記仏壇支持部とに亘って前記仏壇祭祀体を移動させる仏壇用搬送装置と、前記墓地中継部と前記墓地支持部とに亘って前記墓地祭祀体を移動させる墓地用搬送装置と、を備え、
前記仏壇用搬送装置は、
前記仏壇祭祀体を前記仏壇中継部から前記仏壇支持部に搬送する際には、前記仏壇中継部に支持された前記パレットから前記仏壇祭祀体を分離させ、
前記仏壇祭祀体を前記仏壇支持部から前記仏壇中継部に搬送する際には、前記仏壇中継部に支持された前記パレットに対して前記仏壇祭祀体を支持させる請求項1に記載の祭祀設備。
【請求項3】
前記仏壇中継部は、前記パレットを位置決めした状態で支持する位置決め支持部を備えている請求項に記載の祭祀設備。
【請求項4】
前記仏壇用搬送装置は、複数の関節を有する多節アームの先端に前記仏壇祭祀体を把持自在な把持部を備えたロボットアームを備えた移載ロボットにて構成され、
前記仏壇仕様祭祀箇所が複数並べて設けられ、
前記複数の仏壇仕様祭祀箇所におけるそれぞれの前記仏壇支持部のうちの一部又は全部である互いに隣接する複数のものに対して前記移載ロボットが1台配備されている請求項又はに記載の祭祀設備。
【請求項5】
前記保管部及び前記搬送装置が配置される搬送用区画と、前記複数の仏壇仕様祭祀箇所が配置される祭祀用区画とが仕切壁にて仕切られており、
前記仕切壁は、前記仏壇祭祀体を出し入れするための開口を、複数の前記仏壇支持部に対応して複数備え、
前記複数の開口の並び方向に沿って前記移載ロボットを移動させる移動装置が設けられている請求項に記載の祭祀設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、祭祀対象体を保管する保管部と、前記保管部から祭祀用支持部に前記祭祀対象体を搬送する搬送装置と、を備えた祭祀設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、祭祀設備に関する従来技術として、特開2014−234616号公報には、人が墓参りをする場合の祭祀対象である骨壷が納められた厨子を保管庫に保管しておき、設備内の祭祀箇所に参拝者が参拝に訪れて祭祀指令が指令されると、その祭祀指令に基づいて搬送装置が故人の遺骨が納められた厨子を祭祀箇所に配置された支持部に自動的に搬送する技術が開示されている。
このような祭祀設備は、故人の遺骨が納められた骨壷が入った厨子を祭祀対象として参拝者が参拝することができるので、実際に墓地を所有していなくても、従来の墓参りのように故人の霊と触れ合うことができる。そのため、大都市等における墓地の入手困難を解消することができる。
ちなみに、特許文献1の祭祀設備では、遠隔地に在住している参拝者の便宜等を図って、祭祀設備と通信回線により接続された表示端末に参拝用の映像を表示できるようになっており、祭祀設備を実際に訪問しなくても墓参りを行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−234616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の祭祀設備では、実際の墓地を所有していなくても墓参りを行うことができ、墓地の入手困難の問題を解消できる点で優れているが、墓参りは通常、年忌等の法要やお彼岸の時期等の墓参りといった時期にしか行われないため、故人の霊と触れ合う頻度は低い。一方で、日々の生活の中で故人の霊と触れ合うために自宅の仏壇を祭祀することが古くから行われている。仏壇を祭祀することで、日々の生活を故人の霊と共に過ごす感覚を得ることができ、遺族の精神的な満足を得ることができる。
しかしながら、昨今では、大都市等の住宅事情から仏壇を設置する家庭が少なくなり、故人の霊と日々の触れ合いを得る機会が減っており、故人の霊との触れ合いが十分にできないという問題がある。
【0005】
上記実状に鑑みて、墓参りの場面だけでなく日常の生活の中で故人の霊との触れ合うことができる祭祀設備が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る祭祀設備の特徴構成は、祭祀対象体を保管する保管部と、前記保管部から祭祀用支持部に前記祭祀対象体を搬送する搬送装置と、を備えた祭祀設備において、
前記祭祀用支持部として、仏壇の装飾を施した仏壇仕様祭祀箇所に配置されて、人が仏壇を祭祀する場合の祭祀対象である仏壇祭祀体を前記祭祀対象体として支持する仏壇支持部と、墓地の装飾を施した墓地仕様祭祀箇所に配置されて、人が墓地を祭祀する場合の祭祀対象又はそれを収容した容器であって前記仏壇祭祀体と異なる外形の墓地祭祀体を前記祭祀対象体として支持する墓地支持部との双方を備え、前記搬送装置は、前記仏壇仕様祭祀箇所において仏壇祭祀指令が指令されると、当該仏壇祭祀指令に基づいて前記仏壇祭祀体を前記仏壇支持部に搬送するとともに、前記墓地仕様祭祀箇所において墓地祭祀指令が指令されると、当該墓地祭祀指令に基づいて前記墓地祭祀体を前記墓地支持部に搬送し、
前記保管部は、同じ仕様の単位保管部を上下左右に配列した棚状に構成され、前記仏壇祭祀体は、前記墓地祭祀体よりも小型であり、前記仏壇祭祀体は、設定数の前記仏壇祭祀体を支持自在なパレットに支持された状態で前記単位保管部に保管され、前記墓地祭祀体は、前記墓地支持部に支持される荷姿のまま前記単位保管部に保管される点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、墓地を参拝する場合の祭祀対象(例えば骨壷)又はそれを収容した容器(例えば厨子)である墓地祭祀体を搬送装置が保管部から墓地仕様祭祀箇所の墓地支持部に搬送する。墓地仕様祭祀箇所には墓地の装飾が施されており、墓地仕様祭祀箇所の墓地支持部に支持される墓地祭祀体を参拝することで、参拝者は、年忌等の法要やお彼岸の時期等の墓参りを墓地仕様祭祀箇所において行うことができる。
一方で、仏壇を祭祀する場合の祭祀対象である仏壇祭祀体を搬送装置が保管部から仏壇仕様祭祀箇所の仏壇支持部に搬送する。仏壇仕様祭祀箇所には仏壇の装飾が施されており、仏壇仕様祭祀箇所の仏壇支持部に支持される仏壇祭祀体を参拝することで、参拝者は、日々の生活の中で故人の霊と触れ合うための仏壇参りを仏壇仕様祭祀箇所において行うことができる。
このように、外形が互いに異なる仏壇祭祀体と墓地祭祀体とを搬送装置が仏壇仕様祭祀箇所の仏壇支持部と墓地仕様祭祀箇所の墓地支持部とに搬送することができるので、参拝者は、その目的に応じて仏壇仕様祭祀箇所又は墓地仕様祭祀箇所を選択して参拝することで、墓参りと仏壇参りとのうち参拝者の意向に沿った祭祀を行うことができる。
したがって、本特徴構成によれば、実際の墓地を所有していなくても墓参りにより年忌等の法要やお彼岸の時期等に故人の霊と触れ合うことができるだけでなく、仏壇を設置していない自宅に暮らしていても仏壇参りにより日々の生活の中で故人の霊と触れ合うことができ、墓参りの場面だけでなく日常の生活の中で故人の霊との触れ合うことができる祭祀設備を得ることができる。
また、本特徴構成によれば、保管部は棚状に構成されており単位保管部が上下左右に多数配置されているので、多数の仏壇祭祀体や墓地祭祀体を保管するにあたって空間を効率よく利用することができる。
そして、墓地祭祀体とは外形が異なる仏壇祭祀体をパレットに支持させることで、単位保管部にて墓地祭祀体及び仏壇祭祀体のいずれであっても保管することができるので、保管部における複数の単位保管部を同じ仕様で構成することが可能となり、墓地祭祀体及び仏壇祭祀体を異なる仕様の単位保管部で保管する場合に比べて、保管効率が向上する。
なお、一つの単位保管部の容量は適宜設定できる。すなわち、一つの単位保管部に複数の墓地祭祀体を保管したり、一つの単位保管部に複数の仏壇祭祀体を保管したり、一つの単位保管部に墓地祭祀体と仏壇祭祀体とを混載状態で保管したり、単位保管部で保管できる墓地祭祀体及び仏壇祭祀体の個数は適宜設定できる。
【0010】
ここで、前記搬送装置は、前記単位保管部と中継部とに亘って前記祭祀対象体を搬送する入出庫搬送装置と、前記中継部と前記祭祀用支持部とに亘って前記祭祀対象体を搬送する中継搬送装置と、を備え、前記入出庫搬送装置は、前記墓地祭祀体及び前記パレットを支持自在でかつ前記墓地祭祀体及び前記パレットを前記単位保管部及び前記中継部に対して移載自在な移載装置を備え、前記中継部として、前記墓地祭祀体が搬送される墓地中継部と、前記パレットに支持された状態の前記仏壇祭祀体が搬送される仏壇中継部と、が設けられ、前記中継搬送装置として、前記仏壇中継部に支持されている前記パレットと前記仏壇支持部とに亘って前記仏壇祭祀体を移動させる仏壇用搬送装置と、前記墓地中継部と前記墓地支持部とに亘って前記墓地祭祀体を移動させる墓地用搬送装置と、を備え、
前記仏壇用搬送装置は、前記仏壇祭祀体を前記仏壇中継部から前記仏壇支持部に搬送する際には、前記仏壇中継部に支持された前記パレットから前記仏壇祭祀体を分離させ、前記仏壇祭祀体を前記仏壇支持部から前記仏壇中継部に搬送する際には、前記仏壇中継部に支持された前記パレットに対して前記仏壇祭祀体を支持させると好適である。
【0011】
この構成によれば、入出庫搬送装置は、出庫対象の墓地祭祀体が保管されている単位保管部に対応する位置まで移載装置を移動させ、移載装置により墓地祭祀体を取り出し、墓地中継部に対応する位置まで移載装置を移動させ、移載装置により墓地祭祀体を墓地中継部に供給する。墓地祭祀体は、墓地中継部から墓地用搬送装置により墓地支持部に搬送される。このように、保管部に保管されている墓地祭祀体は、入出庫搬送装置により墓地中継部に出庫される。
【0012】
また、墓地支持部に支持されている墓地祭祀体は、参拝終了後、墓地用搬送装置により墓地中継部に搬送され、入出庫搬送装置が、移載装置により墓地中継部から墓地祭祀体を受け取り、保管部における入庫先として割り当てられた単位保管部に対応する位置まで移載装置を移動させ、当該単位保管部に移載装置により墓地祭祀体を供給する。このように、墓地祭祀体は、入出庫搬送装置により墓地中継部から単位保管部に入庫される。
【0013】
一方、保管部に保管されている仏壇祭祀体は、パレットに支持された状態で保管されており、入出庫搬送装置は、出庫対象の仏壇祭祀体を支持したパレットが保管されている単位保管部に対応する位置まで移載装置を移動させ、移載装置により当該パレットごと仏壇祭祀体を取り出し、仏壇中継部に対応する位置まで移載装置を移動させ、移載装置により当該パレットを墓地中継部に供給する。仏壇中継部に支持されているパレットから仏壇用搬送装置により仏壇祭祀体が分離され仏壇支持部に搬送される。このように、保管部に保管されている仏壇祭祀体は、入出庫搬送装置によりパレットごと仏壇中継部に出庫される。
【0014】
また、仏壇支持部に支持されている仏壇祭祀体は、参拝終了後、仏壇中継部に支持されているパレットに仏壇用搬送装置により搬送され、入出庫搬送装置が、移載装置により仏壇中継部から仏壇祭祀体をパレットごと受け取り、保管部における入庫先として割り当てられた単位保管部に対応する位置まで移載装置を移動させ、当該単位保管部に移載装置により仏壇祭祀体をパレットごと供給する。このように、仏壇祭祀体は、入出庫搬送装置によりパレットごと仏壇中継部から単位保管部に入庫される。
【0015】
このように、入出庫搬送装置の移載装置が、仏壇祭祀体についてのパレットと墓地祭祀体とを支持自在でかつパレット及び墓地祭祀体を単位保管部や中継部に対して移載自在であるから、外形の異なる墓地祭祀体及び仏壇祭祀体についての保管部に対する入出庫を兼用の入出庫搬送装置で行うことが可能となり、設備の設置コストの低減を図ることができる。
【0016】
また、前記仏壇中継部は、前記パレットを位置決めした状態で支持する位置決め支持部を備えていると好適である。
【0017】
この構成によれば、パレットが入出庫搬送装置により仏壇中継部に供給される場合に、一定の位置に位置決めされた状態で仏壇中継部における位置決め支持部に支持させることができる。したがって、仏壇中継部においてパレットに支持された仏壇祭祀体を仏壇用搬送装置により分離する場合や、仏壇用搬送装置により仏壇中継部に支持されているパレットに仏壇祭祀体を支持させる場合に、パレットの位置がばらつかず安定しているので、仏壇用搬送装置はパレットに対して仏壇祭祀体を適切に授受できる。
【0018】
また、前記仏壇用搬送装置は、複数の関節を有する多節アームの先端に前記仏壇祭祀体を把持自在な把持部を備えたロボットアームを備えた移載ロボットにて構成され、前記仏壇仕様祭祀箇所が複数並べて設けられ、前記複数の仏壇仕様祭祀箇所におけるそれぞれの前記仏壇支持部のうちの一部又は全部である互いに隣接する複数のものに対して前記移載ロボットが1台配備されていると好適である。
【0019】
この構成によれば、1台の移載ロボットが、隣接する複数の仏壇支持部に対する仏壇対象体の搬送を担当するので、設置すべき移載ロボットの台数は、仏壇仕様祭祀箇所の数よりも少ない台数で済む。そのため、高額な多節アームの移載ロボットの設置台数を抑制することで設備の設置コストを抑制できる。
【0020】
また、前記保管部及び前記搬送装置が配置される搬送用区画と、前記複数の仏壇仕様祭祀箇所が配置される祭祀用区画とが仕切壁にて仕切られており、前記仕切壁は、前記仏壇祭祀体を出し入れするための開口を、複数の前記仏壇支持部に対応して複数備え、前記複数の開口の並び方向に沿って前記移載ロボットを移動させる移動装置が設けられていると好適である。
【0021】
この構成によれば、仏壇仕様祭祀箇所が配置される祭祀用区画が搬送用区画と仕切壁により仕切られているため、仏壇仕様祭祀箇所を訪れた参拝者にとって、保管部や搬送装置が目に入らないようにすることができる。
このような仕切壁を設けても、仕切壁に形成された出し入れ用の複数の開口の並び方向に沿って移載ロボットを移動装置により移動させることで、多節アームの移載ロボットが開口を通過させて仏壇祭祀体を搬送する場合に、仕切壁との干渉を避けて仏壇祭祀体を出し入れし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】仏壇仕様祭祀箇所及び墓地仕様祭祀箇所の斜視図
図2】祭祀設備の要部平面図
図3】仏壇仕様祭祀箇所及び仏壇中継部の平面図
図4】仏壇仕様祭祀箇所及び仏壇中継部の側面図
図5】墓地仕様祭祀箇所及び墓地中継部の平面図
図6】墓地仕様祭祀箇所及び墓地中継部の側面図
図7】パレット及び位牌の斜視図
図8】移載ロボットが位牌を支持するときの把持部の動作を示す図
図9】骨壺が納められた厨子の斜視図
図10】制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る祭祀設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る祭祀設備は、仏壇の装飾を施した仏壇仕様祭祀箇所1と、墓地の装飾を施した墓地仕様祭祀箇所2と、が壁体Pにより区分けされた異なる領域に設けられている。仏壇を祭祀するために祭祀設備を訪れた参拝者は、仏壇祭祀領域Z1における仏壇仕様祭祀箇所1を参拝し、墓地を祭祀するために祭祀設備を訪れた参拝者は、墓地祭祀領域Z2における墓地仕様祭祀箇所2を参拝する。
【0024】
仏壇仕様祭祀箇所1には、図1図2図3及び図4に示すように、人が仏壇を祭祀する場合の祭祀対象である仏壇祭祀体を支持する仏壇支持部3が配置されている。仏壇支持部3は仏壇祭祀体として、故人の焼骨を含有する位牌Hを支持する。
【0025】
位牌Hは、図7に示すように、本体部30と、この本体部30の下端部に取り付けられた基部31と、を備えている。本体部30は、人骨を含有する原材料で構成されており、基部31は、人骨を含有しない樹脂材料で形成されている。本体部30の原材料としては、故人の焼骨を粉末状に加工して、これを、粘土、石膏、樹脂等のベース材料に混成することで得ることができる。仏壇支持部3は、位牌Hの基部31を支持する。
【0026】
仏壇仕様祭祀箇所1には、仏壇の装飾として、仏壇支持部3の設置空間の前面部を開閉する折り畳み構造の観音扉5が設けられている。図示は省略するが、仏壇仕様祭祀箇所1には、観音扉5の他にも仏壇が通常備える各種の装飾が施されている。
【0027】
墓地仕様祭祀箇所2には、図1図2図5及び図6に示すように、人が墓地を祭祀する場合の祭祀対象である墓地祭祀体を収容した容器を祭祀対象体として支持する墓地支持部4が配置されている。墓地支持部4は墓地祭祀体として、図9に示すように、故人の遺骨が納められた骨壺15が複数(2個)収容された直方体形状の厨子Gを支持する。骨壺15は人が墓地を祭祀する場合の祭祀対象である。本実施形態の墓地祭祀体は、墓地を祭祀する場合の祭祀対象となる骨壺15を収容する容器(厨子G)である。
【0028】
墓地仕様祭祀箇所2には、墓地の装飾として、墓石を模した御影石の模様が表面に付された筐体パネル6が墓地支持部4を包囲するように設けられている。筐体パネル6の正面に、透明ガラス板で塞がれた開口部6aが形成されており、墓地支持部4に支持される墓地祭祀体を参拝者が自分の目で見て、故人の遺骨が納められた厨子Gであることを確認できるようになっている。また、筐体パネル6が墓地支持部4を包囲するように設けられているため、墓地支持部4に厨子Gが支持されると、参拝者は、あたかも実際の墓地の墓石の内部に埋蔵された骨壺のように墓石の内部に位置する厨子Gを拝めるようになっている。
【0029】
図1に示すように、仏壇仕様祭祀箇所1及び墓地仕様祭祀箇所2のそれぞれには、参拝者が持参する参拝者カードを読み取るカードリーダ7と各種の情報を表示及び入力するタッチパネル式の液晶モニタ8が設置されている。カードリーダ7により参拝者カードが読み取られると、管理装置C(図10参照)が当該参拝者を識別し、当該参拝者に関連付けられた故人の名前と遺影とを含む参拝対象者リストを液晶モニタ8に表示する。参拝者が参拝したい故人を液晶モニタ8のタッチ操作により選択することで、祭祀指令が管理装置Cに出力される。祭祀指令が出力されると、管理装置Cにより、後述する搬送装置9が制御されて、搬送装置9により保管部10から祭祀用支持部(仏壇支持部3及び墓地支持部4)まで位牌Hや厨子Gが搬送される。
【0030】
このように、祭祀設備は、祭祀対象体としての厨子G及び位牌Hを保管する保管部10と、保管部10から祭祀用支持部(仏壇支持部3及び墓地支持部4)に厨子G及び位牌Hを搬送する搬送装置9と、を備えており、搬送装置9は、仏壇仕様祭祀箇所1において仏壇祭祀指令が指令されると、仏壇祭祀指令に基づいて仏壇祭祀体としての位牌Hを保管部10から仏壇支持部3に搬送し、墓地仕様祭祀箇所2において墓地祭祀指令が指令されると、墓地祭祀指令に基づいて墓地祭祀体としての厨子Gを保管部10から墓地支持部4に搬送する。
【0031】
以下に、搬送装置9及び保管部10の構成と、搬送装置9による位牌H及び厨子Gの搬送動作について詳細に説明する。
【0032】
〔保管部〕
図2に示すように、保管部10は、後述するスタッカークレーン20の走行経路Lを挟んで両側に設置される一対の棚体11(第1棚体11a・第2棚体11b)にて構成されている。各棚体11は、図4及び図6に示すように、同じ仕様の単位保管部12を上下左右に配列して構成されている。図3及び図5にも示すように、単位保管部12は棚奥行方向に長尺の一対の腕木13を備えており、この一対の腕木13により保管対象物を下方から支持する。一対の腕木13は、スタッカークレーン20の昇降台23が備える出退フォーク24が、一対の腕木13の間を上下に通過できる間隔を隔てて設けられている。ちなみに、腕木13は板状部材により構成され、棚奥行方向で走行経路L側の端部は上向きに折り曲げ加工されている。これにより、地震により棚体11が揺れた場合にでも保持対象物が落下しないようにしている。
【0033】
図5及び図6に示すように、厨子Gは、墓地支持部4に支持される荷姿のままで単位保管部12に保管されるが、位牌H(仏壇祭祀体)は、厨子G(墓地祭祀体)よりも小型であるためそのままでは単位保管部12に保管できず、図3及び図4に示すように、設定数(本実施形態では8個)の位牌Hを支持自在なパレット14に支持された状態で単位保管部12に保管される。これにより、同じ仕様の単位保管部12に、厨子G及び位牌Hを保管することができ、保管部10における入庫先の単位保管部12の選択の自由度が向上し、保管部10の保管効率が向上する。
【0034】
ちなみに、本実施形態では、厨子Gの底面とパレット14の底面とは同じ大きさの矩形状に形成されている。単位保管部12の棚奥行方向の長さは、厨子G及びパレット14を長手方向の長さに対応しており、1個の単位保管部12に1個の厨子G又はパレット14を保管することができるようになっている。
【0035】
〔パレット〕
図7に示すように、パレット14は、位牌Hにおける基部31を下方から支持する凹入部16(支持部に相当)が、上下方向にみて格子状に整列した状態で複数(8個)備えられている。凹入部16はパレット上面から下方に向けて凹入形成されている。凹入部16は、複数の傾斜側面17(本実施形態では4面)が下方側程互いに近づくように形成されており、凹入部16は、頂点が下を向く逆四角錐台を形成している。
【0036】
位牌Hの基部31は、パレット14における凹入部16の形状に対応して複数の傾斜側面32を備えた逆四角錐台の形状を有する部分を備えている。このような構成により、パレット14における下向きの凹入部16に、位牌Hの基部31の下向きの逆四角錐台状の膨出部分が挿入された状態では、上下方向からみた基部31の移動及び回転が規制される。つまり、支持部としての凹入部16は、上下方向からみた基部31の移動及び回転を規制する規制部を備えている。
【0037】
位牌Hは、搬送装置9の一部を構成する後述の移載ロボット25によりパレット14に対して移載される。位牌Hの基部31には、移載ロボット25が備える把持部26により支持される被支持部として、上下方向に沿うリブ33を備えている。このリブ33は人骨を含有しておらず、移載ロボット25の把持部26によりこのリブ33が把持されることで、人骨を含有する本体部30を支持することなく移載ロボット25が位牌Hを搬送することができる。したがって、人骨を含有する本体部30を移載ロボット25が支持することにより故人の尊厳が傷つくことを回避できる。リブ33は、耐摩耗性を考慮して、エンジニアリングプラスティック等の硬度の高い材料で形成されるのが好ましいが、基部31と同じ材質であってもよい。
【0038】
図8に示すように、把持部26は、第1チャック体26a及び第2チャック体26bを互いに接近・離間自在に備えている。第1チャック体26aは一対のピン27を備え、第2チャック体26bは一対の係合穴28を備えている。一対のピン27の間隔と、一対の係合穴28の間隔とは、いずれも、位牌Hのリブ33に形成された一対の貫通孔29の間隔と同じである。これにより、把持部26は、図8の仮想線で示す解放位置から実線で示す支持位置まで、第1チャック体26a及び第2チャック体26bを互いに接近させることができる。第1チャック体26a及び第2チャック体26bが支持位置に位置しているとき、第1チャック体26aの一対のピン27が、位牌Hのリブ33に形成された一対の貫通孔29に貫通した状態となるので、移載ロボット25により位牌Hを移動させる場合に、位牌Hが落下する事態を防止できる。
【0039】
〔搬送装置〕
図2に示すように、搬送装置9は、保管部10と中継部Mとに亘って祭祀対象体(厨子G及び位牌H)を搬送するスタッカークレーン20と、中継部Mと祭祀用支持部(仏壇支持部3及び墓地支持部4)とに亘って祭祀対象体(厨子G及び位牌H)を搬送する移載ロボット25及び厨子コンベヤ18を備えている。
【0040】
〔入出庫搬送装置〕
スタッカークレーン20は、図2図6に示すように、床面に敷設された直線軌道に沿う走行経路Lを往復走行する走行体21と、走行体21に立設された一対の昇降マスト22と、一対の昇降マスト22に案内されて上下昇降する昇降台23と、昇降台23に設けられた移載装置としての出退フォーク24とを備えている。出退フォーク24は、厨子G及びパレット14を支持自在であり、スタッカークレーン20は、走行体21の走行経路Lに沿う走行作動及び昇降台23の上下に沿う昇降作動により出退フォーク24を保管部10に対して移動させて、保管部10の単位保管部12との間で厨子Gを移載し、かつ、保管部10の単位保管部12との間でパレット14を移載する。
【0041】
このように、スタッカークレーン20は、厨子G及びパレット14を支持自在でかつ厨子G及びパレット14を単位保管部12及び中継部Mに対して移載自在な移載装置としての出退フォーク24を保管部10に対して移動自在に備えている。
【0042】
〔中継部〕
中継部Mとして、図3及び図4に示すように、パレット14に支持された状態の位牌Hが搬送される仏壇中継部Maと、図5及び図6に示すように、厨子Gが搬送される墓地中継部Mbと、が設けられている。
【0043】
スタッカークレーン20は、保管部10の単位保管部12と仏壇中継部Maとに亘って位牌Hをパレット14に支持された状態で搬送し、保管部10の単位保管部12と墓地中継部Mbとに亘って厨子Gを搬送する。
【0044】
仏壇中継部Ma及び墓地中継部Mbの棚奥行方向の位置は、第1棚体11aの単位保管部12と同じ位置となっている。したがって、スタッカークレーン20は、単位保管部12に対する移載と仏壇中継部Maや墓地中継部Mbに対する移載とを、出退フォーク24の出退動作及び昇降台23の昇降動作を同じように動作させて処理することができる。
【0045】
〔仏壇中継部〕
図2図3及び図4に示すように、仏壇中継部Maは、第1棚体11aの設置領域内において、仏壇支持部3に対して仏壇中継部Maが割り当てられる形態で、複数設けられている。隣接する一対の仏壇支持部3についての一対の仏壇中継部Maは、当該一対の仏壇支持部3の並び方向でこれらの中心に向かって互いに近接させて設置されている。
【0046】
それぞれの仏壇中継部Maには、荷受台19が配置されており、各荷受台19の四隅には、スタッカークレーン20により移載されるパレット14の下降移動を案内するテーパーが上端に施された複数の位置決め支持部19aが設けられている。位置決め支持部19aは、移載ロボット25に対する適正位置に位置決めした状態でパレット14を支持する。このように、仏壇中継部Maは、パレット14を位置決めした状態で支持する位置決め支持部19aを備えている。
【0047】
ちなみに、荷受台19が備える複数の位置決め支持部19aのうち、走行経路Lに面している一対の位置決め支持部19aの内寸は、スタッカークレーン20の出退フォーク24の幅よりも広く設定されている。また、仏壇中継部Ma及びそれより上方で設定高さまでの領域には単位保管部12が設けられておらず、移載ロボット25の作業用領域として確保されている。
【0048】
〔仏壇用搬送装置〕
移載ロボット25は、仏壇中継部Maに支持されているパレット14と仏壇支持部3との間で位牌Hを移動させる。移載ロボット25は、中継部と祭祀用支持部との間で祭祀対象体を搬送する中継搬送装置に対応する。図3及び図4に示すように、移載ロボット25は、仏壇支持部3の並び方向で互いに隣接する一対の仏壇支持部3に対して1台が配備されており、以下に説明するように、1台の移載ロボット25が、一対の仏壇支持部3の双方に対して位牌Hを移載できるようになっている。
【0049】
移載ロボット25は、図3及び図4に示すように、ロボット支持台38の上端に設けられたレール34に案内されて仏壇支持部3の並び方向に移動自在な基台35と、基台35に支持される多設アーム部として、第1アーム部36a及び第2アーム部36bとを、第1関節部37a、第2関節部37b、第3関節部37cにより互いに屈曲及び回転自在に備えている。第3関節部37cの先端側にヘッド部36cが設けられており、ヘッド部36cは把持部26を備えている。上述の通り、把持部26は、位牌Hのリブ33を把持自在である。このように、移載ロボット25は、複数の関節を有する多節アームの先端に位牌Hを把持自在な把持部26を備えたロボットアームを備えている。
【0050】
図2図6に示すように、保管部10及び搬送装置9が配置される搬送用区画と、複数の仏壇仕様祭祀箇所1及び墓地仕様祭祀箇所2が配置される祭祀用区画とが仕切壁39にて仕切られている。仕切壁39には、位牌Hを出し入れするための第1種開口39aと厨子Gを出し入れするための第2種開口39bがそれぞれ複数形成されている。第1種開口39aは、仏壇支持部3の並び方向で各仏壇支持部3の位置に対応して設けられており、スライドシャッター40により開閉自在となっている。
【0051】
移載ロボット25は、上述の通り、ロボット支持台38の上端に設けられたレール34に沿って、仏壇支持部3の並び方向に移動自在な基台35を備えている。レール34は、図2及び図3に示すように、複数の第1種開口39aの並び方向に沿って延在しており、また、図示は省略するが、基台35には、移動駆動用のモータが設けられている。基台35が備える駆動輪を回転駆動することで、移載ロボット25は、レール34が延在する第1種開口39aの並び方向に沿って移動する。このように、仕切壁39は、位牌Hを出し入れするための第1種開口39aを、複数の仏壇支持部3に対応して複数備えており、複数の第1種開口39aの並び方向に沿って移載ロボット25を移動させる移動装置として、基台35が設けられている。
【0052】
〔墓地中継部〕
図2図5及び図6に示すように、墓地中継部Mbは、第1棚体11aの設置領域内に複数設けられている。それぞれの墓地中継部Mbは、墓地仕様祭祀箇所2と保管部10の第1棚体11aとに亘って設けられた厨子コンベヤ18の保管部10側に端部に設定されている。厨子コンベヤ18の墓地仕様祭祀箇所2側の端部が墓地支持部4に設定されている。つまり、厨子コンベヤ18は、墓地中継部Mbと墓地支持部4との間で厨子Gを搬送する墓地用搬送装置である。
【0053】
〔墓地用搬送装置〕
厨子コンベヤ18は、図2及び図5に示すように、墓地中継部Mbが設定された端部は、コンベヤ幅方向で中間部が切り欠けられ、コンベヤ幅方向で両端部に搬送駆動ローラを備えている。厨子コンベヤ18は、墓地中継部Mbが設定された部分よりも墓地支持部4側の部分はコンベヤ幅方向で全幅のローラが並べられた通常のローラコンベヤとなっている。厨子コンベヤ18の端部に切り欠けを設けることで、スタッカークレーン20が厨子Gを墓地中継部Mbとの間で移載する場合に、出退フォーク24が切り欠き部分を上下に通過できるようになっている。
【0054】
このように、搬送装置9は、単位保管部12と仏壇中継部Ma及び墓地中継部Mbとに亘って祭祀対象体(厨子G及び位牌H)を搬送するスタッカークレーン20と、仏壇中継部Maと仏壇支持部3とに亘って位牌Hを搬送する移載ロボット25と、墓地中継部Mbと墓地支持部4とに亘って厨子Gを搬送する厨子コンベヤ18と、を備えている。そして、スタッカークレーン20が入出庫搬送装置に相当し、墓地用搬送装置としての厨子コンベヤ18及び仏壇用搬送装置としての移載ロボット25が中継搬送装置に相当する。
【0055】
〔動作〕
以上に説明した搬送装置9の動作について説明する。仏壇仕様祭祀箇所1において参拝者が液晶モニタ8のタッチ操作により参拝対象の故人を選択することで仏壇祭祀指令が管理装置C(図10参照)に指令される。管理装置Cは、仏壇祭祀指令が指令されると、液晶モニタ8から入力された参拝対象情報に基づいて、指定された故人の位牌Hを支持しているパレット14が保管されている単位保管部12を判別し、当該単位保管部12から参拝者が位置する仏壇仕様祭祀箇所1に対応する仏壇中継部Maまで、当該パレット14を搬送させる出庫搬送指令をスタッカークレーン20に指令する。
【0056】
スタッカークレーン20によりパレット14が仏壇中継部Maに供給されると、管理装置Cは、パレット14における目的の位牌Hの位置に応じた動作パターン情報を移載ロボット25に出力する。すなわち、位牌Hを支持している凹入部16の位置に応じて、適切な取り出し動作をさせる複数(8種)の動作パターンが移載ロボット25に登録されており、管理装置Cから動作パターン情報が指令されると、移載ロボット25はその動作パターン通りに動作する。移載ロボット25は、いずれの動作パターンで動作しても、動作軌跡は、スタッカークレーン20の走行経路Lに進入しないように動作する。これより、移載ロボット25とスタッカークレーン20との干渉を防止している。なお、移載ロボット25の動作に合せて適時のタイミングでスライドシャッター40の開閉が行われる。
【0057】
管理装置Cが指令した動作パターン情報に従い、移載ロボット25が目的の位牌Hをパレット14から取り出して仏壇支持部3に載置すると、移載ロボット25は待機ポジションとなる。図示は省略するが、仏壇支持部3にも、パレット14の凹入部16と同様の構成が備えられており、仏壇支持部3でも位牌Hは安定して支持されている。
【0058】
参拝者が、仏壇仕様祭祀箇所1の液晶モニタ8のタッチ操作により参拝終了操作を行うと仏壇祭祀終了指令が指令される。仏壇祭祀終了指令が指令されると、管理装置Cは、位牌Hを保管部10に再入庫させるべく、収納動作をさせる複数(8種)の収納動作パターンから、当該位牌Hを保持する予定の凹入部16のパレット14における位置に応じた収納動作パターンを選択し、移載ロボット25に出力する。これにより、移載ロボット25が位牌Hを仏壇支持部3から移動させて、仏壇中継部Maに支持されているパレット14の凹入部16まで搬送する。
【0059】
移載ロボット25による位牌Hのパレット14への搬送が完了すると、管理装置Cは、祭祀のあった仏壇仕様祭祀箇所1に対応する仏壇中継部Maから入庫先として引き当てた単位保管部12に、当該パレット14を搬送させる入庫搬送指令をスタッカークレーン20に指令する。これにより、スタッカークレーン20が、パレット14に支持された状態の位牌Hを、仏壇中継部Maから移動させて単位保管部12に搬送する。
【0060】
ところで、パレット14には異なる檀家の位牌Hが混載されているため、ある仏壇仕様祭祀箇所1で参拝が開始された後、終了するまでの間に、別の仏壇仕様祭祀箇所1で同じパレット14に支持された位牌Hを参拝する参拝者が参拝を開始する事態が発生しうる。このような場合、管理装置Cは、仏壇中継部Maに支持されているパレット14を、新たな仏壇祭祀指令が指令された仏壇仕様祭祀箇所1に対応する仏壇中継部Maに移し変える入れ替え搬送指令をスタッカークレーン20に指令する。パレット14が支持されている仏壇中継部Maに対応する仏壇仕様祭祀箇所1とは異なる別の仏壇仕様祭祀箇所1で、当該パレット14に支持されるべき位牌Hの参拝が終了して仏壇祭祀終了指令が指令された場合も同様に、パレット14を仏壇中継部Maから別の仏壇中継部Maに移し変えるべく入れ替え搬送指令が指令される。
【0061】
墓地仕様祭祀箇所2において参拝者が液晶モニタ8のタッチ操作により参拝対象の故人を選択することで墓地祭祀指令が管理装置Cに指令される。管理装置Cは、墓地祭祀指令が指令されると、液晶モニタ8から入力された参拝対象情報に基づいて、指定された故人の厨子Gが保管されている単位保管部12を判別し、当該単位保管部12から参拝者が位置する墓地仕様祭祀箇所2に対応する墓地中継部Mbまで、当該厨子Gを搬送させる出庫搬送指令をスタッカークレーン20に指令する。
【0062】
スタッカークレーン20によりパレット14が墓地中継部Mbに供給されると、管理装置Cは、墓地中継部Mbから墓地支持部4まで厨子Gを搬送するべく、厨子コンベヤ18に搬送指令を指令する。厨子Gが墓地支持部4まで搬送されたことが図外のセンサにより検出されると厨子コンベヤ18が停止する。
【0063】
参拝者が、墓地仕様祭祀箇所2の液晶モニタ8のタッチ操作により参拝終了操作を行うと墓地祭祀終了指令が指令される。墓地祭祀終了指令が指令されると、管理装置Cは、厨子Gを保管部10に再入庫させるべく、厨子コンベヤ18及びスタッカークレーン20の作動を制御する。すなわち、墓地支持部4から墓地中継部Mbまで厨子Gを搬送するべく、厨子コンベヤ18に搬送指令を指令し、厨子Gが墓地中継部Mbまで搬送されたことが図外のセンサにより検出されると厨子コンベヤ18が停止する。墓地中継部Mbから入庫先の単位保管部12まで厨子Gを搬送するべく、スタッカークレーン20に搬送指令を指令する。これにより、厨子Gが単位保管部12に保管される。
【0064】
このように、本実施形態の祭祀設備では、仏壇仕様祭祀箇所1では仏壇参りができ、墓地仕様祭祀箇所2では墓参りができるので、実際の墓地を所有していなくても墓参りにより年忌等の法要やお彼岸の時期等に故人の霊と触れ合うことができるだけでなく、仏壇を設置していない自宅に暮らしていても仏壇参りにより日々の生活の中で故人の霊と触れ合うことができ、墓参りの場面だけでなく日常の生活の中で故人の霊との触れ合うことができる。
【0065】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態を例示する。上記実施形態及び下記実施形態は、矛盾の生じない範囲で組み合わすことができる。
【0066】
(1)上記実施形態では、仏壇仕様祭祀箇所が設けられる仏壇祭祀領域及び墓地仕様祭祀箇所が設けられる墓地祭祀領域を同じフロア(1階)に壁体により区分けされた状態で設けているが、壁体を設けずに両者を区分けすることなく設けてもよい。また、例えば、1階に墓地祭祀領域を設け、2階に仏壇祭祀領域を設けるといったように、両者を異なるフロアに設けてもよい。
【0067】
(2)上記実施形態では、一つの仏壇仕様祭祀箇所には、仏壇支持部が1個設けられているが、一つの仏壇仕様祭祀箇所に複数の仏壇支持部を設けてもよい。この場合、移載ロボットの動作パターンが増えることになる。
【0068】
(3)上記実施形態では、1つの仏壇支持部に対して1つの仏壇中継部を設けたものを例示したが、2つの仏壇支持部に対して1つの仏壇中継部を設けてもよい。また、1つの仏壇支持部に対応する仏壇中継部と、2つの仏壇支持部に対応する仏壇中継部とが混在していてもよい。
【0069】
(4)上記実施形態では、移載ロボットを移動させる移動装置として、移載ロボットが備える移動駆動部により自走する構成を例示したが、移動装置としては、例えばロボット支持台や床面等の固定側にタイミングベルトとこのタイミングベルトを駆動するモータを設けて、タイミングベルトを巻回駆動することで移載ロボットを複数の開口の並び方向に沿って移動させる構成としてもよい。
【0070】
(5)上記実施形態では、墓地祭祀体として、骨壷を2個収容する厨子を例示したが、骨壺を1個収納する厨子であれば、棚奥行方向の長さが上記実施形態の厨子の半分になるため、1個の単位保管部に厨子を棚奥行方向に2個分並べて保管することができる。この場合、奥側の厨子を単位保管部から取り出すときは、空状態の別の単位保管部を利用して手前側の厨子を当該別の単位保管部に入出庫搬送装置により仮置き又は移動させることで、目的の厨子を単位保管部12から取り出すことができる。
【0071】
(6)上記実施形態では、入出庫搬送装置として、墓地参拝体及び仏壇参拝体の双方を単位保管部と中継部とに亘って搬送する兼用のスタッカークレーンで構成したものを例示したが、入出庫搬送装置として、墓地参拝体を単位保管部と墓地中継部とに亘って搬送する第1入出庫搬送装置と、仏壇参拝体を単位保管部と仏壇中継部とに亘って搬送する第2入出庫搬送装置とを備える構成としてもよい。
【0072】
この場合、保管部が、墓地参拝体用の第1単位保管部と第1単位保管部と仕様の異なる仏壇参拝体用の第2単位保管部とを備えて、第2単位保管部が、仏壇支持部に支持される荷姿のままで仏壇参拝体を1個ずつ又は複数個保管し、第2入出庫搬送装置が、仏壇支持部に支持される荷姿のままで仏壇参拝体を1個ずつ又は複数個まとめて搬送するように構成してもよい。
【0073】
なお、本発明の実施形態でないが、祭祀箇所として仏壇仕様祭祀箇所だけが設けられた設備も構成可能である。すなわち、搬送装置は、単位保管部と中継部との間で祭祀対象体を搬送する入出庫搬送装置と、中継部と祭祀用支持部との間で祭祀対象体を搬送する中継搬送装置と、を備え、中継部として、パレットに支持された状態の仏壇祭祀体が搬送される仏壇中継部のみが設けられ、中継搬送装置として、仏壇中継部に支持されているパレットと仏壇支持部との間で仏壇祭祀体を移動させる仏壇用搬送装置のみが設けられた設備を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 :仏壇仕様祭祀箇所
2 :墓地仕様祭祀箇所
3 :仏壇支持部
4 :墓地支持部
9 :搬送装置
10 :保管部
12 :単位保管部
14 :パレット
16 :凹入部(支持部)
18 :厨子コンベヤ(墓地用搬送装置・中継搬送装置)
19a :位置決め支持部
20 :スタッカークレーン(入出庫搬送装置)
24 :出退フォーク(移載装置)
25 :移載ロボット(仏壇用搬送装置・中継搬送装置)
26 :把持部
39 :仕切壁
39b :第2種開口(開口)
G :厨子(墓地祭祀体・祭祀対象体)
H :位牌(仏壇祭祀体・祭祀対象体)
M :中継部
Ma :仏壇中継部
Mb :墓地中継部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10