(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように画像形成装置では、用紙の整合が正確に行われない場合、用紙に穴あけまたはステイプルが行われるときに落丁やずれが生じてしまう。紙種による、用紙そのものの厚みや摩擦係数差のみならず、主に定着で生じる用紙カールの、紙種による大小や形状差に依存する、整合時の搬送抵抗のばらつきに関わらず、用紙を整合板に確実に突き当てるために、より安定的な搬送力を有する用紙後処理装置が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、用紙の整合を精度よく行う、新規かつ改良された用紙後処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、整合板を備え、搬送されてくる用紙が前記整合板に突き当てられることによって用紙揃えが行われる整合トレイと、前記整合板に用紙を突き当てるように用紙を搬送する整合ローラと、駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は前記整合ローラが前記整合トレイ上方に移動するように前記駆動部を制御する、用紙後処理装置が提供される。
【0011】
上記構成からすれば、整合ローラが下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙の確実な整合が可能となる。
【0012】
また、前記駆動部は、用紙揃え後に用紙をメイントレイ(main tray)に排出するためのエジェクター(ejector)を駆動するモータ(motor)であり、前記制御部は前記モータを用紙の排出時の回転方向に対して逆回転させ、前記整合ローラは前記モータの逆回転の駆動力によって上方移動してもよい。
【0013】
上記構成からすれば、用紙をメイントレイに排出するモータが、当該排出時とは逆方向に回転することによって、整合ローラの上方移動動作が可能となる。つまり、整合ローラが上方移動する構成が一つのみのモータを使用することで実現できる。これによって、より簡易な構成で当該構成が実現でき、また低コストで当該構成が実現される。
【0014】
また、2枚以上の用紙をバッファ(buffer)するバッファ領域をさらに備え、前記バッファされる2枚以上の用紙を重ねた状態で前記整合トレイ上に搬送可能であってもよい。
【0015】
上記構成からすれば、複数枚の用紙が用紙後処理装置内のバッファ領域でバッファされることによって、用紙揃えの高速処理を可能とすることができる。
【0016】
また、用紙が搬送されてくる用紙搬送路上に検知センサ(sensor)をさらに備え、前記検知センサがバッファされる最後の用紙の後端を検知した後、前記制御部は前記整合ローラを前記整合トレイ上方に移動させてもよい。
【0017】
上記構成によれば、検知センサがバッファされる用紙の最後の用紙の後端を検知した後に整合ローラが上方移動する。これによって、用紙が精度よく整合されるために必要なタイミング(timing)で、整合ローラが上方移動するため、用紙の整合が精度よく行われる。
【0018】
また、前記バッファされる用紙を揃えるときにのみ、前記制御部は前記整合ローラを上方移動させてもよい。
【0019】
上記構成によれば、整合ローラの搬送力が特に必要とされる、バッファされる用紙が整合されるときにのみ、整合ローラを上方移動させることができる。バッファされる用紙が整合された後は整合ローラ上に用紙が積載され、用紙の摩擦力が働くため、整合ローラを上方移動させる必要はない。
【0020】
また、前記整合トレイ上方に回転可能なパドルをさらに備え、前記パドルは回転時に前記整合ローラに圧接し、前記パドルと前記整合ローラは用紙を挟み込むことにより用紙を前記整合板に突き当てるように搬送するように構成してもよい。
【0021】
上記構成によれば、整合ローラの上方に位置するパドルと整合ローラが用紙を挟み込むことによって搬送するので、用紙により大きい搬送力がかかり、より確実に用紙の整合が行われる。
【0022】
また、前記整合トレイ上方に前記整合ローラと対になる用紙押えローラをさらに備え、前記用紙押えローラは上下に可動するように設置され、前記制御部は、前記整合ローラが上方移動動作を行うときに前記用紙押えローラを下方に移動させ、前記用紙押えローラは前記整合ローラに圧接し、前記用紙押えローラと前記整合ローラは用紙を挟み込むことにより用紙を前記整合板に突き当てるように搬送するように構成してもよい。
【0023】
上記構成によれば、整合ローラの上方に位置する用紙押えローラと整合ローラが用紙を挟み込むことによって搬送するので、用紙により大きい搬送力がかかり、より確実に用紙の整合が行われる。
【0024】
また、前記整合ローラの駆動伝達のためのギア(gear)列中に設けられる振り子機構をさらに備え、前記整合ローラの上方移動は前記振り子機構によってなされるように構成してもよい。
【0025】
上記構成によれば、整合ローラを駆動させるための駆動力を用いて、振り子機構が揺動することによって、整合ローラの上方移動動作が行われる。これによって、電磁式の機構を用いるよりもより簡易な方法で、整合ローラの上方移動動作が実現される。
【0026】
また、前記整合ローラを保持するホルダ(holder)と、前記ホルダを回転させる回転軸に備えられたトルクリミッタ(torque limiter)と、をさらに備え、前記制御部は前記駆動部を駆動させることによって前記回転軸を回転させ、前記ホルダは前記回転軸の回転によって回転し、前記整合ローラは前記ホルダの回転によって上方移動し、前記トルクリミッタが滑ることによって前記整合ローラは用紙を搬送するように回転するように構成してもよい。
【0027】
上記構成によれば、トルクリミッタを介して、整合ローラの上方移動動作が行われる。これによって、電磁式の機構を用いるよりもより簡易な方法で、整合ローラの上方移動動作が実現される。
【0028】
また、前記整合ローラを保持するホルダをさらに備え、前記駆動部は、前記ホルダを可動させるソレノイド(solenoid)であり、前記制御部は、前記ソレノイドを駆動させて前記ホルダを動かし、前記ホルダが動くことによって前記整合ローラは上方移動するように構成してもよい。
【0029】
上記構成によれば、ソレノイドを用いて、整合ローラの上方移動動作が実現される。ソレノイドを使用することによって、より細かな整合ローラの上方移動動作の制御が可能となる。
【0030】
また、前記整合ローラが移動する空間を確保するための空隙を塞ぐためのシャッター(shutter)を備えるように構成してもよい。
【0031】
上記構成によれば、用紙が整合トレイ上に搬送されるときに、整合ローラの周囲に設けられる、整合ローラが移動するための逃げ形状(空隙)に用紙先端が引っ掛かることを防ぐことができる。
【0032】
また、前記整合ローラの駆動伝達のためのギア列中に設けられる振り子機構をさらに備え、前記シャッターは前記振り子機構の突出部に当接するように設置され、前記シャッターは前記整合ローラの上方移動に伴って前記空隙を塞ぐように構成してもよい。
【0033】
上記構成によれば、振り子機構に設けられた突出部にシャッターが当接することにより、整合ローラの上方移動動作に応じて、シャッターが揺動する。これによって、より簡易な方法で空隙が塞がれ、用紙先端が空隙に引っ掛かることを防ぐことができる。
【0034】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、用紙を整合板に突き当てることによって用紙揃えを行う用紙後処理装置の駆動部を制御する制御方法であって、前記用紙後処理装置は前記整合板を備える整合トレイと、用紙を前記整合板に突き当てるように搬送する整合ローラとを備え、前記整合ローラが前記整合トレイ上方に移動するように前記駆動部を制御する、制御方法を提供する。
【0035】
上記構成からすれば、整合ローラが下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙の確実な整合が可能となる。
【0036】
また上記の制御方法において、前記駆動部は、用紙揃え後に用紙をメイントレイに排出するためのエジェクターを駆動するモータであり、前記モータを用紙の排出時の回転方向に対して逆回転させ、前記整合ローラが上方移動するように前記モータを制御してもよい。
【0037】
上記構成によれば、用紙をメイントレイに排出するモータが、当該排出時とは逆方向に回転することによって、整合ローラの上方移動動作が可能となる。つまり、整合ローラが上方移動する構成が一つのみのモータを使用することで実現できる。これによって、より簡易な構成で当該構成が実現でき、また低コスト(cost)で当該構成が実現される。
【0038】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、用紙を整合板に突き当てることによって用紙揃えを行う用紙後処理装置の駆動部を制御するプログラムであって、前記用紙後処理装置は前記整合板を備える整合トレイと、用紙を前記整合板に突き当てるように搬送する整合ローラとを備え、前記整合ローラが前記整合トレイ上方に移動するように前記駆動部を制御する、プログラムを提供する。
【0039】
上記構成によれば、整合ローラが下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙の確実な整合を可能とするプログラムが提供される。
【0040】
また上記のプログラムにおいて、前記駆動部は、用紙揃え後に用紙をメイントレイに排出するためのエジェクターを駆動するモータであり、前記モータを用紙の排出時の回転方向に対して逆回転させ、前記整合ローラが上方移動するように前記モータを制御してもよい。
【0041】
上記構成によれば、用紙をメイントレイに排出するモータが、当該排出時とは逆方向に回転することによって、整合ローラの上方移動動作が可能となる。つまり、整合ローラが上方移動する構成が一つのみのモータを使用することで実現できる。これによって、より簡易な構成で当該構成が実現でき、また低コストで当該構成が実現される。
【0042】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、整合板を備え、搬送されてくる用紙が前記整合板に突き当てられることによって用紙揃えが行われる整合トレイと、前記整合板に用紙を突き当てるように用紙を搬送する整合ローラと、駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記整合ローラが前記整合トレイ上方に移動するように前記駆動部を制御する、用紙後処理装置を備えた画像形成装置を提供する。
【0043】
上記構成によれば、整合ローラが下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙の確実な整合を可能とする用紙後処理装置を備えた画像形成装置が提供される。
【0044】
また、前記駆動部は、用紙揃え後に用紙をメイントレイに排出するためのエジェクターを駆動するモータであり、前記制御部は前記モータを用紙の排出時の回転方向に対して逆回転させ、前記整合ローラは前記モータの逆回転の駆動力によって上方移動するように構成してもよい。
【0045】
上記構成によれば、用紙をメイントレイに排出するモータが、当該排出時とは逆方向に回転することによって、整合ローラの上方移動動作が可能となる。つまり、整合ローラが上方移動する構成が一つのみのモータを使用することで実現できる。これによって、より簡易な構成で当該構成が実現でき、また低コストで当該構成が実現される。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したように本発明によれば、用紙後処理装置において、用紙の整合が精度よく行われる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0049】
<<1.第1の実施形態>>
<1−1.本発明の画像形成装置の構成>
図1を用いて、本発明の実施形態による画像形成装置1000の構成の一例を説明する。本発明の画像形成装置1000は、カセット(cassette)2000と、画像形成部3000と、用紙後処理装置4000と、メイントレイ5000と、制御部6000とを備えている。用紙を収納するカセット2000はA4、B4などの用紙の大きさごとに複数設けられてもよい。また画像形成部3000には、図示しない複数色のトナー(toner)や感光体ドラム(drum)など、用紙に画像を転写するために必要な部材が備えられている。
【0050】
図1を用いて、画像形成装置1000の動作例を説明する。画像形成装置1000に対して制御部6000が動作指示を行うと、カセット2000から用紙が取得され、取得された用紙は画像形成部3000に搬送される。
【0051】
画像形成部3000では、レーザビームやLEDを用いて、光が帯電した感光体ドラムに照射され、印刷される画像データである潜在画像が感光体ドラムに形成される。光が照射された部分の電荷は落ち、その他の帯電している部分にトナーが付着する。
【0052】
トナーが付着した感光体ドラムの回転に伴って用紙が搬送されると、感光体ドラムが帯電している電荷とは逆の電荷を、用紙の裏面からかけることなどによって、用紙にトナーが付着し、用紙に画像が形成される。
【0053】
画像が形成された用紙は、画像形成部3000から定着装置7000に搬送され、熱と圧力によりトナー像が用紙に定着される。定着された用紙は、用紙後処理装置4000に搬送される。用紙後処理装置4000では、用紙が揃えられた後、必要に応じて穴あけやステイプルが行われ、メイントレイ5000に最終的に用紙が排出される。
【0054】
<1−2.用紙後処理装置の構成例>
次に
図2および
図3を用いて本発明の実施形態における、用紙後処理装置4000の構成例が示される。用紙後処理装置4000は上部に、搬送ローラ4010と、第1ゲート(gate)4011と、第2ゲート4012と、バッファ領域4020と、用紙搬送路中に設置される検知センサ4030と、排出ローラ4040と、ゴムに代表される摩擦弾性体によるメインパドル4050及び補助パドル4060とを備える。
【0055】
また、用紙後処理装置4000は下部に、モータ4070と、2段プーリ(pulley)4080、4090と、プーリが一体成型されたギア4100と、アイドルギア(idle gear)4110と、振り子ギア4120と、整合トレイ4130と、ジョガー(jogger)4133と、シャッター4140とを備える。なお、シャッター4140の動作は後に詳細に説明される。
【0056】
図3において、ジョガー4133は1つしか記載されていないが、対抗側にもう1つ存在し、1対のジョガーが用紙幅方向から用紙を抑えることによって、用紙の幅方向が揃えられる。また、整合板4132は、位置が固定されている固定整合板4132aと可動である可動整合板4132bから成る。
【0057】
また、メインパドル4050は特許請求の範囲におけるパドルの一例であり、振り子ギア4120は特許請求の範囲における振り子機構の一例である。
【0058】
モータ4070と、プーリ4080はベルト(belt)B1で接続されており、プーリ4080とプーリ4090はベルトB2で接続されており、プーリ4090とギア4100はベルトB3で接続されている。また、振り子ギア4120は、ギア4121、4122および整合ローラ4123を備えている。
【0059】
また本実施形態において、整合トレイ4130は整合板4132を備えているが、整合板4132は整合トレイ4130と別部材であってもよい。またプーリ4090はワンウェイベアリング(one−way bearing)を内包しており、モータ4070が反時計方向に回転したときに、軸4092が回転し、用紙がメイントレイ5000に排出される動作が行われる。
<1−3.用紙後処理装置の用紙揃え動作の動作例>
【0060】
以上では、本実施形態の用紙後処理装置4000の構成について説明したが、以下では
図4aから
図4hを用いて用紙後処理装置4000の用紙の整合動作が説明される。本実施形態に係る用紙後処理装置4000では、用紙揃えの高速処理を可能とするために、2枚の用紙を用紙後処理装置4000内のバッファ領域4020でバッファする、バッファリング動作が行われる。これは、画像形成装置の高速化に伴って、用紙後処理装置にも必要とされる動作である。なお、以下の実施例ではバッファされる用紙は2枚であるが、バッファされる用紙の枚数はこれに限られず、3枚であってもよく、またそれ以上でもよい。
【0061】
図4aは、先行紙P1が搬送ローラ4010および排出ローラ4040の回転によって所定位置まで搬送されていることを示す。ここで、先行紙P1の先端が用紙搬送路中で検知センサ4030を通過するときにタイマ(timer)がスタート(start)する。次に
図4bに示すように、タイマがスタートして所定時間経過後に、制御部6000が排出ローラ4040を時計方向に回転させることによって、先行紙P1はバッファ領域4020に引き込まれる。このとき、第2ゲート4012によって先行紙P1の後端は搬送路下面に押さえつけられ、第1ゲート4011によって先行紙P1はバッファ領域4020に誘導され、先行紙P1はバッファ領域4020にバッファされる。このとき用紙がバッファ領域4020に搬送される搬送量もタイマで所定時間を計測することによって制御される。
【0062】
次に
図4cに示されるように、所定時間が経過すると制御部6000は排出ローラ4040を停止し、搬送ローラ4010を反時計方向に回転させる。これによって、後続紙P2が搬送ローラ4010によって搬送される。後続紙P2は第1ゲート4011によって搬送路上面側に沿わされて先行紙P1の上側に進入する。
【0063】
次に
図4dに示すように、検知センサ4030で後続紙P2の先端が検出されると、制御部6000は排出ローラ4040を反時計方向に回転させる。これによって、
図4eに示すように、用紙P1とP2が重なった状態で整合トレイ4130上に搬送される。なお、制御部6000は、後続紙P2の後端を検知センサ4030が検知して所定時間経過後に、排出ローラ4040を停止させる。
【0064】
また、後続紙P2の後端が検知センサ4030を通過すると、所定時間経過後に、制御部6000は
図4fの矢印で示すように、メインパドル4050および補助パドル4060を回転させる。また制御部6000は
図4fに示すように、可動ガイド4051を下側に下げ、これらの動作によって用紙P1およびP2は整合トレイ4130上に落ちる。これとタイミングを合せて、制御部6000がモータ4070を時計方向に回転させることによって、その駆動力が
図4fの矢印で示すようにプーリおよびギアを介して整合ローラ4123に伝わり、整合ローラ4123も回転を開始する。なおこのとき、本実施形態において後述されるように、モータ4070の駆動力によって振り子ギア4120が揺動し、整合ローラ4123が上方移動する構成となっている。このように制御部6000がタイミングを合わせて各部を制御することで、用紙が精度よく整合されるために必要なタイミングで、整合ローラ4123が上方移動する。これにより用紙に対する搬送力が強くなり、用紙の整合が精度よく行われる。
【0065】
そして
図4gが示すように、メインパドル4050は整合ローラ4123に圧接し、用紙に摩擦力を与える荷重となる。なお、メインパドル4050は、用紙の整合動作1回あたりに1回転する。整合ローラ4123、メインパドル4050および補助パドル4060が生じる搬送力によって、
図4hのように用紙は整合板4132に突き当てられ、用紙搬送方向の用紙の端部は揃えられる。なお制御部6000は、用紙P2の後端を検知センサ4030が検知してから所定時間経過後に、補助パドル4060を停止させる。その後ジョガー4133が用紙幅方向に移動し、用紙の幅方向の端部が揃えられる。これによって用紙の搬送方向および用紙の幅方向の端部が揃えられる。制御部6000は、使用者の要求によって、ステイプラ(stapler)4200を動作させ、用紙P1とP2をステイプルしてもよい。
【0066】
以上に説明した動作が、本実施形態の用紙後処理装置4000における、用紙の整合動作の一連の動作である。バッファリング動作では、用紙後処理装置4000内のバッファ領域4020に先行紙P1がバッファされ、後続の用紙P2と先行紙P1とが重ねられ、2枚の用紙が一度に整合トレイ4130上に搬送される。これにより、用紙揃えに要する時間が短縮される。
【0067】
また、上述した実施形態ではメインパドル4050は整合ローラ4123の上方に配置され、メインパドル4050と整合ローラ4123が用紙を挟みこんで搬送する例を説明したが、メインパドル4050は搬送力を有する他の部材が用いられてもよい。
【0068】
例えば、整合ローラ4123の上方に設置される用紙押えローラが、メインパドル4050の代わりに設けられてもよい。用紙押えローラは、メインパドル4050が回転するタイミングと同じタイミングで、整合ローラ4123と用紙を挟持できるように上方待機位置から下降するように構成されてもよい。つまり用紙押えローラは、検知センサ4030が後続紙P2の後端を検知してから所定時間経過後に、整合ローラ4123に圧接するように下降するように構成される。
【0069】
<1−4.整合ローラを上方移動させる構成例>
以上のように
図4aから
図4hを用いて、本実施形態の用紙後処理装置4000の用紙整合動作が示されたが、本実施形態の構成を有さない用紙後処理装置においてバッファリング動作が行われた場合、下の紙が整合板4132に寄り切らないことがあり得る。紙が軽くまたは紙がカール(curl)していることが原因で、下の紙に上の紙の重さが伝わりにくくなり、整合ローラ4123の搬送力(搬送距離)が不足するため、この状態が生じる。
【0070】
つまり、特に薄紙でかつカールのある紙が搬送されてきたときに用紙の整合にずれが生じ、この状態で用紙に穴あけまたはステイプルが行われると、穴のずれまたは落丁が発生する。本実施形態では、
図5から
図7を用いて説明する構成を用いて、整合ローラ4123が上方に移動することで、より確実に用紙が整合板4132まで搬送される。
【0071】
図5から
図7を用いて整合ローラ4123が上方移動する動作の例が示される。
図5に示されるように、モータ4070が時計方向に回転すると、プーリ4080、4090およびギア4100、4110は
図5の矢印で示す方向に回転する。またギア4110が
図5で示すように反時計方向に回転すると、振り子ギア4120に保持されるギア4121は時計方向に回転され、振り子ギア4120は
図5の矢印の方向に揺動し、整合ローラ4123は上方移動する。
【0072】
図6および
図7を用いて上述した整合ローラ4123の上方移動動作の詳細が説明される。
図5で説明したようにモータ4070の駆動力によってギア4110が反時計方向に回転し、回転軸4124を中心に、振り子ギア4120は
図6の矢印で示すように時計方向に揺動する。これによって振り子ギア4120は、
図6において点線で示される待機位置から、H分だけ整合ローラ4123の頂点が上方移動した整合位置に揺動する。なお、整合ローラ4123が上方移動する大きさHは、1.5mm程度が好ましい。
【0073】
また、
図6および
図7で示されるようにギア4121が時計方向に回転すると、ギア4122は反時計方向に回転し、ギア4122が反時計方向に回転することによって、整合ローラ4123は時計方向に回転する。これによって整合ローラ4123は用紙を整合板4132に突き当てる方向に用紙を搬送することが可能となる。上述したように、制御部6000がモータ4070を時計方向に回転させることによって、整合ローラ4123は上方移動し、同時に用紙を整合板4132に突き当てるように時計方向に回転する。
【0074】
この上方移動動作により、整合ローラ4123が下側の用紙P1に接触する接触長がより長く確保され、用紙P1、P2がより確実に整合されることが可能となる。また、整合ローラ4123による搬送力を高めることができるので、パドルのたわみによる搬送力への依存度を下げることが可能となる。さらにより長い接触長さで搬送力を確保出来るので、使用条件によっては、整合ローラ4123の硬度を高くすることができ、整合ローラ4123の長寿命化を図ることも可能となる。
【0075】
なお本実施形態では、モータ4070が反時計方向に回転する(つまり用紙をメイントレイ5000に排出する動作を行うと)ことによって、振り子ギア4120は待機位置に戻るように構成される。
【0076】
上述した整合ローラ4123が待機位置に戻る動作に関して、振り子ギア4120が待機位置に戻るように軽微な力を付与する、戻しばねを振り子ギア4120に設置し、より確実に振り子ギア4120が待機位置に戻るように構成されてもよい。
【0077】
<1−5.シャッターの動作例>
上述したように本実施形態では、振り子ギア4120が揺動することによって、整合ローラ4123が上方移動するが、
図8で示すように整合ローラ4123の周囲には整合ローラ4123が移動できるようにする空隙4134が必要となる。
【0078】
しかしながら
図8に示すように、用紙が整合トレイ4130上に搬送されてくるときに、用紙が当該空隙4134に引っ掛かってしまい、用紙が詰まってしまうことがあり得る。これを防ぐために、
図6に示すように上述した整合ローラ4123の上方移動動作に伴って揺動するシャッター4140が備えられてもよい。
【0079】
このシャッター4140は、
図6に示すように、振り子ギア4120に突起部4125を設け、突起部4125とシャッター4140が当接するように、突起部4125およびシャッター4140が構成されることによって実現される。このようにシャッター4140が空隙4134を塞ぐので、用紙が整合トレイ4130上に搬送される際に、用紙が空隙4134に引っ掛かることを防ぐことができる。これによって、簡易な方法で空隙4134が塞がれ、用紙先端が空隙4134に引っ掛かることを防ぐことができる。
【0080】
<1−6.用紙のメイントレイへの排出動作例>
次に
図9および
図10を用いて、本実施形態の用紙後処理装置4000における、メイントレイ5000への用紙排出動作の一例が示される。
図9および
図10に示すように本実施形態の用紙後処理装置4000はさらに、グリッパー4150と、溝カム4160と、ギア4180、4181、4182、4183とを備える。なお、グリッパー4150は特許請求の範囲における、エジェクターの一例である。
【0081】
図5に示したように用紙端部が整合された後、本実施形態の用紙後処理装置4000は、
図9に示すように可動整合板4132bが用紙を押し出す。次にモータ4070が反時計方向に回転すると、ギアおよびプーリを介してモータ4070の駆動力が伝達し、プーリ4080、4090およびギア4180、4181、4182、4183は
図10の矢印で示す向きに回転する。
【0082】
図10の矢印で示す向きにプーリおよびギアが回転すると、グリッパー4150が溝カム4160内を移動しながら開き、用紙を摘まみながらさらに用紙を押し出す。そしてグリッパー4150は、最終的にメイントレイ5000に用紙を排出する。
【0083】
<1−7.本実施形態の用紙後処理装置の動作例>
図11および12は、本実施形態の用紙後処理装置4000の動作例を示すフロー図である。なお以下では、使用者が5枚の印刷を画像形成装置1000に命令するジョブ(job)を行った例が説明される。S1000において、画像形成部3000から用紙が搬送されてくると、用紙後処理装置4000は処理を開始する。最初に用紙が搬送されてくると、検知センサ4030はS1020において1枚目の用紙の先端を検知する。ここで検知センサ4030において用紙が検知されないときは、用紙が詰まっていることが考えられるので、処理は停止される。次にS1040において、検知センサ4030が用紙を検知してから所定時間経過後に、制御部6000は排出ローラ4040を時計方向に回転させ、
図4bで示したように、搬送されてきた用紙をバッファ領域4020にバッファする。
【0084】
S1060において、制御部6000は排出ローラ4040を停止し、搬送ローラ4010を反時計方向に回転させる。S1080において検知センサ4030が次の用紙(2枚目の用紙)の先端を検知すると、S1100において制御部6000は排出ローラ4040を反時計方向に回転させる。なお、S1080において、所定時間次の用紙を検知しないときは、用紙が詰まっていると制御部6000は判断し、処理は停止される。
【0085】
次にS1120において、検知センサ4030が用紙の後端を検知すると、制御部6000はS1140において用紙が2枚目であるか否かを判定する。なお、S1120において、所定時間用紙の後端を検知しないときは、用紙が詰まっていると制御部6000は判断し、処理は停止される。次に用紙が2枚目である場合、S1160において制御部6000は、検知センサ4030が用紙の後端を検知してから所定時間経過後に、モータ4070を反時計方向に回転させる。このとき、プーリおよびギアを介して振り子ギア4120にモータ4070の駆動力が伝達し、整合ローラ4123が揺動することによって、整合ローラ4123は上方移動する。またモータ4070の駆動力は同時に、プーリおよびギアを介して整合ローラ4123に伝達し、整合ローラ4123自体も用紙を整合板4132に突き当てる方向に回転する。
【0086】
これとタイミングを合わせて、S1180において制御部6000はメインパドル4050を回転させる。整合ローラ4123とメインパドル4050は、用紙を挟み込んで搬送する。このとき、S1160において整合ローラ4123が上方移動することにより、整合ローラ4123が下側の用紙に接触する接触長をより長く確保でき、用紙の確実な整合を可能とする。そして整合ローラ4123とメインパドル4050の搬送力によって、用紙は整合板4132に突き当てられ、用紙の搬送方向の端部は整合される。そして、S1200において制御部6000は、モータ4070を時計方向に回転させ、整合ローラ4123を待機位置に戻す。
【0087】
次にS1220において、制御部6000は、ジョガー4133を移動させ、用紙の幅方向はジョガーによって揃えられる。次にS1240において、制御部6000は、使用者が選択したジョブの最終紙(本例では5枚目)が整合されたか否かを判定する。ここで最終紙がまだ搬送されて来ていない場合、S1260において、制御部6000はジョガー4133を退避させ、処理はS1080に戻る。
【0088】
S1080からS1120が同様になされ、S1140において制御部6000は、用紙が2枚目であるか否かを再度判定する。このとき用紙は3枚目が搬送されていることとなるので、制御部6000は用紙が2枚目ではないと判定し、処理はS1280に進む。S1280において制御部6000は、メインパドル4050を回転させる。このとき、整合ローラ4123は、上方移動せず、待機位置にある。これは、既に整合された用紙が整合ローラ4123上に積載されており、かつ整合トレイ4130を覆う形で積載された用紙の摩擦力による搬送抵抗が、回転していない整合ローラ4123による抵抗力や整合トレイ4130の各種凹凸形状による搬送抵抗の和より充分低くなり、メインパドル4050の搬送力のみでも十分な搬送力が得られるからである。
【0089】
次に処理はS1220を行った後にS1240に進む。S1240において制御部6000は、このとき用紙は3枚目が搬送されていることとなるので、まだ最終紙(5枚目)が整合されていないと判定する。この後処理は、再度S1080に戻り、S1080からS1140およびS1280からS1240の処理を繰り返す。
【0090】
上述したような処理が繰り返され、S1240において制御部6000が5枚目の用紙(ジョブの最終紙)が整合されたことを判定すると、処理はS1300に進む。S1300において制御部6000はジョガー4133を退避させる。
【0091】
S1320において制御部6000は、モータ4070を時計方向に回転させる。モータ4070の駆動力によって、グリッパー4150が移動を開始し、可動整合板4132bが排出方向に移動する。次に処理はS1340に進み、グリッパー4150が用紙をつかみ、用紙をメイントレイ5000に排出する。これと同時に可動整合板4132bが基準位置に戻る。
【0092】
上述したように、制御部6000は、最初に搬送され、バッファ領域4020にバッファアされる用紙の整合時のみ、整合ローラ4123を上方移動させる。これによって、整合ローラ4123が下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙がより確実に整合されることが可能となる。なお、上述した例では、使用者が5枚の印刷を行う例が説明されたが、使用者が10枚の印刷を行う場合は、上述した5枚のジョブが2回繰り返されるようにしてもよい。また、上述したジョブの枚数は一例であり、当然ながら5枚に限定されるものではない。
【0093】
また
図11および
図12では、上述したように用紙がバッファされる場合の用紙後処理装置の処理が説明されたが、当然ながら用紙がバッファされない場合、つまり1枚ずつ順次用紙が整合される場合であっても、整合ローラ4123は上方移動してもよい。
【0094】
この場合、
図11におけるS1040からS1080の処理が省略されることとなる。つまり、用紙がバッファされる処理が省略され、後の処理は
図11および
図12で説明された処理と同様である。この場合も同様に、整合ローラ4123は、最初の用紙が搬送されるときにのみ上方移動し、2枚目の用紙が整合されるときは、待機位置に戻る。これは上述したように、既に用紙が整合ローラ4123上に積載されており、積載されている用紙の摩擦力があるため、メインパドル4050の搬送力のみでも十分な搬送力が得られるからである。
【0095】
<1−8.比較実験>
本実施形態に関する比較実験の結果が表1に示される。本実験においては、本実施形態の用紙後処理装置を画像形成装置に設置し、バッファされた2枚の用紙がステイプルされた際の、搬送方向の紙のずれ量が測定された。なお「横送り」は、用紙の長辺が用紙搬送方向に対して垂直に位置している状態を意味する。
【0096】
また、実験条件は、印刷速度は285mm/secであり、印刷モードはモノクロの片面印刷であり、2枚の用紙を50セットステイプルするモードにおいて比較実験が行われた。また、実験環境は、室温25℃、湿度50%の環境で実験が行われた。
【表1】
【0097】
表1に示される様に、整合ローラ4123が上方移動しない場合と整合ローラ4123が上方移動する場合とを比較すると、全体的に用紙の整合が精度よく行われていることが理解される。整合ローラ4123が上方移動しない場合において、特に再生紙では落丁が発生する程の大きなずれである、6mm以上のずれが生じているが、整合ローラ4123が上方移動する場合はこのように用紙の落丁が発生するような大きなずれは生じていない。
【0098】
これによって、バッファリング動作によって高速に用紙の整合が行われ、さらに精度よく用紙の整合が行われる。すなわち生産性を落とすこと無く、多様な紙の種類と用紙種類に伴う定着カールの大小やカール形状のばらつきに関わらず、高品位の印刷物を提供することが可能となる。
【0099】
<1−9.第1の実施形態のむすび>
用紙後処理装置4000においてバッファリング動作が行われる場合、下の紙が整合板4132に寄り切らないことがあり得る。これにより用紙の束の端部が整合されず、このように用紙間でずれが生じている場合、落丁や用紙の穴あけ位置にずれが生じてしまう。
【0100】
本実施形態ではこれを防止するために、用紙の整合が行われるときに、整合ローラ4123が上方に移動するように構成される用紙後処理装置4000が提供される。これによって、整合ローラ4123が下側の用紙に接触する接触長がより長く確保され、用紙がより確実に整合されることが可能となる。
【0101】
また紙種による、用紙そのものの厚みや摩擦係数差のみならず、主に定着で生じる用紙カールの、紙種による大小や形状差に依存する、整合時の搬送抵抗のばらつきに関わらず、用紙を整合板4132に確実に突き当てることが可能となる。
【0102】
また上述した構成によれば、整合ローラ4123が上方移動する構成が一つのみのモータ4070を使用することで実現できる。これによって、より簡易な構成で当該構成が実現でき、また低コストで当該構成が実現される。
【0103】
また上述した構成によれば、振り子ギア4120が揺動することによって、整合ローラ4123の上方移動動作が行われるため、電磁式の機構を用いるよりもより簡易な方法で、整合ローラ4123の上方移動動作が実現される。
【0104】
なお、上述したようにモータ4070を動作させるように制御部6000を制御するプログラムを構成してもよく、またそのようなプログラムを記憶した記憶媒体が提供されてもよい。記憶媒体の例としては、例えばUSBメモリなどの半導体記憶装置、またはCD-ROMなどの光ディスクに記憶されて提供されてもよい。
【0105】
また上述した実施例では、制御部6000は各部を制御するように構成されているが、制御部6000は各部それぞれに(例えば画像形成部3000、用紙後処理装置4000それぞれに)備えられていてもよい。この場合、各部に設置された制御部6000は、各部それぞれを制御するように構成される。
【0106】
<<2.第2の実施形態>>
図13から
図16を用いて、整合ローラ4123が上方移動する構成の他の例を説明する。本実施形態では、振り子ギア4120の代わりにトルクリミッタ4176が用いられて整合ローラ4123は上方移動する。モータ4070、プーリ4080、ワンウェイベアリングを内包するプーリ4090、プーリ構造を備えるギア4100、ベルトB1、B2、B3を備える点は、上述した実施形態と同様である。
【0107】
図13および14に示すように、整合ローラ4123はローラホルダー4170に保持される。ローラホルダー4170は、駆動軸4172を回転中心にして揺動可能であるように設置される。
図15に示されるように、トルクリミッタ4176は駆動軸4172に設置され、かつ平行ピン4177により回転方向を固定されるように構成されている。駆動軸4172を有するプーリ構造を備えるギア4100には、ベルトB3およびB4が掛かり、モータ4070の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0108】
制御部6000がモータ4070を時計方向に回転させ、プーリおよびギアを介して駆動力が駆動軸4172に伝達されると、
図16に示されるようにローラホルダー4170はストッパー4174が用紙後処理装置本体に当たる位置まで揺動する。これによって、ローラホルダー4170に保持される整合ローラ4123は上方移動する。
【0109】
ローラホルダー4170のストッパー4174が用紙後処理装置本体に接触すると、トルクリミッタ4176には所定の大きさのトルクを超える駆動力が伝達される。所定以上の駆動力がトルクリミッタ4176に伝達されると、トルクリミッタ4176が滑ることによって、整合ローラ4123は回転しながら、整合位置で保持される。用紙整合の終了後、制御部6000はモータ4070を反時計方向に回転させ、ローラホルダー4170を待機位置に戻す。
【0110】
以上説明したように、本実施形態では制御部6000がモータ4070を時計方向に回転させることによって、整合ローラ4123を上方移動させることができる。またギア4100の駆動軸4172にトルクリミッタ4176が設けられることにより、トルクリミッタ4176に所定以上の駆動力が伝達された場合に、トルクリミッタ4176が滑り、整合ローラ4123を上方移動させた状態で、整合ローラ4123自体を回転させることができる。
【0111】
また、シャッター4140は第1の実施形態同様に、ローラホルダー4170に突起部4179を形成し、突起部4179にシャッター4140を当接させることによって、同様の動作を実施可能である。また、ローラホルダー4170を待機位置に確実に戻すために、第1の実施形態同様、戻しばね4178をローラホルダー4170に備えてもよい。
【0112】
<<3.第3の実施形態>>
図17を用いて、整合ローラ4123が上方移動する構成の他の例を説明する。本実施形態は、電磁式のソレノイド4190を用いて、ローラホルダー4170が揺動することによって、整合ローラ4123が上方移動する構成となる。モータ4070、プーリ4080、ワンウェイベアリングを内包するプーリ4090、ベルトB1、B2、B3、B4、整合ローラ4123を保持するローラホルダー4170を備える点は、上述した実施形態と同様である。
【0113】
図17に示すように、ソレノイド4190はリンク4192を介してローラホルダー4170に接続されている。制御部6000は、ソレノイド4190に通電し、リンク4192を
図17の矢印方向に引くようにソレノイド4190を制御する。
【0114】
ローラホルダー4170が
図17の矢印の方向に引きつけられると、ローラホルダー4170は駆動軸4172を中心に回動する。ローラホルダー4170に保持される整合ローラ4123は、このローラホルダー4170の回動によって、上方に移動する。
【0115】
用紙の整合動作完了後は、再度制御部6000はソレノイド4190への通電を停止し、戻しばね4178によってローラホルダー4170は待機位置へ戻る。
【0116】
上述した構成によれば、ソレノイド4190を使用することによって、より細かな整合ローラの上方移動動作の制御が可能となる。
【0117】
なお本実施形態においては、ソレノイド4190とリンク4192を用いてローラホルダー4170を回動させる事で整合ローラ4123を上方へ移動させる構成を示したが、これは他の方法によって実現されてもよい。例えば、他の電磁式アクチュエーター、またはモータやカム等を併用し、ローラ、もしくはローラホルダー4170を直接上下方向に移動させるように構成してもよい。
【0118】
また、シャッターは第1の実施形態同様に、ローラホルダー4170に突起部4179を形成し、突起部4179にシャッター4140を当接させることによって、同様の動作を実施可能である。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。