(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590669
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】改装窓構造及び改装窓の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20191007BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/62 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-236154(P2015-236154)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2017-101472(P2017-101472A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】砂原 光宏
(72)【発明者】
【氏名】武岡 慎之介
【審査官】
野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−153455(JP,A)
【文献】
特開2014−159683(JP,A)
【文献】
特開2002−168056(JP,A)
【文献】
特開平07−217320(JP,A)
【文献】
特開2009−275373(JP,A)
【文献】
特開2015−137532(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0047269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 − 1/70
E06B 7/00 − 7/36
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設枠により形成される開口内に新設枠が設けられる改装窓構造であって、
前記既設枠と前記新設枠とを繋ぐ防水シートを備え、
前記既設枠及び前記新設枠は、各々縦枠と横枠とを有しており、
前記防水シートは前記既設枠及び前記新設枠に各々接着され、前記既設枠が設けられている、前記新設枠の外周側から内周側に回り込ませて接着されており、
前記縦枠側にて回り込ませた部位と、前記横枠側から回り込ませた部位との境界部は、防水テープにより接合されていることを特徴とする改装窓構造。
【請求項2】
請求項1に記載の改装窓構造であって、
前記防水シートは、可撓性を有することを特徴とする改装窓構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の改装窓構造であって、
前記防水シートは、水により膨潤する特性を有することを特徴とする改装窓構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の改装窓構造であって、
前記防水シートと前記既設枠及び前記新設枠とは、防水性を備えた両面テープにより接着されていることを特徴とする改装窓構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の改装窓構造であって、
室外側における前記既設枠と前記新設枠との境界部分にはシール材が設けられていることを特徴とする改装窓構造。
【請求項6】
開口を形成する既設枠の室内側の部位に防水シートを接着し、前記防水シートを前記既設枠より室内側に延出させて配置する第1接着工程と、
前記防水シートが接着された前記既設枠の内側に新たに設ける新設建具が備える新設枠を吊り込み躯体に固定する新設枠固定工程と、
固定された前記新設枠の室内側の部位に、前記防水シートの室内側の端部を前記新設枠に接着する第2接着工程と、
を有する改装窓の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設枠により形成される開口内に新設枠が設けられる改装窓構造及び改装窓の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
改装窓構造としては、例えば、建物開口部に沿って設けられる既設枠体の内側に、枠状に組み合わせて形成されてなるリフォーム用枠体が被せられたリフォーム用開口部装置が備えられることが知られている(特許文献1参照)。このリフォーム用開口部装置は、室外側において、リフォーム用枠体と既設枠体との間に長手方向に沿ってパッキン材が介在されて水密・気密が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5394205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような改装窓構造は、リフォーム用枠体と既設枠体との間に長手方向に沿って介在されているパッキン材により水密・気密を確保しているが、リフォーム用枠体と既設枠体とが変形している場合にはパッキン材が密着できない部位において水密・気密を確保できない虞がある。このため、リフォーム用枠体と既設枠体との間に湿式のシーリングを充填して水密・気密を確保する場合もあるが、湿式のシーリング剤を充填する場合には、現場での作業が繁雑であるとともに、養生に多大な時間を費やさなければならないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施工が容易で高い水密性・気密性を備えた改装窓構造及び改装窓の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の改装窓構造は、既設枠により形成される開口内に新設枠が設けられる改装窓構造であって、前記既設枠と前記新設枠とを繋ぐ防水シートを備え、
前記既設枠及び前記新設枠は、各々縦枠と横枠とを有しており、前記防水シートは前記既設枠及び前記新設枠に各々接着され
、前記既設枠が設けられている、前記新設枠の外周側から内周側に回り込ませて接着されており、前記縦枠側にて回り込ませた部位と、前記横枠側から回り込ませた部位との境界部は、防水テープにより接合されていることを特徴とする改装窓構造である。
【0007】
このような改装窓構造によれば、改装窓構造を構成する既設枠と新設枠との間は防水シートにより繋がっているので、既設枠と新設枠との間からの水の浸入を防止することが可能である。また、既設枠と新設枠とはシート材が接着されて繋がっているので、シート材を接着するだけで容易に水密・気密を確保することが可能である。
【0008】
また、縦枠側にて回り込ませた部位と、前記横枠側から回り込ませた部位との境界部が防水テープにより接合されているので、防水シートの繋ぎ目においても防水性を備えることが可能である。
【0009】
かかる改装窓構造であって、前記防水シートは、可撓性を有することが望ましい。
このような改装窓構造によれば、防水シートを屈曲させて設けることができるので、様々な形状の改装窓構造において既設枠と新設枠との間の水密・気密を確保することが可能である。
【0010】
かかる改装窓構造であって、前記防水シートは、水により膨潤する特性を有することが望ましい。
このような改装窓構造によれば、例え、防水シートが損傷して水が防水シート内及び防水シートの反対側に浸入する場合であっても、防水シートが膨潤することにより水は防水シートを越えて浸入しにくいので、より高い防水性を備えることが可能である。
【0011】
かかる改装窓構造であって、前記防水シートと前記既設枠及び前記新設枠とは、防水性を備えた両面テープにより接着されていることが望ましい。
このような改装窓構造によれば、防水シートは防水性を備えた両面テープにより接着されているので、容易に貼り付けることが可能であるとともに、より高い防水性を備えることが可能である
。
【0012】
かかる改装用具であって、室外側における前記既設枠と前記新設枠との境界部分にはシール材が設けられていることが望ましい。
このような改装窓構造によれば、既設枠と新設枠との室外側の境界部分にはシール材が設けられているので、室内側に設けられた防水シートのみならず室外側もシールされているので、より高い防水性を備えることが可能である。
【0013】
また、開口を形成する既設枠の室内側の部位に防水シートを接着し、前記防水シートを前記既設枠より室内側に延出させて配置する第1接着工程と、前記防水シートが接着された
前記既設枠の内側に新たに設ける新設建具が備える新設枠を吊り込み躯体に固定する新設枠固定工程と、固定された前記新設枠の室内側の部位に、前記防水シートの室内側の端部を前記新設枠に接着する第2接着工程と、を有する改装窓の施工方法である。
【0014】
このような改装窓の施工方法によれば、既設枠と新設枠とをシート状をなす防水シートを接着することにより繋ぐので、シート状の部材でなる防水シートを接着するだけで容易に水密・気密を確保することが可能である。また、湿式のシーリング材を用いないので、養生の必要がなく現場での施工時間及びシーリング費用を削減することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工が容易で高い水密性・気密性を備えた改装窓構造及び改装窓の施工方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る改装窓構造を示す縦断面図である。
【
図2】本実施形態に係る改装窓構造を示す横断面図である。
【
図8】防水シートを防水テープにより取り付ける例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る改装窓構造について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の改装窓構造は、
図1、
図2に示すように建物等に設けられていた既設建具から障子を外した枠体(以下、既設枠という)2にて形成される開口2a内に、新たに辷り出し窓用の建具(以下、新設建具という)1が設けられている。尚、図面においては、後述する防水シートと既設枠及び新設枠との繋がりを明確に示すために、便宜上、防水シートの接着面以外は周囲の部材と離して図示している。
【0019】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の既設枠2及び新設建具1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。改装窓構造の各部位であっても、また、改装窓構造を構成する各部材については単体の状態であっても、建物等に取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、奥行き方向となる方向にて方向を特定して説明する。また、既設枠2及び新設建具1が備える新設枠3はいずれも矩形状に枠組みされているので、矩形の内側を内周側、外側を外周側として説明する。
【0020】
既設枠2は、押出成形材でなる既設上枠21と、既設下枠22及び左右の既設縦枠23とが枠組みされて矩形状をなしている。既設上枠21と、既設下枠22及び左右の既設縦枠23は、長手方向に沿って各々全長に亘って設けられ、外周側に突出して躯体4に固定されるヒレ状の既設固定部21a、22a、23aを有している。既設上枠21と、既設下枠22及び左右の既設縦枠23の室外側の端部は各々、躯体4の室外側に設けられている外壁材5よりも室外側に突出しており、外壁材5との間にシーリング材5aが充填されている。既設上枠21と、既設下枠22及び左右の既設縦枠23の室内側の端部は、室内側に全周にわたって設けられている既設額縁24の室外側の端面24aと対向する額縁対向部21b、22b、23bと、額縁対向部21b、22b、23bの内周側の端部から室内側に延出され既設額縁24の室外側の端部を内周側から覆う既設枠延出部21c、22c、23cとを有している。
新設建具1は、既設枠2の内周側に取り付けられる新設枠3と、新設枠3に回動自在に設けられる障子6とを有している。
【0021】
新設枠3は、押出成形材でなる新設上枠31と、新設下枠32及び左右の新設縦枠33とが枠組みされて矩形状をなしている。新設枠3を形成する新設上枠31、新設下枠32及び左右の新設縦枠33は、いずれも同一の押し出し成形部材が互いの端部を突き合わせて接合されている。新設上枠31、新設下枠32及び左右の新設縦枠33は、見込み方向に沿い外周面を形成する外周面部31a、32a、33aと、外周面部31a、32a、33aの室内側の縁から内周側に延出されて室内に臨む面を形成する内壁部31b、32b、33bと、内壁部31b、32b、33bの外周側縁より僅かに内周側に位置し、長手方向に沿うとともに全長に亘って室内側に突出されたヒレ状の突出片31c、32c、33cと、外周面部31a、32a、33aの室外側の縁から内周側に延出されて室外に臨む面を形成する外壁部31d、32d、33dと、を有している。また、新設枠3の室内側の部位と既設枠2の室内側の部位との間は、可撓性を有する1枚の防水シート7により全周にわたって繋がっており、防水シート7は新設枠3と既設枠2とにそれぞれ接着されている。ここで、防水シート7としては、貫通孔等から浸入しようとする水を高分子吸収体が水を吸って膨潤し、貫通孔をふさぐ機能を備えている、例えば、スリーエムジャパン株式会社製 止水機能付外壁防水シート2407が望ましい。
【0022】
新設下枠32は、
図3に示すように、既設額縁24上に室内側の部位が載置され、既設額縁24より室外側の既設下枠22の上方に張り出して配置され、新設下枠32の突出片32cが既設額縁24及び既設額縁24の下に位置する躯体4にビス止めされている。このとき、新設下枠32の外周面部32aの下には、既設額縁24の室外側の端との間に既設下枠22の既設枠延出部22cが位置している。また、既設下枠22の室内側の部位と新設下枠32の室内側の部位との間は、既設枠2と新設枠3との間に全周にわたって設けられる防水シート7により全長に亘って繋がっている。
【0023】
より具体的には、防水シート7は、室外側の端部が既設下枠22の額縁対向部22bと既設枠延出部22cとに防水性を有する両面テープ7aにより接着されており、既設額縁24と新設下枠32の外周面部32aとの間から室内側に至るように設けられている。また、室内側の端部は、新設下枠32の突出片32cの外周側から内周側に回り込まされて突出片32cの内周面に防水性を有する両面テープ7aにより接着されている。このとき、新設下枠32を固定しているビス8は、既設額縁24と外周面部32aとの間では防水シート7を貫通しているが、突出片32cには締め込まれたビス頭部8aとともに防水シート7が内周側から接着されている。
【0024】
既設下枠22と新設下枠32の室外側には、
図1に示すように、既設下枠22と新設下枠32との間を覆う下カバー材34が新設下枠32の外壁部32dにビス止めされている。
【0025】
新設上枠31は、
図4に示すように、既設額縁24の下に室内側の部位がアタッチメント35及び飼い木37とともに配置され、既設額縁24より室外側の既設上枠21の下方に張り出して配置され、新設上枠31の突出片31cが既設額縁24及び既設額縁24の上に位置する躯体4にビス止めされている。このとき、新設上枠31の外周面部31aの上に位置するアタッチメント35の上には、既設額縁24の室外側の端との間に既設上枠21の既設枠延出部21cが位置している。また、既設上枠21の室内側の部位と新設上枠31の室内側の部位との間は、既設枠2と新設枠3の間に全周にわたって設けられる防水シート7により全長に亘って繋がっている。
【0026】
より具体的には、防水シート7は、室外側の端部が既設上枠21の額縁対向部21bと既設枠延出部21cとに防水性を有する両面テープ7aにより接着されており、既設額縁24と飼い木37との間から室内側に至るように設けられている。また、室内側の端部は、新設上枠31の突出片31cの外周側から内周側に回り込まされて突出片31cの内周面に防水性を有する両面テープ7aにより接着されている。このとき、新設上枠31を固定しているビス8は、既設額縁24と飼い木37との間では防水シート7を貫通しているが、突出片31cには締め込まれたビス頭部8aとともに防水シート7が内周側から接着されている。
【0027】
既設上枠21と新設上枠31の室外側には、
図1に示すように、既設上枠21と新設上枠31との間を覆う上カバー材36がアタッチメント35にビス止めされており、上カバー材36と既設上枠21及び新設上枠31との間は、シール材9が介在されている。
左右の新設縦枠33は、
図2に示すように、左右が反転した対称の形状をなしている。このため、ここでは左の新設縦枠33を例に挙げて説明する。
【0028】
新設縦枠33は、
図5に示すように、既設額縁24の内周側に、室内側の部位が飼い木37を介して配置され、既設額縁24より室外側の既設縦枠23の側方に張り出して配置され、新設縦枠33の突出片33cが既設額縁24及び既設額縁24の外周側に位置する躯体4にビス止めされている。このとき、新設縦枠33の外周面部33aと、外周面部33aの左に位置する既設額縁24の室外側の端との間に既設縦枠23の既設枠延出部23cが位置している。また、既設縦枠23の室内側の部位と新設縦枠33の室内側の部位との間は、既設枠2と新設枠3との間に全周にわたって設けられる防水シート7により全長に亘って繋がっている。
【0029】
より具体的には、防水シート7は、室外側の端部が既設縦枠23の額縁対向部23bと既設枠延出部23cとに防水性を有する両面テープ7aにより接着されており、既設額縁24と飼い木37との間から室内側に至るように設けられている。また、室内側の端部は、新設縦枠33の突出片33cの外周側から内周側に回り込まされて突出片33cの内周面に防水性を有する両面テープ7aにより接着されている。このとき、新設縦枠33を固定しているビス8は、既設額縁24と飼い木37との間では防水シート7を貫通しているが、突出片33cには締め込まれたビス頭部8aとともに防水シート7が内周側から接着されている。
【0030】
既設縦枠23と新設縦枠33の室外側には、
図2に示すように、既設縦枠23と新設縦枠33との間を覆う縦カバー材38が設けられており、縦カバー材38は、当該縦カバー材38の室内側の部位にビス止めされた連結部材39を介して新設縦枠33の外周面部33aにビス止めされている。また、縦カバー材38と既設縦枠23及び新設縦枠33との間は、シール材9が介在されている。
【0031】
本実施形態の改装窓の施工方法は、例えば、まず、
図6に示すように、既設建具の障子(不図示)を取り外した状態の既設枠2に、防水シート7を貼り付ける(第1接着工程:S1)。このとき、例えば、既設上枠21の左右方向の端部を避けた位置から、既設上枠21の額縁対向部21bと既設枠延出部21cとに防水性を有する両面テープ7aにより室外側の端部を接着し、防水シート7の室内側は既設額縁24側に延出しておく。防水シート7には、既設枠2及び新設枠3に接着するための両面テープ7aを予め接着しておく。
【0032】
防水シート7は、左側の既設縦枠23、既設下枠22、右側の既設縦枠23、既設上枠21の順で各々額縁対向部21b、22b、23bと既設枠延出部21c、22c、23cに防水性を有する両面テープ7aにて室外側の端部を接着する。既設枠2の内周に全周にわたって接着される防水シート7は、防水シート7の、貼り付け時における始端と終端でなる両端部が重なるように接着する。
【0033】
次に、下カバー材34、上カバー材36、縦カバー材38、アタッチメント35及び連結部材39が取り付けられた新設枠3を、室外側から防水シート7が接着され、飼い木37が配置された既設枠2の内側に吊り込んで配置する。このとき、上カバー材36と縦カバー材38とには、既設枠2及び新設枠3との間に介在されるシール材9が取り付けられている。既設枠2の内側に配置された新設枠3は、新設上枠31、新設下枠32、左右の新設縦枠33の各突出片31c、32c、33cをビス8により躯体4に固定する(新設枠固定工程:S2)。
【0034】
新設上枠31、新設下枠32、左右の新設縦枠33の各突出片31c、32c、33cをビス止めした後に、防水シート7の、新設枠3より室内側に位置している部位を各突出片31c、32c、33cの内周側に回り込ませ、突出片31c、32c、33cに防水性を有する両面テープ7aにより接着する(第2接着工程:S3)。このとき、既設枠2および新設枠3の角部においては、防水シート7の室内側の部位に見込み方向に切り込みを入れて、新設縦枠33側の部位と、新設下枠32及び新設上枠31側の部位とを重ねて新設枠3の表面に沿わせて貼り付ける。防水シート7の切り込み部7bには、
図7に示すように、内周側から防水性を有する防水テープ10を貼り付けて目張りをしておく。
【0035】
本実施形態の改装窓構造によれば、改装窓構造を構成する既設枠2と新設枠3との間は防水シート7により全周にわたって繋がっているので、既設枠2と新設枠3との間からの水の浸入を防止することが可能である。
【0036】
また、防水シート7は可撓性を有するので屈曲させて設けることができる。このため、変形している既設枠であっても容易に取り付けて水密性を確保することが対応することが可能であるとともに、様々な形状の改装窓構造において既設枠2と新設枠3との間の水密・気密を確保することが可能である。このため、汎用性が高い改装窓構造を実現することが可能である。
【0037】
また、防水シート7は、水により膨潤する特性を有しているので、例え、防水シート7が損傷して水が防水シート7内及び防水シート7の反対側に浸入する場合であっても、防水シート7が膨潤することにより水は防水シート7を越えて浸入しにくいので、より高い防水性を備えることが可能である。
【0038】
また、防水シートは防水性を備えた両面テープ7aにより接着されているので、容易に貼り付けることが可能であるとともに、より高い防水性を備えることが可能である。
【0039】
また、新設枠3の角部において、新設縦枠33側にて突出片33cに回り込ませた部位と、新設上枠31及び新設下枠32側から回り込ませた部位との境界部が防水テープ10により接合されているので、防水シート7の繋ぎ目においても防水性を備えることが可能である。
【0040】
また、既設枠2と新設枠3との室外側の境界部分にはシール材9が設けられているので、室内側に設けられた防水シート7のみならず室外側もシールされているので、より高い防水性を備えることが可能である。
【0041】
また、本実施形態の改装窓の施工方法によれば、既設枠2と新設枠3とはシート状をなす防水シート7が接着されて繋がっているので、シート状の部材でなる防水シート7を接着するだけで容易に水密・気密を確保することが可能である。また、湿式のシーリング材を用いないので、養生の必要がなく現場での施工時間及びシーリング費用を削減することが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、防水シート7の室内側の端部を突出片31c、32c、33cの外周側から内周側に回り込ませて接着した例について説明したが、新設枠3が突出片31c、32c、33cを有していない場合には、室内に臨む面を形成する内壁部31b、32b、33bに接着しても構わない。
【0043】
また、上記実施形態においては、防水シート7を両面テープ7aにより既設枠2及び新設枠3に接着する例について説明したが、これに限らず、例えば、
図8に示すように、内周側から防水シート7と既設枠2または新設枠3とにわたって端部を塞ぐように防水テープ10により接着しても構わない。また、両面テープ7a及び防水テープ10は、予め防水シート7に設けられていても、また、防水シート7を接着する際に、既設枠2および新設枠3にそれぞれ設ける、或いは、既設枠2または新設枠3と防水シート7とにわたるようにそれぞれ設けても構わない。
【0044】
また、上記実施形態においては、新設枠3の室内側の部位と既設枠2の室内側の部位との間が、1枚の防水シート7により全周にわたって繋がっている例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、新設枠3と既設枠2との間の一部に、パッキン材等が介在されており、他の部位に接着されている防水シートとともに、全周にわたって水密・気密が確保されている構成であっても構わない。
【0045】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
2 既設枠、2a 開口、3 新設枠、7 防水シート、7a 両面テープ、
9 シール材、10 防水テープ、21 既設上枠、22 既設下枠、
23 既設縦枠、31 新設上枠、32 新設下枠、33 新設縦枠