特許第6589806号(P6589806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589806
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   G03G15/16
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-201731(P2016-201731)
(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公開番号】特開2018-63362(P2018-63362A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮介
【審査官】 山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−168315(JP,A)
【文献】 特開2016−018040(JP,A)
【文献】 特開2009−025532(JP,A)
【文献】 特開2010−211142(JP,A)
【文献】 特開2014−081624(JP,A)
【文献】 特開平04−178680(JP,A)
【文献】 米国特許第05722015(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00−15/01
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する回動可能な像担持体と、
回動する前記像担持体に接触して回転駆動されることによってトナー像転写後の前記像担持体に付着するトナーを除去して保持するブラシ状の回転部材と、
前記回転部材に接触して回転駆動される回収部材と、
前記回転部材と前記回収部材との間に、前記回転部材に保持されたトナーを前記回収部材に静電気的に移動させるためのバイアス電圧を印加するバイアス供給部と、
前記回転部材の周辺の温度及び湿度を検知する検知部と、
前記回転部材によるトナーの除去動作の停止時間が予め定められた設定値以上である場合に、前記バイアス供給部から前記バイアス電圧が印加されるときに流れるバイアス電流の電流値を段階的に増加させる電流増加制御を行う電流制御部と、を備え
前記電流制御部は、前記検知部による検知結果が予め定められた第1環境条件の範囲内である場合に予め定められた第1段階数の第1電流増加制御を行い、前記検知結果が前記第1環境条件よりも低い場合に前記第1段階数よりも多い第2段階数の第2電流増加制御を行い、前記検知結果が前記第1環境条件よりも高い場合に前記第1段階数よりも少ない第3段階数の第3電流増加制御を行う、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2電流増加制御の最終段階における前記バイアス電流の電流値は、前記第1電流増加制御の最終段階における前記バイアス電流の電流値よりも小さく、
前記第3電流増加制御の最終段階における前記バイアス電流の電流値は、前記第1電流増加制御の最終段階における前記バイアス電流の電流値よりも大きい請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ベルトなどの像担持体に付着したトナーをクリーニングする回転部材を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式で画像を形成可能な画像形成装置は、中間転写ベルトなどの像担持体上に残存するトナーを除去するクリーニング装置を備えている(特許文献1参照)。前記クリーニング装置は、例えば、像担持体に接触して回転するブラシローラーと、前記ブラシローラーに保持されたトナーを前記ブラシローラーから静電気的に転移させて回収する回収ローラーと、前記回収ローラーの表面からトナーを分離させる分離ブレードを備えている。分離ブレードによって分離されたトナーは、クリーニング装置のハウジングの底部に集められ、その底部に設けられた搬送スクリューなどの搬送部材によって廃トナー収容部に搬送される。
【0003】
前記像担持体に残存するトナーは、画像形成が行われる過程で所定の極性に帯電されている。したがって、従来、前記ブラシローラーには、像担持体からトナーを除去するために、前記トナーの極性とは逆極性の電圧が印加されている。また、前記ブラシローラーから前記回収ローラーに静電気的にトナーを転移させるために、前記回収ローラーと前記ブラシローラーとの間に、前記トナーの極性とは逆極性のバイアス電圧が印加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−122343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクリーニング装置は、例えば、画像形成装置の電源がオフにされると、次に電源がオンにされるまでの間、ブラシローラーは除去したトナーを保持した状態を保つ。ブラシローラーにトナーが保持された状態であっても、短時間で電源がオンにされた場合は、トナーの帯電量にばらつきは生じず、一定レベル以上の帯電量を維持する。しかしながら、ブラシローラーによるクリーニングが長時間行われず、ブラシローラーにトナーが保持された状態が長時間続くと、トナーの帯電量は時間の経過とともに低下するため、ブラシローラーにおけるトナーの帯電量にばらつきが生じる。つまり、ブラシローラーに保持されたトナーにおいて、当初の帯電量を維持している部分、当初の帯電量よりも低い部分、当初の帯電量よりも極端に低い部分などが存在する。この場合、再び電源がオンにされて、クリーニング装置に前記バイアス電圧が印加されると、当初の帯電量を維持しているトナーは静電気力を受けてブラシローラーから回収ローラーに引き寄せられるが、帯電量が低下したトナーに対しては、回収ローラーに引き寄せるための十分な静電気力を付与することができず、帯電量の低下したトナーがいつまでもブラシローラーに残ったままとなる。このように残されたトナーが電源のオンオフの度に増えると、回収ローラーに転移できないトナーがブラシローラーに溢れてしまい、像担持体から適切にトナーを除去することができなくなる。また、場合によっては、ブラシローラーから像担持体にトナーが再付着するおそれがある。また、クリーニング装置に前記バイアス電圧が印加された場合に、帯電量が低下したトナーとの電位差が大きくなりすぎて、当該トナーに放電が発生し、逆極性に帯電したトナーが生成される。このように生成された逆極性のトナーは、前記バイアス電圧による斥力を受けて、像担持体側へ移動し、像担持体にトナーが再付着する問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、ブラシローラーなどの回転部材に除去されたトナーが長時間保持された場合であっても、確実に回転部材から回収部材にトナーを転移させて、像担持体へのトナーの再付着を防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、回動可能に支持された像担持体と、ブラシ状の回転部材と、回収部材と、バイアス供給部と、電流制御部と、を備える。前記像担持体は、トナー像を担持する部材である。前記回転部材は、回動する前記像担持体に接触して回転駆動されることによってトナー像転写後の前記像担持体に付着するトナーを除去して保持する。前記回収部材は、前記回転部材に接触して回転駆動される。前記バイアス供給部は、前記回転部材と前記回収部材との間に、前記回転部材に保持されたトナーを前記回収部材に静電気的に移動させるためのバイアス電圧を印加する。前記電流制御部は、前記回転部材によるトナーの除去動作の停止時間が予め定められた設定値以上である場合に、前記バイアス供給部から前記バイアス電圧が印加されるときに流れるバイアス電流の電流値を段階的に増加させる電流増加制御を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシローラーなどの回転部材に除去されたトナーが長時間保持された場合であっても、確実に回転部材から回収部材にトナーを転移させて、像担持体へのトナーの再付着を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、画像形成装置の画像形成ユニット及び中間転写装置の構成を示す図である。
図3図3は、画像形成装置が備えるベルトクリーニング装置の構成を示す図である。
図4図4は、画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図5図5(A)、(B)は、横軸をトナー帯電量としたときの、ブラシローラーに保持されたトナー量の分布を示すグラフ図である。
図6図6(A)は、クリーニング動作の停止時間が一定時間経過した後に、ブラシローラーにおいてトナーの帯電量にばらつきが生じた状態を例示するトナー量の分布図であり、図6(B)は、トナーの帯電量を5つの段階P1〜P5に分けたときの各段階P1〜P5に対応するバイアス電流を示すグラフ図である。
図7図7は、制御部よって実行されるバイアス電流調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置10の構成]
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置10の構成を示す模式断面図である。また、図2は画像形成ユニット31〜34及び中間転写装置36の構成を示す模式断面図である。
【0012】
画像形成装置10は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能、又はコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、本発明は、プリンター装置、ファクシミリ装置、及びコピー機などの画像形成装置に適用可能である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置10は、ADF(自動原稿搬送装置)1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、操作表示部5、及び制御部8を備える。
【0014】
ADF1は、不図示の原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する。画像読取部2は、不図示の原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCDを備え、原稿から画像データを読み取ることが可能である。
【0015】
操作表示部5は、制御部8からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部8に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0016】
画像形成部3は、画像読取部2で読み取られた画像データに基づいて電子写真方式でカラー又はモノクロの画像を形成する画像形成処理(印刷処理)を実行することが可能である。また、画像形成部3は、外部装置から入力された画像データに基づいて前記画像形成処理を実行することも可能である。
【0017】
図1及び図2に示すように、画像形成部3は、4つの画像形成ユニット31〜34、4つのトナーコンテナ46、2つの光走査装置35、中間転写装置36、二次転写ローラー38、定着装置39、及び排紙トレイ40を備える。
【0018】
画像形成ユニット31〜34は、電子写真方式に基づいて画像形成を行う。画像形成ユニット31はイエロー色のトナーに対応している。画像形成ユニット32はシアン色のトナー、画像形成ユニット33はマゼンタ色のトナー、画像形成ユニット34はブラック色のトナーに対応している。図1に示すように、画像形成ユニット31〜34は、画像形成装置10の前後方向に沿って前方からイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に併設される。
【0019】
図1及び図2に示すように、画像形成ユニット31〜34それぞれは、感光体ドラム41、帯電ローラー42、現像装置43、一次転写ローラー44、ドラムクリーニング装置45を備える。
【0020】
光走査装置35は、画像形成ユニット31〜34が備える感光体ドラム41各々に静電潜像を形成する。
【0021】
中間転写装置36は、中間転写ベルト361(像担持体の一例)を備える。中間転写装置36は、中間転写ベルト361を用いて、画像形成ユニット31〜34が備える感光体ドラム41各々から一次転写ローラー44によって中間転写ベルト361に一次転写されるトナー像を搬送する。図1及び図2に示すように、中間転写装置36は、中間転写ベルト361の他に、駆動ローラー362、張架ローラー363、帯電ブラシ364、及びベルトクリーニング装置37を備える。
【0022】
中間転写ベルト361は、画像形成ユニット31〜34が備える感光体ドラム41各々の表面に形成されたトナー像が転写される無端状のベルト部材である。中間転写ベルト361は、高い抵抗値(例えば1010[Ω])を有する導電体で構成されている。図1に示すように、中間転写ベルト361は、画像形成装置10の前後方向において離間して配置された駆動ローラー362及び張架ローラー363によって回動可能なように張架される。
【0023】
駆動ローラー362は、不図示の動力源から供給される駆動力により回転方向362Aに沿って回転駆動して、中間転写ベルト361を予め定められた方向に回動させる。これにより、中間転写ベルト361は、図1に示す回動方向36Aに沿って回動する。
【0024】
帯電ブラシ364は、中間転写ベルト361に付着したトナーを帯電するためのブラシ状の部材である。帯電ブラシ364は、駆動ローラー362の近傍であって、駆動ローラー362よりも回動方向36Aの上流側の位置に設けられている。また、帯電ブラシ364は、そのブラシの先端が中間転写ベルト361に付着したトナーと接触可能に配置される。帯電ブラシ364は、例えば、導電性のファーブラシである。帯電ブラシ364は、不図示の電源装置から印加される電圧により、トナーの帯電極性と同じ極性(正極性)の帯電電圧を中間転写ベルト361の表面に印加している。これにより、帯電ブラシ364には、概ね7〜8[μA]の帯電電流が流れる。なお、帯電ブラシ364は、必ずしも帯電電圧が印加されなくてもよい。例えば、帯電ブラシ364は、中間転写ベルト361との接触摩擦によって、中間転写ベルト361上の正極性に帯電したトナーの帯電量を増加させるものであってもよい。
【0025】
ベルトクリーニング装置37は、中間転写ベルト361から用紙にトナー像が転写された後に中間転写ベルト361の表面に残存したトナーや紙粉などの付着物を除去する。帯電ブラシ364によって前記付着物が一様に帯電されるため、ベルトクリーニング装置37によるトナーの除去が行われやすくなる。ベルトクリーニング装置37については後述する。
【0026】
二次転写ローラー38は、中間転写ベルト361の表面に一次転写されたトナー像を用紙に転写する。
【0027】
定着装置39は、二次転写ローラー38によって用紙に転写されたトナー像を前記用紙に溶融定着させる。例えば、定着装置39は、定着ローラー及び加圧ローラーを備える。前記定着ローラーは、前記加圧ローラーと接触して設けられ、用紙に転写されたトナー像を加熱して用紙に定着させる。前記加圧ローラーは、前記定着ローラーとの間で形成される接触部を通過する用紙を加圧する。
【0028】
画像形成ユニット31〜34それぞれにおいて、帯電ローラー42によって感光体ドラム41の表面が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置35により感光体ドラム41の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム41の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0029】
そして、感光体ドラム41上の静電潜像は現像装置43によって対応する色のトナー像として現像(可視像化)される。具体的に、現像装置43の現像ローラーから感光体ドラム41に対してトナーが供給されることで、感光体ドラム41上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、現像装置43の内部では、トナーとキャリアを含む現像剤が攪拌スクリューによる攪拌で摩擦帯電されて磁気ローラーに送られ、磁気ローラーから現像剤中のトナーが現像ローラーに送られる。例えば、現像装置43の内部において、トナーは正極性に摩擦帯電される。また、現像装置43には、画像形成部3に着脱可能なトナーコンテナ46から対応する色のトナーが補給される。
【0030】
続いて、感光体ドラム41に形成されたトナー像は、一次転写ローラー44により中間転写装置36の中間転写ベルト361に転写される。一方、感光体ドラム41の表面に残存したトナーはドラムクリーニング装置45で除去される。例えば、ドラムクリーニング装置45では、感光体ドラム41の表面に残存したトナーがブレード状のクリーニング部材により除去される。そして、クリーニング部材により除去されたトナーは、搬送スクリューにより不図示のトナー収容容器まで搬送されて回収される。
【0031】
このように、画像形成ユニット31〜34それぞれにおいて、中間転写装置36の中間転写ベルト361に対応する色のトナー像が順次重ねて転写される。そして、中間転写ベルト361に転写された前記トナー像は、二次転写ローラー38によって給紙部4から供給される用紙に転写される。
【0032】
その後、前記トナー像が転写された用紙は、定着装置39により前記トナー像が溶融定着されることで画像が形成され、排紙トレイ40に排出される。
【0033】
次に、図3を参照して、ベルトクリーニング装置37について説明する。ここで、図3はベルトクリーニング装置37の構成を示す模式断面図である。
【0034】
図2に示すように、ベルトクリーニング装置37は、中間転写装置36の前方側に設けられている。ベルトクリーニング装置37は、中間転写ベルト361の表面を清掃する。図3に示すように、ベルトクリーニング装置37は、ハウジング371(筐体の一例)、ブラシローラー372(回転部材の一例)、回収ローラー373(回収部材の一例)、ブレード部材374、トナー搬送路375、搬送部材376、フィルム部材377を備える。また、ベルトクリーニング装置37は、バイアス供給部48(図3参照)を備える。
【0035】
ハウジング371は、ブラシローラー372、回収ローラー373、ブレード部材374、及び搬送部材376を内部に収容する。また、図3に示すように、ハウジング371の内部には、トナー搬送路375が形成されている。また、ハウジング371は、中間転写ベルト361に対向する面に、ブラシローラー372を中間転写ベルト361側へ露出させる開口部50を有している。
【0036】
ブラシローラー372は、二次転写ローラー38によるトナー像の転写後に中間転写ベルト361に残存するトナーなどの付着物を除去する。ブラシローラー372は、中間転写ベルト361と接触する位置において回転可能に設けられたブラシ状の回転部材であり、例えば、導電性のファーブラシである。また、ブラシローラー372は、不図示の動力源からの駆動力を受けて、駆動ローラー362と同じ回転方向372Aに回転駆動される。言い換えると、ブラシローラー372は、中間転写ベルト361の回動方向36Aと同じ回転方向372Aに回転する。
【0037】
回収ローラー373は、ブラシローラー372によって中間転写ベルト361の表面から除去されたトナーを回収する。例えば、回収ローラー373は、ブラシローラー372と接触する位置において回転可能に設けられた金属製のローラーである。回収ローラー373は、不図示の動力源からの駆動力を受けて、駆動ローラー362と逆の回転方向373Aに沿って回転する。
【0038】
バイアス供給部48は、ブラシローラー372と回収ローラー373との間にバイアス電圧を印加する電源回路である。入力された直流電流を予め定められた電圧値に変換し、変換後の電圧をバイアス電圧として回収ローラー373に印加する。バイアス供給部48から回収ローラー373に前記バイアス電圧が印加されると、ブラシローラー372から中間転写ベルト361を経て駆動ローラー362に電流が流れ、更に駆動ローラー362からグランドに電流が流れる。一方、上述したように中間転写ベルト361は高い抵抗値を有するため、中間転写ベルト361から駆動ローラー362に流れる電荷は少なく、そのため、前記バイアス電圧の印加によって、実質的に、回収ローラー373及びブラシローラー372は、それぞれ、所定の電位に帯電される。具体的には、回収ローラー373は、ブラシローラー372と同じ負極性であって、ブラシローラー372よりも高い電位に帯電される。したがって、ブラシローラー372に保持されていた正極性のトナーは、前記バイアス電圧により生じる静電気力によって回収ローラー373に転移する。つまり、回収ローラー373は、ブラシローラー372に保持されたトナーを静電気的な引力(静電気力)によって引き寄せて回収する。
【0039】
また、バイアス供給部48は、制御部8から供給された制御信号にしたがって、前記バイアス電圧の印加時に回収ローラー373に流れるバイアス電流を変更させる。バイアス供給部48には、例えば、複数の定電流回路や、これらの定電流回路の出力経路を切り替えるスイッチング部などを含む電流切替回路を含む。制御部8は、この電流切替回路のスイッチング部に制御信号を出力することにより、前記バイアス電流を変更可能である。なお、前記電流切換回路は、バイアス供給部48の出力経路に可変抵抗器を有し、前記可変抵抗器の抵抗値を調整することにより前記バイアス電流を変更するものであってもよい。
【0040】
ブレード部材374は、回収ローラー373の表面と接触するように設けられている。ブレード部材374は、ハウジング371の長手方向、つまり、画像形成装置10の左右方向に延びる長い形状である。ブレード部材374は、回収ローラー373の表面に付着したトナーを除去する。例えば、ブレード部材374は、一方の端部が回収ローラー373と接触するように他方の端部がハウジング371に固定されたゴム板である。ブレード部材374によって回収ローラー373から除去されたトナーは、ハウジング371の底部のトナー搬送路375に落下する。
【0041】
トナー搬送路375は、ブレード部材374によって除去されたトナーが搬送される。図3に示すように、トナー搬送路375は、ハウジング371の底部の底壁371Aによって、ブレード部材374の下方の位置で画像形成装置10の左右方向に沿って形成されている。
【0042】
搬送部材376は、トナー搬送路375に回転可能に設けられている。搬送部材376は、トナー搬送路375にあるトナーを搬送する。例えば、搬送部材376は、回転軸を中心に螺旋状に形成されたフィンを有し、トナー搬送路375に沿ってトナーを搬送する搬送スクリューである。
【0043】
フィルム部材377は、ハウジング371の底部の底壁371Aに設けられた上方へ延びる板状の支持プレート371Bに固定されている。底壁371Aは前後方向へ概ね水平であり、支持プレート371Bは前方側へ少し傾倒した状態で斜め上方へ延びている。支持プレート371Bは、底壁371Aと一体に形成されている。支持プレート371B及びフィルム部材377それぞれは、ハウジング371の長手方向、つまり、画像形成装置10の左右方向に延びる長い形状である。フィルム部材377は、支持プレート371Bから更に上方へ延出しており、その先端部は回収ローラー373の外周面に当接している。これにより、ハウジング371の内部空間が、フィルム部材377によって、ブラシローラー372が設けられた後方側の空間と、搬送部材376が設けられた前方側のトナー搬送路375とに区分けされており、ブラシローラー372側の空間とトナー搬送路375との間で通気ができないようになっている。
【0044】
次に、図4を参照して、制御部8について説明する。制御部8は、画像形成装置10を統括的に制御する。図4に示されるように、制御部8は、CPU81、ROM82、RAM83、フラッシュメモリ84、検知部85、バイアス調整部86(電流制御部の一例)、等を有している。ROM82は不揮発性の記憶装置、RAM83は揮発性の記憶装置、フラッシュメモリ84は不揮発性の記憶装置である。RAM83、フラッシュメモリ84は、CPU81が実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。ROM82には、所定の制御プログラムが記憶されている。なお、制御部8は、集積回路(ASIC、DSP)等の電子回路により構成されてもよい。また、制御部8は、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0045】
制御部8は、ROM82に記憶された所定の制御プログラムをCPU81で実行することによって、画像形成装置10を統括的に制御する。具体的に、ROM82には、画像形成を実現するためのプログラムや、後述するバイアス電流調整処理を実行するためのプログラムが記憶されている。制御部8は、CPU81を用いてROM82に記憶されている制御プログラムを実行することにより、検知部85、バイアス調整部86として動作する。
【0046】
検知部85は、ブラシローラー372の周辺の温度及び湿度を検出する。例えば、画像形成装置10では、画像形成部3に、画像形成装置10の筐体内部の温度及び湿度に応じた電気信号を出力する温湿度センサー89が設けられている。温湿度センサー89は、例えば、サーミスタやサーマルダイオードを用いた温度測定用の電子素子や、高分子容量式或いは酸化アルミ容量式などの検出方式に基づいて湿度を測定する電子素子などを利用したセンサーである。そして、検知部85は、温湿度センサー89から出力される電気信号に基づいて、画像形成装置10の筐体内部の温度及び湿度を検出することが可能である。なお、温湿度センサー89が、画像形成装置10の外部の温度及び湿度に応じた電気信号を出力するものであってもよい。
【0047】
バイアス調整部86は、バイアス供給部48から前記バイアス電圧が印加されるときに回収ローラー373へ流れる前記バイアス電流の電流値を段階的に増加させるバイアス電流調整処理(電流増加制御の一例)を行う。本実施形態では、バイアス調整部86は、ブラシローラー372によるトナーの除去動作の停止時間が予め定められた設定値以上である場合に、前記バイアス電流調整処理を行う。本実施形態では、バイアス調整部86は、検知部85によって検知された検知温度及び検知湿度(検知結果)に応じたバイアス電流調整処理(第1バイアス制御、第2バイアス制御、第3バイアス制御)を行う。なお、前記バイアス電流調整処理については後述する。
【0048】
ところで、例えば、画像形成装置10の電源がオフにされると、次に電源がオンにされるまでの間、ブラシローラー372は除去したトナーを保持した状態を保つ。ブラシローラー372にトナーが保持された状態であっても、トナーのクリーニング動作(除去動作)が停止している停止時間(電源オフの時間)が短時間であれば、図5(A)の実線グラフL1で示されるように、トナーの帯電量にばらつきはあまり生じず、予め定められた基準帯電量X1以上(図5(A)の符号Pkを参照)を有するトナーが多く存在する(図5(A)のハッチング部R11参照)。この場合、クリーニング動作が再開されて、例えば、基準帯電量X1以上のトナーを回収ローラー373に転移可能な比較的高いバイアス電流(例えば、25[μA])のバイアス電圧が印加された場合でも、多くのトナーが回収ローラー373に転移し、回収ローラー373に転移できずにブラシローラー372に残される基準帯電量X1未満のトナー(図5(A)のハッチング部R12参照)は少ない。ここで、図5(A)、(B)は、横軸をトナー帯電量としたときのトナー量の分布を示すグラフ図である。
【0049】
しかしながら、ブラシローラー372によるクリーニング動作が長時間行われず、ブラシローラー372のブラシ中にトナーが保持された状態が長時間続くと、トナーの帯電量は時間の経過とともに低下するため、図5(B)の破線グラフL2で示されるように、ブラシローラー372におけるトナーの帯電量にばらつきが生じる。つまり、図5(B)に示されるように、トナー分布を示す破線グラフL2が横方向に間延びする。すなわち、ブラシローラー372に保持されたトナーにおいて、基準帯電量X1以上のトナーの量が少なくなり(図5(B)のハッチング部R21参照)、基準帯電量X1未満のトナーの量が多くなる(図5(B)のハッチング部R22参照)。この場合、クリーニング動作が再開されて、ベルトクリーニング装置37にバイアス供給部48から前記バイアス電流(例えば、25[μA])のバイアス電圧が印加されたとしても、基準帯電量X1以上のトナーは静電気力を受けてブラシローラー372から回収ローラー373に引き寄せられるが、帯電量が低下して基準帯電量X1未満となったトナーは、回収ローラー373に引き寄せられるだけの十分な静電気力を受けることができる、帯電量の低下したトナーがいつまでもブラシローラー372に残ったままとなる。このように残されたトナーがクリーニング動作の駆動又は停止を繰り返す毎に増えると、回収ローラー373に転移できないトナーがブラシローラー372に溢れてしまい、中間転写ベルト361から適切にトナーを除去することができなくなる。また、場合によっては、ブラシローラー372から中間転写ベルト361にトナーが再付着するおそれがある。また、ベルトクリーニング装置37に前記バイアス電圧が印加された場合に、帯電量が低下したトナーとの電位差が大きくなりすぎて、当該トナーに放電が発生し、逆極性に帯電したトナーが生成される。このように生成された逆極性のトナーは、前記バイアス電圧による斥力を受けて、中間転写ベルト361側へ移動し、中間転写ベルト361にトナーが再付着する問題が生じる。
【0050】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、後述のバイアス電流調整処理を行うバイアス調整部86が設けられているため、ブラシローラー372に除去されたトナーが長時間保持された場合であっても、ブラシローラー372から確実に回収ローラー373にトナーを転移させることが可能であり、また、中間転写ベルト361へのトナーの再付着を防止することが可能である。
【0051】
以下、図6のグラフ図を参照しつつ、図7のフローチャートを用いて、制御部8によって実行されるバイアス電流調整処理の手順の一例について説明する。ここで、図6(A)は、クリーニング動作の停止時間が一定時間経過した後に、ブラシローラー372においてトナーの帯電量にばらつきが生じた状態を例示するトナー量の分布図であり、図6(B)は、トナーの帯電量を5つの段階P1〜P5に分けたときの各段階P1〜P5に対応するバイアス電流を示すグラフ図である。また、図7におけるS11、S12、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、以下の説明においては、画像形成装置10の電源が再投入されたことによって画像形成準備のための初期動作とともにベルトクリーニング装置37によるクリーニング動作が行われるものとして説明する。
【0052】
画像形成装置10に電源入力操作が行われると、制御部8は、電源が投入されたと判定する(S11)。その後、制御部8は、画像形成準備のための初期動作を行うための指示を画像形成部3に出力する。また、ベルトクリーニング装置37によるクリーニング動作を行うため、当該クリーニング動作の開始前に、電源がオフにされていた停止時間を算出する。前記停止時間は、例えば、画像形成装置10がオフにされた時刻と、画像形成装置10がオンにされた時刻とを予めフラッシュメモリ84に記憶しておくことで、これらの差分から算出することができる。
【0053】
次に、制御部8は、前記停止時間が予め定められた設定値以上であるかどうかを判定する(S12)。前記設定値は、例えば、図6(A)に示されるようにトナーの帯電量にばらつきが生じる状態になるまでに要する所要時間とすることができる。前記設定値は、任意に設定することができる。例えば、前記停止時間が前記設定値以上である場合は、ブラシローラー372に保持されているトナーが図6(A)の破線グラフL2で示された状態、つまり、トナー帯電量にばらつきが生じている、と判定できる。一方、前記停止時間が前記設定値未満である場合は、電源がすぐに再投入された場合であって、ブラシローラー372に保持されているトナーが図5(A)の実線グラフL1で示された状態、つまり、トナー帯電量にばらつきが生じていない、と判定できる。
【0054】
ステップS12において前記停止時間が前記設定値未満であると判定された場合は、次のステップS13において、通常のバイアス制御が行われる。具体的には、制御部8は、一定の前記バイアス電流の前記バイアス電圧を回収ローラー373に印加する。その後、制御部8は、不図示の動力源を駆動制御して、ブラシローラー372、回収ローラー373、搬送部材376を回転駆動させて、ベルトクリーニング装置37にクリーニング動作を行わせる(S20)。
【0055】
一方、ステップS12において前記停止時間が前記設定値以上であると判定された場合は、制御部8は、ステップS14における判定処理を行う。
【0056】
ステップS14では、制御部8は、環境条件が通常レベルであるかどうかを判定する。ここで、通常レベルとは、画像形成装置10の設置場所における温度が15℃以上25℃未満の範囲内であり、同設置場所における湿度が45%以上65%未満の範囲内である環境状態のことを示す。かかる環境状態は、本発明の第1環境条件の一例である。以下、かかる環境状体を常温環境と称する。ステップS14において環境条件が通常レベルであると判定されると、制御部8は、ステップS17の第1バイアス制御(第1電流増加制御の一例)を行う。また、ステップS14において環境条件が通常レベルではないと判定されると、制御部8は、ステップS15における判定処理を行う。
【0057】
ステップS15では、制御部8は、環境条件が低レベルであるかどうかを判定する。ここで、低レベルとは、画像形成装置10の設置場所における温度が15℃未満であり、同設置場所における湿度が45%未満の所謂低温低湿環境のことを示す。ステップS15において環境条件が低レベルであると判定されると、制御部8は、ステップS18の第2バイアス制御(第2電流増加制御の一例)を行う。また、ステップS15において環境条件が低レベルでないと判定されると、制御部8は、ステップS16における判定処理を行う。なお、一般に、低温低湿環境では、常温環境や高温高湿環境に比べて、前記バイアス電圧の印加時のトナーとの電位差が小さくても放電が生じ易い。
【0058】
ステップS16では、制御部8は、環境条件が高レベルであるかどうかを判定する。ここで、高レベルとは、画像形成装置10の設置場所における温度が25℃以上であり、同設置場所における湿度が65%以上の所謂高温高湿環境のことを示す。ステップS16において環境条件が高レベルであると判定されると、制御部8は、ステップS19の第3バイアス制御(第3電流増加制御の一例)を行う。また、ステップS16において環境条件が高レベルでないと判定されると、制御部8は、ステップS14に戻り、同じ判定処理を繰り返す。なお、一般に、高温高湿環境では、常温環境や低温低湿環境に比べて、放電は生じ難いが、トナーの帯電量の低下速度が著しく速く、停止時間が短時間でも帯電量のばらつきが生じる。
【0059】
本実施形態では、制御部8のバイアス調整部86は、検知部85によって検知された検知温度及び検知湿度(検知結果)に応じたバイアス電流調整処理を行う。具体的には、上述したように、環境条件が通常レベルであると判定されると第1バイアス制御(S17)が行われ、環境条件が低レベルであると判定されると第2バイアス制御(S18)が行われ、環境条件が高レベルであると判定されると第3バイアス制御(S19)が行われる。
【0060】
以下、表1及び図6(B)を参照して、前記第1バイアス制御について説明する。ここで、表1は、クリーニング動作が開始された時からのブラシローラー372の回転回数と、その回転回数に応じたバイアス電流の電流値を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
前記第1バイアス制御では、クリーニング動作開始後のブラシローラー372の回転回数が1回転目のときに、5[μA]のバイアス電流が前記バイアス電圧とともに回収ローラー373に流される。その後、2回転目のときに10[μA]、3回転目のときに15[μA]、4回転目のときに20[μA]のバイアス電流が流されて、5回転目以降は、常温環境下において基準帯電量X1以上のトナーを転移させることが可能な25[μA]のバイアス電流が流される。つまり、制御部8は、前記第1バイアス制御を行うことによって、バイアス供給部48から前記バイアス電圧が印加されるときに流れるバイアス電流の電流値を5段階に渡って段階的に増加させる。つまり、制御部8は、5つの段数(第1段階数の一例)の第1バイアス制御を行う。
【0063】
本実施形態では、図6(B)に示されるように、ブラシローラー372の1回転目のときのバイアス電流(5[μA])は、段階P1に対応する帯電量のトナーを転移させることが可能であり、放電も生じない程度の電流値に定められている。また、ブラシローラー372の2回転目のときのバイアス電流(10[μA])は、段階P2に対応する帯電量のトナーを転移させることが可能であり、放電も生じない程度の電流値に定められている。他の段階P3,P4においても同様である。また、ブラシローラー372の5転目以降のバイアス電流(25[μA])は、基準帯電量X1以上の段階P5に対応する帯電量のトナーを転移させることが可能であり、放電も生じない程度の電流値に定められている。
【0064】
このように、ステップS14において環境条件が通常レベルであると判定された場合に、前記第1バイアス制御が行われることにより、各段階P1〜P5それぞれにおけるトナーの帯電量に対して回収ローラー373の電荷量が大きくなりすぎない。これにより、放電が生じ難くなる。また、各段階P1〜P5の帯電量に応じたバイアス電流が印加されるので、効率良くトナーをブラシローラー372から回収ローラー373に転移させることができる。
【0065】
次に、表1を参照して、前記第2バイアス制御について説明する。前記第2バイアス制御では、クリーニング動作開始後のブラシローラー372の回転回数が1回転目のときに、1[μA]のバイアス電流が前記バイアス電圧とともに回収ローラー373に流される。その後、2回転目のときに2[μA]、3回転目のときに3[μA]、4回転目のときに4[μA]、5回転目のときに6[μA]、7回転目のときに8[μA]のバイアス電流が流されて、8回転目以降は、低温低湿環境下において基準帯電量X1以上のトナーを転移させることが可能な12[μA]のバイアス電流が流される。つまり、制御部8は、前記第2バイアス制御を行うことによって、バイアス供給部48から前記バイアス電圧が印加されるときに流れるバイアス電流の電流値を8段階に渡って段階的に増加させる。つまり、制御部8は、8つの段数(第2段階数の一例)の第2バイアス制御を行う。本実施形態では、第2バイアス制御の最終段階である8段階目(8回転目以降)のバイアス電流の電流値(12[μA])は、第1バイアス制御の最終段階である5段階目(5回転目以降)のバイアス電流の電流値(25[μA])よりも小さく設定されている。これは、低温低湿環境下では、放電が生じ易いため、バイアス電流を小さくすることにより、回収ローラー373における電荷量を少なくして、放電を防止するためである。
【0066】
次に、表1を参照して、前記第3バイアス制御について説明する。前記第3バイアス制御では、クリーニング動作開始後のブラシローラー372の回転回数が1回転目のときに、5[μA]のバイアス電流が前記バイアス電圧とともに回収ローラー373に流される。その後、2回転目のときに15[μA]のバイアス電流が流されて、3回転目以降は、高温高湿環境下において基準帯電量X1以上のトナーを転移させることが可能な30[μA]のバイアス電流が流される。つまり、制御部8は、前記第3バイアス制御を行うことによって、バイアス供給部48から前記バイアス電圧が印加されるときに流れるバイアス電流の電流値を3段階に渡って段階的に増加させる。つまり、制御部8は、3つの段数(第3段階数の一例)の第3バイアス制御を行う。
【0067】
本実施形態では、第3バイアス制御の最終段階である3段階目(3回転目以降)のバイアス電流の電流値(30[μA])は、第1バイアス制御の最終段階である5段階目(5回転目以降)のバイアス電流の電流値(25[μA])よりも大きく設定されている。これは、高温高湿環境下では、放電が生じ難いため、バイアス電流を大きくすることにより、ブラシローラー372から回収ローラー373へトナーが転移し易くするためである。
【0068】
上述した第1バイアス制御、第2バイアス制御、そして第3バイアス制御のいずれが行われると、その後、制御部8は、不図示の動力源を駆動制御して、ブラシローラー372、回収ローラー373、搬送部材376を回転駆動させて、ベルトクリーニング装置37にクリーニング動作を行わせる(S20)。
【0069】
このように、環境条件に応じて、第1バイアス制御、第2バイアス制御、そして第3バイアス制御のいずれかが行われるため、環境条件によって帯電低下速度が異なったり、放電発生率がことなる場合でも、放電の発生を防止しつつ、トナーの確実な転移を行うことが可能である。その結果、ブラシローラー372における未回収トナーが減少して、中間転写ベルト361への再付着が防止される。
【0070】
なお、上述の実施形態では、ブラシローラー372が1回転する度に第1〜第3バイアス制御それぞれにおけるバイアス電流の電流値を変化させたが、本発明はこのような構成に限られない。例えば、一定時間経過する度にバイアス電流の電流値を変化させてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、電源投入後に、電源がオフにされていた停止時間が前記設定値以上である場合に、前記バイアス電流調整処理が行われる例について説明したが、本発明のこの例に限られない。例えば、画像形成装置10が省電力モードから通常モードに復帰したときに、前記省電力モードにされていた時間が前記設定値以上である場合に、前記バイアス電流調整処理が行われてもよい。
【符号の説明】
【0072】
8:制御部
10:画像形成装置
31〜34:画像形成ユニット
36:中間転写装置
37:ベルトクリーニング装置
48:バイアス供給部
50:開口部
85:検知部
86:バイアス調整部
89:温湿度センサー
361:中間転写ベルト
372:ブラシローラー
373:回収ローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7