(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物が収容された容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されるステム、および前記ステムの上端部に装着され、内容物の吐出孔が形成された吐出ヘッド、を有するポンプと、
前記ポンプを前記容器本体の口部に装着する装着キャップと、を備え、
前記ステムおよび前記吐出ヘッドを下方移動させ、前記内容物を前記吐出孔から吐出させる吐出器であって、
前記ポンプは、前記ステムを径方向の外側から囲繞する案内筒部と、
前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記ピストンが内部に上下摺動自在に配設されたシリンダと、を備え、
前記シリンダの周壁部には、径方向の外側に向けて突出し、前記口部の上端開口縁上に配置されるフランジ状の支持板部が形成され、
前記案内筒部には、径方向の外側に向けて突出し、前記支持板部上に配置されるフランジ状の挟着板部が形成され、
前記装着キャップには、径方向の内側に向けて突出し、前記挟着板部を前記支持板部との間で挟み込むフランジ状の押え板部が形成され、
前記挟着板部の外径は、前記支持板部の外径より小さいことを特徴とする吐出器。
内容物が収容された容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されるステム、および前記ステムの上端部に装着され、内容物の吐出孔が形成された吐出ヘッド、を有するポンプと、
前記ポンプを前記容器本体の口部に装着する装着キャップと、を備え、
前記ステムおよび前記吐出ヘッドを下方移動させ、前記内容物を前記吐出孔から吐出させる吐出器の製造方法であって、
前記ポンプは、前記ステムを径方向の外側から囲繞する案内筒部と、
前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記ピストンが内部に上下摺動自在に配設されたシリンダと、を備え、
前記シリンダの周壁部には、径方向の外側に向けて突出するフランジ状の支持板部が形成され、
前記案内筒部には、径方向の外側に向けて突出し、外径が前記支持板部の外径より小さいフランジ状の挟着板部が形成され、
前記装着キャップには、径方向の内側に向けて突出し、内径が前記挟着板部の外径より小さいフランジ状の押え板部が形成され、
前記案内筒部を、前記装着キャップ内にこの装着キャップの上方から押し込み、前記挟着板部を、前記押え板部の下方に至らしめる第一工程と、
前記ステム、前記ピストンおよび前記シリンダが組み立てられた組み立て体を、前記装着キャップ内にこの装着キャップの下方から挿入して、前記シリンダの上端部を前記案内筒部内に嵌合させるとともに、前記挟着板部を前記押え板部と前記支持板部とにより上下方向で挟み込む第二工程と、を有することを特徴とする吐出器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出器1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の吐出器1は、図示しない液状の内容物が収容された容器本体2の口部3に取り付けられる有頂円筒状の装着キャップ11と、容器本体2の口部3に上方付勢状態で下方移動自在に配設されるとともに、前方に向けて開口する内容物の吐出孔13Aが形成された吐出ヘッド13を有するポンプ14と、ポンプ14の後部に立設された支持部15と、支持部15に回転軸C1回りに回転自在に配設され、吐出ヘッド13を押下げる押下部材(トリガー)16と、を備えている。
【0016】
この吐出器1では、押下部材16が後述する下方に向けて回転することで(
図3参照)、吐出ヘッド13が下方移動し、内容物が吐出孔13Aから吐出される。
吐出ヘッド13は、円筒状のステム12と、ステム12の上端部に装着され、吐出孔13Aが形成されたヘッド本体30と、を備えている。
【0017】
装着キャップ11およびステム12は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、
図1において中心軸Oに沿ってポンプ14からステム12に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、中心軸Oから見た平面視で中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸O回りで周回する方向を周方向とする。さらに、径方向のうち吐出ヘッド13の吐出孔13Aが向いた方向(
図1の左側)を前方、その逆方向を後方とし、上下方向および前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0018】
図2を併せて参照し、装着キャップ11は、ポンプ14を容器本体2の口部3に装着するためのキャップである。装着キャップ11は、中央に開口部が形成された平面視円形状の天壁部21と、天壁部21の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の周壁部22と、を有する。これら天壁部21および周壁部22は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0019】
天壁部21の内周縁部からは、径方向の外側から内側に向かうに従い、漸次下方に向かうように傾斜する押え板部23が延びている。
周壁部22の内周面には、容器本体2の口部3の外周面に形成された雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。なお、装着キャップ11は、容器本体2の口部3に対して螺着される場合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合により装着されていても構わない。
【0020】
ポンプ14は、吐出ヘッド13と、吐出ヘッド13のステム12に連係された二重円筒状のピストン41と、ピストン41が上下摺動自在に収容された円筒状のシリンダ42と、ステム12の内側から下方に向けて延設され、ピストン41の内側を上下方向に貫く有底円筒状のピストンガイド43と、シリンダ42内に配設された球状の弁体44と、ステム12を外側から囲む円筒状の案内筒部45と、を有する。
【0021】
ステム12は、案内筒部45の内側に上下移動自在に挿通されている。ステム12の上部は、案内筒部45の上端よりも上方に向けて突出している。ステム12の下端部は、案内筒部45の下端部と同等の高さに配設されている。ステム12の上部の外周面と案内筒部45の上部の内周面との間には、外気導入路S1が形成されている。
【0022】
ステム12の上筒部12Aは、ステム12の上下方向の中央よりも下方まで延びている。上筒部12Aの下方には、軸方向と直交する段差面12BSを形成する段差壁部12Bを介して、上筒部12Aよりも大径の下筒部12Cが連設されている。
ステム12の上筒部12Aの上部には、ヘッド本体30の後述する装着筒部31が上方から嵌入されて保持されている。
ステム12の上筒部12Aの下部には、ピストンガイド43の上部が下方から嵌入されて保持されている。
ステム12の下端部には、下筒部12Cよりも大径の円筒状の拡径部12Dが形成されるとともに、拡径部12Dの下方に連なる比較的薄肉の円筒状の弾性部25が形成されている。
【0023】
ヘッド本体30は、ステム12の上筒部12A内に嵌入された有頂筒状の装着筒部31と、装着筒部31の前面から前方に向けて突設されたノズル筒部32と、を有する。
装着筒部31の頂壁部には、上方に向けて被押下突部30Aが突設されている。被押下突部30Aは、装着筒部31の頂壁部における左右方向の中央部に配設されている。被押下突部30Aは、表裏面が左右方向を向く板状に形成され、上端部における前端部および後端部はそれぞれ、左右方向から見て突の曲線状に形成されている。
天板部90の下面には、被押下突部30Aの上端部が前後摺動自在に収容される窪み部90Aが形成されている。
ノズル筒部32は、その内部に、前後方向に延在する芯棒体35と、芯棒体35の前端部に被着された有頂円筒状のチップ36と、が配設されている。
【0024】
芯棒体35は、その外周面に、ノズル筒部32の内周面との間で内容物の流動を可能とする複数の流路溝部35Aが形成されている。
チップ36は、芯棒体35と同軸上に配設されている。チップ36は、芯棒体35の前端部外周に装着された円筒状のチップ筒部37と、チップ筒部37の前端部に設けられた端壁部38と、を有する。
チップ筒部37は、ノズル筒部32内に嵌合されている。端壁部38は、芯棒体35の先端面に当接している。端壁部38のうち、芯棒体35の前端面に対向する後面には、芯棒体35の流路溝部35Aに連通するスピン流路38Aが形成されている。端壁部38の中央部分には、スピン流路38Aに連通する吐出孔13Aが形成されている。
チップ36により、内容物を霧状に吐出することができる。また、チップ36およびノズル先端形状等を変更することで、泡状および直線状等の吐出が可能となる。例えば、本実施形態のノズル先端にメッシュ等の発泡部材を設けることで、泡状吐出が可能となる。
【0025】
ステム12の上筒部12Aの後方には、吐出ヘッド13の下方移動を規制して内容物の吐出を不能とする吐出規制部材75が配置されている。吐出規制部材75は、案内筒部45の上端面と装着筒部31の上端部後方に突設された後突部13Cの下面との間に挟まれたロック位置にあるとき、吐出ヘッド13の下方移動を規制して内容物の吐出を不能とする。吐出規制部材75は、回転軸C1と平行な回転軸C2回りに回転可能なロックレバー76に支持されており、ロックレバー76の回転操作により、前記ロック位置と、このロック位置から後方へ退避したアンロック位置(
図3参照)と、の間で移動可能である。この吐出規制部材75の移動により、吐出のロックおよびアンロックが切り替えられる。
【0026】
ピストン41は、円筒状の摺動部51と、摺動部51よりも径方向内側に配設された円筒状の閉塞部52と、を有する。摺動部51の上端部と閉塞部52の上下方向中間部とは、互いに一体に連結されている。摺動部51および閉塞部52は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0027】
摺動部51の下端部は、上方から下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて反るように湾曲している。これにより、摺動部51の下端は、シリンダ42の内周面に摺接している。
閉塞部52の下端部は、上方から下方に向かうにしたがって漸次径方向内側に向けて反るように湾曲している。これにより、閉塞部52の下端は、ピストンガイド43の後述する底部43B近傍に形成された当接部43Eに当接している。
【0028】
閉塞部52の上端部は、下方から上方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて反るように湾曲しており、ステム12の下端部の内周面に摺接している。
摺動部51の上端部分には、径方向外側から内側に向かうにしたがって漸次下方に向かうように傾斜し、ステム12の弾性部25の下端開口縁を受ける受け面51Aが形成されている。
【0029】
シリンダ42は、平面視円環状のフランジ状の頂壁部61と、頂壁部61の内周側から上方に向けて延設された円筒状の立上筒部62と、頂壁部61の開口縁部から下方に向けて延設された円筒状の周壁部63と、周壁部63の下端から縮径して下方に向けて延設された円筒状の下筒部64と、下筒部64の下端から下方に向けて先細りに延設されたテーパ状の下テーパ筒部65と、下テーパ筒部65の下端から下方に向けて延びる接続管部67と、を有する。これら頂壁部61、立上筒部62、下筒部64、下テーパ筒部65および接続管部67は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0030】
立上筒部62は、案内筒部45の下筒部64内に下方から嵌入されて連結されている。
周壁部63は、その上部に、シリンダ42の内外を連通させる外気導入孔63Aが形成されている。この外気導入孔63Aは、上昇端位置にあるピストン41の外周面によってシリンダ42の内側から閉塞されている。
【0031】
下筒部64は、その内周面に、上下方向に沿う複数の縦リブ部64Aを有する。
下テーパ筒部65は、その内側に弁体44を配設している。弁体44は、下テーパ筒部65の内周テーパ面65Aに離着自在である。
弁体44は、球状に形成された合成樹脂製のいわゆるボール弁とされている。弁体44は、廃棄時における分別の手間を抑える観点から、他構成と同様、合成樹脂製であることが好ましい。また、弁体44は、金属製等であってもよい。さらに、ボール弁に替わる種々の弁体を用いた逆止弁でもよい。
【0032】
下テーパ筒部65の内周テーパ面65Aには、径方向外側から内側に向かうにしたがって上方に向けて傾斜する規制突部65Bが突設されている。規制突部65Bの上端の内径は、弁体44の外径よりも小さくされる。これにより、規制突部65Bは、弁体44の上方への抜けを規制している。
接続管部67は、後述する正倒立両用アダプタ101を外嵌させて連結するものである。
【0033】
ピストンガイド43は、ピストン41を貫通するとともにステム12の上筒部12A内に上部を嵌入させる円筒状のガイド筒部43Aと、ガイド筒部43Aの下端に形成されてピストン41よりも下方に位置する底部43Bと、を有する。底部43Bは、ガイド筒部43Aに対して拡径した厚板のフランジ状に形成されている。ピストンガイド43内には、軸方向に沿う流路43Fが形成されている。
【0034】
流路43Fは、ピストンガイド43の上端部では上方に開放するとともに、ピストンガイド43の下端部では底部43Bにより閉塞される。ピストンガイド43は、底部43Bの外周部が下筒部64内の複数の縦リブ部64Aの上端に当接するまで下降可能である。ガイド筒部43Aの下端部外周には、底部43Bの上面に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ状の当接部43Eが形成されている。当接部43Eには、ピストン41の閉塞部52の下端部が当接可能である。
【0035】
ガイド筒部43Aの下部外周で当接部43Eの直ぐ上方には、ピストンガイド43内とシリンダ42内とを連通可能な例えば複数の連通孔43Cが形成されている。連通孔43Cは、当接部43Eおよびピストン41の閉塞部52の下端部よりも上方に位置しており、当接部43Eおよび閉塞部52が互いに当接(密接)した状態では、連通孔43Cとシリンダ42内との連通が遮断されている。
【0036】
ガイド筒部43Aの上部外周には、ピストンガイド43内とシリンダ42内とを連通可能な例えば複数の貫通孔43Dが形成されている。貫通孔43Dは、ステム12の下筒部12Cの上端部内側に連通するべく開口している。
ガイド筒部43Aは、貫通孔43Dよりも上方でステム12の上筒部12A内に嵌合保持されている。これにより、ピストンガイド43は、ステム12とともに一体に上下移動する。
【0037】
案内筒部45は、中心軸Oと同軸に配置されている。案内筒部45は、シリンダ42の立上筒部62が嵌入された円筒状の外筒部71と、外筒部71の上部の径方向内側に配設された円筒状の内筒部72と、を有する。外筒部71および内筒部72は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0038】
外筒部71は、下部内に立上筒部62を嵌入させており、かつ上部内に後述する開閉弁97を嵌入させている。外筒部71の上端には、径方向の内側に向けて突出する接続フランジ部73が全周に渡って設けられている。接続フランジ部73の内周端縁は、内筒部72の下部外周に接続されている。
【0039】
外筒部71の下部には、径方向の外側に向けて突出する上下一対のフランジ部74A,74Bが全周に渡って設けられている。上下フランジ部74A,74Bのうち、外筒部71の下端に位置する下フランジ部74Bは、シリンダ42の頂壁部61上に配置されている。
【0040】
内筒部72の下方には、接続フランジ部73の下面よりも下方に突出する環状突部72Aが形成されている。環状突部72A、接続フランジ部73および外筒部71の上部により、下方に開放する環状の嵌合凹部72Bが形成されている。嵌合凹部72Bには、開閉弁97の厚肉筒部98の上部が嵌合されている。環状突部72Aの下端面とステム12の段差面12BSとの間には、開閉弁97の環状の薄肉弁体99が挟み込まれている。内筒部72内には、ステム12の上筒部12Aが下方移動自在に挿通されている。
【0041】
シリンダ42の頂壁部61における立上筒部62よりも外周側の部位は、シリンダ42の周壁部63から径方向の外側に向けて突出し、口部3の上端開口縁上に配置されたフランジ状の支持板部61Aとされている。
案内筒部45の下フランジ部74Bは、支持板部61A上に配置され、装着キャップ11の押え板部23に上方から押圧されている。支持板部61Aと口部3の上端開口縁との間には、環状のパッキン66が介在されている。下フランジ部74Bは、支持板部61Aと押え板部23とにより上下方向で挟持される挟着板部とされている。
【0042】
支持板部61Aおよび下フランジ部74Bは、容器本体2の口部3の上端開口縁と押え板部23とにより上下方向で挟み込まれている。
下フランジ部74Bは、支持板部61Aの外径61rよりも小さい外径74rとなるように形成されている。
押え板部23は、下フランジ部74Bの外径74rよりも小さい内径23rとなるように形成されている。
【0043】
押下部材16を支持する支持部15は、案内筒部45から後方に向けて突設されており、左右方向に間隔をあけて配設された一対の側壁部77と、一対の側壁部77の後端縁同士を左右方向に接続する後壁部78と、を有する。
【0044】
各側壁部77は、前側から後側に向かうに従い漸次、上側に向けて延びている。各側壁部77の上端部には、側面視で上方に凸の半円形状の突出片80が形成されている。突出片80の外側面には、左右方向に沿う円柱状の軸体77Aが突設されている。
【0045】
なお、軸体77Aの中心を通り、かつ左右方向に延びる仮想の軸線を、押下部材16の回転軸C1とする。後壁部78の内面には、突出片80の内側に位置するように上方に向かって突出し、一対の側壁部77同士および突出片80同士を左右方向に連結する補強壁78Aが形成されている。
【0046】
各側壁部77の前部には、下方に向けて窪む支持凹部81が形成されている。各支持凹部81には、後述する延在体95の連結軸96が支持されている。
支持部15は、案内筒部45の後部から上方且つ後方に向けて突設されている。なお、例えば装着キャップ11の後部から上方且つ後方に向けて支持部が突設された構成も有り得る。
【0047】
押下部材16は、軸体77Aを介して支持部15に取り付けられている。これにより、押下部材16は、支持部15に回転軸C1回りに回転可能(揺動可能)に連結されている。
押下部材16は、吐出ヘッド13を上方から覆う天板部90と、天板部90の前端縁から前方に向けて斜め下方に延在する前板部91と、天板部90の左右両側の側端縁から下方に向けて延在し、左右方向に向かい合う一対の側板部92と、を有する。天板部90と一対の側板部92とで囲まれる内部空間には、吐出ヘッド13が配置されている。
【0048】
一対の側板部92は、吐出ヘッド13を左右方向から挟むように配置されている。吐出ヘッド13の外側面には、左右方向に沿う円柱状の軸体13Bが突設されている。一対の側板部92の内面には、側面視で軸体13Bよりも大径の円形状をなして軸体13Bを遊嵌させるヘッド用軸孔部92Bが形成されている。これら軸体13Bおよびヘッド用軸孔部92Bを介して、押下部材16の上下の回転と吐出ヘッド13の上下動とが連係されている。
【0049】
天板部90は、上方に向けて膨らむように滑らかに湾曲した形状とされ、その後端部は支持部15における後壁部78の上方開口縁に上方から接触している。これにより、押下部材16は、回転軸C1を中心としたこれ以上の上方への回転が規制された状態で位置決めされている。
【0050】
天板部90の前側部分には、天板部90を貫通する第一貫通孔93が形成されている。第一貫通孔93は、天板部90における左右方向の中央部分に形成されているとともに、前方に開口するように形成されている。これにより、天板部90の前側部分は、左右方向に二股に分かれた形状とされている。
【0051】
前板部91は、二股に分かれた天板部90の前端縁から前方に向けて斜め下方に延在している。この際、前板部91の上側部分には、前板部91を貫通するとともに上下方向に延在する第二貫通孔94が形成されている。この第二貫通孔94は、前板部91の中央部分に形成されているとともに、上方に開口するように形成され、第一貫通孔93に対して一体に繋がっている。
【0052】
第二貫通孔94内には、ヘッド本体30のノズル筒部32が挿通されている。ノズル筒部32は、第二貫通孔94を通して前板部91よりも前方に突出している。なお、前板部91の下側部分は、指先を掛けるための指掛部分とされている。
【0053】
一対の側板部92は、吐出ヘッド13および支持部15を左右方向に挟んでいる。一対の側板部92の後部側の内面には、軸体77Aが挿通される軸孔部92Aが形成されている。押下部材16は、軸体77A回り、すなわち回転軸C1回りに回転可能に支持されている。
【0054】
押下部材16は、付勢部材である延在体95からの弾性力(ばね力)によって上方付勢されている。
延在体95は合成樹脂製とされ、長尺でかつ湾曲した弾性変形可能な柱状に形成されている。延在体95は、押下部材16の天板部90の下方に配置されており、一端部95Aが支持部15に連結され、他端部95Bが押下部材16の内側に配設されている。
【0055】
延在体95は、長手方向の中間部分95Cが後方に向けて突となるように湾曲しており、押下部材16における天板部90の下方に配置されている。延在体95は、天板部90における二股部分の下方に配置されるように、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。これら一対の延在体95の一端部95A同士は、左右方向に沿って延びる円柱状の連結軸96によって互いに連結されている。これにより、一対の延在体95および連結軸96は1つのユニットとされている。
【0056】
連結軸96は、支持部15に形成された支持凹部81内に回転自在に支持されている。これにより、延在体95の一端部95Aは、連結軸96を介して支持部15に連結されている。延在体95の他端部95Bは、天板部90における二股部分の下面に対して下方から当接している。これにより、延在体95の他端部95Bは、押下部材16の内側に配設されている。
【0057】
係る構成において、
図3に示すように、押下部材16を回転軸C1回りに下方に回転させると、それに伴って延在体95の他端部95Bが下方移動するように該延在体95が弾性変形し、吐出ヘッド13を下方移動させることができる。
押下部材16を下方に回転させる入力が解除されると、延在体95が押下部材16を上方付勢していることから、押下部材16は回転軸C1回りに上方に逆回転し、
図1に示す回転前の元の位置に復帰する。
【0058】
案内筒部45内には、シリンダ42内のうちピストン41より上方に位置する上部空間K1と外気導入路S1との連通を遮断可能な開閉弁97が嵌合されている。開閉弁97は、案内筒部45に形成された嵌合凹部72B内に上部が嵌合されるとともに、下端開口縁がシリンダ42の立上筒部62の上端開口縁に当接する厚肉筒部98と、厚肉筒部98から径方向の内側に向けて突出し、上方移動したステム12と案内筒部45とに挟まれて外気導入路S1とシリンダ42内の上部空間K1との連通を遮断可能な薄肉弁体99と、を備える。図中符号K2はシリンダ42内のうちピストン41より下方に位置する下部空間(ポンプ室)を示す。
【0059】
図2、
図4、
図5を参照し、開閉弁97は、厚肉筒部98の上下方向の中央に薄肉弁体99を備えている。薄肉弁体99は、その内周側にステム12を上下摺動自在に嵌入させている。薄肉弁体99の内周端縁は、ステム12の外周面に密接可能なシール面99Sとされている。
薄肉弁体99の上下面における内周縁部には、例えば凹状の間隙形成部99Aが形成されている。薄肉弁体99上下の間隙形成部99Aは、互いに周方向でずれて配置されている。これにより、シール面99Sは、径方向の内周側から見て、上下に蛇行しつつ周方向で連続するように形成されている。
【0060】
容器本体2内の内容物を吐出するべく、吐出ヘッド13、ステム12およびピストン41をシリンダ42に対して一体的に押下させると、ステム12に密接する薄肉弁体99が下方にめくれるように弾性変形する(
図3参照)。このとき、シール面99Sがステム12の外周面から離間するとともに薄肉弁体99の上面の内周縁部がステム12に当接するので、間隙形成部99Aによりステム12と薄肉弁体99との間に隙間が形成される。この間隙を通して、外気導入路S1とシリンダ42内の上部空間K1とが連通する。これにより、外気導入孔63Aを通して上部空間K1に外気を導入可能となる。なお、間隙形成部99Aは、凹状に限らず凸状であってもよい。また、間隙形成部99Aの大きさを適宜調整することによって、ステム12と薄肉弁体99との間に形成される隙間を、内容物を通さず空気のみを通過可能な大きさに設定することも可能である。
【0061】
厚肉筒部98の内周面における薄肉弁体99との接続部分には、径方向の外側に向けて窪む環状溝98Dが全周に渡って形成されている。これにより、薄肉弁体99における径方向の長さL1が確保され、内容物吐出時に薄肉弁体99が柔軟に弾性変形する。また、厚肉筒部98の上下開口端部98Aにおける径方向の厚さH1も確保される。
【0062】
開閉弁97は、厚肉筒部98の上部を案内筒部45の嵌合凹部72B内に嵌合させることで、案内筒部45に固定的に装着されるが、厚肉筒部98の開口端部98Aにおける径方向の厚さH1が薄いと、嵌合凹部72B内への嵌入時に厚肉筒部98が変形して装着不良となる虞がある。これに対し、本実施形態の開閉弁97は、厚肉筒部98の開口端部98Aにおける径方向の厚さH1を確保し易く、開閉弁97のセット性(組み付け作業性)が高まる。
【0063】
ここで、薄肉弁体99における径方向の長さL1は、薄肉弁体99の作動性を確保するために長さが必要である。また、厚肉筒部98の開口端部98Aにおける径方向の厚さH1は、開閉弁97の組み付け易さのために厚さが必要である。開閉弁97においては、外筒部71の内面と上筒部12Aの外面との間の限られた隙間の中で、長さL1と厚さH1とを両方確保する必要がある。
このため、開閉弁97では、環状溝98Dを設けることで、長さL1の確保と厚さH1の確保とを両立させている。
【0064】
図6、
図7は、開閉弁97の他の形態を示す。この開閉弁97は、環状溝98Dを有しておらず、厚肉筒部98の内周面が軸方向と平行に形成されており、軸方向の型割りで成型する際の離型性がよい。
【0065】
長さL1および厚さH1の好適な組み合わせとして、開閉弁97では、薄肉弁体99の径方向長さL1に対して、厚肉筒部98の開口端部98Aの径方向厚さH1を0.633L1としたときに、開閉弁97のセット性が良好であることが確認できた。他、厚肉筒部98の開口端部98Aの径方向厚さH1は、0.6L1以上であると、開閉弁97のセット性がよく、かつ薄肉弁体99の作動性も良好であった。
【0066】
本実施形態の開閉弁97は、厚肉筒部98の上下方向の中央に薄肉弁体99が設けられ、かつ薄肉弁体99の上下面にそれぞれ間隙形成部99Aが形成されており、間隙形成部99Aの周方向位置を除いて上下対称の構成とされている。このため、嵌合凹部72B内へのセット時に上下方向の向きを確認しなくてもよく、開閉弁97のセット性がさらに高まる。開閉弁97が上下非対称の場合、案内筒部45に嵌合する側の開口端部98Aのみ、前述の如く径方向厚さを確保すればよい。厚肉筒部98の外周部には、嵌合凹部72Bへの嵌入をスムーズにするためのエア抜き用の凹部98Cが形成されている。
【0067】
図1を参照し、正倒立両用アダプタ101は、吐出器1の正立時および倒立時の双方で、吐出器1におけるシリンダ42内の負圧時に、シリンダ42内に内容物を供給可能とする。
正倒立両用アダプタ101は、円筒状の本体筒部110を備える。本体筒部110は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0068】
本体筒部110は、シリンダ42の接続管部67に上端部が外嵌された円筒状の外側筒部材111と、上部が外側筒部材111内に配設され、かつ下部が外側筒部材111から下方に突出した内側筒部材112と、を有する。内側筒部材112の下端部内には、容器本体2内の内容物を流通させる円筒状のパイプ113の上端部が嵌入されている。これら外側筒部材111、内側筒部材112、およびパイプ113は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0069】
外側筒部材111は、シリンダ42の接続管部67に上端部を嵌合させた円筒状の外筒部114と、外筒部114の上部内側に配設され、外筒部114の内部を上下に仕切る仕切壁部115と、仕切壁部115から下方に延設され内側筒部材112の上端部が外嵌される円筒状の下筒部117と、を有する。仕切壁部115には、上下方向に貫く通液孔119が形成されている。
【0070】
下筒部117の上端部における外周面のうち、一部が外筒部114の内周面に接続され、他の部分と外筒部114の内周面との間には径方向の隙間が設けられている。外側筒部材111には、下筒部117の上端部における前記一部および外筒部114を径方向に貫く倒立時導入孔121が形成されている。倒立時導入孔121には、吐出器1の倒立時に容器本体2内の内容物が導入される。
【0071】
内側筒部材112は、上端部が下筒部117に連結された円筒状の上側筒部122と、上側筒部122よりも下方に配設され、かつ下部が外側筒部材111から下方に突出した円筒状の下側筒部123と、上側筒部122と下側筒部123とを結合する円筒状の結合筒部124と、を有する。
上側筒部122の上端部は、下筒部117に外嵌されている。上側筒部122の外周面と外筒部114の内周面との間には、内容物を流通させる第一流路R1が形成されている。第一流路R1は通液孔119に連通している。
【0072】
上側筒部122の下端部は、内径および外径が下方に向かうにしたがって漸次縮径するテーパ状をなしている。上側筒部122の内側には、球状の切替弁125が配設されている。
結合筒部124の外周面と外筒部114の内周面との間には、内容物を流通させる第二流路R2が形成されている。第二流路R2は第一流路R1に連通している。結合筒部124には、その内部と第二流路R2とを連通する例えば複数の連絡孔126が形成されている。
連絡孔126、第二流路R2、第一流路R1および通液孔119は、内側筒部材112下端の正立時導入孔129および倒立時導入孔121と、シリンダ42の下端開口部(接続管部67の下端開口部)と、を連通する連通路Rを構成している。
【0073】
下側筒部123は、外側筒部材111の下端部内に嵌合されている。下側筒部123の上端部は、内径および外径が上方に向かうにしたがって漸次縮径するテーパ状をなしている。下側筒部123の内側には、球状の下弁体127が配設されている。
下側筒部123の内周面には、径方向内側に向けて突出し、上下方向に延在する複数の第二縦リブ部128が形成されている。これら複数の第二縦リブ部128により、下弁体127の第二縦リブ部128よりも下方への移動が規制されている。
【0074】
パイプ113の上端部は、下側筒部123の下端部内に嵌合されている。パイプ113の下端開口部は、容器本体2内の底部に向けて開口する下端開口113Aを形成している。下端開口113Aおよび正立時導入孔129は、倒立時導入孔121より下方に配置されている。正立時導入孔129には、パイプ113を通して内容物が導入される。
【0075】
次に、吐出器1の作用について説明する。
図1、
図3を参照し、吐出器1の使用時には、まず、吐出規制部材75によって吐出がロックされているか否かを確認する。吐出がロックされている場合は、ロックレバー76を操作して吐出規制部材75をロック位置からアンロック位置に退避させ、吐出のロックを解除する。
【0076】
次いで、押下部材16を含んで吐出器1を把持し、押下部材16の前板部91を後方へ引くことで、押下部材16を延在体95の付勢力に抗して回転軸C1回りに下方へ回転させる。
押下部材16を下方に向けて回転させると、延在体95は他端部95Bが天板部90によって下方に向けて押し込まれるように弾性変形する。これにより、押下部材16の操作反力が発生するとともに、操作前の初期状態への復元力が畜力される。
【0077】
押下部材16の回転に伴って、天板部90が窪み部90Aおよび被押下突部30Aを介して吐出ヘッド13の頂部を下方に向けて押し込み、吐出ヘッド13を下方移動させる。このとき、ステム12が下方移動することで、開閉弁97の薄肉弁体99がステム12の外周面に引きずられて、下方にめくれるように弾性変形する。すると、薄肉弁体99上面の間隙形成部99Aにより、外気導入路S1とシリンダ42内の上部空間K1とが連通し、外気導入孔63Aを通して上部空間K1に外気を導入可能となる。このため、ピストン41の下方移動がスムーズになり、内容物の吐出操作力が軽減される。
【0078】
ステム12にはピストンガイド43が挿通保持され、かつステム12の下端部にはピストン41に当接する弾性部25が設けられている。これにより、吐出ヘッド13を押下げると、ピストンガイド43およびピストン41が一体となってシリンダ42に対して下降する。ピストン41は、ピストンガイド43の連通孔43Cを閉塞して該連通孔43Cとシリンダ42内との連通を遮断した状態で下降する。シリンダ42の下端は弁体44によって閉塞されているので、ピストン41の下降によりシリンダ42内が加圧される。
【0079】
シリンダ42の内圧が所定の圧力まで上昇すると、上昇した内圧に起因してピストン41の下方移動が抑止される。この状態でさらに吐出ヘッド13を押下げると、ステム12の弾性部25が、下端部をピストン41の受け面51Aに沿って径方向内側に摺動させるように変形しつつ、上下方向の長さを短縮する。この短縮分だけ、吐出ヘッド13およびピストンガイド43がピストン41に対して相対的に下方移動し始める。
【0080】
ピストンガイド43がピストン41に対して下方移動すると、ピストン41の閉塞部52の下端がピストンガイド43の当接部43Eから離間する。これにより、閉塞部52の下端部とピストンガイド43の外周面との間には間隙が形成され、この間隙を通して連通孔43Cがシリンダ42内と連通する。
【0081】
これにより、シリンダ42内の内容物が、閉塞部52の内周面とピストンガイド43の外周面との間の間隙および連通孔43Cを通って、ピストンガイド43内の流路43Fに流入する。ピストンガイド43内に流入した内容物は、吐出ヘッド13の装着筒部31を経てノズル筒部32に至り、ノズル筒部32の吐出孔13Aから外部に吐出される。
【0082】
内容物の吐出操作において、延在体95は、押下部材16の下方への回転に伴って弾性変形し、弾性力(ばね力)を蓄えている。このため、内容物の吐出後、押下部材16を回転させる操作(吐出ヘッド13を押下する操作)を止めると、延在体95が弾性力により復元変形し、押下部材16が回転軸C1回りに上方に向けて逆回転して、操作前の初期位置に復帰する。
【0083】
このとき、押下部材16の側板部92に形成されたヘッド用軸孔部92Bと吐出ヘッド13に形成された軸体13Bとの係合により、押下部材16の上方への回転に連動して吐出ヘッド13が上方移動する。これにより、押下部材16が初期位置に復帰するとともに、吐出ヘッド13が上方に向けて復元移動する。つまり、延在体95の弾性力を利用して、吐出ヘッド13を上方付勢することができ、吐出ヘッド13を下降前の初期位置に復帰させることができる。この結果、押下部材16および吐出ヘッド13を速やかに元の位置に復帰させて、次回の吐出に備えることができる。
【0084】
吐出ヘッド13およびピストンガイド43が上昇する際、シリンダ42内が減圧され、弁体44が浮上してシリンダ42の下端部を開放させる。これにより、容器本体2内の内容物が、正倒立両用アダプタ101を通ってシリンダ42内に流入する。
【0085】
正倒立両用アダプタ101において、シリンダ42内の減圧による負圧は、切替弁125および下弁体127それぞれに連通路Rを通して作用する。
吐出器1の正立時には、切替弁125が倒立時導入孔121と連通路Rとの連通を遮断した状態が維持されるとともに、下弁体127が第二縦リブ部128から離反する。その結果、容器本体2内の内容物が、正立時導入孔129、本体筒部110内および連通路Rを通して、シリンダ42の下端部に至り、シリンダ42内に流入する。
【0086】
一方、吐出器1の倒立時には、容器本体2内の底部に開口する正立時導入孔129が、容器本体2内の内容物の液面から突出し、倒立時導入孔121が、容器本体2内の内容物内に位置した状態となる。このとき、切替弁125が自重に基づいて上側筒部122の内側から離反し、倒立時導入孔121と連通路Rとが本体筒部110内を通して連通する。この状態で、シリンダ42内に負圧が発生すると、容器本体2内の内容物が、倒立時導入孔121、本体筒部110内および連通路Rを通して、シリンダ42の下端部に至り、シリンダ42内に流入する。
【0087】
ここで、吐出器1の製造方法の要部について説明する。
本実施形態のように、ポンプ14の後部に支持部15が張り出している構成では、容器本体2に装着キャップ11およびポンプ14を組み付ける際には、ポンプ14に対して装着キャップ11を上方から装着するのではなく、ポンプ14に対して装着キャップ11を下方から装着する、すなわちポンプ14を装着キャップ11に上方から装着することとなる。
【0088】
まず、第一工程として、案内筒部45を装着キャップ11内に、装着キャップ11の上方から押し込み、下フランジ部74Bを押え板部23の上方から下方に至らしめる。押え板部23は、下フランジ部74Bの外径74rよりも小さい内径23rとされるので、下フランジ部74Bを押え板部23の上方から下方に至らしめる際には、下フランジ部74Bおよび押え板部23の少なくとも一方が弾性変形しつつ、下フランジ部74Bが押え板部23を乗り越えてその下方に至る。このとき、下フランジ部74Bが比較的小径とされているので、下フランジ部74Bが押え板部23を乗り越えてその下方に至り易い。
【0089】
次いで、第二工程として、ステム12、ピストン41およびシリンダ42が組み立てられた組み立て体を、装着キャップ11内に下方から挿入し、シリンダ42の上端部を案内筒部45の外筒部71内に嵌合させるとともに、下フランジ部74Bを押え板部23と支持板部61Aとにより上下方向で挟み込む。
【0090】
第二工程を経た組み立て体を容器本体2に組み付けるべく、該組み立て体の装着キャップ11を口部3に螺着することで、口部3の上端開口縁と押え板部23の下端開口縁との間に、下フランジ部74B、支持板部61Aおよびパッキン66が重なった状態で挟持される。
押え板部23の下端開口縁は、軸方向から見て口部3の上端開口縁と重なるように設けられ、押え板部23から下方(締め込み方向)に向けて作用する押圧力が口部3の上端開口縁に良好に支持される。これにより、口部3の上端開口縁と押え板部23の下端開口縁との間に下フランジ部74B等を強固に挟持することができる。
【0091】
以上説明したように、上記実施形態における吐出器1によれば、案内筒部45の下フランジ部74Bが、シリンダ42の支持板部61Aと装着キャップ11の押え板部23とにより上下方向で挟み込まれるので、案内筒部45を、装着キャップ11およびシリンダ42に対して、より強固に装着することができる。
そして、案内筒部45に突出部分が形成される等により、案内筒部45に対して装着キャップ11を下方から装着する構成であっても、下フランジ部74Bの外径74rが支持板部61Aの外径61rより小さいので、案内筒部45および装着キャップ11の組み付けを容易にすることができる。
すなわち、案内筒部45に対して装着キャップ11を下方から装着して、装着キャップ11の押え板部23を案内筒部45の下フランジ部74Bの上方まで至らしめる構成においては、押え板部23および下フランジ部74Bの少なくとも一方が弾性変形しつつ、押え板部23が下フランジ部74Bを乗り越えて上方に至る。このとき、下フランジ部74Bが比較的小径に形成されているので、押え板部23が下フランジ部74Bを乗り越えて上方に至り易く、装着キャップ11および案内筒部45の組み付けを容易にし、かつ装着キャップ11および案内筒部45の破損を抑制するこができる。
その後、装着キャップ11および案内筒部45の組み付け体に対し、シリンダ42を下方から装着することで、シリンダ42の支持板部61Aと装着キャップ11の押え板部23との間に案内筒部45の下フランジ部74Bを挟み込む。このとき、シリンダ42の支持板部61Aは比較的大径なので、案内筒部45の下フランジ部74Bを下方から広範囲に支持し、シリンダ42の支持板部61Aと装着キャップ11の押え板部23との間に案内筒部45の下フランジ部74Bを確実に挟み込むことができる。
【0092】
また、上記吐出器1は、前記押え板部23が、径方向の外側から内側に向かうに従い、漸次下方に向けて延びているので、案内筒部45に対して装着キャップ11を下方から装着する際、装着キャップ11の押え板部23の傾斜により、押え板部23の弾性変形がスムーズになり、押え板部23が下フランジ部74Bをより一層乗り越え易くなり、装着キャップ11および案内筒部45の組み付けをさらに容易にすることができる。また、押え板部23が下端側(自由端側)ほど装着キャップ11の周壁部22から離間するので、押え板部23を弾性変形させるための隙間が広がり、押え板部23を大きく撓ませて下フランジ部74Bの乗り越えを容易にすることができる。
【0093】
また、上記吐出器1の製造方法によれば、案内筒部45に対して装着キャップ11を下方から装着して、装着キャップ11の押え板部23を案内筒部45の下フランジ部74Bの上方まで至らしめる構成において、押え板部23が下フランジ部74Bを乗り越えて上方に至る際、下フランジ部74Bが比較的小径に形成されているので、押え板部23が下フランジ部74Bを乗り越えて上方に至り易く、装着キャップ11および案内筒部45の組み付けを容易にし、かつ装着キャップ11および案内筒部45の破損を抑制することができる。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、薄肉弁体99は、内周端縁をステム12の外周面に密接するシール面99Sとする構成に限らず、内周端縁がステム12の外周面から離間し、薄肉弁体99自身がステム12の段差面12BSと環状突部72Aの下端面との間に挟み込まれることで、外気導入路S1とシリンダ42内の上部空間K1との連通を遮断する構成であってもよい。
また、本発明を適用する吐出器は、正倒立両用の吐出器1に限らず、正立専用の吐出器1であってもよい。このとき、正倒立両用アダプタ101を用いず、接続管部67に容器本体2内の内容物を流通させるチューブ等を装着してもよい。
また、トリガー状の押下部材16を用いる吐出器1に限らず、ヘッド本体30を直接押下して内容物を吐出させる吐出器に適用してもよい。この場合、支持部15のような張り出しが無ければ、装着キャップ11をポンプの上方から装着可能とすることも有り得る。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。