(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るワイヤーハーネスモジュールについて説明する。
図1はワイヤーハーネスモジュール20を車両に配設した形態を示す概略斜視図であり、
図2はワイヤーハーネスモジュール20を示す概略斜視図である。
図2に示すワイヤーハーネスモジュール20は、搬送形態に折畳まれた状態から車両に配設作業する初期状態を示している。
【0018】
ワイヤーハーネスモジュール20は、ワイヤーハーネス21と、複数の車両固定部品としての第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50とを備える。
【0019】
ワイヤーハーネス21は、複数の電線を含む。ここでは、ワイヤーハーネス21は、複数の電線が束ねられることにより形成されたワイヤーハーネス本体22を含む。なお、各図では、複数の電線が束ねられた外形を示している。ワイヤーハーネス本体22は、その延在方向途中で分岐していてもよく、そのような分岐が無く1つに束ねられていてもよい。
図1及び
図2に示す例では、ワイヤーハーネス本体22は、その延在方向途中の2箇所で分岐している。ここでは、ワイヤーハーネス本体22は、幹線部分23と、当該幹線部分23の途中で分岐する分岐部分24とを備えている。ワイヤーハーネス本体22には、光ケーブル等が含まれていてもよい。
【0020】
ワイヤーハーネス本体22の各端部、すなわち、幹線部分23の両端部には、コネクタ25、26が取付けられ、分岐部分24の端部には、コネクタ27が取付けられている。
【0021】
コネクタ25、26、27は、それぞれ1つのハウジング部を有するコネクタであり、電線の端部の端子が当該ハウジング部のキャビティ内に挿入保持されることによって、幹線部分23の端部及び分岐部分24の端部にコネクタ25、26、27が取付けられている。
【0022】
そして、本ワイヤーハーネス21が車両に組付けられた状態で、各コネクタ25、26、27が相手側のコネクタに接続される。これにより、当該相手側のコネクタに接続されている各種電気部品同士が電気的に接続される。すなわち、本ワイヤーハーネス本体22は、車両における各種電気部品同士を電気的に接続する配線材として用いられる。
【0023】
なお、本ワイヤーハーネス21が組付けられる車両は、4輪自動車であってもよいし、2輪自動車であってもよい。組付対象箇所は、金属板等のパネル状である場合、角筒状又は円筒状の細長い部材である場合等が想定される。ここでは、組付対象箇所10は、金属板等のパネル状であり、当該組付対象箇所10に複数の固定孔10hが形成されている例で説明する(
図2に1つのみ図示)。
【0024】
上記ワイヤーハーネス本体22には、曲げ可能な外装部材30が外装されている。
【0025】
ここでは、外装部材30は、樹脂を押出成形することによって形成された筒状部材である。外装部材30が軟質な樹脂又は曲げ可能な程度の厚みの筒状に形成されていれば、外装部材30を曲げ可能に構成することができる。例えば、外装部材30は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等をベース樹脂とする材料によって形成するとよい。
【0026】
ここでは、外装部材30の延在方向全体が、直線状態から所定方向に最もよく曲るように曲げ方向を規制された構成とされている。具体的には、外装部材30の延在方向に対して直交する面において、外装部材30の断面形状が細長い環状形状、ここでは、一方に長い長方形環状をなすように形成されている。換言すれば、外装部材30は、長方形角筒状に形成されている。かかる外装部材30は、その直線状態から、その断面形状が短い方向(
図1の矢符A方向参照)においては比較的容易に曲ることができる一方、その断面形状が長い方向(
図1の矢符B方向参照)においては前者の方向よりも曲り難い。このため、外装部材30の延在方向の全体が、直線状態から所定方向(
図1の矢符A方向参照)に最もよく曲るように曲げ方向を規制する曲げ方向規制部として構成されていることになる。
【0027】
なお、上記ワイヤーハーネス21は、外装部材30の一端側の開口から当該外装部材30内に通していくことによって、または、外装部材30にその延在方向に沿ったスリットを形成し、そのスリットを通じて外装部材30内に配設される。また、外装部材30の延在方向の途中には開口が形成されており、分岐部分24は当該開口を通って外部に引出されている。
【0028】
なお、外装部材は、その他、楕円筒形状等であっても、所定方向に最もよく曲るように曲げ方向を規制することができる。
【0029】
もっとも、外装部材が所定方向に最もよく曲るように曲げ方向を規制していることは必須ではなく、外装部材は円筒形状、正方形筒形状等に形成されていてもよい。また、外装部材としてコルゲートチューブが用いられてもよい。
【0030】
図3は第1曲げ状態保持用車両固定部品40を示す斜視図であり、
図4は第2曲げ状態保持用車両固定部品50を示す斜視図であり、
図5は第1曲げ状態保持用車両固定部品40と第2曲げ状態保持用車両固定部品50との合体状態を示す斜視図である。
【0031】
第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50は、ワイヤーハーネス本体22に対してその延在方向において離れた位置に取付けられた部品である。ここでは、第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50
は、ワイヤーハーネス本体22に外装された単一の外装部材30に対してその延在方向において離れた位置に取付けられている。第1曲げ状態保持用車両固定部品40と第2曲げ状態保持用車両固定部品50との間には、外装部材30をその弾性変形域で曲げて第1曲げ状態保持用車両固定部品40と第2曲げ状態保持用車両固定部品50とを合体させることができる寸法以上の間隔が設けられている。
【0032】
もっとも、第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50は、ワイヤーハーネス本体22に直接取付けられていてもよい。また、ワイヤーハーネス本体に対して、離れた部位に複数の外装部材が取付けられ、それぞれの外装部材に第1曲げ状態保持用車両固定部品及び第2曲げ状態保持用車両固定部品が取付けられていてもよい。
【0033】
第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50のそれぞれは、ワイヤーハーネス21に取付けられると共に車両の組付対象箇所10に取付可能に構成されている。
【0034】
第1曲げ状態保持用車両固定部品40は、樹脂等によって一体的に金型成形された部品であり、第1ハーネス取付部42と、第1車両固定部44と、第1合体部46とを備える。
【0035】
第1ハーネス取付部42は、外装部材30の延在方向の一部に取付可能に構成されている。ここでは、第1ハーネス取付部42は、基部42aと、一対の側部42bとを備える。
【0036】
基部42aは、外装部材30の幅広側の外面に対してその幅方向全体に亘って配設可能な細長板状に形成されている。一対の側部42bは、基部42aの両側部から基部42aの一方主面側に立上がる形状に形成されている。一対の側部42bは、外装部材30の幅狭側の外面を越える程度の長さ寸法に形成されている。また、一対の側部42bの先端部には、その内向きに突出する係止片42cが形成されている。基部42aと一対の側部42bとの間に、外装部材30を配設可能な空間が形成されている。
【0037】
そして、基部42aの内向き面を外装部材30の幅広側の一方の外面に接触させると共に、一対の側部42bの内向き面を外装部材30の幅狭側の一対の外面に接触させ、係止片42cを外装部材30の幅広側の他方の外面の両側部に当接させることで、第1ハーネス取付部42が外装部材30に対して取付けられ、第1曲げ状態保持用車両固定部品40全体としても外装部材30に取付けられる。
【0038】
第1ハーネス取付部は、取付対象となる形状に合せて当該取付対象に取付可能に形成されている。例えば、取付対象が、外装部材としてのコルゲートチューブである場合、又は、ワイヤーハーネス本体22の電線束である場合等には、第1ハーネス取付部は、略円周面形状に抱持可能なC字状の部分に形成されていてもよい。
【0039】
第1車両固定部44は、車両の組付対象箇所10(
図1参照)に固定可能に構成されている。ここでは、第1車両固定部44は、基部42aの外面の中央部から外方に向けて突出する柱状部44aと、柱状部44aの先端部に突設された一対の抜止め突部44bとを備える。抜止め突部44bは、柱状部44aの先端部から基端部に向けて外方に広がるように突設されている。そして、上記組付対象箇所10の固定孔10hに本第1車両固定部44を挿入すると、前記抜止め突部44bが固定孔10hの周縁部に抜止め係止し、もって、第1車両固定部44が組付対象箇所10に対して一定位置に固定される。この第1車両固定部44の構成自体は、クランプ、クリップ等とよばれる部品として、車両への取付用構造として採用されているものである。
【0040】
第1車両固定部も、組付対象箇所の形状に合せて、当該組付対象箇所に固定可能な形状が採用される。その一例については、後述する第2実施形態において説明する。
【0041】
第1合体部46は、後述する第2合体部56に対して取外し可能に合体可能に構成されている。
【0042】
ここでは、第1合体部46は、第1ハーネス取付部42の一側面、すなわち、一方の側部42bの外面に形成されている。第1合体部46は、一対の側部46aと、天井部46bと、止め片部46cとを備える。一対の側部46aは、側部42bの基端部と先端部とを結ぶ方向において間隔をあけて設けられた細長板状に形成されている。一対の側部46aの先端部の間を繋ぐように天井部46bが形成されている。天井部46bの幅方向中央部には、一対の側部46aの延在方向一端側から他端側に向う挿入凹部46bhが形成されている。止め片部46cは、一対の側部46aの他端部同士を繋ぐように形成されている。また、側部42bの外面であって一対の側部46aの間の部分に、一対の側部46aの延在方向一端側から他端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなる抜け止凸部46dが形成されている。
【0043】
第2曲げ状態保持用車両固定部品50は、樹脂等によって一体的に金型成形された部品であり、第2ハーネス取付部52と、第2車両固定部54と、第2合体部56とを備える。
【0044】
第2ハーネス取付部52は、外装部材30の延在方向の一部に取付可能に構成されている。ここでは、第2ハーネス取付部52は、上記第1ハーネス取付部42と同様構成であり、基部52aと、一対の側部52bとを備える構成とされている。
【0045】
第2ハーネス取付部も、取付対象となる形状に合せて当該取付対象に取付可能に形成されている。
【0046】
第2車両固定部54は、車両の組付対象箇所10(
図1参照)に固定可能に構成されている。ここでは、第2車両固定部54は、上記第1車両固定部44と同様構成であり、柱状部54aと、柱状部54aの先端部に突設された一対の抜止め突部54bとを備える構成とされている。
【0047】
第2車両固定部も、組付対象箇所の形状に合せて、当該組付対象箇所に固定可能な形状が採用される。その一例については、後述する第2実施形態において説明する。
【0048】
第2合体部56は、第1合体部46に対して取外し可能に合体可能に構成されている。
【0049】
ここでは、第2合体部56は、第2ハーネス取付部52の一側面、すなわち、一方の側部52bの外面に形成されている。第2合体部56は、基部56aと、挿入片56bとを備える。基部56aは、側部52bの外面において当該側部52bの両端を結ぶ方向(側部52bの基端部と先端部とを結ぶ方向に対して直交する方向)に沿って形成された細長い部分である。基部56aの厚み寸法は、上記挿入凹部46bhの幅と同じか小さく(僅かに小さく)設定され、当該挿入凹部46bhに挿入可能に形成されている。挿入片56bは、基部56aの先端部からその両側に突出するように形成された方形状の片に形成されている。挿入片56bの厚み寸法は、側部42bと天井部46bとの間の隙間と同じか小さく(僅かに小さく)設定され、挿入片56bの幅寸法は、一対の側部46aの間隔と同じか小さく(僅かに小さく)設定されている。
【0050】
また、挿入片56bの外向き面には、抜け止凸部46dを嵌込可能な抜け止凹部56dが形成されている。なお、抜け止凸部46d及び抜け止凹部56dの位置は、上記例に限られないし、また、凹凸関係も逆であってもよい。第1合体部46と第2合体部56とが合体した状態で、それらの一方に凸部が形成され、他方に当該凸部が嵌り込む凹部が形成されていればよい。
【0051】
そして、第1合体部46の基部56aを挿入凹部46bh内に挿入すると共に、挿入片56bを一対の側部46aと天井部46bとで囲まれた空間内に挿入し、抜け止凸部46dを抜け止凹部56dに抜け止係止させることで、第1合体部46と第2合体部56とが合体した状態となる。また、この状態から、第1合体部46に対して第2合体部56を抜く方向に力を加えると、第1合体部46及び第2合体部56の少なくとも一部の弾性変形により、抜け止凸部46dと抜け止凸部46dとの抜け止が解除され、第1合体部46と第2合体部56との合体状態を解除でき、第2合体部56を第1合体部46から取外すことができる。
【0052】
このワイヤーハーネスモジュール20では、搬送時及び組付初期等における曲げ形態において、複数の車両固定部品である、第1車両固定部44及び第2車両固定部54の少なくとも1つの車両に固定可能な状態に保った状態で、第1車両固定部44及び第2車両固定部54の少なくとも1つがワイヤーハーネス21を曲げた形態に保っている。ここでは、第1曲げ状態保持用車両固定部品40の第1合体部46と第2曲げ状態保持用車両固定部品50の第2合体部56とがワイヤーハーネス21を曲げた形態に保っているため、第1車両固定部44及び第2車両固定部54は、外部に露出したままの形態で、車両の組付対象箇所10に固定可能な状態に保たれている。
【0053】
このため、例えば、
図2に示すように、第1合体部46と第2合体部56とを合体させた状態のまま、第1曲げ状態保持用車両固定部品40の第1車両固定部44を組付対象箇所10の1つの固定孔10hに挿入等して固定し、この後、第1合体部46から第2合体部56を取外し、ワイヤーハーネス21を延して、第2曲げ状態保持用車両固定部品50の第2車両固定部54を組付対象箇所10の1つの固定孔10hに挿入等して固定することができる。
【0054】
このため、ワイヤーハーネス21を車両に組付ける作業を容易に行える。例えば、ロボット装置等によってワイヤーハーネスモジュール20を車両に組付ける作業を想定すると、第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50の合体構造物の部分をロボットハンド等で掴んで車両に固定し、この後、続けて、ロボットハンドで第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50の合体を解除して、第2曲げ状態保持用車両固定部品50を車両に固定する作業を、一連の作業として容易に行える。
【0055】
また、第1曲げ状態保持用車両固定部品40の第1ハーネス取付部42及び第1車両固定部44、第2曲げ状態保持用車両固定部品50の第2ハーネス取付部52及び第2車両固定部54とは別に、第1合体部46及び第2合体部56を設けているため、各部品のワイヤーハーネス21への取付機能及び車両への固定機能に対する影響をなるべく少なくしつつ、ワイヤーハーネス21を曲げ形状に保つ機能を重視して第1合体部46及び第2合体部56を設けることができる。
【0056】
<変形例>
上記第1実施形態を前提として、各種変形例について説明する。
【0057】
まず、ワイヤーハーネス本体22に外装部材を外装する場合、外装部材として、ワイヤーハーネスの経路規制を行う経路規制部と、この経路規制部よりも曲げ容易な曲げ容易部とを含むものを用いてもよい。
【0058】
図6は第1変形例に係る外装部材130を示す斜視図であり、
図7は同外装部材130を示す断面図であり、
図8は同外装部材130を曲げた状態を示す図である。
【0059】
外装部材130は、軟化した樹脂を押出成形することによって形成された長尺部材である。ここで、押出成形とは、軟化した樹脂を押出成形用金型に供給して、所定の断面形状を持つ長尺部材として押出す加工方法である。長尺部材は、押出成形用金型の出口の形状に応じた所定断面形状の部材として製造される。このため、押出成形用金型の出口形状を、外装部材130として加工したい所定形状に形成しておくことで、延在方向に沿って同一断面形状を呈する長尺部材を連続的に容易に成形することができる。
【0060】
具体的には、外装部材130は、四角筒形状をなす本体部132を備える。ここでは、本体部132の横断面形状は、一組の対辺(
図7では横方向に沿った対辺)が他の組の対辺(
図7では縦方向に沿った対辺)よりも長い長方形状の横断面形状(多角形断面形状の一例)を呈する。より具体的には、本体部132は、底板部133と、上板部134と、一対の側板部135、135とで囲まれる角筒形状をなしている。以下では、底板部133と上板部134とを結ぶ方向を上下方向、一対の側板部135、135を結ぶ方向を幅方向として説明するが、車両における外装部材130の配設態様がそれらの方向に限定されるものではない。
【0061】
また、外装部材130には、その延在方向に沿ってワイヤーハーネス21を収容するためのスリット131が形成されている。
【0062】
また、外装部材130の本体部132には、その延在方向に沿って延びる補強用突部136、137が形成されている。
【0063】
ここでは、底板部133の両側縁部より一対の側板部135の外方に向けて細長板状の補強用突部136が一対形成されている。また、一対の側板部135のうち上板部134側の縁部より上板部134の外方(上方)に向けて細長板状の補強用突部137が一対形成されている。ここでは、各補強用突部136、137は、その外側に向けて徐々に薄くなる形状に形成されているが、これは必須ではない。このように、補強用突部136と補強用突部137とで突出方向を異ならせることで、外装部材130をその幅方向及び上下方向に曲りに難くすることができ、直線状態をより確実に維持することが可能となる。
【0064】
なお、上記補強用突部136、137は、外装部材130の横断面形状において、側方及び上方に突出する突起形状として表れる。上記本体部132及び補強用突部136、137を含む構成部分が、樹脂の押出成形によって形成されている。
【0065】
また、外装部材130には、その延在方向に部分的に曲げ容易にするための切離部140が形成されている。切離部140は、外装部材130の外周部の一部を、その延在方向両側で切離した部分であり、上記押出成形された長尺部材に対して追加加工することで形成される。切離部140の追加加工は、プレス刃、カッター刃、レーザー切断等によって形成することができる。切離部140は、外装部材130の外周部の一部に形成されていればよく、従って、補強用突部136(又は補強用突部137)だけに形成されていてもよいし、本体部132の外周部の一部に内外貫くように形成されていてもよい。
【0066】
ここでは、外装部材130の延在方向中間部における2箇所の第1部分138で互いに逆方向に緩やかに曲げられ、平面視において緩やかなS字状カーブを描くように曲げられる(
図6参照)。
【0067】
このため、第1部分138の部分のうち曲げられた状態で外周側を向く部分に、間隔をあけて複数の切離部140が形成されている。このため、第1部分138の部分を、一方側の補強用突部136又は137を各切離部140で開くようにして、容易に曲げることができる。
【0068】
本実施形態では、切離部は、線状に切離す形状に形成されているが、切離部
は、外装部材をその延在方向において幅をあけて切離す形状に形成されていてもよい。
【0069】
この外装部材130のうち上記切離部140が形成されていない部分では、ワイヤーハーネス21はなるべく直線状態を維持するように経路規制される。従ってこの部分は、ワイヤーハーネス21の経路規制を行う経路規制部である。また、外装部材30のうち切離部140が形成された第1部分138は、かかる経路規制部よりも曲げ容易な曲げ容易部である。
【0070】
この外装部材130に対して上記実施形態で説明したように、第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50を取付け、それらを合体させること等により、当該外装部材30を一定の搬送形態で保持することができ、上記実施形態で説明したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
上記第1部分138を、第1曲げ状態保持用車両固定部品40及び第2曲げ状態保持用車両固定部品50を合体させた状態で曲る部分に設けるとよい。また、上記第1部分138を、本外装部材130を含むワイヤーハーネスモジュールを車両に組付けた状態で曲って配設される部分に設けるとよい。外装部材130のうち、これらの部分以外については、上記切離部を設けない経路規制部としておくとよい。
【0072】
これにより、本外装部材130を含むワイヤーハーネスモジュールを、搬送形態及び車両への配設形態において、より確実に一定の状態に保つことができる。
【0073】
ワイヤーハーネスの経路規制を行う経路規制部と、経路規制部よりも曲げ容易な曲げ容易部とを含む外装部材としては、本変形例で説明したものの他、太環状部と細環状部とがその延在方向において交互に連続するコルゲートチューブ形状部分と、同形状部分(同径部分)が連続する筒形状部分とが、繋がった筒部材等を用いることができる。
【0074】
複数の車両固定部品の少なくとも1つに、ワイヤーハーネス本体22の端部を保持する端部保持部が設けられていてもよい。
【0075】
図9及び
図10は、上記第1曲げ状態保持用車両固定部品40に対応する第1曲げ状態保持用車両固定部品240に、ワイヤーハーネス21の端部を保持する端部保持部242を設けた例を示す図である。この端部保持部242は、第1ハーネス取付部42又は第1車両固定部44に対して分離可能に設けられており、
図9は端部保持部242が第1ハーネス取付部42に対して合体しており、
図10は端部保持部242が第1ハーネス取付部42に対して分離した状態を示している。
【0076】
すなわち、端部保持部242は、第1曲げ状態保持用車両固定部品240の一対の側部42bのうち第1合体部46が設けられたものとは反対側の側部42bの外面に設けられた端部保持部合体部241と、端部保持部品244とを備える。
【0077】
端部保持部合体部241は、一対の側部241aと、天井部241bと、止め片部241cとを備える。一対の側部241aは、側部42bの基端部と先端部とを結ぶ方向において間隔をあけて設けられた細長板状に形成されている。一対の側部241aの先端部の間を繋ぐように天井部241bが形成されている。天井部241bの幅方向中央部には、一対の側部241aの延在方向一端側から他端側に向う挿入凹部241bhが形成されている。止め片部241cは、一対の側部241aの他端部同士を繋ぐように形成されている。
【0078】
端部保持部品244は、樹脂等によって一体的に金型成形された部品であり、ハーネス挟持部246と、合体部248とを備えている。
【0079】
ハーネス挟持部246は、U字状形状に形成されており、その基端部の幅は、先端側開口の幅よりも
大きく設定されている。そして、ワイヤーハーネス21のいずれかの端部をハーネス挟持部246に配設すると、ワイヤーハーネス21の端部がハーネス挟持部246に挟持された状態で保持される。この際、ハーネス挟持部246の先端側開口が幅狭に形成されているため、ワイヤーハーネス21の端部の脱落が抑制される。また、ワイヤーハーネス21の端部をハーネス挟持部246の開口に向けて移動させて、ハーネス挟持部246の端部開口を弾性的に開くと、ワイヤーハーネス21の端部をハーネス挟持部246から外すことができる。
【0080】
ハーネス挟持部246の基端部の外向き部分に合体部248が設けられている。合体部248は、基部248aと、挿入片248bとを備える。基部248aは、細長い形状に形成されている。基部248aの厚み寸法は、上記挿入凹部241bhの幅と同じか小さく(僅かに小さく)設定され、当該挿入凹部241bhに挿入可能に形成されている。挿入片248bは、基部248aの先端部からその両側に突出するように形成された方形状の片に形成されている。挿入片248bの厚み寸法は、側部42bと天井部241bとの間の隙間と同じか小さく(僅かに小さく)設定され、挿入片248bの幅寸法は、一対の側部241aの間隔と同じか小さく(僅かに小さく)設定されている。
【0081】
そして、合体部248の基部248aを挿入凹部241bh内に挿入すると共に、挿入片248bを一対の側部241aと天井部241bとで囲まれた空間内に挿入することで、端部保持部合体部241と合体部248とが合体した状態となる。また、この状態から、端部保持部合体部241に対して合体部248を抜く方向に力を加えると、それらの合体状態を解除でき、端部保持部合体部241に対して合体部248を取外すことができる。
【0082】
なお、端部保持部合体部241及び合体部248に、それらの合体状態で係止し合う凸部及び凹部が形成されていてもよい。
【0083】
この変形例によると、複数の車両固定部品の少なくとも1つである第1曲げ状態保持用車両固定部品240に、ワイヤーハーネス21の端部を保持することができるため、ワイヤーハーネスモジュールをよりコンパクトな形態とすることができる。
【0084】
また、端部保持部品244は、第1ハーネス取付部42及び第1車両固定部44から分離可能であるため、ワイヤーハーネス21を車両に組付けた状態では、ワイヤーハーネス21の端部を保持していた端部保持部品244が無くなった状態となり、端部保持部品244が邪魔にならず、車両における他の部分との干渉等を抑制できる。
【0085】
なお、ワイヤーハーネス21を車両に組付けた後、端部保持部品244は、回収されて再利用されてもよいし、廃棄されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、第1曲げ状態保持用車両固定部品240に端部保持部242を設けた例で説明したが、これに代えて又は加えて、第2曲げ状態保持用車両固定部品50に端部保持部を設けてもよい。
【0087】
また、上記例では、端部保持部品244は、端部保持部合体部241に対して合体可能な例で説明したが、ワイヤーハーネスの端部を保持する部分が、薄い部分、細い部分等の弱化部分を介してハーネス取付部又は車両固定部に連結された状態で一体形成されており、ワイヤーハーネスを車両に組付けた後、弱化部分で破断されてい分離する構成であってもよい。
【0088】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るワイヤーハーネスモジュールについて説明する。
図11はワイヤーハーネスモジュール320を延した形態を示す概略斜視図であり、
図12はワイヤーハーネスモジュール320を示す概略斜視図である。
図12では、搬送形態に折畳まれた状態から車両に配設作業する初期状態のワイヤーハーネスモジュール320を実線で示しており、この状態から延した状態のワイヤーハーネスモジュール320を2点鎖線で示している。なお、以下の説明において、上記第1実施形態で説明したものと同様構成については、同一符号を付してその説明を省略することがある。
【0089】
ワイヤーハーネスモジュール320は、ワイヤーハーネス21と、複数の車両固定部品としての複数の車両固定部品340とを備える。
【0090】
ワイヤーハーネス21は、上記第1実施形態で説明したものと同様構成であり、ワイヤーハーネス本体22に外装部材30が外装された構成とされている。
【0091】
ワイヤーハーネス21には、複数の車両固定部品340が取付けられている。
図13は車両固定部品340を示す概略斜視図である。
【0092】
ここでは、組付対象箇所310は、細長いフレーム状の部品、より具体的には、外装部材30と同じ幅及び高さの四角筒状の部品である。
【0093】
車両固定部品340は、樹脂等によって一体的に金型成形された部品であり、ハーネス取付部342と、車両固定部344とを備える。
【0094】
ハーネス取付部342は、上記第1ハーネス取付部42と同様構成部分である。
【0095】
車両固定部344は、車両の上記組付対象箇所310に取付可能に構成されている。ここでは、車両固定部344は、第1ハーネス取付部42と同様に、基部と、一対の側部344bとを備える。
【0096】
車両固定部344の基部は、ハーネス取付部342の基部42aと共用されている。一対の側部344bは、当該基部42aの両側部から基部42aの他方主面側(つまり、ハーネス取付部342の一対の側部42bの反対側)に立上がる形状に形成されている。
【0097】
一対の側部344bは、外装部材30及び組付対象箇所310の幅狭側の外面を越える程度の長さ寸法に形成されている。また、一対の側部344bの先端部には、その内向きに突出する係止片344cが形成されている。基部42aと一対の側部344bとの間に、外装部材30又は組付対象箇所310を配設可能な空間が形成されている。
【0098】
そして、基部42aの内向き面を外装部材30又は組付対象箇所310の幅広側の一方の外面に接触させると共に、一対の側部344bの内向き面を外装部材30又は組付対象箇所310の幅狭側の一対の外面に接触させ、係止片42cを外装部材30又は組付対象箇所310の幅広側の他方の外面の両側部に当接させることで、車両固定部344が外装部材30及び組付対象箇所310に選択的に取付けられる。
【0099】
複数(ここでは2つ)の車両固定部品340は、上記第1実施形態と同様に、ワイヤーハーネス21(ここでは外装部材30)に対してその延在方向に離れた位置に設けられている。
【0100】
ワイヤーハーネスモジュール320の曲げ状態では、複数(ここでは2つ)の車両固定部品340のうちの1つの車両固定部品340は、兼用車両固定用部品として用いられる。すなわち、当該1つの兼用車両固定部品340の車両固定部344は、ハーネス保持兼用車両固定部として、ワイヤーハーネス21の他の部分(ここでは外装部材30の他の部分であって他方の車両固定部品340の近くの位置)を保持し、もって、ワイヤーハーネス21を曲げた形態に保っている(
図12参照)。
【0101】
なお、他方の車両固定部品340の車両固定部344は、外部に露出しており、車両に固定可能な状態に保たれている。
【0102】
そして、当該他方の車両固定部品340の車両固定部344を、組付対象箇所310に取付けた後、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344によるワイヤーハーネス21の保持を解除し、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344を組付対象箇所310に固定する。ここでは、他方の車両固定部品340の車両固定部344が固定される組付対象箇所310と、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344が固定される組付対象箇所310とが上下異なる位置に配設された部品であるとして説明している。もっとも、ワイヤーハーネスを捻ること等が可能であれば、両車両固定部品340が固定される組付対象箇所310がワイヤーハーネス21に対して同じ側に存在していてもよい。
【0103】
この第2実施形態によると、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344によりワイヤーハーネス21を曲げた形態に保ったまま、他方の車両固定部品340の車両固定部344を組付対象箇所310に固定し、この後、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344をワイヤーハーネス21から取外し、ワイヤーハーネス21を延して、一方の車両固定部品(兼用車両固定部品)340の車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344を組付対象箇所310固定することができる。
【0104】
このため、上記第1実施形態と同様に、ワイヤーハーネス21を車両に組付ける作業を容易に行える。
【0105】
また、車両固定部(ハーネス保持兼用車両固定部)344を、ワイヤーハーネス21を曲げた状態に保持する構成及び車両に固定するための構成と兼用することができ、構成の簡易化が可能となる。
【0106】
{変形例}
なお、第2実施形態で示す車両固定部品340の車両固定部344に、上記第1合体部46又は第2合体部56が設けられていてもよい。
【0107】
上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、第2実施形態で説明した車両固定部品340に、端部保持部242が設けられていてもよい。
【0108】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。