特許第6590720号(P6590720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 元旦ビューティ工業株式会社の特許一覧

特許6590720外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造
<>
  • 特許6590720-外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造 図000002
  • 特許6590720-外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造 図000003
  • 特許6590720-外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造 図000004
  • 特許6590720-外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590720
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20191007BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20191007BHJP
   E04D 13/10 20060101ALI20191007BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20191007BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   E04D13/00 KETD
   E04D13/18
   E04D13/10 F
   H02S20/23 B
   E04H9/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-21652(P2016-21652)
(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公開番号】特開2017-141551(P2017-141551A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3184426(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3159601(JP,U)
【文献】 特開2015−048637(JP,A)
【文献】 特開2014−206019(JP,A)
【文献】 特開2014−234587(JP,A)
【文献】 特開2014−163136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00、13/10、13/18
E04H 9/16
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面に形成される突状部を挟んで対向状に配設する二つの部材からなる外設部材用の取付金具であって、
前記二つの部材は、それぞれ一面側と他面側とで異なる二種の挟持用受部を備え、何れか一方又は両方の部材に外設部材の取付部を有し、
一方の部材の何れか一種の挟持用受部と他方の部材の何れか一種の挟持用受部とを組み合わせて前記突状部の両側に配設することを特徴とする外設部材用の取付金具。
【請求項2】
二つの部材には、それぞれ通孔が形成され、両部材を連結ボルトで連結していることを特徴とする請求項1に記載の外設部材用の取付金具。
【請求項3】
二つの部材の何れか一方には、取付部として、上方が開放する溝部が形成され、該溝部には取付ボルトの頭部が収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外設部材用の取付金具。
【請求項4】
屋根面に形成される凸状部に請求項1〜3の何れか一項に記載の取付金具を取り付け、該取付金具の取付部に外設部材を取り付けてなることを特徴とする外設部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設屋根に太陽電池モジュールや雪止め材等の外設部材を敷設する構造において、例えばハゼ部等の突状部の形状が異なる複数種のハゼ式折板屋根等に強固に固定することができる外設部材用の取付金具、及び外設部材の取付構造に関する。なお、本発明における取付金具は、アルミの押出型材等の金属製であってもよいし、十分な強度を有するものであれば、各種の硬質樹脂製等であってもよく、“金具”という名称でその材質を制限するものではない。
【背景技術】
【0002】
従来、金属屋根等の既設屋根の上に太陽電池モジュール等の外設部材を敷設する構造が広く採用されている。
例えば特許文献1などには、丸ハゼ式折板屋根にも角ハゼ式折板屋根にも適用できる取付器具が提案されている。
この特許文献1に提案されている取付器具は、ハゼ部を挟持する一対の挟持部材100a,100bを含むものであって、それぞれ略椀状に形成された挟持部材100a,100bには、高さの異なる二つの当接部位を有する当接片131を備えるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−48637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の取付器具を構成するように挟持部材100a,100bは、鋼板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成される複雑な形状を有するものであって、しかも丸ハゼ式の一種、角ハゼ式の一種の合計二種のハゼにのみにしか適応できないため、高い費用を掛けて作製する価値が低いものであった。
【0005】
そこで、本発明者らは、既設屋根に太陽電池モジュールや雪止め材等の外設部材を敷設する構造において、ハゼ部等の突状部の形状が異なる複数種のハゼ式折板屋根等に強固に固定することができる外設部材用の取付金具及び外設部材の取付構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、屋根面に形成される突状部を挟んで対向状に配設する二つの部材からなる外設部材用の取付金具であって、前記二つの部材は、それぞれ一面側と他面側とで異なる二種の挟持用受部を備え、何れか一方又は両方の部材に外設部材の取付部を有し、一方の部材の何れか一種の挟持用受部と他方の部材の何れか一種の挟持用受部とを組み合わせて前記突状部の両側に配設することを特徴とする外設部材用の取付金具に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記取付金具において、二つの部材には、それぞれ通孔が形成され、両部材を連結ボルトで連結していることを特徴とする外設部材用の取付金具も提案する。
【0008】
また、本発明は、前記取付金具において、二つの部材の何れか一方には、取付部として、上方が開放する溝部が形成され、該溝部には取付ボルトの頭部が収容されていることを特徴とする外設部材用の取付金具も提案する。
【0009】
さらに、本発明は、屋根面に形成される突状部に前記構成の取付金具を取り付け、該取付金具の取付部に外設部材を取り付けてなることを特徴とする外設部材の取付構造も提案するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の外設部材用の取付金具は、一面側と他面側とで異なる二種の挟持用受部を備える二種の部材を対向状に配設して用いるものであるから、それぞれの部材の作製を容易に且つ安価に行うことができ、しかも各部材を反転させるだけの極めて簡易な操作にて複数種のハゼ部等の突状部(の形状)に対して適用できるため、費用対効果が極めて高いものである。
【0011】
また、二つの部材には、それぞれ通孔が形成され、両部材を連結ボルトで連結している場合には、連結ボルトにナットを締め付けて両部材を一体化できると共に突状部を挟み込むように強く取り付けることができる。
【0012】
また、二つの部材の何れか一方には、取付部として、上方が開放する溝部が形成され、該溝部には取付ボルトの頭部が収容されている場合には、取付ボルトを溝部の長さ方向に位置調整することができ、太陽電池モジュールや雪止め材等の外設部材の配設もそれにより位置調整して取り付けることができる。
【0013】
さらに、本発明の外設部材の取付構造は、複数種類の既設屋根に対し、容易に且つ安価に適用できるものであり、実用的価値が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本発明の第1実施例の取付金具の正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)平面図、(e)用いた連結ボルトやナット等を示す斜視図、(f)挟持用受部を拡大して示す正面図である。
図2】(a)屋根面に形成される一例の突状部に対して第1実施例の取付金具を取り付けた状態を示す正面図、(b)屋根面に形成される一例の突状部のみを示す正面図、(c)一例の突状部に対する第1実施例の取付金具の組み付け状態の途中を示す正面図、(d)第1実施例の取付金具を構成する第一部材と第二部材とをそれぞれ反転して組み合わせた状態(第2実施例)を示す正面図、(e)屋根面に形成される別の一例の突状部に対して第2実施例の取付金具を取り付けた状態を示す正面図、(f)屋根面に形成される別の一例の突状部のみを示す正面図、(g)別の一例の突状部に対する第2実施例の取付金具の組み付け状態の途中を示す正面図である。
図3】(a)屋根面に形成される一例の突状部に対して第3実施例の取付金具、押さえ金具、アングル材を取り付ける直前の状態を示す斜視図、(b)取り付けた状態を示す斜視図、(c)要部の正面図、(d)その右側面図である。
図4】(a)屋根面に形成される一例の突状部に対して第4実施例の取付金具、押さえ金具、アングル材を取り付ける直前の状態を示す斜視図、(b)取り付けた状態を示す斜視図、(c)要部の正面図、(d)その右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の外設部材用の取付金具は、屋根面に形成される突状部を挟んで対向状に配設する二つの部材からなる。
前記二つの部材は、それぞれ一面側と他面側とで異なる二種の挟持用受部を備え、何れか一方又は両方の部材に外設部材の取付部を有する。
そして、一方の部材の何れか一種の挟持用受部と他方の部材の何れか一種の挟持用受部とを組み合わせて前記突状部の両側に配設する。
【0016】
本発明の取付金具は、太陽電池モジュール(太陽電池パネル)や雪止め材等の外設部材を屋根面上に取り付けるための部材であって、屋根面に形成される突状部とは、例えばハゼ式折板屋根におけるハゼ部を指すが、例えば隣り合う屋根材(外装材)同士の端縁と保持部材(吊子)の起立片を重合状にカシメた構成でもよいし、後述する図示実施例のようにその外側にキャップ状のカバー材を取り付けた構成でもよい。
【0017】
本発明の取付金具を構成する二つの部材は、説明のため、便宜的に第一部材と第二部材とする。
これらの第一部材、第二部材は、それぞれ一面側(表側)と他面側(裏側)とで異なる二種の挟持用受部を備える。
これらの挟持用受部の組み合わせは、表−表、裏−裏、表−裏、裏−表の最大で4種類が存在するが、後述する図示実施例にように左右対称状のカバー材を取り付けて形成する突状部では、第一部材の一面側と第二部材の他面側とが略同一(略対称状)の挟持用受部を備えることになるので、最大で2種類が存在するものとなる。
即ち一方の屋根材の側縁を他方の屋根材の側縁に被せるように重合させ(オーバーハング状に取り付け)て形成する突状部や前述の隣り合う屋根材(外装材)同士の端縁と保持部材(吊子)の起立片を重合状にカシメて形成する突状部は、左右非対称となるので、それに応じる挟持用受部も非対称となり、カバー材を取り付けて形成する突状部では左右が略対称状であるため、それに応じる挟持用受部も略対称状となる。
【0018】
そして、第一部材と第二部材との何れか一方又は両方の部材に外設部材の取付部を有する。この取付部は、太陽電池モジュールや雪止め材等の外設部材を直接的に受支する部位であってもよいし、後述する図示実施例に示すように外設部材を受支する支持材(押さえ金具)を取り付ける(間接的に受支する)部位であってもよく、当該取付部の構成は単に平坦状の受面部を有するものであって、適宜固着具等にて取り付ける構成でもよいし、後述するように上方が開放する溝部や取付ボルトを備えて位置調整可能にした構成であってもよい。
【0019】
また、前記二つの部材(第一部材及び第二部材)には、それぞれ通孔が形成され、両部材を連結ボルトで連結していることが望ましい。これらの二つの部材は、突状部を挟んで左右に対向状に配設されるので、前記連結ボルトは横方向に配設されるボルトであって、前記通孔も横孔である。
この場合、連結ボルトにナットを締め付けて両部材を一体化できると共に突状部を挟み込むように強く取り付けることができる。
【0020】
なお、前記挟持用受部については、取り付けようとする屋根面に形成される突状部の形状に応じて選ばれるが、多種の突状部へ対応できるような凹凸形状を有するものが好適に選択される。例えば後述する図示実施例のように連結ボルトにナットを締め付けて第一部材及び第二部材を左右から挟み込む際に、突状部の何れかの部位に強く圧接する凸状部分を少なくとも一箇所以上設けていることが好ましい。
【0021】
さらに、前記二つの部材(第一部材及び第二部材)の何れか一方には、前記取付部として、上方が開放する溝部が形成され、該溝部には取付ボルトの頭部が収容されていることが望ましい。
この構成は、位置調整可能にした構成と前述したが、取付ボルトを溝部の長さ方向に位置調整することができ、ナットを締め付けることにより、太陽電池モジュール等の外設部材の配設もそれにより位置調整して取り付けることができる。
【実施例1】
【0022】
図1に示す第1実施例の取付金具1は、同図には図示しない屋根面に形成される突状部を挟んで対向状に配設する二つの部材2,3からなり、前記二つの部材2,3は、それぞれ一面側(図面の左側面)と他面側(図面の右側面)とで異なる二種の挟持用受部21A,21B,31A,31Bを備え、一方の部材2に外設部材の取付部222を有する。
なお、図中左側に位置する部材2を第一部材とし、図中右側に位置する部材3を第二部材とする。
【0023】
図1(a)は前記取付金具1の正面図であり、同図(b)はその左側面図、同図(c)はその右側面図、同図(d)はその平面図を示している。
前記取付金具1を構成する第一部材2は、図中左側に位置する部材であって、第二部材3は、図中右側に位置する部材であり、それぞれの左側面を一面側(表側)、右側面を他面側(裏側)としたので、この第1実施例は第一部材2の他面側の挟持用受部21Bと第二部材3の一面側の挟持用受部31Aとが対向状に配設されて同図には図示しない突状部を挟み込む構成である。
【0024】
前記第一部材2は、一面側及び他面側(左方及び右方)に突出する上面部221,221を備える上部22と略鉛直状の縦部21とからなるピース材であり、前記縦部21の一面側(図面の左側)に挟持用受部21Aが形成され、他面側(図面の右側)に挟持用受部21Bが形成される構成である。
これらの挟持用受部21A,21Bについては、図1(f)に拡大して示したが、一面側の挟持用受部21Aは、上方から順に略平坦状部分211と、上端が外方へ膨出して下方に向かって傾斜する中間凸部分212と、外方へ突出する下方凸部分213と、からなり、長さ割合は概略10:12:1である。他面側の挟持用受部21Bは、上方から順に略平坦状部分214と、略矩形状に外方へ突出する下方凸部分215と、略平坦状の短凹部分216と、からなり、長さ割合は概略20:2:1である。
【0025】
また、この第一部材2の縦部21の上方には、連結ボルト1bを挿通する横孔である通孔217が設けられ、更にその上方には、略三角形状に突出する凸部218,218、219,219が両面に形成され、上部22の略中央には、上方が開放してその内部に取付ボルト(図示せず)の頭部を収容可能な溝部222が形成され、該溝部222が外設部材の取付部となっている。
【0026】
前記第二部材3は、略水平状の横片部32と略鉛直状の縦部31とからなるピース材であり、前記縦部31の一面側に挟持用受部31Aが形成され、他面側に挟持用受部31Bが形成される構成である。
これらの挟持用受部31A,31Bについては、図1(f)に拡大して示したが、一面側の挟持用受部31Aは、前記第一部材2の他面側の挟持用受部21Bと対称状の構成を有し、上方から順に略平坦状部分311と、略矩形状に外方へ突出する下方凸部分312と、略平坦状の短凹部分313と、からなり、長さ割合は概略20:2:1である。他面側の挟持用受部31Bは、前記第一部材2の一面側の挟持用受部21Aと対称状の構成を有し、上方から順に略平坦状部分314と、上端が外方へ膨出して下方に向かって傾斜する中間凸部分315と、外方へ突出する下方凸部分316と、からなり、長さ割合は概略10:12:1である。
【0027】
また、この第二部材3の縦部31の上方には、連結ボルト1bを挿通する横孔である通孔317が設けられている。
そして、前記第一部材2と前記第二部材3とを連結ボルト1bを用いて連結する。その際には、連結ボルト1bを第一部材2側から前記通孔217,317に挿入して第二部材3側へ突出させた雌ネジ部分12に、座金1e、スプリングワッシャー1dを介してナット1cを締め付けるが、第二部材3の横片部32の端部が第一部材2の凸部218,219間に嵌合するので、下方凸部分215,312へボルト・ナットの締着力が確実に伝わり、また、必要以上の締め付けが防止される。
【0028】
このように図1に示す第1実施例の取付金具1は、前記第一部材2の挟持用受部21Bと前記第二部材3の挟持用受部31Aとが略対称状に形成されており、更に前記第一部材2の挟持用受部21Aと前記第二部材3の挟持用受部31Bとが略対称状に形成されているので、2種類の組み合わせが存在するものである。
そして、それぞれの部材(第一部材2及び第二部材3)を反転させるだけの極めて簡易な操作にて複数種のハゼ部等の突状部(の形状)に応じた挟持用受部を選択することができる。
【0029】
図2(a)は、屋根面に形成される一例の突状部7Aに対し、前記第1実施例の取付金具1を取り付けた状態を示すものであって、図2(b)はその組み付け状態の途中の状態を示し、図2(b)は前記取付金具1を取り付ける以前の突状部7Aのみを示している。
【0030】
前記突状部7Aは、図示しない下地上に固定した略L字状の吊子(保持部材)5Aと、その左右に面板部41の側縁42を立ち上げて内側へ折り返した(折返し片43)構成の屋根材4A,4Aと、該屋根材4A,4Aの側縁42,42及び折返し片43,43に上方から被せるように配設したカバー材6Aと、からなる構成である。なお、図中、51は下地上に沿わせる略水平状の固定片(横片)であり、52は略鉛直状の起立片(縦片)であり、保持部材5Aの縦片52に左右から屋根材4A,4Aの側縁42,42を沿わせた状態で、上方からカバー材6Aを弾性的に嵌合させて取り付けたものである。前記カバー材6Aは、取付状態の形状より、左右の脚片61,61の下端62,62が近接するように成形されるので、上方から取り付ける際に弾性に抗して拡開され、取り付けた状態でも内側への弾性反発力は作用している。
【0031】
そして、前記構成の突状部7Aに対し、前記第1実施例の取付金具1は、一方側(左側)に配置する第一部材2の他面側の挟持用受部21Bと他方側(右側)に配置する第二部材3の一方側の挟持用受部31Aとを対向状に配置させ、連結ボルト1bにナット1cを締め付けることにより、挟持状に保持している。
具体的に前記取付金具1は、カバー材6Aの左右の脚片61,61に挟持用受部21B,31Aの略平坦状部分214,311が密接状に沿い、カバー材6Aが覆っていない屋根材4A,4Aの側縁42,42に下方凸部分215,312が密接状に沿う状態で保持している。この状態では、例え取付金具1を上方へ持ち上げるような応力が作用しても、下方凸部分215,312がカバー材6Aの下端62,62に係止するので、取付金具1の抜き取りが防止される。
【0032】
図2(c)は、前述のように突状部7Aに対する取付金具1の組み付け状態の途中を示すものであり、当然のことながら、この時点ではナット1cは外れない程度に組み付けられているに過ぎない(締め付けられていない)。
【0033】
図2(d)は、第2実施例の取付金具1'を示すものであるが、前記第1実施例の取付金具1を構成する第一部材2と第二部材3とをそれぞれ反転して組み合わせた状態であって、一面側及び他面側を反転した各部材2,3をそれぞれ第一部材2'、第二部材3'とするが、各挟持用受部21A,21B,31A,31B、及びその具体的形状については、部材名称も符号も前記第1実施例と全く変更していない。
したがって、この第2実施例の取付金具1'は、第一部材2'の挟持用受部21Aと第二部材3'の挟持用受部31Bとが対向状に配設されている構成である。
【0034】
図2(e)は、屋根面に形成される一例の突状部7Bに対し、前記第2実施例の取付金具1'を取り付けた状態を示すものであって、図2(g)はその組み付け状態の途中の状態を示し、図2(f)は前記取付金具1'を取り付ける以前の突状部7Bのみを示している。
【0035】
前記突状部7Bは、図示しない下地上に、略L字状の吊子(保持部材)5Bの横片51bを固定し、その縦片52bの左右に面板部41bの側縁42bを立ち上げた屋根材4B,4Bを沿わせ、その状態で前記縦片52bの上半部分53bを一方側へ折り曲げて一方の側縁42bの上端に倒し込み、更に上方からカバー材6Bを弾性的に嵌合させて取り付けた。なお、前記カバー材6Bは、取付状態の形状より、左右の脚片61b,61bの下端62b,62bが近接するように成形されるので、上方から取り付ける際に弾性に抗して拡開され、取り付けた状態でも内側への弾性反発力は作用している。
【0036】
そして、前記構成の突状部7Bに対し、前記第2実施例の取付金具1'は、一方側(左側)に配置する第一部材2'の挟持用受部21Aと他方側(右側)に配置する第二部材3'の挟持用受部31Bとを対向状に配置させ、連結ボルト1bにナット1cを締め付けることにより、挟持状に保持している。
具体的に前記取付金具1'は、カバー材6Bの左右の脚片61b,61bに挟持用受部21A,31Bの中間凸部分212,315が密接状に沿い、カバー材6Bが覆っていない屋根材4B,4Bの側縁42b,42bに下方凸部分213,316が密接状に沿う状態で保持している。この状態では、取付金具1'を上方へ持ち上げるような応力が作用しても、下方凸部分213,316がカバー材6Bの下端に係止するので、抜き取りが防止される。
【0037】
図2(g)は、前述のように突状部7Bに対する取付金具1'の組み付け状態の途中を示すものであり、当然のことながら、この時点ではナット1cは外れない程度に組み付けられているに過ぎない(締め付けられていない)。
【0038】
このように第1実施例の取付金具1は、前記第一部材2と前記第二部材3とをそれぞれ反転させるだけの極めて簡易な操作にて異なる2種(この場合は突状部7Aと突状部7Bと)に容易に適応させることができるものである。
【0039】
図3は前記図2(a)における突状部7Aに対し、第3実施例の取付金具1Zを取り付けた状態を示す。
この第3実施例の取付金具1Zは、第一部材2Zと第二部材3Zの長さがほぼ同様であり、前記第1実施例の取付金具1の凸部(218,218、219,219)が設けられない以外は、全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。即ちこの第3実施例における第一部材2Zは、凸部218,218、219,219)が設けられない以外は前記第1実施例における第一部材2と全く同一であり、この第3実施例における第二部材3Zは、縦長に形成されている以外は前記第1実施例における第二部材3と全く同一であり、各挟持用受部21A,21B,31A,31B、及びその具体的形状については、部材名称も符号も前記第1実施例と全く変更していない。
したがって、この第3実施例の取付金具1Zは、第一部材2Zの挟持用受部21Bと第二部材3Zの挟持用受部31Aとが対向状に配設されて前記突状部7Aを挟み込む構成である。
【0040】
なお、前記突状部7Aを挟持用受部21Bと挟持用受部31Aとで挟み込む構成については、既に図2(a)の第1実施例と全く同様であるから、この第3実施例ではその説明の重複を避ける。
【0041】
図3は、前記突状部7Aに対して前記第3実施例の取付金具1Zを取り付け、更にその取付部(=溝部222)に雪止め材としてのアングル材9を固定する構成を示すものである。
図3(a)では、突状部7Aを挟んで左奥側に第一部材2Zを、右手前側に第二部材3Zを配設しており、それぞれ二箇所に形成した通孔217,317に対し、左奥側から連結ボルト1b,1bを右手前側へ挿通させ、ナット1c,1cを締め付けて突状部7Aにこの取付金具1Zを一体的に固定する。
【0042】
そして、取付部である第一部材2Zの溝部222に取付ボルト8bを取り付け、該取付ボルト8bに押さえ金具8Aを取り付け、該押さえ金具8Aによりアングル材9を保持する構成である。
なお、前記押さえ金具8Aは、中央に孔811を形成した平面視矩形状の固定部81と、断面略ワ字状の押さえ保持部82とからなるピース材であり、前記アングル材9は、略水平状の横面部91とそれを下端に折曲した縦面部92とからなる断面逆L字状の長尺材である。
そして、前記第一部材2Zの溝部222の側端から六角ボルトである取付ボルト8bの頭部を収容し、立設状に臨ませた取付ボルト8bの雌ネジ部分に、上方から押さえ金具8Aの孔811を挿通させ、該押さえ金具8Aの押さえ保持部82にアングル材9の横面部91及び角部を押さえ保持した。
【0043】
このように施工される図3の雪止め材9の取付構造は、流れ方向から見た正面図である図3(c)より明らかなようにアングル材9の雪止め部に相当する縦面部92が流れ方向に正対するように臨むものであって、複数種類の既設屋根に対し、容易に且つ安価に適用できるものであり、実用的価値が極めて高いものである。なお、流れ方向の側方から見た側面図である図3(d)より明らかなようにある一定以上の積雪は、縦面部92に堰き止められて落雪することがなく雪止めされるものとなる。
【0044】
図4は前記図2(e)における突状部7Bに対し、第4実施例の取付金具1Z'を取り付けた状態を示す。
この第4実施例の取付金具1Z'は、前記第3実施例の取付金具1Zを構成する第一部材2Zと第二部材3Zとをそれぞれ反転して組み合わせ、一面側及び他面側を反転した各部材2Z,3Zを第一部材2Z'、第二部材3Z'とするが、各挟持用受部21A,21B,31A,31B、及びその具体的形状については、部材名称も符号も前記第3実施例と全く変更していない。
したがって、この第4実施例の取付金具1Z'は、第一部材2Z'の挟持用受部21Aと第二部材3Z'の挟持用受部31Bとが対向状に配設されている構成である。
【0045】
なお、前記突状部7Bを挟持用受部21Aと挟持用受部31Bとで挟み込む構成については、既に図2(e)の第2実施例と全く同様であるから、この第4実施例ではその説明の重複を避ける。
【0046】
図4は、前記突状部7Bに対して前記第4実施例の取付金具1Z'を取り付け、更にその取付部(=溝部222)に雪止め材としてのアングル材9を固定する構成を示すものである。
図4(a)では、突状部7Bを挟んで左奥側に第一部材2Z'を、右手前側に第二部材3Z'を配設しており、それぞれ二箇所に形成した通孔217,317に対し、左奥側から連結ボルト1b,1bを右手前側へ挿通させ、ナット1c,1cを締め付けて突状部7Bにこの取付金具1Z'を一体的に固定する。
【0047】
そして、取付部である第一部材2Z'の溝部222に取付ボルト8bを取り付け、該取付ボルト8bに押さえ金具8Aを取り付け、該押さえ金具8Aによりアングル材9を保持する構成である。
そして、前記第一部材2Z'の溝部222の側端から六角ボルトである取付ボルト8bの頭部を収容し、立設状に臨ませた取付ボルト8bの雌ネジ部分に、上方から押さえ金具8Aの孔811を挿通させ、該押さえ金具8Aの押さえ保持部82にアングル材9の横面部91及び角部を押さえ保持した。
【0048】
このように施工される図4の雪止め材9の取付構造でも、流れ方向から見た正面図である図4(c)より明らかなようにアングル材9の雪止め部に相当する縦面部92が流れ方向に正対するように臨むものであって、複数種類の既設屋根に対し、容易に且つ安価に適用できるものであり、実用的価値が極めて高いものである。なお、流れ方向の側方から見た側面図である図4(d)より明らかなようにある一定以上の積雪は、縦面部92に堰き止められて落雪することがなく雪止めされるものとなる。
【符号の説明】
【0049】
1,1',1Z,1Z' 取付金具
1b 連結ボルト
1c ナット
2,2',2Z,2Z' 第一部材
21A (一面側の)挟持用受部
21B (他面側の)挟持用受部
3,3',3Z,3Z' 第二部材
31A (一面側の)挟持用受部
31B (他面側の)挟持用受部
4A,4B 屋根材
5A,5B 保持部材(吊子)
6A,6B カバー材
7A,7B 突状部
8 押さえ金具
8b 取付ボルト
8c ナット
9 アングル材(雪止め材)
図1
図2
図3
図4