(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置および画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<1.画像処理方法>
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理方法を示す説明図である。かかる画像処理方法は、例えば移動体に搭載される画像処理装置10(図示せず)によって実行される。
【0011】
なお、以下では移動体が車両C(図示せず)である場合を例にとって説明するが、移動体は自動車に限られない。移動体は、たとえば電車や船舶、航空機などの、利用者が乗車、搭乗または操縦等するものであってもよい。
【0012】
本実施形態に係る画像処理方法では、まず、車両Cに搭載された撮像装置(図示せず)から入力される撮像画像P1から報知対象物を検出する。
図1の例では、画像処理装置10は、撮像画像P1から報知対象物として歩行者Hを検出する。
【0013】
以下、報知対象物の例として歩行者Hを検出した場合について説明するが、報知対象物は歩行者Hに限られない。報知対象物として、例えば走行中の車両、自転車、バイクといった移動物体や、停止車両、電柱や木などの静止物体などがあげられる。
【0014】
画像処理装置10は、例えば所定間隔をあけて連続して撮像された複数の撮像画像P1の時間変化に基づいて報知対象物を検出する。
【0015】
画像処理装置10は、撮像画像P1を複数に分割した分割領域のうち、歩行者Hが含まれる対象領域R4を決定する。具体的には、画像処理装置10は、例えば撮像画像P1を複数の領域に分割した分割領域に関する情報を記憶しており、撮像画像P1における歩行者Hの位置が複数の分割領域に含まれるか否か判定することで、歩行者Hが含まれる対象領域を決定する。
【0016】
なお、
図1の画像P2は、撮像画像P1の分割例を示す画像である。
図1の例では、撮像画像P1を9個の分割領域に分割している。すなわち、
図1の画像P2では、長方形状の分割領域を3行3列のマトリクス状に配置している例を示している。
【0017】
画像処理装置10は、歩行者Hを報知する報知画像を撮像画像P1の対象領域R4に対応する位置に重畳して合成画像P3を生成する。画像処理装置10は、生成した合成画像P3を表示部(図示せず)に表示させる。
図1の例では、画像処理装置10は、歩行者Hを報知する報知画像として注意マークM1を表示する。
【0018】
なお、撮像画像P1の対象領域R4に対応する位置は、撮像画像P1の対象領域R4内の予め決められた位置である。したがって、歩行者Hが移動したとしても、歩行者Hが対象領域R4に含まれている場合は、報知画像である注意マークM1は撮像画像P1の同じ位置に表示される。
【0019】
また、
図1では、画像処理装置10は、注意マークM1に加え、歩行者Hを囲う枠線M2を表示する。歩行者Hが移動した場合は、歩行者Hの移動に応じて枠線M2も移動する。このように、注意マークM1で歩行者Hが存在する大まかな領域を報知しつつ、枠線M2で歩行者Hそのものを報知することで、運転者に対して報知対象物をより容易に認識できるように報知することができる。
【0020】
さらに、
図1では、画像処理装置10は、報知画像に加え、車両Cの予測された進行方向を示す予測線L1、車両Cの車幅W2の延長線を示す車幅線L2および車両Cからの距離D1、D2を示す固定線L21、L22を重畳して合成画像P3を生成する。このように、合成画像P3に、報知対象物以外の情報を報知する画像を重畳することができる。
【0021】
以上のように、画像処理装置10は、撮像画像P1を複数に分割した分割領域のうち歩行者Hが含まれる対象領域を決定し、当該対象領域に対応する位置に報知画像を表示する。これにより、画像処理装置10は、運転者に対して報知対象物をより容易に認識できるように報知することができる。より具体的には、報知画像を報知対象物に付随させて表示させるのではなく、報知対象物は含まれる領域に付随させて表示させることで、運転者が画面上のどの領域に報知対象物が存在するかを直感的に認識できるように報知することができる。以下、画像処理装置10を含む周辺監視システム1についてさらに説明する。
【0022】
<2.周辺監視システム1>
図2は、本発明の実施形態に係る周辺監視システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、周辺監視システム1は、画像処理装置10と、撮像装置20と、ナビゲーション装置30と、シフトセンサ40と、ステアリングセンサ50とを備える。
【0023】
<2.1.撮像装置20>
図3は、撮像装置20の配置例を示す図である。撮像装置20は、
図3に示すように、車両Cの後方に配置され、車両Cの後方を撮像方向として撮像を行う。
図3に示す領域Rは、撮像装置20の撮像範囲を示す領域である。
【0024】
撮像装置20は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、かかる撮像素子によって撮像した車両C後方の画像(以下、撮像画像と記載する)を画像処理装置10に出力する。
【0025】
また、撮像装置20のレンズとして魚眼レンズなどの広角レンズを採用することで、撮像装置20の画角を180度以上としてもよい。これにより車両Cの後方を広く撮影することが可能となる。
【0026】
なお、ここでは、撮像装置20を後方に配置する例について説明したが、これに限られない。例えば撮像装置20が車両Cの前方に配置される前方撮像部と、車両Cの後方に配置される後方撮像部と、車両Cの右方に配置される右方撮像部と、車両Cの左方に配置される左方撮像部とを備え、車両Cの前方、後方、右方および左方をそれぞれ撮像方向として撮像を行うようにしてもよい。これにより、車両C全周囲を撮影することが可能となる。
【0027】
<2.2.ナビゲーション装置30>
図2のナビゲーション装置30は、表示部31と、音声出力部32と、入力操作部33と、制御部34とを備える。ナビゲーション装置30は、車両Cの運転者が運転する際のナビゲーション機能やオーディオ機能などを有する。
【0028】
表示部31は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、制御部34の指示に従って例えばナビ画像やテレビジョン放送信号に基づく画像を表示する。また、表示部31は、画像処理装置10から入力された撮像画像P1、合成画像P3を表示する。
【0029】
音声出力部32は、スピーカを備え、制御部34の指示に従って例えばナビゲーション機能の音声案内や、テレビジョン放送信号に基づく音声を出力する。また、入力操作部33は、操作者からのナビゲーション装置30に対する入力操作を受け付ける。なお、表示部31が例えばタッチパネル式ディスプレイである場合、表示部31が入力操作部33の機能を備えるようにしてもよい。
【0030】
制御部34は、ナビゲーション装置30が備える各部を制御する。制御部34は、例えば入力操作部33が受け付けた入力操作に基づいて、表示部31に所定の画像を表示させたり、音声出力部32に音声データを出力させたりする。
【0031】
<2.3.シフトセンサ40およびステアリングセンサ50>
周辺監視システム1は、シフトセンサ40やステアリングセンサ50など、車両Cの状態を検出する各種センサを備える。
【0032】
シフトセンサ40は、シフトレバー(図示せず)のポジションを検出する。シフトレバーのポジションとしては、車両Cが完全に停車している「パーキング」や車両Cが後退している「リア」等が挙げられる。シフトセンサ40は、検出したシフトレバーのポジションを画像処理装置10に出力する。
【0033】
ステアリングセンサ50は、車両Cのハンドルの舵角を検出する。あるいは、車両Cの車輪の舵角を検出するようにしてもよい。ステアリングセンサ50は、検出した舵角を画像処理装置10に出力する。
【0034】
<2.4.画像処理装置10>
画像処理装置10は、進行予測部11、検出部12、決定部13、画像処理部14および記憶部15を備える。
【0035】
<2.4.1.進行予測部11>
進行予測部11は、ステアリングセンサ50から入力される車輪の舵角に基づき、車両Cの進行方向を予測する。例えば、進行予測部11は、車輪の舵角を維持した状態で車両Cが移動した場合の軌跡線を、進行方向を示す予測線L1として算出する。進行方向予測部11は、算出した予測線L1を決定部13および画像処理部14に出力する。
【0036】
なお、進行予測部11による進行方向の予測は、車輪の舵角に基づく方法に限られない。例えば、進行予測部11が撮像装置20による撮像画像P1に基づいて進行方向を予測するようにしてもよい。撮像画像P1に基づいた進行方向の予測方法としては、例えば時間的に連続する複数の撮像画像P1からオプティカルフローを用いて進行方向を予測する方法がある。
【0037】
<2.4.2.検出部12>
検出部12は、所定間隔をあけて連続して撮像された複数の撮像画像P1の時間変化に基づいて報知対象物を検出する。検出部12は、検出した報知対象物を決定部13および画像処理部14に出力する。
【0038】
検出部12による報知対象物の検出方法としては、例えば上述したオプティカルフローを用いた方法がある。具体的には、まず、検出部12は、時刻t1に撮像された撮像画像から特徴点F1を検出する。画像から特徴点を検出する方法としては、例えばエッジとエッジの交点であるコーナーを検出する方法や、KLT法などがある。
【0039】
続いて、検出部12は、時刻t1の次の時刻t2に撮像された撮像画像から特徴点F2を検出する。検出部12は、時刻t1における特徴点F1の位置および時刻t2における特徴点F2を結んだ移動ベクトル(オプティカルフロー)を算出し、算出したオプティカルフローに基づいて報知対象物を検出する。
【0040】
なお、検出部12が検出する特徴点F1、F2の個数は1個に限られない。進行予測部11が、複数の特徴点F1、F2を検出するようにしてもよい。また、検出部12による報知対象物の検出方法は、オプティカルフローを用いる方法に限られない。例えば、撮像画像とパターン画像とを照合するパターンマッチング法を用いて報知対象物を検出するようにしてもよい。
【0041】
<2.4.3.決定部13>
決定部13は、例えばシフトセンサ40から入力される検出結果に基づいて車両Cが後退している場合に、撮像画像P1を複数に分割した分割領域R1〜R9のうち、報知対象物が含まれる対象領域を決定する。ここでは、検出部12が報知対象物として歩行者Hを検出した場合について説明する。
【0042】
まず、
図4を用いて複数の分割領域R1〜R9について説明する。
図4は、複数の分割領域R1〜R9を説明する図である。
【0043】
図4に示すように、画像P2は、縦方向に伸びる2本の直線LH1、LH2および横方向に伸びる2本の直線LW1、LW2によって区切られている。そのため、
図4に示す画像P2には9個の分割領域R1〜R9が含まれている。
【0044】
ここで2本の直線LH1、LH2の間の距離W1は、例えば車幅W2、すなわち車幅線L2の2本の直線の間の距離のうち最も長い距離と同じ長さW2(
図1参照)であるとする。また、横方向に伸びる直線LW1は、車両Cから第1の距離D1離れた位置を示す線であり、固定線L21を左右に延長した線である(
図1参照)。横方向に伸びる直線LW2は、車両Cから第2の距離D2離れた位置を示す線であり、固定線L22を左右に延長した線である(
図1参照)。
【0045】
決定部13は、4つの直線で区切られた9個の分割領域R1〜R9のうち、歩行者Hが含まれる分割領域を対象領域に決定する。例えば歩行者Hが複数の分割領域にまたがって存在する場合、決定部13は、各分割領域における歩行者Hの面積に応じて対象領域を決定する。例えば、決定部13は、歩行者Hを示す画像に含まれる画素数を分割領域R1〜R9ごとにカウントしていき、画素数が最も多い分割領域を対象領域に決定する。
【0046】
このように、決定部13は、分割領域R1〜R9のうち歩行者Hが含まれる割合が最も多い分割領域を対象領域に決定する。ここで、分割領域R1〜R9のうち歩行者Hが含まれる割合が同じ分割領域が存在する場合、すなわち各分割領域における歩行者Hの面積が等しい場合、決定部13は、車両Cの進行方向に応じて対象領域を決定する。かかる点について
図5を用いて説明する。
【0047】
図5は、決定部13による対象領域の決定について説明する図である。
図5に示すように、撮像画像P1の歩行者Hの位置によっては、歩行者Hが複数の分割領域(
図5では分割領域R5、R6)にまたがって存在する場合がある。
【0048】
上述したように、歩行者Hが複数の分割領域の1つに偏って存在している場合は、決定部13は、歩行者Hが偏って存在する分割領域を対象領域に決定する。一方、
図5に示すように複数の分割領域に含まれる歩行者Hの割合が同じ場合、決定部13は、進行予測部11が予測した進行方向に応じて対象領域を決定する。
【0049】
決定部13は、車両Cの進行方向が直進である場合、歩行者Hが存在する複数の分割領域R5、R6のうち、撮像画像P1すなわち画像P2の中央側に近い分割領域R5を対象領域に決定する。
【0050】
ここで、画像P2の中央側に最も近い分割領域とは、例えば複数の分割領域のうち、分割領域の中心画素と画像P2の中心画素との距離が最も短い分割領域を指すものとする。したがって、例えば歩行者Hが複数の分割領域R5、R8に同じ割合でまたがっている場合、決定部13は、分割領域R5を対象領域に決定する。
【0051】
撮像画像P1の周辺領域に比べ中央領域は運転者にとって注目しやすい領域である。したがって複数の分割領域R1〜R9のうち画像P2の中央側に近い分割領域を対象領域とすることで、運転者に対して報知画像をより容易に認識できるように報知することができる。
【0052】
次に、決定部13は、車両Cの進行方向が旋回である場合、歩行者Hが存在する複数の分割領域R5、R6のうち、進行方向側の分割領域を対象領域に決定する。例えば車両Cの進行方向が右である場合、決定部13は、複数の分割領域R5、R6のうち右側の分割領域R6を対象領域に決定する。
【0053】
なお、例えば歩行者Hが複数の分割領域R5、R8といった縦方向に並ぶ領域に同じ割合でまたがっている場合は、例えば上述したように画像P2の中央側に近い分割領域R5を対象領域に決定するようにしてもよい。
【0054】
ここで、決定部13が車両Cの進行方向に応じて対象領域を決定する場合について説明したが、かかる場合について車両Cは必ずしも移動している必要はない。車両Cが停止している場合においても、例えば進行予測部11が車輪の舵角に応じて車両Cの進行方向を予測するようにし、進行予測部11が予測した進行方向に応じて、決定部13が対象領域を決定するようにしてもよい。
【0055】
なお、車両Cの進行方向が直進である場合とは、進行予測部11が予測した予測線L1が直線である場合に限られない。例えば、車両Cの予測線L1の曲率半径が所定の閾値以上である場合に、車両Cの進行方向が直進であるとし、所定の閾値未満である場合に旋回であるとしてもよい。
【0056】
また、
図5では、分割領域R5、R6に含まれる歩行者Hの割合が同じ、すなわち分割領域R5、R6における歩行者Hの面積が等しい場合に、決定部13が車両Cの進行方向に応じて対象領域を決定するとしたが、これに限られない。例えば分割領域R5、R6における歩行者Hの面積の差が所定の閾値Sth以下である場合に、決定部13が車両Cの進行方向に応じて対象領域を決定してもよい。
【0057】
なお、複数の分割領域R1〜R9は、
図4に示す例に限られない。例えば、
図6に示すように、複数の分割領域R1〜R9のうち横方向における中央部に位置する分割領域R2、R5、R8をさらに複数のサブ領域R2_L、R2_R、R5_L、R5_R、R8_L、R8_Rに分割してもよい。なお、
図6は、複数の分割領域の一例を示す図である。
【0058】
この場合、決定部13は、撮像画像P1すなわち画像P2の左右に位置する分割領域R1、R3、R4、R6、R7、R9、および、撮像画像P1の略中央に位置する複数のサブ領域R2_L、R2_R、R5_L、R5_R、R8_L、R8_Rの中から歩行者Hが含まれる対象領域を決定する。
【0059】
なお、
図6では、分割領域R2、R5、R8をそれぞれ2つのサブ領域に分割する例について示したが、分割数は2つ以上であってもよい。また、他の分割領域R1、R3、R4、R6、R7、R9を複数のサブ領域に分割してもよい。複数の分割領域の個数は9個に限られず、9個より多くても少なくてもよい。
【0060】
また、分割領域の他の例について
図7を用いて説明する。
図7は、複数の分割領域の一例を示す図である。
図7では、撮像画像P1すなわち画像P2を車幅線L2および固定線L21、L22に沿って9個の分割領域R21〜R29に分割した例を示している。
【0061】
このように、画像P2を分割する縦方向の2本の直線LH1、LH2および横方向の2本の直線LW1、LW2は、それぞれ平行である必要はなく、例えば図示しないが、互いに交差していてもよい。
【0062】
図7では、撮像画像P1すなわち画像P2を車幅線L2および固定線L21、L22に沿って複数の分割領域R21〜R29に分割したが、これに限られない。例えば予測線L1および固定線L21、L22に沿って分割してもよい。このように、画像P2を曲線によって分割するようにしてもよい。
【0063】
複数の分割領域の個数や形状は、例えば報知対象物の大きさや報知画像の大きさ等に応じて任意の個数や形状とすることができる。
【0064】
<2.4.4.画像処理部14>
図2の画像処理部14は、歩行者Hを報知する報知画像を撮像画像P1の対象領域(例えば
図1の例では分割領域R4)に対応する位置に重畳する。画像処理部14は、例えば歩行者Hを報知する報知画像として注意マークM1を撮像画像P1に重畳する。さらに画像処理部14は、歩行者Hを囲う枠線M2を撮像画像P1に重畳する。
【0065】
さらに、画像処理部14は、車両Cの予測された進行方向を示す予測線L1、車両Cの車幅W2の延長線を示す車幅線L2および車両Cからの距離D1、D2を示す固定線L21、L22を重畳して合成画像P3を生成する。画像処理部14は、生成した合成画像P3を表示部31に表示させる。例えば、画像処理部14は、車両Cが後退している場合に、合成画像P3を生成し、表示部31に出力する。
【0066】
ここで、画像処理部14は、歩行者Hを報知する報知画像を報知画像選択テーブルに従って選択し、選択した報知画像を撮像画像に重畳する。かかる報知画像選択テーブルについて
図8を用いて説明する。
【0067】
<2.4.4.1.報知画像選択テーブル>
図8は、本実施形態に係る報知画像選択テーブルを説明する図である。
図8に示す報知画像選択テーブルは、各分割領域R1〜R9と、表示する報知画像の種類(表示画像)、表示場所および表示方法とをそれぞれ対応付けて記憶している。なお、
図8に示す報知画像選択テーブルの「領域No.」は、例えば
図5に示す分割領域R1〜R9の符号と対応している。
【0068】
図8に示すように、分割領域R1〜R3は、表示画像が「表示なし」となっている。この場合、画像処理部14は、報知画像を撮像画像P1に重畳しない。なお、分割領域R1〜R3は、車両Cから第2の距離D2以上離れた領域である。
【0069】
このように、
図8の例では、画像処理部14は、車両Cから第2の距離D2以上離れた位置に存在する報知対象物に関しては、危険度が低く報知優先度が低いとして、報知画像を用いた報知を行わない。ただし、例えば報知対象物を枠線M2で囲うなどして、報知対象物自体の報知は行うようにしてもよい。
【0070】
また、
図8の報知画像選択テーブルにおいて、分割領域R4〜R9は、表示画像が「注意マーク」、表示場所のうち領域(以下、表示領域とも称する)が対応する分割領域R4〜R9、表示場所のうち位置、すなわち表示領域内の表示位置(以下、表示位置とも称する)が「中央」となっている。分割領域R4〜R6の表示方法は「点滅」、分割領域R7〜R9の表示方法は「点灯」である。
【0071】
このように、車両Cと第2の距離D2との間に存在する報知対象物に関しては、画像処理部14は、決定部13が決定した対象領域内の表示位置に注意マークM1を表示する。ここで、注意マークM1は、例えば三角形の黄色の枠線内に感嘆符を表示したマークであるとする。このとき、画像処理部14は、第1の距離D1と第2の距離D2の間に存在する報知対象物に関して、注意マークM1を点滅表示させ、車両Cと第1の距離D1との間に存在する報知対象物に関して、注意マークM1を点灯表示させる。
【0072】
これにより、車両Cとの距離に応じて報知対象物を運転者に報知することができ、運転者が、報知対象物に加えて報知対象物と車両Cとの距離をより容易に認識できるようになる。
【0073】
報知画像選択テーブルは、
図8に示す例に限られない。例えば画像処理部14が、
図9および
図10に示す報知画像選択テーブルにしたがって報知画像を撮像画像P1に重畳させるようにしてもよい。
図9および
図10は、本実施形態に係る報知画像選択テーブルの一例を示す図である。
【0074】
図9に示す報知画像選択テーブルは、
図8の報知画像選択テーブルの各項目に加え、「点滅速度」、「表示サイズ」の項目を備えている。また、分割領域R1〜R6の表示画像を「注意マーク」とし、分割領域R7〜R9の表示画像を「警告マーク」としている。ここで警告マークは、例えば三角形の赤色の枠線内に感嘆符を表示したマークである。
【0075】
また、
図9に示す報知画像選択テーブルでは、表示画像の表示位置を各領域の「左側」、「中央」、「右側」と横方向における各分割領域R1〜R9の位置に応じて変更している。このように、撮像画像P1における各分割領域R1〜R9の位置に応じて、表示画像の表示位置を変更するようにしてもよい。
【0076】
さらに、表示方法を各分割領域R1〜R9のいずれにおいても「点滅」とし、点滅速度を、車両Cからの距離に応じて変更している。具体的には、分割領域R1〜R6では点滅速度を「遅い」とし、分割領域R7〜R9では「速い」としている。表示サイズは、分割領域R1〜R3で「小」、分割領域R4〜R6で「中」、分割領域R7〜R9で「大」とする。
【0077】
次に、
図10に示す報知画像選択テーブルでは、分割領域R4〜R9の表示位置を、対象領域に隣接する分割領域の所定位置としている。具体的には、表示部31において各分割領域R4〜R9の上に位置する分割領域R1〜R6を、分割領域R4〜R9の表示領域としている。
【0078】
このように、報知画像は必ずしも対象領域内に表示する必要はない。上述したように、例えば隣接する分割領域内に表示することで、歩行者Hの表示を妨げることなく報知画像を表示部31に表示することができる。
【0079】
上述した例では、点滅速度や表示サイズを変更する場合について説明したが、これに限られない。例えば分割領域R1〜R3といった報知対象物までの距離が遠い領域に報知対象物が存在する場合は青色で、分割領域R4〜R6といった報知対象物までの距離が中程度の領域に報知対象物が存在する場合は黄色で、分割領域R7〜R9といった報知対象物までの距離が近い領域に報知対象物が存在する場合は赤色で、報知画像を表示するようにしてもよい。このように、報知対象物までの距離に応じて報知画像の表示色を変更するようにしてもよい。
【0080】
このように、分割領域R1〜R9ごとに報知画像の表示形式を項目にわけて決定しておけばよく、かかる項目の数や内容は
図8〜
図10に示す報知画像選択テーブルに示す例に限られない。また、例えば運転者が各項目内容を変更できるようにしてもよい。
【0081】
なお、
図9に示す例では、分割領域ごとに点滅速度を設定するようにしているが、これに限られない。例えば
図11に示すように、報知対象物と車両Cとの距離に応じて点滅速度を変更するようにしてもよい。
【0082】
図11は、報知対象物までの距離と点滅速度との関係を示す図である。
図11の縦軸は、車両Cから報知対象物までの距離を示しており、横軸は、報知画像の点滅速度を示している。
【0083】
図11に示すように、車両Cから報知対象物までの距離が長い場合は点滅速度を遅くし、近づくほど点滅速度が速くなるようにする。上述したように、本実施形態では各分割領域R1〜R9の所定位置に報知画像を表示するようにしている。したがって、報知対象物が移動して対象領域が変更した場合に、報知対象物を知らせる報知画像の位置を変更するようにしている。
【0084】
そこで、
図11に示す例では、報知対象物が移動しても対象領域が変更にならない場合であっても報知対象物と車両Cとの距離に応じて報知画像の点滅速度を変更するようにしている。これにより、報知対象物が車両Cに接近していることを運転者に通知することができる。
【0085】
なお、
図11に示す例では、報知画像の点滅速度が距離に応じて連続して変化する場合について例示しているが、これに限られない。例えば、
図12に示すように、階段状に点滅速度が速くなるようにしてもよい。なお、
図12は、報知対象物までの距離と点滅速度との関係を示す図である。
【0086】
画像処理部14は、決定部13から対象領域の通知を受けると、例えば
図8に示す報知画像選択テーブルに基づき、当該報知画像の表示内容を決定する。例えば、対象領域が分割領域R4である場合、画像処理部14は、「注意マーク」を分割領域R4の中央に点滅させて表示させる。
【0087】
なお、ここでは、画像処理部14が報知画像として注意マークまたは警告マークを分割領域内に表示させる場合について説明したが、表示させる報知画像はこれに限られない。例えば
図13および
図14に示すように、撮像画像P1の上部に報知画像を表示させるようにしてもよい。
【0088】
図13および
図14は、画像処理部14が生成する合成画像P31の一例を示す図である。
図13に示す合成画像P31では、報知画像として注意マークM1を表示させるとともに、略長方形の画像M3を表示させる。
【0089】
画像M3は、長さが合成画像P31の横幅と同じであり、所定の幅を有する帯状の画像である。以下、画像M3を報知バーM3とも称する。
【0090】
例えば日光など、強い光が表示部31に照射されている場合に、光の反射によっては運転者が表示部31に表示される合成画像P31を視認しにくくなる場合がある。このように、運転者が合成画像P31を視認しにくい場合であっても、画像処理部14が注意マークM1より大きな報知バーM3を重畳して合成画像P31を生成することで、運転者に報知対象物を報知することができる。
【0091】
また、表示部31の上部は光の影響を受けにくいため、報知バーM3を表示部31の上部に表示されるように重畳することで、運転者が報知バーM3をより容易に認識することができるようになる。
【0092】
なお、車両Cから報知対象物までの距離に応じて、例えば報知バーM3の表示色を変更することで、報知対象物までの距離を運転者に報知するようにしてもよい。また、報知バーM3に例えば文字情報(図示せず)を重畳することで、かかる文字情報によっても運転者に対して報知対象物を報知するようにしてもよい。
【0093】
あるいは、
図14に示すように、下側ほど報知バーM3の透過率を高くすることで、グラデーション表示させるようにしてもよい。これにより、運転者が報知バーM3の背面に表示される画像をより視認しやすくすることができる。
【0094】
なお、ここでは、撮像装置20が車両Cの後方の画像を撮像する場合について述べたが、例えば車両Cの全周囲を撮像する場合、画像処理部14が全周囲を撮像した撮像画像に基づき仮想視点画像を生成するようにしてもよい。
【0095】
この場合、例えば撮像装置20からは車両Cの前方、後方、右方および左方をそれぞれ撮像方向とする複数の撮像画像が入力される。画像処理部14は、かかる複数の撮像画像に対して座標変換処理を行い、仮想視点から見た画像である仮想視点画像を生成する。画像処理部14は、座標変換処理として、例えば撮像画像を所定の投影面に投影(マッピング)し、所定の投影面に投影された撮像画像P1のうち仮想視点から見て所定の視野角に含まれる領域の画像を仮想視点画像とする。
【0096】
画像処理部14は、例えば複数の撮像画像に含まれるデータの位置と、所定の投影面の位置との対応関係を示すテーブルを記憶しており、かかるテーブルを用いて、複数の撮像画像に含まれるデータを所定の投影面の対応する位置に投影する。
【0097】
かかる所定の投影面は、例えば、略半球状(例えば、お椀形状)をしており、その中心領域(例えば、お椀の底部分)は車両Cの位置であり、車両Cの位置の外側(例えば、略半球状の外周領域)は、車両Cの周辺の領域に相当する。なお、所定の投影面は、例えば、曲面でなく平面であってもよい。
【0098】
画像処理部14は、生成した仮想視点画像に報知画像等を重畳して合成画像P3を生成してナビゲーション装置30の表示部31に表示させる。
【0099】
また、ここでは、画像処理部14が、車両Cが後退している場合に合成画像P3を表示部31に表示させるとしたが、これに限られない。例えば車両Cが前進している場合にも合成画像P3を表示部31に表示させるようにしてもよい。この場合、画像処理部14は、撮像装置20が撮像した車両Cの前方の撮像画像に報知画像等を重畳させて表示させる。
【0100】
例えば幅が狭い道路を車両Cが通過する場合や、車両Cが他車両とすれ違う場合に、合成画像P3を表示部31に表示させることで、運転者に対して安全に走行できる進行方向を提示することができる。
【0101】
<2.4.5.記憶部15>
記憶部15は、例えば
図8に示す報知画像選択テーブルを記憶する。また、記憶部15は、複数の分割領域R1〜R9に関する情報を記憶する。このように、記憶部15は、画像処理装置10の各部による処理に用いられる種々の情報を記憶する。また、記憶部15は、各部の処理結果を記憶する。かかる記憶部15は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置で構成される。
【0102】
<3.画像表示処理>
続いて、画像処理装置10が行う画像表示処理について説明する。
図15は、画像処理装置10が行う画像表示処理を示すフローチャートである。画像処理装置10は、例えば車両Cのシフトレバーのポジションが「リア」に変更になったことを契機として画像表示処理を開始する。
【0103】
画像処理装置10は、撮像装置20から撮像画像P1を取得する(ステップS101)。画像処理装置10は、取得した撮像画像P1に報知対象物が存在するか否かを判定する(ステップS102)。報知対象物が存在しない場合(ステップS102;No)、画像処理装置10は、画像表示処理を終了する。
【0104】
一方、報知対象物が存在する場合(ステップS102;Yes)、画像処理装置10は、報知対象物が存在する分割領域を対象領域として決定する(ステップS103)。画像処理装置10は、撮像画像P1のステップS103で決定した対象領域に対応する位置に報知画像を重畳することで、報知画像を表示部31に表示させる(ステップS104)。
【0105】
なお、ここでは、例えば車両Cのシフトレバーのポジションが「リア」に変更になったことを契機として画像表示処理を開始するとしたが、これに限られない。例えばシフトレバーのポジションが「ドライブ」に変更になった場合、すなわち車両Cが直進している場合に、画像表示処理を開始するようにしてもよい。あるいは、運転者の操作によって画像表示処理を開始するようにしてもよい。
【0106】
以上のように、撮像画像P1を複数に分割した分割領域のうち歩行者Hが含まれる対象領域を決定し、当該対象領域に対応する位置に報知画像を表示する。これにより、画像処理装置10は、運転者に対して報知対象物をより容易に認識できるように報知することができる。
【0107】
また、分割領域ごとに報知画像を表示することで報知対象物の位置を運転者に対して報知することができる。また、画像処理装置10が、例えば点滅速度や表示サイズなど車両Cから報知対象物までの距離に応じて報知画像の表示を変更することで、運転者に対して車両Cから報知対象物までの距離を報知することができる。
【0108】
<4.変形例>
図16は、本実施形態に係る画像処理装置10の変形例を説明する図である。
図1に示す画像処理装置10は、報知画像を表示部31に表示させることで、報知対象物を運転者に報知する。
【0109】
本変形例では、報知画像に加え、音声を用いて報知対象物を報知する。それ以外の構成要素および動作は実施形態にかかる画像処理装置10と同じであるため説明を省略する。
【0110】
具体的には、画像処理装置10は音声処理部16をさらに備える。音声処理部16は、決定部13が決定した対象領域に対応する音(以下、報知音と称する)を生成し、例えばナビゲーション装置30の音声出力部32に出力する。
【0111】
音声処理部16は、音データに対して周波数変換や振幅増幅など種々の信号処理を施して報知音を生成する。かかる報知音は、例えばアラーム音や警告音といった機械音でもよく、あるいは合成音声など文字情報を読み上げる音声であってもよい。音データは、例えば記憶部15に記憶される。
【0112】
音声処理部16は、例えば複数の分割領域R1〜R9ごとに種類の異なる音データから報知音を生成する。かかる場合、例えば分割領域R1〜R3では第1音データ、分割領域R4〜R6では第2音データおよび分割領域R7〜R9では第3音データというように、車両Cと各分割領域R1〜R9までの距離に応じて異なる音データとするようにしてもよい。
【0113】
あるいは、報知音の高さ、すなわち周波数または報知音の音量を分割領域R1〜R9に応じて異ならせてもよい。この場合、例えば
図11および
図12に示す点滅速度のように、分割領域R1〜R9によらず、車両Cから報知対象物までの距離に応じて連続して、あるいは階段状に変化するようにしてもよい。
【0114】
このとき、車両Cから報知対象物までの距離が近いほど、報知音が高くなるよう報知音の周波数を高くする。あるいは、車両Cから報知対象物までの距離が近いほど、報知音の音量を大きくする。これにより、車両Cから報知対象物までの距離が近く、危険度が高いほど、危険度をより強調して報知対象物を運転者に報知することができる。
【0115】
以上のように、画像処理装置10が報知画像および報知音を用いて報知対象物を運転者に報知することで、例えば運転者が表示部31を視認していないときでも報知対象物を運転者に報知することができる。
【0116】
このとき、例えば、報知音を対象領域に応じて変更することで、例えば運転者が表示部31を視認していないときでも、報知対象物が含まれる分割領域R1〜R9、すなわち報知対象物の位置を運転者に報知することができる。
【0117】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。