【実施例1】
【0019】
本発明の薬品カート保持装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が薬品カート10を搬器移載装置20に隣接させてカート挟持機構30で固定保持している搬器移載システム10〜42の右側面図であり、(b)が一対のカート挟持機構30,30を左右に装備した搬器移載装置20の斜視図であり、(c)が薬品カート保持装置30〜42のカート挟持機構30の斜視図であり、(d)と(e)がカバーを外して内部を露出させたカート挟持機構30の斜視図である。
【0020】
また、
図2(a)〜(f)は、何れも、カート挟持機構30の中の要部の平面図であり、薬品カート10の被挟持部11をカート挟持機構30にて挟持するときの動作を時系列で示している。これに対し、
図3は、薬品カート10の挟持を止めて解放するときのカート挟持機構30の動作を時系列で示しており、(a)〜(f)が何れもカート挟持機構30の中の要部の平面図である。さらに、
図4は、薬品カート保持装置30〜42の制御部40に制御部に係るブロック構成図である。
【0021】
この搬器移載システム10〜42は(
図1(a)参照)、多数の薬品カート10と、一台以上の搬器移載装置20と、搬器移載装置20に装備された薬品カート保持装置30〜42とからなる。搬器移載装置20は、病院薬局の調剤室等に設備され、薬品カート10は、調剤部門と病棟との間などを手押し等にて移動させて使用するようになっている。
本例の薬品カート10は、既述した骨組構造のものであり、そのうち一面の両側の二本の縦枠部材が被挟持部11,11になっており、搬器を一つずつ保持しうる引出案内機構12,12の対が多数列設されていて、多数の搬器を纏めて運べるようになっている。
【0022】
搬器移載装置20は、既述した自動移載方式のものであり、薬品カート10を隣接させた状態で(
図1(a)参照)、それぞれの引出案内機構12に対して搬器を出し入れするようになっている。そのため(
図1(b)参照)、搬器移載装置20は、筐体21の内部空間内に上下左右前後の三次元で移動しうる搬器移載機構22を具備していて、隣接している薬品カート10と、図示は割愛したが薬品カート10とは別の側面に隣接している注射薬払出装置などの調剤機との間で、搬器6を把持して移動させるようになっている。
【0023】
また(
図1(b)参照)、この搬器移載装置20は、その前面など手の届きやすい部位に、人手操作対象のカートロック解除スイッチ41が付設されており、その上方など音の籠もらない部位に、警報ブザー42が付設されている。
さらに(
図1(a),(b)参照)、搬器移載対象の薬品カート10を搬器移載装置20の隣接位置にしっかりと一時固定するために、薬品カート10の二本の被挟持部11,11に対応している左右の縦枠部23,23それぞれに一つずつで合計二つのカート挟持機構30,30が対向状態で搬器移載装置20に取り付けられている。
【0024】
カート挟持機構30は(
図1(c)〜(e)参照,なお,そこに図示したものは
図1(b)における左右一対のうち左側のものに該当している)、搬器移載機構側に即ち搬器移載装置20の縦枠部23に取り付けて固定するための取付部31aを持った固定部31と、それに付設された機構部32〜34及びセンサ部35〜37とからなるものであり、機構部32〜34には、押出用可動部32と挟持用可動部33と駆動部34〜34cとが含まれており、センサ部35〜37には、原点位置検出センサ35とカート検出センサ36とカートロック検出センサ37とが含まれている。
本例の薬品カート保持装置30〜42は、そのような一対のカート挟持機構30,30と、上述したカートロック解除スイッチ41及び警報ブザー42と、搬器移載装置20の制御にも兼用される後述の制御部40とを具備している。以下、各部を詳述する。
【0025】
固定部31は(
図1(c)〜(e)参照)、取付部31aから薬品カート保持側に延びた即ち搬器移載装置20の前方(図では左前方)へ延びた厚板状金属などの剛体からなり、取付部31aの近傍から搬器移載側(図では右前方)へ突き出た突部の外面のうち前面部分が、挟持された薬品カート10の被挟持部11の当接するところである挟持部位31bになっており、その根元から前方へ延びた側面部分が、薬品カート10の被挟持部11の出入経路の一側を画する案内部31cになっている。案内部31cは、薬品カート10の出し入れの円滑化と位置決めの精度確保とを両立させるために、固定部31の後端寄りの挟持部位31bの近くでは真っ直ぐ前方に延び、固定部31の前端に近づくに連れて薬品カート10の被挟持部11の出入経路を拡大する方へ滑らかに曲がっている。
【0026】
押出用可動部32及び挟持用可動部33は(
図1(c)〜(e)参照)、回転腕34の両端に分かれて夫々が回転腕34に取り付けられており、回転腕34が回転軸34aに取り付けられているので、回転軸34aが軸回転すると、それを中心にして旋回するものとなっている。取付部31aより前方の所で固定部31を貫く軸受によって回転軸34aが軸支されているので、回転腕34を介して固定部31に装備された両可動部32,33は、取付部31aよりも薬品カート保持側に位置している。そして、案内部31c側に旋回して来たときだけ、固定部31の案内部31cよりも挟持部位31bと同じ側(図では右前方)へ突き出るので、両可動部32,33は、回転軸34aの軸回転に随伴して旋回することにより固定部31の挟持部位31bに対して進退するものとなっている。
【0027】
駆動部34〜34cは(
図1(c)〜(e)参照)、上述した回転腕34と回転軸34aに加えて、ギヤボックス34bとモータ34cとを具備しており、モータ34cを正転方向か逆転方向かを選択して回転させることが可能なものが採用されている。そして、それを回転させると、その回転運動がギヤボックス34bにて減速されてから回転軸34aに伝達されることで、回転軸34aの軸回転ひいては押出用可動部32及び挟持用可動部33の旋回が行われるので、両可動部32,33は前進も後退もできるものとなっており、挟持用可動部33を前進させて固定部31の挟持部位31bに近づけると、挟持用可動部33の挟持部分33aと固定部31の挟持部位31bとが、斜めではあるが、対向するようになっている(
図1(c)参照)。
【0028】
両挟持部33a,31bが斜め対向になるのは、押出用可動部32も挟持用可動部33も固定部31の上面より上方に設けられていて(
図1(c)〜(e)参照)、両可動部32,33と固定部31とが上下方向(薬品カート10の被挟持部11の長手方向)にずれているからであり、そのような押出用可動部32及び挟持用可動部33の旋回経路も固定部31より上方に位置するので、固定部31の挟持部位31bは、押出用可動部32の旋回経路からも挟持用可動部33の旋回経路からも外れたものとなっている。
【0029】
もっとも、そのような斜め対向であっても、その位置のずれ量がほんの僅かなものに過ぎないことから、位置ずれによるモーメントは、小さく、薬品カート10を傾けたり持ち上げたりするほどにはならないので、薬品カート10の被挟持部11を固定部31の挟持部位31bの直前に置いて挟持用可動部33を前進させると、薬品カート10の被挟持部11が、安定な姿勢を維持し続けたまま、固定部31の挟持部位31bと挟持用可動部33の挟持部分33aとによって挟持されるようになっている(
図1(c)参照)。
【0030】
そして、このようなカート挟持機構30は、時系列の各図を参照しながら簡潔に述べると(
図2参照)、搬器移載装置20の被挟持部11を固定部31の案内部31cに沿わせるようにして薬品カート10を手押しで搬器移載装置20に向けて前進させて(
図2(a)参照)、薬品カート10の被挟持部11をその出入経路に入れ(
図2(b)参照)、それから更に手押しで薬品カート10を前進させて薬品カート10の被挟持部11を固定部31の挟持部位31bに近づけると(
図2(c)参照)、その検出に基づく後述の制御部40の制御と駆動部34〜34cの駆動によって、挟持用可動部33が旋回経路上を移動して退避位置から被挟持部11の出入経路に出てきて固定部31の挟持部位31bに向かって前進し(
図2(d)参照)、その前進途中で挟持用可動部33が薬品カート10の被挟持部11に当接してからも薬品カート10を推し進めながら更に前進し(
図2(e)参照)、薬品カート10の被挟持部11が固定部31の挟持部位31bに当接するところまで挟持用可動部33が前進して(
図2(f)参照)、最終的には挟持用可動部33の挟持部分33aと固定部31の挟持部位31bとが薬品カート10の被挟持部11を挟持することで、薬品カート10を保持するようになっている。
【0031】
また、カート挟持機構30は、やはり時系列の各図を参照しながら簡潔に述べると(
図3参照)、薬品カート10を保持しているときに(
図3(a)参照)、後述の制御部40の制御に従う駆動部34〜34cの逆向き駆動によって挟持用可動部33を後退させると(
図3(b)参照)、挟持用可動部33の挟持部分33aが、薬品カート10の被挟持部11ひいては固定部31の挟持部位31bから離隔するとともに、旋回経路に沿って移動して薬品カート10の被挟持部11の出入経路から外れるようになっている。しかも、挟持用可動部33を更に後退側に旋回させると(
図3(c)参照)、それと連動して旋回していた押出用可動部32が、挟持用可動部33の前進時とは反対側から後退移動して、即ち搬器移載装置20から薬品カート10へ向かって移動して、薬品カート10の被挟持部11に当接するようになっている。当接してからも暫くは両可動部32,33の旋回が継続されて(
図3(d)参照)、薬品カート10をその被挟持部11の出入経路に沿って押し出し、薬品カート10の被挟持部11の出入経路に対する固定部31の案内部31cによる経路幅規制が緩む所まで薬品カート10の被挟持部11を押し出したところで(
図3(e)参照)、両可動部32,33の旋回が停止するようになっている。この状態は、薬品カート10を人手で容易に移動させることができる状態である(
図3(f)参照)。
【0032】
原点位置検出センサ35は(
図1(d),(e)参照)、挟持用可動部33が前進動作開始可能位置に有るか否かを検出するセンサであり、光センサや磁気センサ等の非接触式近接センサが使いやすい。挟持用可動部33の旋回位置を直に検出するのも良いが、回転腕34の回転角などから間接的に検出するようにしても良い。挟持用可動部33が薬品カート10の被挟持部11の出入経路から完全に外れる位置まで後退していることと、そこから挟持用可動部33が挟持部分33aを前にして旋回して薬品カート10の被挟持部11の出入経路に至るまでの旋回経路から押出用可動部32が完全に外れていることとが、共に満たされる状態であれば、挟持用可動部33が前進動作開始可能位置に有るとして良いが、それより条件の厳しい状態に限定して例えば押出用可動部32が固定部31の挟持部位31bの斜め手前に位置し挟持用可動部33が完全に後退している状態(
図1(d),
図2(a),
図3(e),(f)参照)に限定して、それ以外は挟持用可動部33が前進動作開始可能位置に無いという検出結果を出すようになっていても良い。
【0033】
カート検出センサ36は(
図1(d),(e)参照)、薬品カート10の被挟持部11がその出入経路上に有るとき固定部31の挟持部位31bに近くて挟持用可動部33の旋回経路に入っているか否かを検出するセンサであり、これも光センサや磁気センサ等の非接触式近接センサが使いやすい。
薬品カート10の被挟持部11が挟持用可動部33の旋回経路に入っている状態は、挟持用可動部33の旋回・前進による被挟持部11の引き寄せが可能な状態である。
【0034】
カートロック検出センサ37は(
図1(c)〜(e)参照)、薬品カート10の被挟持部11が固定部31の挟持部位31bに対して当接しているか否かを検出するセンサであり、これは接触式センサが使いやすく、当接検出部位が固定部31の挟持部位31bより少しだけ被挟持部11の到来側(図では左前方)に出ていて、固定部31の挟持部位31bに対する薬品カート10の被挟持部11の当接を高い確度で検出できるものとなっている。
【0035】
制御部40は(
図4参照)、薬品カート保持装置30〜42に専用のものであっても良いが、本例では搬器移載装置20と兼用されるプログラマブルなマイクロプロセッサシステムが採用されている。制御部40は、カート引き寄せ固定制御プログラム43と搬器移載制御プログラム44とカート押し出し制御プログラム45とがインストールされており、それらのプログラムの実行処理によって、原点位置検出センサ35,35とカート検出センサ36,36とカートロック検出センサ37,37とカートロック解除スイッチ41とから検出結果を入力するとともに、モータ34c,34cと搬器移載機構22と警報ブザー42とに対して制御指令等を出力するようになっている。
【0036】
カート引き寄せ固定制御プログラム43は(
図4参照)、二つの原点位置検出センサ35,35の検出結果に基づいて、一対のカート挟持機構30,30の何れにおいても、挟持用可動部33が前進動作開始可能位置に有るか否かを判定するようになっている。
また、二つのカート検出センサ36,36の検出結果に基づいて、一対のカート挟持機構30,30の何れにおいても、薬品カート10の被挟持部11が挟持用可動部33の旋回経路に入って来ているのか否かを判定するようにもなっている。
【0037】
さらに、それらの判定結果から、総ての挟持用可動部33,33が前進動作開始可能位置に有り且つ薬品カート10の総ての被挟持部11,11が挟持用可動部33,33のうち該当するものの旋回経路に入っていることが判明すると(
図2(c)参照)、総てのモータ34c,34cを一斉に動作させて、総ての挟持用可動部33,33を旋回・前進させることで、挟持用可動部33,33に薬品カート10の被挟持部11,11を固定部31,31の挟持部位31b,331bへ引き寄せさせるようになっている(
図2(d),(e)参照)。
【0038】
それから更に、制御部40は(
図4参照)、二つのカートロック検出センサ37,37の検出結果に基づいて、一対のカート挟持機構30,30の何れにおいても、薬品カート10の被挟持部11が固定部31の挟持部位31bに当接したか否かを判定するとともに、その判定結果から、薬品カート10の総ての被挟持部11,11が総ての固定部31,31のうち該当するものの挟持部位31bに対して当接したことが判明すると(
図2(f)参照)、総てのモータ34c,34cを一斉に停止させて、総ての挟持用可動部33,33の旋回・前進を止めるが、その位置に薬品カート10を固定するために或る程度の推力はモータ34c,34cに出し続けさせるようになっている。
【0039】
搬器移載制御プログラム44は(
図4参照)、搬器移載装置20の搬器移載機構22を制御するためのものであり、薬品カート保持装置30〜42のものではないので主要事項を簡潔に説明すると、薬品カート10が搬器移載装置20に隣接して一時固定されたことの通知をカート引き寄せ固定制御プログラム43から受け取ると、搬器移載機構22の動作制御を行って薬品カート10の引出案内機構12に対する搬器6の移載を搬器移載機構22に行わせるようになっている。また、その移載の途中など、薬品カート10の移動が搬器6の落下などの不所望な事態を招くおそれがあるときには、そのような不所望な事態の発生を未然に防止するために、薬品カート10の保持の解除を禁止する通知をカート押し出し制御プログラム45へ送るようにもなっている。
【0040】
カート押し出し制御プログラム45は(
図4参照)、搬器移載制御プログラム44からカート保持解除の禁止が通知されていないときにカートロック解除スイッチ41が操作されると、二つのカートロック検出センサ37,37の検出結果に基づいて薬品カート10の被挟持部11,11が何れもカート挟持機構30,30によって挟持されていることを確認したうえで(
図3(a)参照)、総てのモータ34c,34cを一斉に動作させて、総ての挟持用可動部33,33及び押出用可動部32,32を後退側に旋回させるようになっている(
図3(b)参照)。
【0041】
そして、その旋回により、カート挟持機構30,30の何れにおいても、挟持用可動部33が薬品カート10の被挟持部11の出入経路から外れるとともに、押出用可動部32が前進時とは反対側の搬器移載装置20側から薬品カート10の被挟持部11に当接し(
図3(c)参照)、それに押されて薬品カート10が後退するとともに被挟持部11がカートロック検出センサ37から離れるので(
図3(d)参照)、カート押し出し制御プログラム45は(
図4参照)、それぞれのカート挟持機構30について、薬品カート10の押し出しの開始成功を該当カートロック検出センサ37の検出結果に基づいて確認するようにもなっている。
【0042】
さらに、カート押し出し制御プログラム45は(
図4参照)、それぞれのカート挟持機構30について、薬品カート10の押し出し制御を継続し、該当するカート検出センサ36の検出結果に基づいて薬品カート10の被挟持部11が固定部31の挟持部位31bから十分に離れて挟持用可動部33の旋回経路から出たことを確認するとともに、該当する原点位置検出センサ35の検出結果に基づいて押出用可動部32及び挟持用可動部33が初期位置の前進動作開始可能位置に戻ったことを確認し、何れの確認も取れたら、該当するモータ34cを停止させるようになっている(
図3(e)参照)。
なお、何れのプログラム43,44,45も、各センサ35,36,37の検出結果が上述の動作制御を適正に遂行できないような不適状態になったときには警報ブザー42を動作させて警報を出させるようになっている。
【0043】
この実施例1の薬品カート保持装置30〜42及びそれを装備した搬器移載システム10〜42について、その使用態様及び動作を説明する。
【0044】
搬器移載装置20に(
図1(b)参照)、薬品カート10に対する搬器6の移載を行わせるときには、搬器移載対象の薬品カート10の被挟持部11,11を搬器移載装置20側にして薬品カート10を手押しにて搬器移載装置20に向けて前進させる。その際、薬品カート10の被挟持部11,11が左右のカート挟持機構30,30の間に入るように薬品カート10の進路をとると、両カート挟持機構30,30の案内部31c,31cの間隔が手前ほど広くなっているので、容易に而も的確に薬品カート10を両カート挟持機構30,30間に収めことができる(
図2(a)参照)。
【0045】
それから、更に薬品カート10を前進させて(
図2(b)参照)、その被挟持部11,11がカート検出センサ36,36によって検出されると、挟持用可動部33,33が前進動作開始可能位置に有ることの加重条件確認が制御部40によって行われ、確認が得られなければ警報ブザー42が鳴るといったエラー処理が行われるが、確認が得られれば(
図2(c)参照)、後は制御部40の制御に従い自動で、カート挟持機構30,30による薬品カート10の引き込みと一時固定が行われる。具体的には、押出用可動部32,32と共に挟持用可動部33,33が、旋回・前進し(
図2(d)参照)、薬品カート10の被挟持部11,11に当接するとそれを押し進めながら更に前進する(
図2(e)参照)。そのため、薬品カート10が搬器移載装置20側に自動で引き寄せられる。
【0046】
それから、薬品カート10の被挟持部11,11が何れも挟持用可動部33と固定部31とによって挟持されたことがカートロック検出センサ37,37によって検出されると(
図2(f)参照)、何れのカート挟持機構30でも挟持用可動部33の旋回が止まるとともに挟持用可動部33と固定部31とによる被挟持部11の挟持が継続されるので、薬品カート10が、薬品カート保持装置30〜42によって一時の間ではあるが固定的に保持され、搬器移載位置で搬器移載装置20に隣接する(
図1(a)参照)。なお、上述した引き寄せ開始から所定時間が経過してもカートロック検出センサ37,37のうち一つでも挟持検出に至らない場合も、警報ブザー42が鳴る等のエラー処理が行われる。
【0047】
そして、搬器移載装置20の搬器移載機構22によって薬品カート10の各引出案内機構12,・・・,12に係る搬器6,・・・,6の移載が行われるが(
図1(a),(b)参照)、薬品カート10が搬器移載装置20に対して位置決めも固定もしっかり行われているので、特に薬品カート10と搬器移載装置20との距離がカート挟持機構30,30の固定部31,31の挟持部位31b,31bに対する薬品カート10の被挟持部11,11の当接によって正確に保たれるので、例え搬器移載機構22の動作制御がオープン制御であっても、搬器6の移載が的確に行われる。
【0048】
対象の搬器6,・・・,6が総て移載されたら、薬品カート10の一時固定(
図3(a)参照)を解くために、カートロック解除スイッチ41を手動操作する。すると、それを検出した制御部40の制御により薬品カート保持装置30〜42が自動でカート押し出し動作を開始する。具体的には、先ず、カート挟持機構30,30のそれぞれの挟持用可動部33及び押出用可動部32が一斉に旋回動作にて後退して薬品カート10の被挟持部11,11の挟持を解き(
図3(b)参照)、更に後退して押出用可動部32,32が薬品カート10の被挟持部11,11を後退させる(
図3(c)参照)。
【0049】
このとき、所定時間が経過しても、薬品カート10の被挟持部11による固定部31の挟持部位31bへの当接が解消されたことを、カートロック検出センサ37,37のうち一つでも検出できなかったときには、直ちに総ての挟持用可動部33及び押出用可動部32の旋回動作が止まるとともに警報ブザー42が鳴るといったエラー処理が行われるが、総てのカートロック検出センサ37,37によって当接解消が検出されると、押出用可動部32,32の旋回・後退が継続されて、薬品カート10の被挟持部11,11が更に後退させられる(
図3(d)参照)。
【0050】
そして、それぞれのカート挟持機構30について、カート検出センサ36によって薬品カート10の被挟持部11を検出できなくなるとともに、挟持用可動部33が前進動作開始可能位置に戻ったことが原点位置検出センサ35によって検出されると、挟持用可動部33及び押出用可動部32の旋回動作が止まって(
図3(e)参照)、薬品カート10の自動押出が終わるので、その後は、人手で、薬品カート10を、カート挟持機構30,30ひいては搬器移載装置20から引き離し(
図3(f)参照)、病棟やカート置き場などへ移動させる。
【0051】
こうして、この搬器移載システム10〜42にあっては、搬器移載装置20に対する薬品カート10の隣接および離脱が、薬品カート保持装置30〜42の介助によって、人手でも気軽に行えるうえ、気軽に行っても的確に且つしっかりと完遂される。