(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590143
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】水中ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 7/04 20060101AFI20191007BHJP
E02F 3/88 20060101ALI20191007BHJP
E02F 3/92 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
F04D7/04 N
F04D7/04 U
F04D7/04 P
E02F3/88 K
E02F3/92 E
E02F3/88 A
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-127795(P2015-127795)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-27260(P2016-27260A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】PD2014A000166
(32)【優先日】2014年6月26日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515174537
【氏名又は名称】ドラグフロウ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】DRAGFLOW S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ポル,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ガルドニ,マリアノ
(72)【発明者】
【氏名】サウロ,マリオ
【審査官】
井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−328580(JP,A)
【文献】
特開2003−013877(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01270826(EP,A1)
【文献】
実開平01−124204(JP,U)
【文献】
特開昭62−026399(JP,A)
【文献】
米国特許第05005364(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 7/04
E02F 3/88
E02F 3/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中ポンプ(1)であって:
−支持構造部(2);
−前記支持構造部(2)に固定されるとともに軸(X)に沿って延びる第1の出力シャフト(4)が設けられる第1のモータ(3);
−圧送体(12)であって、前記支持構造部(2)に固定され、前記第1の出力シャフト(4)が挿入される第1の貫通開口(14)が設けられ、プロセス流体が該圧送体(12)に入るときに通ることが可能な吸引口(16)、及び、前記プロセス流体が該圧送体(12)から出るときに通ることが可能な送達口(17)が設けられる、圧送体(12);
−前記圧送体(12)内に配置され、前記第1の出力シャフト(4)に固定され、前記プロセス流体を前記吸引口(16)から前記送達口(17)に圧送するために前記軸(X)の周りで回転するように前記第1の出力シャフト(4)によって駆動可能なインペラ(15);
−支持ケーシング(20)であって、前記圧送体(12)に固定され、前記軸(X)の周りに延びるとともに該軸(X)に沿って前記圧送体(12)の前記吸引口(16)に接続される上側端(22)と下側端(23)との間に延びる側壁(21)が設けられ、前記プロセス流体の第1の流れが該支持ケーシング(20)に入るときに通ることが可能な入口開口(24)が設けられる、支持ケーシング(20);
−前記軸(X)と位置合わせして前記支持ケーシング(20)の前記下側端(23)に配置され、前記支持ケーシング(20)の前記入口開口(24)内に前記プロセス流体の第1の流れによって搬送されることが可能な岩屑物質を除去するために駆動可能な分散ヘッド(25)
を備え、
該水中ポンプ(1)は:
−前記支持ケーシング(20)内に配置され、前記第1の出力シャフト(4)が挿入されるときに通る第2の貫通開口(28)が設けられ、前記岩屑物質の第1の塊が通ることが可能な第1の濾過穴(27)が設けられる第1の濾過要素(26)であって、そのような第1の塊は前記第1の濾過穴(27)よりも小さく、そのような第1の濾過要素(26)は、前記第1の濾過穴(27)よりも大きい前記岩屑物質の第2の塊を遮断するように適合されている、第1の濾過要素(26)、
−前記支持ケーシング(20)内に前記分散ヘッド(25)と前記第1の濾過要素(26)との間に配置され、前記第1の出力シャフト(4)に固定され、前記岩屑物質を前記プロセス流体中に懸濁させるとともに前記岩屑物質の前記第2の塊を前記第1の濾過要素(26)から除去するために、前記軸(X)の周りで回転するように前記第1の出力シャフト(4)によって駆動可能な撹拌要素(29)
を更に備えることを特徴とする、水中ポンプ。
【請求項2】
水中ポンプ(1)であって、前記第1の濾過要素(26)は、前記軸(X)に対して横断方向に位置決めされるとともに前記支持ケーシング(20)の前記上側端(22)と前記下側端(23)との間に配置される穿孔壁(26’)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水中ポンプ。
【請求項3】
水中ポンプ(1)であって、前記第1の濾過要素(26)の前記穿孔壁(26’)は、前記支持ケーシング(20)内に、該穿孔壁(26’)と前記支持ケーシング(20)の前記下側端(23)との間に延びる第1の室(31)を画定し、そのような第1の室(31)に前記撹拌要素が配置され、第2の室(32)が前記穿孔壁(26’)と前記支持ケーシング(20)の前記上側端(22)との間に延びることを特徴とする、請求項2に記載の水中ポンプ。
【請求項4】
水中ポンプ(1)であって、前記支持ケーシング(20)の前記側壁(21)には、前記第1の室(31)に配置される第1の横方向穿孔部(33)が設けられ、該第1の横方向穿孔部(33)を通して、前記撹拌要素(29)は、前記第1の濾過要素(26)によって遮断された前記岩屑物質の前記第2の塊を前記第1の室(31)から排出することが可能であることを特徴とする、請求項3に記載の水中ポンプ。
【請求項5】
水中ポンプ(1)であって、前記支持ケーシング(20)の前記側壁(21)には、前記第2の室(32)に配置される第2の横方向穿孔部(34)が設けられ、該第2の横方向穿孔部(34)を通って、前記プロセス流体の第2の流れが前記第2の室(32)に入ることが可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の水中ポンプ。
【請求項6】
水中ポンプ(1)であって、前記支持ケーシング(20)は、前記撹拌要素(29)と前記分散ヘッド(25)との間に配置されるとともに、前記第1の濾過要素(26)の前記第1の濾過穴(27)よりも大きいサイズの第2の濾過穴(36)が設けられる第2の濾過要素(35)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中ポンプ。
【請求項7】
水中ポンプ(1)であって、前記分散ヘッド(25)は:
−前記支持ケーシング(20)に固定される支持体(39);
−その回転軸(Y)の周りで前記支持体(39)に回転的に拘束される掘削機オーガ(41)
を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水中ポンプ。
【請求項8】
水中ポンプ(1)であって、前記掘削機オーガ(41)は、その前記回転軸(Y)を前記軸(X)と位置合わせした状態で位置決めされることを特徴とする、請求項7に記載の水中ポンプ。
【請求項9】
水中ポンプ(1)であって、前記分散ヘッド(25)は、前記支持体(39)に取り付けられるとともに、前記掘削機オーガ(41)を前記回転軸(Y)の周りで回転させるために該掘削機オーガ(41)に機械的に接続される第2のモータ(40)を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の水中ポンプ。
【請求項10】
水中ポンプ(1)であって、前記第2のモータ(40)は、前記撹拌要素(29)と前記掘削機オーガ(41)との間に前記軸(X)と位置合わせして位置決めされることを特徴とする、請求項9に記載の水中ポンプ。
【請求項11】
水中ポンプ(1)であって、前記分散ヘッド(25)の前記掘削機オーガ(41)には、前記回転軸(Y)の周りに配置されるとともに、内部に前記第2のモータ(40)が少なくとも部分的に収容されるスペース(60)の境界を一緒に定める複数のブレード(43)が設けられることを特徴とする、請求項9又は10に記載の水中ポンプ。
【請求項12】
水中ポンプ(1)であって、前記分散ヘッド(25)の前記掘削機オーガ(41)には、前記回転軸(Y)と位置合わせされるとともに固定される前記ブレード(43)を担持する中央ハブ(42)が設けられ、そのようなブレードは、前記回転軸(Y)の周りに延びて前記支持ケーシング(20)に向かって曲がり、内部に前記第2のモータ(40)が少なくとも部分的に収容される前記スペースの境界を一緒に定めることを特徴とする、請求項11に記載の水中ポンプ。
【請求項13】
水中ポンプ(1)であって、前記掘削機オーガ(41)の前記回転軸(Y)は、前記軸(X)に沿って、前記支持ケーシング(20)の前記入口開口(24)及び前記圧送体(12)の前記吸引口(16)と位置合わせされることを特徴とする、請求項7〜12のいずれか一項に記載の水中ポンプ。
【請求項14】
水中ポンプ(1)であって、前記分散ヘッド(25)の前記支持体(39)は前記第2の濾過要素(35)に固定されることを特徴とする、請求項6を引用する請求項7〜13のいずれか一項に記載の水中ポンプ。
【請求項15】
水中ポンプ(1)であって、前記撹拌要素(29)は前記軸(X)と同軸に配置される少なくとも1つのオーガを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立項のプリアンブルに記載の水中ポンプに関する。
【0002】
本発明の水中ポンプは、特に高含量の研磨固体が懸濁している液体混合物を含むプロセス流体を処理するのに使用されることが意図される流体力学的ポンプを製造する分野に入る。
【0003】
有利には、本発明のポンプは、高い比重の物質を含有する混合物を圧送するために港の海底水、川、人工水路、採石場、ダム、井戸、タンク、ボウル等若しくは採掘現場において、又は、廃水、泥、ベントナイト混合物、鋼鉄加工からの堆積物等のような混合物を処理するために工業分野において、浚渫及び掘削作業に使用されることが意図される。
【背景技術】
【0004】
砂、砂利、石、岩屑等のような物質を含有する堆積物を海底自体から除去するために、(例えば港、川、水路、井戸、水のボウル等の)海底の浚渫を行うための水中ポンプの使用が広がっている。
【0005】
特に、そのような水中ポンプは、浚渫される海底の堆積物によって構成される固体成分が混合される、水等の液体成分によって構成されるプロセス流体を吸引することによって海底を掘削することを可能にする。
【0006】
例えば、浚渫船に接続されている上側端と、プロセス流体の入口開口が設けられている下側端との間に延びる筒状の支持体を含む水中ポンプが既知である。
【0007】
支持体内にはモータが収容され、モータには、支持体自体と同軸なその出力(outlet)シャフト、及び、プロセス流体を圧送するためにモータ自体の出力シャフトに固定されるとともに回転するように駆動可能なインペラをその内部に含む、モータの下に配置される圧送室が設けられる。
【0008】
特に、圧送室には、プロセス流体が浚渫される海底から吸引されるときに通る吸引口、及び、送達口であって、送達口自体に接続されている出口ダクトを通して水面まで搬送されるためにプロセス流体が圧送室から排出されるときに通る送達口が設けられる。
【0009】
圧送室の吸引口は、吸引管によって支持体の入口開口に接続され、吸引管は、ポンプの水圧を増大させるために、流れ込むプロセス流体の速度を増すように限られた直径を有する。
【0010】
水中ポンプは、海底の堆積物を除去するために支持体の下側端に固定される分散ヘッドを更に備える。
【0011】
より詳細には、分散ヘッドは、支持体に固定されるとともに、堆積物に貫入して海底から岩屑を除去するために回転するように駆動されることができる、固定される複数の歯付きブレードを担持する駆動シャフトが設けられる補助的なモータを備える。
【0012】
ポンプのインペラの駆動は、支持体の入口開口において、岩屑を圧送室内に搬送するために岩屑を吸引管に向かって吸引する、プロセス流体の圧力の低下を発生させる。
【0013】
支持体の入口開口は、上述した吸引管を詰まらせるようなサイズの岩屑の通過を阻止し、砂及び砂利等のより小さい岩屑が通ることを可能にするように適合されているフィルタ格子によって閉じられる。
【0014】
既知のタイプの上述したポンプの第1の欠点は、ポンプが、砂又は砂利によって構成される海底においてのみ動作するように適合されており、圧送室の吸引管、及び、砂又は砂利よりも大きい岩屑を阻止するフィルタ格子の限られた直径に起因して、比較的大きいサイズ(例えば数センチメートル)の岩屑も含む海底においては効率的に動作することが可能ではないことからなる。
【0015】
更なる欠点は、フィルタ格子によって阻止される岩屑がフィルタ格子に堆積し、フィルタ格子を詰まらせることに起因する。
【0016】
既知のタイプの上述したポンプの更なる欠点は、岩屑の吸引が、プロセス流体において発生する圧力のみによって生じ、これは、最も重い岩屑を持ち上げることが可能ではないことに起因する。特に、岩屑は吸引管内に堆積する傾向にあり、吸引管を詰まらせる。
【0017】
既知のタイプの水中ポンプの更なる例が、特許文献1に記載されている。より詳細には、そのようなポンプは、底部プレートによってその下側端が閉じられる筒状形状の側壁が設けられる支持体、及び、圧送室に接続されるその上側開口と、支持体の底部プレートの一方の側において得られるその下側開口との間に延びる吸引管を備える。
【0018】
このポンプは、支持体の下側端に固定されるとともに、回転シャフトに接続される分散ヘッドを更に備え、回転シャフトは、支持体の軸に対して傾斜して配置され、支持体の底部プレート及び側壁に作られる対応する開口を通って延びる。そのような回転シャフトは、支持体の外側に配置されるとともにその側壁に固定されるモータによって駆動される。
【0019】
特許文献1に記載されている既知のタイプのこの水中ポンプは、吸引管における岩屑の堆積の問題を全て解決するわけではない。
【0020】
特許文献2は、圧送体を備える既知のタイプの更なる水中ポンプを記載しており、圧送体は、プロセス流体を圧送体自体の入口から出口に吸引するために駆動可能なインペラをその内部に収容する。より詳細には、インペラは、圧送室内を通るとともにその下側端が圧送室の下に突出する回転シャフトに同軸に固定され、回転シャフトには、海底の砂及び砂利を撹拌するために回転シャフトによって駆動可能なオーガが固定される。
【0021】
特許文献2に記載されている既知のタイプの水中ポンプの主な欠点は、水中ポンプが、砂又は砂利によって構成される海底の浚渫を行うように適合されているが、岩石の多い海底又は大きいサイズの岩屑によって形成される海底では動作可能ではないことに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4,403,428号
【特許文献2】欧州特許第0209635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
この状況において、本発明の本質的な目的は、動作が全体的に効率的であり、特に、比較的大きいサイズの岩屑を含む海底において浚渫作業を行うことが可能な水中ポンプを提供することによって、既知のタイプの解決策が示す欠点を克服することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、特に浚渫作業の頻繁な中断を必要としない、動作が全体的に確実な水中ポンプを提供することである。
【0025】
本発明の更なる目的は、構造的に単純で達成するのに安価な水中ポンプを提供することである。
【0026】
本発明の更なる目的は、メンテナンスが容易で安価である水中ポンプを提供することである。
【0027】
上述した目的による本発明の技術的な特徴は、以下で記載される特許請求の範囲の内容においてはっきりと分かり、その利点は、本発明の単に例示的で非限定的な実施形態を表す、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の主題である水中ポンプの斜視図である。
【
図2】
図1に示されている水中ポンプの側面図である。
【
図3】
図1に示されている水中ポンプの上面図である。
【
図4】
図3に示されている水中ポンプの、同じ
図3の線IV−IVに沿う断面図である。
【
図5】
図2に示されている水中ポンプの、同じ
図2の線V−Vに沿う更なる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照すると、本発明の主題である水中ポンプを、全体的に参照符号1によって示した。
【0030】
有利には、本発明の水中ポンプ1は、海底水における浚渫及び掘削作業を行うために使用されることが意図される。
【0031】
特に、水中ポンプ1は浚渫船に取り付けられることが意図され、浚渫船には例えば、取り付けられる水中ポンプ1を担持するとともに、水中ポンプ1を浚渫される海底まで移動させるように下ろされるように駆動可能な関節アームが設けられている。
【0032】
添付の図面に示されている実施形態によると、本発明の水中ポンプ1は、浚渫船の関節アームに固定されることが意図される支持構造部2、及び、支持構造部2自体に取り付けられるとともに、水中ポンプ1の通常の動作状態において実質的に鉛直に配置される、その軸Xに沿って延びる第1の出力シャフト4が設けられる、第1のモータ3、好ましくは油圧モータを備える。
【0033】
有利には、支持構造部2には、第1の出力シャフト4が貫通するように挿入される通路開口5が設けられ、第1の出力シャフト4は、(添付の図面には示されていない)複数のスラスト軸受によって支持構造部2自体に回転的に拘束される。
【0034】
好ましくは、本発明の水中ポンプ1は、支持構造部2の通路開口5に配置され、第1のモータ3の第1の出力シャフト4の周りに取り付けられ、水中ポンプ1によって処理されるプロセス流体の浸入を防止するように適合されている、例えば複数のオイルシールを含む複数のシール要素(図示せず)を備える。
【0035】
添付の図面に示されている特定の実施形態を参照すると、水中ポンプ1の支持構造部2は、第1のモータ3が固定される上側ベース7、及び、上側ベース7とは反対方向に方向付けられる下側ベース8が設けられる金属体6を備える。金属体6には好ましくは、浚渫船の関節アームに固定されることが意図される接続ブラケット9が設けられる。
【0036】
支持構造部2は格納タンク10も備え、格納タンク10は、金属体6の下側ベース8に固定され、第1のモータ3の第1の出力シャフト4の周りに同軸に配置される。
【0037】
格納タンク10は、第1のモータ3の第1の出力シャフト4の周りに配置される上述したシール要素の潤滑流体(例えば油)を収容するように適合されている油室11をその内部に画定する。
【0038】
本発明によると、水中ポンプ1は、支持構造部2に、特に格納タンク10の下に固定される内部が中空の、好ましくは螺旋形状の圧送体12を備える。
【0039】
圧送体12には第1の貫通開口14が設けられており、第1の貫通開口14の内部には第1のモータ3の第1の出力シャフト4が挿入される。
【0040】
水中ポンプ1は、圧送体12内に配置されるとともに、好ましくは嵌め合いによって第1のモータ3の第1の出力シャフト4に固定される、好ましくは遠心式のインペラ15も備える。
【0041】
圧送体12には、下側部分に、プロセス流体が圧送体12内に入るときに通る吸引口16であって、プロセス流体は圧送体12内で回転インペラ15によって賦活される、吸引口16、及び、送達口17であって、プロセス流体が、送達口17自体に接続される好ましくは出口ダクト(図示せず)を通って浚渫船に向かって搬送されるために圧送体12によって圧力下で排出されるときに通る、送達口17が設けられる。
【0042】
有利には、水中ポンプ1の圧送体12は、上側部分に、格納タンク10に固定される第1の閉鎖壁18が設けられ、第1の閉鎖壁18において、第1のモータ3の第1の出力シャフト4が挿入される上述した第1の貫通開口14が得られる。
【0043】
圧送体12には、下側部分に、吸引口16が得られる第2の閉鎖壁19が設けられる。
【0044】
有利には、圧送体12の吸引口16は、軸Xに沿って第1の貫通開口14と位置合わせして配置され、第1のモータ3の第1の出力シャフト4が貫通するように交差する。
【0045】
本発明によると、水中ポンプ1は、第1の出力シャフト4の軸Xの周りに延びる側壁21が設けられる、圧送体12に固定される支持ケーシング20を備える。
【0046】
支持ケーシング20は、圧送体12の吸引口16に接続されるその上側端22と、入口開口24が設けられるその下側端23との間に軸Xに沿って延び、入口開口24を通して、岩屑物質を含有するプロセス流体の流れが、以下で詳細に説明するように入れることが可能である。
【0047】
水中ポンプ1は、軸Xと位置合わせされて支持ケーシング20の下側端23に配置されるとともに、岩屑物質を海底から除去し、そのような岩屑物質を支持ケーシング20自体の入口開口24に向かって搬送するために駆動可能な分散ヘッド25を更に備える。
【0048】
動作時に、第1のモータ3は、その第1の出力シャフト4を回転させるために駆動され、これによってさらに、プロセス流体を圧送体12の吸引口16から送達口17に向かって圧送するためにインペラ15が回転する。
【0049】
特に、回転駆動されるインペラ15は、分散ヘッド25によって除去された岩屑物質を圧送体12に向かって搬送する、支持ケーシング20にその入口開口24を通って入るプロセス流体の第1の流れを生じさせる。
【0050】
水中ポンプ1の通常の動作状態では、プロセス流体は、(例えば水によって構成される)液体成分を含み、液体成分に、海底(例えば岩、石、砂利、砂等によって構成される)から除去された岩屑物質の固体の塊(body)が混合される。
【0051】
図4に示されている実施形態を参照すると、第1のモータ3の第1の出力シャフト4は、その軸Xに沿って、支持構造部2の通路開口5、第1の貫通開口14及び圧送体12の吸引口16を通って、その下側末端部4’が支持ケーシング20内に入るまで延びる。
【0052】
本発明の基礎をなす着想によると、水中ポンプ1は、支持ケーシング20内に配置され、プロセス流体の第1の流れによって搬送されるとともに圧送体12及びインペラ15を詰まらせることが可能であるようなサイズを有する岩屑物質の塊を阻止するように適合されている第1の濾過要素26を備える。
【0053】
より詳細には、第1の濾過要素26には、岩屑物質の第1の塊が通ることが可能な複数の第1の濾過穴27が設けられ、そのような第1の塊はそのような第1の濾過穴27よりも小さい。第1の濾過要素26は、第1の濾過穴27よりも大きい岩屑物質の第2の塊を遮断するように適合されており、第2の塊が圧送体12に達して詰まらせることを防止するためにそのような第2の塊を阻止する。
【0054】
例えば、第1の濾過要素26の第1の濾過穴27は、約60mmの直径を有する実質的に円形の形状を有する。
【0055】
第1の濾過要素26には、軸Xと位置合わせされるとともに、第1のモータ3の第1の出力シャフト4が挿入されるときに通る第2の貫通開口28が設けられる。
【0056】
本発明によると、水中ポンプ1は、支持ケーシング20内に配置されるとともに分散ヘッド25と第1の濾過要素26との間に位置決めされる撹拌要素29を更に備える。そのような撹拌要素29は、第1の出力シャフト4に固定され、岩屑物質をプロセス流体に懸濁させる(したがって岩屑物質の第1の塊を圧送体12に向かって吸引することを容易にする)ため、及び、岩屑物質の第2の塊を第1の濾過要素26から除去する(第1の濾過要素26の詰まりを防止する)ために、軸Xの周りで回転するように第1の出力シャフト4によって駆動可能である。
【0057】
有利には、撹拌要素29は、軸Xと同軸に配置されるとともに、好ましくは第1のモータ3の第1の出力シャフト4の下側端部4’に、特に撹拌要素29の中央の穴に挿入されて第1の出力シャフト4のねじ穴に螺合される保持ねじによって固定されるオーガを含む。
【0058】
有利には、撹拌要素29のオーガは、プロセス流体において、圧送体12に向かって吸引されるプロセス流体の第1の流れの方向とは反対の軸方向に螺旋状の動きを与え、岩屑物質の固体の第2の塊を第1の濾過要素26から除去することを容易にし、その改善された清浄を確実にするために、配置される。
【0059】
添付の図面に示されている特定の実施形態によると、支持ケーシング20の側壁21は、実質的に筒状の形態、好ましくは円筒形を有し、その内部において、第1の濾過要素26及び撹拌要素29が配置されるスペースの境界を定める。
【0060】
有利には、支持ケーシング20の上側端22は、圧送体12の吸引口16の周りに同心円状に位置決めされ、好ましくはボルト締めによって圧送体12自体の第2の閉鎖壁19に固定される。
【0061】
有利には、水中ポンプ1の第1の濾過要素26は、支持ケーシング20の内部スペースを部分的に閉じるように軸Xに対して横断方向に配置されるとともにケーシング20自体の上側端22と下側端23との間に位置決めされる穿孔壁26’を備える。特に、穿孔壁26’には、支持ケーシング20の下側端23に向かって方向付けられる正面が設けられ、正面では、岩屑物質の固体の第2の塊が止められることが可能であり、そのような塊は第1の濾過要素26の第1の濾過穴27よりも大きい。
【0062】
有利には、第1の濾過要素26の穿孔壁26’は、支持ケーシング20の内部スペースを、(プロセス流体の第1の流れの前進方向に沿って)穿孔壁26’の上流に配置される第1の室31、及び、穿孔壁26’の下流に配置されるとともに圧送体12の吸引口16と連通する第2の室32に分割する。
【0063】
特に、撹拌要素29が配置される第1の室31は、穿孔壁26’と支持ケーシング20の下側端23との間に延び、第2の室32は、穿孔壁26’と支持ケーシング20自体の上側端22との間に延びる。
【0064】
有利には、支持ケーシング20の側壁21には、第1の室31に配置される第1の横方向穿孔部33が設けられ、第1の横方向穿孔部33を通して、撹拌要素29は、第1の室31自体から、第1の濾過要素26によって遮断された岩屑物質の第2の塊を排出させることが可能である。
【0065】
好ましくは、第1の横方向穿孔部33は、第1の濾過要素26と支持ケーシング20の下側端23との間に位置決めされ、第1のモータ3の第1の出力シャフト4の軸Xの周りにリングとして特に位置合わせして配置される。
【0066】
有利には、第1の横方向穿孔部33は、(第1の濾過要素26によって遮断された)岩屑物質の第2の塊を、支持ケーシング20の第1の室31から出すためにそのような第1の横方向穿孔部33に通すことが可能であるように、第1の濾過要素26の第1の濾過穴27よりも大きいサイズを有する。
【0067】
好都合には、支持ケーシング20の側壁21には、第2の室32に配置される第2の横方向穿孔部34が設けられており、第2の横方向穿孔部34を通して、プロセス流体の第2の流れが第2の室32自体に入ることが可能であり、岩屑物質を取り込むとともに、圧送体12における岩屑物質自体の吸引を容易にするために、プロセス流体における岩屑物質の実質的に均一な懸濁液を形成するように、岩屑物質をプロセス流体と更に混合させる。
【0068】
好ましくは、支持ケーシング20の第2の横方向穿孔部34は、圧送体12を詰まらせる可能性がある岩屑物質の固体の塊が第2の室32に入ることを防止するために、第1の濾過要素26の第1の濾過穴27のサイズよりも小さいか又は実質的に等しいサイズを有する。
【0069】
有利には、支持ケーシング20は、撹拌要素29と分散ヘッド25との間に配置され、第1の濾過要素26の第1の濾過穴27よりも大きいサイズの第2の濾過穴36が設けられ、支持ケーシング20の内部スペースを詰まらせるとともに撹拌要素29の回転を妨げるようなサイズを有する岩屑物質の塊を遮断するように適合されている第2の濾過要素35を備える。
【0070】
図5に示されている実施形態によると、第2の濾過要素35は、支持ケーシング20の側壁21に固定され、(軸Xと位置合わせされる)中央部分37が設けられる穿孔プレート35’を含み、中央部分37からは複数のスポーク38(例えば3つ)が径方向に延び、これらは一緒に上述した第2の濾過穴36の境界を定める。
【0071】
有利には、水中ポンプ1の分散ヘッド25は、支持ケーシング20に固定される支持体39、及び、第1のモータ3の第1の出力シャフト4の軸Xと好ましくは位置合わせされるその回転軸Yの周りを回転するように支持体39に回転的に拘束される掘削機オーガ41を備える。
【0072】
有利には、分散ヘッド25は第2のモータ40も備え、第2のモータ40は、支持体39に取り付けられ、海底から浚渫される岩屑物質を除去するために回転軸Yの周りで掘削機オーガ41を回転させるように掘削機オーガ41に機械的に接続される。
【0073】
好ましくは、分散ヘッド25の第2のモータ40は軸Xと位置合わせして位置決めされ、撹拌要素29と掘削機オーガ41との間、特に第2の濾過要素35と掘削機オーガ41との間に配置される。
【0074】
添付の図面に示されている実施形態によると、分散ヘッド25の掘削機オーガ41には、オーガ41自体の回転軸Yの周りに配置されるとともに、分散ヘッド25自体の第2のモータ40が内部に少なくとも部分的に収容されるスペース60の境界を一緒に定める複数のブレード43が設けられている。
【0075】
より詳細には、有利には、掘削機オーガ41には、回転軸Yと位置合わせされるとともに固定されるブレード43を担持する中央ハブ42が設けられ、ブレード43は回転軸Y自体の周りに延び、対応する横方向スリット44によって互いに隔てられる。
【0076】
掘削機オーガ41のブレード43は、支持ケーシング20に向かって後方に曲がり、掘削機オーガ41自体の実質的にカップ状の形状を、掘削機オーガ41内に、第2のモータ40が収容される上述したスペース60の境界を定めるように画定する。
【0077】
特に、掘削機オーガ41のブレード43は、中央ハブ42に固定される前端と、支持ケーシング20の下側端23の周りに配置されるベースリング47に固定される後端との間にそれぞれ延びる。
【0078】
有利には、各ブレード43には複数の突出歯48が設けられ、突出歯48は、掘削機オーガ41の回転中に、海底自体を構成する物質を除去及び破砕するために海底に貫入するように適合されている。
【0079】
有利には、掘削機オーガ41の各ブレード43は、歯48が突出して延びる外側の長手方向縁49及び内側の長手方向縁50を含む、2つの長手方向縁49、50が設けられる形状付きのプレートを含む。
【0080】
各ブレード43は、回転軸Yに対して傾斜して配置され、外側の長手方向縁49は、内側の長手方向縁50よりも回転軸Yから離れている。掘削機オーガ41のブレード43のそのような傾斜によって、その回転中に、歯48によって除去された岩屑物質を、オーガ41自体のブレード43間に得られる横方向スリット44を通して掘削機オーガ41の内部に向かって搬送するプロセス流体の動きを生じる。
【0081】
有利には、分散ヘッド25の掘削機オーガ41の回転軸Yは、軸Xに沿って、支持ケーシング20の入口開口24、及び、圧送体12の吸引口16と位置合わせされる。このように、特に、掘削機オーガ41は、その回転後に、岩屑物質を支持ケーシング20の内部に搬送し、岩屑物質を軸Xの周りで均一に分布させるように適合されている。これによって、支持ケーシング20内の岩屑物質のより均一な分散が決まり、したがって、特に岩屑物質自体の堆積を形成することなく、圧送体12の吸引口16における岩屑物質の吸引が容易になる。
【0082】
有利には、分散ヘッド25の支持体39は、支持ケーシング20の第2の濾過要素35に固定される。
【0083】
より詳細には、分散ヘッド25の支持体39は、好ましくはボルト締めによって、特に支持ケーシング20の入口開口24を通って延びる第2の濾過要素35の穿孔プレート35’の中央部分37に固定される。
【0084】
好ましくは、支持体39は、回転軸Yに平行な軸を有する実質的に筒状の形状を有し、分散ヘッド25の第2のモータ40をその内部に少なくとも部分的に収容する。
【0085】
第2のモータ40は好ましくは油圧式であり、支持体39に得られる第1の穴及び支持ケーシング20に得られる第2の穴を通る供給ダクト51によって油圧油が供給される。
【0086】
好ましくは、第2のモータ40には、ギアモータ54によって掘削機オーガ41に接続される第2の出力シャフト(図示せず)が設けられる。
【0087】
作業時に、水中ポンプ1は、例えば浚渫船の関節アームの移動によって、浚渫される海底に運ばれる。
【0088】
第1のモータ3及び第2のモータ40は、(第1の出力シャフト4によって)インペラ15及び撹拌要素29を、並びに、(第2の出力シャフト、好ましくはギアモータ54によって)分散ヘッド25の掘削機オーガ41をそれぞれ回転させるために駆動される。
【0089】
特に、分散ヘッド25の掘削機オーガ41は、1分あたり約20〜30回転の速度で第1のモータ3によって回転するように駆動される。好ましくは、インペラ15は、1分あたり約600〜900回転の速度で第2のモータ40によって回転するように駆動される。
【0090】
分散ヘッド25の掘削機オーガ41の回転に続いて、ブレード43の歯48は、岩屑物質を破砕するとともに除去してプロセス流体と混合させるために海底に貫入する。
【0091】
有利には、特に上述したブレード43の傾斜を通じた掘削機オーガ41の回転は、岩屑物質を掘削機オーガ41の回転軸Yに向かって、及び支持ケーシング20の入口開口24に向かって搬送する。
【0092】
第1のモータ3によって回転駆動される水中ポンプ1のインペラ15は、支持ケーシング20にその入口開口24を通って入り、第2の濾過要素35及び第1の濾過要素26を通り、圧送体12内にその吸引口16を通って入り、インペラ15によって賦活された後で圧送体12によって送達口17を通して排出される、プロセス流体の第1の流れを決める。
【0093】
プロセス流体の上述した第1の流れは、内部で混合される岩屑物質を、入口開口24を通して支持ケーシング20の内部に搬送する。
【0094】
第2の濾過要素35は、撹拌要素29の回転を妨げ得る岩屑物質のより大きい塊を遮断する。プロセス流体の第1の流れによって駆動される、岩屑物質の残りの部分は、第2の濾過要素35の第2の濾過穴36を通り、支持ケーシング20の第1の室31に入る。
【0095】
その後、第1の濾過要素26は、第1の濾過要素26の第1の濾過穴27のサイズよりも大きいサイズを有する岩屑物質の第2の塊を、そのような第2の塊が圧送体12を詰まらせることを防止するために遮断する。
【0096】
インペラ15と同じ速度で第1の出力シャフト4によって回転される撹拌要素29は、支持ケーシング20の第1の室31内に乱流を発生させ、これは懸濁した岩屑物質をプロセス流体中に運び、圧送体12内に容易に吸引することができる実質的に均一な混合物を生じる。
【0097】
加えて、撹拌要素29によって発生される乱流は、第1の濾過要素26から、第1の濾過要素26自体によって遮断された岩屑物質の固体の第2の塊を除去し、したがって、第1の濾過要素26の穿孔壁26’の正面において、第1の濾過要素26自体を詰まらせ得る岩屑が蓄積されないことを確実にする。
【0098】
特に、撹拌要素29は、第1の濾過要素26に蓄積している岩屑物質の第2の塊を軸Xから離れるように径方向に押し、そのような第2の塊を、支持ケーシング20の側壁21に得られる第1の横方向穿孔部33を通してケーシング20自体の第1の室31の外に排出する。
【0099】
第1の濾過要素26の第1の濾過穴27を通る岩屑物質の第1の塊は、支持ケーシング20の第2の室32に入り、支持ケーシング20自体の第2の横方向穿孔部34を通って第2の室32に入るプロセス流体の第2の流れによって取り込まれる。
【0100】
このように、そのような第2の流れは、圧送体12における岩屑物質自体の吸引を容易にするために、プロセス流体中の岩屑物質の均一な懸濁の形成を容易にするように、プロセス流体において岩屑物質を更に混合させる。
【0101】
岩屑物質が混合されているプロセス流体が圧送体12内に入ると、流体は、送達口17自体に接続されている出口ダクトを通して浚渫船上に搬送されるために、回転するインペラ15によって賦活され、圧送体12によって送達口17を通して岩屑物質と一緒に排出される。
【0102】
このように着想される本発明はしたがって、予め確立された目的を達成する。