(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
本実施例の草刈機の一例としての乗用型芝刈機1の側面図を
図1に、乗用型芝刈機の動力伝動構成の平面図を
図2に示す。走行車体の一例としての車体フレーム2の前部と後部にそれぞれ前輪3、3と後輪4、4を備え、車体フレーム2の前部の下方には芝草刈り取り用の刈刃5、5を備えたモア6が設けられている。モア6により実施例1の草刈部が構成されている。車体フレーム2の前部上方のフロア7にはステアリングコラム8が立設され、該コラム8の上部にはハンドル10が設けられている。またハンドル10の後方には座席11があり、該座席11の後方にはエンジン12を搭載している。エンジン12の上方には、収容部の一例としてのコレクタ14が配置されている。
【0016】
なお、本明細書において乗用型芝刈機1の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。
【0017】
エンジン12の出力は、前方の変速装置ケース15内の変速装置(図示せず)に入力される。そして、エンジン12の回転動力は、変速装置で変速されて、該変速された走行動力が前輪3,3及び後輪4,4へ伝達される。
【0018】
さらに、変速装置ケース15の前方上側に伝達軸16(
図2)が延びており、前記伝達軸16からの動力により、刈草の搬送部材の一例としてのブロア23が駆動される。ブロア23はブロアケース24に収容されており、該ブロアケース24の上部にはブロアケース24とコレクタ14を連通する芝草搬送用のダクト26が設けられている。また、ブロア23とモア6の間にはシュータ27が配置されていて、モア6により刈り取られた芝草はシュータ27とダクト26を経由してブロア23により後方のコレクタ14に搬送される。コレクタ14には、図示しない通気口が形成されており、コレクタ14内に送られてくる空気を外部に排出することができる。
【0019】
また、座席11の後方には、一対のロプス18,18が立設されている。ロプス18,18には、コレクタ昇降機構19が支持されている。コレクタ昇降機構19は、ロプス18,18に基端部が回転可能に支持された一対のコレクタ昇降リンク19a,19aを有する。コレクタ昇降リンク19a,19aの先端部は、コレクタ14の下方に配置された昇降台座19bに連結されている。
【0020】
また、下側のコレクタ昇降リンク19aの基端側と、ロプス18の下端部との間には、伸縮可能な昇降シリンダ28が連結されている。
【0021】
昇降台座19bは、コレクタ14の底部に沿って前後方向に伸びる水平部19cと、水平部19cの前端から下方に伸びる鉛直部19dとを有する。なお、左右一対の水平部19cは、後端に左右方向に延びる図示しない連結バーにより連結されている。前記鉛直部19dには、前記コレクタ昇降リンク19a、19aの先端が回転可能に支持されている。
【0022】
水平部19cの上方には、水平部19cの後端の回転軸19eを中心として、回転アーム19fの基端部が回転可能に支持されている。回転アーム19fの先端部と、鉛直部19dの下端との間には、伸縮可能な回動シリンダ29が連結されている。回転アーム19fには、コレクタ14の底部が固定支持されている。
【0023】
図3は本実施例の乗用型芝刈り機1において、コレクタが上昇した状態の説明図である。
【0024】
図1、
図3において、本実施例のコレクタ昇降機構19では、昇降シリンダ28が作動してロッド28aが伸びると、コレクタ昇降リンク19a,19aが回転して、昇降台座19bが上昇する。この時、コレクタ昇降リンク19a,19aの平行リンク構造により、昇降台座19bおよびコレクタ14は水平状態を維持したまま上昇する。なお、昇降シリンダ28のロッド28aが収納されると、コレクタ14は下降して、
図1の状態に戻る。
【0025】
図4は本実施例の乗用型芝刈り機1において、コレクタが回動した状態の説明図である。
【0026】
図3、
図4において、回動シリンダ29が作動してロッド29aが伸びると、水平部19cに対して、回転アーム19fが回転軸19eを中心に回転する。これに伴って、回転アーム19fに固定されたコレクタ14も回動する。したがって、コレクタ14の内部に収容された刈草を外部に排出することが可能になる。なお、回動シリンダ29のロッド29aが収納されると、コレクタ14は、
図3に示す状態に戻る。
【0027】
エンジン12の回転動力は、変速装置ケース15から前方に伸びるモア駆動軸31や、モア駆動軸31の前端から左右方向に伸びるモア伝達軸32を介して、刈刃5,5の回転軸5a,5aに駆動が伝達される。本実施例では、左右一対の刈刃5,5は、互いに、矢印r方向に逆向きに回転する。
【0028】
これにより、モアデッキ38内に入り込んだ芝草は前記一対の刈刃5,5によって刈り取られ、左右方向の中央で合流して、シュータ27及びダクト26を順次通過して車体フレーム2の後方にあるコレクタ14に回収される。
【0029】
モアデッキ38の上部には、前方に延びる補助輪アーム41の基端部が支持されており、補助輪アーム41の前端には、補助輪42が回転可能に支持されている。
【0030】
図5は車体後方から見たコレクタとエンジンなどの配置関係を示す図である。
【0031】
図6は本実施例のコレクタの内部の斜視図である。
【0032】
図5において、本実施例のコレクタ14は、エンジン12を覆うフード12aに対して、上方および左右両側方を囲む門型の形状を有する。
【0033】
すなわち、
図5、
図6に示すように、コレクタ14の左右両側には、前後方向の中央部から後部に渡って、フード12aの左右両側を囲むように、下方に凹んだ凹部51が形成されている。したがって、凹部51が形成されていない場合に比べて、刈草を収容できるコレクタ14の容量を増大させることができる。
【0034】
また、フード12aを囲むようにコレクタ14が配置されているので、乗用型芝刈り機1の全体の重心を下げることができる。よって、乗用型芝刈り機1の低重心化により、傾斜地等での走行性を向上させることができる。
【0036】
図6、
図7において、コレクタ14の内部の底部には、前端部の右寄りの位置に、ダクト26に接続される接続口52が形成されている。コレクタ14の底面は、接続口52の近傍において、ダクト26に接続されるように前方に行くに連れて上方に傾斜している。なお、ダクト26は、前述の
図1、
図3に示すコレクタ14の昇降時に、接続口52に接続、離間される。
【0037】
図8は本実施例のコレクタの前端部の説明図である。
【0038】
図9は
図8に示す状態からカバーが開放された状態の説明図である。
【0039】
図7〜
図9において、接続口52の上方には、駆動源が設置される凹部の一例として、前面に対して後方に凹んだ形状のモータ設置部53が形成されている。
【0040】
図9において、モータ設置部53の右部には、通過部の一例として、左右方向に延びるスリット53aが形成されている。また、モータ設置部53の左右方向の中央部の下端には、ネジ穴53bが形成されている。
【0041】
モータ設置部53には、駆動源の一例としてのモータユニット56が固定支持されている。モータユニット56の出力軸56aには、第1の伝達部材の一例としての伝達アーム57の基端が回転可能に支持されている。伝達アーム57の先端には、第2の伝達部材の一例として、右方に延びる首振りロッド58の基端が回転可能に支持されている。
【0042】
図10は排出筒と拡散部材の斜視説明図である。
【0043】
図7において、接続口52には、角筒状の排出筒61の下端が支持されている。排出筒61は、ダクト26の延長上に延びている。
【0044】
排出筒61の上方には、拡散部材の一例としての拡散板62が配置されている。拡散板62は、排出筒61の延長上で上方に行くにつれて後方に湾曲する本体部62aと、本体部62aの左右両端に形成された側壁62b,62cとを有する。本体部62aの上部には、連結部の一例としての連結プレート63が支持されている。連結プレート63の後部は、上方に伸びる軸部64により回転可能に支持されている。軸部64は前方に延びる固定アーム66によりモータ設置部53の内面に固定支持されている。よって、拡散板62は、軸部64を中心として、排出筒61に対して回転可能に支持されている。
【0045】
連結プレート63の前端部には、前方に延びる板状の連結アーム67の基端が回転可能に支持されている。
図7、
図9において、連結アーム67の先端は、スリット53aを通過して、モータ設置部53に延びており、連結アーム67の先端には、前記首振りロッド58の先端が回転可能に支持される。
【0046】
図11は本実施例のモータのロック防止機構の説明図であり、
図11(A)は分解図、
図11(B)は拡散部材が停止していない状態の説明図、
図11(C)は拡散部材が停止した状態の説明図である。
【0047】
図11において、連結アーム67と首振りロッド58との連結部分には、モータロック防止機構68が設置されている。本実施例のモータロック防止機構68は、連結アーム67側に配置された第1のロック防止プレート68aを有する。第1のロック防止プレート68aは、長細い平板状に形成されており、一端側に第1のネジ孔68bが形成され、他端側に第1の貫通孔68cが形成されている。第1のネジ孔68bには、スペーサ68dを介して、連結アーム67の外端がネジ68eにより連結されている。なお、連結アーム67の外端は、第1のロック防止プレート68aに対して回転可能に支持されている。
【0048】
第1の貫通孔68cの下方には、スペーサ68fを介して、第2のロック防止プレート68gが配置されている。第2のロック防止プレート68gは、長細い平板が、段違いになるように折り曲げられた形状に形成されている。第2のロック防止プレート68gには、第1の貫通孔68cに対応して、第2の貫通孔68hが形成され、第1のネジ孔68bの軸方向の延長上に対応して、第2のネジ孔68jが形成されている。
【0049】
第1のロック防止プレート68aと第2のロック防止プレート68gとは、各貫通孔68c,68hを貫通するボルト68k、ワッシャ68m、ナット68nにより、連結されている。なお、各ロック防止プレート68a、68gは、貫通孔68c,68hを中心として互いに回転可能な状態で連結されている。第2のネジ孔68jには、スペーサ68pを介して、首振りロッド58の先端部がネジ68qにより、回転可能な状態で連結されている。
【0050】
そして、ワッシャ68mとナット68nとの間には、コイルばね68rが支持されている。コイルばね68rの両端は、
図11(B)に示すように、2つのロック防止プレート68a,68gが重なった状態で挟みこむように支持される。したがって、コイルばね68rのバネ力により、2つのロック防止プレート68a,68gは、
図11(B)に示すように、重なった状態で保持される。
【0051】
図7〜
図9において、モータユニット56が作動して、出力軸56aが回転すると、伝達アーム57、首振りロッド58により、回転運動が左右方向の往復運動に変換される。そして、首振りロッド58に連結された連結アーム67が左右に往復運動をして、連結アーム67が支持された拡散板62が軸部64を中心として左右に首をふるように揺動する。すなわち、伝達アーム57、首振りロッド58、連結アーム67からなる伝達部材の一例としてのリンク機構57,58,67により、モータユニット56の駆動が拡散板62に伝達される。なお、この時、モータロック防止機構68は、コイルばね68rのバネ力で、
図11(B)に示す状態で保持されており、首振りロッド58と連結アーム67とが一体的に左右に往復運動する。
【0052】
したがって、排出筒61を通じてコレクタ14の内部に搬入された刈草は、左右に揺動する拡散板62で左右に拡散される。仮に、拡散板が設けられない場合には、コレクタ14内の特定の場所に刈草が排出、堆積されて、コレクタ14内に、刈草が収容されない空間、いわゆるデッドスペースが発生するが、本実施例では、拡散板62で、刈草がコレクタ14内に拡散されるので、デットスペースの発生が抑制される。よって、拡散板62が設けられない場合に比べて、コンテナ14の収容空間が有効利用され、刈草の収容量が増大する。特に、本実施例のコレクタ14は、拡散板62で、左右の凹部51の部分にも刈草が効率的に堆積でき、容量を有効活用できる。
【0053】
また、本実施例では、モータ設置部53の前方には、駆動確認用の開閉部材の一例としてのカバー71が配置されている。本実施例のカバー71は、上端部のヒンジ72により、
図8に示す覆う位置の一例としてのカバー位置と、
図9に示す露出させる位置の一例としての開放位置との間で開閉可能に支持されている。カバー71の下端には、モータ設置部53のネジ穴53bに対応して、ネジ貫通孔73が形成されている。したがって、カバー71は、カバー位置において、ネジ貫通孔73を貫通し、ネジ穴53bにネジ止めされるネジ74によりカバー位置に固定可能である。よって、作業者がネジ74を外すことで、カバー71が開閉可能である。
【0054】
したがって、本実施例の芝刈り機1では、刈草が収容されるコレクタ14の内部ではなく、コレクタ14の外部であるコレクタ14の前部外側にモータユニット56や伝達アーム57、首振りロッド58、連結アーム67の外端が配置されている。よって、モータユニット56やリンク機構57,58,67がコレクタ14の内部に配置されている従来の構成では、モータユニット56等に草が絡みついて動作を阻害される問題があったが、本実施例では、モータユニット56等がコレクタ14の外部に配置されており、モータユニット56等に草が絡みつくことが防止される。
【0055】
また、本実施例では、作業者が、座席11の後方にあるカバー71を開放することで、モータユニット56やリンク機構57,58,67の状況を確認することができる。刈草が詰まる等して拡散板62の動作が停止すると、リンク機構57,58,67の連結アーム67が揺動しなくなる。よって、従来技術のようにコレクタ14の内部にモータユニット56等が設置されている構成に比べて、刈草が詰まる等して拡散板62が停止しているか否か、すなわち、拡散板62が正常に動作しているか否かをカバー71を開閉するだけで、容易に確認する事ができる。
【0056】
また、本実施例では、モータユニット56がコレクタ14の外部に設置されているため、モータユニット56や伝達アーム57、首振りロッド58の組付けや調整を行う際に、コレクタ14の外から行うことができる。すなわち、モータユニット14が内部に設けられていた従来の構成では、モータユニットやリンク機構の組付けや調整は、コレクタ14の奥に入って作業する必要があったが、本実施例では、これに比べて、作業が容易にできる。
【0057】
また、本実施例では、カバー71が閉じられた状態では、モータユニット56やリンク機構57,58,67が覆われているので、雨や飛び石等でモータユニット56等が破損したり、作業者がモータユニット56等に誤って触れてしまうことも防止できる。
【0058】
なお、拡散板62が停止して連結アーム67が左右に揺動しなくなった場合、第1のロック防止プレート68aが左右に揺動できなくなる一方で、モータユニット56は回転をしているため、首振りロッド58と第2のロック防止プレート68gは左右に揺動しようとする。仮に、ロック防止機構68が設けられておらず、連結アーム67と首振りロッド58とが直接連結されていた場合、連結アーム67が停止すると、首振りロッド58も停止し、モータユニット56が駆動しようとしているにも関わらず、リンク機構57,58,67側のトルクが過大で回転できない状態、いわゆる、モータロックの状態になってしまう。モータロックになると、モータユニット56が発熱等で焼き付いて故障等する恐れがある。仮に、モータロックを防止するために、トルクリミッタ等の安全装置をモータユニットに設ける場合、駆動軸方向のサイズが長くなったりして大型化、コスト高になる問題もある。これに対して、本実施例では、第1ロック防止プレート68aが停止した場合でも、
図11(C)に示すように、コイルばね68rが伸縮できる範囲内で、第2のロック防止プレート68gは、第1のロック防止プレート68aに対して回転でき、首振りロッド58の左右の往復運動が許容される。したがって、モータロック状態にならず、モータユニット56が保護される。よって、安全装置を設ける場合に比べて、本実施例のモータロック防止機構68により、コンパクト化、低コストな構成で、モータロックを防止できる。なお、モータロック防止機構68は設けることが望ましいが、トルクリミッタ等の安全装置を採用することも可能である。
【0059】
図12は本実施例のコレクタのドアの説明図である。
【0060】
図13は本実施例のコレクタのドアのロック機構の説明図である。
【0061】
図14は
図13の矢印XIV方向から見た図である。
【0062】
図1、
図3、
図4において、本実施例のコレクタ14は、後端部に、刈草排出用の開閉部材の一例としてのドア81が配置されている。
図1、
図3、
図4、
図12において、ドア81は、上端部でコレクタ14の本体に対して、ヒンジ81aにより開閉可能に支持されている。
【0063】
図12〜
図14において、本実施例のドア81の外周には、角パイプ状のドアフレーム82が固定支持されている。ドア81の左右方向の中央部の下端には、施錠の解除部の一例として、外方に膨出した形状のロック解除部83が形成されている。ロック解除部83の底面には、人の指の大きさに対応したロック解除口83aが形成されている。
図14において、ロック解除部83の近傍には、ロックを解除することが可能であることを告知するための安全ラベル83bが貼り付けられている。
【0064】
図13、
図14において、コンテナ14の下面には、施錠部材の一例としてのロック機構84が配置されている。ロック機構84は、コンテナ14の下面に支持された回転軸部86を有する。回転軸部86には、後方に延びるロックアーム87の基端が回転軸部86を中心として回転可能に支持されている。ロックアーム87の後部には、後方に延びるロックプレート88が支持されている。ロックプレート88の後端には、ドアフレーム82の後端面に対応する位置に、上方に突出した爪部88aが形成されている。爪部88aの後端の上面は、ドア81が閉じられる際に、ドア81のドアフレーム82に接触して、ロックプレート88を下方に回動させるためのガイド面88bが形成されている。なお、本実施例のロック解除口83aは、ロックプレート88の上方に対応する位置に配置されている。
【0065】
また、回転軸部86には、爪部88aを上方に押す方向の力を作用させるコイルばね89が支持されており、コイルばね89は一端がコンテナ14の下面に接触し、他端がロックアーム87に接触している。
【0066】
また、ロックアーム87の下方には、保持機構の一例としてのトグル機構91が配置されている。トグル機構91は、前述した左右一対の水平部19cを連結する連結バー92に固定されたトグル固定部93を有する。トグル固定部93には、トグルリンク94の基端が回転可能に支持されている。トグルリンク94の先端側には、トグルリンク94の長手方向に沿って延びる長孔96が形成されている。前記長孔96には、ロックアーム87の後下端に支持されたピン97が貫通している。
【0067】
したがって、本実施例では、ドア81が閉じられた場合に、コイルばね89により、ロックプレート88の爪部88aがドアフレーム82に引っ掛かって、ドア81が閉じられた状態で保持される(ロックが掛かる)。ここで、作業者がコンテナ14の中を清掃したり、拡散板82等の確認のために、コンテナ14の中に入った状態で、ロックが掛かってしまうと、ロック解除部83が設けられていない従来の構成では、コンテナ14の外で待機する人間がロックを解除しないと、作業者が閉じ込められてしまう。よって、コンテナ14の内部に人が入る場合には、外で待機する人間が必要となり、二人以上の人員を確保しないといけない問題があった。これに対して、本実施例では、中に入った作業者が外に出る場合に、ロック解除部83のロック解除口83aに指を挿し込んで爪部88aを押すことで、簡単にロックが解除でき、ドア81を開けて外に出られる。よって、二人以上の人員を確保しなくても、コンテナ14の内部に自由に立ち入ることが可能になっている。
【0068】
なお、人の指の大きさ程度のロック解除口83aでは、ブロア23で吸入された空気により、刈草が吹き出すことも殆ど無く、回収した刈草が外部に漏れ出す心配も殆ど無い。
【0069】
図15は本実施例のドアの取っ手部分の説明図であり、
図15(A)は正面図、
図15(B)は断面図、
図15(C)は他の例の断面図、
図15(D)は従来の取っ手の説明図である。
【0070】
図12、
図15(A)、
図15(B)において、本実施例のドア81では、ロック解除部83の上方に、取手部の一例としてのドアグリップ101が形成されている。本実施例のドアグリップ101は、
図15(B)に示すように、ドア81の後面81bから凹んだ形状に形成されている。そして、凹んだ奥の面には、ドア81を貫通するスリット102が形成されている。スリット102は、ドアグリップ101の下端に沿って左右方向に延びる水平スリット部102aと、水平スリット部102aの左右両端から連続して上方に半円状に形成された半円スリット部102bとを有する。したがって、ドアグリップ101は、スリット102が形成されていない上端を中心として回転可能な蓋部103を有する。
【0071】
よって、本実施例のドアグリップ101では、作業者が指で蓋部103を押すと、蓋部103が回動する。したがって、作業者が、コンテナ14の内面側のドアグリップ101の下の段差部104に指を掛けて、ドア81を開閉することができる。なお、本実施例では、コンテナ14は、軽量化のため樹脂で形成されており、ドアグリップ101は、作業者が指を抜くと、蓋部103の上端を中心として、樹脂の弾性復元力により元の状態に戻る。
【0072】
図15(D)において、従来のドアグリップ01は、ドア81の外面にグリップ01を固定する形となっており、別部品であるとともに、外面から突出していた。よって、別部品のグリップ01により、ドア81の重量が増量されるとともに、部品点数の増加によりコストが上昇していた。これに対して、本実施例では、スリット102を形成するだけで、ドアグリップ101が実現可能であり、従来の構成に比べて、軽量化、コストダウンが可能である。また、ドアグリップ101がドア81の外面から突出しておらず、全体としてコンパクト化が可能である。
【0073】
また、本実施例のドアグリップ101では、蓋部103が弾性復元力で元の状態に戻る。仮に、蓋部103の全体が切除された開口が形成された場合、ブロア23でコンテナ14の内部に刈草を吸引する際に、開口から刈草が吹き出す恐れがある。これに対して、本実施例では、蓋部103で蓋がされており、開口が形成される場合に比べて、刈草が吹き出すことが低減されている。
【0074】
図15(C)において、他の例としては、蓋部103′を、ドアグリップ101の凹んだ奥の部分ではなく、下面に形成することも可能である。
図15(C)に示す構成でも、
図15(B)に示す構成と同様に、軽量化、コストダウン、コンパクト化が可能であり、また、刈草の吹き出しを低減可能である。
【0075】
図16は本実施例の他の形態の説明図であり、
図10に対応する排出筒と拡散部材の説明図である。
【0076】
図17は本実施例の他の形態の説明図であり、
図8に対応するコレクタの前端部の説明図である。
【0077】
次に、従来と同様に、モータ設置部53を設けず、コンテナ14の内部にモータユニット56やリンク機構57,58,67が設けられる構成において、内部の拡散板62が正常に動作しているかを作業者が容易に認識可能な別の形態について、
図16、
図17を使用して説明をする。
【0078】
図16において、固定アーム121は、軸部64から前方に延びた後、下方に曲がって、上部がコンテナ14の前面に固定支持されるとともに、下端が排出筒61に固定されている。そして、軸部64には、拡散板62の回転と共に一体的に回転するシャフト122が支持されている。
図16、
図17において、シャフト122は、上方に延びており、シャフト122の上端は、コンテナ14の上面を貫通して、外部に伸びている。シャフト122の上端には、視認部の一例としてのフィルム123が支持されている。したがって、フィルム123も拡散板62の回転に連動して一体的に回転可能に構成されている。なお、フィルム123は、弾性変形可能な薄膜状のプラスチックフィルムにより構成されている。
【0079】
図16において、シャフト122の近傍には、フィルム123の回転軌跡の範囲内に、音発生部材の一例としてのピン124が支持されている。したがって、フィルム123が回転すると、ピン124に周期的に接触して音を発生させる。そして、フィルム123は、接触した状態からさらにシャフト122が回転すると、弾性変形し、ピン124の位置を通過すると弾性復元する。よって、拡散板62が回動し続ける間、フィルム123は、ピン124との接触、弾性変形、弾性復元の工程を繰り返す。一方、拡散板62が停止すると、シャフト122の回転が停止し、フィルム123の回転も停止する。前記シャフト122、フィルム123により、本実施例の視認部材の一例としてのインジケータ126が構成されている。
【0080】
したがって、
図16、
図17に示す形態では、作業者は、コンテナ14の外部に露出しているインジケータ126を視認することで、拡散板62が正常に動作しているか否かを容易に確認することができる。特に、拡散板62が正常に動作している間は、フィルム123がピン124に周期的に接触して音を発生させるため、作業者は座席11から後ろを振り返って視認しなくても、音を確認するだけで拡散板62が正常に動作しているか否かを確認することもできる。
【0081】
特に、従来の構成では、コレクタ14が刈草で満杯近くになった場合に、満杯を検知するセンサーの検知タイミングが少し遅れると排出筒61の先端に草が詰まって、
図4に示すようにコレクタ14を回動させて草を排出しようとしても、排出筒61の先端に詰まった草は、人が中に入って除去する作業が必要になっていたりした。これに対して、本形態では、拡散板62の動作が停止した段階で、音がしなくなるため、満杯になったことを速やかに確認することにも利用可能であり、排出筒61の先端での詰まりを低減できる。
【0082】
図18は本実施例のさらに他の形態の説明図であり、
図18(A)は
図16に対応する排出筒と拡散部材の説明図、
図18(B)は風車の羽根の説明図、
図18(C)はウォーム部の拡大図である。
【0083】
次に、拡散板62が正常に動作しているか否かを外部から作業者が確認可能なさらに他の形態について、
図18を使用して説明する。
【0084】
図18に示す形態では、排出筒61の上端部に、風車141が配置されている。風車141は、左右方向に延びる風車軸141aを有する。
図18(A)、
図18(B)において、風車軸141aは、排出筒の左右両端壁61a、61bに対して回転可能に支持されている。風車軸141aには、排出筒61の内部に進入する形で板状の羽根141bが支持されている。
図18(A)、
図18(C)において、風車軸141aの左端には、回転軸141aの軸方向に対して螺旋状に形成されたウォーム142が支持されている。実施例1のウォーム142は、コイル状の圧縮スプリングを風車軸141aに装着することで構成されている。
【0085】
ウォーム142の前方には、ウォーム142に噛み合うウォームギア143が配置されている。ウォームギア143の回転中心には、上方に伸びるシャフト146が支持されている。シャフト146は、図示しないシャフト支持部により、コンテナ14の内部に回転可能に支持されている。シャフト146の上端と、連結プレート63の後端都の間は、伝達アーム57、首振りロッド58で連結されている。したがって、
図18に示す形態では、モータユニット56が設けられておらず、風車141が駆動源となっている。
【0086】
なお、
図18に示す形態でも、図示は省略するが、
図16,
図17の形態と同様に、軸部64の延長上に、インジケータ126が設けられている。
【0087】
したがって、
図18に示す形態では、ブロア23での空気の流れにより風車141が回転すると、ウォーム142、ウォームギア143、シャフト146、リンク機構57,58を介して拡散板62に駆動が伝達されて、拡散板62が左右に揺動する。よって、モータユニット56を設けなくても、拡散板62を揺動させることができ、省電力化、低コスト化できる。特に、モータユニット56を使用した場合、拡散板62が停止した場合に、モータの焼きつきを防止するための安全装置が必要になり、コスト高になっていたが、
図18に示す形態では、風車141やウォーム142等の比較的低コストな機構で、拡散板62の首振り動作を実現することができる。そして、
図16、
図17に示す形態と同様に、インジケータ126により、作業者が拡散板62や風車141が正常に動作しているかを確認することができる。
【0088】
図19は本実施例の他の形態の説明図であり、
図7に対応する図である。
【0089】
次に、拡散板62が正常に動作しているか否かを外部から作業者が確認可能なさらに他の形態について、
図19を使用して説明する。
【0090】
図19に示す形態では、モータユニット161は排出筒61の前方の下部の空間に配置されている。なお、実施例1のモータユニット161は、一方向に回転せず、拡散板62の往復運動に対応する角度範囲で、正逆回転を繰り返す。そして、モータユニット161の駆動軸161aには、前記モータロック防止機構68を介して、伝達部材の一例としての伝達シャフト162が連結されている。伝達シャフト162は、図示しないシャフト支持部材により、コレクタ14の内部に回転可能に支持されている。伝達シャフト162は、上方に延びており、上端は、連結プレート63の前端に固定支持されている。なお、図示は省略するが、
図19に示す形態でも、
図16、
図17の形態と同様のインジケータ126を有する。
【0091】
したがって、
図19に示す形態では、モータユニット161が作動すると、伝達シャフト162を介して拡散板62が左右に往復移動する。従来のモータユニット56では、駆動対象である拡散板62への駆動の伝達機構を短くするために、上部に配置されていた。しかしながら、刈草が堆積されてくると、モータユニット56が配置されている上部の空間には刈草が収容できず、容量が減少する問題があった。ここで、排出筒61を通過してコレクタ14内に搬送されてきた刈草は後方に搬送されるため、排出筒61の前方の特に下部は、刈草が搬送されにくく、元々デッドスペースになりやすい。
図19に示す形態では、このデッドスペースにモータユニット161を配置することで、上部の空間を開放することができ、刈草の容量を増大させることができる。