(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589873
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】クロスバースイッチ、これを用いた論理集積回路および半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20191007BHJP
H03K 19/177 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
H03K17/00 G
H03K19/177
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-548557(P2016-548557)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(86)【国際出願番号】JP2015004645
(87)【国際公開番号】WO2016042750
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年8月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-189843(P2014-189843)
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 幸秀
(72)【発明者】
【氏名】白 旭
(72)【発明者】
【氏名】宮村 信
(72)【発明者】
【氏名】阪本 利司
(72)【発明者】
【氏名】多田 宗弘
【審査官】
栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/043502(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/190742(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/158887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00
H03K 19/177
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、
前記第1の方向と平行な第3の方向に延在する第3配線と、前記第2の方向と平行な第4の方向に延在する第4配線と、
前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、
前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、
前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチ。
【請求項2】
第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、
第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、
前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、
前記スイッチセルの数は、前記第1配線と前記第2配線の交差点の数よりも少なく、
前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、
前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチ。
【請求項3】
第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、
第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、
前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、
前記スイッチセルの数と、前記第1配線と前記第2配線の交差点の数との比が異なり、
前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、
前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチ。
【請求項4】
前記スイッチセルは、第1スイッチと第2スイッチとトランジスタとを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチは、抵抗変化層と前記抵抗変化層を挟む2つの電極とを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの各々一方の前記電極同士が接続し、前記電極同士の接続に前記トランジスタの一方のソースもしくはドレインが接続し、
前記第1スイッチの他方の前記電極が前記第1配線と接続し、
前記第2スイッチの他方の前記電極が前記第2配線と接続し、
前記トランジスタのゲートが前記第3配線と接続し、
前記トランジスタの他方のドレインもしくはソースが前記第4配線と接続する、
請求項1から3の内の1項記載のクロスバースイッチ。
【請求項5】
前記第1スイッチと前記第2スイッチの並ぶ方向と、前記第3の方向もしくは前記第4の方向とが、平行である、請求項4記載のクロスバースイッチ。
【請求項6】
前記第1スイッチと前記第2スイッチは、バイポーラ型の抵抗変化素子であり、前記抵抗変化素子の極性が相互に対向するように接続されている、請求項5記載のクロスバースイッチ。
【請求項7】
前記第1の方向と前記第2の方向とは垂直であり、前記第3の方向と前記第4の方向とは垂直である、請求項1から6の内の1項記載のクロスバースイッチ。
【請求項8】
第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、
第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、
前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、
前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、
前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続するものであり、
前記スイッチセルは、第1スイッチと第2スイッチとトランジスタとを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチは、抵抗変化層と前記抵抗変化層を挟む2つの電極とを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの各々一方の前記電極同士が接続し、前記電極同士の接続に前記トランジスタの一方のソースもしくはドレインが接続し、
前記第1スイッチの他方の前記電極が前記第1配線と接続し、
前記第2スイッチの他方の前記電極が前記第2配線と接続し、
前記トランジスタのゲートが前記第3配線と接続し、
前記トランジスタの他方のドレインもしくはソースが前記第4配線と接続し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの並ぶ方向と、前記第3の方向もしくは前記第4の方向とが、平行である、
クロスバースイッチ。
【請求項9】
請求項1から8の内の1項記載のクロスバースイッチを有する論理集積回路。
【請求項10】
請求項9記載の論理集積回路を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化素子を用いたプログラマブル論理集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル論理集積回路は、内部の設定情報を書き換えることにより、様々な論理回路を再構成可能であるという特徴を持つ。そのため、試作品の作成や、画像処理や通信などの広い分野で利用されている。また、特許文献1及び特許文献2には、プログラマブル論理集積回路で用いるクロスバースイッチのメモリセルとスイッチ部分を抵抗変化素子に置き換えることで、チップ面積や消費電力の低減が出来る技術が提案されている。
【0003】
抵抗変化素子としては、遷移金属酸化物を用いたReRAM(Resistance Random Access Memory)や、イオン伝導体を用いたNanoBridge(登録商標)などがある。特許文献1及び特許文献2には、電界などの印加によってイオンが自由に動くことのできる固体(イオン伝導体)中における金属イオンの移動と電気化学反応とを利用した抵抗変化素子が開示されている。
【0004】
図2Aは抵抗変化素子(RE)の構造を、
図2Bは抵抗変化素子(RE)のシンボリック表現を、
図2Cは抵抗変化素子(RE)を抵抗変化させるための動作方法を、各々示す。
図2Aに示すように、抵抗変化素子(RE)は、イオン伝導層(IC)、イオン伝導層(IC)に接して対向面に設けられた第1電極(TR[1])及び第2電極(TR[2])から構成されている。第1電極(TR[1])からイオン伝導層(IC)に金属イオンが供給され、第2電極(TR[2])からは金属イオンは供給されない。
図2Cに示すように、印加電圧極性を変えることでイオン伝導体の抵抗値を変化させ、2つの電極間の導通状態を制御することによって、ON/OFFを切り替える。
【0005】
特許文献2、もしくは、
図3Aに示すように、スイッチセルは2つの抵抗変化素子(RE1、RE2)と1つのトランジスタ(Tr.)からなる。
図3Bは端子に着目した
図3Aのシンボリック表現である。
図4Aに示すようにクロスバースイッチにおいてスイッチセルは、縦方向の配線(RV)と横方向の配線(RH)の各クロスポイント近傍に配置される。また、あるクロスポイント近傍の抵抗変化素子をON/OFFさせる際、異なるクロスポイント近傍に存在する抵抗変化素子への誤書き込み(ディスターブ)を防ぐため、選択トランジスタ(Tr.)を制御するための2つの配線(SV、GH)とも接続される。
【0006】
図4Bに示すように、クロスバースイッチでは少なくとも4種類の配線(RV、RH、SV、GH)が、縦もしくは横方向に走破する形を取る。セルの書き込み選択性から、スイッチ切り替え用の配線SVと配線GHとは、および、配線RVと配線RHとは、お互いねじれの位置にする必要があり、例えば
図4Bのように垂直である。スイッチセル内のトランジスタはシリコン基板上に、抵抗変化素子は配線層内に形成される。
【0007】
抵抗変化素子は、デザインルールにおける最小寸法、もしくは、それ以下とすることができる。また、素子性能の向上により低電圧・低電流でのON/OFF切り替えが可能になってきているため選択トランジスタのゲート幅も小さくすることができる。よって、スイッチセルの占有面積よりも、スイッチセルに接続するための4つの配線、および、素子・配線間の接続に必要な占有面積によって、クロスバースイッチ全体のサイズが既定されるようになってきている。
【0008】
クロスバースイッチは特許文献2、もしくは、特許文献3に示すように、プログラマブル論理集積回路のルックアップテーブル(LUT)への入力前段の信号選択ブロック(IMUX)や、プログラマブル論理回路内に配置された複数のLUT間の信号のルーティングパスを変更するための切り替えブロック(SMUX)に使われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−101535号公報
【特許文献2】国際公開第2012/043502号
【特許文献3】米国特許第4871930号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Guy Lemieux and David Lewis,”Using sparse crossbars within LUT”,FPGA ’01 Proceedings of the 2001 ACM/SIGDA ninth international symposium on Field programmable gate arrays,Pages 59−68,2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図5に示す抵抗変化素子を用いた関連するクロスバースイッチにおいては、あるスイッチセルのON/OFF切り替えを行う際には、
図6に示すように4種類の配線の信号をそれぞれ制御する必要がある。そのため、クロスバースイッチ周辺に配置され、書き換えセルの指定と、書き換えセルに接続された配線の制御をおこなうためのデコード回路が複雑になり、回路面積が増加する問題を有している。
【0012】
また、回路面積を小さくするために、
図7のようにスイッチセルを間引いた空きスペースに、残ったスイッチセルを再配置する際、スイッチセルに接続した配線も同時に再配置する必要がある。これにより、例えば
図8に示すように、信号線密度は再配置前に比べて最大100%増加する。しかし、配線、および、配線間や素子−配線間の接続スペースの制限により、クロスバースイッチの間引き率に比べて、実際のレイアウトの面積縮小率は小さいという課題を有している。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、クロスバースイッチおよびその周辺回路のレイアウト面積を縮小するクロスバースイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるクロスバースイッチは、第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する。
【0015】
本発明による論理集積回路は、第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチを有する。
【0016】
本発明による半導体装置は、第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチを有する論理集積回路を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クロスバースイッチおよびその周辺回路のレイアウト面積を縮小するクロスバースイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態のクロスバースイッチの構成を示す図である。
【
図2B】抵抗変化素子をシンボリック表現した図である。
【
図2C】抵抗変化素子を抵抗変化させるための動作方法を示す図である。
【
図3A】2つの抵抗変化素子とトランジスタからなるスイッチセルの構造を示す図である。
【
図3B】2つの抵抗変化素子とトランジスタからなるスイッチセルをシンボリック表現した図である。
【
図4A】スイッチセルと信号線/制御線との接続を示す図である(斜視図)。
【
図4B】スイッチセルと信号線/制御線との接続を示す図である(上面図)。
【
図5】スイッチセルを用いた関連するクロスバースイッチ回路のスイッチセルのON/OFF切り替え用制御回路を含む構成を示す図である。
【
図6】スイッチ[n,k]に対するON/OFF切り替え時の制御信号の状態を示す図である。
【
図7】スイッチセルの数がクロスポイントの数より少ない関連するクロスバースイッチを示す図である。
【
図8】スイッチセルの数がクロスポイントの数より少ない関連するクロスバースイッチに対しスイッチセルをシフトしてスイッチセルを密集配置させたときのクロスバースイッチを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態のクロスバースイッチの構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態のクロスバースイッチのスイッチのON/OFF書き替え用制御回路を含む構成を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態のクロスバースイッチのスイッチ[n,k]に対するON/OFF切り替え時の制御信号の状態を示す図である
【
図12】本発明の実施形態のクロスバースイッチの配線レイアウトを示す図である。
【
図13A】本発明の実施形態のクロスバースイッチのシリコン基板に対して上方からみた面内方向の配線レイアウトを示す図である。
【
図13B】本発明の実施形態のクロスバースイッチの配線レイアウトをシンボリック表現(書き込み信号線は省略)した図である。
【
図14】本発明の実施形態のクロスバースイッチを用いた論理集積回路を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態のクロスバースイッチを用いた論理集積回路を用いた半導体装置を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態のクロスバースイッチを用いた、信号線のクロスポイントの総数とスイッチセルの総数との比率が異なるクロスバースイッチを混載した構成を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態のクロスバースイッチを用いた、信号線のクロスポイントの総数とスイッチセルの総数との比率が異なるクロスバースイッチを混載した構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態のクロスバースイッチの構成を示す図である。本実施形態のクロスバースイッチは、第1の方向に延在する第1配線11と、第2の方向に延在する第2配線12と、第3の方向に延在する第3配線13と、第4の方向に延在する第4配線14と、を複数有する。さらに、前記第1配線11と前記第2配線12とに接続するスイッチセル15を複数有する。さらに、前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にある。さらに、前記スイッチセル15は前記第3配線13と前記第4配線14とに接続する。前記第3配線13はさらに前記第1配線11の隣の前記第1配線11に接続する前記スイッチセル15とも接続する、もしくは、前記第4配線14はさらに前記第2配線12の隣の前記第2配線12に接続する前記スイッチセル15とも接続する。
【0021】
以下、本実施形態のクロスバースイッチをさらに詳細に説明する。
【0022】
図3Aに示すように、本実施形態のクロスバースイッチのスイッチセルは、
図2Bに示す抵抗変化素子(RE)の2つ(RE1、RE2)とスイッチ素子(Tr.)とを有する。2つの抵抗変化素子(RE1、RE2)の片側の電極は相互に接続し、接続により共有しているノードに選択トランジスタ(Tr.)の一方の拡散層(ソース、もしくは、ドレイン)が結線する。
図3Bは、
図3Aに示すスイッチセルの端子に着目したシンボリック表現である。
【0023】
図4A、
図4Bに示すように、上記スイッチセルは、クロスバースイッチの縦方向の信号用配線(RV)と横方向の信号用配線(RH)のクロスポイントの近傍に配置される。2つの抵抗変化素子(RE1、RE2)の抵抗変化素子間で共有していない側の電極TR1とTR2は、それぞれ、配線(RH)と配線(RV)に接続する。また、上記配線の他に、選択トランジスタのゲートに接続する配線(GH)と、抵抗変化素子が接続していない側の拡散層(ドレイン、もしくは、ソース)に接続する配線(SV)が設けられる。これらは、配線(RH)、配線(RV)とは別にクロスバースイッチ内を走破し、走破する方向のスイッチセル間で共有される。
【0024】
図9は、本実施形態のクロスバースイッチの構成を示す図である。スイッチセルは縦方向と横方向の配線(RV、RH)の交差点に間引いて配置され、すべての交差点にスイッチセルが配置されているわけではないクロスバースイッチである。但し、
図9に示すように、スイッチセルは、配線(RV、RH)の交差点に対応して周期的に設けることが好ましいが、これには限定されない。
【0025】
このクロスバースイッチにおいて、横方向に走破する選択トランジスタへの配線(GH)の例えば配線(GH[k])は、同じく横方向に走破する配線(RH[k])に接続されたスイッチセル(スイッチ[n,k])と接続する。ここで、nとkは、各々、正の整数である。さらに、配線(GH[k])は、前記配線(RH[k])の隣で同じく横方向に走破する配線(RH[k+1])に接続されたスイッチセル(スイッチ[n−1,k+1]、スイッチ[n+1,k+1])とも接続する。すなわち、配線(GH[k])は、配線(RH[k])と配線(RH[k+1])とに接続するスイッチセルに共有される。
【0026】
スイッチ切り替え用信号配線(GH)を共有することによって配線数を削減した分、
図10に示す書き込み制御回路とこれに対する選択回路(デコード回路、図示省略)も付随して簡略化することができる。
【0027】
以上のように、走破する選択トランジスタ用の配線(GH)の本数を低減でき、間引いたスイッチセルの空いたスペースに、スイッチセルを上記配線(GH)とともに再配置することが容易になる。したがって、間引いたスイッチセルの分だけクロスバースイッチの面積縮小効果が得られやすくなる。また、横方向に走破する選択トランジスタ用の配線(GH)の削減に伴い、上記配線を制御する書き込み制御回路とこれに対するデコード回路も簡略化できるため、ON/OFF切り替えなどを行うクロスバースイッチ用の周辺回路も小さくできる。
【0028】
なお、RHとRV、GHとSVは少なくともそれぞれねじれの位置にあればよく、相互に垂直であることは必ずしも必要でない。また、
図9では、書き込み配線(GH)を共有させたが、対称性の観点から書き込み配線(SV)を共有させてもよく、シフト方向も配線SVに対して垂直方向であっても良い。また、配線のクロスポイントの総数N(cp)と、スイッチセルの総数N(sw)との比率(N(sw)/N(cp))は50%に限定するものではなく100%より小さければよい。なお、クロスバースイッチの全領域で(N(sw)/N(cp))が同じである必要はない。ただし、スイッチセル間の距離(ピッチ)はクロスバースイッチ回路内で一定であることがより望ましい。すなわち、スイッチセルは周期的に配置されることが望ましい。
【0029】
図11は、本実施形態のクロスバースイッチのスイッチ[n,k]に対するON/OFF切り替え時の制御信号の状態を示す。
図11に示すように4種類の配線の信号をそれぞれ制御することにより、抵抗状態を高抵抗と低抵抗とで変えることができ、スイッチ動作が可能である。
【0030】
すなわち、配線(GH[k])の印加電圧を高として、これにつながったゲート線を活性化してトランジスタをオン状態にし、スイッチセル(スイッチ[n,k])を選択する。抵抗変化素子に接続する配線(RH[k]とRV[n])と配線SV[n]との間に電位差を与え、この極性(高−低もしくは低−高)を変えて抵抗状態を高抵抗もしくは低抵抗にプログラムする。
【0031】
スイッチセルに用いる抵抗変化素子としては、遷移金属酸化物を用いたReRAM(Resistance Random Access Memory)や、イオン伝導体を用いたNanoBridge(登録商標)などとすることができる。すなわち、ある一定以上の電圧を所定時間以上印加することで抵抗状態が変化し、保持される抵抗変化素子であればよい。また、信号を継続的に通過させて使用する際のディスターブ耐性が高いという観点から、抵抗変化素子は抵抗変化をさせるための電圧の印加方向に極性があるバイポーラ型の抵抗変化素子である。スイッチセルは、バイポーラ型の抵抗変化素子が、二つ対向して直列につながり、二つのスイッチの接続点にスイッチ(トランジスタ)が配置されているという構成がより望ましい。
【0032】
抵抗変化素子(RE)は、電界などの印加によってイオンが自由に動くことのできる固体(イオン伝導体)中における金属イオンの移動と、電気化学反応とを利用した抵抗変化素子である。抵抗変化素子は、抵抗変化量が大きく、電極間を信号が通過する、通過しないを区別できるスイッチ素子として機能する。
図2Aに示すように、抵抗変化素子(RE)は、イオン伝導層(IC)と、イオン伝導層(IC)に接して対向面に設けられた電極(TR[1])と電極(TR[2])から構成されている。電極(TR[1])からイオン伝導層に金属イオンが供給され、電極(TR[2])からは金属イオンは供給されない。印加電圧極性を変えることでイオン伝導体の抵抗値を変化させ、2つの電極間の導通状態を制御することができる。
【0033】
図12は、本実施形態のクロスバースイッチの配線レイアウトを示す図である。
図13Aは、本実施形態のクロスバースイッチをシリコン基板に対して上方からみた面内方向の配線レイアウトを示す図である。
図13Bは、本実施形態のクロスバースイッチの配線レイアウトをシンボリック表現した図である。各図において、書き込み信号配線(GH、SV)は省略されている。
【0034】
図12に示すように、抵抗変化素子RE2と配線RVは、基板上方から見た場合、重なるように配置されている。このため、異なるスイッチセルの抵抗変化素子RE2に対して配線RVを接続、もしくは、非接続と区別する際には、別途ビアを用意する必要があり、このための余分な配線スペースが必要になる。一方で配線RHは、抵抗変化素子のRE1に対してビアを介して接続されている。このため、異なるスイッチセルの抵抗変化素子RE1に対して、配線RHとの接続・非接続は、すでにスペースの確保されたビアの有無で区別できる。
【0035】
そこで、
図9のクロスバースイッチにおいて、配線GHが走破する方向とスイッチセル内の2つの抵抗変化素子(RE1、RE2)を接続する配線の方向とを同一にし、スイッチセルをシフト配置する方向を配線GHが走破する方向に対してねじれの方向とする。すなわち、
図12、13A、13Bではこのねじれの方向は垂直方向である。
【0036】
これにより、配線RVを動かす必要がなく、配線RVの配線密度を変更する必要がない。一方、配線RHに対しては、上下の配線層を用いて配線RH[k]と配線RH[k+1]を重ねることで、配線密度を容易に2倍にできる他、配線RHとスイッチセルの接続・非接続をすでにスペースの確保されたビアの有無で区別できる。このため、配線RHの密度を2倍にしたスイッチセルをクロスバースイッチ内で容易に再配置できる。
【0037】
例えば、再構成回路として、4入力1出力のルックアップテーブルを4つ有するロジックエレメントを想定する。このロジックエレメントは、ルックアップテーブル間を繋ぎ1つのクラスターとして動作させるためのスイッチブロックと、複数のロジックエレメント間の信号経路を切り替えるためのスイッチブロックとを有するとする。この場合に、例えば、8セグメント(8つ分ロジックエレメントが離れた)の長さをもつ信号線が4レーンある配線の切り替え用クロスバースイッチの50%のスイッチセルを間引くとする。この状態でも、一般的な例題(MCNC(Microelectronics Center of North Carolina)ベンチマーク)の計20種類の論理演算が実現可能である。すなわち、スイッチセルを間引く前と同等の再構成回路性能を維持したままで、スイッチブロックであるクロスバースイッチの面積を50%低減可能である。
【0038】
図14は、本実施形態のクロスバースイッチ1を有する論理集積回路2を示す。論理集積回路2はクロスバースイッチ1の切り替え動作により、論理回路を再構成可能である。
図15は、本実施形態のクロスバースイッチ1を有する論理集積回路2を有する半導体装置3である。半導体装置3は、シリコン基板上にクロスバースイッチ1を有する論理集積回路2が形成されている。さらに、これらの素子や回路を保護するためのパッケージングがされていてもよい。
【0039】
本実施形態では、
図16や
図17に示すような、信号線(RH、RV)のクロスポイントの総数N(cp)とスイッチセルの総数N(sw)との比率(N(sw)/N(cp))が異なる複数のクロスバースイッチを、1つの論理集積回路で使うことが可能である。例えば、ロジックエレメント内のルックアップテーブル間を繋ぎ1つのクラスターとして動作させるためのクロスバースイッチの比率(N(sw)/N(cp))を100%とする。このとき、8セグメント(8つ分ロジックエレメントが離れた)の長さをもつ信号線が4レーンある配線の切り替え用クロスバースイッチの比率(N(sw)/N(cp))を50%とすることなどが可能である。
【0040】
このように、比率(N(sw)/N(cp))が異なる2つ以上のクロスバースイッチの場合、
図16に示すように再配置するスイッチセルのシフト方向をそろえる。また、スイッチセルは信号線(RH、RV)のクロスポイントに対して周期的に配置する。また、
図17に示すように、基板上面から見て信号線(RH)密度が異なるクロスバースイッチであっても、信号線(RH)を共有できるクロスバースイッチを選んでお互いに左右方向に配置し、隣接するお互いの信号線(RH)を接続する。
【0041】
これによりシフト方向で容易に信号線(RH、RV)、および、スイッチ切り替え用信号線(GH、SV)を共有することが可能で、配線に対するデコード回路も変更する必要もない。また、スイッチセルをクロスポイントに対して周期的で規則性が高く、レイアウトの可読性が高い上、論理を再構成回路上にマッピングする際の計算コストも安く済む。また、スイッチセルの配置ピッチを変えることなく、左右方向の書き込み配線を相互に容易に接続できる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、クロスバースイッチおよびその周辺回路のレイアウト面積を縮小するクロスバースイッチを提供することができる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0044】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0045】
付記
(付記1)
第1の方向に延在する第1配線と、第2の方向に延在する第2配線と、
第3の方向に延在する第3配線と、第4の方向に延在する第4配線と、
前記第1配線と前記第2配線とに接続するスイッチセルと、を複数有し、
前記第1配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記第3配線は前記第2配線および前記第4配線とねじれの位置にあり、
前記スイッチセルは前記第3配線と前記第4配線とに接続し、
前記第3配線はさらに前記第1配線の隣の前記第1配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、もしくは、前記第4配線はさらに前記第2配線の隣の前記第2配線に接続する前記スイッチセルとも接続する、クロスバースイッチ。
(付記2)
前記スイッチセルは、第1スイッチと第2スイッチとトランジスタとを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチは、抵抗変化層と前記抵抗変化層を挟む2つの電極とを有し、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの各々一方の前記電極同士が接続し、前記電極同士の接続に前記トランジスタの一方のソースもしくはドレインが接続し、
前記第1スイッチの他方の前記電極が前記第1配線と接続し、
前記第2スイッチの他方の前記電極が前記第2配線と接続し、
前記トランジスタのゲートが前記第3配線と接続し、
前記トランジスタの他方のドレインもしくはソースが前記第4配線と接続する、
付記1記載のクロスバースイッチ。
(付記3)
前記第1の方向と前記第3の方向とは平行であり、前記第2の方向と前記第4の方向とは平行である、付記1または2記載のクロスバースイッチ。
(付記4)
前記第1の方向と前記第2の方向とは垂直であり、前記第3の方向と前記第4の方向とは垂直である、付記1から3の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記5)
前記スイッチセルの数は、前記第1配線と前記第2配線の交差点の数よりも少ない、付記1から4の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記6)
前記スイッチセルは、前記第1配線と前記第2配線との交差点に対応して周期的に設けられている、付記1から5の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記7)
前記第1スイッチと前記第2スイッチの並ぶ方向と、前記第3の方向もしくは前記第4の方向とが、平行である、付記2から6の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記8)
前記第1スイッチと前記第2スイッチは、バイポーラ型の抵抗変化素子であり、前記抵抗変化素子の極性が相互に対向するように接続されている、付記2から7の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記9)
前記抵抗変化層はイオン電導層を用いた原子移動型である、付記2から8の内の1項記載のクロスバースイッチ。
(付記10)
付記1から9の内の1項記載のクロスバースイッチを有する論理集積回路。
(付記11)
前記スイッチセルの数と、前記第1配線と前記第2配線の交差点の数との比が異なる複数の前記クロスバースイッチを有する、付記10記載の論理集積回路。
(付記12)
前記第3配線の電圧により前記トランジスタをON/OFFさせて前記スイッチセルを選択し、前記第1配線第2配線と前記第4配線との間の電位差を変えて前記第1スイッチと第2スイッチの抵抗状態を高抵抗もしくは低抵抗にプログラムする、付記10または11記載の論理集積回路。
(付記13)
付記10から12の内の1項記載の論理集積回路を有する半導体装置。
【0046】
この出願は、2014年9月18日に出願された日本出願特願2014−189843を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、抵抗変化素子を用いたプログラマブル論理集積回路、および半導体装置への利用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 クロスバースイッチ
2 論理集積回路
3 半導体装置
11 第1配線
12 第2配線
13 第3配線
14 第4配線
15 スイッチセル