特許第6589957号(P6589957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6589957画像形成装置、その制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589957
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】画像形成装置、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/35 20130101AFI20191007BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20191007BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20191007BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20191007BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20191007BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G06F21/35
   H04N1/00 838
   G06F21/31
   G06F3/12 322
   G06F3/12 338
   G06F3/12 336
   B41J29/00 Z
   B41J29/38 Z
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-195201(P2017-195201)
(22)【出願日】2017年10月5日
(62)【分割の表示】特願2013-247730(P2013-247730)の分割
【原出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-41476(P2018-41476A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 敦
【審査官】 宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−276245(JP,A)
【文献】 特開2009−276866(JP,A)
【文献】 特開2013−191209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31−21/46
B41J 29/00
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置であって、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶手段と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示手段と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御をする制御手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記条件は、前記携帯記憶媒体と前記装置との距離にかかる条件であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記携帯記憶媒体のうち前記条件を前記所定の時間以上満たしていることが検知されてから更に一定時間前記条件を満たし続けている携帯記憶媒体に対応する前記識別情報を、前記機能の利用をさせないユーザの識別情報として決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記選択画面表示手段は、前記決定手段により決定された識別情報以外の、前記所定の時間以上前記条件を満たしている複数の携帯記憶媒体に対応する識別情報を選択可能な選択画面を表示することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置の制御方法であって、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得工程と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶工程と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示工程と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御する制御工程と、
を含む制御方法。
【請求項6】
複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置で実行が可能なプログラムであって、
前記装置を、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶手段と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示手段と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御をする制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
複数の携帯記憶媒体と、複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置とを含む情報処理システムであって、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶手段と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示手段と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
複数の携帯記憶媒体と、複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置とを含む情報処理システムの制御方法であって、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得工程と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶工程と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示工程と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御する制御工程と、
を含む制御方法。
【請求項9】
複数の携帯記憶媒体と、複数の携帯記憶媒体を検知可能な装置とを含む情報処理システムを制御するためのプログラムであって、
前記情報処理システムを、
検知した前記携帯記憶媒体に対応する識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報により特定されるユーザによる前記装置の機能の利用を可能にする条件を記憶する条件記憶手段と、
所定の時間以上前記条件を満たしている携帯記憶媒体を複数検知した場合に、当該複数の携帯記憶媒体に対応する前記識別情報のいずれかを選択可能な選択画面を表示する選択画面表示手段と、
前記選択画面において選択された識別情報により特定されるユーザによる前記機能の利用を可能にする制御する制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その制御方法及びプログラムに関する
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、装置の使用時に、使用するユーザを特定するためのユーザ情報の入力を要求し、特定されたユーザに応じて装置の使用を許可する、いわゆるユーザ認証可能なものがある。そして、このユーザ認証方式には、様々な方式が提案されている。
【0003】
ユーザ認証方式の一つとして、特許文献1や特許文献2に開示されているように、画像形成装置と無線通信可能な携帯端末が近づくと、携帯端末に記憶されているユーザ情報を画像処理装置に送信する自動入力方式がある。この方式では、自動ログインしたユーザが画像形成装置から離れると自動ログアウトする方法も開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、画像形成装置へのログイン可能な距離を、画像形成装置に当該ユーザの印刷ジョブの投入状況によって切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−181154号公報
【特許文献2】特開2008−200898号公報
【特許文献3】特開2011−65369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像形成装置から携帯端末までの距離や通信可否に応じて、自動で当該画像形成装置へのログイン処理を行う場合、携帯端末を所持するユーザが画像形成装置の近くを通りかかっただけで、意図せずログイン処理が行われてしまい、セキュリティが低下してしまう。
【0007】
本発明は、時間の情報を用いて、装置の機能を容易に利用可能とする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置にログインするためのユーザ情報を記憶した携帯記憶媒体と通信可能な画像形成装置であって、前記携帯記憶媒体より前記ユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、前記携帯記憶媒体の移動速度を取得する速度取得手段と、前記速度取得手段で取得した速度が所定の速度に達しているか判定する判定手段と、前記判定手段で、前記速度取得手段で取得した速度が所定の速度に達していると判定した場合に、前記ユーザ情報取得手段で取得した前記ユーザ情報を用いた認証を行うべく制御する認証制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時間の情報を用いて、装置の機能を容易に利用可能とする仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における、画像形成管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態における、クライアントPC、携帯端末、サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態における、複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態における、各装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態における、無線認証アプリケーションの起動処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態における、携帯端末の検知状況に応じたログイン処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態における、携帯端末の検知状況に応じたログイン処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態における、各種認証画面の構成の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態における、各種データテーブルの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態における、画像形成システム構成の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態における、画像形成システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、例えば、建物のフロア毎に設置する1又は複数の複合機300、1又は複数のクライアントPC100(例えば管理者に1台、ユーザ毎に1台ずつ)がLAN(Local Area Network)400を介して接続される。
複合機300は、プリンタ、スキャナ、コピー、ファクシミリ等の機能を有する画像形成装置である。
【0014】
認証サーバ200は、複合機300にユーザをログインさせるための認証情報(ユーザ情報/図9の認証テーブル900の説明で後述)を記憶している。また、当該認証情報には、携帯端末250の識別情報(端末ID)が含まれ、ユーザの識別情報(ユーザID)と対応付けられて記憶されている。
【0015】
携帯端末250(携帯記憶媒体)は、ユーザの所持する携帯端末であり、無線通信にて、携帯端末250の端末IDに対応するユーザIDを用いて複合機300にログインするための情報を送信する。当該送信する情報は、例えば、携帯端末250の端末IDである(携帯記憶媒体)。
【0016】
クライアントPC100は、複合機300の設定を行うPCで、ネットワークを介してHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)で複合機300と通信することができる機能を搭載したPCである。また、ユーザから印刷ジョブを投入するためのPCでもあり、ユーザがアプリケーションからプリンタドライバを介して印刷ジョブを生成し、プリンタドライバがLPR(Line PRinter Daemon)やその他の印刷プロトコルを用いて、印刷ジョブを複合機300に送信することができる。以上が図1の、本発明の実施形態における、画像形成システムのシステム構成の一例についての説明である。
【0017】
次に図2を参照して、本発明の実施形態における、クライアントPC、携帯端末、サーバのハードウェア構成の一例について説明する。図2は、クライアントPC、携帯端末、サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0019】
203はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0020】
また、205は入力コントローラで、キーボード(KB)209や不図示のマウス等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器への表示を制御する。なお、図2では、CRT210と記載しているが、表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。
【0021】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0022】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワーク(例えば、図1に示したLAN400)を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0023】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0024】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明も後述する。以上が図2の、本発明の実施形態における、クライアントPC、携帯端末、サーバのハードウェア構成の一例についての説明である。
【0025】
次に図3を参照して、本発明の実施形態における、複合機のハードウェア構成の一例について説明する。図3は、本発明の実施形態における、複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
図3において、316はコントローラユニットで、画像入力デバイスとして機能するスキャナ部314や、画像出力デバイスとして機能するプリンタ部312と接続する一方、LAN(例えば、図1に示したLAN400)や公衆回線(WAN)(例えば、PSTNまたはISDN等)と接続することで、画像データやデバイス情報の入出力を行う。
【0027】
コントローラユニット316において、301はCPUで、システム全体を制御するプロセッサである。302はRAMで、CPU301が動作するためのシステムワークメモリであり、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリでもある。
【0028】
303はROMで、システムのブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。304はハードディスクドライブ(HDD)で、システムを制御するための各種プログラム,画像データ等を格納する。
【0029】
307は操作部インタフェース(操作部I/F)で、操作部(キーボード)308とのインタフェース部である。また、操作部I/F307は、操作部308から入力した情報(例えば、ログイン(認証)に用いるユーザ情報、携帯端末の端末ID、複合機300本体に設置されたスタートボタン押下を受け付けた旨の情報)をCPU301に伝える役割をする。なお、操作部307はタッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下(指等でタッチ)することにより、各種指示を行うことができる。
【0030】
305はネットワークインタフェース(Network I/F)で、ネットワーク(LAN)400に接続する。また、無線通信も可能な構成となっており、赤外線やBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)を用いた通信にて他の装置と接続する。データの入出力を行う。306はモデム(MODEM)で、公衆回線に接続し、FAXの送受信等のデータの入出力を行う。
【0031】
318は外部インタフェース(外部I/F)で、USB、IEEE1394,プリンタポート,RS−232C等の外部入力を受け付けるI/F部であり、本実施形態においては認証で必要となる携帯端末(記憶媒体)の読み取り用の携帯端末リーダ319が外部I/F部318に接続されている。そして、CPU301は、この外部I/F部318を介して携帯端末リーダ319による携帯端末から送信された情報(例えば、画像形成装置へのログインのためのユーザ情報)の読み取りを制御し、該携帯端末から送信された情報を取得可能である。以上のデバイスがシステムバス309上に配置される。
【0032】
なお、携帯端末は、携帯端末リーダ319と通信可能であればカード型であっても携帯電話のような携帯端末であっても良い。つまり、携帯端末=ユーザ情報を記憶したICカードであって、携帯端末リーダ319=当該ICカードを検知することにより当該ICカード内の情報を読み取るICカードリーダであってもよいものとする。
【0033】
320はイメージバスインタフェース(IMAGE BUS I/F)であり、システムバス309と画像データを高速で転送する画像バス315とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
画像バス315は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス315上には以下のデバイスが配置される。
【0034】
310はラスタイメージプロセッサ(RIP)で、例えば、PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開する。311はプリンタインタフェース(プリンタI/F)で、プリンタ部312とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、313はスキャナインタフェース(スキャナI/F)で、スキャナ部314とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0035】
317は画像処理部で、入力画像データに対し補正、加工、編集を行ったり、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。また、これに加えて、画像処理部317は、画像データの回転や、多値画像データに対してはJPEG、2値画像データはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0036】
スキャナ部314は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサで走査することで、ラスタイメージデータとして電気信号に変換する。原稿用紙は原稿フィーダのトレイにセットし、装置使用者が操作部308から読み取り起動指示することにより、CPU301がスキャナ部314に指示を与え、フィーダは原稿用紙を1枚ずつフィードし原稿画像の読み取り動作を行う。
【0037】
プリンタ部312は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する部分であり、その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。プリント動作の起動は、CPU301からの指示によって開始する。なお、プリンタ部312には、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセットがある。
【0038】
操作部308は、LCD表示部を有し、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報を操作部I/F307を介してCPU301に伝える。また、操作部308は、各種操作キーとして、例えば、スタートキー、ストップキー、IDキー、リセットキー等を備える。
【0039】
尚、表示部はプリンタによって表示性能が異なり、タッチパネルを介して操作をできるプリンタ、単に液晶画面を備え文字列を表示(印刷状態や印刷している文書名の表示)させるだけのプリンタによって本発明は構成されている。
【0040】
ここで、操作部308のスタートキーは、原稿画像の読み取り動作を開始する時などに用いる。スタートキーの中央部には、緑と赤の2色LEDがあり、その色によってスタートキーが使える状態にあるかどうかを示す。また、操作部308のストップキーは、稼働中の動作を止める働きをする。また、操作部308のIDキーは、使用者のユーザIDを入力する時に用いる。リセットキーは、操作部からの設定を初期化する時に用いる。
【0041】
カードリーダ319は、CPU301からの制御により、ICカード(ICチップとして携帯端末内に備えられていてもよい)に記憶されている情報を読み取り、該読み取った情報を外部I/F部318を介してCPU301へ通知する。また、カードリーダ319はNFCの通信規格に対応しており、ICカードや携帯端末のICチップへの読み書きを行うことが可能な構成となっている。なお、NFC規格対応のカードリーダに、NFC規格対応の携帯端末をかざすと、認証を行い、携帯端末とプリンタ(複合機)とのペアリングを行う。そして、かざされた携帯端末とプリンタ(複合機)で通信(P2P)を確立してデータの通信を行うことが可能である。その他、高速通信規格である、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)に通信を引き継ぎ(ハンドオーバー)、携帯端末とプリンタ(複合機)間で通信を行わせることも可能である。例えば、携帯端末をカードリーダにかざすことで、携帯端末に記憶されている画像をプリンタ(複合機)へ送信することが可能となる。なお、NFCの通信規格の詳細は、従来技術であるため、説明を省略するものとする。
【0042】
上述した複合機300では、複合機300を制御するためのプラットフォームが存在し、このプラットフォーム上で、認証サーバと通信するための認証アプリケーションが動作している。認証アプリケーションはHDD304に記憶されている。プラットフォームが管理する、ログイン時にユーザ情報を格納するログインコンテキストや、各種設定情報は、HDD304上に領域が確保されている。
【0043】
また、プラットフォーム上には、複合機300の本体機能を拡張したアプリケーションがインストールされ、動作している。これらアプリケーションは、プラットフォームのAPIを用いて実行される。
このプラットフォームを介して、プリンタの各機能を制御することが可能な構成となっている。
【0044】
また、複合機300には、Webブラウザも記憶されており、Webシステムと連携することも可能である。この場合、Webアプリケーションサーバから受信した画面をWebブラウザを用いて表示する。Webブラウザ上で指示した命令は、Webアプリケーションサーバへ要求がなされ、Webアプリケーションサーバからの命令を受け付けることによって、複合機300により動作(スキャンやプリント処理)を実行することが可能である。
【0045】
以上のような構成によって、複合機300は、スキャナ部314から読み込んだ画像データをLAN400上に送信したり、LAN400から受信した印刷データをプリンタ部312により印刷出力することができる。
【0046】
また、スキャナ部314から読み込んだ画像データをモデム306により、公衆回線上にFAX送信したり、公衆回線からFAX受信した画像データをプリンタ部312により出力することできる。
【0047】
外部I/F部318に接続される携帯端末リーダ319は、CPU301からの制御により、携帯端末から端末識別情報を読み取り、また対象物(例えば携帯端末)との距離を取得するものである。例えば、無線通信と距離取得を同時に行える方法であっても良い。具体的には、UWB(Ultra Wide Band)方式を使った通信などがある。
【0048】
また、無線通信と距離取得手段を組み合わせた方法であっても良い。具体的には、無線通信には、RFID(Radio Frequency Identification)やBluetooth(登録商標)通信がある。
【0049】
また、当該距離取得には、GPS(Global Positioning System)による位置情報取得や、レーザビームによる位相差利用での距離取得がある。どのような方式で合っても、携帯端末リーダ319で読み取られた端末識別情報と対象距離は、外部I/F部318を介してCPU301へ通知される。以上が図3の、本発明の実施形態における、複合機のハードウェア構成の一例についての説明である。
【0050】
次に図4を参照して、本発明の実施形態における、各装置の機能構成の一例について説明する。図4は、本発明の実施形態における、各装置の機能構成の一例を示す図である。
【0051】
本発明の実施形態に係る画像形成システムは、クライアントPC100、認証サーバ200、複合機300が、双方向通信可能な所定のLAN400を介して接続した構成となっている。
【0052】
クライアントPC100の、印刷データ生成部401は、アプリケーションプログラムから受け取ったデータに基づいて印刷データ(ジョブ)を生成し、当該印刷データを複合機300等へ送信することができる。
【0053】
認証サーバ200の、複合機通信部421は、複合機300との認証要求の送受信を行う。認証テーブル管理部422は、認証サーバ内で管理する認証テーブルにアクセスし、認証要求された端末IDに紐付いたユーザ情報を検索し、認証結果を返す。
【0054】
複合機300の、ジョブ受信部431は、クライアントPC100の印刷データ生成部401から送信された印刷データ(ジョブ)を受信し、出力する。携帯端末リーダ制御部432は、携帯端末リーダが検知した携帯端末の端末IDおよび、物理的な距離を取得する。当該無線通信を用いた距離の取得方法については、既存技術のため、ここでは説明を割愛する。
【0055】
携帯端末テーブル管理部433は、図9に示す携帯端末テーブル920(後述)を複合機内にて管理する機能を持つ。この携帯端末テーブル920は、携帯端末リーダが捕捉している無線端末の情報を記録するテーブルである。
【0056】
認証条件判定部434は、図9に示す設定ファイル910に記載された設定内容に従い、携帯端末リーダが捕捉した携帯端末情報のうち1つを利用してログイン、ログアウトを実施するか否かを制御する機能を有する。
【0057】
認証サーバ通信部435は、認証サーバ200との認証要求の送受信を行う。認証部436は、認証システム全般の制御及び、認証に成功した際には当該ユーザ情報を用いて複合機の利用を許可させるものとする。以上が図4の、本発明の実施形態における、各装置の機能構成の一例についての説明である。
【0058】
次に図5を参照して、本発明の実施形態における、無線認証アプリケーションの起動処理の流れについて説明する。図5は、本発明の実施形態における、無線認証アプリケーションの起動処理の流れについて説明する。
【0059】
以下、フローチャートに示す処理は、複合機300のCPU301が、複合機300の各機能部の機能を用いて実行しているものとする。
【0060】
無線認証アプリケーションは、複合機300の外部メモリに記憶されている、携帯端末と通信を行い、ユーザ情報を取得するためのアプリケーションである。
【0061】
ステップS501では、複合機300の認証条件判定部434が、複合機の外部メモリに記憶されている、図9に示す設定ファイル910を取得する。本設定ファイルは事前に管理者が必要な内容で設定することで、複合機300の外部メモリに記憶されているものとし、携帯端末リーダ319が携帯端末を捕捉した場合に、当該携帯端末に記憶されたユーザ情報を用いた、複合機へのログイン、ログアウトを行うための条件が記載されているものとする。
【0062】
ここで図9を参照して、本発明の実施形態における、設定ファイルの構成の一例について説明する。設定ファイル910は、複合機300の外部メモリに予め記憶されているものとする。
【0063】
ログイン準備距離911は、複合機300のCPU301が、例えば、無線通信を行うことで検知した携帯端末250のうち、ログインの準備をしておくべき端末を特定するための距離情報である。
【0064】
つまり、例えば、複合機300のCPU301は、携帯端末リーダ319から、ログイン準備距離911(ここでは5m)以内にあると検知した端末の端末IDに対応するユーザID・パスワードを認証サーバ200に要求して取得し、例えば当該端末が複合機300の前で停止した場合等(つまり、ログイン条件(距離)912、ログイン条件(速度)913、ログイン条件(継続時間)914を満たす場合)に、当該端末のログイン処理を認証サーバに要求することなく行う。
【0065】
複合機300のCPU301は、ログイン条件(距離)912及びログイン条件(速度)913、ログイン条件(継続時間)914を満たす携帯端末250を検知した場合、当該携帯端末250に対応するユーザID,パスワードの情報を用いた複合機300へのログイン処理を行う。
【0066】
つまり、例えば、2秒以上(ログイン条件(継続時間)914以上)、複合機300(携帯端末リーダ319)から2m以内(ログイン条件(距離)912以内)に位置し、且つ、2秒以上(ログイン条件(継続時間)914以上)、移動速度が1km毎時以下(ログイン条件(速度)912以内)である携帯端末250を検知した場合に、当該携帯端末250の端末IDに対応するユーザID・パスワードを、認証サーバから取得済のるユーザID・パスワードの一覧(複合機300の外部メモリに記憶)より取得してログイン処理を実行する。
【0067】
ログアウト条件915は、ログイン中のユーザのログアウトを行うための条件である。例えば、ログイン中のユーザIDに対応する携帯端末(端末IDの示す端末)が、複合機300より3m以上(ログアウト条件915以上)離れたことを検知した場合に、複合機300のCPU301は、当該ログイン中のユーザのログアウト処理を行う。
【0068】
「ログイン中に他ユーザがログイン条件をクリア(満たした)した場合の処理」916は、複合機300にユーザがログイン中に、他のユーザがログイン可能な状態(全てのログイン条件を満たす状態)になった場合に、複合機300がどのような処理を実行するかの値を設定する項目である。「ログアウトさせる」の場合、ログイン中ユーザを強制ログアウトさせる。「ログアウトさせない」の場合、ログイン中ユーザのログイン状態を継続する。
【0069】
「同時に複数ユーザがログイン条件をクリアした(満たした)場合の処理」917は、複数のユーザ(携帯端末)が、ログイン条件の全てを満たしており、ログイン可能な状態にある場合の処理を設定する項目である。
【0070】
「選択式」の場合、当該複数のユーザのうち何れのユーザ情報を以てログインを行うかをユーザに選択させる選択画面を表示する。「近距離を優先」の場合、ログイン可能な端末のうち、最も複合機300からの距離が短い端末の端末IDに対応するユーザID・パスワードを用いたログイン処理を行う。「ログインさせない」の場合、ログイン処理を行わない。以上が図9に示す設定ファイル910の説明である。
【0071】
図5の説明に戻る。ステップS502では、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、複合機内で管理される図9に示す携帯端末テーブル920を取得する。携帯端末テーブル920は携帯端末リーダ319が捕捉している携帯端末情報を記憶・管理するテーブルである。
ここで図9を参照して、本発明の実施形態における、携帯端末テーブルの構成の一例について説明する。
【0072】
端末ID921は、複合機300のCPU301が、携帯端末リーダ319の機能を用いて補足している(検知している)携帯端末250の端末識別情報である。更新時刻922は、端末ID921の示す携帯端末250を検知することにより距離923、速度924、継続時間925、状態926を更新した最新の日時の情報(日時情報)である。
【0073】
距離923は、複合機300から携帯端末250までの距離の情報である。速度924は、携帯端末250の移動速度の情報である。継続時間925は、携帯端末250が、設定ファイル910に設定されているログイン条件(距離)912、ログイン条件(速度)913の条件を継続して満たしている時間の情報である(時間記憶手段に該当)。
【0074】
状態926は、当該端末ID921に対応するユーザIDを用いたログインがされている状態か否かを示す。ユーザID927は、ログイン中のユーザIDを示す。以上が条件フラグ928は、各データが、設定ファイル910のログイン条件(912〜914)を全て満たしているか否かを示す。全てのログイン条件を満たしている場合、条件フラグ928=1とする。また、ログイン条件のいずれか1つでも満たしていない場合、条件フラグ928=0とする。以上が図9の、携帯端末テーブルの構成の一例についての説明である。
【0075】
図5の説明に戻る。ステップS503では、複合機300の認証部436が、図8に示す無線認証画面を表示する。
【0076】
ここで図8を参照して、本発明の実施形態における、無線認証画面の構成の一例について説明する。
【0077】
認証画面800は、複合機300(無線認証アプリケーション)の起動中に複合機300の表示部に表示される画面である。無線認証アプリケーション起動時に、「無線認証」ボタンが押下された状態になり、携帯端末250と通信を行って、当該携帯端末250までの距離、携帯端末250の移動速度等を取得するモード(無線認証モード)となる。
【0078】
ユーザ操作によって「キーボード認証」ボタンの押下を受け付けた場合、不図示のパスワード入力画面に画面を遷移させ、ユーザ操作によるユーザID・パスワードの入力受付、当該ユーザID・パスワードを用いたログイン処理を行うモード(手動認証モード)に移行する。
【0079】
尚、当該パスワード入力画面の終了、又は、パスワード入力画面を介したログインを行ったログインユーザのログアウト処理を以て、表示画面を認証画面800に戻す(つまり、認証モードを無線認証モードに戻す)。以上が認証画面800の説明である。
【0080】
ユーザ選択画面810は、複数のログイン可能ユーザの一覧から、ログインするユーザの選択を受け付ける画面である。当該ユーザ選択画面810の詳細は後述する。以上が図8の、本発明の実施形態における、無線認証画面の構成の一例についての説明である。
【0081】
図5の説明に戻る。ステップS504では、複合機300の携帯端末リーダ制御部432が、携帯端末リーダが携帯端末250を捕捉しているかを確認して、当該補足の状況に応じたログイン処理を行う。
【0082】
携帯端末リーダはその特性上、一度に複数の端末を捕捉することが可能である。これ以降、捕捉内容およびステップS501で取得した設定ファイルの内容に従って複合機へのログイン、ログアウトが行われる。詳細な処理については、図6及び図7の説明で後述する。
【0083】
また、携帯端末リーダが無線端末を捕捉する方法は、無線端末から情報発信するアクティブ型と、携帯端末リーダから無線端末に情報を通知することで無線端末が返答するパッシブ型に大別される。ここでは、パッシブ型の通信を行うものとするが、携帯端末を補足して情報を取得することが出来ればよいため、アクティブ型を採用するようにしてもよい。
【0084】
ステップS505では、複合機300の携帯端末リーダ制御部432が、一定間隔で処理を停止する。停止後は再度ステップS504の処理を実施する。即ち、本アプリケーションは定期的に携帯端末リーダから携帯端末の情報を取得している。一定間隔で携帯端末との距離を捕捉(検知)することにより、携帯端末が携帯端末リーダに対して向かう速度が計測可能となる。
【0085】
例えば、0.5秒毎に携帯端末250と通信を行い、当該携帯端末250を検知して、複合機300と携帯端末250の間の距離を算出する。そして、当該携帯端末250の端末IDに対応付けて外部メモリに記憶し、最後に算出した携帯端末250と複合機300との間の“距離A”と、1つ前に算出した携帯端末250と複合機300との間の“距離B”とを取得して、当該2つの距離の差(最短の差)を算出する。ここでは、当該差を示す値を“距離C”とする。
複合機300のCPU301は、当該“距離C”を移動時間(0.5秒)で割り、携帯端末250が“距離C”を移動した速度を算出する。
【0086】
尚、上記算出方法においては、携帯端末250(携帯端末を携帯したユーザ)が、複合機300に対して真っ直ぐ移動してきた場合、又は、複合機300から真っ直ぐ離れていく場合に、より精度の高い速度算出が可能になる。
【0087】
また、ここでは上記速度の算出方法を取ったが、本発明において、当該速度の算出は、携帯端末250が所定の速度より早い速度で移動しているか、所定の速度以下で移動している又は停止しているか、を判定するために行うものであり、当該速度の情報を得られればよいため、必ずしも上記算出方法を用いずともよい。
【0088】
例えば、携帯端末250と通信を行ったタイミングで(例えば、上記0.5秒毎に)、携帯端末250がGPS機能を用いて取得した位置情報を取得して、上記“距離A”と“距離B”を算出した時点でのそれぞれの位置情報から、当該2つの位置情報の示す位置を結ぶ直線距離を“距離C”として算出し、当該“距離C”を移動時間(0.5秒)で割り、携帯端末250が“距離C”を移動した速度を算出するようにしてもよい。以上が図5の、本発明の実施形態における、無線認証アプリケーションの起動処理の流れについての説明である。
【0089】
次に図6及び図7を参照して、本発明の実施形態における、携帯端末250の検知状況に応じたログイン処理の流れについて説明する。図6及び図7は、本発明の実施形態における、携帯端末250の検知状況に応じたログイン処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS601では、複合機300の携帯端末リーダ制御部432が、携帯端末リーダが無線端末を捕捉(検知)したか否かを判定する。捕捉した場合はステップS602へ進み、捕捉していない場合はステップS605へ進む。
【0091】
ステップS602では、複合機300の携帯端末リーダ制御部432が、携帯端末リーダが捕捉した携帯端末の端末IDおよび、携帯端末リーダとの距離を取得(算出)する(距離特定手段/ユーザ情報取得手段に該当)。
【0092】
ステップS603では、複合機300の認証条件判定部434が、ステップS602で取得した携帯端末の情報(端末ID)のうち、ステップS501で取得した設定ファイル910(図9)に記述されたログイン準備距離以内にあるデータを抽出する。
【0093】
フロー上は省略しているが、複合機300のCPU301は、当該取得した携帯端末の端末IDを認証サーバ200に送信し、認証サーバ200のCPU201は受信した端末IDに紐付いたユーザ情報(認証テーブル900の各情報)を複合機へと返信する。本処理を以て、複合機300の認証条件判定部434は、携帯端末250を保持するユーザ(取得した端末IDに対応するユーザ)のログインに必要な情報(例えば、ユーザIDとパスワード)を取得する。
【0094】
尚、ここでは、認証処理を、認証サーバ200と通信を行い、ユーザ情報を取得することで行ったが、例えば、認証テーブル900に記載の情報を複合機300の外部メモリに記憶しておき、携帯端末250から取得した端末IDと照合して、認証サーバ200と通信することなく認証処理を行うようにしてもよい。
【0095】
ここで図9を参照して、本発明の実施形態における認証テーブルの構成の一例について説明する。端末ID901は、携帯端末250の識別情報である。ユーザID902は、ユーザを一意に識別する識別情報である。パスワード903は、当該ユーザID902と組み合わせることで、複合機300にユーザをログインさせるためのパスワードである。
【0096】
メールアドレス904は、当該ユーザID902の示すユーザのメールアドレスである。以上が図9の、本発明の実施形態における認証テーブルの構成の一例についての説明である。
【0097】
図6の説明に戻る。ステップS604では、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、ステップS603で抽出した携帯端末250の情報と、ステップS402で取得した携帯端末テーブル920の情報を利用し、前回、当該携帯端末250を検知した日時(携帯端末250から端末IDを受信した時の時間)と距離の差から、移動速度を算出する(速度取得手段に該当)。
【0098】
また、当該携帯端末250が、設定ファイル910のログイン条件(距離)912及び、ログイン条件(速度)913を満たすか判定し、満たしている場合は、当該端末の端末ID921に対応する継続時間925を加算(更新)する。
【0099】
ステップS605では、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、ステップS604の結果を含め、ステップS502で取得した携帯端末テーブル920の情報を更新する。尚、携帯端末テーブル920に記憶済で、現在捕捉されていない端末の情報は当該携帯端末テーブル920から削除するものとする。
【0100】
ステップS606では、複合機300の認証条件判定部434が、複合機300に対していずれかのユーザがログイン中か判定する。つまり、図9の携帯端末テーブル920の状態926の値を参照し、ログイン中のユーザが存在するか判定する。
ログイン中であればステップS607へ進み、ログイン中でなければステップS609へ進む。
【0101】
ステップS607では、複合機300の認証条件判定部434が、当該ログイン中のユーザ(ユーザID)に対応する携帯端末250が、ステップS501で取得した設定ファイル910内に記載されているログアウト条件を満たしているかを判定する。ログアウト条件を満たしていると判定した場合はステップS608へ進み、ログインユーザのログアウト処理を行う(認証制御手段に該当)。
【0102】
ログアウト後、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、ステップS605で取得した携帯端末テーブル920の状態926を更新する。また、携帯端末テーブル910のデータを、距離923が近い順にソートして更新する。ログアウト条件を満たしていない場合はステップS609へ進む。
【0103】
以下、ステップS609〜S615までの処理を所定回数分繰り返す。当該所定回数の情報は、複合機300の外部メモリに予め記憶されているものとする。尚、ステップS610〜S613の処理は、携帯端末テーブル920のデータで、設定ファイル910のログイン条件912〜ログイン条件914を全て満たすデータ(端末)が存在するかを判定する処理である。
【0104】
複合機300のCPU301は、ステップS610で携帯端末テーブル920の先頭のデータを1つ取得し、ステップS611で、当該取得したデータの距離923が、ログイン条件(距離)912以内(所定の距離以内/距離範囲内)か判定する(距離判定手段に該当)。
【0105】
ログイン条件(距離)912以内でない場合はステップS615に進む。ログイン条件(距離)912以内である場合は、処理をステップS612に進め、当該データの速度924が、ログイン条件(速度)913以内か判定する。
【0106】
ログイン条件(速度)913以内でない場合はステップS615に進む。ログイン条件(速度)913以内である場合は、処理をステップS613に進め、当該データの継続時間925が、ログイン条件(継続時間)914以上か判定する(時間判定手段に該当)。
【0107】
ログイン条件(継続時間)914以上でない場合はステップS615に進む。ログイン条件(継続時間)914以上である場合は、処理をステップS614に進め、当該データの条件フラグ928の値を1に更新する。
【0108】
ステップS609〜S615の処理を所定回数繰り返した後、処理をステップS616に移行する。
【0109】
ステップS616では、複合機300のCPU301は、携帯端末テーブル920の中で、ログイン条件を全て満たしている端末(つまり、条件フラグ928=1のデータ)が存在するか判定し、存在しない場合は処理を終了する。存在する場合、ステップS617に進む。
【0110】
ステップS617では、複合機300の認証条件判定部434が、ステップS501で取得した設定ファイル内の、「ログイン中に他ユーザがログイン条件をクリア(満たした)した場合の処理」の設定値を取得する。
【0111】
ステップS618では、複合機300の認証条件判定部434が、当該取得した値が、「ログアウトさせる」ことを示すか判定し、当該値が「ログアウトさせない」旨を示す場合、処理を終了する。当該値が「ログアウトさせる」旨を示す場合、ステップS619に進み、ログアウトの処理を実行する(認証制御手段に該当)。ログアウト後、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、携帯端末テーブル920を更新する。
【0112】
ステップS620では、複合機300の認証条件判定部434が、ログイン条件を全て満たした携帯端末250のユーザ(携帯端末250、その端末IDに対応するユーザID)が複数存在するか否かを判定する(媒体数判定手段に該当)。複数存在する場合は処理を図7のステップS701に進め、複数存在しない場合(つまりログイン条件を全て満たす端末が1つの場合)はステップS621へ進める。
【0113】
ステップS621では、複合機300の認証部436が、ログイン条件を満たした唯一のユーザ情報(ここでは、ユーザID及びパスワード)を利用し、複合機300へのログイン処理を行う(認証制御手段に該当)。ログイン後、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、携帯端末テーブル920を更新する。つまり、状態926に「ログイン」の値を挿入し、ログインユーザのユーザIDを、ユーザID927に挿入する。以上が図6の説明である。尚、ログイン処理後は、当該ログインユーザの印刷ジョブの一覧表示画面(不図示)を表示画面に表示するものとする。以下、ログイン処理後の処理についても同様に、印刷ジョブの一覧表示画面を表示するものとする。
【0114】
図7を参照して説明を継続する。ステップS701では、複合機300の認証条件判定部434が、ステップS501で取得した設定ファイル910内の「同時に複数ユーザがログイン条件をクリアした(満たした)場合の処理」の設定値を取得する。
【0115】
ステップS702では、複合機300の認証条件判定部434が、ステップS701で取得した設定値が「選択式」を示すか判定する。つまり、ログイン条件を満たした複数のユーザの情報を表示部(表示画面)に表示して(選択画面表示手段に該当)、ユーザに選択させることで、ログイン処理に用いるユーザを決定する方式を示すか判定する。
【0116】
設定値が「選択式」を示している場合はステップS703へ進み、「選択式」でない場合はステップS706へ進む。
【0117】
ステップS703では、複合機300の認証条件判定部434が、図8に示すユーザ選択画面810を表示する。ユーザ選択画面810上には、ログイン条件を満たしたユーザIDの一覧が表示され、ユーザIDが選択された状態で当該画面上の「ログイン」ボタンの押下を受け付けた場合に、当該選択中のユーザID及び当該ユーザIDに対応するパスワードを用いたログイン処理を行うものとする。
【0118】
ステップS604では、複合機300の認証条件判定部434が、ユーザ選択画面810の「ログイン」ボタンが押下されたか否かを判定する。「ログイン」ボタンが押下された場合はステップS705へ進み、ステップS704、又は後述するステップS707で選択(指定/特定)されたユーザID、パスワードを用いた、複合機300へのログイン処理を行う(認証制御手段に該当)。その後、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、携帯端末テーブル920を更新する。例えば、状態926にログインの値を挿入し、ユーザID927にログインユーザのユーザIDを挿入する。
【0119】
ステップS706では、複合機300の認証条件判定部434が、ステップS701で取得した、「同時に複数ユーザがログイン条件をクリアした場合の処理」の設定値が「近距離を優先」であるか否かを判定する。設定値が「近距離を優先」である場合はステップS707へ進み、選択式でない場合は、当該設定値が「ログインさせない」を示すものと判定し、処理を終了する。
【0120】
ステップS707では、複合機300の携帯端末テーブル管理部433が、携帯端末テーブル920のデータのうち、条件フラグ928=1のデータ(ログイン条件を全て満たしている端末の情報)であって、距離923の値が最も小さいデータ(複合機300からの距離が最も近い端末)を取得して、当該データの端末IDに対応するユーザID・パスワードを、複合機300の外部メモリに記憶された認証テーブル900の情報を用いて、ログインさせるべきユーザとして特定し、処理をステップS705に進める。
【0121】
以上が図6及び7の、本発明の実施形態における、携帯端末250の検知状況に応じたログイン処理の流れについての説明である。
【0122】
尚、例えば、複合機付近の座席に座っているユーザについて、当該ユーザの意図しない複合機へのログインを避けるために、例えば、設定ファイル910のログイン条件912〜914を全て満たしてから、所定の時間当該条件を満たし続けている端末のユーザIDについては、ログイン処理を行わないように処理してもよい。
【0123】
具体的には、図6のステップS613の次に、複合機300のCPU301が、携帯端末テーブル920(図9)の継続時間925の値を参照して、当該継続時間925が所定の時間以上か判定し、所定の時間以上でない場合は処理をステップS614に進め、所定の時間以上の場合には、状態926に「ログイン除外」の値を挿入して、処理をステップS615に進めるようにする。尚、当該所定の時間の値は、予め複合機300の外部メモリに記憶されているものとする(除外ユーザ情報特定手段に該当)。
【0124】
当該「ログイン除外」の値は、例えステップS611〜S613で当該端末がログイン条件を全て満たしていると判定された場合であっても、条件フラグ928(携帯端末250がログイン条件912〜914を全て満たしていることを示すフラグ)を1に変更しない(1の場合、0に変更する)ための情報である。つまり、状態926=「ログイン除外」の場合、複合機300のCPU301は、条件フラグ928を0に保ち続け、当該携帯端末がログイン条件を(実質的に)満たしていると判定しない。
【0125】
また、例えば、図7のステップS705で、ログインした端末情報の状態を「ログイン」に変更するだけでなく、ログイン条件を満たしたが、ログインしなかった端末情報(例えば、ユーザ選択画面810で選択されなかったユーザIDに対応する端末ID)の状態を「ログイン除外」に変更するようにしてもよい。
【0126】
こうすることで、例えば、複合機300からログイン条件(距離)912以内の座席に着席しているユーザ(当該ユーザが保持している携帯端末)があったとしても、複合機300への自動ログイン、及び、ログイン候補としての一覧表示(図8の810)を防止することができ、ユーザの意図しないログイン処理を防止することができる。
【0127】
また、当該「ログイン除外」の値は、当該「ログイン除外」の値が設定されてから所定の時間が経過した場合、又は、当該「ログイン除外」が設定された端末がログイン条件912〜914のいずれかを満たさなくなった場合に、削除されるものとする。当該所定の時間の情報は、予め複合機300の外部メモリに記憶されているものとする。
こうすることで、複合機300付近にいるユーザに対しても、ユーザの移動等の動作に伴い、複合機へのログインの機会を与えることができる。
【0128】
以上説明したように、本発明によれば、携帯端末の移動速度の情報を用いて、容易にセキュリティを確保したログイン処理を行わせる仕組みを提供することができる。
【0129】
尚、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0130】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0131】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0132】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0133】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0134】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0135】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0136】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0137】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0138】
尚、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0139】
100 クライアントPC
200 認証サーバ
250 携帯端末
300 複合機
400 LAN
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9