(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置と、前記画像形成装置に取り付け可能であり、前記画像形成部により画像を形成された前記用紙に後処理を行う後処理装置とを含む画像形成システムであって、
前記後処理装置は、
前記画像形成部により画像が形成された前記用紙を複数枚束ねて前記後処理として所定の綴じ位置でステープル処理を行うステープル機構を備え、
前記画像形成装置は、
前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられたことを検出する取り付け検出部と、
前記取り付け検出部により前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられた際に、前記画像形成装置の状態に関するデータを取得する第一状態データ取得部と、
前記取り付け検出部により前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられた際に、前記後処理装置の状態に関するデータを取得する第二状態データ取得部と、
前記第一状態データ取得部により取得された前記画像形成装置の状態および前記第二状態データ取得部により取得された前記後処理装置の状態に基づく前記綴じ位置の調整値を前記画像形成装置の外部から取得する綴じ位置調整値取得部と、
前記綴じ位置調整値取得部により取得された前記綴じ位置の調整値を用いて前記ステープル機構による前記綴じ位置を調整する綴じ位置調整部と、
ネットワークと接続するネットワーク接続部と、を備え、
前記綴じ位置調整値取得部は、前記ネットワーク接続部により前記画像形成装置が前記ネットワークに接続された際に、前記ネットワークに接続された所定の情報処理装置から、前記綴じ位置の調整値を取得し、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置および前記後処理装置のそれぞれの状態と前記綴じ位置の調整値を対応させたデータを複数記憶しており、
前記綴じ位置調整値取得部は、前記情報処理装置に記憶された複数の前記データのうち、前記画像形成装置の状態および前記後処理装置の状態に対応する前記綴じ位置の調整値の最も多い前記綴じ位置の調整値を取得する、画像形成システム。
前記第一状態データ取得部および前記第二状態データ取得部は、使用環境、製造時および処理を行った枚数のうちの少なくともいずれか一つの状態を前記状態に関するデータとして取得する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
用紙に画像を形成する画像形成部を含み、前記画像形成部により画像を形成された前記用紙に後処理として前記用紙を複数枚束ねて前記後処理として所定の綴じ位置でステープル処理を行うステープル機構を備える後処理装置を取り付け可能な画像形成装置であって、
前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられたことを検出する取り付け検出部と、
前記取り付け検出部により前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられた際に、前記画像形成装置の状態に関するデータを取得する第一状態データ取得部と、
前記取り付け検出部により前記後処理装置が前記画像形成装置に取り付けられた際に、前記後処理装置の状態に関するデータを取得する第二状態データ取得部と、
前記第一状態データ取得部により取得された前記画像形成装置の状態および前記第二状態データ取得部により取得された前記後処理装置の状態に基づく前記綴じ位置の調整値を前記画像形成装置の外部から取得する綴じ位置調整値取得部と、
前記綴じ位置調整値取得部により取得された前記綴じ位置の調整値を用いて前記ステープル機構による前記綴じ位置を調整する綴じ位置調整部と、
ネットワークと接続するネットワーク接続部と、を備え、
前記綴じ位置調整値取得部は、前記ネットワーク接続部により前記画像形成装置が前記ネットワークに接続された際に、前記画像形成装置および前記後処理装置のそれぞれの状態と前記綴じ位置の調整値を対応させたデータを複数記憶しており、前記ネットワークに接続された所定の情報処理装置から、前記綴じ位置の調整値を取得し、
前記綴じ位置調整値取得部は、前記情報処理装置に記憶された複数の前記データのうち、前記画像形成装置の状態および前記後処理装置の状態に対応する前記綴じ位置の調整値の最も多い前記綴じ位置の調整値を取得する、画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置においては、中折り処理を行う際に、たとえば後処理として折り目の部分をステープルによって綴じるステープル処理を行いたい場合がある。このような場合、ステープル処理を行うステープル機構を備えた後処理装置を画像形成装置に取り付けることにより実現される。すなわち、後処理装置については、画像形成装置の本体と別途設けられ、必要に応じて画像形成装置に取り付けられる。後処理装置の取り付けは、いわゆるサービスマンによって主に行われる。
【0006】
ここで、ステープル機構による綴じ処理の位置について、画像形成装置や後処理装置の使用環境や経年状態等によって若干異なる。したがって、後処理装置の取り付けに際し、ステープル機構による綴じ処理の位置を調整する必要がある。具体的には、サービスマンが後処理装置の取り付け時に、画像形成装置や後処理装置の使用環境や経年状態等を把握して綴じ処理の位置を調整する必要がある。このような作業は、多大な時間および負担をサービスマンに強いることとなる。しかし、適切な綴じ処理を行うためには必要な工程である。すなわち、後処理装置の取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることが求められている。
【0007】
この発明の目的は、画像形成装置への後処理装置の取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる画像形成システムを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、後処理装置の取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一の局面においては、画像形成システムは、用紙に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置と、画像形成装置に取り付け可能であり、画像形成部により画像を形成された用紙に後処理を行う後処理装置とを含む。後処理装置は、ステープル機構を備える。ステープル機構は、画像形成部により画像が形成された用紙を複数枚束ねて後処理として所定の綴じ位置でステープル処理を行う。画像形成装置は、取り付け検出部と、第一状態データ取得部と、第二状態データ取得部と、綴じ位置調整値取得部と、綴じ位置調整部と
、ネットワークと接続するネットワーク接続部とを備える。取り付け検出部は、後処理装置が画像形成装置に取り付けられたことを検出する。第一状態データ取得部は、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、画像形成装置の状態に関するデータを取得する。第二状態データ取得部は、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、後処理装置の状態に関するデータを取得する。綴じ位置調整値取得部は、第一状態データ取得部により取得された画像形成装置の状態および第二状態データ取得部により取得された後処理装置の状態に基づく綴じ位置の調整値を画像形成装置の外部から取得する。綴じ位置調整部は、綴じ位置調整値取得部により取得された綴じ位置の調整値を用いてステープル機構による綴じ位置を調整する。
綴じ位置調整値取得部は、ネットワーク接続部により画像形成装置がネットワークに接続された際に、ネットワークに接続された所定の情報処理装置から、綴じ位置の調整値を取得する。情報処理装置は、画像形成装置および後処理装置のそれぞれの状態と綴じ位置の調整値を対応させたデータを複数記憶している。綴じ位置調整値取得部は、情報処理装置に記憶された複数のデータのうち、画像形成装置の状態および後処理装置の状態に対応する綴じ位置の調整値の最も多い綴じ位置の調整値を取得する。
【0010】
この発明の他の局面においては、画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部を含み、画像形成部により画像を形成された用紙に後処理として用紙を複数枚束ねて後処理として所定の綴じ位置でステープル処理を行うステープル機構を備える後処理装置を取り付け可能である。画像形成装置は、取り付け検出部と、第一状態データ取得部と、第二状態データ取得部と、綴じ位置調整値取得部と、綴じ位置調整部と
、ネットワークと接続するネットワーク接続部とを備える。取り付け検出部は、後処理装置が画像形成装置に取り付けられたことを検出する。第一状態データ取得部は、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、画像形成装置の状態に関するデータを取得する。第二状態データ取得部は、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、後処理装置の状態に関するデータを取得する。綴じ位置調整値取得部は、第一状態データ取得部により取得された画像形成装置の状態および第二状態データ取得部により取得された後処理装置の状態に基づく綴じ位置の調整値を画像形成装置の外部から取得する。綴じ位置調整部は、綴じ位置調整値取得部により取得された綴じ位置の調整値を用いてステープル機構による綴じ位置を調整する。
綴じ位置調整値取得部は、ネットワーク接続部により画像形成装置がネットワークに接続された際に、画像形成装置および後処理装置のそれぞれの状態と綴じ位置の調整値を対応させたデータを複数記憶しており、ネットワークに接続された所定の情報処理装置から、綴じ位置の調整値を取得する。綴じ位置調整値取得部は、情報処理装置に記憶された複数のデータのうち、画像形成装置の状態および後処理装置の状態に対応する綴じ位置の調整値の最も多い綴じ位置の調整値を取得する。
【発明の効果】
【0011】
このような画像形成システムによると、それぞれ取得した画像形成装置の状態および後処理装置の状態に基づく綴じ位置の調整値を外部から取得する。そうすると、画像形成装置の状態および後処理装置の状態に応じた綴じ位置の調整値を容易に取得することができる。したがって、画像形成装置への後処理装置の取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる。
【0012】
また、このような画像形成装置によると、後処理装置の取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成システムの外観を示す図である。
図2は、
図1に示す画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1〜
図2を参照して、この発明の一実施形態に係る画像形成システム35は、画像を形成する画像形成装置を複合機に適用した3つの複合機11a、11b、11cと、情報を処理する情報処理装置としてのサーバー51とを含む。画像形成システム35は、ネットワーク34で3つの複合機11a、11b、11cとサーバー51とが接続されている。なお、ネットワーク34については、たとえばある会社の社内LAN(Local Area Network)でもよいし、インターネットであっても構わない。また、複合機11b、11cの構成は、複合機11aの構成と同様であるため、それらの説明を省略する。なお、
図1および
図2において、理解の容易の観点から、複合機11a〜11cは3つ図示しているが、さらに複数の複合機がネットワーク34に接続されている。
【0016】
次に、複合機11aの構成について説明する。複合機11aは、複合機制御部12と、操作部13と、画像読み取り部14と、画像形成部15と、データを記憶する記憶部としての複合機ハードディスク16と、ネットワーク34と接続するためのネットワーク接続部としての複合機ネットワークインターフェース部17とを備える。なお、後述する後処理装置31aを除く部分を、複合機11aの本体部19aとする。
【0017】
複合機制御部12は、複合機11a全体の制御を行う。複合機制御部12は、CPU等から構成されており、一時的にデータを記憶する記憶部としての主記憶メモリ18を含む。操作部13は、情報を表示する表示画面21を含む。画像読み取り部14は、原稿の画像を読み取る。画像読み取り部14は、セット位置にセットされた原稿を読み取り位置に搬送する原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)22を含む。画像形成部15は、用紙に画像を形成する。具体的には、画像形成部15は、画像読み取り部14によって読み取られた画像やネットワーク34を経由して外部装置から送信され、取得した画像等を基に形成した画像を用紙に印刷する。
【0018】
次に、上記した操作部13の具体的な構成について、さらに詳細に説明する。
図3は、操作部13の概略的な構成を示す外観図である。
図3を参照して、操作部13は、印刷部数等を入力させるための0〜9までの数字、および「*」や「#」の記号を入力させるテンキー23と、印刷の開始やファクシミリ送信の開始を指示させるスタートキー24と、複合機11aの電源のオンまたはオフを入力させる電源キー25と、複合機11aの有するプリンター機能やコピー機能等の選択を指示させるメニューキー26と、種々の画像形成の条件や使用ユーザーの登録を指示させる登録キー27と、テンキー23等を用いてユーザーにより入力された指示の内容をキャンセルさせるリセットキー28と、上記した表示画面21とを含む。表示画面21は、液晶のタッチパネル機能を有しており、ユーザーの指での押圧等により、表示画面21からも画像形成条件等を入力させると共に、機能の選択等を行うことができる。
【0019】
後処理装置31aは、フィニッシャーとも呼ばれ、複合機11aは、複合機11aの本体部19aに取り付け可能である後処理装置31aを備える。すなわち、後処理装置31aは、複合機11aに対して着脱自在に設けられている。後処理装置31aは、必要に応じて複合機11aに取り付けられる。すなわち、設置された当初は、複合機11aには後処理装置31aが取り付けられていなかったが、複合機11aの設置後にユーザーが画像の形成された用紙に対して中折り処理やステープル処理を施したいと要望した場合には、後処理装置31aを取り付けることができる。後処理装置31aについては、新しく製造されたものが複合機11aに取り付けられる場合や、他の複合機に取り付けられていたものが取り外されて、複合機11aに取り付けられる場合もある。
【0020】
後処理装置31aは、それぞれ後処理として、画像が形成された用紙に対して中折り処理を施す中折り機構32と、画像が形成された用紙を複数枚束ねて所定の綴じ位置でステープル処理を行うステープル機構33とを備える。中折り機構32は、いずれも図示しないストック部と、ブレードと、一対のローラーと、排出部とを含む。ストック部は、画像が形成された用紙を一時的に積載するようにしてストックする。ストック部により用紙の端部が揃えられてストックされた用紙が複数枚重ねられた後、ブレードを用紙の中央の領域に押し当てるようにして移動させていくと共に、一対のローラーによって用紙を排出部が位置する排出側へ搬送していく。このようにして、用紙の中折り処理を行う。ステープル機構33は、たとえば、中折り機構32による中折りの処理の前に、折り曲げられる折り目の部分の所定の位置を綴じ位置として、ステープルによる綴じ処理、すなわち、ステープル処理を行う。このようにして、用紙の折り目に沿ってステープルで綴じて中折りして出力することにより、いわゆるブック状の出力物とすることができる。
【0021】
図4は、ステープルによる綴じ処理の位置を示す図である。
図4を参照して、用紙36の横方向の中央の領域には、用紙36の折り目に相当する部分37がある。用紙36の折り目に相当する部分37を一点鎖線で示している。また、綴じ処理における2つのステープルの綴じ位置38a、38bを太線で示している。この場合、ステープル処理は、二か所で行われる。用紙36の折り目に相当する部分37の位置に対して、ステープルによる綴じ位置38a、38bがずれると、適切に上記したブック状の出力物を出力することができない。したがって、折り目に相当する部分37の位置に対して、たとえば、折り目に相当する部分37の位置とステープルによる綴じ位置38a、38bとが重なるように、ステープルによる綴じ位置38a、38bを調整する必要がある。具体的には、調整前に
図4に示すようなステープルによる綴じ位置38a、38bであった場合、用紙36の折り目に相当する部分37の位置に重なるように、
図4中の矢印D
1で示す方向にステープルによる綴じ位置38a、38bを長さL
1分だけ移動させるよう調整する必要がある。また、必要や要求に応じて、矢印D
1と垂直な方向にステープルによる綴じ位置38a、38bを所定の長さ分だけ移動させるよう調整する必要もある。この調整については、所定の調整値を基準として行われる。また、調整については各装置、すなわち、複合機11a側での調整と後処理装置31a側での調整とがある。
【0022】
次に、複合機制御部12の構成について説明する。
図5は、複合機制御部12の構成を示すブロック図である。
図5を参照して、複合機制御部12は、取り付け検出部41と、第一状態データ取得部42と、第二状態データ取得部43と、綴じ位置調整値取得部44と、綴じ位置調整部45とを備える。取り付け検出部41は、複合機11aに取り付け可能な後処理装置31aが複合機11aに取り付けられたことを検出する。第一状態データ取得部42は、取り付け検出部41により後処理装置31aが複合機11aに取り付けられた際に、複合機11aの状態に関するデータを取得する。第二状態データ取得部43は、取り付け検出部41により後処理装置31aが複合機11aに取り付けられた際に、後処理装置31aの状態に関するデータを取得する。綴じ位置調整値取得部44は、第一状態データ取得部42により取得された複合機11aの状態および第二状態データ取得部43により取得された後処理装置31aの状態に基づく綴じ位置の調整値を、ネットワーク34を経由して接続された外部装置であるサーバー51から取得する。綴じ位置調整部45は、綴じ位置調整値取得部44により取得された綴じ位置の調整値を用いてステープル機構33による綴じ位置を調整する。これらの構成については、後に詳述する。
【0023】
次に、サーバー51の構成について説明する。再び
図1および
図2を参照して、サーバー51には、ディスプレイ52と、キーボード53と、マウス54とが接続されている。ディスプレイ52により、サーバー51からの情報やデータが表示される。また、キーボード53およびマウス54を用いて、ユーザーは、サーバー51へのデータの入力を行う。
【0024】
サーバー51は、サーバー制御部55と、ネットワーク34と接続するためのサーバーネットワークインターフェース部56と、記憶部としてのサーバーハードディスク57とを含む。サーバー制御部55は、サーバー51全体を制御する。サーバー51は、いわゆるデータベースサーバーであり、ネットワーク34を経由して取得した種々のデータがサーバーハードディスク57に記憶されている。
【0025】
サーバー制御部55は、調整値データ抽出部58と、調整値データ送信制御部59とを含む。調整値データ抽出部58は、サーバーハードディスク57に記憶されたデータの中から、複合機11aの状態および後処理装置31aの状態に対応する綴じ位置の調整値のデータを抽出する。調整値データ送信制御部59は、抽出された綴じ位置の調整値のデータを、ネットワーク34を経由して複合機11aに送信するよう制御する。これらについては、後に詳述する。
【0026】
サーバーハードディスク57には、ネットワーク34に接続された各複合機11b、11cの状態、および複合機11b、11cに取り付けられている各後処理装置31b、31cの状態の組み合わせと、組み合わせに対応した複合機11b、11cの綴じ位置の調整値のデータ、および組み合わせに対応した後処理装置31b、31cの綴じ位置の調整値のデータが記憶されている。
【0027】
ここで、複合機11b、11cの状態および後処理装置31b、31cの状態の組み合わせと組み合わせに対応したそれぞれの調整値のデータとの関係について説明する。
図6は、状態のパラメータを示す図である。
図6を参照して、複合機11a〜11cの状態39aおよび後処理装置31a〜31cの状態39bとして、「使用環境」、「製造年月」および「処理数」のパラメータがそれぞれ挙げられている。使用環境については、たとえば、10℃(摂氏)で湿度45%といった環境で設置されていた「低温・低湿環境」の場合、25℃で湿度65%といった環境で設置されていた「常温・常湿環境」の場合、および35℃で湿度85%といった環境で設置されていた「高温・高湿環境」の場合といった3つのグループに分けられる。製造年月については、たとえば各装置の製造された年月によって月毎に分けられる。処理数については、たとえば「0〜99枚」、「100〜9999枚」、「10000以上」といった処理の枚数によって3つのグループに分けられる。処理数について、複合機11a〜11cにおいては、給紙カウンター(図示せず)のカウンター数に基づいて導出され、後処理装置31a〜31cにおいては、ステープルカウンター(図示せず)のカウンター値に基づいて導出される。
【0028】
この「使用環境」、「製造年月」および「処理数」が同じ組み合わせの複合機11b、11c、および後処理装置31b、31cにおける装置毎の調整値のデータがサーバーハードディスク57に記憶されている。すなわち、組み合わせ毎の各装置の調整値のデータが、サーバーハードディスク57に記憶されている。
【0029】
図7は、サーバーハードディスク57に記憶されている調整値のデータの一例を示す図である。
図7を参照して、サーバーハードディスク57の記憶領域61には、組み合わせ毎の複合機の調整値データ62aと、複合機の調整値カウンター63aと、後処理装置の調整値データ62bと、後処理装置の調整値カウンター63bとが記憶されている。たとえば、複合機と後処理装置とがいずれも「常温・常湿環境」であって、「製造年月」が2016年4月、「処理数」が0〜99枚という組み合わせC
1の場合、ネットワーク34に接続されている複数の複合機において、この条件で複合機の調整値A
1により調整された数が8、後処理装置の調整値B
1により調整された数が7である。すなわち、複合機の調整値カウンター63aには、この複合機の調整値A
1によって調整された複合機の数が示されている。また、後処理装置の調整値カウンター63bには、この後処理装置の調整値B
1によって調整された後処理装置の数が示されている。複合機の調整値A
1および後処理装置の調整値B
1は、いずれも組み合わせC
1の条件において、最も多い調整値となっている。組み合わせC
1において、次に多いのが、複合機の調整値については複合機の調整値カウンター63aが4である複合機の調整値A
2、後処理装置の調整値については後処理装置の調整値カウンター63bが5である後処理装置の調整値B
2となっている。なお、組み合わせC
1について、複合機の調整値カウンター63aおよび後処理装置の調整値カウンター63bの総数はそれぞれ15個であり、10以上となっている。すなわち、調整された複合機および後処理装置の母集団の数としては、10以上を確保しており、ある程度信用の高い数である。なお、組み合わせC
2については、複合機の調整値カウンター63aおよび後処理装置の調整値カウンター63bが各々8であり、10未満となっている。サーバーハードディスク57には、このようなデータが記憶されている。
【0030】
次に、この発明の一実施形態に係る画像形成システム35において、複合機11aに後処理装置31aを取り付ける場合について説明する。ここで、本実施形態においては、後処理装置31aがいまだ複合機11aに取り付けられていない状態からスタートするものとする。
【0031】
図8は、複合機11aに後処理装置31aを取り付ける際の処理の流れを示すフローチャートである。
図8を参照して、複合機11aに後処理装置31aが取り付けられると、取り付け検出部41は、これを検出する(
図8において、ステップS11において、YES、以下、「ステップ」を省略する)。この場合、たとえば、複合機制御部12により、複合機11aと後処理装置31aとの電気的な導通が確保されたことを契機として後処理装置31aの取り付けを検出する。
【0032】
そうすると、第一状態データ取得部42は、複合機11aの状態に関するデータを取得する。また、第二状態データ取得部43は、後処理装置31aの状態に関するデータを取得する(S12)。具体的には、第一状態データ取得部42は、複合機11aの状態に関するデータとして、上記した「使用環境」、「製造年月」および「処理数」のデータを複合機11aの状態に関するデータを取得する。「使用環境」については、複合機11aに取り付けられている温湿度センサー(図示せず)の出力の履歴、「製造年月」については、複合機ハードディスク16に記憶されている製造に関するデータ、「処理数」については、複合機11aに設けられている給紙数をカウントした給紙カウンターから取得する。なお、これら全てのデータについて、複合機ハードディスク16に記憶されている場合には、この複合機ハードディスク16から取得することにしてもよい。第二状態データ取得部43は、後処理装置31aの状態に関するデータとして、上記した「使用環境」、「製造年月」および「処理数」のデータを後処理装置31aの状態に関するデータを取得する。「使用環境」については、後処理装置31aに取り付けられている温湿度センサー(図示せず)の出力の履歴により取得する。「製造年月」については、後処理装置31aに設けられた後処理装置ハードディスク(図示せず)に記憶されている製造に関するデータから取得する。処理数については、後処理装置31aに設けられたステープルカウンター(図示せず)から取得する。なお、これら後処理装置31aの状態に関するデータについては、他の方法、たとえば後処理装置ハードディスクに全てのデータが記憶されている場合には、後処理装置ハードディスクから取得することにしてもよい。
【0033】
その後、サーバー51に取得したデータを送信する(S13)。そうすると、サーバー51は、複合機11aの状態に関するデータおよび後処理装置31aに関するデータを受信する。ここで、調整値データ抽出部58は、受信した複合機11aの状態に関するデータおよび後処理装置31aの状態に関するデータから、上記した
図7に示す状態の組み合わせを導出する。そして、同じ組み合わせに対応し、調整値カウンター63a、63bの値が最も多い調整値を調整値のデータとして抽出する(S14)。すなわち、過去に行われた最も多い数の調整値を採用する。この場合、取得した組み合わせが組み合わせC
1であった場合、最も多い調整値である複合機の調整値A
1のデータおよび後処理装置の調整値B
1のデータが抽出される。
【0034】
その後、調整値データ送信制御部59により、抽出された複合機の調整値A
1のデータおよび後処理装置の調整値B
1のデータが複合機11aに送信される(S15)。そうすると、綴じ位置調整値取得部44は、第一状態データ取得部42により取得された複合機11aの状態および第二状態データ取得部43により取得された後処理装置31aの状態に基づく綴じ位置の調整値を、ネットワーク34を経由して接続された外部装置であるサーバー51から取得する。複合機11aは受信後、受信した複合機の調整値A
1のデータおよび後処理装置の調整値B
1のデータに基づいて、複合機11aに後処理装置31aが取り付けられた際の綴じ位置を調整する(S16)。すなわち、綴じ位置調整部45は、綴じ位置調整値取得部44により取得された綴じ位置の調整値を用いてステープル機構33による綴じ位置を調整する。この場合、複合機11aおよび後処理装置31aで綴じ位置の調整を行う。
【0035】
その後、綴じ位置が適切な位置であれば(S17において、YES)、綴じ位置の調整を終了する(S18)。この適切な位置か否かの判断は、たとえば複合機制御部12により、上記した
図4に示す折り目に相当する部分37の位置の座標と、調整されたステープルの位置38a、38bの座標とを比較して判断してもよい。また、サービスマンの確認による操作部13への適切か否かの入力情報に基づいて判断してもよい。そして、サーバーハードディスク57に記憶された調整値カウンターの値を1つアップする(S19)。この場合、複合機の調整値A
1の調整値カウンター63aを1つアップして「9」とし、後処理装置の調整値B
1の調整値カウンター63bを1つアップして「8」とする。そして、処理を終了する。
【0036】
一方、適切でないと判断された場合には(S17において、NO)、2回目の調整を行う(S20において、NO)。具体的には、再度の調整値のデータの送信を要求する(S21)。そして、サーバー51の調整値データ抽出部58は、組み合わせC
1のうち、調整値カウンター63a、63bの値がそれぞれ2番目のもの、この場合、複合機の調整値A
2のデータ、後処理装置の調整値B
2のデータが抽出されることとなる(S22)。
【0037】
その後、再び調整値データ送信制御部59により、複合機11a側に複合機の調整値A
2のデータおよび後処理装置の調整値B
2のデータが送信される(S15)。そして、複合機11aは複合機の調整値A
2のデータおよび後処理装置の調整値B
2のデータ受信後、抽出された複合機の調整値A
2および後処理装置の調整値B
2に基づいて、複合機11aに後処理装置31aが取り付けられた際の綴じ位置を調整する(S16)。その後、綴じ位置が適切な位置であれば(S17において、YES)、綴じ位置の調整を終了する(S18)。そして今度は、複合機の調整値A
2の調整値カウンター63aを1つアップして「5」とし、後処理装置の調整値B
2の調整値カウンター63bを1つアップして「6」とする。そして、処理を終了する(S18)。
【0038】
なお、2回目の調整でも適切な位置とならないと判断した場合(S17において、NO、S20において、YES)、そのまま処理を終了する。この場合、サービスマンが綴じ位置の調整を行うこととなる。
【0039】
このような構成の画像形成システム35によると、それぞれ取得した複合機11aの状態および後処理装置31aの状態に基づく綴じ位置の調整値をサーバー51から取得する。そうすると、複合機11aの状態および後処理装置31aの状態に応じた綴じ位置の調整値を容易に取得することができる。したがって、複合機11aへの後処理装置31aの取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる。
【0040】
この場合、綴じ位置調整値取得部44は、複合機11aがネットワーク34に接続された際に、ネットワーク34に接続されたサーバー51から、綴じ位置の調整値を取得しているため、ネットワーク34を経由してより容易に調整値を取得することができる。
【0041】
また、この場合、サーバーハードディスク57は、複合機および後処理装置のそれぞれの状態と綴じ位置の調整値を対応させたデータを複数記憶しており、綴じ位置調整値取得部44は、サーバーハードディスク57に記憶された複数のデータのうち、複合機の状態および後処理装置の状態の組み合わせに対応する綴じ位置の調整値の最も多い綴じ位置の調整値を取得することとしている。したがって、より高い確率で複合機11aへの後処理装置31aの取り付け時の負担を軽減して効率化を図ることができる。
【0042】
また、この場合、第一状態データ取得部42および第二状態データ取得部43は、使用環境、製造年月および処理数の全ての状態を状態に関するデータとして取得しているため、より高精度で綴じ位置の調整を行うことができる。
【0043】
なお、上記の実施の形態においては、ネットワーク34を経由してサーバー51から調整値のデータを取得することとしたが、これに限らず、他の方法、たとえば、無線通信を利用した他の外部の装置から調整値を取得することとしてもよい。
【0044】
また、上記の実施の形態において、最終的にサービスマンに調整された調整値がサーバーハードディスク57に記憶されていなかった場合には、この調整値のデータをサーバーハードディスク57に記憶させることとしてもよい。この時、タッチパネル型式の表示画面21において、「共有」というキーを表示し、このキーの押下を検知することにより、サーバーハードディスク57に調整値とその時の状態の組み合わせを記憶させるようにしてもよい。
【0045】
なお、上記の実施の形態において、第一状態データ取得部および第二状態データ取得部の双方は、使用環境、製造年月および処理数の全ても状態に関するデータとして取得することとしたが、これに限らず、第一状態データ取得部および第二状態データ取得部は、使用環境、製造年月および処理数のうちの少なくともいずれか一つの状態を状態に関するデータとして取得することとしてもよい。
【0046】
また、この発明に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部を含み、画像形成部により画像を形成された用紙に後処理として用紙を複数枚束ねて後処理として所定の綴じ位置でステープル処理を行うステープル機構を備える後処理装置を取り付け可能である。画像形成装置は、後処理装置が画像形成装置に取り付けられたことを検出する取り付け検出部と、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、画像形成装置の状態に関するデータを取得する第一状態データ取得部と、取り付け検出部により後処理装置が画像形成装置に取り付けられた際に、後処理装置の状態に関するデータを取得する第二状態データ取得部と、第一状態データ取得部により取得された画像形成装置の状態および第二状態データ取得部により取得された後処理装置の状態に基づく綴じ位置の調整値を画像形成装置の外部から取得する綴じ位置調整値取得部と、綴じ位置調整値取得部により取得された綴じ位置の調整値を用いてステープル機構による綴じ位置を調整する綴じ位置調整部とを備える。このような構成としてもよい。
【0047】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。