特許第6590438号(P6590438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590438
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】生理学的センサを有する心肺蘇生装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/026 20060101AFI20191007BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20191007BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20191007BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   A61B5/026 140
   A61B5/00 101A
   A61B5/0245 Z
   A61H31/00
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-561556(P2014-561556)
(86)(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公表番号】特表2015-516185(P2015-516185A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】IB2013051799
(87)【国際公開番号】WO2013136231
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月1日
【審判番号】不服2018-16857(P2018-16857/J1)
【審判請求日】2018年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/610,013
(32)【優先日】2012年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウールレー ピエール ヘルマヌス
(72)【発明者】
【氏名】アーレン パウル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリック ハリス
(72)【発明者】
【氏名】キレンコ イーホル オレーホヴィチ
【合議体】
【審判長】 三崎 仁
【審判官】 ▲高▼見 重雄
【審判官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−136853(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0213619(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/140073(WO,A1)
【文献】 特表2003−532478(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/042858(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/004499(WO,A1)
【文献】 特開2005−46606(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/100594(WO,A2)
【文献】 MING−ZHER POH,et al.,Non−contact, automated cardiac pulse measurements using video imaging and blind source separation,OPTICS EXPRESS,2010年 5月 7日,Vol. 18, No. 10,Pages 10762−10774
【文献】 烏谷あゆ 他2名,携帯カメラを使った脈拍検出方式,情報処理学会研究報告,2011(平成23)年度,一般社団法人情報処理学会
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/026
A61B 5/0245
A61B 5/00
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生(CPR)装置とともに使用する生理学的センサにおいて、前記センサが、
患者の血流に関する生理学的信号を検出するため、前記患者を撮像する少なくとも1つのカメラ素子と、
前記患者の体のエリアを照射する少なくとも1つの照射素子と、
前記少なくとも1つのカメラ素子及び前記少なくとも1つの照射素子を受けるハウジングと、
前記CPRに対して最適化された動作パラメータを決定するコントローラに前記生理学的信号の測定値を供給する出力素子と、
有し、
前記ハウジングが、前記少なくとも1つのカメラ素子を外光から遮蔽する遮蔽素子と、前記患者の体のいずれかにおける前記センサの固定に対する固定素子を有する、
生理学的センサ。
【請求項2】
前記固定素子が、患者の体に配置される吸着カップ型素子である、請求項1に記載の生理学的センサ。
【請求項3】
前記固定素子が、患者の体に配置されるゴーグル型素子である、請求項1に記載の生理学的センサ。
【請求項4】
前記固定素子が、患者の体に配置されるバンド固定型素子である、請求項1に記載の生理学的センサ。
【請求項5】
前記カメラ素子が、前記生理学的信号の検出に対して最適な場所を選択する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の生理学的センサ。
【請求項6】
前記カメラ素子が、前記検出された生理学的信号の振幅に基づいて、前記患者の体のエリアを自動的にセグメント化し、最も強い検出された生理学的信号を持つ領域を選択する、請求項5に記載の生理学的センサ。
【請求項7】
前記カメラ素子が、単色、カラー又は赤外カメラ素子の少なくとも1つである、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の生理学的センサ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカメラ素子が、プレチスモグラフィ信号を測定する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の生理学的センサ。
【請求項9】
血流に関する生理学的信号の測定値を供給する、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の生理学的センサと、
前記少なくとも1つのセンサから前記測定を受け取り、前記CPRに対して最適化された動作パラメータを決定するコントローラと、
を有する自動心肺蘇生装置。
【請求項10】
胸部圧迫アクチュエータ、
アクチュエータドライバであって、前記アクチュエータドライバの動作パラメータに依存して前記胸部圧迫アクチュエータに駆動信号を供給するアクチュエータドライバ、
を有する請求項9に記載の自動心肺蘇生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心肺蘇生の分野、より具体的には、心肺蘇生を管理する間に血流を最適化することに関する。本発明は、生理学的センサ及び生理学的センサを有する心肺蘇生装置に取り組む。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生(CPR)は、心停止からの生存のチャンスを増加する周知の技術である。しかしながら、一貫した高品質で手動の心肺蘇生を実行することは、非常に難しい。CPR品質は、生存に対して重要であるので、信頼性の低い長期間の手動胸部圧迫を置き換える機械式の自動装置を持つという強い傾向が存在する。自動CPR(A−CPR)装置は、最近、市場に導入された。
【0003】
特許刊行物US6171267、US20040230140A1、US6066106Aに記載されるシステムのような、現在のA−CPRシステムは、患者に標準的な圧迫を加える。患者に対して胸部圧迫を調整することが有益であることは、明らかである。例えば、呼気終末CO2は、肺循環に対してCPRを最適化するのに使用されることができる。
【0004】
CPR中に脳血流を最適化することは、おそらく心停止治療の結果に大きな影響を与える。更に、脳血流関連フィードバックは、特定の犠牲者に対してCPR処置を最適化する機会を提供する。これは、いわゆる個人用CPRに対して非常の価値のあるオプションであり、重要段階である。米国特許番号7190999は、犠牲者に対して手動CPRを実行する際に救助者を支援する装置を記載している。前記装置は、血液酸素化を測定するSpO2センサを有する。指示装置は、前記救助者が手動CPRを向上させるために実行すべきである1以上のアクションを聴覚的に伝える。
【0005】
心停止中に、非重要臓器(non-vital organs)に対する血流は、血管収縮により強力に減少される。脳に対する血流は、抑制されず、したがって、脳血流に関与する動脈に接続された動脈における血流又は血液量の測定が、望ましい。このような動脈内の血流は、原理的に、超音波、生体インピーダンス又はフォトプレチスモグラフィ(PPG)技術で監視されることができる。このような技術は、高価であるか、又は胸部圧迫による動きアーチファクトを非常に受けやすいかのいずれかである。所望の信号からこれらのアーチファクトを取り除くことも、極度に難しい。このような技術の他の欠点は、高い血流の場所が患者によって異なることである。
【0006】
遠隔フォトプレチスモグラフィ(PPG)は、カメラを使用して皮膚の色変化を測定する方法であり、Wim Verkruysse, Lars O. Svaasand, and J. Stuart Nelson, "Remote plethysmographic imaging using ambient light", Optics Express, Vol. 16, No. 26, December 2008に記載されている。前記方法は、皮膚における血液量の時間変化が、皮膚による光吸収の変化をもたらすという原理に基づく。このような変化は、皮膚エリア、例えば顔の画像を撮るビデオカメラにより記録され、その間に、処理は、手動で又は自動的に選択された領域(典型的にはこのシステムの額の部分)にわたる画素平均信号を計算する。この平均信号の周期的な変化を見ることにより、心拍数及び呼吸速度のような生理学的パラメータが、抽出されることができる。
【0007】
フォトプレチスモグラフィは、皮膚反射率変化を使用して特定の周期的な生理現象を特徴づける方法である。人間の皮膚は、少なくとも2つの層を持つオブジェクトとしてモデル化されることができ、前記層の1つは、表皮(薄い表面層)であり、他方は、真皮(表皮の下の厚い層)である。入射光線の約5%は、表皮において反射され、これは、全ての波長及び皮膚の色に対するものである。残りの光は、(二色性反射モデルに記載される)身体反射として知られる現象において2つの皮膚層内で散乱及び吸収される。
【0008】
表皮は、主に光を吸収する光学フィルタのように機能する。光は、波長及び表皮内のメラニン密度に依存して透過する。真皮において、光は、散乱及び吸収される。前記吸収は、血液組成、すなわち血液の含有量と、ヘモグロビン、ビリルビン及びベータカロテンのような含有物に依存し、前記吸収は、血流変化に対して敏感である。真皮の光学特性は、一般に、全ての人類に対して同じである。真皮は、血管の密な網、大人の全ての血管網の約10%を含む。これらの血管は、体内の血流によって収縮する。これらは、結果的に、真皮の構造を変化させ、これは、皮膚層の反射率に影響を与える。結果的に、心拍数は、皮膚反射率変化から決定されることができる。
【0009】
しかしながら、脳に対する血流を監視する非侵襲的技術は、欠けているか、又は深刻な動きアーチファクトを受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
患者の生理学的特性及び現在の健康状態を考慮に入れる心肺蘇生装置を達成することが、望ましい。また、自動心肺蘇生装置が、大きく自動化された形で効率的だが安全な動作モードを見つけることを可能にすることも、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの関心の1つ以上によりよく対処するために、本発明の第1の態様において、心肺蘇生(CPR)装置とともに使用する生理学的センサが、提供され、前記センサは、生理学的信号を測定する少なくとも1つのカメラ素子と、患者の体のエリアを照射する少なくとも1つの照射素子と、前記少なくとも1つのカメラ素子及び前記少なくとも1つの照射素子を受けるハウジングであって、自動CPR装置又は前記患者の体のいずれかにおける前記センサの固定に対する固定素子を有する前記ハウジングとを有する。
【0012】
前記センサの固定に対する固定素子を設けることにより、小さな携帯用センサが、自動CPR装置に直接的に取り付けられるか又は前記患者の体の関心領域に可能な限り近くに配置されるかのいずれかであるように使用されることができる。前記生理学的信号は、血流であってもよく、PPG信号が、測定されてもよい。
【0013】
1より多いカメラ素子が、信号対雑音比を向上させるために使用されることができる。1より多いカメラ素子の使用は、血流変化に関連するコモンモード信号を決定することを可能にする。
【0014】
患者の体に配置される吸着カップ型素子の形の固定素子を設けることにより、前記生理学的センサは、監視される必要のある動脈の十分に近いが、完全な関心エリアを監視するのに十分に遠くに配置されることができる。吸着カップ素子は、更に、固定後に移動しない前記センサの堅い固定を可能にする。
【0015】
本開示の他の態様において、前記固定素子は、患者の体に配置されるゴーグル型素子を有してもよい。堅い固定から離れて、スキーゴーグルに似ている前記ゴーグル型又は眼鏡型素子は、前記カメラ素子のアライメントに対して使用される前記患者の鼻の使用を可能にする。
【0016】
本開示の更に他の態様において、前記固定素子は、患者の体に配置されるバンド固定型素子を有してもよい。
【0017】
他の態様において、信号対雑音比を向上させるために外光から遮蔽する遮蔽素子が、設けられてもよい。
【0018】
前記カメラ素子は、配置後に自己位置調整されてもよい。前記カメラ素子は、関連するPPG信号が位置する場所を自動的に探索してもよい。
【0019】
前記カメラ素子は、単色、カラー又は赤外カメラ素子の少なくとも1つの1つである。カラー信号は、動きアーチファクト信号を減少するのを助けうる。
【0020】
前記カメラ素子は、前記生理学的信号の検出に対して最適な場所を選択するように構成されうる。特に、前記カメラ素子は、前記検出された生理学的信号の振幅に基づいて、前記患者の体のエリアを自動的にセグメント化するように構成されてもよく、最も強い検出された生理学的信号を持つ領域を選択するように構成される。これは、最適な信号を使用することにより又は信号対雑音比を最適化することによりのいずれかで前記測定の品質を最適化するのを助ける。
【0021】
好ましくは、前記CPRに対して最適化された動作パラメータを決定するコントローラに前記生理学的信号の測定値を供給する出力素子が提供される。
【0022】
本発明は、生理学的信号を測定する少なくとも1つのカメラ素子を有する少なくとも1つのセンサと、患者の体のエリアを照射する少なくとも1つの照射素子と、前記少なくとも1つのカメラ素子及び前記少なくとも1つの照射素子を受けるハウジングであって、自動CPR装置又は前記患者の体のいずれかにおける、血流に関連した生理学的信号の測定値を供給する前記センサの固定に対する固定素子を有する前記ハウジングと、前記少なくとも1つのセンサから前記測定値を受け取り、前記CPRに対する最適化された動作パラメータを決定するコントローラとを有する自動心肺蘇生装置をも提案する。
【0023】
上記のタイプの生理学的センサを自動CPR装置に設けることにより、前記PPG信号の監視、したがって血流に対する代理マーカとしての血液量の監視は、蘇生中に達成されることができる。有利には、測定された信号が圧迫を最適化するのにフィードバック信号として使用されることができる制御ループが、形成されることができる。圧迫パラメータは、圧迫深度、圧迫/減圧頻度及びデューティサイクルでありうる。前記PPG信号の振幅は、最大化されうる。前記自動CPR装置は、したがって、どのように前記圧迫パラメータが変更されるべきかを決定するように構成されうる。
【0024】
本開示の一態様において、前記圧迫に関する動作パラメータの修正を救助者に示す指示素子が提供される。前記指示素子は、指示装置又はディスプレイでありうる。
【0025】
前記開示の他の態様において、前記自動CPRは、胸部圧迫アクチュエータ及びアクチュエータドライバを有し、前記アクチュエータドライバは、前記アクチュエータドライバの動作パラメータに依存して前記胸部圧迫アクチュエータに駆動信号を供給し、前記動作パラメータは、前記コントローラから受け取られる。前記アクチュエータドライバは、前記コントローラから前記信号を受け取る。
【0026】
この結果、本発明は、自動心肺蘇生装置又は心肺蘇生装置を実行する救助者のいずれかにフィードバックを提供するように、PPG信号を測定するカメラ素子の使用を提案する。前記フィードバックは、血流、したがってほとんどの心肺蘇生のまさしくゴールに関連する生理学的パラメータに基づく。
【0027】
本発明のこれら及び他の態様は、例としてのみ与えられる以下に記載された実施例を参照して説明され、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の態様によるセンサ装置の概略的なブロック図を示す。
図2】本発明の一態様の自動CPR装置を持つセンサ装置を示す。
図3】本発明の他の態様のPGPカメラを示す。
図4】本発明の一態様の自動心肺蘇生装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1の態様による自動心肺蘇生装置に対するセンサ装置の概略的なブロック図を示す。
【0030】
センサ装置1は、自動CPR装置2とともに使用されることができる。センサ装置1は、PPG信号S10を検出するカメラ素子10を有する。カメラ素子10は、体の選択されたエリアにおける体表面における又は近くの温度又は皮膚の色の変化を決定するのに使用されうる。監視されるべき1つの好適なエリアは、顔であり、脳に対する血流を表す関連するPGP信号S10が、感知されうる。特に、脳血流に関与する動脈に接続された動脈における血流又は血液量の測定は、望ましい。これらの動脈の一部は、顔エリア内に位置する。内頚動脈に接続された関連する動脈は、滑車上動脈、眼窩上動脈、鼻背動脈、鼻孔及び場合により耳の周りの動脈である。
【0031】
カメラ素子10は、例えば、単色カメラ素子、カラーカメラ素子又は赤外(IR)カメラ素子として、異なる波長条件で動作しうる。
【0032】
カメラ素子10は、正規化ユニット20に接続され、正規化ユニット20は、基準信号に対して前記検出されたPGP信号を正規化し、コントローラ30に送信されるフィードバック信号として利用できるセンサ信号S20をもたらす。
【0033】
前記フィードバック信号は、前記CPRの品質を確認するのに使用されてもよく、そのゴールは、前記患者又は少なくとも前記患者の重要臓器の血流を向上させることである。血流の度合い及び品質は、前記心肺蘇生が実行される方法に依存する。圧迫深度、圧迫率、波形、デューティサイクル、及び圧迫速度等のような前記心肺蘇生のパラメータは、血流に対する影響を持ちうる。前記フィードバック信号は、血流を最適化するのに使用されてもよく、前記血流は、圧迫深度、頻度及びデューティサイクルのような圧迫パラメータを変更することにより最適化されることができる。
【0034】
前記圧迫パラメータは、いずれのパラメータを変更すべきかのアドバイスを与える前記コントローラにより支援される救助者により変更されうる。自動的な方法において、前記コントローラは、自動CPR装置2に制御信号を送信する。
【0035】
自動CPR装置2は、患者の胸部に対して圧迫/減圧サイクルを実行するように構成された胸部圧迫アクチュエータを有しうる。
【0036】
当業者は、したがって、前記胸部圧迫アクチュエータ又は前記圧迫を実行する前記救助者のいずれか、前記患者の胸部、コントローラ30を持つセンサ装置1が、前記CPR品質の良好な追跡を補償するループ制御システムを形成すると理解している。
【0037】
本発明の一態様において、前記救助者は、必要であれば前記信号を評価し、CPRパラメータを選択することができる。
【0038】
本発明の他の態様において、前記胸部圧迫アクチュエータ又は前記圧迫を実行する救助者、前記患者の胸部、コントローラ30を持つセンサ装置1は、閉ループ制御システムを形成し、これにより前記閉ループ制御システムは、所望のPGP信号レベルと前記フィードバック信号との間の比較に基づいて、前記圧迫に対して前記制御信号を修正するように構成されてもよい。
【0039】
動き及び照射変化に対するロバスト性を提供するために、センサ装置1は、可視光(例えば、赤、緑、青)又は不可視赤外光に対応しうる少なくとも2つの色のチャネルの結合された分析を適用してもよい。
【0040】
センサ装置1は、前記検出された周期的な信号の拍動性を推定することにより検出された心拍信号の強度を分析するのに使用されることができる。前記測定された信号の拍動性の空間分布が等しくないので、カメラ素子10は、前記検出された心拍信号の大きな拍動性及び小さな拍動性を持つ空間的な皮膚エリアをセグメント化することができる。当業者は、高い拍動性を持つ空間セグメントが、より高いSNRを持ち、動き又は照射変化に対してよりロバストな心拍信号を提供すると理解している。
【0041】
したがって、カメラ素子10は、従来のPGP技術より大幅に大きなエリアに対して測定することができる。これは、小さなシフトを減少させる。
【0042】
センサ装置1は、前記抽出された周期的な信号の振幅に基づいて皮膚エリアを自動的にセグメント化し、好ましくは測定の開始時に、最も強い拍動性を持つ関心エリアを選択するように構成される。
【0043】
したがって、センサ装置1は、最大のPPG信号又は最大の信号対雑音比に対して顔の最適な場所を選択することができることに関してスマートである。
【0044】
本発明の他の態様において、センサ装置1は、信号拍動性の空間分布の分析を、皮膚エリアの他の可視の静的フィーチャ、例えば皮膚の質感及び均質性、正反射率の量等の分析と組み合わせることができる。
【0045】
図2は、自動CPR装置11とともに前記センサ装置1を示す。
【0046】
図2に示されるように、センサ装置1は、前記患者の胸部上に配置されることができるCPR装置11上に取り付けられる。カメラ素子20は、CPR装置11の上板に枢動可能に取り付けられる。カメラ素子20は、前記CPR装置が動作状況で配置される場合に、前記患者の顔に向けられたビューエリアを持つように配置されうる。
【0047】
カメラ素子20は、関連するPPG信号が存在する場所を自動的に探索するように、自動検出手段を有してもよい。関連する場所は、目、耳又は鼻のような顔エリア内に位置する動脈のような、脳に対する血流が抑制されない場所に関する。
【0048】
検出され、前記正規化ユニットにより一度正規化されたPPG信号は、コントローラ30にフィードされる。コントローラ30は、必要とされる場合に、前記圧迫パラメータを修正するために、自動CPR装置11に制御信号を送信するように構成される。
【0049】
図2のセンサ装置に関する1つの問題は、前記患者の体及び好適な測定場所に対する前記カメラ素子の相対的な配置に関する。前記カメラ素子のビューは、換気又はCPRを実行し、前記カメラ素子と体測定場所との間に介在する救助者のような、環境条件、又は信号対雑音比を大幅に減少させることができる照射条件により妨げられることができる。
【0050】
図3は、前記患者の体の近くに配置されるように構成されるカメラ素子を持つセンサを開示している。
【0051】
センサ420は、前記患者の体における直接的な堅い固定に対する固定素子470を有する。図3の固定素子470は、スキー又はスポーツ用眼鏡と同様なゴーグル素子を有し、前記体に眼鏡として使用される。ゴーグル型固定素子470は、関連するPGP信号が測定されることができる目及び鼻の周りの関心場所における、移動なしの、堅い固定を提供する。
【0052】
有利には、センサ420の少なくとも1つのカメラ素子430は、監視される必要のある動脈の十分に近くであるが完全な関心エリアをモニタするのに十分遠くに、前記固定素子において配置されることができる。カメラ素子430は、配置後に自己位置調整されることができる。
【0053】
固定素子470は、前記関心エリアと整列する少なくとも1つのカメラ開口480を含む接触部を備える。
【0054】
1つのカメラ素子430を使用することが意図されるが、第2のカメラ素子430'が、使用されてもよい。2つのカメラの解決法は、機械的安定性及び動きアーチファクトの良好な抑制及びコモンモードPPG信号の良好な決定の利点を持つ。
【0055】
前記関心エリアは、最適な光強度及び色においてランプ490で照射されることができる。オプションとして、前記照射は、ストロボ型の照明と一緒又はなしであることができる。
【0056】
図4は、前記患者の体の近くに配置されるように構成されるカメラ素子を持つセンサ装置520を開示する。
【0057】
カメラ素子520は、直接的に前記患者の体に対する堅い固定に対する固定素子570を有する。固定素子570は、前記患者の額に固定されるように構成される。固定素子570は、異なる形態及びサイズの患者に有利に適合しうる吸着カップを有する。吸着カップは、更に、ネルコアPG及びsPO2センサ信号のような関連するPGP信号が測定されることができる関心場所において、移動なしで、安定している。
【0058】
前記吸着カップは、更に外光に対する遮蔽を提供する。カメラ素子530は、光源550と一緒に、前記吸着カップ内にフィットするように構成される。
【0059】
要約すると、本出願は、より大きなエリアをカバーするように構成された少なくとも1つのカメラ素子を有し、これにより従来のPPGより動きに対して感度の低い生理学的センサの使用を開示している。前記センサは、例えば前記患者の顔(又は体の他の関連する場所)における"PPGホットスポット"を自動的に検出し、追跡することができる。
【0060】
確立されたビデオ処理及び信号処理技術(画像場所が追跡されることができ、動きが決定され、他の色が、基準信号として使用されることができる、流れとアーチファクト信号との間の位相差)を使用することにより、動きアーチファクトは、所望の生理学的信号から分離されることができ、前記所望の信号は、(例えば測定されたエリアにわたり平均することにより)強化されることができる。最終的に、(VGA、スマートフォン、ウェブカメラのような)比較的低コストのカメラ装置が、使用されることができる。
図1
図2
図3
図4