特許第6589985号(P6589985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589985
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】LED搭載基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20191007BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20191007BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20191007BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H01L33/48
   H05K1/11 L
   H05K1/02 Q
   H01L23/12 N
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-529572(P2017-529572)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(86)【国際出願番号】JP2016070684
(87)【国際公開番号】WO2017014127
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-143989(P2015-143989)
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大坪 喜人
(72)【発明者】
【氏名】番場 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】中居 俊博
(72)【発明者】
【氏名】菊池 宏
(72)【発明者】
【氏名】西出 充良
(72)【発明者】
【氏名】酒井 範夫
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−225643(JP,A)
【文献】 特開2004−140150(JP,A)
【文献】 特開2007−142479(JP,A)
【文献】 特開2014−165341(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0075374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15,33/00−33/64
H05K 1/00−1/03,1/11,3/40−3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低弾性樹脂で形成され、一方主面にLED素子が実装される絶縁層と、
一端が前記絶縁層の前記一方主面に露出するとともに、他端が前記絶縁層の他方主面に露出した状態で前記絶縁層内に配設され、前記LED素子に電気的に接続される、金属ピンからなる第1配線導体とを備えるLED搭載基板の製造方法において、
少なくとも前記絶縁層に接する側面が粗面化された前記金属ピンを準備する工程と、
前記金属ピンを低弾性樹脂でモールドして前記絶縁層を形成する工程と、
を備えることを特徴とするLED搭載基板の製造方法
【請求項2】
前記絶縁層の前記一方主面に電を形成する工程と、
前記絶縁層の前記一方主面に前記電極の少なくとも一部を覆う絶縁被覆膜を形成する工程とをさらに備え、
前記絶縁被覆膜の曲げ弾性率前記絶縁層の曲げ弾性率よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載のLED搭載基板の製造方法
【請求項3】
前記絶縁層の前記一方主面または前記他方主面にグランド電極を形成する工程をさらに備え
前記絶縁層を形成する工程では、前記第1配線導体とともに、複数の第2配線導体をモールドし、
前記第1配線導体の前記一端と、前記複数の第2配線導体それぞれの一端とを前記絶縁層の前記一方主面に露出させるとともに、前記第1配線導体の前記他端と、前記複数の第2配線導体それぞれの他端とを前記絶縁層の前記他方主面に露出させ、
前記複数の第2配線導体それぞれの一端または他端、前記グランド電極に接続さることを特徴とする請求項1に記載のLED搭載基板の製造方法
【請求項4】
前記絶縁層の前記一方主面において、前記グランド電極と、前記第1配線導体の前記一端が接続される前記LED素子の実装電極と、これらと異なる他の電極とを形成する工程をさらに備え
当該工程では、前記実装電極、前記グランド電極および前記他の電極、前記絶縁層の前記一方主面の略全面に渡って形成ることを特徴とする請求項に記載のLED搭載基板の製造方法
【請求項5】
前記絶縁層の前記一方主面に積層され、前記実装電極の一部を露出させるための開口と、前記グランド電極の一部を露出させるための開口とが設けられた絶縁被覆膜を形成する工程をさらに備え、
前記実装電極および前記グランド電極では、いずれも前記絶縁被覆膜に覆われた部分の面積が前記開口から露出した部分の面積よりも大きいことを特徴とする請求項に記載のLED搭載基板の製造方法
【請求項6】
前記低弾性樹脂の曲げ弾性率は1GPa以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のLED搭載基板の製造方法
【請求項7】
前記金属ピンを準備する工程では、前記金属ピンを酸性溶液に浸すことにより粗面化を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のLED搭載基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方主面にLED素子が実装されるLED搭載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装される配線基板として、例えば、図6に示すような多層配線基板100が知られている。この多層配線基板100は、上下面101a,101bに導電層102a,102bが形成されたコア基板101を備え、両導電層102a,102bがスルーホール導体103aで電気的に接続される。スルーホール導体103aは、耐熱衝撃性を向上させるために金属ピン104で穴埋めされている。また、コア基板101の上面101aには、エポキシ樹脂を主成分とする絶縁層105が積層され、コア基板101と絶縁層105の両方を貫通するスルーホール導体103bが設けられる。スルーホール導体103bは、絶縁層105に形成された導電層102cと、コア基板101の下面側の導電層102bとを電気的に接続する。なお、コア基板101は、ガラスエポキシ樹脂やセラミックなどで形成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−321683号公報(段落0019〜0021、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の配線基板にLED素子を実装してLEDパッケージを構成するものがあるが、近年の電子機器の小型化に伴い、これに搭載されるLEDパッケージを配置する自由度の向上が要求されている。しかしながら、従来の多層配線基板100は、ガラスエポキシ樹脂やセラミックなどの柔軟性の低い材料で形成されているため、例えば、実装基板に凹凸があるような場合には、実装が困難になる。
【0005】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも配置の自由度が向上するLED搭載基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明のLED搭載基板の製造方法は、低弾性樹脂で形成され、一方主面にLED素子が実装される絶縁層と、一端が前記絶縁層の前記一方主面に露出するとともに、他端が前記絶縁層の他方主面に露出した状態で前記絶縁層内に配設され、前記LED素子に電気的に接続される、金属ピンからなる第1配線導体とを備えるLED搭載基板の製造方法において、少なくとも前記絶縁層に接する側面が粗面化された前記金属ピンを準備する工程と、前記金属ピンを低弾性樹脂でモールドして前記絶縁層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、絶縁層が低弾性樹脂で形成されるため、絶縁層がガラスエポキシ樹脂やセラミックで形成される場合と比較して、LED搭載基板の柔軟性を高めることができる。この場合、例えば、電子機器の実装基板に凹凸がある場合であっても、LED搭載基板を当該凹凸に追従させて実装することができるため、LED搭載基板の配置の自由度を向上できる。また、LED搭載基板を、集合基板で形成した後に個片化するような場合は、個片化時の基板割れを防止することができる。
【0008】
また、絶縁層が低弾性樹脂で形成されていると、絶縁層に作用した応力が、第1配線導体と絶縁層の接合面に及びやすく、第1配線導体と絶縁層の接合性が問題になる。ここで、第1配線導体の側面を粗面化すると、第1配線導体と絶縁層の接合性が向上するため、絶縁層が低弾性樹脂であっても、第1配線導体が絶縁層から外れにくくなる。
【0010】
また、前記絶縁層の前記一方主面に電を形成する工程と、前記絶縁層の前記一方主面に前記電極の少なくとも一部を覆う絶縁被覆膜を形成する工程とをさらに備え、前記絶縁被覆膜の曲げ弾性率前記絶縁層の曲げ弾性率よりも高くしてもよい。このようにすると、LED搭載基板を容易に変形させることができる。
【0011】
また、前記絶縁層の前記一方主面または前記他方主面にグランド電極を形成する工程をさらに備え前記絶縁層を形成する工程では、前記第1配線導体とともに、複数の第2配線導体をモールドし、前記第1配線導体の前記一端と、前記複数の第2配線導体それぞれの一端とを前記絶縁層の前記一方主面に露出させるとともに、前記第1配線導体の前記他端と、前記複数の第2配線導体それぞれの他端とを前記絶縁層の前記他方主面に露出させ、前記複数の第2配線導体それぞれの一端または他端、前記グランド電極に接続さてもよい。この場合、複数の第2配線導体により、LED搭載基板の放熱特性をさらに向上することができる。
【0012】
また、前記絶縁層の前記一方主面において、前記グランド電極と、前記第1配線導体の前記一端が接続される前記LED素子の実装電極と、これらと異なる他の電極とを形成する工程をさらに備え当該工程では、前記実装電極、前記グランド電極および前記他の電極、前記絶縁層の前記一方主面の略全面に渡って形成てもよい。この構成によると、絶縁層の一方主面の略全面が導体で被覆されることになるため、LED搭載基板の放熱特性を向上できる。
【0013】
前記絶縁層の前記一方主面に積層され、前記実装電極の一部を露出させるための開口と、前記グランド電極の一部を露出させるための開口とが設けられた絶縁被覆膜を形成する工程をさらに備え、前記実装電極および前記グランド電極では、いずれも前記絶縁被覆膜に覆われた部分の面積が前記開口から露出した部分の面積よりも大きくてもよい。この構成によると、LED搭載基板の放熱特性を向上しつつ、LED素子との最適な接続面積を確保することができる。
【0015】
また、前記低弾性樹脂の曲げ弾性率は1GPa以下であるのが好ましい。この場合、電子機器の実装基板の凹凸に追従させる基板として好適である。また、前記金属ピンを準備する工程では、前記金属ピンを酸性溶液に浸すことにより粗面化を行ってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、絶縁層が低弾性樹脂で形成されるため、絶縁層がガラスエポキシ樹脂やセラミックで形成される場合と比較して、LED搭載基板の柔軟性を高めることができる。この場合、例えば、電子機器の実装基板に凹凸がある場合であっても、LED搭載基板を当該凹凸に追従させて実装することができるため、LED搭載基板の配置の自由度を向上することができる。また、LED搭載基板を、集合基板で形成した後に個片化するような場合は、個片化時の基板割れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかるLEDパッケージの断面図である。
図2図1のLED搭載基板の平面図および底面図である。
図3図1のLEDパッケージの製造方法を示す図である。
図4図1のLEDパッケージの製造方法を示す図であって、図3に続く各工程を示す図である。
図5】配線導体の変形例を示す図である。
図6】従来の配線基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の一実施形態にかかるLEDパッケージについて、図1および図2を参照して説明する。なお、図1(a)は図2(a)のA−A矢視断面図、図1(b)は図2(a)のB−B矢視断面図を示す。また、図2(a)はLED搭載基板の平面図、図2(b)は絶縁被覆膜を除いた状態のLED搭載基板の平面図、図2(c)はLEDパッケージの底面図を示す。
【0019】
この実施形態にかかるLEDパッケージ1は、図1に示すように、LED搭載基板2にLED素子を含む複数の部品3が実装されてなり、例えば、携帯端末装置のマザー基板に実装されてカメラ照明用の光源に使用される。
【0020】
LED搭載基板2は、絶縁層4と、絶縁層4の上面4aに形成された複数の実装電極5a,5bと、絶縁層4の下面4bに形成された外部接続用の複数の外部電極6と、絶縁層4に配設された複数の配線導体7a,7bと、絶縁層4の両面4a,4bに積層された絶縁被覆膜8a,8bとを有する。このとき、絶縁層4は、例えば、ガラスフィラの含有量が少ないエポキシ樹脂などの低弾性樹脂で形成される。低弾性樹脂としては、例えば、ゴム変性エポキシ樹脂、低Tgエポキシ樹脂、エラストマー入りエポキシ樹脂が挙げられる。ガラスフィラ含有量が少ないエポキシ樹脂であっても、可撓性があれば、低弾性樹脂として使用することができる。また熱可塑性樹脂では低弾性樹脂としてエラストマー入りポリイミド樹脂、エラストマー入りポリプロピレン樹脂、エラストマー入りポリスチレン樹脂が挙げられる。低弾性樹脂の曲げ弾性率は、例えば、1GPa以下である。
【0021】
また、絶縁層4を構成する低弾性樹脂の曲げ弾性率は、絶縁被覆膜8a, 8bの曲げ弾性率よりも低いことが好ましい。絶縁層4の曲げ弾性率が低いことにより、LEDパッケージを容易に変形することができる。
【0022】
部品3は、例えば、LED素子、チップサーミスタ、チップコンデンサなどで構成されており、絶縁層4の上面4aに周知の表面実装技術で実装される。
【0023】
絶縁層4の上面4aには、図2(b)に示すように、複数の実装電極5a,5bと、ダミー電極5cとが形成される。これらの電極5a〜5cは、例えば、Cu、Al、Ag等、配線電極の材料として一般的に使用される金属で形成されている。
【0024】
また、この実施形態では、各実装電極5a,5bおよびダミー電極5cが、絶縁層4の上面4aの略全面に渡って形成される。具体的には、各実装電極5a,5bは、予め設定された部品3との接続面の面積よりも大きい面積で形成されて、周端が隣の電極5a〜5cに近接配置される。すなわち、この実施形態では、絶縁層4の上面4aが、できるだけ熱伝導率が高い金属で被覆されるように構成されている。なお、図2(b)の中央に配置された実装電極5aは、接地用のグランド電極として形成されている。また、ダミー電極5cは、LED搭載基板2内の他の電極に電気的に接続されない電極を意味する。
【0025】
絶縁層4の下面4bには、複数の外部電極6が形成されて、LEDパッケージ1が外部と接続可能になっている。この実施形態では、絶縁層4の下面4bの周縁部を除いて、略全面に渡って各外部電極6が形成される。ここで、絶縁層4の上面4aと同様に、当該周縁部にダミー電極を設けてもよいし、各外部電極6を絶縁層4の下面4bの周縁側に延出形成して、面積を広げてもよい。
【0026】
絶縁被覆膜8a,8bは、例えば、エポキシ樹脂やポリイミドなどで形成される(この実施形態では白色レジスト)。ここで、絶縁層4の上面4aに積層された絶縁被覆膜8aには、各実装電極5a,5bの一部を露出させるための複数の開口9aが設けられる(図2(a)参照)。各開口9aは、大きい面積で形成された各実装電極5a,5bが最適な接続面積で部品3と接続できるように、開口面積が調整されている。その結果、この実施形態では、各実装電極5a,5bは、いずれも絶縁被覆膜8aに覆われた部分の面積が開口9aから露出した部分の面積よりも大きくなっている。
【0027】
また、この実施形態では、絶縁被覆膜8aには、絶縁層4の上面4aの周縁部に配置された電極を露出させるための開口9bがさらに設けられる。これは、金属部分をできるだけ露出させて放熱特性を向上されるために設けられているが、当該開口9bは必ずしも設けなくてもよい。
【0028】
絶縁層4の下面4bに積層された絶縁被覆膜8bは、各外部電極6の全面を露出させる開口9cが設けられる。ここで、絶縁被覆膜8bは、各外部電極6の周縁部を被覆するように開口9cの面積を調整してもよい。
【0029】
各配線導体7a,7bは、いずれも上端が絶縁層4の上面4a(本発明の「絶縁層の一方主面」に相当)に露出するとともに、下端が絶縁層4の下面4b(本発明の「絶縁層の他方主面」に相当)に露出した状態で、絶縁層4に立設される。ここで、各配線導体7a,7bは、それぞれ上端が所定の実装電極5a,5bに接続されるとともに、下端が所定の外部電極6に接続され、対応する実装電極5a,5bと外部電極6とを電気的に接続する。また、この実施形態では、各配線導体7a,7bの絶縁層4に接する周側面が、粗面化さている。
【0030】
各配線導体7a,7bは、例えば、Cu、Al、Agなどの金属線材をせん断加工するなどして得られる金属ピンで形成される。また、Cu、Al、Agなどの金属板をエッチングすることにより各配線導体7a,7bを形成することもできる。また、各配線導体7a,7bの周側面を粗面化する方法は、例えば、各配線導体7a,7bを酸性溶液に浸すなどが挙げられる。なお、各配線導体7a,7bは、上述の円柱状に限らず、例えば各柱状であってもよい。
【0031】
また、この実施形態では、各配線導体7a,7bは、配線導体としての機能に加えて、放熱用の導体としても機能するように構成されている。具体的には、各配線導体7a,7bは、いずれも円柱状に形成されており、上下端に接続される実装電極5a,5bおよび外部電極6の面積に応じて径の大きさが異なるように構成されている。
【0032】
ここで、面積が大きい実装電極5a,5bと外部電極6とを接続する配線導体7aは、径が大きく形成され、面積が小さい実装電極5a,5bと外部電極7とを接続する配線導体7bは、径が小さく形成される。また、この実施形態では、面積の大きい中央部の実装電極5a(グランド電極)と、これに対応する外部電極6とを接続する配線導体7aが複数(この実施形態では2つ)設けられている。このように、各配線導体7a,7bの径をできるたけ大きくすることで、絶縁層4内の金属部分を増やして放熱特性の向上が図られている。なお、各部品3のうちのLED素子の実装電極5aに接続される配線導体7aが本発明の「第1配線導体」に相当し、実装電極5a(グランド電極)に接続される複数の配線導体7aそれぞれが本発明の「第2配線導体」に相当する。
【0033】
(LEDパッケージの製造方法)
次に、LEDパッケージの製造方法について、図3および図4を参照して説明する。なお、図3(a)〜(f)はLEDパッケージの製造方法の各工程を示し、図4(a)〜(e)は図3(f)に続く各工程を示す。
【0034】
まず、図3(a)に示すように、連結板10の一方主面10aに、各配線導体7a,7b(金属ピン)の一端を固定して、連結板10に各配線導体7a,7bを立設する。
【0035】
次に、図3(b)に示すように、離型層付きフィルム11を準備した後、各配線導体7a,7bの他端が離型層付きフィルム11に接触するように、連結板10を配置し、離型層の樹脂を硬化させる。このとき、各配線導体7a,7b付きの連結板10が、離型層付きフィルムに固定される。
【0036】
次に、図3(c)に示すように、連結板10を除去した後、低弾性樹脂(ガラスフィラの含有量の少ないエポキシ樹脂)で各配線導体7a,7bをモールドし、当該樹脂を硬化させて絶縁層4を形成する(図3(d))。
【0037】
次に、離型層付きフィルムを剥離した後、図3(e)に示すように、絶縁層4の上下面4a,4bを研磨または研削し、各配線導体7a,7bの上端を絶縁層4の上面4aに露出させるとともに、下端を絶縁層4の下面4bに露出させる。
【0038】
次に、図3(f)に示すように、無電解または電解めっきにより、絶縁層4の上下面4a,4bにCu膜12を形成する。
【0039】
次に、フォトレジスト技術により、各実装電極5a,5b、ダミー電極5cおよび各外部電極6を形成する。すなわち、図4(a)に示すように、絶縁層4の上下面4a,4b上のCu膜12にエッチングレジスト13を形成し、エッチングにより各実装電極5a,5b、ダミー電極5cおよび各外部電極6のパターン形成を行い、エッチングレジスト13を剥離する(図4(b))。
【0040】
次に、図4(c)に示すように、スクリーン印刷により、絶縁層4の上下面4a,4bそれぞれに絶縁被覆膜8a,8bを形成する。このとき、各開口部9a〜9cを形成する。
【0041】
次に、図4(d)に示すように、各実装電極5a〜5b、ダミー電極5c、外部電極6のうち、各開口部9a〜9cから露出した部分に、無電解または電解めっきでめっき膜14を形成する。めっき膜14は、Ni/Auめっき、またはNi/Pd/Auめっきなどで形成することができる。
【0042】
最後に、図4(e)に示すように、絶縁層4の上面4aに、各部品3を周知の表面実装技術を用いて実装し、LEDパッケージ1が完成する。なお、この実施形態では、LEDパッケージ1を単体で製造する場合を例として説明したが、例えば、複数のLED搭載基板2がマトリクス状に配列された集合基板を製造した後、ダイシング等で個片化して一度に複数のLEDパッケージ1を製造するようにしてもよい。
【0043】
上記した実施形態によれば、絶縁層4が低弾性樹脂で形成されるため、絶縁層4がガラスエポキシ樹脂やセラミックで形成される場合と比較して、LED搭載基板2の柔軟性を高めることができる。この場合、例えば、電子機器の実装基板に凹凸がある場合であっても、LEDパッケージ1を当該凹凸に追従させて実装することができるため、LEDパッケージ1の配置の自由度を向上することができる。特に、LEDパッケージを携帯端末装置のカメラ照明用の光源として用いる場合には、カメラの周囲の、凹凸が多く限られたスペースにLEDパッケージを収納させる必要がある。本発明のLEDパッケージ1は柔軟に変形することができるため、凹凸の多い領域にも配置させることができる。また、LED搭載基板2を、集合基板で形成した後に個片化するような場合は、個片化時の基板割れを防止することができる。
【0044】
また、各配線導体7a,7bの側面を粗面化すると、各配線導体7a,7bと絶縁層4の接合性が向上するため、絶縁層4が低弾性樹脂であっても、LEDパッケージ1に衝撃などの外部応力が作用したときに、各配線導体7a,7bが絶縁層4から外れにくくなる。
【0045】
また、面積が大きい実装電極5a,5bに接続される配線導体7aは、他の配線導体7bよりも径が大きく形成されて放熱用の導体に兼用される。このように構成することで、LEDパッケージ1の放熱特性が向上するため、通電時にLEDパッケージ1から発生する輻射熱が減少し、これにより、LEDパッケージ1の周囲に実装される他の部品の当該輻射熱に起因した性能劣化を低減できる。
【0046】
また、グランド電極として用いられる実装電極5aには、径大の配線導体7aが複数(この実施形態では、2本)接続されるため、LEDパッケージ1の放熱性をさらに向上することができる。
【0047】
また、各実装電極5a,5bおよびダミー電極5cは、絶縁層4の上面4aの略全面に渡って形成されるとともに、各外部電極6は絶縁層4の下面4bの周縁部を除く略全面に渡って形成されるため、LEDパッケージ1の放熱特性の向上を図ることができる。
【0048】
また、実装電極5a,5bの面積が大きすぎると、部品3の実装時に半田が広がりすぎて所望の接続信頼性が得られにくいという問題がある。この実施形態では、絶縁被覆膜8aに開口9aを設けることにより、各実装電極5a,5bの部品3との接続面積が調整されているため、LEDパッケージ1の放熱特性を向上させつつ、部品3との接続信頼性を確保することができる。
【0049】
(配線導体の変形例)
次に、配電導体の変形例について、図5を参照して説明する。なお、図5は配線導体の変形例を示す図であって、図2(b)に対応する図である。
【0050】
この場合、図5に示すように、面積の大きい実装電極5a,5bに接続される各配線導体7aは、いずれも絶縁層4の上面4aと平行な方向の断面である横断面の形状が矩形状に形成されるとともに、当該横断面が接続先の実装電極5a,5bと略同じ大きさで形成される。
【0051】
この構成によると、配線導体7aの横断面積を大きくして、絶縁層4内の金属領域を増やすことができるため、LEDパッケージ1の放熱特性をさらに向上することができる。
【0052】
また、絶縁層4は低弾性樹脂で形成されるが、部品3との接続部となる各実装電極5a,5b(開口9aから露出した部分)の真下に配線導体7aが配置されるため、LED
搭載基板2における部品3の実装性を確保することができる。
【0053】
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、上記した実施形態では、各配線導体7a,7bの径を接続先の実装電極5a,5bまたは外部電極6の面積に応じて異なるように構成する場合について説明したが、各配線導体7a,7bの径が同じであってもよい。この場合、実装電極5a,5bや外部電極6の面積が大きい場合は、複数の配線導体で接続するとよい。この構成によると、配線導体7a,7bを1種類の金属ピンで形成することができるため、LEDパッケージ1の製造コストの削減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
また、本発明は、一方主面にLED素子が実装される種々のLED搭載基板に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
2 LED搭載基板
3 部品(LED素子)
4 絶縁層
4a 一方主面
4b 他方主面
5a 実装電極(グランド電極)
5b 実装電極
7a,7b 配線導体(第1、第2配線導体)
8a 絶縁被覆膜
9a 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6