特許第6590421号(P6590421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6590421プロジェクターおよび光源の電力切換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590421
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】プロジェクターおよび光源の電力切換方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20191007BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20191007BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   G03B21/00 D
   G03B21/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-562204(P2017-562204)
(86)(22)【出願日】2016年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2016051507
(87)【国際公開番号】WO2017126042
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】内藤 充崇
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−225235(JP,A)
【文献】 特開2004−207018(JP,A)
【文献】 特開2013−201030(JP,A)
【文献】 特開2003−295320(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029172(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G03B 21/00
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に示される映像を投写するプロジェクターであって、
順に電力値が小さな第1乃至第3の電力のいずれかが供給され、供給される電力値が大きくなるにつれて輝度が明るくなる前記映像を生成するための光源と、
前記第1ないし第3の電力のいずれかを選択する入力を受け付ける切換入力部と、
前記切換入力部が前記第3の電力を選択する入力を受け付けると、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されている場合には前記光源に前記第3の電力を供給し、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されていない場合には前記光源に前記第2の電力を供給させるとともに前記映像信号の振幅を下げ、一定時間経過後に、前記光源に前記第3の電力を供給させる制御部と、を有するプロジェクター。
【請求項2】
前記制御部は、前記一定時間経過後に、前記光源に前記第3の電力を供給させるときには、前記映像信号の振幅を上げる、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記切換入力部が前記第3の電力を選択する入力を受け付けると前記映像信号の振幅を下げるときには、前記第3の電力を選択したときによるものと同じ明るさになるようにする、請求項1又は請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記映像の振幅を下げる時間は前記一定時間よりも短い、請求項1乃至請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
順に電力値が小さな第1乃至第3の電力のいずれかが供給され、供給される電力値が大きくなるにつれて輝度が明るくなる映像を生成するための光源と、前記第1ないし第3の電力のいずれかを選択する入力を受け付ける切換入力部と、を備え、映像信号に示される映像を投写するプロジェクターで行われる光源の電力切換方法であって、
前記切換入力部が前記第3の電力を選択する入力を受け付けると、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されている場合には前記光源に前記第3の電力を供給し、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されていない場合には前記光源に前記第2の電力を供給させるとともに前記映像信号の振幅を下げ、一定時間経過後に、前記光源に前記第3の電力を供給させる、光源の電力切換方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される電力に応じて輝度が変化する光源を用いたプロジェクターおよび光源の電力切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターは、小型化、高機能化に伴い、会議室、教室、家庭、屋外など様々な環境で使用されている。これらの使用環境は、周囲の明るさがそれぞれ異なることが多く、近年のプロジェクターには投写画像の明るさを使用環境に応じたものとすることが要求されている。このようなプロジェクターを実現するために、供給される電力に応じて輝度が変化する光源が用いられることもある。
【0003】
供給される電力に応じて輝度が変化する光源を用いたプロジェクターでは、一般的に、光源に供給される電力を、明るさの制御とともに省電力の観点からその光源に定められた定格電力の所定の範囲、例えば、定格電力の80%ないし60%程度に変化させることにより光源の明るさを制御することが行われている(特許文献1参照)。以下の説明では定格電力の80%を調光電力、定格電力の60%以下の電力を省電力として説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光源に省電力を供給する場合、その直前に光源に供給されていた電力との差が大な場合にはフリッカ現象が顕著に発生することが知られている。また、電力値の差が少ない状態で一定時間経過させることでフリッカ現象を抑制することができることも知られている。このため、プロジェクターの利用者が定格電力または調光電力を光源に供給している状態から省電力を供給する省電力モードとする操作を行ったときには、フリッカ現象を確実に抑制するためには調光電力を一定時間供給した後に、省電力を供給することが望ましい。
【0006】
しかしながら、上記のような制御を行う場合、操作後の一定時間は、映像の明るさは調光電力によるものとなるため、省電力が供給されている映像よりも明るいものとなる。このため、プロジェクターの利用者が意図していた明るさの映像が投写されるまでに時間がかかるものとなり、プロジェクターの利用者にプロジェクターが故障しているとの誤認識を与えてしまう。
【0007】
本発明は、省電力モードへの移行を、フリッカ現象が抑制され、かつ、省電力モードでの明るさの映像を直ちに投写することができ、プロジェクターの利用者にプロジェクターが故障しているとの誤認識を与えることのないプロジェクターおよび光源の電力切換方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプロジェクターは、映像信号に示される映像を投写するプロジェクターであって、
順に電力値が小さな第1乃至第3の電力のいずれかが供給され、供給される電力値が大きくなるにつれて輝度が明るくなる前記映像を生成するための光源と、
前記第1ないし第3の電力のいずれかを選択する入力を受け付ける切換入力部と、
前記切換入力部が前記第3の電力を選択する入力を受け付けると、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されている場合には前記光源に前記第3の電力を供給し、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されていない場合には前記光源に前記第2の電力を供給させるとともに前記映像信号の振幅を下げ、一定時間経過後に、前記光源に前記第3の電力を供給させる制御部と、を有する。
【0009】
本発明による光源の電力切換方法は、順に電力値が小さな第1乃至第3の電力のいずれかが供給され、供給される電力値が大きくなるにつれて輝度が明るくなる映像を生成するための光源と、前記第1ないし第3の電力のいずれかを選択する入力を受け付ける切換入力部と、を備え、映像信号に示される映像を投写するプロジェクターで行われる光源の電力切換方法であって、
前記切換入力部が前記第3の電力を選択する入力を受け付けると、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されている場合には前記光源に前記第3の電力を供給し、前記光源に前記第2の電力が一定時間供給されていない場合には前記光源に前記第2の電力を供給させるとともに前記映像信号の振幅を下げ、一定時間経過後に、前記光源に前記第3の電力を供給させる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備える本発明は、第3の電力による省電力モードへの移行を、フリッカ現象が抑制され、かつ、省電力モードでの明るさの映像を直ちに投写することができ、プロジェクターの利用者にプロジェクターが故障しているとの誤認識を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるプロジェクターの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2図1に示した光源部1の光源として使用されるハロゲンランプの性能および名称定義を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態で行われる制御を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態で行われる制御を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態で行われる制御を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態で行われる制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
第1の実施形態
図1は本発明によるプロジェクターの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態のプロジェクター10は、光源部1、光源制御部2、投写部3、映像処理部4、演算処理部5、データ記録部6、拡大装置部7映像入力部8、および、切換入力部12から構成され、映像出力機器9より与えられた映像信号に示される映像をスクリーン11に投写する。
【0015】
光源部1は供給される電力に応じて輝度が変化する光源を用いて、各種の色光を同時もしくは並列に出力する。様々な種類の光源が適用可能であるが、本実施形態では超高圧水銀ランプが用いられている。
【0016】
光源制御部2は、光源部1の電力の上げ下げを制御することで光源部1の輝度を制御する。
【0017】
投写部3は画像光を生成するための空間光変調器であり、液晶パネルやDMD(Digital Mirror Device)、LCOS(Liquid crystal on silicon)を用いることができる。本実施形態ではDMDを用いている。
【0018】
映像処理部4は、映像出力機器9から出力され、映像入力部8および演算処理部5を介して入力された映像信号について、映像の振幅調整(明るさ、コントラスト)や映像ミュートのON/OFFなどを処理する。
【0019】
制御部としての演算処理部(CPU:Central Processor Unit)5は、光源制御部2、映像処理部4、データ記録部6、および切換入力部12と接続し、光源制御部2、映像処理部4を、映像入力部8から入力された映像信号、データ記録部6に記録されている内容、切換入力部12から入力された切換信号に応じて制御することで、プロジェクター10の基本動作を制御する。
【0020】
データ記録部6は、演算処理部5による制御に用いられる待機時間を記録する。
【0021】
拡大装置部7は光学レンズを用いて構成された拡大光学系で、投写部3により生成された画像光を拡大してプロジェクター10の外部に向けて投写する。
【0022】
映像入力部8は、映像出力機器9からの映像信号が受け付けるものであり、RGB端子やHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などを備え、受け付ける映像信号の種類により、各端子を介して映像信号を受け付ける。
【0023】
切換入力部12はプロジェクター10の利用者からの光源部1の輝度を変更する切換入力を受け付けるもので、受け付けた切換信号を演算処理部5へ送出する。
【0024】
映像出力機器9は映像信号を出力するもので、実際の機器としてはパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やDVDプレイヤーなどが挙げられる。
【0025】
図2は、本実施形態で、光源部1の光源として使用される超高圧水銀ランプの性能および名称定義を示す。
【0026】
超高圧水銀ランプに供給される電力のモードは、第1の電力としての定格電力(ECO OFF)、第2の電力としての調光電力(ECO1)、第3の電力としての省電力(ECO2)の3つの状態を有し、光源の輝度は電力値の割合に応じて輝度が変調され、また、これらの各状態は切換可能とされている。また、光源部1には超高圧水銀ランプを冷却するためのFAN(不図示)が設けられており、冷却能力を示すFANの回転数も供給される電力に合わせて、可変される。
【0027】
次に、本実施形態の制御について図3および図4のフローチャートを参照して説明する。以下の説明は、前提として、プロジェクター10の光源部1の光源が点灯中に行われる制御についてのものである。
【0028】
図3のフローチャートは、プロジェクター10の利用者が定格電力(以下、ECO OFF)の状態から省電力(以下、ECO2)に切り換えた場合の処理を示している。図4のフローチャートは、プロジェクター10の利用者が調光電力(以下、ECO1)の状態からECO2に切り換えた場合の処理を示している。図3のフローチャートと図4のフローチャートの違いは、図3に示すフローチャートではECO1に切り換える処理が入り、図4に示すフローチャートでは、すでにECO1状態であるため、ECO1に切り換えをせずに映像の振幅を下げる処理のみとしている点にある。
【0029】
まず、図3のフローチャートに示される制御について説明する。
【0030】
スタート時には、ECO ModeはECO OFFとされている(ステップS12)。その後、プロジェクター10の利用者がECO OFFからECO2に切り換える旨の操作入力を切換入力部12へ行うと(ステップS13)、演算処理部5は、即時にECO2に切り換えずに、まず、ECO1に切り換るとともに、映像処理部4により映像の振幅(コントラスト)を下げる(ステップS14)。この時、ECO1の時よりも投写された画像が暗くなるように映像の振幅を下げる。これにより、プロジェクターの利用者がECO2に切り替えたことが分かるようになり、プロジェクターの故障ではないかと誤認識することはない。または、ステップS14における映像の振幅を下げる処理により、投写映像の明るさがECO1による明るさよりも低下したECO2によるものと同じ明るさになるようにしてもよい。換言すると、ECO1の状態にも係らず、ECO2によるものと略同じ明るさになるように映像の振幅を定めてもよい。これにより、プロジェクターの利用者が、ECO OFFからECO2への切り替えを明確に認識できるようになるのでより好ましい。
【0031】
次に、演算処理部5は、ECO1からECO2へ遷移するかどうかを時間監視するために、カウントを開始し(ステップS15)、カウント値が予め定められた閾値を超えたかを確認する(ステップS16)。
【0032】
カウント値がしきい値を超え、カウントを開始してからがある一定時間が経過したことが確認されると演算処理部5は、カウントを停止し(ステップS17)、光源に供給する電力をECO1からECO2に切り換え、映像の振幅を上げて、元の振幅として(ステップS18)終了する(ステップS19)。
【0033】
ここで、ステップS16で使用されるカウントのしきい値は、データ記録部6から取得する。経験的にフリッカが発生する光源に対して、しきい値は時間に換算すると最低でも30秒ほど必要であり、本実施形態でも30秒以上の時間に相当するしきい値が使用されている。
【0034】
上記のような制御を行うことで、プロジェクター10の利用者がECO OFFからECO2に切り換える旨の操作入力を切換入力部12へ行うと、フリッカ現象が抑制され、かつ、省電力モードでの明るさの映像が直ちに投写される。このため、プロジェクターの利用者がプロジェクターの故障ではないかと誤認識することはない。
【0035】
次に、図4のフローチャートに示される制御について説明する。
【0036】
図3に示されるフローチャートが、初期状態がECO OFFである場合の制御であるのに対し、図4に示されるフローチャートは初期状態がECO1のとき(ステップS20)に行われる制御を示すものである。このため、プロジェクター10の利用者がECO1からECO2に切り換える旨の操作入力を切換入力部12に行っても(ステップS21)、続くステップS22では、映像の振幅(コントラスト)を下げることのみが行われる。この時、ECO1の時よりも投写された画像が暗くなるように映像の振幅を下げる。これにより、プロジェクターの利用者がECO2に切り替えたことがわかるようになり、プロジェクターの故障ではないかと誤認識することはない。または、ステップS22における映像の振幅を下げる処理により、投写映像の明るさがECO1による明るさよりも低下したECO2によるものと同じ明るさになるようにしてもよい。換言すると、ECO2によるものと略同じ明るさになるように映像の振幅を定めてもよい。これにより、プロジェクターの利用者が、ECO1からECO2への切り替えを明確に認識できるようになるのでより好ましい。
【0037】
ステップS22以降のステップS23ないしステップS27における動作は図3に示したステップS15ないしステップS19における動作と同様である。
【0038】
第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の装置構成は図1に示した第1の実施形態と同様であり、演算処理部5により行われる制御のみが異なる。そのため、本実施形態の制御について図5および図6のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、図5のフローチャートに示される制御について説明する。
【0040】
図5に示されるフローチャートは、初期状態としてECO OFFまたはECO2の場合(ステップS28)に行われる。プロジェクター10の利用者がECO OFFまたはECO2からECO1に切り換える旨の操作入力を切換入力部12へ行うと(ステップS29)、演算処理部5は、ECO1状態とするとともに、ECO1の状態が一定時間経過したかを確認するためのカウンタ処理を別タスクで処理する(ステップS30)。このECO1の状態を一定時間保つ時間をECO1待機時間と呼ぶ。また、ステップS30は別タスクで処理されるので、ステップS30の終了を待たずにステップS31へ進む。
【0041】
図6は、ステップS30で行われる別タスクの処理を示すフローチャートである。
【0042】
別タスクが開始されると(ステップS37)、演算処理部5は、データ記録部に設けられたECO1待機終了フラグをLowにするとともに、カウントを開始し(ステップS37)、カウントした値がしきい値を超えたかを確認する(ステップS39)。ここで使用されるしきい値は、図3に示したステップS16で用いられるしきい値と同じものであり、データ記録部6から取得する。
【0043】
ステップS39にてカウントした値がしきい値を超えたことが確認された場合には、カウントを停止し、ECO1待機終了フラグをHighにして(ステップS40)、終了する(ステップS41)。
【0044】
再び図5のフローチャートに戻ると、ステップS30においてECO1状態とした後にプロジェクター10の利用者がECO2に切り換える旨の操作入力を切換入力部12へ行うと(ステップS31)、演算処理部5は、ECO1待機終了フラグの状態を確認する(ステップS32)。
【0045】
ステップS32において、ECO1待機終了フラグがHighであることが確認された場合には、演算処理部5は、ECO2状態とし、映像の振幅を上げて、元の振幅とした後に(ステップS33)、終了する(ステップS36)。
【0046】
ステップS32において、ECO1待機終了フラグがLowであることが確認された場合には、演算処理部5は、映像処理部4により映像の振幅を下げたかを確認し(ステップS34)、映像の振幅を下げていない場合には映像の振幅を下げて(ステップS35)、ステップS32に戻る。
【0047】
ステップS35では、ECO1の時よりも投写された画像が暗くなるように映像の振幅を下げる。これにより、プロジェクターの利用者がECO2に切り替えたことがわかるようになり、プロジェクターの故障ではないかと誤認識することはない。または、ステップS35における映像の振幅を下げる処理により、投写映像の明るさがECO1による明るさよりも低下したECO2によるものと同じ明るさになるようにしてもよい。換言すると、ECO2によるものと略同じ明るさになるように映像の振幅を定めてもよい。これにより、プロジェクターの利用者が、ECO1からECO2への切り替えを明確に認識できるようになるのでより好ましい。
【0048】
ステップS34にて映像の振幅を下げたことが確認された場合には、そのままステップS32に戻る。これにより、映像の振幅を下げることは一度のみ行われる。
【0049】
ステップS37からステップS41に要する時間(ECO1待機時間)と、ステップS32からステップS34若しくはステップ35を経てステップS32に戻るまでの時間(映像の振幅を下げる時間)との関係について述べる。
【0050】
ECO1からECO2に切り替えるときは、ECO1待機時間を経過した後でなくてはならない。そこで、ECO1待機時間中に、プロジェクターの利用者がECO2に切り換える旨の操作入力をした場合には、映像の振幅を下げて投写される画像の明るさを低下する必要がある。つまり、映像の振幅を下げる時間は、ECO1待機時間よりも短い。こうすることにより、ECO1からECO2に切り替えるときに、ECO1待機時間中であっても必ず映像の振幅を下げて投写される画像の明るさを低下することができる。そして、プロジェクターの利用者がECO2に切り替えたことがわかるようになり、プロジェクターの故障ではないかと誤認識することはない。
【0051】
上記の制御を行う本実施形態においては、フリッカ現象が発生しないECO1状態が一定時間経過している場合には、直ちに省電力モードであるECO2に移行するため、第1の実施形態の効果に加えて、より一層の省電力を図ることができるものとなっている。
【0052】
なお、以上の説明において、定格電力の80%を調光電力、定格電力の60%を省電力として説明したがこれらの割合はこれに限定されるものではない。省電力の目安としては、定格電力からの切換時にフリッカ現象が発生する割合のものであり、定格電力の20%でもかまわない。調光電力の目安としては、一定時間光源への供給が継続した後に省電力に切換えた場合にフリッカ現象が発生しないこととなる。
【符号の説明】
【0053】
1 光源部
2 光源制御部
3 投写部
4 映像処理部
5 演算処理部
6 データ記録部
7 拡大装置部
8 映像入力部
9 映像出力機器
10 プロジェクター
11 スクリーン
12 切換入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6