特許第6590712号(P6590712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590712
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/02 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   B66F7/02 N
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-14301(P2016-14301)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-132593(P2017-132593A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳
(72)【発明者】
【氏名】大西 献
(72)【発明者】
【氏名】村田 長太郎
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−125733(JP,A)
【文献】 特開2001−213584(JP,A)
【文献】 特開2004−053293(JP,A)
【文献】 特開2008−156047(JP,A)
【文献】 実開平05−045159(JP,U)
【文献】 実開平05−042534(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00−7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルで一連に連続した複数の搭載機器を1つずつ運ぶ昇降装置であって、
4隅に支柱を有する複数の箱型フレームが内外で組み合わされて上下方向に伸縮可能に設けられた伸縮部と、
前記伸縮部の伸長時に上下に配置される下側の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍にそれぞれ配置されたスプロケットに掛け渡されるチェーンの端部を上側の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍に固定して上側の前記箱型フレームを下側の前記箱型フレームを介して吊り下げて支持するフレーム支持部と、
前記フレーム支持部における各前記チェーンを移動させることで上側の前記箱型フレームを下側の前記箱型フレームに対して昇降させるフレーム駆動部と、
前記伸縮部における伸長時の最上部に位置する最上の前記箱型フレーム内に設けられて前記搭載機器を載せる矩形板状のステージと、
最上の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍にそれぞれ配置されたスプロケットに掛け渡されるチェーンの端部を前記ステージの各隅の近傍に固定して前記ステージを最上の前記箱型フレームを介して吊り下げて支持するステージ支持部と、
前記ステージ支持部における各前記チェーンを移動させることで前記ステージを最上の前記箱型フレームに対して昇降させるステージ駆動部と、
を備え
前記ステージにおける相反する2辺のうちの一方を前記搭載機器の入口側として他方を前記搭載機器の出口側とし、
各前記箱型フレームにおける前記入口側の各前記支柱の間の下部スパンを開放すると共に、最上の前記箱型フレームにおける前記出口側の各前記支柱の間の上部スパンを開放することを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記ステージにおける相反する2辺のうち一方を入口側として他方を出口側とし、
前記ステージの前記入口側に進退可能に設けられた入口側張出部と、
前記ステージの前記出口側に進退可能に設けられた出口側張出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記入口側張出部は、先端が開口する切欠が形成され、前記ステージの前記入口側の縁に前記入口側張出部における前記切欠に通じる切欠が形成されていることを特徴とする請求項に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記伸縮部における伸長時の最下部に位置する最下の前記箱型フレームの下部に設けられた複数の車輪と、
前記車輪の少なくとも2つを回転駆動させる車輪駆動部と、
少なくとも前記車輪駆動部により回転駆動される前記車輪を上下方向に移動可能に支持する車輪支持部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項5】
前記伸縮部における全周囲を撮像する周囲撮像部を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項6】
前記伸縮部におけるいずれかの箱型フレームの各前記支柱の上端近傍に設けられて上方にレーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記ステージに設けられて前記レーザ照射部が照射するレーザ光を含む範囲の上方を撮像する上方撮像部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項7】
前記伸縮部の傾斜角度を検出する傾斜検出部を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の昇降装置。
【請求項8】
前記伸縮部における伸長時の最下部に位置する最下の前記箱型フレームの下部に複数設けられて前記伸縮部を床面に対して持ち上げた状態で支えるジャッキ部を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低位置と高位置との連絡を行う昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、各種プラントなどの建屋内環境を移動しながら、点検、補修などの作業を行うために移動装置に搭載される昇降装置(リフター)に関し、特に原子炉建屋の放射線管理区域などの人間による作業が困難な場所で作業を行うために移動装置に搭載される昇降装置が示されている。この昇降装置は、オペレータの遠隔操作により移動する移動装置に搭載される基部と、基部の上方に配置されるテーブルと、テーブルを昇降させる昇降体と、昇降体の内側に配置され昇降体を駆動する駆動部と、を備える。昇降体は、基部に対して上下方向にスライドして伸縮するように嵌め合わされた複数の筒体で構成され、駆動部は、各筒体に設けられた滑車と、滑車に掛け渡されたワイヤと、ワイヤを巻回する駆動部と、を備え、駆動部によりワイヤを巻き取ることで各筒体を伸長するように押し上げる一方で、駆動部によりワイヤを巻き戻すことで各筒体を伸縮させる。
【0003】
また、従来、例えば、特許文献2には、略矩形の平面形態をもつ昇降フレームの4隅近傍をそれぞれ伸縮支柱で支持し、さらに各伸縮支柱の下部にそれぞれ走向駆動手段を備えた走向台車を配置した昇降装置(自走式リフター装置)が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−227251号公報
【特許文献2】特許第5207624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の昇降装置は、テーブルや昇降フレームを下から押し上げて支持する構成である。このため、テーブルや昇降フレームの上に載せられる搭載機器の配置によりテーブルや昇降フレームの端に重心が偏る変動荷重が生じると、テーブルや昇降フレームの昇降が不安定になる。この結果、剛構造が必要になり装置が大型化するため、狭隘な場所での作業が困難になる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、安定した昇降動作を行うことのできる昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の昇降装置は、4隅に支柱を有する複数の箱型フレームが内外で組み合わされて上下方向に伸縮可能に設けられた伸縮部と、前記伸縮部の伸長時に上下に配置される下側の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍にそれぞれ配置されたスプロケットに掛け渡されるチェーンの端部を上側の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍に固定して上側の前記箱型フレームを下側の前記箱型フレームを介して吊り下げて支持するフレーム支持部と、前記フレーム支持部における各前記チェーンを移動させることで上側の前記箱型フレームを下側の前記箱型フレームに対して昇降させるフレーム駆動部と、前記伸縮部における伸長時の最上部に位置する最上の前記箱型フレーム内に設けられた矩形板状のステージと、最上の前記箱型フレームの各前記支柱の近傍にそれぞれ配置されたスプロケットに掛け渡されるチェーンの端部を前記ステージの各隅の近傍に固定して前記ステージを最上の前記箱型フレームを介して吊り下げて支持するステージ支持部と、前記ステージ支持部における各前記チェーンを移動させることで前記ステージを最上の前記箱型フレームに対して昇降させるステージ駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この昇降装置によれば、スプロケットとチェーンにより、伸縮部の伸長時に上下に配置される上側の箱型フレームを下側の箱型フレームに吊り下げ、チェーンを移動させて上側の箱型フレームを昇降させ、かつスプロケットとチェーンにより、ステージを伸縮部の伸長時の最上の箱型フレームに吊り下げ、チェーンを移動させてステージを昇降させる構成としたことにより、ステージに載せられた搭載機器の配置によりステージの端に重心が偏る変動荷重が生じても、各隅部分がチェーンで吊られているため、伸縮部に生じる転倒荷重を抑制することができ、伸縮部の伸縮およびステージの昇降を安定して行うことができる。この結果、特段の剛構造が不要になり装置の小型化を図ることができるため、狭隘な場所での作業を実施できる。
【0009】
また、本発明の昇降装置では、前記ステージにおける相反する2辺のうちの一方を入口側として他方を出口側とし、各前記箱型フレームにおける前記入口側の各前記支柱の間の下部スパンを開放すると共に、最上の前記箱型フレームにおける前記出口側の各前記支柱の間の上部スパンを開放することを特徴とする。
【0010】
この昇降装置によれば、ケーブルで一連に連続した複数の搭載機器を下階から上階に1つずつ運ぶ場合、伸縮部の伸縮およびステージの昇降を繰り返えすことになるが、伸縮部の伸縮およびステージの昇降を繰り返えし行ってもケーブルを何ら挟むことがない。この結果、ケーブルで一連に連続した複数の搭載機器を下階から上階に1つずつ運ぶことができる。
【0011】
また、本発明の昇降装置では、前記ステージにおける相反する2辺のうち一方を入口側として他方を出口側とし、前記ステージの前記入口側に進退可能に設けられた入口側張出部と、前記ステージの前記出口側に進退可能に設けられた出口側張出部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この昇降装置によれば、ステージに自走可能な搭載機器を容易に載せたり降ろしたりすることができる。
【0013】
また、本発明の昇降装置では、前記入口側張出部は、先端が開口する切欠が形成され、前記ステージの前記入口側の縁に前記入口側張出部における前記切欠に通じる切欠が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この昇降装置によれば、ステージに載せられた搭載機器から延びるケーブルを各切欠により保持して位置決めすることができ、ケーブルが他の部位に干渉することを防止できる。
【0015】
また、本発明の昇降装置では、前記伸縮部における伸長時の最下部に位置する最下の前記箱型フレームの下部に設けられた複数の車輪と、前記車輪の少なくとも2つを回転駆動させる車輪駆動部と、少なくとも前記車輪駆動部により回転駆動される前記車輪を上下方向に移動可能に支持する車輪支持部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この昇降装置によれば、床面に段差があっても車輪の回転を床面に伝達して走向することができ、床面に対する追従性を向上することができる。
【0017】
また、本発明の昇降装置では、前記伸縮部における全周囲を撮像する周囲撮像部を備えることを特徴とする。
【0018】
この昇降装置によれば、伸縮部における全周囲を確認することができ、遠隔操作において狭隘部での作業性を向上することができる。
【0019】
また、本発明の昇降装置では、前記伸縮部におけるいずれかの箱型フレームの各前記支柱の上端近傍に設けられて上方にレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記ステージに設けられて前記レーザ照射部が照射するレーザ光を含む範囲の上方を撮像する上方撮像部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この昇降装置によれば、伸縮部およびステージの鉛直に対する水平位置を確認することができる。
【0021】
また、本発明の昇降装置では、前記伸縮部の傾斜角度を検出する傾斜検出部を備えることを特徴とする。
【0022】
この昇降装置によれば、伸縮部の傾きを監視することができる。伸縮部の傾きを監視することで伸縮部が周囲に干渉する事態を回避する策を講じることができる。
【0023】
また、本発明の昇降装置では、前記伸縮部における伸長時の最下部に位置する最下の前記箱型フレームの下部に複数設けられて前記伸縮部を床面に対して持ち上げた状態で支えるジャッキ部を備えることを特徴とする。
【0024】
この昇降装置によれば、伸縮部の傾きを補正したり、伸縮部およびステージの鉛直に対する水平位置を確保したりすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、安定した昇降動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態に係る昇降装置の縮小時の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る昇降装置の縮小時の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る昇降装置の縮小時の平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る昇降装置の伸長時の斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る昇降装置の伸長時の斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る昇降装置の伸長時の斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0028】
図1および図2は、本実施形態に係る昇降装置の縮小時の斜視図である。図3は、本実施形態に係る昇降装置の縮小時の平面図である。図4図6は、本実施形態に係る昇降装置の伸長時の斜視図である。
【0029】
本実施形態の昇降装置は、伸縮部1と、フレーム支持部3と、フレーム駆動部5と、ステージ7と、ステージ支持部9と、ステージ駆動部11と、車輪13と、車輪駆動部15と、車輪支持部17と、周囲撮像部19と、レーザ照射部21と、上方撮像部23と、傾斜検出部25と、ジャッキ部27と、制御盤29と、を含む。
【0030】
伸縮部1は、複数(本実施形態では3つ)の箱型フレーム1A,1B,1Cを有している。各箱型フレーム1A,1B,1Cは、内外で組み合わされて相互が上下方向に伸縮可能に設けられている。本実施形態では、伸縮部1は、伸長時に最下部に位置する最下の箱型フレーム1Aが最も外形が大きく最も外側に配置され、伸長時に中央に位置する中央の箱型フレーム1Bが最下の箱型フレーム1Aの内側に配置され、伸長時に最上部に位置する最上の箱型フレーム1Cが中央の箱型フレーム1Bの内側に配置されている。また、伸縮部1は、縮小時に最下の箱型フレーム1Aに中央の箱型フレーム1Bが収納され、中央の箱型フレーム1Bに最上の箱型フレーム1Cが収納される。
【0031】
各箱型フレーム1A,1B,1Cは、4隅に上下方向に延在する支柱1Aa,1Ba,1Caを有して矩形状の外形に形成されている。本実施形態では、それぞれ箱型フレーム1A,1B,1Cにおいて支柱1Aa,1Ba,1Caの間をスパンという。
【0032】
そして、最下の箱型フレーム1Aにおいて、支柱1Aaの間のスパンには、各支柱1Aaの上端を横方向で連結する上部梁材1Abと、各支柱1Aaの下端を横方向で連結する下部梁材1Acと、が設けられている。上部梁材1Abが配置された支柱1Aaの間を上部スパンといい、下部梁材1Acが配置された支柱1Aaの間を下部スパンという。最下の箱型フレーム1Aは、支柱1Aaの間の上部スパンの4箇所全てに上部梁材1Abが設けられている。また、最下の箱型フレーム1Aは、支柱1Aaの間の下部スパンの3箇所に下部梁材1Acが設けられている。すなわち、最下の箱型フレーム1Aは、支柱1Aaの間の下部スパンの1箇所が開放して構成されている。なお、図には明示しないが、上部スパンの上部梁材1Abおよび下部スパンの下部梁材1Acの支柱1Aaとの連結部を斜めに繋ぐ補強材を設けてある。
【0033】
また、中央の箱型フレーム1Bにおいて、支柱1Baの間のスパンには、各支柱1Baの上端を横方向で連結する上部梁材1Bbと、各支柱1Baの下端を横方向で連結する下部梁材1Bcと、が設けられている。上部梁材1Bbが配置された支柱1Baの間を上部スパンといい、下部梁材1Bcが配置された支柱1Baの間を下部スパンという。中央の箱型フレーム1Bは、支柱1Baの間の上部スパンの4箇所全てに上部梁材1Bbが設けられている。また、中央の箱型フレーム1Bは、支柱1Baの間の下部スパンの3箇所に下部梁材1Bcが設けられている。すなわち、中央の箱型フレーム1Bは、支柱1Baの間の下部スパンの1箇所が開放して構成されている。この支柱1Baの間の下部スパンの1箇所が開放した部分は、最下の箱型フレーム1Aにおいて支柱1Aaの間の下部スパンの1箇所が開放した部分と同じ向きの部分である。なお、図には明示しないが、上部スパンの上部梁材1Bbおよび下部スパンの下部梁材1Bcの支柱1Baとの連結部を斜めに繋ぐ補強材を設けてある。
【0034】
また、最上の箱型フレーム1Cにおいて、支柱1Caの間のスパンには、各支柱1Caの上端を横方向で連結する上部梁材1Cbと、各支柱1Caの下端を横方向で連結する下部梁材1Ccと、各支柱1Caの中間を横方向で連結する中部梁材1Cdと、が設けられている。上部梁材1Cbが配置された支柱1Caの間を上部スパンといい、下部梁材1Ccが配置された支柱1Caの間を下部スパンといい、中部梁材1Cdが配置された支柱1Caの間を中部スパンという。最上の箱型フレーム1Cは、支柱1Caの間の上部スパンの1箇所のみに上部梁材1Cbが設けられている。また、最上の箱型フレーム1Cは、支柱1Caの間の下部スパンの3箇所に下部梁材1Ccが設けられている。また、最上の箱型フレーム1Cは、支柱1Caの間の中部スパンの3箇所に中部梁材1Cdが設けられている。そして、最上の箱型フレーム1Cは、支柱1Caの間の下部スパンおよび中部スパンの同じ1箇所が開放して構成されている。この支柱1Caの間の下部スパンおよび中部スパンの1箇所が開放した部分は、最下の箱型フレーム1Aにおいて支柱1Aaの間の下部スパンの1箇所が開放した部分、および中央の箱型フレーム1Bにおいて支柱1Baの間の下部スパンの1箇所が開放した部分と同じ向きの部分である。また、最上の箱型フレーム1Cにおいて、支柱1Caの間の上部スパンの1箇所のみに設けられた上部梁材1Cbは、下部スパンおよび中部スパンの1箇所が開放した部分に対応して配置されている。なお、図には明示しないが、中部スパンの中部梁材1Cdおよび下部スパンの下部梁材1Ccの支柱1Caとの連結部を斜めに繋ぐ補強材を設けてある。また、最上の箱型フレーム1Cの各支柱1Caには、照明1Ceがそれぞれ取り付けられている。
【0035】
フレーム支持部3は、伸長時に上下に配置される上側の箱型フレームを下側の箱型フレームを介して吊り下げて支持するものである。本実施形態では、フレーム支持部3は、最下の箱型フレーム1Aを介して中央の箱型フレーム1Bを吊り下げて支持するフレーム支持部3Aと、中央の箱型フレーム1Bを介して最上の箱型フレーム1Cを吊り下げて支持するフレーム支持部3Bとを有する。
【0036】
フレーム支持部3Aは、最下の箱型フレーム1Aの各支柱1Aaの上端近傍にそれぞれ支持スプロケット3Aaが配置され、この4つの支持スプロケット3Aaに掛け渡される各チェーン3Abの一方の端部を中央の箱型フレーム1Bの各支柱1Baの下端近傍に固定することで、最下の箱型フレーム1Aを介して中央の箱型フレーム1Bを吊り下げて支持する。また、フレーム支持部3Aは、最下の箱型フレーム1Aにおける上部スパンの上部梁材1Abに沿って配置された回転軸3Acを有する。回転軸3Acには、上述した支持スプロケット3Aaのうちの2つが設けられており、当該2つの支持スプロケット3Aaに掛け渡された2つのチェーン3Abの他方の端部が最下の箱型フレーム1Aに固定されている。また、回転軸3Acには、2つの軸スプロケット3Adが設けられており、当該2つの軸スプロケット3Adに対し、上述した支持スプロケット3Aaのうちの他の2つに掛け渡された2つのチェーン3Abが掛け渡されてその他方の端部が最下の箱型フレーム1Aに固定されている。このように、中央の箱型フレーム1Bは、その4隅の各支柱1Baの近傍が、最下の箱型フレーム1Aの4隅の各支柱1Aaの近傍に設けられた各支持スプロケット3Aaと、各支持スプロケット3Aaに掛け渡される各チェーン3Abにより吊り下げて支持される。
【0037】
フレーム支持部3Bは、中央の箱型フレーム1Bの各支柱1Baの上端近傍にそれぞれ支持スプロケット3Baが配置され、この4つの支持スプロケット3Baに掛け渡される各チェーン3Bbの一方の端部を最上の箱型フレーム1Cの各支柱1Caの下端近傍に固定することで、中央の箱型フレーム1Bを介して最上の箱型フレーム1Cを吊り下げて支持する。また、フレーム支持部3Bは、中央の箱型フレーム1Bにおける上部スパンの上部梁材1Bbに沿って配置された回転軸3Bcと、中央の箱型フレーム1Bの各支柱1Baの下端近傍に配置された中継スプロケット3Beと、を有する。回転軸3Bcには、4つの軸スプロケット3Bdが設けられており、当該4つの軸スプロケット3Bdに対し、上述した4つの支持スプロケット3Baからそれぞれ中継スプロケット3Beを介して掛け渡された4つのチェーン3Bbが掛け渡されてその他方の端部が中央の箱型フレーム1Bに固定されている。このように、最上の箱型フレーム1Cは、その4隅の各支柱1Caの近傍が、中央の箱型フレーム1Bの4隅の各支柱1Baの近傍に設けられた各支持スプロケット3Baと、各支持スプロケット3Baに掛け渡される各チェーン3Bbにより吊り下げて支持される。
【0038】
フレーム駆動部5は、フレーム支持部3を介して上側の箱型フレームを下側の箱型フレームに対して昇降させるものである。本実施形態では、フレーム駆動部5は、フレーム支持部3Aの各チェーン3Abを移動させて中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して昇降させるフレーム駆動部5Aと、フレーム支持部3Bの各チェーン3Bbを移動させて最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して昇降させるフレーム駆動部5Bとを有する。
【0039】
フレーム駆動部5Aは、フレーム支持部3Aにおける回転軸3Acを回転駆動させることで各支持スプロケット3Aaを介して各チェーン3Abを移動させる。フレーム駆動部5Aは、駆動モータ5Aaと、駆動モータ5Aaの主軸の回転を回転軸3Acに伝達する伝達機構5Abと、を有する。伝達機構5Abは、駆動モータ5Aaの主軸に設けられたスプロケットと、回転軸3Acに設けられたスプロケットと、各スプロケットに掛け回された無端状のチェーンとで構成される。従って、フレーム駆動部5Aは、回転軸3Acを一方に回転させることで、各チェーン3Abを介して各支持スプロケット3Aaが同期して回転して各チェーン3Abを引っ張り、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させる。また、フレーム駆動部5Aは、回転軸3Acを他方に回転させることで、各チェーン3Abを介して各支持スプロケット3Aaが同期して回転して各チェーン3Abを押し出し、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して下降させる。また、フレーム駆動部5Aは、最下の箱型フレーム1Aにおいて回転軸3Acの近傍にリミットスイッチ5Ac(図6参照)が設けられている。リミットスイッチ5Acは、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させたときと、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して下降させたときに、弛みが変化したチェーン3Abにより作動する。従って、リミットスイッチ5Acは、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させたときと、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して下降させたときを検出する。
【0040】
フレーム駆動部5Bは、フレーム支持部3Bにおける回転軸3Bcを回転駆動させることで各支持スプロケット3Baを介して各チェーン3Bbを移動させる。フレーム駆動部5Bは、駆動モータ5Baと、駆動モータ5Baの主軸の回転を回転軸3Bcに伝達する伝達機構5Bbと、を有する。伝達機構5Bbは、駆動モータ5Baの主軸に設けられたスプロケットと、回転軸3Bcに設けられたスプロケットと、各スプロケットに掛け回された無端状のチェーンとで構成される。従って、フレーム駆動部5Bは、回転軸3Bcを一方に回転させることで、各チェーン3Bbを介して各支持スプロケット3Baが同期して回転して各チェーン3Bbを引っ張り、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させる。また、フレーム駆動部5Bは、回転軸3Bcを他方に回転させることで、各チェーン3Bbを介して各支持スプロケット3Baが同期して回転して各チェーン3Bbを押し出し、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して下降させる。また、フレーム駆動部5Bは、中央の箱型フレーム1Bにおいて回転軸3Bcの近傍にリミットスイッチ5Bc(図5参照)が設けられている。リミットスイッチ5Bcは、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させたときと、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して下降させたときに、弛みが変化したチェーン3Bbにより作動する。従って、リミットスイッチ5Bcは、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させたときと、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して下降させたときを検出する。
【0041】
また、上述した伸縮部1において、最下の箱型フレーム1Aの各支柱1Aaの上端近傍に、ピストンを進退自在に有するシリンダ6a(図6参照)が設けられている。また、中央の箱型フレーム1Bの各支柱1Baの下端近傍に、シリンダ6aの進出したピストンが係合する突起6b(図6参照)が設けられている。従って、これらシリンダ6aおよび突起6bは、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させた状態で、シリンダ6aのピストンを進出させることで、中央の箱型フレーム1Bの下降を阻止するストッパとして機能する。また、上述した伸縮部1において、中央の箱型フレーム1Bの各支柱1Baの上端近傍に、ピストンを進退自在に有するシリンダ6a(図5参照)が設けられている。また、最上の箱型フレーム1Cの各支柱1Caの下端近傍に、シリンダ6aの進出したピストンが係合する突起6b(図5参照)が設けられている。従って、これらシリンダ6aおよび突起6bは、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させた状態で、シリンダ6aのピストンを進出させることで、最上の箱型フレーム1Cの下降を阻止するストッパとして機能する。これらのシリンダ6aは、エアシリンダであってもよいが、荷重に耐え得るように油圧シリンダであることが好ましい。そして、最下の箱型フレーム1Aおよび中央の箱型フレーム1Bには、シリンダ6aに作動油を供給する油圧ポンプ6cがそれぞれ設けられている。
【0042】
ステージ7は、対象物を載せる台であって、本実施形態では水平配置された矩形板状の部材からなる。このステージ7は、伸縮部1における伸長時の最上部に位置する最上の箱型フレーム1Cに収納され、最上の箱型フレーム1Cに対して昇降可能に設けられている。
【0043】
ステージ支持部9は、ステージ7を最上の箱型フレーム1Cを介して吊り下げて支持するものである。ステージ支持部9は、最上の箱型フレーム1Cの各支柱1Caの上端近傍にそれぞれ支持スプロケット9aが配置され、この4つの支持スプロケット9aに掛け渡される各チェーン9bの一方の端部をステージ7の4隅近傍に固定することで、最上の箱型フレーム1Cを介してステージ7を吊り下げて支持する。また、ステージ支持部9は、最上の箱型フレーム1Cにおいて上部スパンの上部梁材1Cbに沿って配置された回転軸9cを有する。回転軸9cには、上述した支持スプロケット9aのうちの2つが設けられており、当該2つの支持スプロケット9aに掛け渡された2つのチェーン9bの他方の端部が最上の箱型フレーム1Cに固定されている。また、回転軸9cには、2つの軸スプロケット9dが設けられており、当該2つの軸スプロケット9dに対し、上述した支持スプロケット9aのうちの他の2つに掛け渡された2つのチェーン9bが掛け渡されてその他方の端部が最上の箱型フレーム1Cに固定されている。このように、ステージ7は、その4隅の近傍が、最上の箱型フレーム1Cの4隅の各支柱1Caの近傍に設けられた各支持スプロケット9aと、各支持スプロケット9aに掛け渡される各チェーン9bにより吊り下げて支持される。
【0044】
ステージ駆動部11は、ステージ支持部9における回転軸9cを回転駆動させることで各支持スプロケット9aを介して各チェーン9bを移動させる。ステージ駆動部11は、駆動モータ11aと、駆動モータ11aの主軸の回転を回転軸9cに伝達する伝達機構11bと、を有する。伝達機構11bは、駆動モータ11aの主軸に設けられたスプロケットと、回転軸9cに設けられたスプロケットと、各スプロケットに掛け回された無端状のチェーンとで構成される。従って、ステージ駆動部11は、回転軸9cを一方に回転させることで、各支持スプロケット9aが同期して回転して各チェーン9bを引っ張り、ステージ7を最上の箱型フレーム1Cに対して上昇させる。上昇されたステージ7は、伸縮部1の伸長時において最上の箱型フレーム1Cにおける中部梁材1Cdよりも高い位置に配置される。また、ステージ駆動部11は、回転軸9cを他方に回転させることで、各支持スプロケット9aが同期して回転して各チェーン9bを押し出し、ステージ7を最上の箱型フレーム1Cに対して下降させる。下降されたステージ7は、伸縮部1の伸縮時において最下の箱型フレーム1Aにおける下部梁材1Acよりも低い位置であって、床面に沿って配置される。
【0045】
ステージ7は、相反する2辺のうちの一方が搭載機器を搬入するための入口側とされ、他方が搭載機器を搬出するための出口側とされる。具体的に、入口側は、伸縮部1の各箱型フレーム1A,1B,1Cにおいて、支柱1Aa,1Ba,1Caの間の下部スパンおよび支柱1Caの中部スパンが開放して構成された部分に対応している。また、出口側は、伸縮部1の最上の箱型フレーム1Cにおいて、支柱1Caの間の上部スパンが開放して構成された部分に対応している。そして、ステージ7は、入口側において入口側張出部7Aが駆動手段としてのエアシリンダ7Aa(図6参照)により進退可能に設けられている。また、ステージ7は、出口側において出口側張出部7Bが駆動手段としてのエアシリンダ7Ba(図6参照)により進退可能に設けられている。図1図3においては、入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bが退避されてステージ7の底面に収納された状態を示し、図4図6においては、入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bが進出されてステージ7の外側に張り出した状態を示している。また、入口側張出部7Aは、その中央において先端が開口する切欠7Abが形成されている。なお、ステージ7の入口側の縁にも、切欠7Abに通じる切欠7aが形成されている。また、ステージ7は、エアシリンダ7Aa,7Baに作動空気を供給する圧縮機7Cが側部に設けられている。
【0046】
また、ステージ7は、その側部に支持柱8(図4参照)が立設されており、当該支持柱8の上端にパンチルトズームカメラ8aが取り付けられていると共に、パンチルトズームカメラ8aの下方に照明8bが取り付けられている。
【0047】
車輪13は、最下の箱型フレーム1Aの各支柱1Aaの下端近傍の4箇所に設けられている。
【0048】
車輪駆動部15は、車輪13を回転駆動させるもので、例えば、駆動モータが適用されている。本実施形態において車輪駆動部15は、ステージ7における出口側で隣接する2つの車輪13を回転駆動させる。そして、車輪駆動部15は、2つの車輪13を正逆回転させることで伸縮部1が床面上を前進または後退する。また、車輪駆動部15は、いずれか一方の車輪13を回転させることで伸縮部1の進路が変わる。
【0049】
車輪支持部17は、車輪13を上下方向に移動可能に支持するものである。本実施形態において車輪支持部17は、車輪駆動部15により駆動される車輪13を上下方向に移動可能に支持する。具体的に、車輪支持部17は、最下の箱型フレーム1Aの下部スパンの下部梁材1Acに沿って配置された棒状部材である。車輪支持部17は、棒状の中央部が下部梁材1Acの中央部に対して支軸17aにより回転移動可能に取り付けられることで両端部が上下方向に移動するように設けられている。この車輪支持部17の両端部に車輪13がそれぞれ設けられている。また、車輪駆動部15は、車輪支持部17に取り付けられており、車輪支持部17が回転移動しても車輪13の駆動を常に行えるように構成されている。
【0050】
周囲撮像部19は、伸縮部1の周囲を撮像するカメラである。本実施形態において周囲撮像部19は、最下の箱型フレーム1Aの上部梁材1Abの中央部にそれぞれ外側に向けて設けられている。最下の箱型フレーム1Aの上部梁材1Abは、各支柱1Aaの間の各上部スパンに4箇所に設けられており、周囲撮像部19も各上部スパンに4箇所に設けられる。また、周囲撮像部19は、広角カメラであって、最下の箱型フレーム1Aの周囲の広い範囲を撮像することができる。なお、本実施形態では、暗所においても周囲撮像部19で撮像ができるように、最下の箱型フレーム1Aの各上部梁材1Abに照明20が設けられている。
【0051】
レーザ照射部21は、伸縮部1における最下の箱型フレーム1Aの各支柱1Aaの上端近傍にそれぞれ設けられており上方にレーザ光を照射する。4箇所のレーザ照射部21が照射するレーザ光の4つで形成される矩形の範囲は、最上の箱型フレーム1Cの外形の範囲よりも大きく設定されている。なお、レーザ照射部21は、最下の箱型フレーム1Aに限らずいずれかの箱型フレーム1B,1Cの各支柱1Ba,1Caの上端近傍に設けられていてもよい。
【0052】
上方撮像部23は、ステージ7に設けられてレーザ照射部21が照射するレーザ光を含む範囲の上方を撮像するカメラである。
【0053】
傾斜検出部25は、伸縮部1の傾斜角度を検出するセンサである。傾斜検出部25は、伸縮部1において最下の箱型フレーム1Aにおける各支柱1Aaの間の上部スパンの上部梁材1Abの対向する1つでそれぞれ2箇所に配置されている。傾斜検出部25は、この2箇所においてそれぞれ平面視で90度の位相方向で、伸縮部1の鉛直に対する傾斜角度を検出する。
【0054】
ジャッキ部27は、伸縮部1における最下の箱型フレーム1Aの下部であって、各支柱1Aaの下端近傍にそれぞれ設けられている。ジャッキ部27は、油圧ジャッキであり、伸長することで伸縮部1を床面に対して持ち上げた状態で支える。4箇所の各ジャッキ部27は、独立して駆動される。そして、最下の箱型フレーム1Aには、ジャッキ部27に作動油を供給する油圧ポンプ27aが設けられている。
【0055】
制御盤29は、オペレータによる操作部(図示せず)の操作に基づき上述した昇降装置の動作を制御するもので、最下の箱型フレーム1Aに取り付けられている。なお、制御盤29と操作部との信号の送受は、無線または有線のいずれであってもよい。以下、図7図13の本実施形態に係る昇降装置の動作を示す斜視図を参照して昇降装置の動作の一例を説明する。なお、図7図13では、昇降装置を用いて搭載機器100を上階に形成された矩形状の開口穴50を通じて下階から上階に運ぶ動作を例示している。また、搭載機器100は、オペレータの操作により自走可能であり、かつ複数がケーブル101を介して一連に接続されたものを例示している。
【0056】
図7に示すように、下階において伸縮部1が縮小された昇降装置を開口穴50の直下に移動させる。すなわち、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、車輪駆動部15を制御して伸縮部1を走向させる。この際、制御盤29は、照明20を点灯させると共に周囲撮像部19で撮像された映像をオペレータ側に送信する。オペレータは、モニタにより周囲撮像部19の映像を確認しながら伸縮部1の走向を操作する。走向に際し、昇降装置は、車輪支持部17により駆動の車輪13が上下方向に移動可能に支持されているため、段差があっても車輪13の回転を床面に伝達して走向することが可能である。
【0057】
図8に示すように、オペレータが開口穴50の直下に到達したと判断した場合、制御盤29は、傾斜検出部25の検出信号をオペレータ側に送信する。オペレータは、受信した傾斜検出部25の検出信号に基づき、ジャッキ部27を操作する。この操作に基づき、制御盤29は、ジャッキ部27を制御して、伸縮部1の傾きを補正する。
【0058】
また、図8に示すように、オペレータが開口穴50の直下に到達したと判断した場合、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、レーザ照射部21を制御して上方にレーザ光を照射する。レーザ照射部21は、伸縮部1における最下の箱型フレーム1Aの各支柱1Aaの上端近傍の4箇所に設けられているため、開口穴50の矩形内に合致する。そして、制御盤29は、上方撮像部23で撮像された映像をオペレータ側に送信する。オペレータは、モニタにより上方撮像部23の映像を見て、4箇所のレーザ照射部21が照射するレーザ光の4つで形成される矩形の範囲が開口穴50の矩形内に合致していることを確認する。すなわち、最上の箱型フレーム1Cの外形の範囲が開口穴50の矩形内に合致していることを確認する。また、レーザ照射部21と上方撮像部23とにより、伸縮部1およびステージ7の水平位置を確認することができる。伸縮部1およびステージ7の水平位置が保てていない場合、オペレータは、ジャッキ部27を操作する。この操作に基づき、制御盤29は、ジャッキ部27を制御して、伸縮部1およびステージ7の水平位置を補正する。
【0059】
その後、図8に示すように、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、エアシリンダ7Aaを制御して入口側張出部7Aをステージ7から張り出させる。そして、オペレータは、図9に示すように、入口側張出部7Aを介して搭載機器100をステージ7に載せる。
【0060】
その後、図10に示すように、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、フレーム駆動部5Aの駆動モータ5Aaを制御して中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させる。この際、制御盤29は、リミットスイッチ5Acの検出信号を入力し、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させたことを検出して駆動モータ5Aaを停止する。さらに、制御盤29は、リミットスイッチ5Acの検出信号を入力し、中央の箱型フレーム1Bを最下の箱型フレーム1Aに対して上昇させたタイミングで最下の箱型フレーム1Aのシリンダ6aのピストンを進出作動させる。また、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、フレーム駆動部5Bの駆動モータ5Baを制御して最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させる。この際、制御盤29は、リミットスイッチ5Bcの検出信号を入力し、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させたことを検出して駆動モータ5Baを停止する。さらに、制御盤29は、リミットスイッチ5Bcの検出信号を入力し、最上の箱型フレーム1Cを中央の箱型フレーム1Bに対して上昇させたタイミングで中央の箱型フレーム1Bのシリンダ6aのピストンを進出作動させる。また、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、ステージ駆動部11の駆動モータ11aを制御し、入口側張出部7Aを退避させた状態のステージ7を最上の箱型フレーム1Cに対して上昇させる。この際、制御盤29は、照明1Ceおよび照明8bを点灯させると共にパンチルトズームカメラ8aで撮像された映像をオペレータ側に送信する。オペレータは、モニタによりパンチルトズームカメラ8aの映像を確認しながら開口穴50に対するステージ7の上昇位置を操作する。
【0061】
その後、図11に示すように、ステージ7が開口穴50の上側の位置に至ったところで、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、エアシリンダ7Aaを制御して入口側張出部7Aをステージ7から張り出させると共に、エアシリンダ7Baを制御して出口側張出部7Bをステージ7から張り出させる。その後、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、ステージ駆動部11の駆動モータ11aを制御し、入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bを進出させた状態のステージ7を下降させ、入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bを開口穴50の縁に押し付けることで、ステージ7と共に入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bを開口穴50に掛け渡す。そして、オペレータは、出口側張出部7Bを介して搭載機器100を上階に送る。搭載機器100のケーブル101は、入口側張出部7Aの切欠7Abに通されており、各箱型フレーム1A,1B,1Cの内部を通過して下階から上階に続いている。
【0062】
その後、図12に示すように、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、入口側張出部7Aおよび出口側張出部7Bを退避させ、ステージ7、最上の箱型フレーム1C、中央の箱型フレーム1Bを下降させる。その後、オペレータの操作に基づき、制御盤29は、ステージ7が下階の床面に到達したところで、入口側張出部7Aを張り出させる。そして、オペレータは、入口側張出部7Aを介して次の搭載機器100をステージ7に載せる。この際、各箱型フレーム1A,1B,1Cにおける入口側の各支柱1Aa,1Ba,1Caの間の下部スパンが開放されていると共に、最上の箱型フレーム1Cにおける出口側の各支柱1Caの間の上部スパンが開放されていることから、図12に示すように、ケーブル101は何ら挟まれることなく次の搭載機器100に続く。このような構成でない場合は、伸縮部1を縮小させた際に、各箱型フレーム1A,1B,1Cにおける入口側および出口側でケーブル101が挟まれるため、次の搭載機器100をステージ7に載せることができない。
【0063】
その後、図13に示すように、図11を参照した上記説明と同様にして次の搭載機器100を上階に送る。同様にして、さらに次の搭載機器100も上階に送ることができる。また、搭載機器100を下階に戻すときは、上記動作を逆に行えばよい。
【0064】
制御盤29は、上述したように、オペレータの操作に基づいて各所を制御すると共にオペレータ側に各種検出信号を送信する。制御盤29と各制御対象や検出対象との接続ケーブルは、主に各箱型フレーム1A,1B,1Cの支柱1Aa,1Ba,1Caや、各梁材1Ab,1Ac,1Bb、1Bc,1Cb,1Cc,1Cdの内部を通されるが、伸縮部1の伸縮などにより長さが変化する部分ではケーブルベア29aが用いられる。
【0065】
このように、本実施形態の昇降装置は、4隅に支柱1Aa,1Ba,1Caを有する複数の箱型フレーム1A,1B,1Cが内外で組み合わされて上下方向に伸縮可能に設けられた伸縮部1と、伸縮部1の伸長時に上下に配置される下側の箱型フレーム1A(1B)の各支柱1Aa(1Ba)の近傍にそれぞれ配置されたスプロケット3Aa(3Ba)に掛け渡されるチェーン3Ab(3Bb)の端部を上側の箱型フレーム1B(1C)の各支柱1Ba(1Ca)の近傍に固定して上側の箱型フレーム1B(1C)を下側の箱型フレーム1A(1B)を介して吊り下げて支持するフレーム支持部3A(3B)と、フレーム支持部3A(3B)における各チェーン3Ab(3Bb)を移動させることで上側の箱型フレーム1B(1C)を下側の箱型フレーム1A(1B)に対して昇降させるフレーム駆動部5と、伸縮部1における伸長時の最上部に位置する最上の箱型フレーム1C内に設けられた矩形板状のステージ7と、最上の箱型フレーム1Cの各支柱1Caの近傍にそれぞれ配置されたスプロケット9aに掛け渡されるチェーン9bの端部をステージ7の各隅の近傍に固定してステージ7を最上の箱型フレーム1Cを介して吊り下げて支持するステージ支持部9と、ステージ支持部9における各チェーン9bを移動させることでステージ7を最上の箱型フレーム1Cに対して昇降させるステージ駆動部11と、を備える。
【0066】
この昇降装置によれば、スプロケット3Aa(3Ba)とチェーン3Ab(3Bb)により、伸縮部1の伸長時に上下に配置される上側の箱型フレーム1B(1C)を下側の箱型フレーム1A(1B)に吊り下げ、チェーン3Ab(3Bb)を移動させて上側の箱型フレーム1B(1C)を昇降させ、かつスプロケット9aとチェーン9bにより、ステージ7を伸縮部1の伸長時の最上の箱型フレーム1Cに吊り下げ、チェーン9bを移動させてステージ7を昇降させる構成としたことにより、ステージ7に載せられた搭載機器100の配置によりステージ7の端に重心が偏る変動荷重が生じても、各隅部分がチェーン3Ab,3Bb,9bで吊られているため、伸縮部1に生じる転倒荷重を抑制することができ、伸縮部1の伸縮およびステージ7の昇降を安定して行うことができる。この結果、特段の剛構造が不要になり装置の小型化を図ることができるため、狭隘な場所での作業を実施できる。
【0067】
また、本実施形態の昇降装置では、ステージ7における相反する2辺のうちの一方を入口側として他方を出口側とし、各箱型フレーム1A,1B,1Cにおける入口側の各支柱1Aa,1Ba,1Caの間の下部スパンを開放すると共に、最上の箱型フレーム1Cにおける出口側の各支柱1Caの間の上部スパンを開放する。
【0068】
この昇降装置によれば、ケーブル101で一連に連続した複数の搭載機器100を下階から上階に1つずつ運ぶ場合、伸縮部1の伸縮およびステージ7の昇降を繰り返えすことになるが、伸縮部1の伸縮およびステージ7の昇降を繰り返えし行ってもケーブル101を何ら挟むことがない。この結果、ケーブル101で一連に連続した複数の搭載機器100を下階から上階に1つずつ運ぶことができる。
【0069】
また、本実施形態の昇降装置では、ステージ7における相反する2辺のうち一方を入口側として他方を出口側とし、ステージ7の入口側に進退可能に設けられた入口側張出部7Aと、ステージ7の出口側に進退可能に設けられた出口側張出部7Bと、を備える。
【0070】
この昇降装置によれば、ステージ7に自走可能な搭載機器100を容易に載せたり降ろしたりすることができる。特に、例えば、上階に設けられた開口穴50を介して搭載機器100を上階に運ぶ場合に好適である。
【0071】
また、本実施形態の昇降装置では、入口側張出部7Aは、先端が開口する切欠7Abが形成され、ステージ7の入口側の縁に入口側張出部7Aにおける切欠7Abに通じる切欠7aが形成されている。
【0072】
この昇降装置によれば、ステージ7に載せられた搭載機器100から延びるケーブル101を各切欠7Ab,7aにより保持して位置決めすることができ、ケーブル101が他の部位に干渉することを防止できる。
【0073】
また、本実施形態の昇降装置では、伸縮部1における伸長時の最下部に位置する最下の箱型フレーム1Aの下部に設けられた複数の車輪13と、車輪13の少なくとも2つを回転駆動させる車輪駆動部15と、少なくとも車輪駆動部15により回転駆動される車輪13を上下方向に移動可能に支持する車輪支持部17と、を備える。
【0074】
この昇降装置によれば、床面に段差があっても車輪13の回転を床面に伝達して走向することができ、床面に対する追従性を向上することができる。
【0075】
また、本実施形態の昇降装置では、伸縮部1における全周囲を撮像する周囲撮像部19を備える。
【0076】
この昇降装置によれば、伸縮部1における全周囲を確認することができ、遠隔操作において狭隘部での作業性を向上することができる。
【0077】
また、本実施形態の昇降装置では、伸縮部1におけるいずれかの箱型フレーム1A(1B,1C)の各支柱1Aa(1Ba,1Ca)の上端近傍に設けられて上方にレーザ光を照射するレーザ照射部21と、ステージ7に設けられてレーザ照射部21が照射するレーザ光を含む範囲の上方を撮像する上方撮像部23と、を備える。
【0078】
この昇降装置によれば、伸縮部1およびステージ7の鉛直に対する水平位置を確認することができる。
【0079】
また、本実施形態の昇降装置では、伸縮部1の傾斜角度を検出する傾斜検出部25を備える。
【0080】
この昇降装置によれば、伸縮部1の傾きを監視することができる。伸縮部1の傾きを監視することで伸縮部1が周囲に干渉する事態を回避する策を講じることができる。
【0081】
また、本実施形態の昇降装置では、伸縮部1における伸長時の最下部に位置する最下の箱型フレーム1Aの下部に複数設けられて伸縮部1を床面に対して持ち上げた状態で支えるジャッキ部27を備える。
【0082】
この昇降装置によれば、伸縮部1の傾きを補正したり、伸縮部1およびステージ7の鉛直に対する水平位置を確保したりすることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 伸縮部
1A 箱型フレーム
1Aa 支柱
1B 箱型フレーム
1Ba 支柱
1C 箱型フレーム
1Ca 支柱
3 フレーム支持部
3A フレーム支持部
3Aa 支持スプロケット(スプロケット)
3Ab チェーン
3B フレーム支持部
3Ba 支持スプロケット(スプロケット)
3Bb チェーン
5 フレーム駆動部
5A フレーム駆動部
5B フレーム駆動部
7 ステージ
7a 切欠
7A 入口側張出部
7Ab 切欠
7B 出口側張出部
9 ステージ支持部
9a 支持スプロケット(スプロケット)
9b チェーン
11 ステージ駆動部
13 車輪
15 車輪駆動部
17 車輪支持部
19 周囲撮像部
21 レーザ照射部
23 上方撮像部
25 傾斜検出部
27 ジャッキ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13