特許第6589907号(P6589907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589907
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20191007BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20191007BHJP
   G06F 1/06 20060101ALI20191007BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20191007BHJP
   G06F 13/36 20060101ALI20191007BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G06F1/30
   G06F1/26 303
   G06F1/06 590
   B41J29/38 Z
   G06F13/36 310E
   G06F13/36 520C
   G06F13/42 350B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-31179(P2017-31179)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-136774(P2018-136774A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 真生
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−007000(JP,A)
【文献】 特開2001−265666(JP,A)
【文献】 特開2013−198122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26−1/3296
G06F 1/04−1/14
H04N 1/00
B41J 5/00−5/52;21/00−21/18
B41J 29/00−29/70
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路と、
複数のデバイスと、
前記制御回路と複数の前記デバイスに電力を供給する電源装置と、
前記制御回路とそれぞれの前記デバイスを接続し、前記制御回路が出力する第1クロック信号を前記デバイスに入力するクロック信号線と、
前記制御回路とそれぞれの前記デバイスを接続し、前記制御回路と前記デバイス間でやりとりされるデータを伝えるデータ信号線と、
前記クロック信号線と接続されるクロック入力部と、
画像形成装置の電源OFFに基づく前記電源装置の動作停止を検知する電源断検知部と、を備え、
複数の前記デバイスのうち、少なくとも1つの前記デバイスは電池から電力が供給され、
前記電源断検知部の出力に基づき前記電源装置の動作停止を認識したとき、
前記制御回路は、前記第1クロック信号の出力を停止し、前記クロック入力部の動作を開始させ、
前記クロック入力部は、動作開始後、予め設定された個数の第2クロック信号を生成し、生成した前記第2クロック信号を前記クロック信号線に入力し、その後、動作を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記予め設定された個数は、複数の前記デバイスのうち、電池から電力が供給される前記デバイスが前記制御回路から要求されたデータを全て送信できる数以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源装置の動作停止を認識したとき、
前記制御回路は、
前記データ信号線への要求の発行停止後、前記第1クロック信号の出力を停止し、
前記クロック入力部の動作を開始させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電池は前記クロック入力部に電力を供給し、
前記クロック入力部は、前記電池から供給される電力を用いて前記第2クロック信号を前記クロック信号線に入力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
キャパシターを含み、
前記キャパシターと前記クロック入力部が接続され、
前記クロック入力部は、前記電源装置の動作停止前に前記キャパシターに充電された電荷を用いて前記第2クロック信号を前記クロック信号線に入力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電源装置は、プルアップ抵抗を介して前記データ信号線に電圧を印加し、前記クロック信号線と接続されず、
複数の前記デバイスは、前記データ信号線をグランドに接続することにより前記データ信号線のレベルを変化させ、
前記制御回路は、スイッチングにより前記第1クロック信号のレベルを変化させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数の前記デバイスのうち、前記電池から電力が供給される前記デバイスは、RTC回路であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池でバックアップされたデバイスと、このデバイスと通信を行う制御回路を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス間のデータ通信にバスを用いることがある。この場合、バスに複数のデバイスが接続される。データ伝送路として、バスは複数のデバイスで共用される。複数のデバイスが同時にバスを使用した場合、データ(信号)の衝突が起きる。正しくデータの送受信ができない。バスでの衝突を避けるための技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、CPUと、CPUからのWrite/Readアクセスに対応するレジスタを有するインターフェース部を備えた信号処理用デバイス(ASICやFPGA)の間に接続され、CPUからアドレス、データおよびWrite制御信号が入力されたとき、アドレスに該当するデバイスのレジスタに対してデータを書き込むとともに、外部接続されたRAMにデータをアドレスごとに記憶し、CPUからアドレス、およびRead制御信号が入力されたとき、アドレスに該当するデバイスのレジスタまたは外部接続されたRAMの該当アドレスのいずれか一方にアクセスしてデータを読み出すとともに、読み出したデータをCPUへ出力するCPUバスアクセス補助回路が記載されている。この構成により、内部回路(ASIC、FPGA)へのCPUインターフェース部のリードアクセスを、バス衝突を発生することなく省略しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0013])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−117050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置に複数のデバイスを搭載することがある。また、マスターデバイスとしての制御ICと各デバイス(スレーブデバイス)をバスで接続することがある。バスはデータ通信用の信号線を含む。これにより、制御ICと各デバイスはデータ通信可能に接続される。また、バスにクロック用信号線を含める場合がある。例えば、制御ICがクロック信号を出力する。クロック信号はクロック用信号線に入力される。その結果、動作用のクロック信号が各デバイスに供給される。
【0006】
画像形成装置の電源がOFFされたとき、制御ICと各デバイスへの電力供給が停止される。電力供給停止により、制御ICやデバイスが停止する。また、制御ICはクロック信号の出力を停止する。次の電源ONのとき、制御ICと各デバイスへの電力供給が開始される。制御ICや各デバイスは起動を開始する。制御ICと各デバイスは、予め定められた起動処理(初期動作)を行う。例えば、制御ICはクロック信号の出力を開始する。また、制御ICはデバイスとの通信を開始する。通信により、制御ICはどのようなデバイスが接続されているかを確認する。
【0007】
ここで、デバイスを電池でバックアップすることがある。画像形成装置が電源OFFされても、電池と接続されたデバイス(電池接続デバイス)への電力供給は続く。そのため、リード中(データ送信中)に制御ICのクロック信号の供給が停止した場合、電池接続デバイスはウェイト状態となる。つまり、電池接続デバイスは、次のクロック信号を待つ状態となる。次のクロック信号の入力により、電池接続デバイスは、未送信データの送信を再開する。
【0008】
画像形成装置が電源ONされたとき、制御ICは起動処理を行う。起動処理のとき、制御ICはクロック信号の出力を開始する。これにより、各デバイスへのクロック信号の供給が開始される。一方、データ送信中(信号線へのデータ信号入力中)にウェイト状態になった電池接続デバイスは、クロック信号供給開始と同時に未送信データの送信を再開する。クロック信号の供給開始と同時に制御ICがデータ(コマンド)出力を開始すると、データの衝突が生ずる。つまり、制御ICと電池接続デバイスが同時にデータ信号線に入力するため、正常な通信を行うことができない。
【0009】
衝突による通信エラー回避のため、起動処理の過程で、電池接続デバイスから不要なデータを吐き出させる期間を設ける場合がある。例えば、制御ICのクロック信号の供給開始後、一定期間内に受信したデータを破棄するように制御ICや各デバイスを設定する場合がある。しかし、吐き出しが終わるまで制御ICはデータ出力を開始できない。そのため、起動処理に要する時間が長くなるという問題がある。電池接続デバイスに出力待ちのデータが残っているとは限らない。しかし、電池接続デバイスに送信待ちのデータが残っているか否かは判別できない。そのため、電源ONのとき、毎回、データ衝突の回避のための時間を設けなくてはならない。
【0010】
ここで、特許文献1記載のCPUバスアクセス補助回路は、デバイスのレジスタの設定値の読み出しでの衝突を回避する。しかし、特許文献1記載の技術は、電池でバックアップされたデバイスと関係がない。また、起動処理に要する時間の長期化と関係がない。従って、上記の問題を解決することはできない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、起動時のデータ衝突回避のための時間を不要とし、起動処理に要する時間を短くする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題解決のため、請求項1に係る画像形成装置は、制御回路と、複数のデバイスと、電源装置と、クロック信号線と、データ信号線と、クロック入力部と、電源断検知部と、を備える。前記電源装置は、前記制御回路と複数の前記デバイスに電力を供給する。前記クロック信号線は、前記制御回路とそれぞれの前記デバイスを接続する。前記クロック信号線は、前記制御回路が出力する第1クロック信号を前記デバイスに入力する。前記データ信号線は、前記制御回路とそれぞれの前記デバイスを接続する。前記データ信号線は、前記制御回路と前記デバイス間でやりとりされるデータを伝える。前記クロック入力部は、前記クロック信号線と接続される。前記電源断検知部は、画像形成装置の電源OFFに基づく前記電源装置の動作停止を検知する。複数の前記デバイスのうち、少なくとも1つの前記デバイスは電池から電力が供給される。前記電源断検知部の出力に基づき前記電源装置の動作停止を認識したとき、前記制御回路は、前記第1クロック信号の出力を停止する。また、前記制御回路は前記クロック入力部の動作を開始させる。前記クロック入力部は、動作開始後、予め設定された個数の第2クロック信号を生成する。前記クロック入力部は、生成した前記第2クロック信号を前記クロック信号線に入力し、その後、動作を停止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、起動時のデータ衝突回避のための時間を無くすことができる。従って、画像形成装置の起動処理に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るプリンターの一例を示す図である。
図2】実施形態に係るプリンターのバスの一例を示す図である。
図3】実施形態に係る制御回路と各デバイスへの電力供給の一例を示す図である。
図4】電池でバックアップされたデバイスの問題点を説明するためのタイミングチャートである。
図5】実施形態に係るプリンターで電源がOFFされたときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係るプリンターに係るタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図6を用いて本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、画像形成装置として、プリンター100100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
【0016】
(プリンター100の概略)
次に、図1に基づき、実施形態に係るプリンター100を説明する。図1は、実施形態に係るプリンター100の一例を示す図である。
【0017】
プリンター100は、制御部10(制御基板)と記憶部2を含む。制御部10は、プリンター100の動作を制御する。記憶部2は、制御に必要なデータ、プログラムを記憶する。制御部10は、制御回路1と画像処理部11を含む。制御回路1は、CPUやSoCのような集積回路である。記憶部2は、ROM21、RAM22を含む。記憶部2はHDDのような大容量の記憶装置を備えてもよい。
【0018】
制御回路1は、記憶部2に記憶されるプログラム、データに基づきプリンター100の各部の制御を行う。制御回路1は、記憶部2に記憶されるプログラム、データに基づき、各種の演算処理を行う。画像処理部11は、画像データを画像処理する。画像処理部11は、濃度変換や拡大、縮小のような画像処理を行える。画像処理部11は、コンピューター200での設定内容(設定データ)に応じた画像処理を行う。
【0019】
記憶部2は、不揮発性の記憶装置と揮発性の記憶装置の組み合わせである。記憶部2は、プリンター100の制御用のプログラムやデータ(設定データ)を記憶する。また、記憶部2は、画像データを記憶できる。
【0020】
プリンター100は、操作パネル3を含む。操作パネル3は表示パネルとハードキーを含む。表示パネルは、プリンター100の状態、メッセージ、各種設定画面を表示する。制御部10は、表示パネルの表示を制御する。ハードキーはプリンター100の動作の設定操作を受け付ける。制御部10はハードキーによる使用者の操作内容を認識する。
【0021】
また、プリンター100は印刷部4を含む。印刷部4は、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、定着部4dを含む。制御部10は、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、定着部4dの動作を制御する。制御部10は、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を制御する。
【0022】
印刷ジョブのとき、制御部10は、用紙を1枚ずつ給紙部4aに供給させる。制御部10は、供給された用紙を搬送部4bに搬送させる。制御部10は、画像データに基づきトナー像を画像形成部4cに形成させる。制御部10は画像形成部4cにトナー像を転写させる。これにより、搬送される用紙にトナー像が転写される。制御部10は、用紙に転写されたトナー像を定着部4dに定着させる。搬送部4bはトナー定着後の用紙を機外に排出する。印刷済の用紙は排出トレイ(不図示)に排出される。プリンター100は、印刷時に用いる回転体を回転させるモーター4eを複数含む。例えば、回転体は、給紙や用紙搬送用のローラー、感光体ドラム、定着用のローラーである。印刷時、制御部10はモーター4eを回転させる。
【0023】
また、プリンター100は通信部12を含む。通信部12は通信用のハードウェアとソフトウェアを備える。例えば、ハードウェアは、ソケット、通信制御用チップ、通信データを記憶するメモリーである。ソフトウェアは、規格に沿って通信を行うためのソフトウェアである。通信部12はコンピューター200と通信可能に接続される。例えば、通信部12はネットワークを介してコンピューター200と接続される。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部12はコンピューター200から印刷用データを受信する。印刷用データは、印刷内容を示すデータと印刷設定を示すデータを含む。例えば、印刷内容を示すデータは、画像データやページ記述言語で記述されたデータである。制御部10は、印刷用データに基づく画像処理を画像処理部11に行わせる。制御部10は、画像処理後の画像データに基づく印刷を印刷部4に行わせる。
【0024】
また、プリンター100はRTC回路5(Real Time Clock回路)を含む。RTC回路5は時計として動作する。RTC回路5は、少なくとも、年、月、日、時、分、秒を計る。また、プリンター100は、センサー6を含む。センサー6は1つとは限らず、複数でもよい。
【0025】
(プリンター100のバス101)
次に、図2を用いて、実施形態に係るプリンター100のバス101の一例を説明する。図2は、実施形態に係るプリンター100のバス101の一例を示す図である。
【0026】
プリンター100は、バス101を含む。例えば、バス101の規格として、I2C(アイ スクエアド シー)を採用することができる。採用できるバス101の規格は、I2Cに限られない。
【0027】
バス101は、プリンター100の制御回路1と各デバイス8との間でデータ通信を行うための共通の経路である。バス101はクロック信号線SCLとデータ信号線SDAを含む。制御回路1はクロック信号線SCL及びデータ信号線SDAと接続される。例えば、制御回路1にバス通信用回路が内蔵される。制御回路1は、少なくとも2つのバス通信用端子を含む。一方の端子1aにクロック信号線SCLが接続される。他方の端子1bにデータ信号線SDAが接続される。
【0028】
プリンター100は、複数のデバイス8を含む。例えば、バス101に接続されるデバイス8には、RTC回路5、ROM21、センサー6がある。例えば、センサー6は、温度センサーや湿度センサーである。温度センサーと湿度センサーの設置個数は、1つでもよいし、複数でもよい。上記以外のセンサー6をデバイス8としてプリンター100に設けてもよい。
【0029】
各デバイス8は、クロック信号線SCLとデータ信号線SDAに接続される。各信号線に接続されるデバイス数は画像形成装置により異なる。以下では、合計n個(nは2以上の正の整数)のデバイス8を各信号線に接続する例を説明する。また、n個のデバイス8のうち、第1デバイス81がRTC回路5であり、第2デバイス82がROM21であり、第nデバイス8nがセンサー6である例を説明する。
【0030】
各デバイス8は、少なくとも2つの端子を含む。一方の端子8aは、入力用端子であり、クロック信号線SCLと接続される。他方の端子8bは、入出力用の端子であり、データ信号線SDAと接続される。
【0031】
クロック信号線SCLは、制御回路1とそれぞれのデバイス8を接続する。制御回路1は第1クロック信号CL1を出力する。第1クロック信号CL1は各デバイス8の動作用クロックである。デバイス8は供給されるクロック信号に基づき動作する。制御回路1が出力した第1クロック信号CL1は、クロック信号線SCLに入力される。その結果、第1クロック信号CL1が各デバイス8に入力される。
【0032】
第1クロック信号CL1の出力のため、制御回路1はスイッチング回路1cを含む。例えば、スイッチング回路1cはCMOS回路である。スイッチング回路1cは、CMOS回路以外の回路でもよい。制御回路1(スイッチング回路1c)は、所定の周波数でクロック信号線SCLのレベル(HighレベルとLowレベル)を変化させる。
【0033】
データ信号線SDAは、制御回路1とそれぞれのデバイス8を接続する。データ信号線SDAは、制御回路1とデバイス8間でやりとりされるデータ信号を伝える。プリンター100では、制御回路1がマスターデバイスである。制御回路1はデータ信号線SDAでの通信を制御する。
【0034】
何れかのデバイス8にデータを書き込むとき、制御回路1は、write要求と、書き込み先(データを記憶させるデバイス8)を示すデータと、書き込むデータをデータ信号線SDAに入力する。書き込み先として指定されたデバイス8は、データを受信し、記憶する。
【0035】
何れかのデバイス8からデータを読み出すとき、制御回路1は、read要求と、読み出し元(データを読み出すデバイス8)を示すデータと、読み出すデータを示す信号をデータ信号線SDAに入力する。読み出し元として指定されたデバイス8は、データを受信する。そして、読み出し元として指定されたデバイス8は、要求されたデータをデータ信号線SDAに入力する。制御回路1は、デバイス8が出力したデータを受信する。
【0036】
例えば、RTC回路5から時間(時刻)を読み出すとき、制御回路1は、RTC回路5に時間の読み出しを要求する。要求を受けたRTC回路5は、時間を示すデータをデータ信号線SDAに入力する。制御回路1は、データ信号線SDAに入力されたデータを受信する。これにより、制御回路1(制御部10)は、現在の時間を認識する。
【0037】
プリンター100は電源装置7を含む。電源装置7は、データ信号線SDAに電圧Vddを印加する。電源装置7はプルアップ抵抗R1を介してデータ信号線SDAに電圧Vddを印加する。データ信号線SDAはプルアップされる。例えば、電圧Vddは、DC3.3Vである。電圧Vddは、3.3V以外の値でもよい。制御回路1と各デバイス8は、データ信号線SDAをグランドに接続することによりデータ信号線SDAのレベルを変化させる。つまり、制御回路1と各デバイス8は、オープンドレイン又はオープンコレクタ方式でデータをやりとりする。
【0038】
制御回路1と各デバイス8は、データ信号線SDAとグランドの接続、非接続を切り替えるためのトランジスタ(不図示)を含む。グランドとデータ信号線SDAを接続した場合、データ信号線SDAはLowレベルになる。グランドとデータ信号線SDAを接続していない場合、データ信号線SDAはHighレベルとなる。制御回路1と各デバイス8に含まれるコントローラー8cがトランジスタのON/OFFを制御する。
【0039】
なお、図2に示すように、電源装置7はクロック信号線SCLと接続されない。一方で、クロック信号線SCLには、クロック入力部9が接続される。クロック入力部9は、予め定められた周波数でHighレベルとLowレベルが変化する第2クロック信号CL2を出力する回路である。クロック入力部9は、例えば、タイマー回路である。第2クロック信号CL2の周波数は、第1クロック信号CL1の周波数以下とする。具体的には、クロック入力部9の出力端子とクロック信号線SCLが接続される。クロック入力部9は、生成した第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。
【0040】
(制御回路1と各デバイス8への電力供給)
次に、図3を用いて、実施形態に係る制御回路1と各デバイス8への電力供給の一例を説明する。図3は、実施形態に係る制御回路1と各デバイス8への電力供給の一例を示す図である。
【0041】
プリンター100は、電源スイッチ70を含む。電源スイッチ70を操作することにより、使用者は電源ON状態と電源OFF状態を切り替えることができる。例えば、会社の始業に合わせて使用者はプリンター100を電源ON状態にする。会社の終業にあわせて使用者は、プリンター100を電源OFF状態にする。
【0042】
図1図3に示すように、プリンター100は電源装置7を含む。電源装置7は1次電源部71と2次電源部72を含む。また、電源装置7は、商用電源(コンセント)と接続される。商用電源からの電力は1次電源部71に入力される。
【0043】
1次電源部71は商用電源から供給される交流電力を変換する。1次電源部71は直流電圧を生成する。例えば、1次電源部71はモーター4e用のDC24Vを生成する。例えば、1次電源部71は、トランス、トランジスタ、ダイオード、コンデンサー、コイルを含むスイッチング電源である。
【0044】
2次電源部72は1次電源部71が生成した直流電圧を変換する(降圧する)。2次電源部72は低圧電源である。電源ON状態のとき2次電源部72が動作する。電源OFF状態のとき2次電源部72は動作しない。2次電源部72は、電源スイッチ70によりプリンター100の電源がONされたとき、動作を開始する。プリンター100の電源がOFFされたとき2次電源部72は動作を停止する。2次電源部72は、少なくとも、制御回路1と各デバイス8に電力を供給する。2次電源部72は、制御回路1、第1デバイス81(RTC回路5)、第2デバイス82(ROM21)、第nデバイス8n(センサー6)に電力を供給する。2次電源部72は、通信部12、画像処理部11、操作パネル3にも電力を供給する。
【0045】
2次電源部72は複数種類の直流電圧を生成する。供給先の動作に必要な電圧が生成される。例えば、2次電源部72は、DC5V、3.3V、2.5V、1.8Vのように複数種の電圧を生成できる。そのため、2次電源部72は複数の電力変換回路を含む。例えば、電力変換回路はDCDCコンバーターである。2次電源部72は対応する大きさの電圧を供給先に入力する。
【0046】
また、プリンター100には電源断検知部73が設けられる。プリンター100の電源がOFFされたとき、2次電源部72の動作が停止する。電源断検知部73は、プリンター100の電源OFFに基づく電源装置7(2次電源部72)の動作停止を検知する。言い換えると、電源断検知部73は、プリンター100の電源OFFを検知する。動作停止を検知したとき、電源断検知部73は停止通知を制御回路1に入力する。制御回路1は電源断検知部73の出力に基づき、電源装置7の動作停止を認識する。
【0047】
例えば、電源断検知部73は比較回路である。電源断検知部73は規定電圧値を生成する。電源断検知部73は、2次電源部72から制御回路1に供給される電圧と規定電圧値を比較する。2次電源部72の動作停止により、2次電源部72から制御回路1に供給される電圧が次第に低下する。2次電源部72が制御回路1に供給する電圧が規定電圧値以上になった後、2次電源部72が制御回路1に供給する電圧が規定電圧値を下回ったとき、電源断検知部73は電源装置7(2次電源部72)が動作を停止したと認識する。なお、規定電圧値は、2次電源部72が制御回路1に供給する電圧値(予め設定された電圧値)よりも小さい。また、規定電圧値は制御回路1の最低動作電圧値よりも大きい。予め設定された電圧値>規定電圧値>最低動作電圧値の関係がある。
【0048】
ここで、各信号線に接続されたデバイス8のうち、第1デバイス81(RTC回路5)には電池50から電力が供給される。プリンター100は、電池50から電力供給を受けるデバイス8を少なくとも1つ含む。電池50からの電力供給により、電源OFF状態でも(2次電源部72が動作を停止していても)第1デバイス81は動作可能である。
【0049】
電源装置7が制御回路1と各デバイス8に電力を供給している間、制御回路1は、クロック入力部9を動作させない。例えば、プリンター100の電源ON状態では、制御回路1はクロック入力部9を動作させない。電源断検知部73から停止通知を受信したとき、制御回路1は、クロック入力部9の動作を開始させる。例えば、電源装置7(2次電源部72)が動作を停止したとき、制御回路1はクロック入力部9の動作を開始させる。クロック入力部9は、動作を開始後、予め設定された個数の第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。その後、クロック入力部9は動作を停止する。
【0050】
図3に示すように、電池50がクロック入力部9に電力を供給してもよい。この場合、クロック入力部9は、電池50から供給される電力を用いて第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。これにより、電源装置7(2次電源部72)が動作を停止しても、クロック入力部9を動作させることができる。
【0051】
また、図3に示すように、クロック入力部9に対し、キャパシターC1を設けてもよい。この場合、キャパシターC1の一端はクロック入力部9と電源装置7に接続される。キャパシターC1の他端はグランドに接続される。電力供給中、電源装置7はキャパシターC1を充電する。クロック入力部9は、電源断検知部73による電力供給遮断の検知の前にキャパシターC1に充電された電荷を用いて第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。電源装置7からの電力供給が停止されても、クロック入力部9を動作させることができる。
【0052】
なお、電池50がクロック入力部9に電力を供給する場合、キャパシターC1を設けなくてもよい。キャパシターC1を設ける場合、電池50からクロック入力部9に電力を供給しなくてよい。
【0053】
(電池50でバックアップされたデバイス8の問題点)
次に、図4を用いて、電池50でバックアップされたデバイス8の問題点を説明する。図4は、電池50でバックアップされたデバイス8の問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【0054】
図4のタイミングチャートのうち、上段のチャート(波形)は、2次電源部72の出力電圧の波形の一例を示す。例えば、2次電源部72が制御回路1に供給する電圧波形の一例を示す。中段のチャートは、制御回路1が出力するクロック信号の波形の一例を示す。下段のチャートは、データ信号の一例を示す。
【0055】
図4のデータのうち、例えば、第1データD1は、RTC回路5からの時間の読み出しを要求するデータである。制御回路1は、第1データD1において、RTC回路5に時間の読み出し要求を送信している。
【0056】
図4のデータのうち、第2データD2はRTC回路5が送信したデータである。RTC回路5は、第2データD2をデータ信号線SDAに入力する。第2データD2において、RTC回路5は、制御回路1の要求に応じ、現在の時間を示すデータを送信している。図4のタイミングチャートのうち、時点t1は、RTC回路5がデータの送信を開始した時点である。
【0057】
電源スイッチ70が押されたことによって2次電源部72(電源装置7)の出力電圧が低下する。図4のタイミングチャートの時点t2は、電源断検知部73が電源装置7(2次電源部72)の動作停止を検知した時点である。プリンター100の電源OFFにより、クロック信号のHighレベル時の電圧も次第に低下する。やがて、有効なクロック信号が制御回路1からRTC回路5に供給されなくなる。つまり、図4では、RTC回路5のデータ送信完了前に電源装置7の動作が停止している。
【0058】
ここで、RTC回路5は電池50でバックアップされている。そのため、RTC回路5は未送信のデータを保持できる。RTC回路5は、送信待ち状態となる。図4の第2データD2のうち、破線部分が未送信データD3である。次にプリンター100の電源がONされ、制御回路1がクロック信号の出力を開始したとき、RTC回路5は未送信データD3の送信を再開する。
【0059】
図4のタイミングチャートのうち、時点t3はプリンター100が電源ON状態となった時点である。時点t3から2次電源部72の出力電圧の上昇が開始する。時点t4は、制御回路1がクロック信号の出力を開始する時点である。
【0060】
送信待ち状態でクロック信号の供給が開始されると、RTC回路5はデータ送信を再開する。データ衝突を避けるため、制御回路1はクロック信号の出力開始と同時にデータ出力を開始できない。図4のうち、網掛け部分でデータの衝突が起きる可能性がある。データの衝突を避けるには、RTC回路5の未送信データD3の送信完了を待つ必要がある。クロック信号の出力開始後、待ち時間が経過してから、制御回路1はデータ出力を開始できる。待ち時間分、電源ON時の起動処理が遅くなる。
【0061】
そこで、プリンター100では、クロック入力部9が設けられる。クロック入力部9により、次のプリンター100の電源ONまでに、RTC回路5の未送信データD3を全て出力させる。言い換えると、電源OFF状態に移行した時点で、RTC回路5の送信待ち状態を解消する。以下、電源OFF状態への移行時の処理の流れの一例を説明する。
【0062】
(電源がOFFされたときの処理の流れ)
次に、図5図6を用いて、実施形態に係るプリンター100で電源がOFFされたときの処理の流れの一例を説明する。図5は、実施形態に係るプリンター100で電源がOFFされたときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態に係るプリンター100に係るタイミングチャートである。
【0063】
図5のフローチャートのスタートは、電源断検知部73が電源装置7(2次電源部72)の動作停止を検知した時点である。言い換えると、電源断検知部73の出力に基づき、制御回路1が電源装置7(2次電源部72)の動作停止を認識した時点である。
【0064】
図6においては、時点T1が、電源断検知部73の出力に基づき、制御回路1が電源装置7(2次電源部72)の動作停止を認識した時点である。ここで、図6のタイミングチャートのうち、最上段のチャート(波形)は、2次電源部72の出力電圧の波形の一例を示す。例えば、2次電源部72が制御回路1に供給する電圧波形の一例を示す。上から2段目のチャートは、電源断検知部73が制御回路1に入力する信号の波形の一例を示す。2次電源部72の出力電圧値が規定電圧値以上のとき、電源断検知部73は、Highレベルを出力する。2次電源部72の出力電圧値が規定電圧値未満のとき、電源断検知部73は、Lowレベルを出力する。電源断検知部73から入力される信号がLowレベルに変化したとき、制御回路1は、電源装置7の動作が停止したと認識する。また、上から3段目のチャートは、クロック信号線SCLに入力されるクロック信号の波形の一例を示す。最下段のチャートはデータ信号の一例を示す。
【0065】
まず、制御回路1は、デバイス8への要求(コマンド)の発行を停止する(ステップ♯1)。次に、制御回路1は、第1クロック信号CL1の出力を停止する(ステップ♯2)。図6では、時点T2は、第1クロック信号CL1の出力が停止された時点である。電源装置7(2次電源部72)の動作停止を認識したとき、制御回路1は、直ちに第1クロック信号CL1の出力を停止する。続いて、制御回路1は、クロック入力部9の動作を開始させる(ステップ♯3)。2次電源部72から入力される電圧が最低動作電圧を下回る前に、制御回路1は、動作開始をクロック入力部9に指示する。やがて、制御回路1は動作を停止する。
【0066】
クロック入力部9は、動作開始後、予め設定された個数の第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する(ステップ♯4)。図6では、クロック信号線SCLへの第2クロック信号CL2の入力開始時点が時点T3である。予め設定された個数は、第1デバイス81(電池50から電力が供給されるデバイス8)が、全データを送信できる数以上である。言い換えると、制御回路1から要求されたとき、RTC回路5が送信するデータ(時間を示すデータ)の全ビット数以上である。
【0067】
図6の最下段のチャートに示すように、第2クロック信号CL2によって、第1デバイス81(RTC回路5)から送信するデータが全て吐き出される。データ送信中に電源装置7の動作が停止しても、第1デバイス81は送信待ち状態とはならない。図6において、時点T4は第1デバイス81が全データを出力しきった時点である。その後、クロック入力部9は、動作を停止する(ステップ♯5)。クロック入力部9は必要最低限のみ動作する。動作時間の最短化が図られる。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0068】
図6において、時点T5は、プリンター100の電源がONされた時点である。電源装置7が動作を開始する。2次電源部72の出力電圧の上昇し始める。図6において、時点T6は、電源断検知部73が2次電源部72の出力電圧値が規定電圧値以上になったことを検知した時点である。これにより、電源断検知部73は、Highレベルの信号を制御回路1に入力する。
【0069】
起動処理時、制御回路1による第1クロック信号CL1の供給開始にあわせ、第1デバイス81(RTC回路5)が未送信データD3の出力を再開することがなくなる。従って、図6に示すように、第1クロック信号CL1の供給開始当初から、制御回路1と各デバイス8はデータのやりとりを開始できる。
【0070】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、制御回路1、複数のデバイス8、電源装置7、クロック信号線SCL、データ信号線SDA、クロック入力部9、電源断検知部73を備える。電源装置7は、制御回路1と複数のデバイス8に電力を供給する。クロック信号線SCLは、制御回路1とそれぞれのデバイス8を接続する。クロック信号線SCLは、制御回路1が出力する第1クロック信号CL1をデバイス8に入力する。データ信号線SDAは、制御回路1とそれぞれのデバイス8を接続する。データ信号線SDAは、制御回路1とデバイス8間でやりとりされるデータを伝える。クロック入力部9は、クロック信号線SCLと接続される。電源断検知部73は、画像形成装置の電源OFFに基づく電源装置7の動作停止を検知する。デバイス8のうち、少なくとも1つのデバイス8(RTC回路5)は電池50から電力が供給される。電源断検知部73の出力に基づき電源装置7の動作停止を認識したとき、制御回路1は、第1クロック信号CL1の出力を停止する。また、制御回路1はクロック入力部9の動作を開始させる。クロック入力部9は、動作開始後、予め設定された個数の第2クロック信号CL2を生成する。クロック入力部9は、生成した第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力し、その後、動作を停止する。
【0071】
これにより、第1クロック信号CL1の停止後、第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力することができる。データ送信中に第1クロック信号CL1の供給が停止されても、第2クロック信号CL2により、電池50でバックアップされたデバイス8(バックアップデバイス8、RTC回路5)にデータ送信を続けさせることができる。バックアップデバイス8に全データを吐き出させることができる。クロック信号の待ち状態は、次の起動時まで持ち越されない。従って、バックアップデバイス8から不要なデータを吐き出させるための期間を起動処理時に設ける必要がない。起動処理に要する時間を短くすることができる。起動時、制御回路1は、第1クロック信号CL1の供給開始と同時に各デバイス8と通信を開始できる。データの衝突や通信エラーは生じない。
【0072】
また、予め設定された個数は、電池50から電力が供給されるデバイス8が制御回路1から要求されたデータを全て送信できる数以上である。これにより、バックアップデバイス8のリード中に第1クロック信号CL1の供給が停止された場合、第2クロック信号CL2に基づき、バックアップデバイス8から全データを送信させることができる。電源装置7の動作停止により第1クロック信号CL1の供給が停止されるとき、バックアップデバイス8に全データを吐き出させることができる。
【0073】
電源装置7の動作停止を認識したとき、制御回路1は、デバイス8への要求の発行停止後、第1クロック信号CL1の出力を停止する。そして、制御回路1は、クロック入力部9の動作を開始させる。これにより、第1クロック信号CL1の供給停止前に、制御回路1から新たな要求は出されない。第2クロック信号CL2への切替後、バックアップデバイス8のみにデータを出力させることができる。また、第1クロック信号CL1の出力停止後、第2クロック信号CL2の供給が開始されるので、第1クロック信号CL1と第2クロック信号CL2の衝突はない。
【0074】
電池50がクロック入力部9に電力を供給してもよい。この場合、クロック入力部9は、電池50から供給される電力を用いて第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。これにより、電源装置7が動作を停止しても、クロック入力部9を動作させることができる。クロック入力部9は、バックアップデバイス8にデータを吐き出させる間だけ動作する。クロック入力部9の動作期間は限られる。そのため、電池50の寿命に大きな影響はない。クロック入力部9のための電池50を特別に設ける必要がない。
【0075】
また、画像形成装置にキャパシターC1を設けてもよい。この場合、キャパシターC1とクロック入力部9が接続される。クロック入力部9は、電源装置7の動作停止前にキャパシターC1に充電された電荷を用いて第2クロック信号CL2をクロック信号線SCLに入力する。これにより、電源装置7が動作を停止しても、クロック入力部9を動作させることができる。クロック入力部9のための電池50を特別に設ける必要がない。
【0076】
電源装置7は、プルアップ抵抗R1を介してデータ信号線SDAに電圧を印加する。電源装置7は、クロック信号線SCLと接続されない。デバイス8は、データ信号線SDAをグランドに接続することによりデータ信号線SDAのレベルを変化させる。制御回路1は、スイッチングにより第1クロック信号CL1のレベルを変化させる。これにより、クロック信号線SCLと電源装置7は接続されない。そのため、第2クロック信号CL2に基づく電流が、クロック信号線SCLを介して動作停止状態の電源装置7に流れ込まない。電源装置7への不要な電流の回り込みがない。また、第2クロック信号CL2によってデータを吐き出すとき、バックアップデバイス8はデータ信号線SDAをグランドに接続する動作を行う。従って第2クロック信号CL2に基づきデータが送信されても、制御回路1や他のデバイス8への電流の流れ込みはない。第2クロック信号CL2に基づきバックアップデバイス8がデータを送信しても、電源装置7、制御回路1、各デバイス8に悪影響はない。
【0077】
電池50から電力が供給されるデバイス8は、RTC回路5である。これにより、RTC回路5を搭載しても、画像形成装置の起動に要する時間を短くすることができる。
【0078】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、制御回路と複数のデバイスを含む画像形成装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0080】
100 プリンター(画像形成装置) 1 制御回路
5 RTC回路(第1デバイス) 50 電池
7 電源装置 73 電源断検知部
8 デバイス 81 第1デバイス
82 第2デバイス 8n 第nデバイス
9 クロック入力部 SCL クロック信号線
SDA データ信号線 C1 キャパシター
R1 プルアップ抵抗 CL1 第1クロック信号
CL2 第2クロック信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6