(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1の説明]
実施形態1について図面を用いて説明する。なお、実施形態1は時計に適用した場合を元にしているが、発明に関係のない構成、例えば、地板や受類、指針などの時計の構造部
品については、説明や図示を省略している。
【0012】
図1(a)はモータ部全体図であり、
図1(b)は
図1(a)のロータ101周辺を拡大し、ロータ101の回転角度を示した図であり、wはロータ101のN極が存在する角度である回転角度を示している。
【0013】
図1(a)において、100は2コイル式ステップモータであり、101はN極、S極の2極に着磁されたロータであり、102はロータ101を収納するロータ孔1020を有するステータであり、103a、103bは駆動信号を磁束に変換し、ステータ102を介してロータ101に磁束を印加するコイルである。
ステータ102はロータ孔1020周辺に3つの可飽和狭部1022a、1022b、1022cが設けられ、3つの磁極1021a、1021b、1021cが形成されている。可飽和狭部1021a、1021b、1022cは磁路の一部に狭窄部が設けられている。このため、ステータ102の中で最も磁束飽和しやすいため、コイル103a、103bからの発生磁束によって磁束が飽和して初めて磁気的に切断される。
【0014】
Φ3aはコイル103aを通過する磁束を示し、磁束Φ3aの矢印方向である磁極1021a側がS極のときを正磁極とし、Φ3bはコイル103bを通過する磁束を示し、磁束Φ3bの矢印方向である磁極1021b側がS極のときを正磁極とし、Φ3cはコイル103a、103bの中間に位置するステータ1024を通過する磁束を示し、図磁束Φ3cの矢印方向の逆方向である磁極1021c側がN極のときを正磁極とする。
【0015】
また、磁束Φ3d、磁束Φ3eはロータ孔1020周辺で閉じる磁束である。ロータ孔1020の3つの可飽和狭部1022a、1022b、1022cは、駆動パルスによりコイル103a、103bに発生する磁気に対しては磁気的に飽和するものの、駆動後のロータ101の自由振動による磁気では飽和せず、結果として、ロータ孔1020周辺で閉じる磁束Φ3d、磁束Φ3eを生じさせる。これにより、Φ3a、Φ3bは弱くなってしまう。
【0016】
ステータ102はロータ孔1020周辺にノッチ1023a、1023bが形成されており、ロータ101の回転角度wが45[deg]程度の位置が非動作時の安定位置(以降、静的安定位置と称す)となる。
【0017】
ロータ101は1ステップで180[deg]回転するため、ロータ101の初期状態は
図1aに示す状態とロータ101の極性が
図1aとは逆(N極がS極、S極がN極)になる2つの状態となる。
【0018】
また、実施形態1においてロータ101がD1方向に回転する方向を正転とし、D2方向に回転するときを逆転とし、回転角度w=0degに対して使用頻度の多い回転方向(実施形態1においてはD1方向の0〜90[deg]以内)に静的安定位置を設定したほうが望ましい。
【0019】
コイル103aはコイル端子OUT1、OUT2を有し、コイル端子OUT2を接地電位であるVDD電位、コイル端子OUT1をVDD電位よりも低い電位であるVSS電位として電流を流すことで磁極1021aにはN極、磁極1021cにはS極が発生し、ロータ101に磁束を作用させる。
【0020】
また、コイル103bはコイル端子OUT3、OUT4を有し、コイル端子OUT4をVDD電位、コイル端子OUT3をVSS電位として電流を流すことで磁極1021bにはN極が、磁極1021cにはS極が発生し、ロータ101に磁束を作用させる。両コイ
ルとも、逆方向に電流を流せば、磁極に現れる磁極は反転する。
【0021】
図2(a)は実施形態1におけるロータ位置に対する磁束量変化を示した図である。
図2aに示すように、磁束Φ3aはロータ101が回転角度w=225degのときに最も磁束量が大きい最大磁束となり、回転角度w=45degのときに最も磁束量が小さい最小磁束となり、磁束Φ3bはロータ101が回転角度w=135degのときに最大磁束となり、回転角度w=315degのときに最小磁束となり、磁束Φ3cはロータ101が回転角度w=180degのときに最大磁束となり、回転角度w=0degのときに最小磁束となる。
【0022】
図2(b)は実施形態1におけるロータ位置に対する逆起電流変化を示した図であり、ロータが一定速度で回転していると想定し、
図2(a)の各磁束量変化を微分し、ロータ位置に対する逆起電流変化を算出している。
【0023】
図2(b)に示すように、逆起電流I3aはコイル103aに発生する逆起電流であり、ロータ101が回転角度w=315degのときに最も逆起電流が大きい最大逆起電流となり、回転角度w=135degのときに最も逆起電流が小さい最小逆起電流となり、逆起電流I3bはコイル103bに発生する逆起電流であり、ロータ101が回転角度w=225degのときに最大逆電流となり、回転角度w=45degのときに最小逆起電流となり、逆起電流I3cは磁束Φ3cを微分して算出した仮想上の逆起電流であり、ロータ101が回転角度w=270degのときに最大逆起電流となり、回転角度w=90degのときに最小逆起電流となる。
【0024】
磁束Φ3cはコイル端子OUT1とコイル端子OUT3、コイル端子OUT2とコイル端子OUT4を接続し、コイル103a、103bを並列接続したときの逆起電流であり、磁束Φ3a、Φ3bを合算した逆起電流である。
よって、逆起電流I3cの最大逆起電流は逆起電流I3a、I3bの最大逆起電流よりも大きく、逆起電流I3cの最小逆起電流は逆起電流I3a、I3bの最小逆起電流よりも小さい。
【0025】
上記のように、コイル103aに流れる磁束Φ3aとコイル103bに流れる磁束Φ3bは、最大磁束、最小磁束となる回転角度wが異なるため、ロータ101が駆動信号によって回転したときに発生する逆起電流の出力タイミングも異なる。なお、ロータの回転方向が切り替わった場合には、逆起電流の極性が入れ替わり、ロータの回転方向が切り替わった瞬間、及びロータが停止して速度がゼロとなった場合には、ロータの回転角度wによらず、逆起電流はゼロとなる。
【0026】
次に、コイル103a、103bに駆動信号が印加され、ロータ101が回転した時、コイル103a、103bに発生する逆起電流の変化について説明を行なう。
なお、本説明では
図1aに示すロータ101の状態から駆動信号をコイル103a、103bに印加(OUT1、OUT3をVSS電位、OUT2、OUT4をVDD電位)し、D1方向にロータ101が回転する動作について説明を行なう。
【0027】
図2(c)は実施形態1における回転時の逆起電流変化を示した図であり、
図2(d)は実施形態1における非回転時の逆起電流変化を示した図である。
220はコイル103a、103bに印加される駆動信号であり、221は駆動信号220によってコイル103a、103bに発生する電流、223はロータ101の回転角度wを示す。
【0028】
本発明のステップモータはロータ101の回転検出はロータ101が180deg回転する前後の逆起電流を観測して回転、非回転の判断を行なう。
このため、ロータ101が回転角度w=45degから180deg回転した回転角度w=225degを示す破線Aの前後における電流波形を確認する。
【0029】
図2(c)のロータ101の回転が正常に行なわれた場合、
図2(c)の回転角度w223に示すようにロータ101は駆動信号によって回転角度w=45degから領域BまでD1方向に回転し、駆動信号の慣性力が無くなった経過時間11mS付近から静的安定位置である回転角度w=225degへゆっくりとD2方向へ回転し、回転角度w=225degで停止する。
【0030】
図2(b)の回転角度wが225deg付近の逆起電流I3a、I3b、I3cの出力方向は正方向となっているが、
図2(c)の領域Bにおいてロータ101はゆっくりとD2方向に回転しているため、起電流I3a、I3bはわずかに負方向に発生し、I3cは、より大きな振幅で負方向に発生する。
【0031】
また、
図2(d)のロータ101の回転が正常に行なわれない場合、
図2(d)の回転角度w223に示すようにロータ101は駆動信号によって回転角度w=45degから回転角度w=130degまでD1方向に回転するが、機械的負荷が大きいため、駆動信号の慣性力は経過時間4mS付近で無くなり、静的安定位置である回転角度w=45degへゆっくりとD2方向へ回転し、回転角度w=45degで停止する。
【0032】
図2(b)の回転角度wが45から135deg付近の逆起電流I3a、I3b、I3cの出力方向は負方向となっているが、
図2dの領域Bにおいてロータ101はゆっくりとD2方向に回転しているため、逆起電流I3a、I3b、I3cは正方向に発生する。よって、回転非回転の判断は
図2(c)、
図2(d)の領域Bの逆起電流の極性の違いによって判断は可能であるが、
図2(c)における領域Bの逆起電流I3a、I3bでは振幅が小さいため、ノイズなどの影響によって誤検出する可能性がある。
【0033】
このため、本発明である実施形態1ではコイル103a、103bを並列接続し、逆起電流I3a、I3bを合算した振幅の大きい逆起電流I3cを用いてロータ101の回転検出を行い、安定したロータ101の回転検出方法を実現する。
【0034】
[実施形態1の全体構成の説明:
図3]
次に、実施形態1の2コイル式ステップモータの駆動制御について説明を行う。
図3は、実施形態1における2コイル式ステップモータの駆動制御機構のブロック図である。1は電子時計であり、100は2コイル式ステップモータ(以下、モータ部)であり、200はモータ部100を駆動するための駆動信号を発生、モータ部100の動作状態を検出する回路部、300は回路部200を制御する制御部とから構成されている。
制御部300は、モータを駆動する駆動信号を発生させるパルス発生回路301と、
モータの回転検出信号を発生させる回転検出信号発生回路302と、
パルス発生回路301、回転検出信号発生回路302からパルスを選択するパルス選択回路303と、制御部300全体を制御する制御回路304からなる。
回路部200は、パルス選択回路303から供給される信号によってモータ部100に駆動信号を出力するドライバ回路201と、
モータ部100から発生し、モータ部100の回転状況が把握できる逆起電流を検出する回転検出回路202とからなり、
回転検出回路202は第1区間での逆起電流を検出する第1検出信号発生回路2021と、第1検出区間に続く第2区間での逆起電流を検出する第2検出信号発生回路2022と
、から構成されている。
【0035】
モータ部100は、ロータ101とドライバ回路201から出力される駆動信号によってロータ101に印加する磁束を発生させ、ロータ101に発生した磁束の変化を逆起電流に変換する2つのコイル103a、103bよりなる。
【0036】
次に、回路部200の構成について
図4の回路図を用いて説明する。
回路部200は、ドライバ回路201と回転検出回路202を有し、ドライバ回路201は、コイル103aに駆動信号としてVDD電位を供給するためのスイッチP1、P2とVSS電位を供給するためのスイッチN1、N2とからなり、コイル103aとコイル103bは並列に接続されている。
【0037】
回転検出回路202は、第1検出判定回路2021と第2検出判定回路2022とからなり、第1検出判定回路2021は高抵抗R1、スイッチSP1とから構成され、第2検出判定回路2022は、高抵抗R2、スイッチSP2とより構成される。
【0038】
次に、実施形態1の駆動周期について
図5のパルス構成図を用いて説明する。
駆動周期は、ロータ101を駆動する通常運針パルス期間401と、ロータ101の回転状態を検出する回転検出区間402と、ロータ101が非回転と検出された場合に通常運針パルス期間401より強い駆動信号である補正パルスを出力する補正パルス期間403と、ロータ101に駆動信号の供給や回転検出を行わない休止期間404で構成されている。回転検出区間402は、第1区間4021と第2区間4022の2つの区間から構成されている。また、回転検出区間402でロータ101が回転したと判断された場合、補正パルス期間403では補正パルスを出力せず、休止期間404の状態を保つように制御される。
【0039】
なお、第1区間4021は
図2(c)、
図2(d)の領域C、第2区間4022は
図2(c)、
図2(d)の領域Bと一致するように、駆動信号印加後からの経過時間から第1区間4021、第2区間4022のタイミングを設定している。
【0040】
次に、実施形態1において、各コイルへの駆動信号の切り替えや回転検出に関する
図4記載のスイッチ状態について、
図6を用いて説明する。
図4に記載のスイッチ状態は正転駆動時の休止期間404に発生する
図6(a)の正転休止状態、正転駆動時の通常運針パルス期間401、補正パルス期間403に発生する
図6(b)の正転駆動状態1、
図6(c)の正転駆動状態2、正転駆動時の回転検出期間402に発生する
図6(d)の回転検出状態1、
図6(e)の回転検出状態2の5状態が存在する。
【0041】
次に、
図6を用いて、正転駆動時におけるスイッチSP1、SP2、P1、P2、N1、N2の動作状態について説明を行う。
【0042】
図6(a)の正転休止状態は、コイル103a、103bに磁束を発生させないため、OUT1、OUT2、OUT3、OUT4の電位を同一とするため、
図6(a)に示すようにスイッチP1、P2をON、スイッチN1、N2はOFFとし、コイル端子OUT1、OUT2、OUT3、OUT4の電位をVDD電位とする。
また、スイッチSP1、SP2は回転検出期間ではないのでOFFとなる。
【0043】
図1のようにロータ101のN極が磁極1021aにある時に正転駆動する場合、磁極1021a、1021bの極性をN極、磁極1021cをS極にすることで、ロータ101を反時計方向(以下D1方向と称す)に回転させる。
このため、コイル端子OUT1、OUT3の電位をVSS電位、コイル端子OUT2、OUT4の電位をVDD電位とするため、
図6(b)に示すようにスイッチN1、P2をON、スイッチN2、P1はOFFとする。
【0044】
また、スイッチSP1、SP2は回転検出期間ではないのでOFFとなる。
また、ロータ101のS極が磁極1021aにある時に正転駆動する場合、磁極1021a、1021bの極性をS極、磁極1021cをN極にすることでロータ101をD1方向に回転させる。
【0045】
このため、コイル端子OUT1、OUT3の電位をVDD電位、コイル端子OUT2、OUT4の電位をVSS電位とするため、
図6(c)に示すようにスイッチN1、P2をOFF、スイッチN2、P1はONとする。
また、スイッチSP1、SP2は回転検出期間ではないのでOFFとなる。
【0046】
次に、ロータ101の回転を検出する場合について説明を行う。
駆動信号の出力が完了しても、ロータ101は慣性力によって動き続けるため、コイル103a、103bに逆起電流が発生する。
ロータ101から発生する逆起電流はロータ101の回転方向、磁極の向きによって電気的極性が変化するため、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、
図6(a)の正転休止状態と
図6(d)の正転回転検出状態1、又は
図6(a)の正転休止状態と
図6(e)の正転回転検出状態2の状態を間欠的に繰り返し、コイル103a、103bに発生する逆起電流の検出を行なう。
【0047】
回路部200の出力SO1又はSO2に発生する逆起電流は、高抵抗R1、R2によって電圧(以降、逆起電圧)に変換され、制御部300は、この逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数する。
【0048】
実施形態1では、第1区間に4021おいて逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を3回計数し、第2区間4022おいて逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を5回計数し、第1区間に4021おいて逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数が2回以上、第2区間に4022おいて逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数が1回以上計数されたた場合を「ロータ101が正常に回転した」と判断し、前述以外の場合は「ロータ101が正常に回転していない」と判断することとする。なお、ここで設定した閾値電圧V1を超える回数の設定については、1例であり、ステップモータの特性に応じて適切に決める。
【0049】
図6(d)の回転検出状態1は逆起電流の出力が高抵抗R1からみて、OUT1、OUT3がVDD電位、OUT2、OUT4側がVSS電位と想定される場合に用い、回路部200の出力SO2より逆起電圧の比較を行なうため、
図6(d)に示すようにスイッチP1、SP1をON、スイッチN1、N2、P2、SP2はOFFとして抵抗R1に発生する電圧と閾値電圧V1を比較することによってロータ101の回転状態を判断する。
【0050】
また、
図6(e)の回転検出状態2は逆起電流の出力が高抵抗R2からみて、逆起電流の出力がOUT1、OUT3がVSS電位、OUT2、OUT4側がVDD電位と想定される場合に用い、回路部200の出力SO1より逆起電圧の比較を行なうため、
図6(e)に示すようにスイッチP2、SP2をON、スイッチN1、N2、P1、SP1はOFFとして抵抗R2に発生する電圧と閾値電圧V1を比較することによってロータ101の回転状態を判断する。
以上のように、実施形態1ではロータ101の回転検出を行なうとき、コイル端子OUT2とコイル端子OUT4、コイル端子OUT1とコイル端子OUT3とがそれぞれ接続さ
れているため、2つのコイル103a、103bは並列に接続されている。
【0051】
このため、
図2(c)に示すロータ101の回転角度が225degを超えた以降の回転検出において、より多くの逆起電流で回転検出の判断を行うことが出来るため、正確な回転検出が可能となる。
【0052】
[実施形態1の動作説明]
次に実施形態1の動作について
図5、
図6、
図7、
図8を用いて説明する。
図7は、ロータ101が駆動するときのステップ動作を説明するためのモータ状態遷移図を示す図であり、
図7(a)は正常に正転駆動したときのモータ状態遷移図を示し、
図7(b)は正常に正転駆動しなかったときのモータ状態遷移図を示す。
【0053】
図8は、回路部200の出力SO1、SO2に駆動信号波形と慣性力によって駆動するロータ101によってコイル103a、103bに発生する逆起電流と逆起電流によって回路部200の出力SO1、SO2に発生する逆起電圧の相関関係を示した検出相関図であり、
図8(a−1)、
図8(a−2)は正転駆動時に回転が成功した場合を示し、
図8(b−1)、
図8(b−2)は正転駆動時に回転が失敗した場合を示している。
【0054】
図8(a−1)、
図8(b−1)中のSO1、SO2は回路部200の出力SO1、SO2に発生する電圧を示し、SO1‘、SO2’はコイル103a、103bの逆起電流によって回路部200の出力SO1、SO2に発生する逆起電圧を示し、
図8(a−2)、
図8(b−2)中のISO2は回路部200の出力SO2に流れる電流変化を示している。
【0055】
休止期間404におけるロータ101の静的安定位置は、ノッチ1023a、1023bによって定められ、ロータ101の静的安定位置は位相角度wが45[deg]と、N極とS極が入れ替わった225[deg]の2つが存在する。
【0056】
なお、本実施形態1の説明では正転動作が正常に行われるときの動作説明は位相角度wが45[deg]、正転動作が正常に行われない動作説明は位相角度wが225[deg]として説明を行なう。
【0057】
実施形態1において正転動作を行なう前のドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態となり、回路部200の出力SO1、SO2はVDD電位となる。
【0058】
また、ロータ101の位相角度wは上述のように45[deg]であり、
図7(a)STEP1の状態となる。
次に上述の休止状態404から正転駆動を行い、ロータ101が正常に回転した場合について説明を行なう。
【0059】
図5に示すように制御部300からの命令により休止期間404から通常運針パルス期間401に移行した場合においてドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(b)の正転状態1となり、回路部200の出力SO1はVSS、SO2はVDD電位となり、回路部200の出力SO1、SO2は
図8(a−1)における通常運針パルス期間401のようになる。
【0060】
正転状態1においてコイル103a、103bは同一方向に磁束を発生させるため、
図7(a)のSTEP2のように磁束が発生し、磁極1021a、1021bにN極が、磁極1021cにS極が発生し、ロータ101はD1方向に回転を行い、
図7(a)のST
EP3の状態になる。
【0061】
所定時間経過後、駆動周期は通常運針パルス期間401から回転検出期間402の第1区間4021に移行する。
【0062】
駆動周期が第1区間4021の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態と
図6(d)の正転回転検出状態1の状態を間欠的に3回繰り返す。
【0063】
ロータ101は慣性力によってD1方向の回転を維持し、ロータ101は
図7(a)STEP3からSTEP4の状態まで回転し、磁極1021a、1021bに加わるロータ101の磁束はS極からN極へ変化するため、
図8(a−2)における駆動周期が第1区間4021のようにコイル103a、103bに逆起電流が発生する。
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は正転回転検出状態1であるため、回路部200の出力SO1はVDD電位となり、出力SO2は抵抗R1を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R1に逆起電流が流れ、
図8(a−1)における駆動周期が第1区間4021のように回路部200の出力SO2に逆起電圧が発生する。
【0064】
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、実施形態1では
図8(a−1)の第1区間4021において、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は3回となる。また、駆動周期は所定時間経過したところで、第1区間4021から第2区間4022に移行する。2回閾値電圧V1を超えた時点ですぐに第2区間4022に移行するような構成としても構わない。
駆動周期が第2区間4022の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、
図6(a)の正転休止状態と
図6(e)の正転回転検出状態2の状態を間欠的5回に繰り返す。
【0065】
ロータ101は、
図7(a)STEP4からSTEP5への移行状態となり、ロータ101の回転方向がD1からD2方向に変化し、磁極1021a、1021bに加わるロータ101の磁束はN極からS極へ変化するため、
図8(a−2)における第2区間4022のようにコイル103a、103bには第1区間402とは逆の逆起電流が発生する。
【0066】
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、正転回転検出状態2であるため、回路部200の出力SO2はVDD電位となり、回路部200の出力SO1は抵抗R2を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R2に逆起電流が流れ、
図8(a−1)における第2区間4022のように回路部200の出力SO1に逆起電圧が発生する。
制御部300は、回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、
図8(a−1)の第2区間4022において回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は2回となる。
【0067】
また、第2区間4022は所定時間経過したところで終了し、ロータ101は
図7(a)STEP5の状態のようにロータ101の静的安定位置は位相角度wが225[deg]で停止する。
【0068】
制御部300は第1区間4021の計数が2回以上、第2区間4022の計数が1回以上であれば、「ロータ101が正常に回転した」と判断し、駆動周期が補正パルス期間403、休止区間404の状態において、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態とし、回路部200の出力SO1、SO2はVDD電位とする。
次に、ロータ101が衝撃や負荷変動などによって正常に回転しなかった場合について説明を行なう。
【0069】
なお、駆動開始時におけるロータ101の位相角度wは225[deg]であり、ロータ101は
図7(b)STEP1の状態であり、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態とする。
【0070】
図5に示すように、制御部300からの命令により、休止期間404から通常運針パルス期間401に移行した場合においてドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(c)の正転状態2となり、回路部200の出力SO1はVDD電位、SO2はVSS電位となり、回路部200の出力SO1、SO2は
図8(b−1)における通常運針パルス期間401のようになる。
【0071】
正転状態1において、コイル103a、103bは同一方向に磁束を発生させるため、
図7(b)STEP2のように磁束が発生し、磁極1021a、1021bにS極が、磁極1021cにN極が発生し、ロータ101はD1方向に回転を行うが、駆動力が足りないため、ロータ101は
図7(b)STEP3のように位相角度wが315[deg]以下の位置までゆっくりと回転する。
【0072】
所定時間経過後、駆動周期は通常運針パルス期間401から回転検出期間402の第1区間4021に移行する。
【0073】
駆動周期が第1区間4021の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態と
図6(e)の正転回転検出状態2を間欠的に3回繰り返す。
【0074】
ロータ101の位相角度wが315[deg]以下に存在し、コイル103a、103bからの磁束が発生しない場合、ロータ101は最も近い静的安定位置である位相角度wが225[deg]に回転するため、回転方向がD1方向からD2方向を変わり、
図7(b)STEP3の状態から
図7(b)STEP4の状態へ移行し始め、磁極1021a、1021bに加わるロータ101の磁束はN極からS極へ変化するため、
図8(b−2)における第1区間4021のようにコイル103a、103bの逆起電流が発生する。
【0075】
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は正転回転検出状態2であるため、回路部200の出力SO2はVDD電位となり、回路部200の出力SO1は抵抗R2を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R2に逆起電流が流れ、
図8(b−1)における第1区間4021のように回路部200の出力SO1に逆起電圧が発生する。
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、実施形態1では
図8(b−1)の第1区間4021において回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は3回となる。
また、駆動周期は所定時間経過したところで第1区間4021から第2区間4022に移行する。
【0076】
駆動周期が第2区間4022の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態と
図6(d)の正転回転検出状態1の状態を間欠的5回に繰り返す。
【0077】
ロータ101は、第1区間4021と同様に、
図7(b)STEP3からSTEP4の状態へ移動中であるため、
図8(b−1)における駆動周期が第2区間4022のように
コイル103a、103bには第1区間4021と同方向の逆起電流が発生する。
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は正転回転検出状態1であるため、回路部200の出力SO1はVDD電位となり、回路部200の出力SO2は抵抗R1を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R1に逆起電流が流れるが、電気的極性が逆であるため、
図8(b−1)のように回路部200の出力SO2に逆起電圧は発生しない。
【0078】
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数するが、回路部200の出力SO2には逆起電圧が発生しないため、第2区間4022における計数は0回となる。
また、第2区間4022は所定時間経過したところで補正パルス期間403に移行する。制御部300は、第1区間4021の計数が2回以上、第2区間4022の計数が1回以上であれば、「ロータ101が正常に回転した」と判断するが、前述のように第2区間4022の計数が0回であるため、「ロータ101が正常に回転していない」と判断する。
【0079】
回転検出期間402において、回転検出結果が「ロータ101が正常に回転していない」と判断された場合、補正パルス期間403においてドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(c)の正転状態2となり、回路部200の出力SO2はVSS電位、SO1はVDD電位となり、回路部200の出力SO1、SO2は
図8(b−1)の補正パルス期間403のようになる。
【0080】
このため、正転状態2においてコイル103a、103bは同一方向に磁束を発生させるため、
図7(b)STEP5のように磁束が発生し、磁極1021a、1021bにS極が、磁極1021cにN極が発生し、ロータ101はD1方向に回転を行う。
補正パルス期間403は通常運針パルス期間401より時間が長いため、通常運針パルス期間401にロータ101に与える磁束エネルギーと比べ、補正パルス期間403にロータ101に与える磁束エネルギーの方が大きいため、ロータ101は
図7(b)STEP3のように位相角度wが315[deg]の位置を越えて回転し、
図7(b)STEP6の状態になる。
【0081】
また、所定時間経過したところで駆動周期は補正パルス期間403から休止期間404に移行し、ロータ101は
図7(b)STEP6の状態のようにロータ101の静的安定位置は位相角度wが45[deg]で停止し、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態とし、回路部200の出力SO1、SO2はVDD電位となる。
【0082】
以上のように、実施形態1のようにロータ101の回転検出を行なうときに、コイル103a、103bを並列接続しておくことによって、コイル103a、103bに発生した逆起電流を合成して検出を行なうため、回転検出時の逆起電流量が多い状態で回転検出することが可能となるため、安定したロータ101の回転検出を実現することが出来る。
【0083】
[変形例1の説明]
次に、本発明の実施形態1の変形例1について
図9を用いて説明する。
また、同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0084】
図9は、変形例1の回路部201を説明するための回路図であり、
図4の回路構成にコイル端子OUT1とOUT3の接続、非接続を制御するスイッチTG2、コイル端子OUT2とOUT4の接続、非接続を制御するスイッチTG1、OUT3、OUT4に駆動信号を印加するスイッチP3、P4、N3、N4を追加している。
実施形態1では、コイル103a、103bを並列に接続しているため、コイル103a
、103bは常に同一方向の出力しか出来なかったが、本変形例1ではスイッチTG1、TG2をOFFして、コイル103a、103bに対し異なる駆動制御を行うことが可能となり、モータ部100の駆動制御の自由度が向上する。
【0085】
また、実施形態1のように回転検出区間402においては、スイッチTG1、TG2をONしてロータ101の回転検出時のみコイル103a、103bを並列に接続して実施形態1のように回転検出を行うことも可能である。
本変形例1における動作と実施形態1との違いはスイッチTG1、TG2、P3、P4、N3、N4の動作のみであり、
実施形態1と同様の動作を行なう場合、スイッチP3はスイッチP1、スイッチP4はスイッチP2、スイッチN3はスイッチN1、スイッチN4はスイッチN2と同期して動作させ、TG1、TG2をON状態とすれば、実施形態1と同様の動作を行なうため、動作説明は省略する。
【0086】
また、実施形態1ではロータ101は正転動作しか出来なかったが、変形例1では逆転動作も可能となる。
以下のロータ101を逆転動作するときのスイッチ状態について説明する。
【0087】
図1のようにロータ101が回転角度w=45degにある時に逆転駆動する場合、ステータ磁極1021aの極性をN極、ステータ磁極1021bをS極、ステータ磁極1021cは駆動コイル103a、103bの相反する磁極が影響するため、磁気的極性は発生しない状態にする。
【0088】
このため、コイル端子OUT1、OUT4の電位をVDD電位、コイル端子OUT2、OUT3の電位をVSS電位とするため、スイッチP1、N2、N3、P4をON、スイッチN1、P2、P3、N4はOFFとする。
また、スイッチSP1、SP2、TG1、TG2は回転検出期間ではないのでOFFとなる。
【0089】
また、ロータ101が回転角度w=225degにある時に逆転駆動する場合、ステータ磁極1021aの極性をS極、ステータ磁極11021bをN極、ステータ磁極1021cは駆動コイル103a、103bの相反する磁極が影響するため、磁気的極性は発生しない状態にする。
【0090】
このため、コイル端子OUT1、OUT4の電位をVSS電位、コイル端子OUT2、OUT3の電位をVDD電位とするため、スイッチP1、N3、N2、P4をOFF、スイッチN1、P3、P2、N4はONとする。
また、スイッチSP1、SP2、TG1、TG2は回転検出期間ではないのでOFFとなる。
以上のように、変形例1では実施形態1の回転検出動作が出来ることに加え、ロータ101の回転動作を正転、逆転することが可能となる。
【0091】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2について説明を行なう。
実施形態1ではロータ101の回転角度wが領域B、領域Cにおける逆起電流I3cによってロータ101の回転、非回転の判断を行なっていたが、
ロータ101の回転角度wが領域Cにおいてはロータ101の回転した場合、非回転になった場合、どちらも逆起電流I3cは正方向に出力するため、領域Cを有効に使用できず、事実上領域Bのみで判定していたため、ロータ101の回転、非回転の判断の信頼性に劣る部分がある。
【0092】
図10は
図2(c)、(d)からコイル103a、103bの並列接続を逆にした場合の逆起電流変化を示した図であり、
図10(a)は回転時、
図10(b)は非回転時の逆起電流変化を示した図である。
【0093】
I3d’は逆起電流I3cとはコイル103a、103bの並列接続を逆にし、逆起電流I3aから逆起電流I3bを減算した逆起電流であり、具体的には、コイル端子OUT1とコイル端子OUT4、コイル端子OUT2とコイル端子OUT3を接続し、コイル103a、103bを並列接続したときの逆起電流を示す。
【0094】
ロータ101が正常に回転している状態において、
図2(c)の領域Cではコイル103a、103bを並列接続したときの逆起電流I3cはI3bが負方向に出力しているため、I3aよりも逆起電流が小さくなっていたが、
【0095】
図10(a)の領域Cにおける逆起電流I3d’はコイル103aとコイル103bが
図2(c)とは逆に接続されているため、I3d’はI3aよりも逆起電流が大きくなる。また、ロータ101が機械的負荷の増加によって正常に回転しなかった状態において
図2(c)の領域Cでは逆起電流I3cはI3bが正方向、逆起電流I3aがほぼ0であるため、正常に回転している状態と同様に正方向に逆起電流が流れるが、
図10(a)の領域Cにおける逆起電流I3d’はコイル103aとコイル103bが
図2(c)とは逆に接続されているため、I3d’はI3bとは逆の負方向に逆起電流が流れる。
【0096】
また、ロータ101が正常に回転している状態において、
図2(c)の領域Bではコイル103a、103bを並列接続したときの逆起電流I3cはI3b、I3aが負方向に出力しているため、I3a、I3bよりも逆起電流が負方向に大きくなっていたが、
図10(a)の領域Bにおける逆起電流I3d’はI3b、I3aが互いに打ち消しあうため、逆起電流は0付近となる。
【0097】
また、ロータ101が機械的負荷の増加によって正常に回転しなかった状態において
図2(c)の領域Bでは逆起電流I3cはI3b、I3aが正方向であるため、I3a、I3bよりも逆起電流が正方向に大きくなっていたが、
【0098】
図10(a)の領域Bにおける逆起電流I3d’はI3b、I3aが互いに打ち消しあうため、逆起電流は0付近となる。
以上のことから、本実施形態2ではロータ101の回転検出をより精度良く検出するため、領域Cの検出においてはコイル端子OUT1とコイル端子OUT4、コイル端子OUT2とコイル端子OUT3を接続して逆起電流I3d’によって回転検出の判断を行い、
領域Bの検出においてはコイル端子OUT1とコイル端子OUT3、コイル端子OUT2とコイル端子OUT4を接続して逆起電流I3cによって回転検出の判断を行う。
【0099】
[実施形態2の全体構成の説明:
図12]
次に、実施形態2の2コイル式ステップモータの駆動制御について、説明を行う。
実施形態2は、
図12に示すように、実施形態1のドライバ回路200に、
コイル端子OUT2とコイル端子OUT4間に設けたスイッチTG1と、
コイル端子OUT1とコイル端子OUT3間に設けたスイッチTG2と、
コイル端子OUT1とコイル端子OUT4間に設けたスイッチTG3と、
コイル端子OUT2とコイル端子OUT3間に設けたスイッチTG4を付加して構成されている。
【0100】
なお、実施形態1と同様の構成部品については同一の付番を付加し、説明を省略する。次に、実施形態2において、各コイルへの駆動信号の切り替えや回転検出に関する
図12記載のスイッチ状態は、スイッチTG1、TG2をON状態、スイッチTG3、TG4をOFF状態とした実施形態1の正転休止状態、正転駆動状態1、正転駆動状態2、回転検出状態1、回転検出状態2にスイッチTG1、TG2をOFF状態、スイッチTG3、TG4をON状態とした
図13(a)に示す回転検出状態3と、
図13(b)に示す回転検出状態4を加え、7状態が存在する。
【0101】
次に、実施形態2におけるスイッチの動作状態について、回転検出状態3と回転検出状態4について説明を行う。
図13(a)は、実施形態2における回転検出状態3のスイッチ状態を示した図であり、逆起電流の出力が高抵抗R1からみて、OUT1、OUT4がVDD電位、OUT2、OUT3側がVSS電位と想定される場合に用い、回路部200の出力SO2より逆起電圧の比較を行なうため、
図13(a)に示すようにスイッチP1、SP1、TG3、TG4をON、スイッチN1、N2、P2、SP2、TG1、TG4はOFFとして抵抗R1に発生する電圧と閾値電圧V1を比較することによってロータ101の回転状態を判断する。
【0102】
図13(b)は、実施形態2における回転検出状態4のスイッチ状態を示した図であり、逆起電流の出力が高抵抗R2からみて、逆起電流の出力がOUT1、OUT4がVSS電位、OUT2、OUT3側がVDD電位と想定される場合に用い、回路部200の出力SO1より逆起電圧の比較を行なうため、
図13(b)に示すようにスイッチP2、SP2、TG3、TG4をON、スイッチN1、N2、P1、SP1、TG1、TG4はOFFとして、抵抗R2に発生する電圧と閾値電圧V1を比較することによって、ロータ101の回転状態を判断する。
【0103】
[実施形態2の動作説明]
次に実施形態2の動作について
図5、
図6、
図7、
図11を用いて説明する。
図11は、実施形態2における駆動信号波形と逆起電流との相関を示した検出相関図である。実施形態2のロータ101が駆動するときのステップ動作は、実施形態1と同様に、
図5の通常運針パルス期間401、回転検出期間402、補正パルス期間403、休止期間404のステップで動作し、実施形態1とは回転検出期間402のみ動作が異なる。
このため、通常運針パルス期間401、補正パルス期間403、休止期間404については説明を省略する。
【0104】
なお、第1区間4021は
図10(a)、
図10(b)の領域C、第2区間4022は
図2(c)、
図2(d)の領域Bと一致するように駆動信号印加後からの経過時間から第1区間4021、第2区間4022のタイミングを設定している。
また、ロータ101の位相角度wは、実施形態1と同様に45[deg]であり、スイッチTG1、TG2をONし、スイッチTG3、TG4をOFFの状態で通常運針パルス期間401で回転検出回路202の状態は
図6(b)の正転状態1で実施する。
実施形態2では、実施形態1と同様に、通常運針パルス期間401が終了すると、駆動周期は、通常運針パルス期間401から回転検出期間402の第1区間4021に移行する。
【0105】
駆動周期が第1区間4021の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態はスイッチTG1、TG2をOFFし、スイッチTG3、TG4をONし、
図6(a)の正転休止状態と、
図13(a)の正転回転検出状態3の状態を間欠的に3回繰り返す。
【0106】
ロータ101は慣性力によってD1方向の回転を維持し、ロータ101は
図7(a)STEP3からSTEP4の状態まで回転し、磁極1021a、1021bに加わるロータ101の磁束はS極からN極へ変化するため、
図11(a−2)における第1区間4021のようにコイル103a、103bに逆起電流が発生する。
【0107】
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、正転回転検出状態3であるため、回路部200の出力SO1はVDD電位となり、回路部200の出力SO2は、抵抗R1を介してVDD電位に接続されていることから、抵抗R1に逆起電流が流れ、
図11(a−1)における第1区間4021のように、回路部200の出力SO2に逆起電圧が発生する。
【0108】
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、実施形態2では
図11(a−1)の第1区間4021において、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は3回となる。また、駆動周期は所定時間経過したところで第1区間4021から第2区間4022に移行する。2回閾値電圧V1を超えた時点ですぐに第2区間4022に行こうするような構成としても構わない。
駆動周期が、第2区間4022の場合においてドライバ回路201、回転検出回路202の状態はスイッチTG1、TG2をONし、スイッチTG3、TG4をOFFし、
図6(a)の正転休止状態と
図6(e)の正転回転検出状態4の状態を間欠的5回に繰り返す。
【0109】
ロータ101は、
図7(a)STEP4からSTEP5への移行状態となり、ロータ101の回転方向がD1からD2方向に変化し、磁極1021a、1021bに加わるロータ101から発生した磁束の方向が切り替わるため、
図11(a−2)における第2区間4022のように、コイル103a、103bには第1区間4021とは逆の逆起電流が発生する。
【0110】
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は正転回転検出状態4であるため、回路部200の出力SO2はVDD電位となり、回路部200の出力SO1は、抵抗R2を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R2に逆起電流が流れ、
図11(a−1)における第2区間4022のように、回路部200の出力SO1に逆起電圧が発生する。
【0111】
制御部300は、回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が、所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、
図11(a−1)の第2区間4022において、回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が、閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は2回となる。
また、第2区間4022は所定時間経過したところで終了し、ロータ101は
図7(a)STEP5の状態のようにロータ101の静的安定位置は位相角度wが225[deg]で停止する。
【0112】
制御部300は、第1区間4021の計数が2回以上、第2区間4022の計数が1回以上であれば、「ロータ101が正常に回転した」と判断し、駆動周期が補正パルス期間403、休止区間404の状態において回転検出回路202の状態は
図6(a)の正転休止状態とし、回路部200の出力SO1、SO2はVDD電位とする。
次に、ロータ101が衝撃や負荷変動などによって正常に回転しなかった場合について、説明を行なう。
【0113】
なお、駆動開始時におけるロータ101の位相角度wは225[deg]であり、ロータ101は
図7(b)STEP1の状態であり、スイッチTG1、TG2をONし、スイ
ッチTG3、TG4をOFFの状態で通常運針パルス期間401で回転検出回路202の状態は
図6(c)の正転状態2で実施し、ロータ101は
図7(b)STEP3のように回転角度wが315〔deg〕以下の位置までゆっくり回転する。
実施形態2では、実施形態1と同様に通常運針パルス期間401が終了すると、駆動周期は通常運針パルス期間401から回転検出期間402の第1区間4021に移行する。
駆動周期が第1区間4021の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、
図6(a)の正転休止状態と
図13(b)の正転回転検出状態2を間欠的に3回繰り返す。
【0114】
ロータ101の位相角度wが315[deg]以下に存在し、コイル103a、103bからの磁束が発生しない場合、ロータ101は最も近い静的安定位置である位相角度wが225[deg]に回転するため、回転方向がD1方向からD2方向を変わり、
図7(b)STEP3の状態からSTEP4の状態へ移行し始め、磁極1021a、1021bに加わるロータ101から発生した磁束の方向が切り替わるため、
図11(b−2)のようにコイル103a、103bの逆起電流が発生する。
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は正転回転検出状態4であるため、回路部200の出力SO2はVDD電位となり、回路部200の出力SO1は抵抗R2を介してVDD電位に接続されていることから抵抗R2に逆起電流が流れるが、電気的極性が逆であるため、
図11(b−1)のように回路部200の出力SO1に逆起電圧は発生しない。
【0115】
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数し、実施形態2では
図11(b−1)の第1区間4021において、回路部200の出力SO1に発生する逆起電圧が、閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数は0回となる。
また、駆動周期は所定時間経過したところで第1区間4021から第2区間4022に移行する。
【0116】
駆動周期が第2区間4022の場合において、ドライバ回路201、回転検出回路202の状態はスイッチTG1、TG2をONし、スイッチTG3、TG4をOFFし、
図6(a)の正転休止状態と
図6(d)の正転回転検出状態1の状態を間欠的5回に繰り返す。
【0117】
ロータ101は、第1区間4021と同様に
図7(b)STEP3からSTEP4の状態へ移動中であるため、
図11(b−1)のようにコイル103a、103bには、第1区間4021と同方向の逆起電流が発生する。
【0118】
ドライバ回路201、回転検出回路202の状態は、正転回転検出状態1であるため、回路部200の出力SO1はVDD電位となり、回路部200の出力SO2は抵抗R1を介してVDD電位に接続されていることから、抵抗R1に逆起電流が流れるが、電気的極性が逆であるため、
図11(b−1)のように回路部200の出力SO2に逆起電圧は発生しない。
【0119】
制御部300は、回路部200の出力SO2に発生する逆起電圧が、所定の閾値電圧V1よりVSS側に超えている回数を計数するが、回路部200の出力SO2には逆起電圧が発生しないため、第2区間4022における計数は0回となる。
また、第2区間4022は所定時間経過したところで、補正パルス期間403に移行する。
【0120】
以上のように、実施形態2は回転検出期間401、回転検出期間402においてコイル
103a、103bの接続状態を変更することによって2つの回転検出区間でロータ101の回転、非回転判断が可能であることから、実施形態1よりもより正確に回転検出を行うことが可能となる。
【0121】
また、実施形態2では第1区間4021、第2区間4022を実施した上でロータ101の回転、非回転判断を行なっていたが、第1区間4021で非回転と判断できる場合は回転検出期間402を実行せずに補正パルス期間403においてロータ101を回転させても良い。
【0122】
さらに、スイッチTG1、TG2、TG3、TG4の切り替えを行なって回転検出を行なう場合、スイッチTG1、TG2、TG3、TG4の切り替え時にスイッチノイズが発生するため、スイッチTG1、TG2、TG3、TG4の切り替え後、一定時間経過してから回転検出を行なっても良い。
【0123】
[効果の説明]
以上のように2コイル式ステップモータにおいてロータ101の回転検出を行う場合、コイル103a、103bの端子出力を適宜、切り替えて並列に接続して検出を行なえば、確実にロータ101の回転検出を行うことができるようになるため、負荷状況に応じたぎりぎりのエネルギーのパルスで運針できるため、低消電化できる。