(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共焦点顕微鏡では、焦点位置を3次元的に走査することで、物体の3次元形状を取得することができる。対物レンズ又はステージを光軸方向に沿って移動するとともに、ガルバノミラーなどを用いて照明光を走査する。具体的には、ステージを光軸方向に沿って段階的に移動するとともに、各断層においてガルバノミラーで照明光を2次元走査する。よって、3次元形状の測定が可能となる。
【0005】
高倍率の対物レンズを用いた場合、対物レンズの視野が狭くなる。よって、広い領域の3次元共焦点画像を撮像する場合、撮像時間が長くなるという問題点がある。また、視野サイズ以上の撮像対象を撮像する場合、光学系のシェーディングやディストーションを補正する必要がある。
【0006】
本開示は、このような事情を背景としてなされたものであり、高精度の共焦点画像を短時間で撮像することができる共焦点顕微鏡、及び撮像方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様にかかる共焦点顕微鏡は、試料の概形を示す概形データを取得するデータ取得手段と、前記試料を照明する照明光を発生する照明光源と、前記照明光を試料に集光する対物レンズと、前記対物レンズの視野において、前記試料の照明位置を走査する光スキャナと、前記試料に対する前記対物レンズの相対的な位置を変化させることで、前記照明位置を前記試料の概形に沿って走査する走査機構と、前記試料で反射して前記対物レンズを通過した反射光を、コンフォーカル光学系を介して検出する光検出器と、を備えたものである。
【0008】
上記の共焦点顕微鏡において、前記走査機構による走査方向が、前記光スキャナによる走査方向と平行な成分を有していてもよい。
【0009】
上記の共焦点顕微鏡において、前記走査機構が、前記試料の概形に沿って、前記照明位置を連続的に走査していてもよい。
【0010】
上記の共焦点顕微鏡において、前記試料がノッチを有する半導体ウェハであり、前記概形データが、前記半導体ウェハのノッチ部分の概形を示しており、前記半導体ウェハのノッチを撮像するようにしてもよい。
【0011】
上記の共焦点顕微鏡において、前記対物レンズの光軸が、前記試料の上面から傾いた方向になるように、前記対物レンズが配置されていてもよい。
【0012】
上記の共焦点顕微鏡において、前記走査機構は、前記試料が載置された可動ステージを有しているてもよい。
【0013】
本実施形態の一態様にかかる撮像方法は、対物レンズにより照明光を試料に集光し、コンフォーカル光学系を介して前記試料で反射した反射光を検出する共焦点顕微鏡による撮像方法であって、前記試料の概形を示す概形データを取得するステップと、走査機構が前記試料に対する前記対物レンズの相対的な位置を変化させることで、照明位置を前記試料の概形に沿って走査するとともに、光スキャナが前記対物レンズの視野内で前記照明位置を走査するステップと、前記走査機構、及び前記光スキャナの走査中に、前記試料で反射した反射光を検出器が検出するステップと、前記検出器で検出された検出データに基づいて、共焦点画像を生成するステップと、を備えたものである。
【0014】
上記の撮像方法において、前記走査機構による走査方向が、前記光スキャナによる走査方向と平行な成分を有していてもよい。
【0015】
上記の撮像方法において、前記走査機構が、前記試料の概形に沿って、前記照明位置を連続的に走査していてもよい。
【0016】
上記の撮像方法において、前記試料がノッチを有する半導体ウェハであり、前記概形データが、前記半導体ウェハのノッチ部分の概形を示しており、前記半導体ウェハのノッチを撮像するようにしてもよい。
【0017】
上記の撮像方法において、前記対物レンズの光軸が、前記試料の上面から傾いた方向になるように、前記対物レンズが配置されていてもよい。
【0018】
上記の撮像方法において、前記走査機構は、前記試料が載置された可動ステージを有していてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、高精度の共焦点画像を短時間で撮像することができる共焦点顕微鏡、及び撮像方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。本実施の形態にかかる共焦点顕微鏡100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、共焦点顕微鏡100の全体構成を模式的に示す図である。共焦点顕微鏡100は、基板30のエッジ部31の共焦点画像を撮像する。共焦点顕微鏡100は、光学ヘッド10と、ステージ20と、移動機構40と、処理装置50と、を備えている。なお、以下の説明において、鉛直上方向を+Z方向とする。また、Z方向が、基板30の厚さ方向に平行であるものとして説明する。また、円形の基板30の半径方向をR方向とする。
【0023】
ステージ20は、測定対象となる基板30を載置する。基板30は、例えば、半導体ウェハ等の円形基板となっている。なお、基板30には、ノッチやオリフラなどが設けられていてもよい。本実施の形態に係る共焦点顕微鏡は、ノッチ部分の撮像に好適である。ステージ20は真空チャックなどにより、基板30を保持していてもよい。基板30のエッジ部31は、ステージ20からはみ出している。すなわち、ステージ20は、基板30の直径よりも小さい直径を有する円盤状になっている。なお、基板30の+Z側の面を表(おもて)面33とし、−Z側の面を裏面34とする。基板30の表面33と裏面34は、Z方向と直交する平面となる。基板30の表面33は、パターンが形成されるパターン形成面となる。
【0024】
ステージ20は、基板30の概形に沿って、基板30を走査する走査機構である。例えば、ステージ20は、R方向、θ方向に駆動可能なサーボモータなどを有する可動ステージとなっている。ステージ20がR方向、及びθ方向に駆動することで、基板30の任意の位置を照明することができる。具体的には、ステージ20は、回転ステージであり、基板30をZ軸周りに回転させるモータを備えている。つまり、基板30は、θ方向に回転する。ステージ20の回転軸であるZ軸は、基板30の中心を通り、鉛直方向に平行になっている。ステージ20のZ軸周りの回転角度をθ角度とする。さらに、ステージ20は、基板30をR方向に直進移動させるためのリニアモータなどを備えている。
【0025】
R方向の位置、及びθ角度をまとめてステージ20の座標データとする。座標データは、基板30における照明位置を示す。なお、ステージ20は、回転ステージとなっているが、水平面内において直交方向に駆動可能な可動ステージであってもよい。
【0026】
光学ヘッド10は、エッジ部31を撮像するための光学系を搭載している。具体的には、光学ヘッド10は、ラインコンフォーカル光学系を備えている。ラインコンフォーカル光学系は光源、レンズ、ミラー、光スキャナ、対物レンズ、及びセンサ等を備えている。光学ヘッド10に設けられている光学系については後述する。光学ヘッド10の光軸をOXとする。
【0027】
光学ヘッド10は、移動機構40に取り付けられている。つまり、移動機構40は、光学ヘッド10を移動可能に支持している。移動機構40は、光学ヘッド10を円弧に沿って移動させる。なお、円弧の中心を中心Oとする。移動機構40は、駆動機構41と、ガイド42とを備えている。ガイド42は、半円の円弧状となっている。ガイド42の円弧の中心Oは、基板30のエッジ部31に配置されている。よって、ガイド42の一端が基板30の上側(+Z側)に配置され、他端が基板30の下側(−Z側)に配置されている。
【0028】
駆動機構41は、光学ヘッド10を駆動するためのサーボモータなどを備えている。駆動機構41の駆動によって、光学ヘッド10がガイド42に沿って移動する。つまり、光学ヘッド10が回転移動する。これにより、光学ヘッド10の光軸OXの傾きが変化する。光学ヘッド10の回転移動の回転軸をA軸とする。A軸は、例えば、基板30の内部にある中心Oを通過し、かつ、紙面に垂直な方向に平行である。つまり、A軸は、Z軸と光軸OXとを含む平面と直交し、かつ基板30の内部を通っている。A軸に沿って光学ヘッド10を移動させる移動機構40を設けることで、所望の方向から共焦点画像を撮像することが可能になる。
【0029】
例えば、光学ヘッド10を光学ヘッド10aの位置とすることで、エッジ部31を斜め上方から撮像することができる。あるいは、光学ヘッド10を光学ヘッド10bの位置とすることで、斜め下方(光学ヘッド10b)からエッジ部31を撮像することができる。この場合、光軸OXは、Z方向、及びR方向から傾いている。
【0030】
処理装置50は、例えば、プロセッサとメモリなどを備えたコンピュータであり、エッジ部31を撮像するための処理を実行する。さらに、処理装置50は、測定結果を表示するためのモニタや、ユーザからの入力を受け付けるためのキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器を備えている。
【0031】
処理装置50は、制御部51と、データ取得部52と、画像生成部53と、を備えている。制御部51は、駆動機構41、及びステージ20を制御する。例えば、制御部51は、A軸角度を斜め上方(光学ヘッド10bの位置)となるように、駆動機構41を制御している。ここでは、光軸OXが表面33と直交するZ方向から傾いている。撮像中のA軸角度が一定となっている。
【0032】
データ取得部52は、基板30の概形を示す概形データを取得している。概形データの取得については、後述する。制御部51は、概形データに基づいて、ステージ20を制御している。制御部51は、基板30が概形に沿って移動するように、ステージ20のR位置、及びθ角度を制御している。ステージ20は、照明位置を概形に沿って走査する。対物レンズの基板30に対する相対的な位置が変化することで、照明位置が基板30の概形に沿って移動する。つまり、光学ヘッド10に設けられた対物レンズの視野が、基板30の概形に沿って走査される。ここでは、データ取得部52がステージ20を連続的に移送させている。よって、ステージ20が、照明位置を連続的に走査する。
【0033】
画像生成部53は、光学ヘッド10で検出された検出光量に応じた検出データを収集する。画像生成部53は、検出データと座標データ(R位置、及びθ角度)とを対応付けて、メモリなどに格納する。画像生成部53は、検出データと座標データに基づいて、共焦点画像を生成する。画像生成部53は、座標データに基づいて検出データをマッピングすることで、共焦点画像を生成する。光学ヘッド10にはコンフォーカル光学系が設けられているため、反射光の3次元輝度分布を取得することができる。処理装置50での処理については、後述する。
【0034】
次に、光学ヘッド10の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、光学ヘッド10に搭載された光学系の構成を示す図である。上記の通り、光学ヘッド10は、ラインコンフォーカル光学系110を搭載している。ラインコンフォーカル光学系110は、照明光源11と、ハーフミラー12と、レンズ13と、スキャナ14と、レンズ15と、レンズ16と、対物レンズ17と、検出器18とを備えている。光学ヘッド10では、これらの光学素子が、図示しない筐体などに固定されている。
【0035】
まず、基板30を照明するための照明光学系について説明する。照明光源11は、ライン状の照明光を発生する。照明光源11は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)、レーザ光源などの種々の光源を用いることが可能である。照明光源11は、ライン光源である。あるいは、スリットやシリンドリカルレンズを用いることで、ライン状の照明光を生成することも可能である。
【0036】
ラインコンフォーカル光学系110を構成するため、照明光は、対物レンズ17の焦点面(フォーカス面)において、ライン状の照明領域を形成する。なお、焦点面は、焦点Fを通って、光軸OXに直交する平面である。焦点面において、照明領域の長手方向をY方向とし、短手方向をX方向とする。X方向とY方向とは、直交する方向である。もちろん、ラインコンフォーカル光学系110ではない通常のコンフォーカル光学系としてもよい。この場合、レーザ光源やLED光源などの点光源を用いることが好ましい。あるいは、ランプ光源にピンホールなどを組み合わせて、点光源としてもよい。
【0037】
照明光源11からの照明光はハーフミラー12に入射する。ハーフミラー12は入射した光の半分を透過して、残り半分を反射する。ハーフミラー12で反射された照明光は、レンズ13によって平行光束となる。平行光束となった照明光は、スキャナ14に入射する。スキャナ14は、ガルバノミラーなどであり、照明光を偏向する。スキャナ14は、Y方向に沿ったライン状の照明光をX方向に走査する。これにより、照明光が2次元領域を照明するため、2次元共焦点画像を撮像することが可能となる。なお、ラインコンフォーカル光学系110ではない通常のコンフォーカル光学系の場合、スキャナ14は、XY方向に照明光を走査する2次元スキャナとする。
【0038】
スキャナ14で反射された照明光は、レンズ15に入射する。照明光は、レンズ15、及びレンズ16で屈折される。レンズ15、及びレンズ16は、例えば、リレーレンズである。レンズ16を通過した照明光は、平行光束となっている。
【0039】
レンズ16を通過した照明光は対物レンズ17に入射する。対物レンズ17は、照明光を焦点面に集光する。対物レンズ17の焦点を焦点Fとする。上記のように、対物レンズ17によって集光された照明光は、ライン状の照明領域を形成する。照明光は、基板30の表面(ひょうめん)で反射される。
【0040】
次に、基板30で反射した反射光を検出するための検出光学系について説明する。基板30で反射した反射光は、照明光の光路を戻っていく。つまり、反射光は対物レンズ17で、平行光束となって、レンズ16に入射する。レンズ16、及びレンズ15は、反射光を屈折する。レンズ15を通過した反射光は、スキャナ14でデスキャンされる。スキャナ14で反射された反射光は、レンズ13に入射する。そして、反射光は、レンズ13で屈折されて、ハーフミラー12に入射する。レンズ13からの反射光の半分が、ハーフミラー12を通過して、検出器18に入射する。
【0041】
レンズ13は、結像レンズであり、反射光を検出器18の受光面に集光している。検出器18は、例えば、複数の画素を備えたラインセンサである。具体的には、検出器18として、ラインCCD(Charged Coupled Device)もしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサを用いることができる。よって、検出器18の受光面には、複数の画素が1列に配列されている。検出器18の複数の画素は、Y方向に沿って配置される。検出器18は、反射光を検出して、検出結果のデータを処理装置50(
図1参照)に出力する。すなわち、検出器18は、画素毎に、検出光量を示す検出データを処理装置50に出力する。
【0042】
なお、検出器18の受光面は、対物レンズ17の焦点面とは互いに共役な位置に配置されている。対物レンズ17で集光された照明光が、焦点面において、ライン状の照明領域を形成する。検出器18の受光面では、反射光がY方向を長手方向とするライン状に集光される。焦点面から光軸方向にずれた面で反射された反射光は、検出器18の画素の外側に入射する。このようにすることで、ラインコンフォーカル光学系110を構成することができる。
【0043】
上記の例では、対物レンズ17の焦点面から共役な位置にラインセンサである検出器18を配置していたが、スリットを用いてラインコンフォーカル光学系110を構成することも可能となる。例えば、ライン状の照明領域に沿ったスリットを焦点面と共役な位置に配置する。検出器18がスリットを通過した反射光を検出するよう、スリットの後ろ側に検出器18を配置する。ここで、検出器18は、スリット方向に沿って複数の画素が配列されたラインセンサとする。これにより、焦点面で反射した反射光がスリットを通過し、焦点面からずれた面で反射された反射光は、スリットで遮光される。このようにすることで、ラインコンフォーカル光学系110を構成することができる。検出器18は、ラインコンフォーカル光学系110を介して反射光を検出して、検出データを処理装置50に出力する。
【0044】
対物レンズ17によって集光された照明領域について、
図3を用いて説明する。
図3は、基板30のエッジ部31をRZ断面図であり、エッジ部31のRZ面に沿ったエッジプロファイルPを模式的に示している。ライン状の照明領域の長手方向であるY方向は、
図3に示すRZ面内の方向である。また、スキャナ14の走査方向であるX方向は、
図3の紙面と直交する方向である。
【0045】
光軸OXは、基板30のZ方向、及びR方向から傾いた方向になっている。対物レンズ17(
図3では省略)の光軸OX上に、焦点Fがある。ここでは、基板30の内部に焦点Fがある。焦点Fを通り、光軸OXに直交する平面が焦点面Sとなる。焦点面Sは、R方向、及びZ方向から傾いた平面になっている。上記のように、焦点面Sにおいて、照明光はY方向に沿ったライン状となるように、対物レンズ17が照明光を集光している。
【0046】
RZ面において、焦点面SがエッジプロファイルPを横切る2点をエッジ位置D、及びエッジ位置Eとする。RZ平面において、エッジ位置Dとエッジ位置Eは、エッジプロファイルPと焦点面Sとの交点となる。ラインコンフォーカル光学系110を用いているため、エッジ位置D、エッジ位置Eで反射した反射光の検出光量が高くなる。一方、エッジ位置Dからエッジ位置Eまでの範囲DEでは、エッジプロファイルPが焦点面Sからずれているため、反射光の検出光量は低くなる。つまり、エッジ位置D、Eに対応する画素では、検出光量が高くなり、範囲DEに対応する画素では、検出光量が低くなる。
【0047】
図2の説明に戻る。光学ヘッド10には、対物レンズ17aが設けられている。対物レンズ17aは、対物レンズ17よりも低倍率である。対物レンズ17aを用いることで、広い視野での撮像が可能となる。例えば、対物レンズ17と対物レンズ17aは図示しないレボルバ等に取り付けられている。対物レンズ17aと対物レンズ17が光路中に選択的に挿入される。つまり、対物レンズ17と対物レンズ17aの一方が光路中に挿入され、他方が光路中から取り出される。
【0048】
対物レンズ17aは、基板30の概形を示す概形データを取得するために用いられる。例えば、半導体ウェハのノッチ部分を撮像する場合、対物レンズ17aは、ノッチ部分の全体を一視野で観察できるほどの低倍率となっている。対物レンズ17aの視野は、例えば、4mm以上となっている。対物レンズ17aを用いて、基板30の概形データを取得した後に、対物レンズ17で共焦点画像を撮像する。対物レンズ17は、対物レンズ17aよりも高倍率かつ高NAとなっている。対物レンズ17の視野は、約800μmとなっており、対物レンズ17aの視野よりも狭い。
【0049】
次に、共焦点顕微鏡100を用いた撮像方法について、
図4を用いて説明する。
図4は、共焦点画像の撮像方法を示すフローチャートである。
【0050】
まず、データ取得部52がノッチ部分の概形を示す概形データを取得する(S11)。ステップS11では、共焦点顕微鏡100が、対物レンズ17aを用いて、概形を測定している。つまり、光学ヘッド10では、対物レンズ17が光路から取り除かれ、対物レンズ17aが光路中に挿入されている。対物レンズ17aは、低倍率であるため、ノッチ部分の全体を一視野で撮像することができる。ラインコンフォーカル光学系110を用いているため、検出器18は、焦点面で反射した反射光を検出する。
【0051】
スキャナ14が照明光をX方向に走査している。また、対物レンズ17aが光軸OX方向に段階的に移動する。このようにすることで、基板30のエッジから対物レンズ17aまでの距離を変えることができる。検出器18は、基板30で反射した反射光を対物レンズ17aを介して、検出する。ラインコンフォーカル光学系110では、焦点面に基板30のエッジがある場合、エッジからの反射光を受光する画素で検出光量が高くなる。処理装置50が、検出光量が高くなる位置を繋ぎ合わせることで、概形を測定することができる。さらに、対物レンズ17aを光軸OX方向に段階的に移動させていくことで、エッジ部31の概形の3次元測定が可能となる。S11での概形の取得精度は、次のステップS12の共焦点画像の撮像精度よりも低くなっていてもよい。データ取得部52は、概形を示す概形データをメモリなどに記憶する。なお、対物レンズ17aの代わりに、ステージ20を光軸OXに沿って移動させて、概形データを取得してもよい。
【0052】
次に、制御部51が、概形に沿って、ステージ20を移動させながら、スキャナ14が照明光を走査する(S12)。ステップS12では、光学ヘッド10では、対物レンズ17aが光路から取り除かれ、対物レンズ17が光路中に挿入されている。制御部51が、概形データに基づいて、ステージ20を制御している。ステージ20が基板30に対する対物レンズ17の相対的な位置を変化させることで、照明位置を試料の概形に沿って走査する。従って、基板30における対物レンズ17の視野が走査される。制御部51が概形に沿って、ステージ20を連続的に移動させる。
【0053】
基板30に対する対物レンズ17の相対的な位置が、R方向、及びθ方向に走査される。ステージ20による走査方向は、R方向と平行な成分、及びθ方向と平行な成分を有している。このようにすることで、ステージ20による走査経路を概形と平行にすることができる。さらに、ステージ20による走査中に、スキャナ14が照明光をX方向に走査している。スキャナ14の走査速度は、ステージ20の走査速度よりも十分速くなっている。
【0054】
検出器18は、ステージ20及びスキャナ14の走査中に、基板30で反射した反射光を検出する(S13)。そして、検出器18は、反射光の検出データを処理装置50に出力する。処理装置50は、ステージ20の座標データ、及びスキャナ14によるX方向の走査位置を検出データに対応付けて記憶する。具体的には、処理装置50は、検出器18のフレーム毎に、ステージ20の座標データ、及びスキャナ14によるX方向の走査位置を対応させておく。
【0055】
画像生成部53は、検出データに基づいて、共焦点画像を生成する(S14)。画像生成部53は、座標データに基づいて、基板30における焦点面の位置を求める。さらに、画像生成部53は、X方向の走査位置に基づいて、焦点面内における照明領域の位置を求める。画像生成部53は、検出器18の各画素が基板30のどの位置からの反射光を受光しているかを、フレーム毎に求めることができる。なお、S12からS14のステップは並行して実施されていてもよい。
【0056】
これにより、処理装置50は、3次元輝度分布を得ることができる。共焦点顕微鏡100は、エッジ部31の3次元共焦点画像を撮像することができる。高NA、高倍率の対物レンズ17を用いることで、高精度で基板30のエッジ部31を撮像することができる。さらに、概形に沿って移動することで、短時間で共焦点画像を撮像することができる。
【0057】
ステップS12について、詳細に説明する。
図5は、S11で測定したエッジ部31の概形61を模式的に示すXZ平面図である。
図6は、ステージ20が概形61に沿って走査した場合の撮像範囲を説明するための図である。走査範囲64は、スキャナ14の1スキャンを示す範囲で有り、対物レンズ17の視野に対応するものである。撮像範囲63は、ステージ20及びスキャナ14の走査範囲に対応するものである。つまり、撮像範囲63は、スキャナ14を走査しながら、ステージ20を移動させた場合において、反射光を検出することができる範囲である。
図6では、エッジ部31の実際の形状を実形状62として示している。
【0058】
概形61がX方向における走査範囲64の中心になるように、ステージ20が制御されている。スキャナ14は、概形61を中心として、+X方向と−X方向の両方向に照明光を偏向している。走査範囲64の一端が、概形61の+X側となり、他端が概形61の−X側となる。
図6に示すように、実形状62と概形61との間に誤差があったとしても、実形状62が撮像範囲63に含まれる。概形61が実形状62からずれている場合であっても、実形状62が照明される。概形61の測定精度が高くない場合であっても、基板30のエッジ位置が対物レンズ17の視野に含まれることになる。換言すると、概形61の測定粗さは、視野サイズ分のマージンがある。
【0059】
スキャナ14によって走査された照明光が基板30のエッジ位置を照明する(
図3参照)。これにより、基板30のエッジ位置を含む領域を照明することができ、エッジ部31の共焦点画像を撮像することができる。また、概形61に沿ってステージ20を走査することで、ステージ20の走査範囲を小さくすることができる。概形61に沿って照明位置が3次元的に走査されるため、撮像時間を短くすることができる。
【0060】
ステージ20による走査方向が、スキャナ14による走査方向と平行な成分を有している。つまり、ステージ20による走査方向は、スキャナによる走査方向であるX方向から傾いており、かつ光軸OXから傾いた方向になっている。よって、ステージ20及びスキャナ14による3次元の走査範囲が光軸方向から傾いた形状となる。よって、基板30の曲面状のエッジ部31を撮像する場合であっても、短時間での撮像が可能となる。また、ステージ20の移動する方向が変わらない場合、ディストーションやシェーディングの影響によるつなぎ目が発生するのを抑制することができる。
【0061】
これに対して、一般的な共焦点顕微鏡では、ステージ又は対物レンズを光軸方向に移動している。よって、3次元の走査範囲が光軸方向に沿った直方体状になる。曲面状のエッジ部31を撮像する場合、撮像時間が長時間となってしまう。さらに、一般的な共焦点顕微鏡では、光学系のシェーディングやディストーションの補正が必要となってしまう。
【0062】
図7は、半導体ウェハのエッジ部分に設けられたノッチ70を示す平面図である。例えば、300mmの半導体ウェハの場合、ノッチ70の深さVhは、1.25mm程度であり、幅Vwは4mm程度である。ノッチ70の両端にある点を端点71、72とし、端点71と端点72との中間にある点を中間点73とする。
【0063】
概形を測定するための対物レンズ17aは、低倍率であるためノッチ70の全体が視野に含まれる。対物レンズ17aが低NAである場合、光軸から大きく傾いた箇所では精度よく位置を測定することができない場合がある。例えば、ノッチ70において、端点71、72と中間点73のみしか位置を測定できない場合がある。この場合、端点71と中間点73とを結ぶ直線74、並びに中間点73と端点72とを結ぶ直線74を概形と規定することができる。概形の測定精度が低い場合であっても、対物レンズ17の視野分のマージンがある、対物レンズ17の視野による撮像範囲に、エッジ位置が含まれるため、ノッチ70の3次元共焦点画像を撮像することができる。
【0064】
図8は、共焦点顕微鏡100で撮像されたノッチの共焦点画像を示す図である。
図8では、横軸はθ方向、縦軸は焦点(光軸OXおよびθ方向と直交する方向)方向からなる二次元座標面を、直交座標系に展開している。共焦点顕微鏡100を用いた撮像方法により、精度よく共焦点画像を撮像することができる。対物レンズ17の視野よりも広い領域を一度に撮像することができる。
【0065】
ノッチ部分を高解像度で撮像することで、半導体ウェハのノッチに発生するクラックやチッピングを検出することが可能となる。これにより、半導体装置の生産性を向上することができる。例えば、半導体の製造工程において、半導体製造装置に設けられた位置合わせピンなどにノッチが接触する。ノッチにクラックがある場合、位置合わせピンとの接触により、半導体ウェハが破損してしまうおそれがある。半導体ウェハが破損してしまうと、半導体製造装置の復旧に時間を要してしまう。本実施の形態にかかる共焦点顕微鏡を用いることで、短時間でノッチを撮像することができるため、ノッチのクラックを予め検出することができる。ノッチにクラックが発生した半導体ウェハを、不良品として、排除することが可能となる。これにより、半導体装置の生産性を向上することができる。
【0066】
概形データを取得する方法は、低倍率の対物レンズ17aを用いた方法に限られるものではない。例えば,基板30を透過撮像光学系で撮像した透過像により、概形を測定してもよい。具体的には、A軸周りに光学ヘッド10を駆動して、光学ヘッド10を基板30の真上に移動させる。基板30の下方に配置した照明光源11によって、エッジ部31を照明する。基板30の上方に移動した光学ヘッド内のCCDカメラによって、基板30のエッジ部31の透過像を撮像する。これにより、基板30のエッジ部31の透過像を撮像することができる。そして、処理装置50は、透過像に基づいて、概形データを取得する。あるいは、設計データから概形データを取得してもよい。例えば、
図7に示すようなノッチの形状を示す設計データがある場合、設計データを概形データとして取得すればよい。
【0067】
なお、上記の説明では、基板30に対する対物レンズ17の相対位置を変えるために、ステージ20を駆動していたが、光学ヘッド10を移動してもよい。つまり、光学ヘッド10を移動させることで、基板30に対する対物レンズ17の相対位置を変えてもよい。さらには、光学ヘッド10とステージ20の両方を駆動することで、基板30に対する対物レンズ17の相対位置を変えてもよい。つまり、光学ヘッド10とステージ20の少なくとも一方を移動させることで、試料と前記対物レンズとの相対的な位置を変化させることが可能となる。光学ヘッド10とステージ20の少なくとも一方を移動させることで、照明位置を概形に沿って走査することが可能となる。
【0068】
上記した処理装置50の処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【解決手段】試料の概形を示す概形データを取得するデータ取得部と、試料を照明する照明光を発生する照明光源11と、照明光を試料に集光する対物レンズ17と、対物レンズ17の視野において、試料の照明位置を走査するスキャナ14と、試料に対する対物レンズ17の相対的な位置を変化させることで、照明位置を試料の概形に沿って走査するステージと、試料で反射して対物レンズを通過した反射光を、コンフォーカル光学系を介して検出する光検出器18と、を備えている。