(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナが前記不揮発性メモリーからのデータの読み出し命令を受信したとき、前記制御回路は、前記スイッチをONすることにより前記電池から前記不揮発性メモリーと前記第1インターフェイス回路への電力供給を行わせ、前記不揮発性メモリーから前記吸出データを読み出すことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図6を用いて説明する。そして、以下では、画像形成装置と無線通信装置2を含む通信システム100を説明する。画像形成装置として複合機1(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、以下に記載する構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0013】
(画像形成装置の概要)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る複合機1の概要を説明する。
図1は、実施形態に係る複合機1の一例を示す図である。
【0014】
複合機1は、制御部11を含む。制御部11は基板である。制御部11は複合機1の各部を制御する。制御部11は、CPU11a、画像処理部11b、ROM12(Read Only Memory、不揮発性メモリーに相当)、RAM11c(Random Access Memory)、計時部11d、電池13を含む。
【0015】
CPU11aは各種演算や処理を行う。画像処理部11bは画像データに対し画像処理を行う。画像処理部11bは印刷や送信に用いる画像データを生成する。ROM12、RAM11cは制御に関するデータ、プログラムを記憶する。ROM12は、フラッシュメモリー26である。ROM12は、読み書き可能である。計時部11dはリアルタイムクロックである。つまり、計時部11dは時計である。電池13は計時部11dに電力を供給する。複合機1が主電源OFFの状態でも、電池13は計時部11dを動作させる。計時部11dは常時動作する。例えば、電池13はボタン電池であり、1次電池である。
【0016】
複合機1はHDD14(Hard Disk Drive)を含む。HDD14は大容量の記憶装置である。HDD14は制御部11と通信可能に接続される。複合機1は、不揮発性の記憶装置(ROM12、HDD14)と、揮発性の記憶装置(RAM11c)を含む。CPU11aは、ROM12やHDD14に記憶されたプログラムや制御用データに基づき、演算や処理を行う。CPU11aは複合機1の各部の制御を行う。
【0017】
複合機1は、原稿搬送部15と画像読取部16を含む。制御部11は、セットされた原稿を原稿搬送部15に搬送させる。原稿搬送部15は、原稿を1枚ずつ読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス、不図示)に搬送する。制御部11は原稿を画像読取部16に読み取らせる。画像読取部16は搬送原稿や、載置読取用コンタクトガラス(不図示)にセットされた原稿を読み取る。画像読取部16は画像データを生成する。
【0018】
複合機1は操作パネル17を含む。操作パネル17は、表示パネル17a、タッチパネル17b、ハードキー17cを含む。表示パネル17aは、設定画面、各種メッセージ、操作用画像を表示する。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。タッチパネル17bは表示パネル17aに対して設けられる。ハードキー17cはスタートキーのような操作用のキーである。操作パネル17は、使用者による設定を受け付ける。制御部11は、操作パネル17で設定された内容を認識する。
【0019】
複合機1は印刷部18を含む。印刷部18は、給紙部18a、用紙搬送部18b、画像形成部18c、定着部18dを含む。印刷時、制御部11は、給紙部18aに用紙を供給させる。制御部11は用紙を用紙搬送部18bに搬送させる。制御部11は、画像データに基づきトナー像を画像形成部18cに形成させる。制御部11は搬送される用紙へのトナー像の転写を画像形成部18cに行わせる。制御部11は、トナー像が転写された用紙を定着部18dに加熱・加圧させる。これにより、用紙にトナー像が定着する。定着後の用紙は機外に排出される。
【0020】
制御部11は、通信部110と接続される。通信部110は、通信用のコネクターや通信制御用のチップを含む。通信部110はネットワーク400を介し、コンピューター200やFAX装置300と通信を行う。コンピューター200は、PCやサーバーである。通信部110は印刷用データ(画像データや印刷設定)を受信する。制御部11は、印刷用データに基づく印刷を印刷部18に行わせる(プリンター機能)。又、通信部110は、画像データをコンピューター200やFAX装置300に送信できる(送信機能)。
【0021】
複合機1は第1インターフェイス回路19を含む。第1インターフェイス回路19には、無線通信装置2を接続することができる。第1インターフェイス回路19はコネクターや通信制御回路を含む。第1インターフェイス回路19のコネクターには、無線通信装置2のコネクターや、無線通信装置2に接続されたケーブルを接続することができる。第1インターフェイス回路19と無線通信装置2はデータ通信を行う。
【0022】
また、複合機1は接続部111を含む。接続部111は、ソケット、通信制御回路を含む。ソケットには、携帯型記憶デバイス500が差し込まれる。携帯型記憶デバイス500は、USBメモリーやメモリーカードである。制御部11は、接続部111を介し携帯型記憶デバイス500と通信を行う。制御部11は、接続部111に接続された携帯型記憶デバイス500にデータを書き込める。制御部11は、接続部111に接続された携帯型記憶デバイス500内のデータを読み出せる。
【0023】
(複合機1での電力供給)
次に、
図2を用いて、実施形態に係る複合機1での電力供給を説明する。
図2は実施形態に係る複合機1での電力供給を説明図である。
【0024】
まず、複合機1には、主電源のON/OFFを行うための主電源スイッチ10sが設けられる。使用者は、主電源スイッチ10sを操作する。主電源スイッチ10sは操作パネル17や複合機1の側面に設けられる。
【0025】
また、複合機1は電源部10を含む。電源部10は、商用電源(コンセント)と接続される。電源コードの一端がコンセントに差し込まれる。電源コードの他端は電源部10に接続される。これにより、商用電源の電力が電源部10に入力される。電源部10は、1次電源部10aと2次電源部10bを含む。1次電源部10aは、商用電源から供給される交流電力を変換し、直流電圧を生成する。例えば、1次電源部10aは、モーター用のDC24Vを生成する。例えば、1次電源部10aは、トランス、トランジスタ、ダイオード、コンデンサを含むスイッチング電源である。
【0026】
2次電源部10bは、1次電源部10aが生成した直流電圧を変換する(降圧する)。主電源がON状態のとき、2次電源部10bが動作する。主電源がOFF状態のとき、2次電源部10bは動作しない。2次電源部10bは、DC5V、3.3V、2.5V、1.8Vのように複数種類の直流電圧を生成する。複数種の電圧生成のため、2次電源部10bは複数の電力変換回路10cを含む。例えば、電力変換回路10cはDCDCコンバーターである。2次電源部10bは、第1インターフェイス回路19、制御部11、HDD14、原稿搬送部15、画像読取部16、操作パネル17、印刷部18、通信部110、接続部111に含まれる回路や素子の動作に必要な電圧を生成する。
【0027】
主電源がONのとき、1次電源部10a又は2次電源部10bが生成した電圧は、第1インターフェイス回路19、制御部11(CPU11a、画像処理部11b、ROM12、RAM11c)、HDD14、原稿搬送部15、画像読取部16、操作パネル17、印刷部18、通信部110、接続部111に供給される。主電源がOFFのとき、電源部10から第1インターフェイス回路19、制御部11(CPU11a、画像処理部11b、ROM12、RAM11c)、HDD14、原稿搬送部15、画像読取部16、操作パネル17、印刷部18、通信部110への電力供給が停止される。
【0028】
(無線通信装置2)
次に、
図3を用いて、実施形態に係る無線通信装置2の一例を説明する。
図3は実施形態に係る無線通信装置2の一例を示す図である。
【0029】
図3に示すように、無線通信装置2は、アンテナ21、電源回路22、変調回路23、復調回路24、制御回路25、メモリー26、第2インターフェイス回路27、論理回路部28を含む。例えば、変調回路23、復調回路24、制御回路25、メモリー26は集積化される。無線通信装置2は、RFIDの規格に準拠する。無線通信装置2はRFIDのタグ(RFタグ)としても利用できる。無線通信装置2は、アンテナ21を介し、リーダーライター600と通信できる。
【0030】
アンテナ21は、リーダーライター600から送信された電波を受信する。言い換えると、無線通信の使用周波数帯の電波を受信する。例えば、アンテナ21は、パターンコイルである。アンテナ21と電源回路22は接続される。電源回路22は直流電源である。整流回路22aと電圧安定化回路22bを含む。整流回路22aはアンテナ21が受信した電波を整流する。例えば、整流回路22aはダイオードブリッジである。電圧安定化回路22bは、整流回路22aが生成した直流電圧を一定又はほぼ一定に保つ回路である。
【0031】
通信開始時、リーダーライター600は、変調していない電波(搬送波)を所定時間送信する。この電波は、変調回路23、復調回路24、制御回路25、メモリー26、第2インターフェイス回路27、論理回路部28の動作に必要なエネルギーを供給するための電波である。リーダーライター600は、電波の送信開始から所定時間経過した後、情報の送信を開始する。
【0032】
整流回路22aが生成し、電圧安定化回路22bが安定化させた電圧は、変調回路23、復調回路24、制御回路25、メモリー26、第2インターフェイス回路27、論理回路部28に供給される。
図3に示すように、変調回路23、復調回路24、制御回路25、メモリー26、第2インターフェイス回路27、論理回路部28は、電源回路22から供給される電力に基づき動作する。
【0033】
変調回路23は、アンテナ21から送信しようとするデータを搬送波(電波)にのせる回路である。リーダーライター600との通信では、振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式、あるいは、複数を組み合わせた変調方式を採用することができる。変調回路23は採用された変調方式に応じた変調を行う。変調回路23で変調されたデータ(電波)はアンテナ21から送信される。
【0034】
復調回路24は、アンテナ21が受信した電波から搬送波にのせられた情報(信号)を取り出す回路である。言い換えると、復調回路24はリーダーライター600が変調した電波から送信された信号を読み取る。取り出された信号は、制御回路25に入力される。取り出された信号には、命令が含まれる。また、取り出された信号には、メモリー26に記憶させるデータが含まれることもある。
【0035】
制御回路25は、無線通信装置2の動作を制御する回路である。例えば、制御回路25は、複数のロジック回路を含む。制御回路25は、復調回路24により取り出された信号の内容を認識する。制御回路25は取り出された信号に含まれる命令(指示、要求)を認識する。データの書き込み命令が含まれているとき、制御回路25は取り出された信号に含まれるデータをメモリー26に不揮発的に記憶させる。データの読み出し命令のとき、制御回路25は命令されたデータをメモリー26から読み出し、変調回路23にデータを変調させる。その結果、アンテナ21から命令されたデータが送信される。
【0036】
第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19と接続される。第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19と通信を行う。論理回路部28は複合機1に設けられたスイッチ1sのON/OFFを行う部分である(詳細は後述)。
【0037】
(通信システム100)
次に、
図4を用いて実施形態に係る通信システム100を説明する。
図4は、実施形態に係る通信システム100の一例を示す図である。
【0038】
通信システム100は、複合機1(画像形成装置)と無線通信装置2を含む。
図4に示すように、複合機1は、ROM12(不揮発性メモリー)、電池13、第1インターフェイス回路19、電源部10、スイッチ1sを含む。
【0039】
ROM12は、複合機1に関する情報(機器情報D1)を記憶する(
図1参照)。ROM12は、複合機1の出所に関する情報を機器情報D1として記憶する。例えば、出所に関する情報は、シリアル番号、機種名、形式番号のような情報である。また、ROM12は、複合機1の寿命に関する情報を機器情報D1として記憶する。複合機1の寿命に関する情報には、累計印刷枚数や、累計原稿搬送枚数や、累計読取枚数や、累計稼働時間がある。累計印刷枚数は印刷部18が印刷した用紙の累計である。累計原稿搬送枚数は、原稿搬送部15が搬送した原稿の累計である。累計読取枚数は画像読取部16が読み取った原稿の累計である。累計稼働時間は、複合機1の主電源がONされている時間の累計である。CPU11aは、印刷ジョブが実行されるごとに累計印刷枚数の値をROM12に更新させる。また、CPU11aは、原稿読み取りを伴うジョブが実行されるごとに、累計原稿搬送枚数、累計読取枚数の値をROM12に更新させる。機器情報D1には、トナー残量や用紙残量のような消耗品に関する情報を含めてもよい。また、機器情報D1には実行したジョブの履歴を含めてもよい。
【0040】
機器情報D1は複合機1のメンテナンスに役立つ。機器情報D1は出力できる。操作パネル17で所定の操作がなされたとき、制御部11は、機器情報D1を出力する。例えば、制御部11は、機器情報D1を印刷部18にさせる。制御部11は、機器情報D1を表示パネル17aに表示させる。あるいは、制御部11は予め定められたコンピューターに向けて機器情報D1を通信部110に送信させる。サービスマン(メンテナンス担当者)は、機器情報D1を参照できる。
【0041】
機器情報D1により、複合機1の状態を確認できる。複合機1で故障が生じた場合、機器情報D1を確認したい場合がある。機器情報D1は故障原因の解明のてがかりになり得る。しかし、複合機1で故障が生じたとき、機器情報D1を出力できなくなることがある。例えば、制御部11で故障が生じたとき、複合機1を起動できなくなることがある。複合機1がフリーズしたまま反応しなくなる場合もある。また、電源部10で故障が生じたため、複合機1の各部分への電力供給の全て、又は、一部が停止することがある。これらの場合、機器情報D1を出力できなくなることがある。
【0042】
また、複合機1のROM12には、登録情報D2を記憶させることがある(
図1参照)。登録情報D2は使用者が操作パネル17に入力して登録した情報である。例えば、登録情報D2は、アドレス帳データや使用者データである。アドレス帳データは、宛先名とアドレス(宛先)を対応づけたデータである。通常、宛先名とアドレスの組み合わせは、複数件記憶される。使用者データは、複合機1を使用できる者を定義したデータである。使用を許可する使用者1人につき、ユーザー名、ログインパスワード等が定められる。
【0043】
故障が生じた場合、複合機1は交換される場合がある。新たな複合機1に登録データを最初から入力することは煩わしい。登録データを出力し、新たな複合機1に移せれば便利である。複合機1では、接続部111に接続された携帯型記憶デバイス500(USBメモリー26)に登録データを出力できる。操作パネル17で所定の操作がなされたとき、制御部11は接続部111に登録データを書き込ませる。しかし、複合機1で故障が生じたとき、携帯型記憶デバイス500に登録情報D2を出力できなくなることがある。
【0044】
これらの場合、複合機1単体では、ROM12に記憶された情報(データ)を読み出せない。言い換えると、通常の出力方法ではROM12のデータを出力できない。そこで、通信システム100では、無線通信装置2を用いてROM12に記憶されたデータを読み出せる(吸い出せる)ようにする。そのため、複合機1には第1インターフェイス回路19が設けられる。
図4に示すように、第1インターフェイス回路19はROM12と接続される。第1インターフェイス回路19はROM12に記憶されたデータを送信できる。
【0045】
また、無線通信装置2には、第2インターフェイス回路27が設けられる。第2インターフェイス回路27は、第1インターフェイス回路19と接続できる。第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19と通信できる。第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19が送信したデータ(ROM12から読み出したデータ)を受信できる。
【0046】
ここで、ROM12、第1インターフェイス回路19への電力供給が停止した状態でもROM12のデータを取り出せるようにすることが好ましい。そこで、複合機1では、電池13からROM12と第1インターフェイス回路19に電力を供給することができるようになっている。
【0047】
電池13はスイッチ1sを介し、ROM12と第1インターフェイス回路19と接続される。具体的に、電池13はスイッチ1sの入力端子と接続される。スイッチ1sの出力端子はROM12と第1インターフェイス回路19と接続される。スイッチ1sはONされない限りOFF状態を保つ。スイッチ1sがON状態のとき、電池13からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給される。スイッチ1sがOFF状態のとき、電池13からROM12と第1インターフェイス回路19への電力が供給なされない。つまり、スイッチ1sは、電池13からROM12と第1インターフェイス回路19への電力の供給と供給停止を切り替える。
【0048】
上述したように、主電源ON状態で問題がない場合、電源部10からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給される。
図4に示すように、電源部10の出力は、スイッチ1sからROM12への導線に接続される。言い換えると、電源部10の出力はスイッチ1sの出力と接続される。スイッチ1sは、電源部10から供給される電力(電流)が電池13に流れ込むことを防ぐ。電源部10からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給されているとき、スイッチ1sはOFF状態で保たれる。
【0049】
なお、ROM12及び第1インターフェイス回路19と、電源部10との間には、ダイオードD3が設けられる。ダイオードD3は電池13からの電力(電流)が電源部10に流れ込むことを防ぐ。電源部10が電力供給をしていない状態でスイッチ1sがONしたとき、ダイオードD3は逆流を防止する。
【0050】
また、無線通信装置2は、論理回路部28を含む。論理回路部28は、スイッチ1sを制御する制御信号S3を出力する。論理回路部28は、第1信号S1と第2信号S2が入力される。論理回路部28は、第1信号S1と第2信号S2のレベルに応じて、制御信号S3のレベルを変化させる。
【0051】
図4に示すように、第1信号S1は電源部10がROM12と第1インターフェイス回路19に印加する電圧である。
図4に示すように、電源部10とダイオードD3の間の電圧が第1信号S1として論理回路部28に入力される。複合機1の主電源がOFFのとき、第1信号S1はLowレベルとなる。複合機1の主電源がONのとき、第1信号S1はHighレベルとなる。なお、複合機1の主電源がONされていても、故障が生じている場合、第1信号S1がLowレベルとなることもある。
【0052】
第2信号S2は制御回路25が出力する信号である。制御回路25は、読み出し命令を受信してからデータの読み出しが完了するまでの読出期間中、第1レベルの第2信号S2を論理回路部28に入力する。制御回路25は、読出期間以外では第2レベルの第2信号S2を論理回路部28に入力する。このように、アンテナ21で受信した電波にROM12のデータの読み出し命令が含まれているとき、制御回路25は第2信号S2のレベルを第1レベルとする。第1レベルと第2レベルの詳細は後述する。
【0053】
そして、論理回路部28は、第1信号S1がLowレベルかつ第2信号S2が第1レベルのとき、スイッチ1sをONさせる制御信号S3を出力する。論理回路部28は、第1信号S1がHighレベルのとき、及び、第2信号S2が第2レベルのとき、スイッチ1sをOFFさせる制御信号S3を出力する。
【0054】
つまり、電源部10がROM12と第1インターフェイス回路19に電力を供給しているとき、論理回路部28はスイッチ1sをON状態にしない。これにより、電源部10からの電流が電池13に流れ込むことがない。電池13の寿命の短命化を防ぐことができる。電源部10がROM12と第1インターフェイス回路19に電力を供給しておらず、制御回路25がROM12からデータを読み出してよいと判定しているときのみ、論理回路部28はスイッチ1sをON状態にする。
【0055】
(論理回路部28とスイッチ1s)
次に、
図5を用いて、実施形態に係る論理回路部28とスイッチ1sの一例を説明する。
図5は実施形態に係る論理回路部28とスイッチ1sの一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、論理回路部28は、NOT回路29(インバーター)とAND回路210を含む。AND回路210は2入力タイプである。NOT回路29とAND回路210も、電源回路22が生成した電圧に基づき動作する。
【0057】
第1信号S1はNOT回路29の入力端子に入力される。NOT回路29は、第1信号S1のレベルを反転する(S1')。NOT回路29の出力は、AND回路210の一方の端子に入力される。第2信号S2はAND回路210の他方の端子に入力される。本説明では、第2信号S2の第1レベルはHighレベルである。第2信号S2の第2レベルはLowレベルである。AND回路210の出力が論理回路部28の出力である。論理回路部28の出力はスイッチ1sに入力される。言い換えると、AND回路210の出力がスイッチ1sの制御信号S3である。
【0058】
なお、AND回路210の代わりにNOR回路を用いてもよい。この場合、NOT回路29は必要ない。また、第2信号S2の第1レベルはLowレベルとする。第2レベルはHighレベルとする。
【0059】
図5に示すように、スイッチ1sには電界効果型トランジスタT1(FET)を用いることができる。FETのドレインには、電池13が接続される。FETのソースには、ROM12と第1インターフェイス回路19が接続される。FETのゲートには、論理回路部28(AND回路210)の出力が入力される。つまり、スイッチ1sのゲートには、制御信号S3が入力される。
【0060】
制御信号S3がHighレベルのとき、スイッチ1sはONする。制御信号S3がLowレベルのとき、スイッチ1sはOFFする。
図5では論理回路部28への入力と出力の関係を示す真理値表を示している。真理値表は、NOT回路29とAND回路210への考えられる入力の組み合わせと、各組み合わせに対するAND回路210の出力を示す。
【0061】
図5に示すように、第1信号S1がHighレベルのとき、制御信号S3はLowレベルとなる。つまり、電源部10からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給されている間、スイッチ1sはONしない。
【0062】
また、第1信号S1がLowレベルでも、第2信号S2がLowレベルのとき、スイッチ1sはOFF状態で保たれる。つまり、電源部10からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給されていない間、読み出し命令を受信しない限り、論理回路部28(AND回路210)はスイッチ1sをONしない。必要がない限り、電池13からROM12と第1インターフェイス回路19に電流は流れない。従って、電池13の電力の無駄な消費がない。また、第1信号S1がLowレベルであり、第2信号S2がHighレベルのとき、スイッチ1sがON状態となる。つまり、電源部10からROM12と第1インターフェイス回路19に電力が供給されていないこと、かつ、読み出し命令を受信したことが満たされた場合、論理回路部28はスイッチ1sをONする。
【0063】
(ROM12からのデータの読み出しの流れ)
次に、
図6を用いて、実施形態に係る通信システム100でのROM12からのデータの読み出しの流れの一例を説明する。
図6は、実施形態に係る通信システム100でのROM12からのデータの読み出しの流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
図6のスタートは、リーダーライター600からROM12からのデータ読み出し命令を受信した時点である。つまり、復調回路24の出力に基づき、制御回路25がROM12からのデータの読み出し命令の受信を認識した時点である。
【0065】
データ読み出し命令には、ROM12に記憶されるデータのうち、読み出すデータを指定する信号が含まれる。例えば、データ読み出し命令には、機器情報D1や登録情報D2が記憶されたROM12の場所(アドレス)を示す信号が含まれる。
【0066】
なお、無線通信装置2を用いてROM12からデータを読み出す場合、複合機1の主電源はOFFしておけばよい。ROM12に電力供給がなされない故障が生じても、データを読み出すことができる。従来、故障が生じた場合、電力供給経路のうち、どの経路で異常が生じているか確認する場合があった。しかし、本通信システム100では、複合機1に故障が生じた場合、主電源投入状態でどの部分に電力供給されるか否かを確認する必要はない。なお、故障がない場合にROM12のデータを読み出したいときでも、複合機1の主電源はOFFしておけばよい。
【0067】
まず、制御回路25は、データ読み出し命令を受信したので、第2信号S2をHighレベルとする(ステップ♯1)。第1信号S1はLowレベルなので、論理回路部28(AND回路210)は、Highレベルの制御信号S3を出力する(ステップ♯2)。これにより、スイッチ1sはOFF状態からON状態となる(ステップ♯3)。このように、ROM12からデータ読み出すとき、制御回路25は、スイッチ1sをONさせる。そして、制御回路25は、ROM12と第1インターフェイス回路19への電力供給を電池13に行わせる(ステップ♯4)。
【0068】
第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19にデータの読み出しを指示する(ステップ♯5)。この指示には、ROM12に記憶されるデータのうち、どのデータを読み出すかを示すデータが含まれる。言い換えると、第2インターフェイス回路27は読み出すデータを第1インターフェイス回路19に指示する。例えば、機器情報D1や登録情報D2の記憶場所(アドレス)が指定される。この指定に基づき、第1インターフェイス回路19は読み出すデータを認識する。
【0069】
ステップ♯6において、第1インターフェイス回路19は、指示されたデータをROM12から読み出す(読み出す)。第1インターフェイス回路19は読み出したデータ(吸出データ)を第2インターフェイス回路27に送信する(ステップ♯7)。
【0070】
制御回路25は、吸出データ(第2インターフェイス回路27が受信したデータ)をメモリー26に記憶させる(ステップ♯8)。そして、制御回路25は、命令された全データの読み出しが完了したか否かを確認する(ステップ♯9)。
【0071】
全データの読み出しが完了していないとき(ステップ♯9のNo)、フローは、ステップ♯6に戻る。全データの読み出しが完了したとき、制御回路25は、読み出し完了を第1インターフェイス回路19に通知する(ステップ♯10)。制御回路25は、第2インターフェイス回路27に完了通知を送信させる。これにより、第1インターフェイス回路19はROM12へのアクセスを停止する。
【0072】
制御回路25は、第2信号S2をLowレベルとする(ステップ♯11)。その結果、論理回路部28(AND回路210)は、Lowレベルの制御信号S3を出力する(ステップ♯12)。これにより、スイッチ1sはON状態からOFF状態となる(ステップ♯13)。最後に、制御回路25は、吸出データの変調を変調回路23に行わせ、変調後の吸出データをアンテナ21から送信させる(ステップ♯14→エンド)。つまり、外部で利用できるように、吸出データをリーダーライター600に渡す。
【0073】
このようにして、実施形態に係る通信システム100は、画像形成装置と無線通信装置2を含む。画像形成装置は、不揮発性メモリー、第1インターフェイス回路19、電源部10、スイッチ1sを含む。不揮発性メモリーは、データを記憶する。第1インターフェイス回路19は
不揮発性メモリーと接続され、データを送信する。電源部10は
不揮発性メモリーと第1インターフェイス回路19に電力を供給する。スイッチ1sは電池13から
不揮発性メモリー及び第1インターフェイス回路19への電力の供給と供給停止を切り替え、ONされない限りOFF状態を保つ。無線通信装置2は、アンテナ21、電源回路22、第2インターフェイス回路27、メモリー26、制御回路25を含む。電源回路22は、アンテナ21が受信した電波を整流し直流電圧を生成する。第2インターフェイス回路27は、電源回路22から供給される電力により動作する。第2インターフェイス回路27は第1インターフェイス回路19と接続され、第1インターフェイス回路19と通信を行う。メモリー26は電源回路22から供給される電力により動作する。制御回路25は電源回路22から供給される電力により動作する。制御回路25は、不揮発性メモリーからデータを読み出すとき、スイッチ1sをONさせ、不揮発性メモリーと第1インターフェイス回路19への電力供給を電池13に行わせ、第2インターフェイス回路27を介して不揮発性メモリーからデータを読み出し、読み出したデータである吸出データをメモリー26に記憶させる。
【0074】
これにより、故障状態の画像形成装置から不揮発性メモリーのデータを読み出す(取り出す)ことができる。画像形成装置の電源をOFFしていても、画像形成装置から不揮発性メモリーのデータを読み出すことができる。また、吸出データを無線通信装置2で保持することができる。データを読み出すとき、画像形成装置の主電源はOFFしておけばよい。画像形成装置の故障の程度、状態を問わず、不揮発性メモリーのデータを読み出すことができる。
【0075】
また、無線通信装置2は変調回路23を含む。制御回路25は、吸出データの変調を変調回路23に行わせ、変調後の吸出データをアンテナ21から送信させる。これにより、他の装置で利用できるように、吸出データを出力(送信)することができる。出力された吸出データを受信した装置で、吸出データを利用することができる。例えば、吸出データの内容の確認、閲覧、表示、印刷を行うことができる。
【0076】
また、アンテナ21が不揮発性メモリーからのデータの読み出し命令を受信したとき、制御回路25は、スイッチ1sをONすることにより電池13から不揮発性メモリーと第1インターフェイス回路19への電力供給を行わせ、不揮発性メモリーから吸出データを読み出す。これにより、使用者は所望のタイミングで不揮発性メモリーから吸出データを取り出せる。スイッチ1sをONするタイミングをコントロールできる。画像形成装置からデータを読み出すときのみ電池13から不揮発性メモリーと第1インターフェイス回路19に電力を供給することができる。そのため、電池13の電力の無駄な消費を抑えることもできる。
【0077】
また、無線通信装置2は、第1信号S1と第2信号S2が入力され、スイッチ1sを制御する制御信号S3を出力する論理回路部28を含む。第1信号S1は電源部10が不揮発性メモリーに印加する電圧である。第2信号S2は制御回路25が出力する信号である。制御回路25は、読み出し命令を受信してから吸出データの読み出しが完了するまでの読出期間中、第1レベルの第2信号S2を論理回路部28に入力し、読出期間以外では第2レベルの第2信号S2を論理回路部28に入力する。論理回路部28は、第1信号S1がLowレベルかつ第2信号S2が第1レベルのとき、スイッチ1sをONさせる制御信号S3を出力し、第1信号S1がHighレベルのとき、及び、第2信号S2が第2レベルのとき、スイッチ1sをOFFさせる制御信号S3を出力する。これにより、画像形成装置において、電源部10から不揮発性メモリーに電力が供給されている間、スイッチ1sをOFFで保つことができる。そのため、電池13と不揮発性メモリーは接続されるところ、電源部10から不揮発性メモリーに供給された電流は電池13に流れ込まない。また、吸出データを読み出すときのみ電池13から不揮発性メモリーと第1インターフェイス回路19に電力を供給させることができる。
【0078】
また、論理回路部28は、NOT回路29とAND回路210を含む。第1信号S1はNOT回路29に入力される。NOT回路29の出力と第2信号S2がAND回路210に入力される。AND回路210の出力が制御信号S3である。第1レベルはHighレベルである。第2レベルはLowレベルである。制御信号S3がHighレベルのとき、スイッチ1sはONし、制御信号S3がLowレベルのとき、スイッチ1sはOFFする。これにより、論理回路部28をNOT回路29とAND回路210だけで構成することができる。論理回路部28を簡易、安価なものにすることができる。
【0079】
また、通信システム100に利用される無線通信装置2にも特徴がある。無線通信装置2は、故障状態の画像形成装置から不揮発性メモリーのデータを読み出す(取り出す)無線通信装置2を提供することができる。画像形成装置の電源をOFFしていても、画像形成装置から不揮発性メモリーのデータを読み出す無線通信装置2を提供することができる