(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590626
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】シール材および管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/02 20060101AFI20191007BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
F16L21/02 F
F16L21/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-200639(P2015-200639)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2017-72222(P2017-72222A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一也
(72)【発明者】
【氏名】山田 翔太
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−231570(JP,A)
【文献】
特開2010−286017(JP,A)
【文献】
特開平04−249690(JP,A)
【文献】
特開2009−275787(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10306316(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00 − 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口に挿口が挿入される管継手に用いられ、受口の内面と挿口の外面との間をシールする弾性材製の環状のシール材であって、
受口の内面に形成された係止溝に嵌め込まれるヒール部と、受口の内面と挿口の外面との間で圧縮されるバルブ部とを有し、
ヒール部はバルブ部よりも高硬度の高硬度部材からなり、
バルブ部はヒール部よりも低硬度の低硬度部材を含み、
バルブ部は、外面と、受口奥側ほど縮径したテーパー状の内面と、受口奥側の端面とを有し、
ヒール部はバルブ部の外面よりも径方向外側に突出する突部を有し、
バルブ部の外面は、ヒール部の突部以外において、凹凸が無く、管軸方向においてストレートに形成された円環状の面であり、
高硬度部材と低硬度部材との境界面の外周端がバルブ部の外面に達して、高硬度部材がバルブ部の外面の一部を構成し、
バルブ部の内面の受口奥側端部に、バルブ部の内面から径方向内側へ突出する奥側突部が形成され、
受口奥側の端面は、外面の受口奥側端部と奥側突部とにわたり、径方向に沿って形成され、
挿口が受口に挿入された状態で、受口奥側に開放されている間隙が受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間に形成されるとともに、奥側突部の形成箇所が径方向において上記間隙と挿口の外面との間に位置することを特徴とするシール材。
【請求項2】
受口奥側の端面は、横断面において、受口奥側に膨らんだ所定半径の円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
挿口が受口に挿入された状態で、バルブ部の内面と挿口の外面との接触部分は、管軸方向において、バルブ部の外面と受口の内面との接触部分よりも、受口奥側へ延びていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシール材。
【請求項4】
上記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシール材を備えた管継手であって、
挿口が受口に挿入され、
受口の内面に係止溝が形成され、
シール材のヒール部が係止溝に嵌め込まれ、
シール材のバルブ部が受口の内面と挿口の外面との間で圧縮され、
バルブ部の受口奥側の端面が受口奥側ほど縮径するように傾斜し、
受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間に間隙が形成され、
間隙は受口奥側に開放されており、
奥側突部の形成箇所が径方向において上記間隙と挿口の外面との間に位置することを特徴とする管継手。
【請求項5】
挿口の外面に挿口突部が形成され、
受口の内部で且つシール材よりも奥側に、ロックリングが設けられ、
挿口突部が受口奥側からロックリングに係合可能であることを特徴とする請求項4記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材およびシール材を備えた管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシール材を備えた管継手としては、例えば
図9に示すように、離脱防止機能を持たせたスリップオンタイプのものがある。この管継手101は、挿口102が受口103に挿入され、受口103の内面と挿口102の外面との間をシールするゴム製の円環状のシール材104が受口103の内部に設けられている。
【0003】
また、受口103の内部で且つシール材104よりも奥側には、ロックリング105が設けられている。挿口102の外周に挿口突部106が形成され、挿口突部106は受口奥側からロックリング105に係合可能である。
【0004】
受口103の内面には係止溝107が形成され、シール材104は、係止溝107に嵌め込まれるヒール部108と、受口103の内面と挿口102の外面との間で圧縮されるバルブ部109とを有している。
【0005】
図10に示すように、バルブ部109は、外面110と、受口奥側ほど縮径したテーパー状の内面111と、受口奥側の端面112とを有している。また、内面111には、内面111から径方向内側へ突出する奥側突部113が形成されている。
【0006】
これによると、受口103の内部にシール材104とロックリング105とを装着し、挿口102を受口103に挿入することにより、バルブ部109が受口103の内面と挿口102の外面との間で圧縮され、受口103の内面と挿口102の外面との間がシールされる。
【0007】
尚、上記のような管継手101は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−231570
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、バルブ部109は、奥側突部113を含んだ全体部分が受口103の内面と挿口102の外面との間に挟まれて、径方向Bに圧縮される。このため、挿口102を受口103に挿入する際に要する接合力(押込み力)が増大するといった問題がある。
【0010】
本発明は、挿口を受口に挿入する際に要する接合力の増大を抑制することができるシール材および管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、受口に挿口が挿入される管継手に用いられ、受口の内面と挿口の外面との間をシールする弾性材製の環状のシール材であって、
受口の内面に形成された係止溝に嵌め込まれるヒール部と、受口の内面と挿口の外面との間で圧縮されるバルブ部とを有し、
ヒール部はバルブ部よりも高硬度の高硬度部材からなり、
バルブ部はヒール部よりも低硬度の低硬度部材を含み、
バルブ部は、外面と、受口奥側ほど縮径したテーパー状の内面と、受口奥側の端面とを有し、
ヒール部はバルブ部の外面よりも径方向外側に突出する突部を有し、
バルブ部の外面は、ヒール部の突部以外において、凹凸が無く、管軸方向においてストレートに形成された円環状の面であり、
高硬度部材と低硬度部材との境界面の外周端がバルブ部の外面に達して、高硬度部材がバルブ部の外面の一部を構成し、
バルブ部の内面の受口奥側端部に、バルブ部の内面から径方向内側へ突出する奥側突部が形成され、
受口奥側の端面は、外面の受口奥側端部と奥側突部とにわたり、径方向に沿って形成され、
挿口が受口に挿入された状態で、受口奥側に開放されている間隙が受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間に形成されるとともに、奥側突部の形成箇所が径方向において上記間隙と挿口の外面との間に位置するものである。
【0012】
これによると、ヒール部を係止溝に嵌め込んでシール材を受口の内部に装着し、挿口を受口に挿入する。この際、バルブ部が挿口に押されて受口奥側へ変形し、受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間に間隙が形成され、奥側突部の形成箇所が径方向において上記間隙と挿口の外面との間に位置する。
【0013】
これにより、バルブ部の外面と内面との間の部分は受口の内面と挿口の外面との間に挟まれて径方向に圧縮されるが、奥側突部の形成箇所は、上記間隙の存在により、受口の内面と挿口の外面との間に挟まれず径方向に圧縮されない。これにより、挿口を受口に挿入する際に要する接合力の増大を抑制することができる。
【0014】
また、挿口を受口に挿入した状態で、受口の軸心と挿口の軸心とが径方向にずれて、受口の内面と挿口の外面との間隔が所定の間隔よりも広くなった場合であっても、シール材の奥側突部が挿口の外面に圧接しているため、管内の流体がシール材と挿口の外面との間から漏出するのを防止することができる。
さらに、シール材が安定して受口の内部に装着される。
【0015】
本第2発明におけるシール材は、
受口奥側の端面は、横断面において、受口奥側に膨らんだ所定半径の円弧形状に形成されているものである。
【0016】
本第3発明におけるシール材は、
挿口が受口に挿入された状態で、バルブ部の内面と挿口の外面との接触部分は、管軸方向において、バルブ部の外面と受口の内面との接触部分よりも、受口奥側へ延びているものである。
【0021】
本第4発明は、上記第1発明から第3発明のいずれか1項に記載のシール材を備えた管継手であって、
挿口が受口に挿入され、
受口の内面に係止溝が形成され、
シール材のヒール部が係止溝に嵌め込まれ、
シール材のバルブ部が受口の内面と挿口の外面との間で圧縮され、
バルブ部の受口奥側の端面が受口奥側ほど縮径するように傾斜し、
受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間に間隙が形成され、
間隙は受口奥側に開放されており、
奥側突部の形成箇所が径方向において上記間隙と挿口の外面との間に位置するものである。
【0022】
これによると、受口の内面とバルブ部の受口奥側の端面との間の間隙に管内の流体が流入することにより、バルブ部の受口奥側の端面に流体圧が作用し、バルブ部を径方向内側へ押圧する押圧力が発生するため、バルブ部が挿口の外面に圧接し、シールに要する十分な面圧を得ることができる。
【0023】
本第
5発明における管継手は、挿口の外面に挿口突部が形成され、
受口の内部で且つシール材よりも奥側に、ロックリングが設けられ、
挿口突部が受口奥側からロックリングに係合可能であるものである。
【0024】
これによると、受口に挿入された挿口の挿口突部が受口奥側からロックリングに係合することにより、挿口が受口から不用意に離脱するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によると、挿口を受口に挿入する際に要する接合力の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態における管継手の断面図である。
【
図3】同、管継手に用いられるシール材の拡大断面図であり、管継手に取り付ける前の自然状態を示す。
【
図4】同、管継手に用いられるシール材の拡大断面図であり、
図3に示した拡大断面図からハッチングを削除したものである。
【
図5】同、受口に装着されたシール材の拡大断面図である。
【
図6】同、受口に挿口を挿入しているときのシール材の変形の様子を示す拡大断面図である。
【
図7】同、受口に挿口を挿入しているときのシール材の変形の様子を示す拡大断面図である。
【
図8】同、管継手の一部拡大断面図であり、挿口と受口との間隔が所定の間隔よりも広くなった状態を示す。
【
図10】同、管継手に用いられるシール材の拡大断面図であり、管継手に取り付ける前の自然状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、1は離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の鋳鉄製の管2の端部に形成された受口3に、他方の鋳鉄製の管4の端部に形成された挿口5が挿入されている。
【0028】
受口3の内面には、係止溝10と、係止溝10よりも受口奥側に位置するロックリング用溝11とがそれぞれ全周にわたり形成されている。ロックリング用溝11には、芯出し用部材12を介して、ロックリング13が嵌め込まれている。
【0029】
芯出し用部材12は、ロックリング13を保持し且つ芯出しするための樹脂製の円環状の部材である。また、ロックリング13は、周方向の一箇所で分割された一つ割りの金属製のリングであり、弾性的な縮径力を有することで、挿口5の外面に弾性的に抱き付くように構成されている。
【0030】
挿口5の先端部外面には、挿口突部15が全周にわたり形成されている。挿口突部15は、挿口5の先端面から管軸方向Aに所定距離Lだけ離れた位置に形成されている。挿口突部15が受口奥側からロックリング13に係合することで、受口3からの挿口5の離脱が防止される。
【0031】
受口3の内部で且つ受口3の開口端部とロックリング13との間には、受口3の内面と挿口5の外面との間をシールするシール材18が設けられている。
シール材18は、ゴム等の弾性材からなる円環状の部材であり、係止溝10に嵌め込まれるヒール部19と、受口3の内面と挿口5の外面との間で圧縮されるバルブ部20とを有している。
【0032】
図3,
図4は管継手1に取り付ける前の自然状態の単体のシール材18を示している。バルブ部20は、外面22と、内面23と、受口奥側の端面24とを有している。内面23は受口奥側ほど縮径したテーパー状の面である。内面23の受口奥側端部には、内面23から径方向内側へ突出する奥側突部25が全周にわたり形成されている。
【0033】
受口奥側の端面24は、外面22の受口奥側端部と奥側突部25とにわたり、径方向Bに沿って形成されている。尚、受口奥側の端面24は、横断面において、受口奥側に僅かに膨らんだ所定半径r1の円弧形状に形成されている。
【0034】
外面22と受口奥側の端面24とのコーナー部分には、所定半径r2の円弧状の奥側コーナー面28が形成されている。奥側突部25の位置と奥側コーナー面28の位置とは管軸方向Aにおいて同じである。尚、奥側突部25の位置と奥側コーナー面28の位置とは、管軸方向Aにおいて、正確に同じでなくても、少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0035】
奥側突部25は、その内端に、管軸方向Aにおいて平坦な内端頂部26を全周にわたり有している。内端頂部26は管軸方向Aにおける奥側コーナー面28の形成範囲D内に含まれている。
【0036】
ヒール部19はバルブ部20の外面22よりも径方向Bの外側へ突出している。バルブ部20の外径Cはヒール部19と奥側コーナー面28との間の範囲において一定であり、外面22は、凹凸が無く、管軸方向Aにおいてストレートに形成された円環状の面である。
【0037】
図3の太い斜線部分で示すように、ヒール部19はバルブ部20よりも高硬度の高硬度部材19a(例えば硬質ゴム等)からなり、
図3の細い斜線部分で示すように、バルブ部20はヒール部19よりも低硬度の低硬度部材20a(例えば軟質ゴム等)からなる。高硬度部材19aと低硬度部材20aとの境界面30は、外周端がバルブ部20の外面22に達し、内周端が内面23に達している。
【0038】
芯出し用部材12を介してロックリング13を受口3内のロックリング用溝11に嵌め込み、
図5に示すようにシール材18のヒール部19を受口3内の係止溝10に嵌め込み、
図6,
図7に示すように挿口5を受口3に挿入して、
図1に示すように一方の管2と他方の管4とを接合した状態においては、シール材18のバルブ部20が受口3の内面と挿口5の外面との間で圧縮されて変形し、バルブ部20の受口奥側の端面24が受口奥側ほど縮径するように傾斜し、受口3の内面とバルブ部20の受口奥側の端面24との間に間隙31が形成される。
【0039】
図1,
図2に示すように、この間隙31は受口奥側に開放されているとともに受口奥側ほど径方向Bに拡大している。そして、バルブ部20の奥側突部25の形成箇所Eが径方向Bにおいて上記間隙31と挿口5の外面との間に位置する。
【0040】
また、バルブ部20の内面と挿口5の外面との接触部分は、管軸方向Aにおいて、バルブ部20の外面と受口3の内面との接触部分よりも、受口奥側に延びている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0041】
一方の管2と他方の管4とを接合する場合、先ず、芯出し用部材12を介してロックリング13を受口3内のロックリング用溝11に嵌め込み、
図5に示すように、シール材18のヒール部19を受口3内の係止溝10に嵌め込んで、ロックリング13とシール材18とを受口3の内部に装着する。
【0042】
この際、シール材18のバルブ部20の外面22と受口奥側の端面24とのコーナー部分に円弧状の奥側コーナー面28が形成されているため、シール材18を受口3の内部に装着する際、シール材18を受口3の開口端部から受口3の内部にスムーズに挿入することができる。
【0043】
その後、
図6,
図7に示すように、挿口5を受口3に挿入する。この際、挿口5の先端がシール材18の内面23に当接し、バルブ部20が挿口5に押されて受口奥側へ変形し、
図1,
図2に示すように、受口3の内面とバルブ部20の受口奥側の端面24との間に間隙31が形成され、奥側突部25の形成箇所Eが径方向Bにおいて上記間隙31と挿口5の外面との間に位置する。
【0044】
これにより、バルブ部20の外面22と内面23との間の部分は受口3の内面と挿口5の外面との間に挟まれて径方向Bに圧縮されるが、奥側突部25の形成箇所Eは、上記間隙31の存在により、受口3の内面と挿口5の外面との間に挟まれず径方向Bに圧縮されない。これにより、挿口5を受口3に挿入する際に要する接合力(押込み力)の増大を抑制することができる。
【0045】
また、
図8に示すように、受口3の軸心と挿口5の軸心とが径方向にずれて、受口3の内面と挿口5の外面との間隔6が所定の間隔よりも広くなった場合であっても、シール材18の奥側突部25が挿口5の外面に圧接しているため、管2,4内の水(流体の一例)がシール材18と挿口5の外面との間から漏出するのを防止することができる。尚、奥側突部25によって、良好な止水性が得られるとともに、挿口5を受口3に挿入する際に要する接合力の増大を抑制することができる。
【0046】
また、
図2に示すように、バルブ部20の受口奥側の端面24が受口奥側ほど縮径するように傾斜しており、受口3の内面とバルブ部20の受口奥側の端面24との間の間隙31に管2,4内の水が流入することにより、受口奥側の端面24に水圧P(流体圧の一例)が作用し、バルブ部20を径方向内側へ押圧する押圧力Fが発生するため、バルブ部20が挿口5の外面に圧接し、シールに要する十分な面圧を得ることができる。
【0047】
また、この際、水圧Pによりバルブ部20を管軸方向Aに沿って受口奥側から受口3の開口端部側へ押圧する押圧力(図示せず)も発生するが、係止溝10に嵌め込まれた高硬度部材19aからなるヒール部19がバルブ部20の移動を制限するため、バルブ部20が径方向Bに拡がる力となり、面圧をより増大させて止水性を向上させることができる。
【0048】
また、
図1に示すように、受口3に挿入された挿口5の挿口突部15が受口奥側からロックリング13に係合することにより、挿口5が受口3から不用意に離脱するのを防止することができる。
【0049】
また、
図2に示すように、シール材18のバルブ部20の外面22は、ヒール部19から奥側コーナー面28までの間の広範囲にわたって、受口3の内面に面接触する。このため、シール材18が安定して受口3の内部に装着され、止水時におけるバルブ部20の外周部の変形や挿口5を受口3に挿入する時のバルブ部20の移動が抑制される。
【0050】
さらに、
図3,
図4に示すように、高硬度部材19aと低硬度部材20aとの境界面30の外周端がバルブ部20の外面22に達しているため、高硬度部材19aがバルブ部20の外面22の一部に含まれ、これにより、シール材18がより一段と安定して受口の内部に装着される。
【0051】
また、受口奥側の端面24は受口奥側に僅かに膨らんだ所定半径r1の円弧形状に形成されているため、
図2に示した押圧力Fが増大し、シール性(止水性)が向上する。しかしながら、十分なシール性が確保されるのであれば、受口奥側の端面24は、円弧形状ではなく、直線的な形状であってもよい。
【0052】
尚、以上説明した実施の形態は本発明の一具体例に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、シール材の具体的な形状、サイズ、材料等は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 管継手
3 受口
5 挿口
10 係止溝
13 ロックリング
15 挿口突部
18 シール材
19 ヒール部
19a 高硬度部材
20 バルブ部
20a 低硬度部材
22 外面
23 内面
24 受口奥側の端面
25 奥側突部
28 奥側コーナー面
30 境界面
31 間隙
A 管軸方向
B 径方向
C バルブ部の外径
D 奥側コーナー面の形成範囲
E 奥側突部の形成箇所