(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
錠剤成型の際、打錠障害抑制のため、滑沢剤が配合される。滑沢剤としては、ステアリン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が使用される。一般的に、結合性が低い粉体に対しては滑沢効果の低いショ糖脂肪酸エステルが選択され、結合力の高い粉体に対してはステアリン酸塩のような滑沢効果の高い滑沢剤が選択されてきた。この例にならい、ラクトフェリンを高濃度で含む錠剤組成物の滑沢剤としては、これまではショ糖脂肪酸エステルが選定されてきた。しかし、ラクトフェリンとショ糖脂肪酸エステルとを配合した錠剤では、初期の崩壊性とラクトフェリンの溶出性は良好であるものの、経時的にラクトフェリンの溶出性が低下するという問題が生じることを見出した。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたもので、ラクトフェリンを高濃度で含むにもかかわらず、錠剤成型性(打錠時の臼杵・盤面に打錠末の付着のなさ:以下付着性と略す場合がある。)に優れ、崩壊性及び溶出性が良好であり、更に長期保存後においても崩壊性及び溶出性が良好な、ラクトフェリンを含む錠剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、ラクトフェリンを高濃度で含む錠剤組成物の滑沢剤としてステアリン酸塩を用いたところ、錠剤成型性に優れ、かつその疎水的相互作用により崩壊性を遅延させるステアリン酸塩の特徴に反し、初期崩壊性を低下させることなく、かつ、長期保存後でも崩壊時間が遅延することなく、崩壊性及びラクトフェリン溶出性が良好であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記錠剤組成物、及び錠剤組成物の崩壊性・溶出性改善方法を提供する。
[1].(A)
30〜70質量%のラクトフェリン
、(B)0.12〜1.0質量%のステアリン酸塩
、及び(C)マルチトール、イソマルト及びエリスリトールから選ばれる糖アルコールを含
み、(B)/(A)×100で表される(A)成分と(B)成分との配合質量比が0.4〜1.6、かつ(C)/(A)で表される(C)成分と(A)成分との配合質量比が0.3〜0.8である錠剤組成物。
[2].前記(B)ステアリン酸塩が、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムである[1]記載の錠剤組成物。
[3].
(C)成分の配合量が、15〜50質量%である[1]又は[2]記載の錠剤組成物。
[4].
(A)30〜70質量%のラクトフェリンを含む錠剤組成物の崩壊性及び前記ラクトフェリンの溶出性を改善する方法であって、前記錠剤組成物に
(B)0.12〜1.0質量%のステアリン酸塩、及び
(C)マルチトール、イソマルト及びエリスリトールから選ばれる糖アルコールを、(B)/(A)×100で表される(A)成分と(B)成分との配合質量比が0.4〜1.6、かつ(C)/(A)で表される(C)成分と(A)成分との配合質量比が0.3〜0.8となる範囲で配合することを特徴とする、錠剤組成物の崩壊性及び溶出性改善方法。
[5].(A)30質量%以上のラクトフェリン、及び(B1)0.12〜1.0質量%のステアリン酸
カルシウムを含む錠剤組成物。
[6].(B1)/(A)×100で表される(A)成分と(B1)成分との配合質量比が、0.25〜3である[
5]記載の錠剤組成物。
[7].更に、(C)糖又は糖アルコールを5質量%以上含む
[5]又は[6]記載の錠剤組成物。
[8].
(A)30質量%以上のラクトフェリンを含む錠剤組成物の崩壊性及び前記ラクトフェリンの溶出性を改善する方法であって、前記錠剤組成物に
(B1)0.12〜1.0質量%のステアリン酸
カルシウムを配合することを特徴とする、錠剤組成物の崩壊性及び溶出性改善方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラクトフェリンを高濃度で含む錠剤組成物であっても、錠剤成型性に優れ、崩壊性及び溶出性が良好であり、また、長期保存後の崩壊性及び溶出性も良好である錠剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[(A)ラクトフェリン]
本発明の錠剤組成物は、(A)ラクトフェリンを30質量%以上含む。ラクトフェリンは、高い脂肪減少効果を有する機能性成分である。(A)ラクトフェリンの配合量の下限は、組成物中32質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。一方、その上限は、特に限定されず、99.88質量%が好ましいが、打錠する際の成形性の観点から、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0011】
ラクトフェリンとしては、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等から、常法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)により分離したラクトフェリン、植物(トマト、イネ、タバコ)から生産されたラクトフェリン、遺伝子組み換えによって得られたラクトフェリン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。ラクトフェリンとしては、ウシ由来のものが好ましい。なお、ラクトフェリンは、市販品を使用してもよく、公知の方法により調製して使用してもよい。ラクトフェリンは通常の製法にて製造された物を用いることができる。
【0012】
ラクトフェリンが凍結乾燥品である場合、その形状は定形でも不定形でもよく、その平均粒径は40〜300μmであり、50〜300μmが好ましく、80〜250μmがより好ましい。平均粒径が40μm以上であると、錠剤の崩壊性、ラクトフェリンの溶出性が良好であり、300μm以下では、摩損度が低くなる。なお、本発明において、平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布における50%径(メディアン径、体積基準)をいう。また、前記分布において、63μmのメッシュ(235mesh)を通過するものの割合(質量%)が、全体の60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が最も好ましい。
【0013】
[(B)ステアリン酸塩]
本発明の錠剤組成物において、(B)ステアリン酸塩は、滑沢剤として機能する。本発明の錠剤組成物は、(B)ステアリン酸塩を含むことで経時的な溶出性低下が抑制され、長期保存後であっても溶出性が良好なものとなる。
【0014】
(B)ステアリン酸塩としては、ステアリン酸と1価又は2価金属との塩であれば特に限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が好ましく、ステアリン酸カルシウムがより好ましい。
【0015】
(B)ステアリン酸塩の配合量の下限は、0.12質量%であり、0.14質量%が好ましく、0.15質量%がより好ましい。一方、その上限は、1.0質量%であるが、0.8質量%が好ましく、0.6質量%がより好ましい。(B)ステアリン酸塩の配合量が下限以上であれば、滑沢効果及び成形性が良好であり、上限以下であれば、崩壊遅延が発生することなく、崩壊性及び溶出性が良好である。
【0016】
(B)/(A)×100で表される(A)成分と(B)成分との配合質量比は、0.25〜3が好ましく、0.4〜1.6がより好ましい。前記下限以上とすることで、崩壊遅延が発生することなく、崩壊性、溶出性、錠剤成型性がより良好となる。前記上限以下とすることで、初期の崩壊性、溶出性がより良好となる。
【0017】
[(C)糖又は糖アルコール]
本発明の錠剤組成物は、(C)成分として糖又は糖アルコールを含んでもよい。(C)糖又は糖アルコールは賦形剤として機能する。(C)糖又は糖アルコールを含むことで、ラクトフェリンの溶出性を更に向上させることができる。
【0018】
前記糖としては、特に限定されず、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖のいずれでもよい。特に、乳糖、デンプン(コーンスターチ、ポテトスターチ等)、果糖、ブドウ糖、ショ糖、白糖、麦芽糖、無水乳糖、デキストラン等が挙げられ、中でも水溶性成分が好ましく、乳糖、ショ糖等がより好ましい。
【0019】
前記糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。これらのうち、イソマルト、マルチトール、エリスリトールが好ましく、マルチトールがより好ましい。
【0020】
(C)糖又は糖アルコールの配合量の下限は、組成物中5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、15質量%が更に好ましい。一方、その上限は、69.88質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、40質量%が更に好ましい。(C)糖又は糖アルコールの配合量が下限以上であれば、崩壊性及び溶出性が良好であり、上限以下であれば、錠剤の成形性が良好である。
【0021】
(C)/(A)で表される(C)成分と(A)成分との配合質量比は0.15〜1.0が好ましく、0.3〜0.8がより好ましい。前記下限以上とすることで、崩壊遅延が発生することなく、崩壊性、溶出性、錠剤成型性が良好となる。前記上限以下とすることで、崩壊遅延が発生することなく、崩壊性が良好となる。
【0022】
[その他の成分]
本発明の錠剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、適量用いることができる。その他の成分としては、例えば、(A)成分以外の機能性成分、(B)成分以外の滑沢剤、(C)成分以外の賦形剤、油性成分、崩壊剤、流動化剤、結合剤、薬効成分、植物抽出物、色素、香料等を挙げることができる。具体的には、下記成分を挙げることができる。なお、重複した役割を有する成分は、重複して記載される。
【0023】
前記(A)成分以外の機能性成分としては、例えば、乳酸菌の1種であるラクトバチルス・ブレビスの菌体が挙げられる。前記菌体は、生菌でも死菌でもよい。前記ラクトバチルス・ブレビスの菌体としては、市販品あるいは公知の培養方法によって得られたものを使用することができる。
【0024】
ラクトバチルス・ブレビス菌の配合量は、成人一人、1日あたり、生菌であれば1億個以上が好ましく、10億個以上がより好ましく、100億個以上が更に好ましい。死菌であれば10億個以上が好ましく、100億個以上がより好ましく、180億個以上が更に好ましい。生菌、死菌いずれも、多量に摂取しても排出されるので特に限定されないが、10兆個以下である。この範囲でより本発明の効果を得ることができる。なお、乳酸菌の同定にはアピ50CHLビオメリュー(日本ビオメリュー社製)を用いる。生菌数の測定には、MRS寒天培地を用いて嫌気培養し、生育したコロニーを計測する。死菌の場合には殺菌処理をする前に、生菌と同様MRS寒天培地を用いて計測した値を死菌数とする。
【0025】
前記(A)成分以外の機能性成分としては、血流改善効果を有する、コショウ科、ショウガ科及びナス科から選ばれる植物の抽出物も挙げられる。当該植物抽出物を配合することで、血流改善効果が期待できる。
【0026】
このような植物として具体的には、コショウ科として、コショウ(Piper nigrum L.)、ヒハツ(Piper longum L.)、ヒハツモドキ(Piper retrofractum Vahl)、ショウガ科としてショウガ(Zingiber officinale)、ナス科としてトウガラシ(Capsicum annuum)等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
前記植物抽出物としては、市販品あるいは公知の抽出方法によって得られたものを使用することができる。前記抽出方法に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。前記抽出方法における各種条件は、特に制限されるものではないが、通常、抽出原料と前記抽出溶媒との比率は、質量比で抽出原料:抽出溶媒=1:2〜1:50程度の範囲が好ましい。また、抽出温度は5〜80℃の範囲が好ましく、1時間〜1週間、抽出溶媒に浸漬したり、攪拌したりすることによって行うことが好ましい。なお、抽出pHは、極端な酸性又はアルカリ性でなければ、特に制限はない。前記抽出溶媒が、水、エタノール、水/エタノール(含水エタノール)等の非毒性の溶媒である場合は、抽出物をそのまま用いてもよく、あるいは希釈液として用いてもよい。また、前記抽出物を濃縮エキスとしてもよく、凍結乾燥等により乾燥粉末物にしたり、ペースト状に調製したりしてもよい。なお、他の溶媒を用いた場合は、溶媒を留去後、乾燥分を非毒性の溶媒で希釈して用いることが好ましい。
【0028】
前記植物抽出物の配合量は、組成物中、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
【0029】
(B)成分以外の滑沢剤としては、アラビアゴム、カカオ脂、カルナバロウ、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、流動パラフィン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、フマル酸、ミツロウ糖等が挙げられる。本発明の錠剤組成物が(B)成分以外の滑沢剤を含む場合、その配合量は、0.01〜5質量%が好ましい。
【0030】
(C)成分以外の賦形剤としては、結晶セルロース、デンプン、アラビアゴム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、カオリン、カカオ脂、二酸化ケイ素、微粒二酸化ケイ素、クエン酸又はその塩、ステアリン酸、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。本発明の錠剤組成物が(C)成分以外の賦形剤を含む場合、その配合量は、1〜50質量%が好ましい。
【0031】
前記油性成分としては、各種脂肪酸エステル、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。前記崩壊剤としては、寒天、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、デンプン又はその誘導体等が挙げられる。前記流動化剤としては、微粒二酸化ケイ素等が挙げられる。前記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ビニルピロリドン、部分α化デンプン等が挙げられる。前記薬効成分としては、カロチノイド系物質(α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン等)、コエンザイムQ10、ビタミンE、トコトリエノール、DHA、EPA等が挙げられる。
【0032】
本発明の錠剤組成物が前記油性成分を含む場合、その配合量は組成物中0.01〜25質量%が好ましく、前記崩壊剤を含む場合、その配合量は組成物中0.01〜50質量%が好ましく、前記流動化剤を含む場合、その配合量は組成物中0.01〜5質量%が好ましく、前記結合剤を含む場合、その配合量は組成物中0.01〜50質量%が好ましく、前記薬効成分を含む場合、その配合量は組成物中0.01〜50質量%が好ましい。
【0033】
本発明の錠剤組成物は、通常の経口、つまり飲み込むタイプの錠剤、口腔内崩壊錠等特に限定されないが、通常の飲み込むタイプの錠剤の場合は、腸溶製剤であることが好ましい。腸溶製剤とするためには、シェラック、水溶性シェラック、ツエイン、ヒドロキシメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマー、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ビール酵母細胞壁(例えば商品名イーストラップ等)、タピオカデンプン、ゼラチン、ペクチン、硬化油等の油脂類等の腸溶成分を配合するとよい。なお、本発明において、腸溶製剤であるか否かは第十六改正日本薬局方・崩壊試験法による。
【0034】
本発明の錠剤組成物は、ラクトフェリン及び任意成分を混合し、打錠することにより、得ることができる。打錠圧等の成型条件は、打錠機、成分の種類や配合量、錠剤の径等により異なるが、崩壊性、錠剤強度、口腔内崩壊速度等を考慮して適宜調整する。腸溶製剤にする場合は、素錠を前記腸溶成分でコーティングする。腸溶成分の量は素錠に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。その他、グリセリン、アルギン酸又はその塩、タルク、微粒二酸化ケイ素をコーティングしてもよい。
【0035】
本発明の錠剤組成物の大きさは特に限定されないが、直径5〜12mm程度が好ましく、1錠あたり200〜400mgが好ましく、250〜350mgがより好ましい。口腔内崩壊錠でない場合、つまり経口タイプの錠剤の場合は、錠剤硬度は5〜30kgfが好ましく、8〜30kgfがより好ましい。口腔内崩壊錠の場合は、3〜20kgfが好ましく、5〜15kgfがより好ましい。なお、錠剤硬度は常法に従って測定することができる。
【0036】
なお、本発明は、30質量%以上のラクトフェリンを含む錠剤組成物の崩壊性及び前記ラクトフェリンの溶出性を改善する方法であって、前記錠剤組成物に0.12〜1.0質量%のステアリン酸塩を配合することを特徴とする、錠剤組成物の崩壊性及び溶出性改善方法を提供する。好適な成分、量等は上記と同様である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。なお、使用した原料は以下のとおりである。
・ラクトフェリン:森永乳業(株)製、ラクトフェリンMLF−FG(中位径:80μm)
・ヒハツエキス:丸善製薬(株)製、Tie2ヒハツエキスパウダーMF
・結晶セルロース:旭化成ケミカルズ(株)製、セオラスUF-F711
・マルチトール:三菱商事フードテック(株)製、粉末マルチトールG-3
・イソマルト:フロイント産業(株)製、イソマルトグラニュー
・エリスリトール:マイクロフーズジャパン(株)製、エリスリトール顆粒
・ソルビトール:三菱商事フードテック(株)製、ソルビット
・キシリトール:三菱商事フードテック(株)製、キシリット
・乳糖:フロイント産業(株)製、乳糖グラニュー
・カルボキシメチルセルロースカルシウム:ニチリン化学工業(株)製、E.C.G-F A
・微粒二酸化ケイ素:DSL.ジャパン(株)製、カープレックスFPS-500
富士シリシア化学(株)製、サイロページ720
・ステアリン酸カルシウム:太平化学産業(株)製、ステアリン酸カルシウム
・ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株)製、ステアリン酸カルシウム
・ショ糖脂肪酸エステル:三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS-370F
・グリセリン脂肪酸エステル:阪本薬品工業(株)製、SYグリスター
・ラブレ菌末:ラブレ創健(株)製、ナノ型ラブレ菌(60億個/10mg)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトローズ、信越化学工業(株)製、SE-06
・グリセリン:阪本薬品工業(株)製、食品添加物グリセリン
・アルギン酸ナトリウム:(株)キミカ製、キミカアルギンIL−2
・タルク:キハラ化成(株)、リスブラン
【0038】
[実施例1〜23、比較例1〜6、参考例1]
[1]錠剤の調製
下記表1〜4に記載されたそれぞれの原料を秤量、混合し、ロータリー式打錠機を用いて錠剤硬度が8〜15kgf以上になるように打錠した。次いで、パン回転式コーティング機を用いて、得られた素錠をコーティングした。なお、コーティング剤は、下記表1〜3に記載した組成のものを使用した。なお、錠剤形状は、2段R錠(R1=3.6mm、R2=10.5mm、H=1.5mm)であった。
【0039】
[2]崩壊性試験
製造直後(初期)の錠剤、及びプラスチックボトルに充填し、40℃、75%RHの恒温槽にて4か月間保存した後の錠剤について、第十六改正日本薬局方に収載された錠剤の崩壊試験法に従って崩壊試験を行った。錠剤の崩壊時間(分)を測定し、測定回数6回の平均値を算出し、下記評価基準に従って崩壊性を評価した。結果を表1〜3に併記する。
崩壊時間40分未満:◎
崩壊時間40分以上50分未満:○
崩壊時間50分以上60分未満:△
崩壊時間60分以上:×
【0040】
[3]溶出性試験
製造直後(初期)の錠剤、及びプラスチックボトルに充填し、40℃、75%RHの恒温槽にて4か月間保存した後の錠剤について、第十六改正日本薬局方に収載される錠剤の溶出試験法に準じて溶出試験を行い、ラクトフェリンの溶出率(%)を測定した。具体的には、試験液として溶出試験第2液(pH約6.8)を用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行った。錠剤は1個、溶出試験第2液は900mL使用した。溶出試験開始2時間後の溶出液をとり、溶出したラクトフェリンをHPLC法により定量し、溶出率を算出した。測定は3回行い、溶出率の平均値を算出し、下記評価基準に従って溶出性を評価した。結果を表1〜3に併記する。
2時間後の溶出率80%以上:◎
2時間後の溶出率70%以上80%未満:○
2時間後の溶出率60%以上70%未満:△
2時間後の溶出率60%未満:×
【0041】
[4]ラクトフェリン定量法
50mLメスフラスコに標準ラクトフェリン75mgを入れ、溶出試験溶液でメスアップした。この標準溶液の1/5、1/20、1/50の標準溶液を作製し、各標準溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、それぞれの標準液のラクトフェリンピーク面積を求め、検量線を作成した。
溶出試験開始2時間後の溶出液をHPLCにより測定し、ラクトフェリンピーク面積を求めた。検量線を用いて各試料溶液中のラクトフェリン濃度を求め、ラクトフェリン含量を求めた。
<HPLC測定条件>
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
・カラム:Shodex Asahipak C4P-50 4D(ポリマー系逆相クロマトグラフィ用カラム)
ブチル基(5μm×4.6×150)
Shodex Asahipak C4P-50 4D:ガードカラム
カラム温度35℃
導入量:20μL
流量:0.8mL/min
・移動層A:トリフルオロ酢酸を0.03質量%含むアセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(10:90)
・移動層B:トリフルオロ酢酸を0.03質量%含むアセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(50:50)
・濃度勾配:A:B(50:50)から(0:100)までの直線濃度勾配を30分間行った。
【0042】
[5]付着性(錠剤成型性)試験
2時間の連続打錠を行い、打錠用臼杵と盤面を観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表1〜3に併記する。
○:臼杵・盤面に打錠末の付着が認められなかった
×:臼杵・盤面に打錠末の付着が認められた
【0043】
総合判定の評価基準は、以下のとおりである。
○:崩壊性、溶出性、付着性評価の全てが△〜◎
×:崩壊性、溶出性、付着性評価でいずれかが×
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
*比較例1,2,6、参考例1は(B’)/(A)×100