(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電力伝送回路と前記第2電力伝送回路とは、前記第1電力伝送電極と前記第2電力伝送電極との間の距離が前記第1電力伝送電極及び前記第2電力伝送電極の平面方向の最長長さよりも短い近接状態にあるときに、電気的に対称となるように構成されているとともに、
前記近接状態において、前記第1電力伝送電極と前記第2電力伝送電極との間の容量結合を介して、前記第1トランスと前記第2トランスとを含む複合共振回路が構成される、請求項1に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記基準周波数での動作において、前記伝送電力が前記制御目標よりも大きい場合は、前記デューティ比を低下させる、請求項1または2に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記第1スイッチング回路及び第2スイッチング回路を、同一の動作周波数で同期して駆動し、同期整流を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記伝送電力を、前記一方の電力伝送装置のスイッチング回路の入力電流と前記他方の電力伝送装置のスイッチング回路の出力電流とのうち少なくとも一方に基づいて検出する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記複合共振回路は、前記他方の電力伝送装置の二次電池による負荷が大きくなるほど前記並列共振周波数における入力インピーダンスが小さくなるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記第1電力伝送回路と前記第2電力伝送回路とは、前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとの間の距離が前記第1電力伝送コイル及び前記第2電力伝送コイルの中心軸方向における最長長さよりも短い近接状態にあるときに、電気的に対称となるように構成されているとともに、
前記近接状態において、前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとの間の誘導結合を介して、前記第1容量回路と前記第2容量回路とを含む複合共振回路が構成される、請求項8に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記基準周波数での動作において、前記伝送電力が前記制御目標よりも大きい場合は、前記デューティ比を低下させる、請求項8または9に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記第1スイッチング回路及び第2スイッチング回路を、同一の動作周波数で同期して駆動し、同期整流を行う、請求項8〜10のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記第1スイッチング回路と前記第2スイッチング回路は、ともにフルブリッジ回路である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記制御回路は、前記伝送電力を、前記一方の電力伝送装置のスイッチング回路の入力電流と前記他方の電力伝送装置のスイッチング回路の出力電流とのうち少なくとも一方に基づいて検出する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
前記複合共振回路は、前記他方の電力伝送装置の二次電池による負荷が大きくなるほど前記並列共振周波数における入力インピーダンスが小さくなるように構成されている、請求項8〜13のいずれか1項に記載の双方向ワイヤレス電力伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムの回路図である。双方向ワイヤレス電力伝送システムは、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20とを備える。
【0013】
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、それぞれ、電界結合方式により電力を伝送する送電装置及び受電装置として動作可能である。第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、例えばバッテリ間での双方向電力伝送を行うものである。このバッテリは、例えば産業機器や携帯電子機器に内蔵されるものである。携帯電子機器としては携帯電話機、PDA、携帯音楽プレーヤ、ノート型PC、デジタルカメラなどが挙げられる。
【0014】
第1電力伝送装置10は、二次電池B1を備える。
【0015】
二次電池B1には、スイッチング回路S1が接続されている。スイッチング回路S1は、スイッチング素子Q11,Q12,Q13,Q14を有するフルブリッジ回路として構成されている。スイッチング素子Q11,Q12,Q13,Q14は、それぞれ、MOSFETにより構成されるとともにゲートにドライバ(Driver)が接続されている。各ドライバは、コントローラ15(Controller)に接続されている。コントローラ15は、ドライバを介してスイッチング素子Q11,Q12,Q13,Q14のON,OFFを制御する。具体的に、コントローラ15は、スイッチング素子Q11,Q14とスイッチング素子Q12,Q13とを交互にON,OFFさせる。また、コントローラ15は、ON,OFFの周波数(スイッチング周波数)及びデューティ比を制御することができる。コントローラ15には、二次電池B1に入出力される電流を検出する電流センサ16が接続されている。
【0016】
スイッチング素子Q11,Q12の接続点とスイッチング素子Q13,Q14の接続点とには、トランスT1の1次コイルL11が接続されている。
【0017】
トランスT1の2次コイルL12には、アクティブ電極11およびパッシブ電極12が接続されている。2次コイルL12の巻数は、1次コイルL11の巻数よりも大きく設定されている。トランスT1の2次コイルL12に並列に接続されたキャパシタC1は、アクティブ電極11とパッシブ電極12との間の浮遊容量である。
【0018】
スイッチング回路S1、トランスT1、アクティブ電極11およびパッシブ電極12は、本発明の第1電力伝送装置における第1電力伝送回路の一例である。
【0019】
第2電力伝送装置20は、二次電池B2を備える。
【0020】
二次電池B2には、スイッチング回路S2が接続されている。スイッチング回路S2は、スイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24を有するフルブリッジ回路として構成されている。スイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24は、それぞれ、MOSFETにより構成されるとともにゲートにドライバ(Driver)が接続されている。各ドライバは、コントローラ25(Controller)に接続されている。コントローラ25は、ドライバを介してスイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24のON,OFFを制御する。具体的に、コントローラ25は、スイッチング素子Q21,Q24とスイッチング素子Q22,Q23とを交互にON,OFFさせる。また、コントローラ25は、ON,OFFの周波数(スイッチング周波数)及びデューティ比を制御することができる。コントローラ25には、二次電池B2に入出力される電流を検出する電流センサ26が接続されている。
【0021】
スイッチング素子Q21,Q22の接続点とスイッチング素子Q23,Q24の接続点とには、トランスT2の1次コイルL11が接続されている。
【0022】
トランスT2の2次コイルL12には、アクティブ電極11およびパッシブ電極12が接続されている。2次コイルL12の巻数は、1次コイルL11の巻数よりも大きく設定されている。トランスT2の2次コイルL22に並列に接続されたキャパシタC2は、アクティブ電極21とパッシブ電極22との間の浮遊容量である。
【0023】
スイッチング回路S2、トランスT2、アクティブ電極21およびパッシブ電極22は、本発明の第2電力伝送装置における第2電力伝送回路の一例である。
【0024】
ここで、第1電力伝送装置10のアクティブ電極11と第2電力伝送装置20のアクティブ電極21との間にキャパシタCaaが構成され、第1電力伝送装置10のパッシブ電極12と第2電力伝送装置20のパッシブ電極22との間にキャパシタCppが構成される。キャパシタCaa、キャパシタCpp、キャパシタC1、及びキャパシタC2は、容量結合回路Cxを構成する。
【0025】
なお、第1電力伝送装置10のアクティブ電極11およびパッシブ電極12と、第2電力伝送装置20のアクティブ電極21およびパッシブ電極22とを、
図1のように所定の対向状態としたときには、より容量結合を高めることができる。
【0026】
図1のような所定の対向状態は、
図12のような近接状態であってもよい。近接状態とは、対向状態にある第1電力伝送電極(第1電力伝送装置10のアクティブ電極11及びパッシブ電極12)と第2電力伝送電極(第2電力伝送装置20のアクティブ電極21及びパッシブ電極22)との間の距離が、第1電力伝送電極(第1電力伝送装置10のアクティブ電極11、パッシブ電極12)、及び第2電力伝送電極(第2電力伝送装置20のアクティブ電極21、パッシブ電極22)の平面方向の最長長さよりも短い状態である。平面方向の最長長さとは、第1電力伝送電極及び第2電力伝送電極の平面形状が
図12に示すような例えば矩形や正方形である場合には、対角線の長さである。また、第1電力伝送電極及び第2電力伝送電極の平面形状が楕円である場合には長径である。また、第1電力伝送電極及び第2電力伝送電極の平面形状が台形や菱形である場合には、2本の対角線のうち長い方の対角線の長さである。なお、
図12では、対向状態にある第1電力伝送電極の平面形状及び平面方向の最長長さと、第2電力伝送電極の平面形状及び平面方向の最長長さとが同じである場合を例示したが、これに限られない。すなわち、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とが後述するように電気的に対称となる限り、両者の平面形状や平面方向の最長長さは異なってもよい。そして、両者の平面方向の最長長さが異なる場合においては、近接状態とは、対向状態にある第1電力伝送電極と第2電力伝送電極との間の距離が、第1電力伝送電極の平面方向の最長長さと第2電力伝送電極の平面方向の最長長さとのうち短い方の最長長さよりも短い状態であるとする。
【0027】
また、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とは、電気的に対称となるように構成されている。より具体的には、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とのうちのいずれの側から他方を視た場合でも、入力インピーダンス及び共振周波数が同一またはほぼ同一となるように構成されている。なお、各回路の構成要素の個々の特性や、配置、構造に差がある場合でも、第1電力伝送回路と第2電力伝送回路のいずれの側から他方を視た場合でも、入力インピーダンス及び共振周波数が同一またはほぼ同一であるときには、両者の回路は電気的に対称であるとする。
【0028】
なお、上記の所定の対向状態において、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とは、より電気的に対称となるように構成される。
【0029】
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、前述したように、送電装置及び受電装置のいずれとしても動作可能である。以下において、第1電力伝送装置10が送電装置として動作し、第2電力伝送装置20が受電装置として動作する場合について説明する。
【0030】
送電装置としての第1電力伝送装置10において、スイッチング回路S1は、二次電池の直流電圧をフルブリッジ回路で交流電圧に変換してトランスT1に出力する。つまり、スイッチング回路S1はDC−AC変換回路(インバータ)として機能する。スイッチング回路S1により生成された交流電圧は、トランスT1により昇圧され、アクティブ電極11とパッシブ電極12との間に印加される。つまり、トランスT1は昇圧トランスとして機能する。
【0031】
このとき、アクティブ電極11,21の間に形成されたキャパシタCaaと、パッシブ電極12,22の間に形成されたキャパシタCppによる電界結合により、第2電力伝送装置20のアクティブ電極21とパッシブ電極22との間に交流電圧が誘起される。誘起された交流電圧は、トランスT2を介して降圧され、スイッチング回路S2に出力される。ここで、電力伝送時、第1電力伝送装置10のスイッチング回路S1のスイッチング素子Q11,Q12,Q13,Q14と、第2電力伝送装置20のスイッチング回路S2のスイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24とを、同期してON,OFFするように制御する。これにより、第2電力伝送装置20では、スイッチング回路S2はAC−DC変換回路(整流回路)として機能する。そのため、トランスT2からスイッチング回路S2に出力された交流電圧は、スイッチング回路S2により整流されて直流電圧に変換され、二次電池B2に印加される。このとき二次電池B2に印加される電圧は、送電装置として機能している第1電力伝送装置10のコントローラ15により、非充電状態の二次電池B2の電圧よりも高い所定の電圧となるように制御されている。そのため、第1電力伝送装置10の二次電池B1の電力が第2電力伝送装置20に伝送されその二次電池B2が充電されることとなる。なお、スイッチング回路S1とスイッチング回路S2の同期をとる手段として、コントローラ15とコントローラ25との間で同期信号の通信を行ってもよいし、コントローラ25がトランスT2から出力される交流信号のタイミングを検出して自動的に同期してもよい。第1電力伝送装置10のコントローラ15と第2電力伝送装置20のコントローラ25との間の通信は、伝送電力中に信号を含めることで行ってもよいし、第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20がそれぞれ有する無線通信手段や有線通信手段等を利用して行ってもよい。また、コントローラ25がスイッチング回路S2のスイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24をOFFとしてもよい。その場合は、スイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24に寄生するボディーダイオードが整流回路として機能する。必要に応じて、スイッチング素子Q21,Q22,Q23,Q24それぞれに並列にダイオードを取り付けることも可能である。さらに、コントローラ25によるスイッチング回路S2の同期制御とダイオードによる整流とを併用してもよい。
【0032】
以上では第1電力伝送装置10が送電装置、第2電力伝送装置20が受電装置として動作する場合について説明したが、第2電力伝送装置20が送電装置として動作し、第1電力伝送装置10が受電装置として動作する場合は、上述したのとは逆に第2電力伝送装置20の二次電池B2の電力が第1電力伝送装置10に伝送されその二次電池B1が充電されることとなる。
【0033】
その場合において、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20は、前述したように、ほぼ同一の回路構成を有するとともに、ほぼ同一の電気的特性を有するように構成され、両者の回路はほぼ対称であるので、第1電力伝送装置10から第2電力伝送装置20へ電力を送電する場合と、第2電力伝送装置20から第1電力伝送装置10へ電力を送電する場合とで、ほぼ同じ条件で電力を伝送することができる。
【0034】
本実施形態では、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20との間で効率の高い電力伝送を可能とするため、上記所定対向状態において複合共振回路が形成されるように構成している。以下、この点について説明する。
【0035】
図2は、複合共振回路の等価回路を示す図である。原理を説明するため、変圧比を表す理想トランスを省略している。
図2(a)に示す入力端子IN1,IN2は、
図1の接続点p11,p12に相当し、スイッチング回路S1が接続される。
図2(a)に示す出力端子OUT1,OUT2は、
図1の接続点p21,p22に相当し、スイッチング回路S2が接続される。
図2(a)では、トランスT1およびトランスT2のそれぞれをT型等価回路で表している。また、容量結合回路Cxを、3個のキャパシタC1,C2,Ccからなるπ型等価回路で表している。L1は、
図1のトランスT1の2次コイルL12の自己インダクタンスであり、L2は、トランスT2の2次コイルL22の自己インダクタンスである。k1はトランスT1の結合係数であり、k2はトランスT2の結合係数である。ωL1/Qx1はトランスT1の抵抗成分であり、ωL2/Qx2はトランスT2の1次コイルL21の抵抗成分である。
【0036】
トランスT1単体及びトランスT2単体はそれぞれ誘導性を示し、容量結合回路Cxは容量性を示すが、本実施形態では、入力端子IN1,IN2から複合共振回路を視たときに、トランスT1と容量結合回路Cxとを組み合わせた部分が容量性となるように、各要素のキャパシタンスやインダクタンスが設定されている。これにより、入力端子IN1,IN2から視た複合共振回路は、容量性と誘導性が並列に設けられた並列共振回路を形成し、所定の周波数で並列共振を生じる。
【0037】
なお、本実施形態では、上述したように第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20とが対称回路となるように構成されているので、
図2(b)に示すように、入力端子IN1,IN2と出力端子OUT1,OUT2とを
図2(a)とは入れ替えた場合でも、入力端子IN1,IN2から複合共振回路を視たときに、トランスT2と容量結合回路Cxとを組み合わせた部分が容量性となり、これにより、入れ替えた入力端子IN1,IN2から視た複合共振回路は、容量性と誘導性が並列に設けられた並列共振回路を形成する。そのため、所定の周波数で並列共振を生じることとなる。
【0038】
図3は、
図2の等価回路で示される複合共振回路の入力インピーダンス(Input Impedance)の周波数(Frequency)特性を示す図である。
図3は、複合共振回路の入力端子IN1,IN2から出力端子OUT1,OUT2側を視た入力インピーダンスを示したものである。f0は複合共振回路の並列共振周波数である。f0は例えば500kHzである。入力インピーダンスは並列共振周波数f0で高くなる。特に、出力端子OUT1,OUT2がopenのときに、入力インピーダンスは最も高くなる。なお、負荷(二次電池B2の消費電力)が最も小さく、出力端子OUT1,OUT2に電流が流れない状態は、等価的に負荷側オープンとみなせる。複合共振回路の出力端子OUT1,OUT2にTarget Load(目標負荷(設計上の最大負荷))が接続されると、つまり受電側の消費電力が最も大きい場合、共振特性が急峻ではなくなり入力インピーダンスは低下する。これは、受電側のトランスT2の出力側に負荷の抵抗成分が付加されるためである。
【0039】
この特性によると、ワイヤレス電力伝送システムを並列共振周波数f0で動作させたときに、負荷が小さくなった場合には、複合共振回路の入力インピーダンスが大きくなり、その結果、ワイヤレス電力伝送システムの伝送電力(回路に流れる電流)が小さくなる。一方、負荷が大きくなった場合には、複合共振回路の入力インピーダンスが小さくなり、その結果、ワイヤレス電力伝送システムの伝送可能電力が大きくなる。また、負荷が大きくなると、並列共振周波数f0での入力インピーダンスが小さくなるので、伝送電力(回路に流れる電流)が大きくなる。この特性により、ある負荷範囲では、動作周波数を並列共振周波数f0、デューティ比を最大値(50%)としたままでも(これらを制御しなくても)、負荷に応じた電力伝送ができる。
【0040】
図4は、複合共振回路の出力電力の周波数特性を示す図である。
図4に示すように、複合共振回路の出力電力は、並列共振周波数f0において極小値をとり、その前後では大きくなる。そのため、動作周波数を制御することで、伝送電力を制御できる。例えば、負荷(二次電池B2の消費電力)が大きくなり共振周波数の動作では伝送電力が足りなくなった場合、動作周波数を並列共振周波数f0よりも高い側または低い側にずらすことで、入力インピーダンスを小さくして、伝送電力を大きくすることができる。一方、負荷が小さくなってきた場合には、動作周波数を並列共振周波数f0に近づけることで、入力インピーダンスを高くして、伝送電力を小さくすることができる。なお、
図4の例では、特に並列共振周波数f0よりも高い側の一定範囲では、動作周波数が高くなるほど出力電力が顕著に増加する。そこで、本実施形態のコントローラ15,25は、動作周波数を並列共振周波数f0よりも高い所定の範囲(f1までの範囲)で制御することで、送電電力を制御するようにしている。以下に、コントローラ15,25による制御について説明する。
【0041】
図5は、送電装置として機能する方の電力伝送装置のコントローラの電力制御のフローチャートである。なお、以下の説明では、適宜、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20のうち、送電装置として機能する方の電力伝送装置を送電側電力伝送装置といい、受電装置として機能する方の電力伝送装置を受電側電力伝送装置といい、符号を省略して説明する。また、それらに含まれる構成要素についても適宜符号を省略して説明する。
【0042】
送電側電力伝送装置のコントローラは、そのスイッチング回路のスイッチング素子を、デフォルトの駆動周波数、及びデフォルトのデューティ比で動作させるように、ドライバを制御する(S11)。デフォルトの駆動周波数は、複合共振回路の並列共振周波数f0である。デフォルトのデューティ比は50%である。なお並列共振周波数f0は、トランスT1,T2やアクティブ電極11,21、パッシブ電極12,22などの回路構成部品に品質バラツキがあることで、基準の動作周波数に対して所定範囲でずれる場合があるが、このようなずれは本件の範囲内に含まれる。
【0043】
送電側電力伝送装置のコントローラは、そのスイッチング回路に入力する入力電流の電流値(以下「入力電流値」という)を電流センサにより計測する(S12)。受電側電力伝送装置の負荷(消費電力)は、上記入力電流値にほぼ比例するため、入力電流値に基づいて電力を計測(推定)するものである。
【0044】
送電側電力伝送装置のコントローラは、入力電流の電流値が許容範囲内か否か、つまり伝送電力の大きさが適切であるか否かを判断する(S13)。許容範囲は予め設定されている。
【0045】
許容範囲内である場合(S13でYES)、つまり伝送電力の大きさが適切である場合、送電側電力伝送装置のコントローラは、当該電力伝送装置のスイッチング回路のスイッチング素子を、現在の駆動周波数及びデューティ比で引き続き動作させるように、ドライバを制御する(S14)。
【0046】
ステップS13で許容範囲の下限を下回る場合、つまり伝送電力が不足している場合、コントローラは、現在のデューティ比が50%か否かを判断する(S15)。
【0047】
現在のデューティ比が50%である場合(S15でYES)、送電側電力伝送装置のコントローラは、駆動周波数を所定周波数幅上昇させる又は所定周波数幅低下させる(S16)。これにより、駆動周波数が並列共振周波数f0から離れていき、
図4で説明したように、送信可能電力が増加することとなる。そのため、入力電流が許容範囲内に向かって増加することとなる。つまり、送信可能電力が増加することとなる。所定周波数幅は予め設定された値であり、並列共振周波数f0が500kHzである場合、例えば1kHzである。
【0048】
現在のデューティ比が50%でない場合(S15でNO)、送電側電力伝送装置のコントローラは、デューティ比を所定量上昇させる。これにより、送信可能電力が増加し、入力電流が許容範囲内に向かって増加することとなる。所定量は予め設定された値であり、例えば1%である。
【0049】
ステップS13で許容範囲の上限を超える場合、コントローラは、現在の駆動周波数がデフォルト周波数f0であるか否かを判断する(S18)。
【0050】
現在の駆動周波数がデフォルト周波数f0である場合(S18でYES)、送電側電力伝送装置のコントローラは、所定量デューティ比を低下させる(S19)。現在の駆動周波数がデフォルト周波数f0(並列共振周波数)である場合、入力インピーダンスは極大となっているため、駆動周波数を変化させても伝送電力を低下させることはできない。そのため、デューティ比を低下させて、伝送電力を低下させ、制御目標である目標電力に近づけるものである。この制御により、入力電流(送信可能電力)が許容範囲内に向かって減少することとなる。
【0051】
現在の駆動周波数がデフォルト周波数f0でない場合(S18でNO)、送電側電力伝送装置のコントローラは、駆動周波数を所定周波数幅低下させる又は所定周波数幅上昇させる(S20)。これにより、駆動周波数が並列共振周波数f0に接近していき、
図4に示されるように、送信可能電力が低下することとなる。そのため、入力電流(送信可能電力)が許容範囲内に向かって減少することとなる。
【0052】
(実施形態1の第1の変形例)
実施形態1では、送電側電力伝送装置のコントローラは、当該送電側電力伝送装置の電流センサで検出された電流値に基づいて
図5のフローチャートの制御を行う。しかし、送電側電力伝送装置のコントローラは、受電側電力伝送装置の電流センサで検出された電流値に基づいて、
図5のフローチャートの制御を行うようにしてもよい。この場合、コントローラ間の通信により出力電流値を取得するようにすればよい。
【0053】
(実施形態1の第2の変形例)
実施形態1では、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20の両方に電流センサが設けられている。しかし、電流センサは、いずれか一方にのみ設けられてもよい。この場合、電流センサが設けられていない側の電力伝送装置のコントローラは、電流センサが設けられている側の電力伝送装置のコントローラから電流値の情報を取得し、取得した電流値に基づいて、
図5のフローチャートの制御を行うようにしてもよい。この場合、電流値は通信により取得するようにすればよい。
【0054】
(実施形態1の第3の変形例)
実施形態1では、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20の両方がコントローラを備えている。しかし、コントローラを、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20の外部に1個だけ設け、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20はそれぞれ通信部を備え、外部のコントローラから制御信号を受けてスイッチング回路の制御を行うようにしてもよい。
【0055】
(実施形態2)
実施形態1及びその変形例では、電界結合方式を採用した双方向ワイヤレス電力伝送システムについて説明した。しかし、本発明は、磁界結合方式を採用した双方向ワイヤレス電力伝送システムにも適用可能である。以下、磁界結合方式を採用した双方向ワイヤレス電力伝送システムについて、電界結合方式を採用した双方向ワイヤレス電力伝送システムとの相違点を中心として説明する。
【0056】
図6は、実施形態2に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムの回路図である。双方向ワイヤレス電力伝送システムは、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20とを備える。
【0057】
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、それぞれ、磁界結合方式により電力を伝送する送電装置及び受電装置として動作可能である。第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、例えばバッテリ間での双方向電力伝送を行うものである。このバッテリは、例えば産業機器や携帯電子機器に内蔵されるものである。携帯電子機器としては携帯電話機、PDA、携帯音楽プレーヤ、ノート型PC、デジタルカメラなどが挙げられる。
【0058】
第1電力伝送装置10は、二次電池B1を備える。二次電池B1には、スイッチング回路S1が接続されている。二次電池B1及びスイッチング回路S1は、実施形態1と同様の構成を有する。 スイッチング素子Q11,Q12の接続点とスイッチング素子Q13,Q14の接続点とに、容量回路Cx1が接続されている。容量回路Cx1は、差動型回路で構成され、直列または並列に接続された4個のキャパシタCs11,Cp11,Cp12を有する。容量回路Cx1には送受電コイルL1が接続されている。
【0059】
第2電力伝送装置20は、二次電池B2を備える。二次電池B2には、スイッチング回路S2が接続されている。二次電池B2及びスイッチング回路S2は、実施形態1と同様の構成を有する。 スイッチング素子Q21,Q22の接続点とスイッチング素子Q23,Q24の接続点とに、容量回路Cx2が接続されている。容量回路Cx2は、差動型回路で構成され、直列または並列に接続された4個のキャパシタCs21,Cp21,Cp22を有する。容量回路Cx2には送受電コイルL2が接続されている。
【0060】
ここで、第1電力伝送装置10の送受電コイルL1と第2電力伝送装置20の送受電コイルL2とは、後述する誘導結合回路Lxを構成する。
【0061】
なお、第1電力伝送装置10の送受電コイルL1と、第2電力伝送装置20の送受電コイルL2とを、
図6のように所定の対向状態としたときには、より誘導結合を高めることができる。
【0062】
図6のような所定の対向状態は、
図13に示すような近接状態であってもよい。近接状態とは、対向状態にある第1電力伝送コイル(第1電力伝送装置10の送受電コイルL1)と第2電力伝送コイル(第2電力伝送装置20の送受電コイルL2)との間の距離が、送受電コイルL1及び送受電コイルL2のコイル中心軸方向の最長長さよりも短い状態である。なお、
図13では、対向状態にある第1電力伝送コイルのコイル中心軸方向の最長長さと、第2電力伝送コイルのコイル中心軸方向の最長長さとが同じである場合を例示したが、これに限られない。すなわち、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とが後述するように電気的に対称となる限り、両者のコイル中心軸方向の最長長さは異なってもよい。そして、コイル中心軸方向の最長長さが異なる場合においては、近接状態とは、対向状態にある第1電力伝送コイルと第2電力伝送コイルとの間の距離が、第1電力伝送コイルのコイル中心軸方向の最長長さと第2電力伝送コイルのコイル中心軸方向の最長長さとのうち短い方の最長長さよりも短い状態であるとする。
【0063】
また、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とは、後述するように電気的に対称となるように構成される。
【0064】
なお、上記の対向状態において、第1電力伝送装置10の第1電力伝送回路と第2電力伝送装置20の第2電力伝送回路とは、より電気的に対称となるように構成される。
【0065】
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、前述したように、送電装置及び受電装置のいずれとしても動作可能である。以下において、第1電力伝送装置10が送電装置として動作し、第2電力伝送装置20が受電装置として動作する場合について説明する。
【0066】
送電装置としての第1電力伝送装置10において、スイッチング回路S1は、二次電池の直流電圧をフルブリッジ回路で交流電圧に変換して容量回路Cx1に出力する。つまり、スイッチング回路S1はDC−AC変換回路(インバータ)として機能する。スイッチング回路S1により生成された交流電圧は、容量回路Cx1を介して送受電コイルL1に印加される。
【0067】
このとき、第1電力伝送装置10の送受電コイルL1と第2電力伝送装置20の送受電コイルL2との間に形成された相互インダクタンスによる磁界結合により、第2電力伝送装置20の送受電コイルL2に交流電圧が誘起される。誘起された交流電圧は、容量回路Cx2を介してスイッチング回路S2に出力される。第2電力伝送装置20では、実施形態1同様にスイッチング回路S2はAC−DC変換回路(整流回路)として機能する。そのため、容量回路Cx2からスイッチング回路S2に出力された交流電圧は、スイッチング回路S2により整流されて直流電圧に変換され、二次電池B2に印加される。このとき二次電池B2に印加される電圧は、送電装置として機能している第1電力伝送装置10のコントローラ15により、非充電状態のときの二次電池B2の電圧よりも高い所定電圧となるように制御されている。そのため、第1電力伝送装置10の二次電池B1の電力が第2電力伝送装置20に伝送されその二次電池B2が充電されることとなる。
【0068】
以上では第1電力伝送装置10が送電装置、第2電力伝送装置20が受電装置として動作する場合について説明したが、第2電力伝送装置20が送電装置として動作し、第1電力伝送装置10が受電装置として動作する場合は、上述したのとは逆に第2電力伝送装置20の二次電池B2の電力が第1電力伝送装置10に伝送されその二次電池B1が充電されることとなる。
【0069】
その場合において、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20は、前述したように、ほぼ同一の回路構成を有するとともに、ほぼ同一の電気的特性を有するように構成され、両者の回路はほぼ対称であるので、第1電力伝送装置10から第2電力伝送装置20へ電力を送電する場合と、第2電力伝送装置20から第1電力伝送装置10へ電力を伝送する場合とで、ほぼ同じ条件で電力を伝送することができる。
【0070】
本実施形態では、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20との間で効率の高い電力伝送を可能とするため、上記所定対向状態において複合共振回路が形成されるように構成している。以下、この点について説明する。
【0071】
図7は、複合共振回路の等価回路を示す図である。
図7(a)に示す入力端子IN1,IN2は、
図6の接続点p11,p12に相当し、入力端子IN1,IN2には、スイッチング回路S1が接続される。
図7(a)に示す出力端子OUT1,OUT2は、
図6の接続点p21,p22に相当し、出力端子OUT1,OUT2には、スイッチング回路S2が接続される。
図7(a)では、容量回路Cx1,Cx2のそれぞれを3個のキャパシタCs11,Cp11,Cp12からなるπ型等価回路で表している。また、送受電コイルL1及び送受電コイルL2を含む誘導結合回路LxのそれぞれをT型等価回路で表している。L11+Lmは、送受電コイルL1の自己インダクタンスであり、L21+Lmは、送受電コイルL2の自己インダクタンスであり、Lmは、送受電コイルL1と送受電コイルL2の相互インダクタンスである。
【0072】
容量回路Cx1,Cx2はそれぞれ容量性を示し、誘導結合回路Lxは誘導性を示すが、本実施形態では、入力端子IN1,IN2から複合共振回路を視たときに、容量回路Cx1と誘導結合回路Lxとを組み合わせた部分が誘導性となるように、各要素のキャパシタンスやインダクタンスが設定されている。これにより、入力端子IN1,IN2から視た複合共振回路は、容量性と誘導性が並列に設けられた並列共振回路を形成し、所定の周波数で並列共振を生じる。
【0073】
なお、本実施形態では、上述したように第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20とが対称回路となるように構成されているので、
図7(b)に示すように、入力端子IN1,IN2と出力端子OUT1,OUT2とを
図7(a)とは入れ替えた場合でも、入力端子IN1,IN2から複合共振回路を視たときに、容量回路Cx2と誘導結合回路Lxとを組み合わせた部分が誘導性となり、これにより、入れ替えた入力端子IN1,IN2から視た複合共振回路は、容量性と誘導性が並列に設けられた並列共振回路を形成する。そのため、所定の周波数で並列共振を生じることとなる。
【0074】
図8は、
図8の等価回路で示される複合共振回路の入力インピーダンスの周波数特性を示す図である。
図8は、複合共振回路の入力端子IN1,IN2から出力端子OUT1,OUT2側を視た入力インピーダンスを示したものである。f0は複合共振回路の並列共振周波数である。f0は例えば500kHzである。入力インピーダンスは、並列共振周波数f0で高くなる。特に、出力端子OUT1,OUT2がopenのときに、入力インピーダンスは最も高くなる。なお、負荷(二次電池B2の消費電力)が最も小さく、出力端子OUT1,OUT2に電流が流れない状態は、等価的に負荷側オープンとみなせる。複合共振回路の出力端子OUT1,OUT2に目標負荷(設計上の最大負荷)が接続されると、つまり受電側の消費電力が最も大きい場合、共振特性が急峻ではなくなり入力インピーダンスは低下する。これは、受電側の容量回路Cx2の二次側に負荷の抵抗成分が付加されるためである。
【0075】
この特性によると、実施形態1で説明したのと同様に、ワイヤレス電力伝送システムを並列共振周波数f0で動作させたときに、負荷が小さくなった場合には、複合共振回路の入力インピーダンスが大きくなり、その結果、ワイヤレス電力伝送システムの伝送電力(回路に流れる電流)が小さくなる。一方、負荷が大きくなった場合には、複合共振回路の入力インピーダンスが小さくなり、その結果、ワイヤレス電力伝送システムの伝送可能電力が大きくなる。また、負荷が大きくなると、並列共振周波数f0での入力インピーダンスが小さくなるので、伝送電力(回路に流れる電流)が大きくなる。この特性により、ある負荷範囲では、動作周波数を並列共振周波数f0、デューティ比を最大値(50%)としたままでも(これらを制御しなくても)、負荷に応じた電力伝送ができる。
【0076】
図9は、複合共振回路の出力電力の周波数特性を示す図である。
図9に示すように、複合共振回路の出力電力は、並列共振周波数f0において最も小さく、その前後では大きくなる。そのため、動作周波数を制御することで、伝送電力を制御できる。例えば、負荷(二次電池B2の消費電力)が大きくなり共振周波数の動作では伝送電力が足りなくなった場合、動作周波数を並列共振周波数f0よりも高い側または低い側にずらすことで、入力インピーダンスを小さくして、伝送電力を大きくすることができる。一方、負荷が小さくなってきた場合には、動作周波数を並列共振周波数f0に近づけることで、入力インピーダンスを高くして、伝送電力を小さくすることができる。なお、
図9の例では、特に並列共振周波数f0よりも低い側の一定範囲では、動作周波数が低くなるほど出力電力が増加する。そこで、本実施形態のコントローラ15,25は、動作周波数を並列共振周波数f0よりも低い所定の範囲(f1までの範囲)で制御することで、送電電力を制御するようにしている。以下に、コントローラ15,25による制御について説明する。
【0077】
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20のコントローラ15,25の電力制御は、実施形態1の
図5のフローチャートによりほぼ同様に行うことができるが、ステップS16及びS20のみ処理が若干異なる。すなわち、ステップS16では、駆動周波数を低下させ、ステップS20では、駆動周波数を上昇させる。これにより、
図9の特性に応じた伝送電力の制御が可能となる。
【0078】
(実施形態2の第1の変形例)
図10は、実施形態2の第1の変形例に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムの回路図である。
図10の双方向ワイヤレス電力伝送システムでは、第1電力伝送装置10の容量回路Cx1が、6個のキャパシタCs11,Cp11,Cp12を有して構成されている。また、第2電力伝送装置20の容量回路Cx2が、6個のキャパシタCs21,Cp21,Cp22を有して構成されている。それ以外の構成は、実施の形態2と同様である。また、等価回路は、特に図示しないが
図7と同様の回路となる。このような構成によっても、実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0079】
(実施形態2の第2の変形例)
図11は、実施形態2の第2の変形例に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムの回路図である。
図11の双方向ワイヤレス電力伝送システムでは、第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20は、それぞれ、シングルエンド型の回路で構成されている。そして、第1電力伝送装置10の容量回路Cx1が、3個のキャパシタCs11,Cp11,Cp12を有して構成されている。また、第2電力伝送装置20の容量回路Cx2が、3個のキャパシタCs21,Cp21,Cp22を有して構成されている。また、スイッチング回路S1,S2は、それぞれ、ハーフブリッジ型の回路で構成されている。
【0080】
スイッチング回路S1のスイッチング素子Q11,Q12は、それぞれ、MOSFETにより構成されるとともにゲートにドライバ(Driver)が接続されている。各ドライバは、コントローラ15(Controller)に接続されている。コントローラ15は、ドライバを介してスイッチング素子Q11,Q12のON,OFFを制御する。具体的に、コントローラ15は、スイッチング素子Q11とスイッチング素子Q12とを交互にON,OFFさせる。また、コントローラ15は、ON,OFFの周波数(スイッチング周波数)及びデューティ比を制御することができる。
【0081】
スイッチング回路S2は、ハーフブリッジ型の回路で構成されている。スイッチング回路S2のスイッチング素子Q21,Q22は、それぞれ、MOSFETにより構成されるとともにゲートにドライバ(Driver)が接続されている。各ドライバは、コントローラ25(Controller)に接続されている。コントローラ25は、ドライバを介してスイッチング素子Q21,Q22のON,OFFを制御する。具体的に、コントローラ25は、スイッチング素子Q21とスイッチング素子Q22とを交互にON,OFFさせる。また、コントローラ25は、ON,OFFの周波数(スイッチング周波数)及びデューティ比を制御することができる。
【0082】
上記以外の構成は、実施の形態2と同様である。また、等価回路は、特に図示しないが
図7と同様の回路となる。このような構成によっても、実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0083】
(実施形態2のその他の変形例)
実施形態2及びその第1、第2の変形例では、容量回路Cx1,Cx2は、3〜6個のキャパシタを有しているが、これに限定されるものではない。容量回路Cx1,Cx2は、少なくとも1個の直列接続のキャパシタと少なくとも1個の並列接続のキャパシタを有していればよい。
【0084】
(実施形態1,2及びそれらの変形例のまとめ)
実施形態1に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムは、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20との間で電界結合方式により双方向にワイヤレスで電力を伝送する双方向ワイヤレス電力伝送システムである。
第1電力伝送装置10は、
一端が第1二次電池B1に接続される第1スイッチング回路S1と、
一端が第1スイッチング回路S1の他端に接続される第1トランスT1と、
第1トランスT1の他端に接続されるアクティブ電極11及びパッシブ電極12(第1電力伝送電極)と、を含む第1電力伝送回路を備える。
第2電力伝送装置20は、
一端が第2二次電池B2に接続される第2スイッチング回路S2と、
一端が第2スイッチング回路S2の他端に接続される第2トランスT2と、
第2トランスT2の他端に接続されるアクティブ電極21及びパッシブ電極22(第2電力伝送電極)と、を含む第2電力伝送回路を備える。
第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とは、電気的に対称となるように構成されているとともに、
アクティブ電極11及びパッシブ電極12(第1電力伝送電極)とアクティブ電極21及びパッシブ電極22(第2電力伝送電極)との間の容量結合を介して第1トランスT1と第2トランスT2とを含む複合共振回路が構成される。
伝送電力を検出して、第1スイッチング回路S1及び第2スイッチング回路S2のうち少なくとも電力を送電する側を駆動するコントローラ15,25(制御回路)を備える。
コントローラ15,25(制御回路)は、
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20の一方から他方に電力を伝送させる際、
複合共振回路の並列共振周波数f0を動作周波数の基準周波数として第1スイッチング回路S1及び第2スイッチング回路S2のうち少なくとも電力を送電する側を駆動し、
基準周波数で駆動中に伝送電力が制御目標である目標電力よりも小さくなった場合において、電力を送電する側のデューティ比が最大の場合は、動作周波数を、基準周波数よりも高い周波数または低い周波数に変更する。
【0085】
これによれば、第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20の回路は電気的に対称に構成されているので、双方向電力伝送の動作が可能となる。また、駆動周波数及びデューティ比を制御することで伝送電力を制御できる。
【0086】
実施形態1に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムにおいて、
第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とは、アクティブ電極11及びパッシブ電極12(第1電力伝送電極)とアクティブ電極21及びパッシブ電極22(第2電力伝送電極)との間の距離がアクティブ電極11及びパッシブ電極12(第1電力伝送電極)及びアクティブ電極21及びパッシブ電極22(第2電力伝送電極)の平面方向の最長長さよりも短い近接状態にあるときに、電気的に対称となるように構成されているとともに、
前記近接状態において、アクティブ電極11及びパッシブ電極12(第1電力伝送電極)とアクティブ電極21及びパッシブ電極22(第2電力伝送電極)との間の容量結合を介して、第1トランスT1と第2トランスT2とを含む複合共振回路が構成される。
【0087】
これによれば、第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とが、より電気的に対称となる。
【0088】
実施形態2に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムは、第1電力伝送装置10と第2電力伝送装置20との間で磁界結合方式により双方向にワイヤレスで電力を伝送する双方向ワイヤレス電力伝送システムである。
第1電力伝送装置10は、
一端が第1二次電池B1に接続される第1スイッチング回路S1と、
一端が第1スイッチング回路S1の他端に接続される第1容量回路Cx1と、
第1容量回路Cx1の他端に接続される送受電コイルL1(第1電力伝送コイル)と、を含む第1電力伝送回路を備える。
第2電力伝送装置20は、
一端が第2二次電池B2に接続される第2スイッチング回路S2と、
一端が第2スイッチング回路S2の他端に接続される第2容量回路Cx2と、
第2容量回路Cx2の他端に接続される送受電コイルL2(第2電力伝送コイル)と、を含む第2電力伝送回路を備える。
第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とは、電気的に対称となるように構成されているとともに、
送受電コイルL1(第1電力伝送コイル)と送受電コイルL2(第2電力伝送コイル)との間の誘導結合を介して第1容量回路Cx1と第2容量回路Cx2とを含む複合共振回路が構成されている。
伝送電力を検出して、第1スイッチング回路S1及び第2スイッチング回路S2のうち少なくとも電力を送電する側を駆動するコントローラ15,25(制御回路)を備える。
コントローラ15,25(制御回路)は、
第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20の一方から他方に電力を伝送させる際、
複合共振回路の並列共振周波数f0を動作周波数の基準周波数として第1スイッチング回路S1及び第2スイッチング回路S2のうち少なくとも電力を送電する側を駆動し、
基準周波数で駆動中に伝送電力が制御目標である目標電力よりも小さくなった場合において、電力を送電する側のデューティ比が最大の場合は、動作周波数を、基準周波数よりも高い周波数または低い周波数に変更する。
【0089】
これによれば、第1電力伝送装置10及び第2電力伝送装置20の回路が電気的に対称に構成されていることで、双方向電力伝送が可能となる。また、駆動周波数を制御することで伝送電力を制御できる。
【0090】
実施形態2に係る双方向ワイヤレス電力伝送システムにおいて、
第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とは、送受電コイルL1(第1電力伝送コイル)と送受電コイルL2(第2電力伝送コイル)との間の距離が送受電コイルL1(第1電力伝送コイル)及び送受電コイルL2(第2電力伝送コイル)の最長長さよりも短い近接状態にあるときに、電気的に対称となるように構成されているとともに、
前記近接状態において、送受電コイルL1(第1電力伝送コイル)と送受電コイルL2(第2電力伝送コイル)との間の誘導結合を介して、第1トランスT1と第2トランスT2とを含む複合共振回路が構成される。
【0091】
これによれば、第1電力伝送回路と第2電力伝送回路とが、より電気的に対称となる。
【0092】
また、実施形態1,2において、
コントローラ15,25(制御回路)は、基準周波数での動作において、伝送電力が制御目標である目標電力よりも大きい場合は、デューティ比を低下させる。
【0093】
駆動周波数がデフォルト周波数f0(並列共振周波数f0)である場合、入力インピーダンスは極大となっており、駆動周波数を変化させても伝送電力を低下させることはできない。そのため、デューティ比を小さくして、伝送電力を低下させ、制御目標である目標電力に近づける。
【0094】
また、実施形態1,2において、
コントローラ15,25(制御回路)は、第1スイッチング回路S1及び第2スイッチング回路S2を、同一の動作周波数で同期して駆動し、同期整流を行う。
【0095】
また、実施形態1,2において、
第1スイッチング回路S1と第2スイッチング回路S2は、ともにフルブリッジ回路である。
【0096】
これにより、送電側において、動作周波数とオン・デューティ比を制御して送電電力を調整できるとともに、受電側において、送電側に対応した同期整流ができる。
【0097】
また、実施形態1,2において、
コントローラ15,25(制御回路)は、伝送電力を、一方の電力伝送装置のスイッチング回路の入力電流と他方の電力伝送装置のスイッチング回路の出力電流とのうち少なくとも一方に基づいて検出する。
【0098】
これにより、スイッチング回路の入力電流や出力電流に基づいて適切に伝送電力の大きさを制御できる。
【0099】
また、実施形態1,2において、
複合共振回路は、他方の電力伝送装置の二次電池による負荷が大きくなるほど並列共振周波数f0における入力インピーダンスが小さくなるように構成されている。
【0100】
これにより、駆動周波数やデューティ比を制御しなくても方の電力伝送装置の二次電池による負荷が大きくなると、並列共振周波数f0における入力インピーダンスが小さくなり、大きな電力を伝送できるようになる。
【0101】
(その他の実施の形態)
実施形態1,2及びそれらの変形例は、本発明の一例を説明したものである。本発明において、各実施形態の特徴部分を組み合わることも可能である。また、特許請求の範囲またはその均等の範囲において、上述の実施の形態に対して、種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。