(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制部は、前記原稿支持面の一部分に形成された、他の部分とは摩擦係数が異なる異表面部であって、前記ガイド方向に沿う方向と交差する方向への摩擦係数が大きくされた、
請求項1または2のいずれか1項に記載の原稿支持装置。
【背景技術】
【0002】
スキャン処理/印刷処理を行う装置に関連する技術として、特許文献1〜3が知られている。
特許文献1に示される複合機は、縦方向に設置される縦置き型のプリンタ部と、該プリンタ部と一体に設けられた縦置き型のスキャナ部と、を有する。
スキャナ部は、プリンタ筐体に下端部が回転軸に軸支され、かつ該プリンタ筐体に対して上端部が開閉されるスキャナ筐体を有し、該スキャナ筐体の内側面に、原稿を読取可能なプラテンガラスの読取面が具備される構成である。
【0003】
そして、作業者は、原稿挿入口を経由して原稿をスキャナ筐体の内側に落とし込むようにすれば、該原稿を自重によりスキャナ筐体の読取面に密着させることができ、これにより読取面を介して該原稿を読み取らせることが可能となる。
【0004】
特許文献2に示される画像形成装置は、装置内の用紙カセットから直立状態で供給される用紙に画像形成処理をした上で、該用紙を、装置外に設置されかつ縦方向に所定の間隔を設けて配置された上側ガイドレール及び下側ガイドレールに供給する。
そして、この画像形成装置では、画像形成処理がなされた用紙が装置外へ排出された場合に、装置外の上側ガイドレール及び下側ガイドレールを介して、設置面に対して鉛直方向に直立した状態から水平に該用紙を角度変更することができる。その結果、上記画像形成装置では、整然と机上にスタックすることができる。
【0005】
特許文献3に示されるプリンタは、印字媒体を立てた状態で保持しかつ給紙する給紙保持部と、給紙された印字媒体に印字を行う印字部と、印字された印字媒体を排紙しかつ立てた状態で保持する排紙保持部とが設けられる。
そして、このプリンタでは、印字媒体を直立状態で搬送しつつ、給紙から排紙までの搬送途中にて印字処理を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示される複合機では、原稿挿入口を経由した原稿をその自重によりスキャナ筐体の読取面に密着させることができる。
しかしながら、上記複合機では、読み取りが完了した原稿を、手作業によりスキャナ筐体の読取面から取り出す必要があり、面倒な作業により仕事の能率が低下するという問題がある。
また、上記複合機では、原稿の取出し状況によっては、プリンタ筐体を回転させて上端側を開放するという作業が必要となり、作業能率が低下するという問題が生じている。
【0008】
また、特許文献2に示される画像形成装置では、特許文献1に示されるような手作業による筐体の開閉操作を経ず、原稿への印刷処理(又はスキャン処理)を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
しかしながら、特許文献2の画像形成装置では、排紙段階において、直立状態で送られた印刷処理(又はスキャン処理)後の原稿を、水平に寝かせてスタックする形態であるので、水平にスタックするための設置スペースが別途必要となり、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
一方、特許文献3に示されるプリンタでは、直立状態で送られた印刷処理(又はスキャン処理)後の原稿を、その直立状態を保ったままで排出する形態であり、特許文献2で示されるような、原稿を水平に寝かせるスペースを別途設ける必要はない。
しかしながら、特許文献3に示されるプリンタでは、連続して排出される印刷処理(又はスキャン処理)後の多量の原稿をどのように受け入れるかについての具体的な対策が示されておらず、この点で改善されることが期待されていた。
【0010】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、縦向きの状態で原稿の送出し及び原稿のスキャンを行う装置において、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿受け入れ処理を効果的に行うことができる原稿支持装置、スキャナ装置及びスキャン方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示される原稿支持装置では、移送手段により移送されて原稿排出口から直立状態で送り出された原稿を直立状態のまま湾曲させるガイド部材の下方に設けられる原稿支持装置であって、前記原稿の下縁に接触する原稿支持面と、この原稿支持面に設けられ、前記原稿支持面に沿う方向への前記原稿の移動を規制する規制部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2態様に示されるスキャナ装置では、原稿から画像を読み取る読取手段と、該読み取り手段によって画像が読み取られた原稿を直立状態で面方向へ移動させ、原稿排出口から直立状態で送り出す移送手段と、該移送手段によって送り出された前記原稿を直立状態のまま湾曲させるガイド部材とによって湾曲状態とされた原稿を前記第1態様に示される原稿支持装置によって支持することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3態様に示されるスキャン方法では、上下及び前後方向に沿って配置された内部通路に沿うように、筐体前部から差し込まれた原稿を案内する給紙段階と、前記取込段階で取り込まれた原稿を前記内部通路の後方に移送する移送段階と、前記移送段階により後方に移送される原稿の画像を読み取る読取段階と、前記読取段階で画像が読み取られた後の原稿を、筐体後部に位置する原稿排出口から外部に直立状態で排出する排紙段階と、前記原稿排出口から外部に直立状態で排出された原稿をガイド部材の湾曲面に摺動させつつ前方移動させることで、該原稿に湾曲形状を形成する成形段階と、成形段階の途中あるいは成形段階の後で前記原稿の下縁に部材を接触させて所定方向へ案内する案内段階とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿を自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最小構成の実施形態に係る原稿支持装置30について
図1の斜視図を参照して説明する。
【0017】
図1に符号31で示すものは支持装置本体であって、移送手段により移送されて原稿排出口から直立状態で送り出された原稿Pを直立状態のまま湾曲させるガイド部材6の下方に設けられている。
この支持装置本体31の上面には、原稿Pの下縁PLに接触する原稿支持面32と、この原稿支持面32に設けられ、前記原稿支持面32に沿う方向への前記原稿Pの移動を規制する規制部33とが形成されている。
【0018】
図1の原稿支持装置30にあっては、ガイド部材6に沿って
図1の矢印方向へ湾曲した原稿Pは、重力により下方へ移動して原稿支持装置30の支持面32に接し、さらに、原稿Pの下縁部が規制部33へ入る。
ここで、規制部33は、ガイド部材6の平面視形状に対応して湾曲した形状となっているので、ガイド部材6に沿って湾曲した原稿Pを受け入れて、原稿Pの原稿支持面32の面に沿う方向への移動を原稿Pの進行方向(ガイド部材6の湾曲に沿う方向)に案内して、他の方向への移動を規制することにより、湾曲した形状を維持させることができる。
【0019】
図1の原稿支持装置30を備えたスキャナ装置100について、
図2の平面図を参照して説明する。
符号1は、スキャナ装置100の内部通路であって、縦向きに配置された筐体10内に上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿うように位置している。
なお、前後方向(矢印b1−b2)とは、スキャナ装置100を机の上に設置した際に、操作者から離れる方向を後方とする水平な方向をいう。
内部通路1の前部(矢印b1側)には、外部から原稿Pを1枚ずつ直立状態で取り込む取込口2が設けられている。さらに、内部通路1には、移送手段3、読取手段4が設けられている。
移送手段3は、矢印M1で示す方向に、内部通路1に案内された原稿Pを1枚ずつ直立状態で後方に移送する搬送ローラ等により構成される。
読取手段4は、内部通路1に設けられて移送手段3により後方に移送される原稿Pの画像を読み取るイメージセンサ等により構成される。
【0020】
筐体10の後部の原稿排出口5には、移送手段3により内部通路1から外部に排出された原稿Pの移送方向を直立状態で前方側(矢印b1側)に変更するガイド部材6が設けられている。
ガイド部材6は、筐体10の一側方(筐体10の左側方又は右側方があるが、本例では左側方を採用している)へ湾曲する湾曲面7を有し、湾曲面7に沿う矢印M2方向に、筐体10の原稿排出口5から排出された原稿Pを摺動させつつ移動させることで、該原稿Pに湾曲形状の巻き癖を付ける。
【0021】
そして、ガイド部材6の湾曲面7により湾曲形状に巻き癖が付けられた原稿Pは、机上で自立するとともに、該ガイド部材6および規制部33によっても支持されて直立状態が保持される。
また原稿Pは、原稿支持装置30の支持面32に下縁を接触させた状態に支持されるとともに、規制部33に入り込むことによって湾曲状態に維持される。
なお、
図1では、1枚ずつ筐体10に挿入された原稿Pがスキャンされて、筐体10の原稿排出口5から順次排出されるが、ガイド部材6によって巻き癖が付けられた原稿Pは、ガイド部材6の湾曲面7内(および規制部33内)に一枚、あるいは、複数枚集積した状態で保持される。
【0022】
そして、以上のように構成されたスキャナ装置100によれば、筐体10内の上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿う内部通路1にて、直立状態で外部から差し込まれた原稿Pが後方に移送されつつ、読取手段4により該原稿Pの画像が読み取られる。その後、読取手段4で画像が読み取られた後の原稿Pは、原稿排出口5から外部に直立状態で排出される。
また、上記スキャナ装置100では、筐体10の後部の原稿排出口5に所定の曲率半径で湾曲する湾曲面7を有するガイド部材6が設けられている。これにより原稿排出口5から外部に直立状態で排出された原稿Pは、ガイド部材6の湾曲面7に沿うように前方移動し、この移動途中で、該ガイド部材6の湾曲面7と規制部33とにより、原稿Pを湾曲形状とすることができる。
その結果、ガイド部材6を経由して筐体10の前方に送られた原稿Pは、該ガイド部材6の湾曲面7を介して、机上に直立状態で自立することができる。これにより、原稿Pが1枚ずつ連続して複数送られた場合にも、各原稿Pが自立することにより、該原稿Pを直立状態で机上に集積させることができる。
すなわち、上記スキャナ装置100では、筐体10の後部でかつ外部の原稿排出口5に湾曲面7を有するガイド部材6と規制部33とを設けるという簡易な構成により、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿Pを自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【0023】
なお、筐体10の後部に連結されるガイド部材6の始端6Aは、内部通路1の延長線に配置しても良いが、これに限定されず、ガイド部材6の湾曲方向とは反対側に若干ずれた位置(位置ずれ範囲を符号Nで示す)に設置しても良い。そして、この位置ずれ範囲Nは、ガイド部材6の湾曲面7に原稿Pが支持された際の原稿後縁部の当接位置となり、この当接位置を介して複数枚の原稿集積を可能としても良い。
【0024】
また、上記スキャナ装置100では、上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿って配置された内部通路1に沿うように、筐体10の前部から差し込まれた原稿Pを案内する給紙段階と、この取込段階で取り込まれた原稿Pを内部通路1の後方に移送する移送段階と、この移送段階により後方に移送される原稿Pの画像を読み取る読取段階と、読取段階で画像が読み取られた後の原稿Pを、筐体10の後部に位置する原稿排出口5から外部に直立状態で排出する排紙段階と、原稿排出口5から外部に直立状態で排出された原稿Pをガイド部材6の湾曲面7に摺動させつつ前方移動させることで、該原稿Pに湾曲形状を形成する成形段階と、成形段階の途中あるいは成形段階の後で前記原稿の下縁に部材を接触させて所定方向へ案内する案内段階とを有するスキャン方法が採用されている。
【0025】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態に係る原稿支持装置30が設けられるスキャナ装置101について
図3〜
図10を参照して説明する。
本実施形態に係るスキャナ装置101は、
図3にパーソナルコンピュータPC(personal computer)とともに、机上に配置される。また、このスキャナ装置101は、
図3〜
図6に示されるように全体として箱型に形成されており、机上の載置面200に縦向きに配置される。
【0026】
図6に符号11で示すものはスキャナ装置101の内部通路であって、縦向きに配置された筐体20内に上下(矢印a1−a2)及び前後(矢印b1−b2)方向に沿うように位置している。
【0027】
内部通路11の前部(矢印b1側)には、外部から原稿Pを1枚ずつ直立状態で取り込む取込口12が設けられている。
この取込口12は一対の案内板12Aを有している。これら案内板12Aの上側は上方に向けて間隙12Bが漸次広がる配置とされており、この間隙12B内に原稿Pを上方から落とし込むことで、内部通路11へと原稿Pを案内する。
また、取込口12の下部には受け台12Cが設けられている。この受け台12Cは内部通路11の底面(図示略)と同一高さに設けられ、案内板12Aの間隙12Bに落とし込まれた原稿Pを受けて、内部通路11に案内する。
【0028】
さらに、内部通路11には、移送手段13、読取手段14が設けられている。
移送手段13は、
図6に示されるように、内部通路11に案内された原稿Pを後方(矢印M1方向)に移送する複数組の搬送ローラ13Aにより構成される。これら搬送ローラ13Aは、内部通路11に沿う前後方向(矢印b1−b2方向)に間隔をおいて配置される。
また、各組の搬送ローラ13Aは、それぞれ、回転軸を上下方向(矢印a1−a2方向)に向けて配置された摩擦ローラからなる。そして、それぞれの搬送ローラ13Aは、内部通路11内にローラ接触箇所を有し、取込口12を経由して送られた原稿Pを直立状態で挟み込んで、内部通路11の後方(矢印M1方向)に向けて案内する。
【0029】
読取手段14は、内部通路11の一方側に設けられて、移送手段13により後方に移送される原稿Pの画像を読み取るイメージセンサ等により構成される。この読取手段14でスキャンされた後の原稿Pは、筐体20の後部位置にて、上下方向(矢印a1−a2)に設けられた原稿排出口15から直立状態で外部に排出される。
【0030】
筐体20の後部の原稿排出口15には、移送手段13により内部通路11から外部に排出された原稿Pの移送方向を、直立状態で前方側に変更するガイド部材16が設けられている。
ガイド部材16は、全体が板状体により形成されるとともに、筐体20の左側方へ湾曲する湾曲面17を有し、湾曲面17の内面に沿う矢印M2方向に、筐体20の原稿排出口15から排出された原稿Pを摺動させつつ移動させることで、該原稿Pを湾曲形状とする巻き癖を付ける。
【0031】
そして、ガイド部材16の湾曲面17により湾曲形状に巻き癖を付けられた原稿Pは、机上に自立するとともに、該ガイド部材16によっても支持されてその直立状態が保持される。
なお、
図2では、1枚ずつ筐体20に挿入された原稿P(P1,P2)がスキャンされて、筐体20の原稿排出口15から順次排出された後、ガイド部材16の湾曲面17に共に支持される例が示されている。
【0032】
また、
図3〜
図5では原稿排出口15の一部分にガイド部材16が設けられた例が示され、
図5では原稿排出口15の全部分にガイド部材16が設けられた例が示されているが、いずれの形態であっても良い。
【0033】
以上のように構成されたスキャナ装置101の作用について、装置の動作の順に説明する。
(1)作業者は、取込口12の案内板12Aの案内面の間の上部開口から原稿Pを挿入する。このとき、取込口12の案内板12Aは、上部(矢印a1側)から下部(矢印a2側)に向けて漸次間隔が縮小する形状なので、案内板12Aの案内面の間の間隙12Bに原稿Pを落とし込むだけで、下部の受け台12C上に原稿Pが載置される。
【0034】
(2)その後、作業者は、矢印M1(
図6参照)で示すように、取込口12の受け台12C上に載置された原稿Pを、受け台12C上を滑らせて後方に押し込むことで、内部通路11内に原稿Pを案内することができる。
このとき、原稿検知センサ(図示略)が原稿Pの送り込みを検知した場合には、
図6に示す搬送ローラ13Aが回転駆動されることで、原稿Pを内部通路11の内部に強制的に送り込む。
【0035】
(3)内部通路11内に位置する読取手段14が、内部通路11に沿って矢印M1方向に移動する原稿Pの画像データを読み取る。
【0036】
(4)画像データが読み取られた後の原稿Pは、原稿排出口15から外部に直立状態で排出された後、矢印M2で示すようにガイド部材16の湾曲面17へと案内される。
このとき、原稿排出口15から直立状態で排出された原稿Pは、
図7に矢印M2で示されるように、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように前方へ移動し、この移動途中で、該ガイド部材16の湾曲面17により原稿P(この原稿をP1とする)を湾曲形状とする巻き癖を付けることができる。なお、ここに言う巻き癖とは、原稿Pが湾曲した形状に永久変形した状態に限られるものではなく、ガイド部材16に沿って弾性変形した状態、あるいは、下縁が机の上面と接触して摩擦抵抗を受けることにより湾曲状態に支持された状態をも含むものとする。
その後、原稿P(P1)は、
図8に示されるように、移送手段13の搬送ローラ13Aから離れた時点で、該移送手段13による搬送力が無くなり、矢印M3で示すように重力により設置面200となる机上に落下する。
このとき、原稿P(P1)は、ガイド部材16の湾曲面17により付けられた湾曲形状の巻き癖により、該湾曲形状を保持したまま机上に自立することができる。なお、巻き癖が付かない場合であっても、原稿Pが湾曲面17に沿って曲がっている限り、筐体の側部で自立することができる。
【0037】
(5)その後、次の原稿P(この原稿をP2とする)が連続して送られた場合には、
図9に示されるように、先行する原稿P(P1)に重なるように、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように矢印M2方向に移動する。
その後、原稿P(P2)は、
図10に示されるように、移送手段13の搬送ローラ13Aから離れた時点で、該移送手段13による搬送力が無くなり重力により載置面200となる机上に落下する。
このとき、原稿P(P2)は、ガイド部材16の湾曲面17により付けられた湾曲形状の巻き癖により、原稿P(P1)に重なるように、湾曲形状を保持したまま机上の載置面200に自立することができる。
【0038】
以上詳細に説明した第1実施形態のスキャナ装置101では、筐体20の後部の原稿排出口15に所定の曲率半径で湾曲する湾曲面17を有するガイド部材16が設けられている。これにより原稿排出口15から外部に直立状態で排出された原稿Pは、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように前方移動し、この移動途中で、該ガイド部材16の湾曲面17により原稿Pを湾曲形状とすることができる。
その結果、ガイド部材16を経由して筐体20の前方に送られた原稿Pは、該ガイド部材16の湾曲面17を介して、机上に直立状態で自立することができる。これにより、原稿P(P1,P2・・・)が1枚ずつ連続して複数送られた場合にも、各原稿Pが自立することにより、該原稿Pを直立状態で机上に集積させることができる。
すなわち、上記スキャナ装置101では、筐体20の後部でかつ外部の原稿排出口15に湾曲面17を有するガイド部材16を設けるという簡易な構成により、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿P(P1,P2・・・)を自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【0039】
以上の点をまとめると第1実施形態に示されるスキャナ装置101では、スキャナ本体となる筐体20を縦置きにすることで、机上での占有面積が小さくでき邪魔にならない。
また、上記スキャナ装置101では、スキャン処理後の原稿P(P1,P2・・・)が机上の載置面200に自立して集積されるので、一般的なスキャナで構成される集積板(スタッカプレート)やストッパが不要となり、省スペース設置が実現できる。
また、上記スキャナ装置101では、スキャン処理後の原稿P(P1,P2・・・)がガイド部材16を経由することで、反転し前方側(矢印b1方向)に戻ってくる構造のため、作業者が逐一、立ち上がって原稿Pをハンドピッキングすることなく常時着席した状態で作業を行える。
また、上記スキャナ装置101では、パーソナルコンピュータPCを縦置きにしたサイズより小さくすることも可能であるので、障害物としての違和感を最小に抑えるとの効果を奏する。
【0040】
次いで、
図11〜
図14を参照して第1実施形態の原稿支持装置について説明する。
図11に示すように、原稿支持装置30は、スキャナ装置101の筐体10の下部であって、ガイド部材16の下側に、筐体10の外形に沿うように設けられる。すなわち原稿支持装置30の支持装置本体31は、全体としてL字状の平面形を有し、筐体10の外形に対応して切り欠かれている。
【0041】
前記支持装置本体31の原稿支持面32には、ガイド部材16の内周に沿って湾曲した形状の規制部33が形成されている。第1実施形態の規制部33は、ガイド部材16の内周に沿って湾曲した溝状をなしている。この規制部33を構成する溝は、
図12に拡大して示すように、原稿Pを単数枚、あるいは、複数枚収容し得る幅Wを有するとともに、原稿支持面32の面に沿う方向であって、ガイド部材16により案内される方向以外の方向への原稿Pのすべり(移動)を規制し得る程度の深さHを有している。
また
図11、12の例では、ガイド部材16の下端は、原稿支持装置30の原稿支持面32から浮いた状態(原稿支持面32との間に隙間が設けられた状態)で設けられている。
【0042】
第1実施形態の原稿支持装置にあっては、まず
図11、12に示すように、スキャナ装置101の背面の原稿排出口から縦向きの姿勢で原稿Pが排出される。
排出された原稿Pは、さらに押し出されると、
図13、14に示すように、ガイド部材16に沿って湾曲する。このとき、原稿Pの下縁は、原稿支持面32の上を滑りながら、溝状の規制部33に入り込むことによって、ガイド部材16に沿った湾曲した形状が維持されるとともに、ガイド部材16から離れる方向への移動が規制される。
図13、14では、ガイド部材16が設けられた範囲よりさらに前方(原稿Pの進行方向前方)まで規制部33が形成されているので、ガイド部材16が存在する領域よりさらに前方まで原稿Pを案内して、所望の方向へ確実に送り出すことができる。
【0043】
この送り出しに際し、前記ガイド部材16の下端と原稿支持面32のとの間に隙間があるので、ガイド部材16に沿って変形しようとする原稿Pと、ガイド部材16との間から押し出された空気を前記隙間から円滑に排出することができる。
ここで、複数の原稿Pが間隔を置いて次々に送り出された場合、前記規制部33を構成する溝の幅Wを十分に大きくしておけば、複数枚の原稿Pを収容することができる。また溝の幅Wを小さく(原稿Pの1枚の厚さより僅かに大きい程度)としておけば、原稿Pを安定して支持することができる。また溝の深さHは、深いほど原稿Pを安定して支持することができる一方、スキャナ装置101から押し出された原稿Pの前方への進行の妨げ(摩擦抵抗)となる。したがって、スキャナ装置の使用状況に応じて、規制部33の溝の幅W、深さHを設定することが望ましい。
【0044】
図15により、規制部の変形例について説明する。
図15は、ガイド部材16の内側の原稿支持面32において、図中斜線で示す領域に粗面加工部34を設け、その内側にガイド部材16に沿う平滑な(粗面加工部34より相対的に摩擦抵抗が小さい)規制部33を形成したものである。すなわち、スキャナ装置101から押し出された原稿Pを滑らせるために平滑な構成とされた原稿支持面32の一部に粗面加工部34を設けることにより、相対的に原稿Pが滑り易くなった湾曲状の領域からなる規制部33Aを
図11〜14の溝状の規制部に代えて設けるようにしても良い。
また、前記粗面加工部34に代えて、原稿支持面32の表面から突出した凸条を設け、この凸条によって原稿支持面32上に相対的に溝となる領域を形成しても良い。
【0045】
上記第1実施形態ではガイド部材16の内側に単一の規制部33、33Aを設けたが、ガイド部材16の曲率半径、高さ、長さを原稿Pの厚さ、こしの強さ等の特性に応じて取り替えが可能な構成とするとともに、ガイド部材の曲率半径の変更に応じて、予め、曲率半径の異なる複数の規制部33、33Aを設けておいても良い。
また規制部33を設ける範囲は、ガイド部材16が存在する範囲と同じであっても、ガイド部材16が存在する範囲より後の領域まで延長されていても良い。またガイド部材16が存在しない領域の規制部33を湾曲した形状とし、この規制部33により原稿Pの湾曲した形状を維持して直立を助けるようにしても良い。
【0046】
また第1実施形態では、スキャナ装置101の筐体10と別体の後付けの部品として支持装置本体31を設けたが、スキャナ装置101の筐体10と一体に構成しても良い。またスキャナ装置101が設置される机等の上面の一部に溝を形成し、あるいは粗面化加工を施して規制部を形成し、若しくは、シート状の部材の表面に規制部を形成したものを原稿支持装置として使用し、このシートの上、あるいはその近傍にスキャナ装置101を設置しても良い。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【課題】縦向きの状態で原稿の送出し及び原稿のスキャンを行う装置において、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿受け入れ処理を効果的に行う。
【解決手段】移送手段により移送されて原稿排出口から直立状態で送り出された原稿Pを直立状態のまま湾曲させるガイド部材の下方に設けられた支持装置本体31の上面には、原稿Pの下縁PLに接触する原稿支持面32と、この原稿支持面32に設けられ、前記原稿支持面32に沿う方向への前記原稿Pの移動を規制する規制部33とを有する。ガイド部材に沿って湾曲した原稿Pを受け入れて、原稿Pの原稿支持面32の面に沿う方向への移動を規制し、湾曲した形状を維持させる。