(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と記す)を、図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【0013】
[ごみ収集システム100の全体構成]
図1と
図2を用いて本実施例のごみ収集システムの全体構成を説明する。
図1は、本実施例のごみ収集システムの構成を示す概略図であり、
図2は、本実施例のごみ収集システムの全体構成を示すブロック図である。本実施例のごみ収集システム100は、複数のごみ箱10と、これらのごみ箱10からデータが送信されるサーバ装置20と、データベース21を有するサーバ装置20から各種情報が提供される端末装置30を含んで構成されるシステムである。
【0014】
ごみ箱10は、小規模店舗や大型量販店、複合総合施設、公共施設、テーマパーク等の特定の位置に1個又は複数個設置される。
図1に示すごみ箱10の数や端末装置30の数は、
図1に示した数に限られず、何台設置してもよい。また、
図2のブロック図では、簡単のため、ごみ箱10と端末装置30をそれぞれ1台だけ示して説明する。ごみ箱10、サーバ装置20及び端末装置30は、ネットワーク50に接続される。また、セキュリティ上、インターネット接続が可能な店舗等においては、サーバ装置20は気象情報と地域情報が記憶されている外部情報データベース22に接続される。
【0015】
[ごみ箱10]
本実施例のごみ箱10を、
図2〜
図5を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例のごみ箱10の説明図であり、
図4は、その外観を示す斜視図であり、
図5(A)、(B)は、ごみ箱10の応用例を示す斜視図である。
【0016】
図2と
図3に示すように、ごみ箱10は、少なくとも本体と、本体の内部に設置されて取り出し可能な内容器8(以下、ごみタンクと記す)から構成される。ごみ箱10の本体は、投入口1と、ごみタンク8の取り出し扉9と、ごみの投入量を検出する検出部15と、ごみの投入量のデータを送信する通信部14を備え、その作動に必要な電源や入力部、制御部11を備える。ごみ箱10は更に検出部15で検出されたごみの蓄積量を表示する表示部16を備えてもよい。本実施例のごみ箱10は表示部16を備える。
【0017】
また、本実施例のごみ箱10は、更に本体の内部にごみを破砕する破砕部12(破砕装置)と、水と氷を分離する分離部13(分離装置)と、分離された水と氷が入る水・氷用タンク7を備える。本発明のごみ箱は、破砕部12、分離部13と水・氷用タンク7を全て備えるものに限定されるものではなく、破砕部12と分離部13、水・氷用タンク7を備えないごみ箱、破砕部12のみを備えるごみ箱、分離部13と水・氷用タンク7のみを備えるごみ箱を含む。
【0018】
ごみタンク8はごみを蓄積する容器であり、大きさや形状は特に限定されないが、安定してごみ箱本体の内部に設置することができ、取り出し可能で、かつ、ごみをある程度蓄積できる大きさが必要である。例えば、
図4に示すごみ箱は、通常、ファーストフードレストラン等で使用される大きさのごみ箱10であり、燃えるごみ用の投入口1と、燃えないごみ用の投入口1を備え、それぞれについてごみタンク8が設置されている。投入口1には
図4と
図5(B)に示すように、投入口1の形状に合わせた蓋を取り付けてもよいし、
図5(A)に示すように、蓋を取り付けなくてもよい。
【0019】
また、
図3に示すように本実施例のごみ箱10は、ごみタンク8の上部に破砕部12と分離部13を備えている。破砕部12と分離部13は、ごみ箱10の使用者が投入口1から中へ手を入れても触れないように設置されている。また、本実施例のごみ箱10は、分離部12から分離される水と氷を入れる水・氷用タンク7も設置されている。本発明のごみ箱10はこの構成に限定されず、例えば分離部13を備えずに、水と氷を別途、投入する投入口を設け、その下に水・氷用タンク7を設置してもよい。
【0020】
破砕部12は、投入口1とごみタンク8の間に設置され、投入された全てのごみを破砕する。破砕部12は、例えば、紙コップ、ペットボトル、缶など嵩張るごみも破砕することができ、ごみの蓄積量を減量化する。破砕部12の破砕手段には、例えば回転刃が用いられる。破砕手段はペットボトル、缶などの硬い物が破砕できれば、それに限定されず、いかなるものを用いてもよい。本実施例では、破砕部12の回転刃により、ペットボトル、缶などのごみを例えば2cm×3cm程度のペレット状にする。このように破砕することで、嵩張るごみの容量を減量することができる。
【0021】
分離部13は、投入されたごみ、ペットボトル、缶などの中から液体と氷を取り出し、分別を行う。分離部13は、破砕部12が設置されている場合には、破砕部12とごみタンク8の間に設置され、破砕部12によって、破砕されたごみから液体と氷を分離して、水・氷用タンク7に液体と氷を入れ、液体が分離されたごみをごみタンク8に入れる。本実施例では、分離部13の分離手段として、破砕後のごみを上方から押える圧迫ローラ(図示せず)を使用する。破砕後のごみを圧迫ローラに入れることにより、氷は小さくなり解けやすくなる。それを小さい穴の開いたパンチングメタル上に置き、小さな氷を水とともに落して、液体とごみを分離する。分離手段は、圧迫ローラを使用することに限定されず、液体とごみを分離できれば、いかなる手段を用いてもよい。なお、分離部13は、破砕部12が設置されていないごみ箱10の場合には、投入口1とごみタンク8及び水・氷用タンク7との間に設置される。このように分離部13を設置することにより、ごみの水分を分離することができるため、ごみの蓄積量及び重量を更に減量することができる。また、それにより燃えるごみの燃焼効率を上げることができる。
【0022】
ごみの投入量を検出する検出部15は、ごみタンク8及び水・氷用タンク7にそれぞれ
取り付けられる。ごみタンク8が燃えるごみ用と、燃えないごみ用がある場合には、それぞれに取り付けられる。検出部15には、例えば、投入されたごみを検出する超音波センサが使用される。検出部15に使用されるセンサはこれに限らず、ごみの重量を検出する重量センサを使用してもよし、いかなるセンサを使用してもよい。本実施例では、検出部15に超音波センサを使用し、投入されたごみの量を検出する。
【0023】
通信部14は、検出部15で検出されたデータ(信号)をサーバ装置20にネットワークを介して送信する。本実施例では、投入されたごみが検出部15で検出される度に、データをサーバ装置20に送信する。サーバ装置20にデータを送るタイミングは、所定時間毎に送るようにしてもよいし、ごみの蓄積量が一定値になったときにのみデータを送るようにしてもよい。また全てのごみ箱10から直接サーバ装置20にデータを送信するのではなく、ごみ箱10の間でリレー通信(端末間通信)をするように動作させて、他のごみ箱10のデータをリレー通信でサーバ装置20に送信してもよい。リレー通信でサーバ装置20にデータを送信する方法は、近接エリアにごみ箱10が多量に設置される場合に有効である。
【0024】
表示部16は、検出部15で検知されたごみの蓄積量を表示する。表示方法としては、例えば、
図4と
図5に示すように、各ごみタンクの蓄積量に応じて、ランプを点灯させてもよい。ランプを点灯させることにより、ごみ収集者は、各ごみタンクの蓄積量が容易にわかり、回収すべきごみ箱を知ることができる。特に、蓄積量がごみタンク8の容量一杯になった場合には、それを知らせるため、ランプを点滅させてもよい(同時に音を鳴らしてもよい)。表示部16の表示方法はこの方法に限らず、いかなる方法を用いてもよい。
【0025】
上記の検出部15および通信部14は、制御部(CPU)11によって制御される。また、本実施例のごみ箱10には取り付けていないが、ごみ箱10にカメラ(撮像部)17を取り付けてもよい(図示せず)。ごみ箱10が撮像部17を備える場合には、その映像がサーバ装置20に送られ、リアルタイムでごみ箱10のユーザや通行人を監視でき、犯罪を事前に防止する効果や犯罪を抑止する効果がある。特に、不審物などをごみ箱10に投入しようとする人物がいる場合、その人物を撮影することが可能である。また、撮像部17が、顔認識システム付の監視カメラの場合は、不審者情報の外部のデータベースと照らし合わせ、事前に不審物投入を防ぐ事も可能である。
【0026】
さらに、ごみ箱10にWi−Fiスポット(図示せず)の追加や、温度・湿度センサ(感度部18)の追加、通過人数のカウントができるステレオカメラ(図示せず)の追加等も可能である。ごみ箱10にWi−Fiスポットを取り付けることにより、観光地などでWi−Fiスポットの運用が可能で、より効率よくインターネットへ接続することができる。
【0027】
また、温度・湿度センサ(感度部18)を追加することにより、例えば大型ショッピングモール等の室内でごみ箱10を使用する場合には、エアコンの空気が隅々まで届いているか、日当たりの影響で、局所的に暑い場所が発生していないかを確認することができる。また屋外でごみ箱10を使用する場合には、天気予報に使える温度・湿度センサを増やすことができるため、天気予報の精度向上に役立てることが可能である。
【0028】
さらに通過人数をカウントできるステレオカメラを追加することにより、通過人数のカウントができる。それにより、ごみ箱10の前の通過人数と、実際にごみを捨てた人の差などを用いて、店舗内に配置するごみ箱の位置を最適にすることができる。
【0029】
また、
図3に示すごみ箱10の応用例として
図5(A)に示すように、ごみ箱10を自動販売機の横の狭いスペースに置くことができるように、縦長の形状にしてもよい。この場合は投入されるごみはペットボトル又は缶に限定され、投入口1もその形に形成される。この場合においても、ごみ箱10の検出部15により、ペットボトルと缶の投入量を検出することができ、ごみの蓄積量を表示部16に表示させることができる。
【0030】
図3のごみ箱10の他の応用例として、
図5(B)に示すようにごみ箱10に大きな表示装置(デジタルサイネージ)19を備える構成としてもよい。例えば、鉄道駅用のごみ箱10にデジタルサイネージ19をつけて、様々な広告を表示することができる。ごみ箱10に破砕部12を備える場合には通常のごみ箱よりコスト高になるが、デジタルサイネージ19を備えることにより、その分を、デジタルサイネージの広告収入により補うことができる。
【0031】
以上、説明してきたように、本発明のごみ箱10の構成や形状、粉砕方法等は、様々な応用例が考えられる。本発明のごみ箱10は、上記で説明した実施例に限定されず、適宜変更可能である。
【0032】
[サーバ装置20]
サーバ装置20は、
図1に示すように、1台又は複数台のごみ箱10に対して1台、設置される。サーバ装置20をごみ箱10の数に応じて複数台、設置してもよい。
図2に示すように、サーバ装置20は、少なくともごみの投入量のデータを受信する受信部261と、ごみ箱10が配置されている場所及び日付と、ごみの投入量、時間と、を関連付けて記憶するデータベース21と、データベース21を参照してごみ箱10のごみの投入量の予測関数を設定する設定部241と、その予測関数を用いてごみの投入量の時間毎の推移データを演算する演算部242と、それらのデータ群(ごみ箱10が配置されている場所及び日付、ごみの投入量、ごみの投入量の時間毎の推移データを含む)を、ネットワーク50を介して端末装置30へ送信する送信部262を備える。サーバ装置20の通信部26は、受信部261と送信部262で構成される。
【0033】
図2に示すように、サーバ装置20は、一般のサーバと同様に入力部、出力部、電源、表示部23、記憶部25、制御部24を含む。データベース21は、
図1及び
図2では、サーバ装置20の外部に備えて接続するようにしているが、内部に備えてもよい。また、サーバ装置20がセキュリティ上、インターネット接続が可能である場合には、気象情報と地域情報が記憶され、随時更新されている外部情報データベース22に接続するようにして構成してもよい。本実施例では、サーバ装置20は、外部情報データベース22に接続して構成され、随時更新されるデータを取得する。なお、サーバ装置20がセキュリティ上、インターネット接続できない場合には、既にデータベース21に蓄積されている情報を使用する。
【0034】
受信部261は、ごみ箱10からごみの投入量のデータを受信し、データベース21に記憶(格納)する。記憶部25のデータ記憶部251に一時的に記憶するようにしてもよい。ごみの投入量のデータを随時、更新することにより、データベース21にごみの投入量を時間毎に記憶させる。また、ごみ箱10からごみの投入量のデータのみならず、通過人数や温度・湿度センサ(感度部18)によるデータなどが送られてきた場合には、それらのデータも含めて、データ記憶部251とデータベース21に記憶する。送信部262は、ごみ箱10が配置されている場所及び日付、ごみの投入量、ごみの投入量の時間毎の推移データを含むデータ群を、ネットワークを介して端末装置30へ送信する。
【0035】
データベース21には、ごみ箱10が配置されている場所及び日付と、ごみの投入量と、時間が関連付けて格納される。ごみの投入量は、時間帯、日付(曜日、祝祭日、季節)や配置される場所に依存して変わるため、それらの情報と関連付けてデータが格納されることが必要である。
【0036】
更に、ごみ箱10のごみの投入量は、日付や配置される場所の他に、気象情報(天気、気温、湿度)、地域情報(イベントの有無など)によって異なるため、気象情報と地域情報の要因も関連付けられてデータベース21に記憶されることが好ましい。その際に、サーバ装置20がインターネットに接続可能な場合には、気象情報と地域情報の外部情報データベース22が参照することにより、随時更新される正確な情報をデータベース21に記憶されることができる。例えば、水曜日(平日)、天気は雨から晴れ、温度は20度前後、イベントは無しのショッピングモールの入口に設置されたごみ箱10の場合、ごみの投入量はそれらの情報と関連付けられてデータベース21に記憶される。
【0037】
ごみ箱10が複数台ある場合には、各ごみ箱10が設置される場所によってごみ箱に識別番号が付けられ、各ごみ箱10のごみの投入量がデータベース21に記憶される。ごみの投入量は、上記したように様々な要因に依存し、例えば、
図6に示すようにまとめることができる。基本的な要因は、日付や配置される場所などの固定値である。その他の要因は、実測値(天気、温度、通過人数など)と、予測値(降水確率など)に分けられる。それらの要因の組み合わせにより、データベース21に様々な条件下でのごみ箱10のごみの投入量を記憶することにより、類似した条件下のごみ箱10のごみの投入量の時間毎の推移データを、後述する予測関数の設定により予測することができる。
【0038】
記憶部25のデータ記憶部251は、ごみ箱10からのごみの投入量と、様々なデータ(通過人数や温度・湿度等の情報も含む。)を随時更新して記憶する。また、記憶部25は、地図記憶部252を含んでもよい。地図記憶部252には、ごみ箱10が配置されている地図が記憶される。また、記憶部24には、サーバ装置20全体を制御するプログラムが格納され、特に、設定部241、演算部242、判別部243、案内部244を制御するプログラム、外部情報データベース22を参照して(又は参照せずに)データベース21に随時、データを記憶するためのプログラムが格納されている。
【0039】
制御部24は、上記の各部およびサーバ装置20全体に対する制御を行う。特に本実施例では、制御部23は、設定部241と演算部242、判別部243、案内部244を含む構成とする。判別部243と案内部244は、本発明に必ずしも必要な構成部ではなく、なくてもよいが、判別部243により収集すべきごみ箱10が容易にわかり、また、案内部244により、ごみ箱10の最適な収集ルートが案内されるという利点がある。
【0040】
設定部241は、データベース21を参照して、ごみ箱10のごみの投入量の予測関数を設定する。予測関数はごみ箱10毎に設定され、データベース21に蓄積されているデータを基にして設定される。データベース21に蓄積されているデータが全くないごみ箱10に関しては、類似の条件のごみ箱10のデータを使用して予測関数を設定する。予測関数を設定の詳細を、
図7を参照して説明する。
【0041】
図7は、予測関数を決定する流れを示すフローチャートである。本実施例の予測関数fは、ごみ箱10の同時間帯にグルーピングした予測関数である。なお、ごみ箱10毎にグルーピングした予測関数も考えられるが、以下では同時間帯にグルーピングした予測関数のみ説明する。
【0042】
ごみ箱10の同時間帯(例えば午後2時〜3時)についてm回分(例えば100回分)の過去の蓄積データがある状態で、n回目(n=1〜m)からスタートする(ステップ10、以下S10のように表記する)。まず、n回目の要因配列Xi(n)が入力される(S11)。ここで、iは、ごみ箱を識別する識別子である。要因配列Xi(n)は、
図6で説明したような様々な条件により決定される。例えば、100回目の要因が雨の平日で、温度20度などの場合には、それに対応したパラメータが入力される。
【0043】
次に、予測関数fに要因配列Xi(n)が入力され、予測配列yi(n)が計算される(S12)。この予測関数fはデータベース21に格納されている過去の蓄積データから計算された関数であり、蓄積されるデータに依存して随時更新される関数である。簡単のため、次の例で説明する。午後2時〜3時の予測関数fに100回目の要因配列Xi(100)が入力されると、予測配列yi(100)としてごみの投入量10.0%(ごみ箱10の容量に対する割合)が計算される。
【0044】
次に、n回目の実測配列Yi(n)が入力される(S13)。例えばごみ箱10の100回目の午後2時〜3時のごみの投入量(実測値)が9.0%の場合、それが入力される。その後、実測配列と予測配列の差ai=|Yi(n)-yi(n)|が計算される(S14)。例えば、予測配列yi(100)としてごみの投入量10.0%、実測値が9.0%の場合、その差は1.0%となる。nが1からmまで、上記の工程S10からS15の処理が繰り返される(S15)。
【0045】
全てのデータが揃った後、予測配列の差 ai=|Yi(n)-yi(n)| の平均値Σ(n=1→m)|Yi(n)-yi(n)|/m が計算される。そして、その差が許容誤差の範囲内かどうか判断される(S16)。その差が許容誤差の範囲内にない場合(NOの場合)には、新たな予測関数fが設定される(S17)。この場合、新たな予測関数fを用いてS10からS16の工程で再度、処理される。
【0046】
その差が許容誤差の範囲内にある場合(YESの場合)には、予測関数fが決定される。例えば、予測配列の差の平均値が1.0%で、許容誤差の範囲が0.5%以下の場合、範囲外のため、再度、予測関数fが設定され、要因配列Xi(n)が入力されて予測配列yi(n)が計算される。また、予測配列の差の平均値が0.2%の場合には、許容誤差の0.5%の範囲内にあるため、予測関数fが決定される。
【0047】
演算部242は、設定部241で決定された予測関数を用いてごみの投入量の時間毎の推移データを演算する。
図8は、予測推移(配列)を決定するフローチャートである。ここでは、例えばm回分の累積数を持つごみ箱10の同時間帯にグルーピングした予測関数を使用して、m+1回目の同時間帯の予測推移(配列)を決定する。
【0048】
まず、m+1回目のある時間帯の予測推移の決定を開始する(S20)。最初に、過去のデータm回目の要因配列Xi(m)と、予測配列yi(m)、実測配列Yi(m)と、現在の要因配列xiが入力される(S21)。例えば、100回分の累積数を持つごみ箱10の場合、100回目の要因配列Xi(100)と、予測配列yi(100)、実測配列Yi(100)と、現在の101回目の要因配列xi(101)が入力される。
【0049】
そして、累積回数がm回の場合に設定部241で決定された予測関数fを用いて、現在のm+1回目の予測配列yi(m+1)が計算される(S22)。このとき、カルマンフィルタKを用いて予測配列yi(m+1)が計算される。カルマンフィルタKを用いた計算方法は、1つ前の情報(m回目の情報)と、現在取得したデータ(例えば、m+1回目の要因配列)をもとに、現在(m+1回目)の適切なシステムの状態を推定する手法である。このようにして、m+1回目の予測配列yi(m+1)が決定する(S23)。
【0050】
例えば、100回分の累積数を持つごみ箱10の場合、101回目の予測配列yi(101)は、100回分のデータにより決定された予測関数fに、要因配列Xi(100)などの関数であるカルマンフィルタKを掛け合わせて計算される。それにより、101回目の
午後2時〜3時の時間帯における予測配列(例えば、ごみの投入量8.0%)が決定される。
【0051】
上記のように予測配列を時間帯ごとに演算すると、ごみ箱10のごみの投入量の時間毎の推移データを演算することができる。
図9は、端末装置30の表示部32に表示される「ごみの投入量の時間毎の推移データ」の表示例である。ごみ箱10のごみの投入量の時間毎の推移データは、例えば
図9に示すような折れ線グラフで表され、サーバ装置20の表示部23又は端末装置30の表示部32に表示される。「ごみの投入量の時間毎の推移データ」は、折れ線グラフに限らず、棒グラフで表示されてもよい。ごみ箱10のごみの投入量の時間毎の推移データを演算することができることで、ごみの投入量が常に多いごみ箱10は、ごみ箱10の台数を増やし、ゴミの投入量が常に少ないごみ箱は、配置を変えるなど工夫することができ、ごみ箱の配置を最適にすることができる。
【0052】
さらに、現在のごみ箱10の蓄積量から、ごみの蓄積量が所定量に達する到達時間を演算することもできる。例えばごみの蓄積量の所定量が90.0%(ごみ箱の容量に対する割合)であり、午後1時までに検出された蓄積量が80.0%になっていた場合、ごみの蓄積量が所定量に達する到達時間は、午後2時以降の予測配列から算出することができる。
図10は、端末装置30の表示部32に表示される「ごみの蓄積量が所定量に達する到達時間」の表示例である。端末装置30の表示部32にごみ箱10のごみの蓄積量が所定量に達する到達時間が表示される。このとき、
図10に示すように現在の時刻や地図を表示してもよいし、気象情報や通過人数などの情報も表示してもよい。表示部32の表示は
図10に示す例に限定されず、様々な表示が可能である。サーバ装置20の表示部23にこれらの情報を表示してもよいが、本実施例では端末装置30の表示部32に表示する。
【0053】
判別部243は、演算部242により演算された到達時間が、所定時間以内にあるごみ箱を収集すべきごみ箱と判別する。例えば、所定量をごみ箱10の容器の90.0%、所定時間を現在時刻から30分と設定した場合には、その条件を満たすごみ箱10が表示される。
図11は、端末装置30の表示部32に表示される表示例である。
図11に示すように、ごみ箱10の容器に蓄積されるごみの量が所定量に達する到達時間が、所定時間以内にあるごみ箱10が表示される。その条件を満たすごみ箱10がない場合には、ごみ箱10が表示されないか、「収集すべきごみ箱がありません。」というメッセージを表示させてもよい。また、端末装置30の表示部32には、収集すべきごみ箱10が配置されている地図を表示してもよいし、
図10に示すようなごみ箱10毎の到達時間を同時に表示してもよい。表示部32の表示は
図11に示す例に限定されず、様々な表示が可能である。
【0054】
案内部244は、判別部243により判別されたごみ箱10の地図上の位置から、ごみ箱10のごみの収集にかかる収集時間を演算し、ごみ箱19のごみの量が所定量に達する到達時間よりも収集時間が早く、かつ、移動時間が最短になるように、地図記憶部252が記憶した地図に基づいて、収集すべきごみ箱のごみの収集ルートを探索し、ユーザに対して該ルートと収集時間を案内する。ごみ箱19のごみの蓄積量が所定量に達する到達時間よりも収集時間が早く、かつ、移動時間が最短になるようにするため、本実施例では、
図12に示すフローチャートに基づいて収集ルートを決定する。
【0055】
図12のフローチャートにおいて、最初に、ごみ箱10がN個、配置されている地図内のごみの収集ルート探索を開始する(S30)。N個のごみ箱10にはそれぞれ識別子iが付けられており、各ごみ箱10について、S31からS37の工程で処理され、ごみの収集が必要か否か判断される。例えば、ごみ箱10が15台、設置されている施設等においては、1番から15番目の各ごみ箱10について、S31からS37の工程で処理される。
【0056】
まず、i番目のごみ箱10の処理を開始する(S31)。識別子が1番のごみ箱10から処理を開始してもよいし、何番のごみ箱10から開始してもよい。次に、そのごみ箱10の予測値y(i)が入力される(S32)。その後、今回収集しないと次回収集前にあふれるごみ箱10であるか否か判断される(S33)。例えば、i番目のごみ箱10のごみの収集が1時間毎に13時、14時、15時...と行われる場合において、現在(13時30分)のごみの集積率が80.0%で、14時の予測値y(i)が90.0%、15時の予測値y(i)が110.0%の場合、14時の収集時に収集しないとごみ箱10のごみが溢れてしまう。従って、この場合には、今回収集しないと次回収集前にあふれるごみ箱10であると判断される。
【0057】
S33で、今回収集しないと次回収集前にあふれるごみ箱10ではないと判断された
場合(NOの場合)には、次のごみ箱10についての処理が開始される(S31)。S33で、今回収集しないと次回収集前にあふれるごみ箱10であると判断された場合(YESの場合)には、すぐにあふれるため優先的な対応が必要か否か判断される(S34)。例えば、現在の時刻から10分後であふれる(予測値y(i)が100.0%を超える)ごみ箱10であるか否かが判断される。優先的な対応が必要なごみ箱10と判断された場合(YESの場合)には、優先収集候補のリストに追加される(S35)。優先的な対応が必要ないごみ箱10と判断された場合(NOの場合)には、収集候補のリストに追加される(S36)。なお、本実施例では、上記のようにごみの蓄積量に応じて優先して収集すべきごみ箱10か否かを判断しているが、本発明では必ずしもこの工程(S34、S35)を入れる必要はなく、今回収集しないと次回収集前にあふれるごみ箱10か否かだけを判断してもよい。しかし、優先的な対応が必要なごみ箱10か否かを判断することで、ごみがごみ箱10から溢れるのを確実に防ぐことができ、より効率的な収集ルートを探索することができる。
【0058】
その後、別の識別子のごみ箱10について、上記の処理が行われる(S37)。全てのごみ箱10で、S31からS37の工程で処理されると、優先的な対応が必要なごみ箱10のリストと、収集候補のごみ箱10のリストが揃う。そして、それらのリストを参照し、優先度を考慮した巡回セールスマン問題に帰着して、収集ルートが提示される(S38)。巡回セールスマン問題に帰着して収集ルートを求める方法は、リストアップされたごみ箱10を1度ずつ巡り、巡回路の移動時間が最短になるようにルートを定める方法である。上記の方法により、最適な収集ルートを決定することができる。それにより、効率的にごみを収集することができる。
【0059】
図13は、端末装置30の表示部32に表示される収集ルートの表示例である。端末装置30の表示部32に敷地内に配置される複数のごみ箱10の収集ルートと、現在の蓄積状態が表示される。例えば、ごみ箱10のごみの蓄積量が60.0%以上80.0%未満の場合「中」と表示され、80.0%以上の場合「満」と表示される。また、リストアップされた全てのごみ箱10の収集にかかる予想時間や、収集に必要な人数を表示してもよい。
【0060】
図14は、端末装置30の表示部32に表示される地図を含めた収集ルートの表示例である。敷地内のごみ箱10の蓄積状態を表示し、収集が必要なごみ箱10の収集ルートを線で結び、表示する。それにより、収集が必要なごみ箱10の位置と、収集ルートを容易に確認することができる。表示部32には、
図13に示すデータと共に、表示してもよい。表示部32の表示は
図13と
図14に示す例に限定されず、様々な表示が可能である。
【0061】
[端末装置30]
端末装置30は、
図1に示す例では2台であるが、ユーザの数に対応して複数台あってもよい。端末装置30は、サーバ装置20との通信機能を有し、表示機能を有するものであれば、いかなる装置でもよい。例えば、端末装置30にはデスクトップ型コンピュータ装置や携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ装置が含まれる。
【0062】
図2に示すように端末装置30は、一般のコンピュータと同様に、表示部32及び通信部33、制御部31、記憶部、電源、入力部及び出力部を含んで構成される。通信部33を介してサーバ装置20から様々なデータ群を受け取り、表示部32にその情報を表示する。制御部31は、端末装置30とサーバ装置20との間の情報の送受信などを制御する。
【0063】
前述のように、表示部32には、ごみ箱10が配置されている場所及び日付、前述のごみの投入量の時間毎の推移データのグラフ(
図9)、ごみ箱10のごみの蓄積量が所定量に達する到達時間(
図10)、収集すべきごみ箱(
図11)、最適なごみ収集ルート(
図13、14)などが表示される。それにより、ごみを回収するユーザが、スマートフォン等の端末装置30を有することで、ごみを収集する際に、ごみ箱10の状態が確認でき、より効率的にごみを収集することができる。
【0064】
以上説明してきた様に、本実施例のごみ収集システムは、時間毎のごみの投入量や外的な要因などから、ごみの投入量の時間毎の推移データを予測することができる。それにより、ごみの投入量が常に多いごみ箱は、ごみ箱の台数を増やし、ごみの投入量が常に少ないごみ箱は、配置を変えるなど工夫することができ、ごみ箱の配置を最適にすることができる。さらに、ごみ箱の蓄積量が所定量に達する到達時間を予測することもできる。それにより、ごみ収集のタイミングがわかり、収集する必要のないごみ箱を確認する作業を省くことができ、効率よくごみを収集することができる。また、ごみ箱が複数個、設置されている場合には、ごみ収集のルート案内をすることで、回収頻度を必要最低限にすることができる。
【0065】
さらに、ごみ箱にごみを破砕する破砕部を備えることで、ごみの蓄積効率を上げることができる。また、ごみ箱に水と氷を分離する分離部を備えることで、水や氷などの液体が分別されずにごみと一緒になった場合に、水分によりごみが濡れて嵩張るのを防ぎ、蓄積効率を上げることができる。
【0066】
なお、上述した実施例のごみ収集システムは一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。