特許第6590698号(P6590698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590698
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】光学レンズ製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20191007BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20191007BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20191007BHJP
   B24B 13/005 20060101ALI20191007BHJP
   B24B 13/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G02B3/00 Z
   G02C7/02
   G02C13/00
   B24B13/005 Z
   B24B13/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-542207(P2015-542207)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-503517(P2016-503517A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013072732
(87)【国際公開番号】WO2014075925
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年10月28日
(31)【優先権主張番号】12306433.9
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518040079
【氏名又は名称】エシロール エンテルナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル グールロー
(72)【発明者】
【氏名】エリック ガコワン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ル ビューロネク
【審査官】 池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/003939(WO,A1)
【文献】 特表2007−519020(JP,A)
【文献】 国際公開第94/06598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00
B24B 13/00
B24B 13/005
G02C 7/02
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズの製造方法であって、
第1の面と、該第1の面上の複数の第1のマーキングとを有するレンズ部材が提供されるレンズ部材提供工程であって、前記第1の面の第1の基準系は、前記複数の第1のマーキングにより認識されるものであり、
機械加工される前記光学レンズの第2の面と、前記第1の面に対する前記第2の面の位置とに対応する面データを提供する面データの提供工程と、
前記レンズ部材を加工位置にブロックするレンズ部材ブロック工程と、
前記光学レンズの前記第2の面を前記面データに従って機械加工する機械加工工程と、
機械加工された前記第2の面の第2の基準系を識別するため第2のマーキングの位置を決定する第2のマーキング決定工程とを含み、
複数の前記第2のマーキング、少なくとも光学データ及び観測データとに基づいて決定され、前記光学データは前記光学レンズの複数の屈折特性を表すものであり、
前記観測データは、前記第1のマーキングと前記第2のマーキングとが観測されるべき複数の観測条件を表すものであり、
前記観測条件は、観測装置と、該観測装置内の製造された前記光学レンズの位置とを考慮して決定されるものであり、
前記第2のマーキング決定工程中、前記複数の第2のマーキングの位置は、前記第2の面が前記第1の面に対して正しく配置されると、前記複数の観測条件において相対応する前記複数の第1のマーキングと重畳して現われるように決定される、ものであり、更に、
前記光学レンズの機械加工された前記第2の面上に、当該機械加工された前記第2の面の前記第2の基準系を識別する前記複数の第2のマーキングを提供する第2のマーキング提供工程を含む、光学レンズの製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1のマーキングと前記複数の第2のマーキングの位置、及び前記観測データに基づいて、前記第1の面の前記第1の基準系と、機械加工された前記第2の面の第2の基準系とを決定する基準系決定工程と、
前記第1の基準系の位置と前記第2の基準系の位置とが比較され、前記第1の面と前記第2の面との間の位置決め誤差を決定する比較工程とを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製造された前記光学レンズは、前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差が閾値以下であれば容認され、前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差が前記閾値より大きければ拒絶される選別工程を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準系決定工程中に、前記複数の第1及び第2のマーキングの位置は測定光学装置を使用して測定され、前記観測データは前記測定光学装置に対する前記光学レンズの前記位置を少なくとも表す、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準系決定工程中に、前記複数の第1のマーキングと前記複数の第2のマーキングとの相対位置がオペレータにより前記複数の観測条件で決定される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のマーキング決定工程中、前記複数の第2のマーキングの位置は位置決めの公差を許容するようにして決定される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光学データは前記第1及び第2の面の設計と、前記第1の面に対する前記第2の面の相対位置とを少なくとも表す、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のマーキング提供工程中、前記光学レンズは前記機械加工工程中と同じ位置にブロックされる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の第1及び/又は複数の第2のマーキングは暫定的なマーキングである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光学データは前記光学レンズが製造される装着者の処方箋を少なくとも表す、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
製造装置を使用することにより請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記製造方法により光学レンズが製造される光学レンズ製造工程と、
前記光学レンズの前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差が決定される位置決め誤差決定工程と、
前記位置決め誤差が記録される記録工程とを含む、レンズ製造工程の制御方法であって、
前記制御方法は、
前記光学レンズ製造工程、前記位置決め誤差決定工程、及び前記記録工程を定期的に反復する工程と、
前記反復する工程における、前記位置決め誤差の推移を長期にわたってチェックする工程と、
前記反復する工程における、前記光学レンズの製造工程中に使用される前記製造装置の少なくとも1つのパラメータの推移を長期にわたってチェックする工程とを含み、
前記光学レンズの前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差の長期にわたる前記推移が前記製造装置の前記少なくとも1つのパラメータの長期にわたる前記推移に関連付けられる、制御方法。
【請求項12】
製造装置を使用して、請求項1〜のいずれか一項に記載の前記製造方法によりマスタレンズを製造するマスタレンズ製造工程と、
前記マスタレンズの前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差を決定する位置決め誤差決定工程と、
前記位置決め誤差が記録される記録工程とを含む、レンズ製造工程の制御方法であって、
前記制御方法は、
前記マスタレンズ製造工程、前記位置決め誤差決定工程、及び前記記録工程を定期的に反復する工程と、
前記反復する工程における、前記位置決め誤差の推移を長期にわたってチェックする工程と、
前記反復する工程における、前記マスタレンズの製造工程中に使用される前記製造装置の少なくとも1つのパラメータの推移を長期にわたってチェックする工程とを含み、
前記マスタレンズの前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差の前記長期にわたる前記推移が前記製造装置の前記少なくとも1つのパラメータの前記長期にわたる前記推移に関連付けられる、制御方法。
【請求項13】
プロセッサにアクセス可能な1つ又は複数の格納された一連の命令であって前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに請求項1〜12のいずれか一項に記載の工程を実行させる1つ又は複数の格納された一連の命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品の1つ又は複数の一連の命令を担持するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学レンズ製造方法とレンズ製造方法制御方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景の考察は本発明の状況について説明するために本明細書に含まれる。これは、参照される構成材料のいずれも特許請求の範囲のいずれの優先日の時点で既に公表された、既知であった、又は一般的知識の一部であったということを認めるものではない。
【0003】
光学レンズは通常、プラスチック材料で作られ、一般に、装着者の処方箋にほぼ対応する要求屈折特性を提供するために互いに協同する2つの対向面を有する。これらの面の一方の位置又は形状が他方に対し不正確であると要求屈折特性が反映されない場合がある。
【0004】
要求屈折特性の光学レンズの製造は通常、半製品レンズ又はレンズブランクの表面を機械加工する工程を含む。通常、半製品レンズは仕上げ面を有する、例えば前面と未仕上げ面(例えば、裏面)を有する。レンズの裏面を機械加工して材料を除去することにより、所望矯正処方箋の、前面に対する裏面の所要形状及び位置を生成することができる。
【0005】
レンズの製造中は、光学誤差の発生を防止するために様々な製造作業中に半製品レンズをブロッカ(blocker)上の正確な位置に確実に維持することが重要である。
【0006】
従来、半製品レンズは仕上げ面上に彫り込み式マーキング(engraved markings)を備える。彫り込み式マーキングはレンズの仕上げ面の設計の基準系を定義する。
【0007】
いくつかの光学設計では、例えば、両面が非対称設計を有する場合、光学面の相対位置を正確に制御することが所望光学機能を保証するために非常に重要である。
【0008】
光学レンズを製造した後、当業者は製造された光学レンズの光学両面の相対位置をチェックしたい、すなわち光学レンズの全光学機能測定又は3次元面測定を実現する必要がある。これらの方法は非常に時間がかかり高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、製造された光学レンズの光学面の相対位置の簡単なチェックを可能にする光学レンズ製造方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、光学レンズの製造方法であって、
第1の面と、第1の面上の複数の第1のマーキングとを有するレンズ部材が提供されるレンズ部材提供工程あって、前記第1の面の第1の基準系は、前記複数の第1のマーキングにより認識されるものであり、
機械加工される前記光学レンズの第2の面と、前記第1の面に対する前記第2の面の位置とに対応する面データを提供する面データの提供工程
前記レンズ部材を加工位置にブロックするレンズ部材ブロック工程
前記光学レンズの前記第2の面を前記面データに従って機械加工する機械加工工程
機械加工された前記第2の面を識別するための複数の第2のマーキングの位置を決定する第2のマーキング決定工程とを含み、
前記複数の第2のマーキングは、少なくと光学データ及び観測データとに基づいて決定され、前記光学データは前記光学レンズの複数の屈折特性を表すものであり
前記観測データは、前記第1のマーキングと前記第2のマーキングとが観測されるべき複数の観測条件を表すものであり
前記観測条件は、観測装置と、該観測装置内の製造された前記光学レンズの位置とを考慮して決定されるものであり、
更に、
前記光学レンズの機械加工された前記第2の面上に、前記複数の第2のマーキングを提供する第2のマーキング提供工程を含む、光学レンズの製造方法を提案する。
【0011】
複数の第2のマーキングは光学レンズの屈折特性と観測条件とに応じて決定されるので、観測条件における第1の面と第2の面との相対位置の精度のチェックが直接的かつ容易にされ得る利点がある
【0012】
単独で又は組み合わせで考えられ得る別の実施形態によると、
− 本方法は、
前記複数の第1のマーキングと前記複数の第2のマーキングの位置、及び前記観測データに基づいて、前記第1の面の前記第1の基準系と、機械加工された前記第2の面の第2の基準系を決定する基準系決定工程
前記第1の基準系の位置と前記第2の基準系の位置とが比較され、前記第1の面と前記第2の面との間の位置決め誤差を決定する比較工とを更に含み、及び/又は
− 本方法は、製造された前記光学レンズは、前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差が閾値以下であれば容認され、前記第1の面と前記第2の面との前記位置決め誤差が前記閾値より大きければ拒絶される選別工程を更に含み、及び/又は
− 前記基準系決定工程中、前記複数の第1及び第2のマーキング位置は測定光学装置を使用して測定され、前記観測データは前記測定光学装置に対する光学レンズの位置を少なくとも表し、及び/又は
− 前記基準系決定工程に、前記複数の第1のマーキングと前記複数の第2のマーキングとの相対位置はオペレータにより前記複数の観測条件で決定され、及び/又は
前記第2のマーキング決定工程中、前記複数の第2のマーキングの位置は、前記第2の面が前記第1の面に対して正しく配置されると、前記複数の観測条件において相対応する前記複数の第1のマーキングと重畳して現われるように決定され、及び/又は
− 前記第2のマーキング決定工程中、前記複数の第2のマーキングは位置決めの公差を許容するようにして決定され、及び/又は
− 前記光学データは前記第1及び第2の面の設計と、前記第1の面に対する前記第2の面の相対位置とを少なくとも表し、及び/又は
− 前記光学データは、
− 前記第2のマーキング提供工程中、前記光学レンズは前記機械加工工程中と同じ位置にブロックされ、及び/又は
− 前記複数の第1及び/又は複数の第2のマーキングは暫定的なマーキングであり、及び/又は
前記光学データは前記光学レンズが製造される装着者の処方箋を少なくとも表す。
【0013】
本発明はまた、
製造装置を使用することにより本発明による製造方法に従って光学レンズが製造される光学レンズ製造工程と、
光学レンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差が決定される位置決め誤差決定工程と、
位置決め誤差が記録される記録工程とを含むレンズ製造方法制御方法であって、
本方法は、上記の光学レンズ製造工程、位置決め誤差決定工程、及び記録工程を定期的に反復する工程と、位置決め誤差の推移を長期にわたってチェックする工程と、上記光学レンズの製造工程中に使用される製造装置の少なくとも1つのパラメータの推移を長期にわたってチェックする工程とを更に含み、
光学レンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差の長期にわたる移が、製造装置の少なくとも1つのパラメータの長期にわたる推移に関連付けられる。
【0014】
本発明は更に、
マスタレンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差を決定する位置決め誤差決定工程と、
位置決め誤差が記録される記録工程とを含む製造方法制御方法に関し、
本方法は、上記のマスタレンズ製造工程、位置決め誤差決定工程、及び記録工程を定期的に反復する工程と、
反復する工程における、位置決め誤差の推移を長期にわたってチェックする工程と、反復する工程における、マスタレンズ製造工程中に使用される製造装置の少なくとも1つのパラメータの推移を長期にわたってチェックする工程とを更に含み、
マスタレンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差の長期にわたる推移は、製造装置の少なくとも1つのパラメータの長期にわたる推移に関連付けられる。
【0015】
別の態様によると、本発明は、プロセッサにアクセス可能な1つ又は複数の一連の格納された命令であってプロセッサにより実行されるとプロセッサに本発明による方法の工程を実行させる1つ又は複数の一連の格納された命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0016】
本発明は更に、本発明によるコンピュータプログラム製品の1つ又は複数の一連の命令を担持するコンピュータ可読媒体に関する。
【0017】
更に、本発明はコンピュータに本発明の方法を実行させるプログラムに関する。
【0018】
本発明はまた、コンピュータに本発明の方法を実行させる記録されたプログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0019】
本発明は更に、1つ又は複数の一連の命令を格納し本発明による方法の工程の少なくとも1つを行うように適応化されたプロセッサを含む装置に関する。
【0020】
特記しない限り、以下の考察から明らかなように、本明細書での考察を通して、「計算する」、「生成する」などの用語を使用する考察は、計算システムのレジスタ及び/又はメモリ内の電子的量などの物理量として表されるデータを、計算システムのメモリ、レジスタ、又は他のこのような情報記憶装置、送信装置、又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ又は計算システム又は同様な電子計算装置の行為及び/又は処理を指すということが理解される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態は本明細書における動作を行う装置を含み得る。この装置は、所望の目的のために特に構築され得る、及び/又はコンピュータ内に格納されたコンピュータプログラムにより選択的に活性化又は再構成される汎用コンピュータ又はデジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)を含み得る。このようなコンピュータプログラムは、限定しないが、フロッピーディスク(登録商標)、光ディスク、CD− ROM、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM:read− only memories)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memories)、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM:electrically programmable read− only memories)、電気的消去可能及びプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM:electrically erasable and programmable read only memories)、磁気又は光カード、又は電子的命令を格納するのに好適でありかつコンピュータシステムバスに結合できる任意の他のタイプの媒体を含む任意のタイプのディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体内に格納され得る。
【0022】
本明細書に提示される処理と表示は、いかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的には関連付けられない。様々な汎用システムが本明細書の教示に従ってプログラムと共に使用され得る、又は様々な汎用システムは所望の方法を実行するようにより専用化された装置を構築するのに好都合であるということが分かり得る。多種多様のこれらのシステムの所望の構造は以下の説明から分かる。加えて、本発明の実施形態はいかなる特定のプログラミング言語も参照して記述されない。本明細書に記載される本発明の教示を実施するために様々なプログラミング言語が使用され得るということが理解される。
【0023】
次に本発明の非限定的実施形態について添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による方法の工程を表すフローチャートである。
図2A】本発明の実施形態に従って製造される光学レンズ部材の概略図である。
図2B】本発明の実施形態に従って機械加工される半製品レンズ部材の予め形成された面の平面図である。
図3】レンズ部材とブロック装置の略図である。
図4A】本発明に従って製造される光学レンズの略図である。
図4B本発明に従って製造される光学レンズの略図である。
図4C本発明に従って製造される光学レンズの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面内の要素は簡略化と明確化のために示されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図面内の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を深めるのを支援するために他の要素に対して誇張されることがある。
【0026】
本発明の意味では、「設計」は、一般的光学系の光学機能を定義できるようにする一組のパラメータを指定するために当業者に公知の広く使用される用語であり、各眼用レンズ製造者は、特に非球面レンズと累進レンズの製造者自身の設計を有する。一例として、累進レンズ「設計」は、すべての距離ではっきり見るために老眼者の能力を回復し、また中心視覚、中心外視覚、双眼視覚などのすべての生理学的視覚機能を最適に反映し、不要な非点収差を最小化するように、累進表面の最適化をもたらす。
【0027】
本発明の意味では、「製造パラメータ」は製造方法に関与する様々な製造装置の設定パラメータである。本発明の意味では、「方法パラメータ」はレンズの製造に使用される製造装置上の任意の測定可能パラメータを含む。
【0028】
図1に示す本発明の一実施形態によると、本発明による光学レンズ製造方法は、
ンズ部材提供工程S1、
データ提供工程S2、
ンズ部材ブロック工程S3、
械加工工程S4、
2のマーキング決定工程S5、
2のマーキング提供工程S6
を少なくとも含む。
【0029】
レンズ部材提供工程S1中、図2Aに表されるようなレンズ部材が提供される。
【0030】
図2Aに表されるように、レンズ部材10は第1の設計による第1の面、例えば予め形成された前面11を有する。完した光学レンズの使用、予め形成された前面11は、見えている物体の最も近くに配置され、機械加工工程で修正される第2の面12は、例えば点線により表される完成した光学レンズの裏面13を提供するものである。第2の面12は、要求光学的処方箋に従って、裏面13が前面11に適応されかつ前面11から間隔を置かれるように、機械加工具により機械加工される。
【0031】
本発明の本実施形態では、第1の面はレンズ部材の前面であり、第2の面は裏面であるが、本発明の別の実施形態では、第1の面が半製品レンズ部材の裏面であ、第2の面が前面であるということが理解される。
【0032】
更に、本発明の本実施形態では、光学レンズの裏面は機械加工処理により形成されるが、本発明の別の実施形態では、レンズの両方又はいずれか一方の面が機械加工処理により形成され得るということが理解される。
【0033】
更に、製造される面13は図2Aでは凹面で表されるが、この表面13は同様に良好な凸面又は任意の他の湾曲面で有り得るということが理解される。
【0034】
図2Bを参照すると、複数の第1のマーキング111は、第1の面11の第1の設計の位置決めのための第1の基準系を定義する基準特徴としてレンズ部材10の第1の面11に設けられる。
【0035】
本発明の一実施形態によると、複数のマーキング111は、結果として生じる完成光学レンズの装着者を妨害するリスクを制限するように数マイクロメートルの深さを有する彫り込み式マーキングであり得る。
【0036】
本発明の別の実施形態によると、複数のマーキング11は、製造された光学レンズを装着者へ提供する前に除去され得る暫定的マーキングであり得る。
【0037】
面データ提供工程S2中、製造される光学レンズの第2の面に対応する面データが提供される。面データは、製造された裏面13と前面とを組み合わせた光学レンズが要求光学機能を提供するように、第2の面12上に製造される面と、第1の面に対する第2の面の位置とに対応する。面データは予め形成された前面と装着者の処方箋とに従って決定される
【0038】
レンズ部材ブロック工程S3中、レンズ部材10は加工位置にブロックされる。機械加工工程S4中、光学レンズの第2の面は、光学レンズの所望光学特性が反映されるように、面データに従って機械加工される。
【0039】
本発明の一実施形態によると、本方法はレンズ部材ブロック工程S3前にレンズブロッカ提供工程を含み得る。
【0040】
次に図3を参照すると、製造工程中にレンズ部材10を正しい位置にブロックするためのレンズブロック装置はインサート21とブロックリング22とを含む。レンズ部材10の下面、インサート21、及びブロックリング22により画定される空洞中にブロック鋳込み材料(blocking cast material)24が注がれる。ブロック鋳込み材料24は、機械加工のために所望位置にレンズ部材10のブロッカを設けるために冷却し固化する。ブロッカは加工データが表現される機械加工基準座標系を含む。
【0041】
第2のマーキング決定工程S5中、第2の面の第2の基準系を認識する複数の第2のマーキングが決定される。複数の第2のマーキングは第2のマーキング提供工程S6中に光学レンズの第2の面に設けられる。
【0042】
複数の第2のマーキングは少なくとも光学データと観測データとに従って決定される。
【0043】
光学データは光学レンズの屈折特性を表す。本発明の一実施形態によると、光学データは装着者の処方箋を表す。光学データは、第1及び第2の面の設計、第1の面に対する第2の位置、例えば光学レンズの厚さ及びプリズム度数、及び光学的指標を表し得る。
【0044】
観測データは、複数の第1及び第2のマーキングが観測される観測条件を表す。観測条件は、観測装置と観測装置内の製造されたレンズの位置とを考慮することにより規定され得る。
観測装置内の製造された光学レンズの位置は、光学レンズ基準座標系と観測装置基準座標系との位置として規定され得る。光学レンズ基準座標系は、レンズがブロッカ上に維持されていればブロッカを使用することにより、又は整合規格ISO8980により規定されるようにプリズム度数基準点を通る光学レンズの面の一方の面の法線により定義され得る。
【0045】
つの面の相対位置の決定は、特に複数の第1及び第2のマーキングの観測が複数の観測条件において実施されるとはるかに容易にできる利点がある
【0046】
本発明の一実施形態によると、複数の第2のマーキングは、第2の面が第1の面に対して正しく配置されると、観測条件において複数の第1のマーキングと同じ位置に現われるように決定される。したがって、観測条件では、複数の第2のマーキングと第1のマーキングは、第2の面が第1の面に対して正しく配置されると重畳されて現われる。
【0047】
したがって、製造された光学レンズの選別を容易に実施することができる。
【0048】
図4Aと4Bに示される本発明の一実施形態によると、複数の第2のマーキングは位置決め公差を考慮して決定され得る。
【0049】
例えば、図4Aに示すように、複数の第2のマーキング112は円形形状を有し得、第2の面が第1の面に対して正しく配置されると、複数の第2のマーキング112は観測条件において複数の第1のマーキング111上を中心として現われるように決定され得る。円形形状の複数の第2のマーキングの半径は位置の公差に基づき決定され得る。
【0050】
したがって、第2の面と第1の面との位置決め誤差が位置の公差より大きいと、複数の第1のマーキングは図4Bに示すように複数の第2のマーキングの外側に現れわる。
【0051】
しかし、第2の面と第1の面との位置決め誤差が位置の公差より小さいと、複数の第1のマーキングは図4Cに示すように複数の第2のマーキングの内側に現われる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、第2のマーキング提供工程は機械加工工程と同じ機械加工装置により実施され、光学レンズは同じ位置に維持される。光学レンズを機械加工工程と第2のマーキング提供工程中に同じ位置に維持することにより、複数の第2のマーキングと第2の面とのいかなる位置決め誤差も導入されないということを保証する、利点がある
【0053】
図1に示すように、本発明の一実施形態によると、本方法は、第2のマーキング提供工程後に
準系決定工程S7と、
較工程S8と
を更に含み得る。
【0054】
れらの追加工程は、被機械加工光学レンズの第1の面と第2の面との相対位置を決定できるようにする、利点がある
【0055】
基準系決定工程S7中、複数の第1及び第2のマーキングの位置は観測データに対応する観測条件で決定される。第1及び第2の基準系は複数の第1及び第2のマーキングの位置に基づき決定され得る。
【0056】
第1の面と第2の面との位置決め誤差は、比較工程S8中に第1の基準系と第2の基準系の位置を比較することにより判定される。
【0057】
本発明の一実施形態によると、第1基準系の位置と第2の基準系の位置は共通基準系(例えば製造された光学レンズ基準座標系)において比較される。先に示したように、光学レンズ基準座標系は、レンズがブロッカ上に維持されていればブロッカを使用することにより、又は整合規格ISO8980により義務付けられた基準マーキング間を通る光学レンズの面の一方の面の法線により定義され得る。
【0058】
本発明の一実施形態によると、第1のマーキングと第2のマーキングとの相対位置はオペレータにより観測条件で決定される。例えば、観測条件は、光源とオペレータの眼とから所定距離に光学レンズを配置することでもよい。第2のマーキング決定工程中、第2のマーキングは、第2の面が第1の面に対して正しく配置される又は誤差公差を有する図4〜4Cに示されるように配置されると、第1のマーキングに重畳されてオペレータに見えるように決定され得る。
【0059】
ペレータは第1の面と第2の面との相対位置を非常に容易にチェックできる利点がある
【0060】
観測条件はまた、機械加工光学レンズを通して光源の像を画面へ投影させることでもよい。このとき、オペレータは投影スクリーン上の複数のマーキングを観測することができるであろう。
【0061】
図1に示すように、本発明による方法はまた、第1の面と第2の面との位置決め誤差が閾値以下あれば、製造された光学レンズが容認され、第1の面と第2の面との位置決め誤差が閾値より大きければ拒絶される選別工程S9を含み得る。
【0062】
本発明の異なる実施形態によると、閾値は装着者の処方箋及び/又は一方又は両方の面の設計及び/又は曲率変化に依存し得る。
【0063】
本発明はまた、レンズ製造工程制御方法に関する。レンズ製造工程制御方法は、
a)本発明の製造方法に従って製造装置を使用して光学レンズを製造する工程と、
b)光学レンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差を決定する工程と、
c)決定された位置決め誤差を記録する工程と、
d)工程a)〜工程c)を定期的に反復して位置決め誤差の推移を長期にわたってチェックする工程とを含む。
【0064】
レンズ製造工程中に使用される製造装置の少なくとも1つのパラメータの推移が長期にわたってチェックされ、光学レンズの第1の面と第2の面との位置決め誤差の長期にわたる推移は、製造装置の少なくとも1つのパラメータの長期にわたる推移に関連付けられる。
【0065】
本発明による方法は、機械加工処理のいくつかの方法パラメータ又は装置パラメータを制御できるようにする利点がある。実際、位置誤差は機械加工装置パラメータのいくつかと相関付けられ得、これにより、位置決め誤差の長期にわたる推移を制御することで、機械加工装置パラメータのドリフト又はシフトを認識するのを助けることができる。

【0066】
本発明の一実施形態によると、工程a)を反復する際に製造される光学レンズは反復毎に異なる光学レンズでもよい
【0067】
本発明の一実施形態によると、工程a)中に製造される光学レンズはマスタレンズもよい
【0068】
マスタレンズは異なる幾何学及び/又は光学パラメータを有する、及び/又は製造工程中に製造されるレンズとは異なる材料で作られる。
【0069】
マスタレンズの選択は観測条件を単純化するようになされ得、例えば、マスタレンズは2つの平坦かつ平行な面を含み得る。
【0070】
マスタレンズの選択は工程パラメータに対するあるパラメータの感度を増幅するように行われ得る。例えば、マスタレンズはある材料で作られ、その光学パラメータが通常の製造レンズよりプロセスパラメータの修正に対してより敏感であるような設計を有する。
【0071】
スタレンズの使用は、位置決め誤差のシフトとレンズ製造工程中に使用される製造装置のパラメータとの相関をより単純かつより信頼できるものにする、利点がある
【0072】
例えば、マスタレンズは、製造装置のパラメータをチェックするように、毎日、又は1日に何回か、又は毎日ではなく定期的に製造され得る。
【0073】
本発明は、全体的な発明概念を限定すること無しに、実施形態の助けを借りて上に説明された。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C