特許第6590744号(P6590744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6590744画像形成装置、画像形成システム、設定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590744
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、設定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20191007BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20191007BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20191007BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   B41J29/42 F
   B41J5/30 B
   G06F3/12 306
   G06F3/12 329
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-54686(P2016-54686)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-165047(P2017-165047A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年6月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】島貫 俊弘
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−318817(JP,A)
【文献】 特開2015−210369(JP,A)
【文献】 特開2005−017708(JP,A)
【文献】 特開2008−142899(JP,A)
【文献】 特開2004−046512(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0188680(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 5/30
B41J 29/42
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、
情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換える制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザ操作を受け付ける操作部をさらに有し、
前記制御部は、前記判定部により異なると判定された後に、前記操作部から印刷指示を受け付けた場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記第2の媒体設定を入力するユーザ操作を前記操作部から受け付けた場合、前記第2の媒体設定を記憶することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷媒体の検知処理を行って前記印刷媒体のサイズに関する情報を得る媒体検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記媒体検知部の検知処理の結果に基づいて更新する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷部に供給する印刷媒体を収容する媒体収容部をさらに備え、
前記媒体検知部は、前記媒体収容部における印刷媒体の収容を検知し、収容された印刷媒体のサイズ、又は前記サイズ及び印刷領域を計測し、計測された結果を示す媒体計測情報を出力し、
前記制御部は、前記媒体設定として設定されている前記第2の媒体設定を、前記媒体検知部から出力された前記媒体計測情報に基づき更新する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
表示部をさらに有し、
前記制御部は、
前記情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合で、且つ前記媒体検知部により前記媒体収容部における印刷媒体の収容が検知された場合、前記印刷ジョブに含まれる前記第1の媒体設定が前記第2の媒体設定と異なるか否かを判定し、
異なると判定された場合、前記第1の媒体設定及び前記第2の媒体設定で異なる情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記媒体検知部により前記媒体収容部における印刷媒体の収容が検知されなかった場合、前記媒体設定を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記情報処理装置から印刷ジョブを受信した場合で、且つ前記媒体検知部により前記媒体収容部における印刷媒体の収容が検知されなかった場合、前記印刷ジョブに含まれる前記第1の媒体設定を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記印刷媒体は長尺な印刷媒体であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記長尺な印刷媒体はロール状に巻かれた媒体であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
情報処理装置と画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定を含む印刷ジョブを、前記画像形成装置に送信する送信部を有し、
前記画像形成装置は、
ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記情報処理装置から送信された前記印刷ジョブを受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブに含まれる前記第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換える制御部と、
を有する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
画像形成装置における設定方法であって、
情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記画像形成装置の記憶部に媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換えるステップと、
を有する
ことを特徴とする、画像形成装置における設定方法。
【請求項13】
ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、制御部と、を有する画像形成装置に組み込まれるプログラムであって、
前記制御部に、
情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換えるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その画像形成装置を備えた画像形成システム、その画像形成装置における設定方法、及びその画像形成装置に組み込まれるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部に接続された情報処理装置から送信された印刷ジョブに基づき、ラベルロール紙等の長尺な印刷媒体に印刷を行う機能を有する画像形成装置が流通している。この画像形成装置では、印刷媒体のサイズ、印刷領域などの媒体設定(用紙設定)を、画像形成装置に備えた操作パネルから行うことが可能になっている。
【0003】
また、特許文献1は、長尺な印刷用紙に印刷する機能を有するプリンタにおいて、その印刷用紙が装填されていない場合に、外部装置から設定用紙情報の更新コマンドを受信可能な状態にし、その更新コマンドを受信するとその更新コマンドを実行して設定用紙情報を更新し、その印刷用紙が装填されたことが検出された後に、その印刷用紙を搬送してその印刷用紙が設定用紙情報に一致しているかを判別する技術を開示している。このプリンタでは、ロール紙などの長尺な印刷用紙を異なる種類のものに交換する際に、用紙不一致エラー状態を発生させずに、外部装置の側からのコマンド送信によって設定用紙情報を更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、画像形成装置の用紙設定と情報処理装置から送信された印刷ジョブで指定された用紙設定とが不一致となった場合、用紙サイズが不一致であることを示すエラーなどを出力する。しかし、このエラーを解消して画像形成装置を復旧させるためには、用紙の交換が必要となる。
【0006】
特に、ラベルロール紙等の長尺な印刷用紙に印刷を行う画像形成装置では、様々な印刷用紙をセットすることがあるため、印刷用紙をセットする度に画像形成装置の用紙設定を更新する必要がある。従って、このような画像形成装置では、誤操作によってエラーが発生した場合の復旧方法が用紙交換以外にない場合、操作性が著しく悪化する問題がある。
【0007】
例えば、ラベルロール紙に印刷を行う画像形成装置では、ラベル紙のサイズ、ラベル紙の種類及び厚さといった項目に加えて、ラベル紙の間隔、ラベル紙の先端を検出する方法、台紙の幅、及び台紙とラベル紙との間隔といった多くの設定項目が用紙設定として必要となる。そして、画像形成装置に印刷用紙を検知するセンサを備えた場合でも、これらの設定項目の中には、自動的に検知することが難しい項目が含まれている。よって、この画像形成装置では、ラベルロール紙を交換した際に、ユーザ自身が画像形成装置の操作パネルを操作して用紙設定を更新する必要がある。
【0008】
そのため、例えばユーザがラベルロール紙を交換したが、その時に用紙設定を更新するのを忘れたままプリンタドライバで正しい用紙設定を指定して印刷を実行したケースを想定すると、交換されたラベルロール紙とプリンタドライバの用紙設定は一致しているのに、画像形成装置の用紙設定とプリンタドライバで指定した用紙設定が不一致となるためミスマッチエラーが発生する。
【0009】
さらに、ラベルロール紙等のロール紙に印刷を行う画像形成装置では、ロール紙をカットしないで画像形成装置に通紙したまま印刷完了する場合があるため、例えば上述したケースにて操作性を悪化させないようミスマッチエラーを無視して強制印刷できる仕組みを適用したとしても、通紙したままのロール紙と画像形成装置の用紙設定が食い違ったままとなり、更なる問題を招く可能性がある。
【0010】
なお、特許文献1に記載されたプリンタでは、外部装置から用紙設定についての設定用紙情報の更新コマンドを受信して、設定用紙情報を更新することが可能となっている。しかしながら、このプリンタでは、ユーザは、ロール紙を取り出し、ロール紙が充填されていない状態での外部装置からの用紙設定コマンドの送信、新しいロール紙の充填、といった予め定められた手順で作業を行う必要がある。従って、このプリンタにおける用紙設定方法は、上述したケースには該当しないだけでなく、ユーザがこの手順を誤る可能性もある。
【0011】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報処理装置から正しい媒体設定を含む印刷ジョブを受信した際に、その印刷ジョブに含まれる媒体設定が内部に設定された媒体設定と異なる場合、設定された媒体設定をその印刷ジョブに含まれる媒体設定に書き換えることが可能な画像形成装置を提供すること、並びに、その画像形成装置及び情報処理装置を備えた画像形成システム、その画像形成装置における設定方法、及びその画像形成装置に組み込まれるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定部と、前記判定部により異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換える制御部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る画像形成システムは、情報処理装置と画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、前記情報処理装置は、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定を含む印刷ジョブを、前記画像形成装置に送信する送信部を有し、前記画像形成装置は、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、前記情報処理装置から送信された前記印刷ジョブを受信する受信部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブに含まれる前記第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定部と、前記判定部により異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換える制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る、画像形成装置における設定方法は、画像形成装置における設定方法であって、情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記画像形成装置の記憶部に媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換えるステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るプログラムは、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む媒体設定を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記媒体設定に基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部と、制御部と、を有する画像形成装置に組み込まれるプログラムであって、前記制御部に、情報処理装置から受信された印刷ジョブに含まれる、ラベル及び台紙で構成される印刷媒体におけるラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙の幅、並びに台紙とラベルとの間の距離を含む第1の媒体設定が、前記記憶部に前記媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより異なると判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体設定を、前記第2の媒体設定から前記第1の媒体設定に書き換えるステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置において、情報処理装置から正しい媒体設定を含む印刷ジョブを受信した際に、その印刷ジョブに含まれる媒体設定が画像形成装置内部に設定された媒体設定と異なる場合、その設定された媒体設定をその印刷ジョブに含まれる媒体設定に書き換えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの一構成例を示す図である。
図2図1に示される画像形成システムにおける情報処理装置の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図3図1に示される画像形成システムにおける画像形成装置において印刷媒体を収容した際又は取り出した際に実行される処理の一例を示すフロー図である。
図4図3に示される処理において画像形成装置の表示部に待機画面として表示される画像の一例を示す図である。
図5図3に示される処理において画像形成装置の表示部に待機画面として表示される画像の他の例を示す図である。
図6図1に示される画像形成システムにおける画像形成装置で印刷媒体を収容した際に実行される処理の一例を示すフロー図である。
図7図1に示される画像形成システムにおいて、画像形成装置が情報処理装置から印刷ジョブを受信した際に実行される処理の一例を示すフロー図である。
図8図7に示される処理において画像形成装置の表示部に表示されるエラー通知画像の一例を示す図である。
図9図7に示される処理において画像形成装置の表示部に表示されるエラー通知画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置、その画像形成装置と情報処理装置とを備えた画像形成システム、その画像形成装置における設定方法、及びその画像形成装置に組み込まれるプログラムについて、図1から図9を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、実施の形態に係る画像形成システムの一構成例を示す図である。
図1に示されるように、実施の形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置10と、画像形成装置10にデータ送信路Nを介して接続され、印刷ジョブを画像形成装置10に送信する情報処理装置30と、を備えている。データ送信路Nは、USB(Universal Serial Bus)又はLAN(Local Area Network)などの通信インターフェース(I/F)で接続された印刷ジョブの送受信路である。
【0020】
なお、画像形成システム1は、複数の情報処理装置30を備えることもできる。その場合、各情報処理装置30から画像形成装置10に印刷ジョブを送信することが可能となる。また、画像形成システム1は、図示しない印刷サーバ装置を備え、情報処理装置30がこの印刷サーバ装置を介して印刷ジョブを画像形成装置10に送信するように構成することもできる。
【0021】
まず、情報処理装置30の構成について説明する。情報処理装置30は、主制御部31、通信部32、操作部33、表示部34、及び記憶部35を有する。主制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成され、通信部32、操作部33、表示部34、及び記憶部35を含む情報処理装置30の全体を制御する。
【0022】
記憶部35には、例えば、アプリケーションプログラム(アプリケーション)36と、画像形成装置10用のプリンタドライバ37と、ジョブ設定38と、が記憶されている。アプリケーション36及びプリンタドライバ37は、主制御部31により読み出して実行することが可能な状態で情報処理装置30に組み込まれている。なお、主制御部31には、アプリケーション36及びプリンタドライバ37を実行させるためのオペレーションシステムプログラムが組み込まれている。
【0023】
アプリケーション36は、画像形成装置10で印刷する対象となる文書データを作成及び編集するためのソフトウェアである。プリンタドライバ37は、アプリケーション36で印刷を指示した際に呼び出され、後述するジョブ設定38を参照しつつ、文書データを印刷データに変換することで、その印刷データが含まれる印刷ジョブを生成し、その印刷ジョブを、通信部32を介して画像形成装置10に出力する。
【0024】
通信部32は、プリンタドライバ37にて生成された印刷ジョブを、データ送信路Nを介して画像形成装置10に送信するためのI/F部であり、少なくとも印刷ジョブを送信できればよく、送信部とすることもできる。また、操作部33は、ユーザ操作を受け付ける部位であり、例えば、キーボード及びポインティングデバイスとすることができる。表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルとすることができる。記憶部35は、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶装置とすることができる。
【0025】
ここで、図2を参照しながら、プリンタドライバ37を用いた用紙設定処理の一例について説明する。図2は、情報処理装置30の表示部34に表示される画像の一例を示す図で、プリンタドライバ37に含まれる設定画像の一例を示す図である。
【0026】
ジョブ設定38は、画像形成装置10にセットされる印刷媒体(用紙媒体)のラベルの幅及び長さ、ラベル間距離、台紙幅、台紙とラベル間の距離といった複数の設定項目からなる設定値の集合であり、印刷時の用紙設定である。なお、紙以外の媒体が印刷媒体となることもあるため、用紙設定は媒体設定とも称す。
【0027】
ジョブ設定38は、プリンタドライバ37を用いて記憶部35に記憶(登録)することができる。図2に示される画像(GUI(Graphical User Interface)画像)40は、プリンタドライバ37に含まれるGUI画像であり、登録済み媒体設定一覧41と、その一覧41から編集対象として選択された媒体設定の名称(印刷媒体名)の表示欄42と、選択された媒体設定の概略図43と、概略図43における印刷媒体及びラベルの寸法の入力欄44と、削除ボタン45と、OKボタン46と、適用ボタン47と、キャンセルボタン48と、を含む。
【0028】
ユーザは、プリンタドライバ37を実行し、表示部34に画像40を表示させ、登録済み媒体設定一覧41から編集対象を選んで表示欄42に表示させ(又は新規の媒体設定名を入力し)、概略図43を見ながら対応する寸法を入力欄44に入力する。なお、入力欄44に入力された値によって、概略図43の寸法の比率も変更されることが望ましい。図2に示される画像40では、記憶部35に登録済みの媒体設定の例として「ダイカットラベル紙」と「全面ラベル紙」等の登録済み媒体設定一覧41が読み出し可能となっている。また、図2に示されるように、入力欄44は、印刷媒体の幅(台紙幅)LW、ラベル43aの長さPL及び幅PW、印刷媒体の端からラベル43aの端までの間隔(台紙とラベルとの間の距離)DW、及びラベル43a間の間隔(ラベル間距離)GLを含むことができるが、これに限ったものではない。例えば、ラベル43a上の全ての領域を印刷領域とせずに、一部を印刷領域43bとして入力可能に構成することもできる。
【0029】
操作部33でのユーザ操作により、入力欄44に各設定値が入力され適用ボタン47が選択されることで、プリンタドライバ37は、入力された内容のジョブ設定38を記憶部35に記憶させることができる。また、プリンタドライバ37は、キャンセルボタン48が選択された場合、その時点で適用されていないジョブ設定38を破棄し、別の画像に遷移させる。また、プリンタドライバ37は、登録済み媒体設定一覧41から削除対象が選択された状態で削除ボタンが選択された場合、対象のジョブ設定38を削除する。
【0030】
このように、ユーザは、プリンタドライバ37を用いて設定値の入力、登録、編集、及び削除を行うことが可能になっている。ジョブ設定38には、印刷媒体への印刷領域を示す情報を少なくとも含み、一般的な項目としてその印刷媒体のサイズ及び厚みを示す情報も含むことができる。
【0031】
また、プリンタドライバ37は、印刷対象の文書データに対して適用するジョブ設定38が登録済み媒体設定一覧41の中から選択され、OKボタン46が選択された場合、この画像40を非表示にする(別の画像に遷移させてもよい)とともに、その文書データに対して適用するジョブ設定38を選択する。そして、プリンタドライバ37は、その文書データにそのジョブ設定38を適用し、印刷ジョブを生成する。このように生成された印刷ジョブには、そのジョブ設定38(第1の媒体設定とも称す)が含まれる。ジョブ設定38は、例えば用紙設定コマンドとして印刷ジョブに含めることができる。但し、印刷ジョブにジョブ設定38の内容が含まれていれば、これに限ったものではない。
【0032】
次に、画像形成装置10の構成について説明する。図1に示されるように、画像形成装置10は、主制御部11、コマンド解析部12、判定部13、媒体設定管理部(制御部)14、媒体設定(用紙設定)15aが記憶される記憶部15、操作部16、表示部17、通信部18、媒体検知部(用紙検知部)19、媒体収容部20、印刷制御部21、及び印刷部22を備える。主制御部11は、例えばCPU又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成され、コマンド解析部12、判定部13、媒体設定管理部14、記憶部15、操作部16、表示部17、通信部18、媒体検知部19、及び印刷制御部21を含む画像形成装置10の全体を制御する。
【0033】
なお、媒体設定管理部14の一部の処理は、例えば主制御部11が担うこともできる。また、画像形成装置10は、図1に示される構成要素で構成されるに限ったものではなく、判定部13、媒体設定管理部14、及び記憶部15を備えればよい。一例を挙げると、媒体検知部19を必要としない処理のみを採用する場合には、媒体検知部19が必須ではなくなる。
【0034】
操作部16は、ユーザ操作を受け付ける部位で、例えば、複数のボタンスイッチを有することができる。画像形成装置10のユーザ(利用者)がこれらのボタンスイッチを押下することで、媒体設定管理部14は、装置設定15bを表示部17に表示させ、ユーザ操作により装置設定15bの設定項目の入力、選択、及び変更を行うことができる。このように、記憶部15は、装置設定15bを入力するユーザ操作を操作部16から受け付けた場合、その装置設定15bを記憶することが好ましい。
【0035】
表示部17は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)及び1つのLCD等の表示パネルを備えることができる。これらのLEDは、画像形成装置10の状態(例えば、待機状態、印刷ジョブ受信中、印刷中など)に応じて点灯させることができる。また、表示部17は、画像形成装置10をユーザが操作する際のガイダンス及び各種情報、並びに画像形成装置10の媒体設定である装置設定(第2の媒体設定とも称す)15bを示す情報などを表示することもできる。
【0036】
媒体設定管理部14は、記憶部15に記憶されている媒体設定15aを管理する。記憶部15は、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶装置とすることができる。図1に示されるように、媒体設定15aは、複数項目からなる設定値の集合であり、装置設定(第2の媒体設定)15bを含み、一時的にジョブ設定15cも含むこともある。装置設定15b及びジョブ設定15cは、いずれも印刷媒体への印刷領域を示す情報を少なくとも含む。
【0037】
装置設定15bは、画像形成装置10にセットされた印刷媒体の設定値の集合(印刷媒体への印刷領域を示す情報を含む)であり、例えば、画像形成装置10にセットされた印刷媒体のラベル幅、ラベルの長さ、ラベル間距離、台紙幅、台紙とラベル間の距離といった複数項目からなる設定値の集合である。この集合は、プリンタドライバ37に関し説明したジョブ設定38と基本的に同じ集合とすることができる。ジョブ設定15cは、後述するコマンド解析部12で解析された用紙設定コマンドによる設定値の集合(印刷媒体への印刷領域を示す情報を含む)であり、基本的にジョブ設定38と同じ設定値の集合とするが、ジョブ設定38と同じ設定値が含まれていればよい。
【0038】
媒体収容部20は、印刷部22に供給する印刷媒体を収容する収容部であり、例えば、給紙カセット、ロール紙収容部などが挙げられる。画像形成装置10は、複数種類のサイズの印刷媒体に対応させるために、複数の媒体収容部20を備えることもできる。
【0039】
媒体検知部19は、媒体収容部20への印刷媒体の収容を検知し、収容された印刷媒体のサイズ、又は印刷媒体のサイズ及び印刷領域を計測し、計測された結果を示す媒体計測情報を出力する。媒体検知部19は、画像形成装置10に印刷媒体がセットされた時に使用され、媒体設定管理部14を介して媒体設定15aに含まれる装置設定15bを更新するために、セットされた印刷媒体のラベル長及びラベル間距離などを検出(チェック)する機能を持つ。媒体検知部19は、図1で示されるように媒体収容部20の内部に備えることができる。但し、媒体検知部19は、媒体収容部20の外部であって印刷媒体の搬送路中に、全ての機能又は一部の機能を有することもできる。
【0040】
通信部18は、情報処理装置30からデータ送信路Nを介して送信された印刷ジョブを受信するためのI/F部であり、少なくとも印刷ジョブを受信できればよく、受信部とすることもできる。
【0041】
コマンド解析部12は、通信部18で受信した印刷ジョブに含まれる用紙設定コマンド及び印刷コマンドを解析するための処理部であり、用紙設定コマンドを解析した結果は、媒体設定管理部14を介して媒体設定15aに含まれるジョブ設定15cとして保持される。ジョブ設定15cは、上述したように、基本的に情報処理装置30において印刷ジョブの生成時に適用されたジョブ設定38と同じ内容となる。
【0042】
判定部13は、媒体設定15aに保持された装置設定15bとジョブ設定15cを比較して、設定が異なるか否かを判定するための処理部であり、用紙設定比較部と称することもできる。
【0043】
印刷制御部21は、コマンド解析部12で解析された印刷コマンドの結果と、記憶部15に記憶された装置設定15bとに基づき、印刷部22に印刷を実行させるための制御を行う。印刷部22は、印刷媒体への印刷を実行する。
【0044】
そして、画像形成装置10は、その主たる特徴として、上述したように画像形成装置10は、装置設定(第2の媒体設定)15bを記憶する記憶部15と、記憶部15に記憶された装置設定15bに基づいて、印刷媒体に印刷する印刷部22と、印刷ジョブに含まれる第1の媒体設定(ジョブ設定38、つまりジョブ設定15c)が記憶部15に媒体設定として設定されている第2の媒体設定(装置設定)15bと異なるか否かを判定する判定部13と、を有するとともに、次の制御部を有する。
【0045】
この制御部は、判定部13により異なると判定された場合、記憶部15に記憶されている媒体設定を、装置設定15bからジョブ設定15cに書き換える。媒体設定管理部14は、この制御部の一例とし、このような書き換えの制御を行うことができる。
【0046】
画像形成装置10は、上述のような構成により、情報処理装置30から正しい媒体設定(ジョブ設定38で例示する第1の媒体設定)を含む印刷ジョブを受信した際に、その第1の媒体設定が画像形成装置10の内部に設定された媒体設定と異なる場合であっても、その設定された媒体設定を第2の媒体設定から第1の媒体設定に書き換えることが可能になる。よって、この画像形成装置10では、このような書き換え後に、上記第1の媒体設定を含む次の印刷ジョブを受信した際にも、エラーが発生することもない。
【0047】
また、画像形成装置10で用いる印刷媒体は、長尺な印刷媒体であることが好ましい。その理由は、媒体設定15aとして設定項目が多いため、その効果が顕著になるからである。なお、画像形成装置10がこのような長尺な印刷媒体に印刷可能な装置である場合、画像形成装置10は、その長尺な印刷媒体をカットするカッターなどの切断部を備えることが好ましい。また、長尺な印刷媒体はロール状に巻かれた媒体であってもよい。また、印刷媒体は、媒体設定15aの例としてラベル及び台紙で構成される媒体の設定例を挙げたように、ラベル及び台紙で構成されることが好ましい。ラベル及び台紙で構成されるラベルロール紙等の印刷媒体では、さらに多くの設定項目を含むため、実施の形態の効果がより期待できる。
【0048】
次に、上述のような構成の画像形成装置10における処理について、印刷用紙に印刷される例を挙げて説明する。
まず、図3から図5を参照しながら、画像形成装置10に印刷用紙がセットされる、又は、画像形成装置10から印刷用紙が取り除かれる場合の処理について説明する。図3は、画像形成装置10において印刷用紙を収容した(セットした)際又は取り出した際に実行される処理の一例を示すフロー図、図4及び図5は、図3に示される処理において表示部17に待機画面として表示される画像の例を示す図である。
【0049】
まず、媒体設定管理部14は、媒体検知部19からの検知結果を受け取り、印刷用紙等の印刷用紙がセットされているか否かを判定する(ステップS1)。印刷用紙がセットされている場合(ステップS1でYESの場合)、媒体設定管理部14は、表示部17に表示されている待機画面(待機時に表示させる画像)を、図4に示される画像51を表示させたような、トナー等の消耗品の残量などが表示されている通常の待機画面に切り替える(ステップS2)。一方、印刷用紙がセットされていない場合(ステップS1でNOの場合)、媒体設定管理部14は、表示部17に表示されている待機画面を、図5に示される画像52を表示させたような、媒体設定15aに含まれる装置設定15bの設定値を一覧表示する待機画面に切り替える(ステップS3)。
【0050】
このように、媒体設定管理部14は、媒体検知部19により媒体収容部20への印刷媒体の収容が検知されなかった場合、媒体設定を示す情報(検知されなかった時点で媒体設定となっている装置設定15b)を表示部17に表示させることもできる。このような表示により、ユーザは、この待機画面の画像を見ることで、セット(収容)すべき印刷用紙の用紙設定を知ること、つまりどのような用紙設定の印刷用紙をセットすればよいのか知ることができる。
【0051】
また、図3に示されるような処理により、待機画面の表示内容が印刷用紙の有無によって自動的に切り替わるようになるため、ユーザは、操作部16を用いて媒体設定15aに含まれる装置設定15bの設定値を選択する操作及び表示する操作を行うことなく、設定値の一覧を確認することが可能になる。
【0052】
なお、印刷用紙がセットされている状態でも、操作部16の予め定められたボタンを押下することで、待機画面の表示内容を媒体設定15aに含まれる装置設定15bの設定値を一覧表示する待機画面に切り替えてもよい。
【0053】
次に、図6を参照しながら、画像形成装置10に印刷用紙を収容する際(セットする際)に実行される処理の一例について説明する。図6は、画像形成装置10で印刷用紙を収容した際に実行される処理の一例を示すフロー図である。
【0054】
まず、媒体検知部19が、セットされた印刷用紙に対して用紙検知処理(印刷媒体検知処理)を実行する(ステップS11)。用紙検知処理の例としては、ラベルロール紙の各ラベルの先端位置を検出するためのセンサ(透過センサ又は反射センサ)を監視しながら印刷用紙を搬送することで、ラベル長とラベル間距離などを計測する処理などが挙げられる。
【0055】
次に、判定部13が、この用紙検知処理で計測された媒体計測情報が示す用紙設定が装置設定15bと異なるか否かを判定する(ステップS12)。異なる場合(ステップS12でYESの場合)、つまり、装置設定15bと異なる印刷用紙がセットされたことが検知(認識)された場合、媒体設定管理部14が、装置設定15bを用紙検知処理で得られた用紙設定で上書き(更新)し(ステップS13)、処理を終了する。なお、ステップS12でNOの場合には、処理が終了する。このように、媒体設定管理部14は、媒体設定として設定されている装置設定15bを、媒体検知部19から出力された媒体計測情報に基づき更新することもできる。
【0056】
図6に示されるような処理により、少なくとも計測可能な用紙設定については、操作部16を用いて媒体設定15aに含まれる装置設定15bの設定値を選択する操作及び変更する操作を行うことなく、印刷用紙の収容を完了した時点(印刷用紙を収容し、媒体収容部20を規定の位置に戻した時点)で、自動的に更新されるようになる。
【0057】
次に、図7から図9を参照しながら、画像形成装置10における主たる特徴である、画像形成装置10が情報処理装置30から印刷ジョブを受信した際の処理の一例について説明する。図7は、画像形成装置10が情報処理装置30から印刷ジョブを受信した際に実行される処理の一例を示すフロー図、図8及び図9は、図7に示される処理において画像形成装置10の表示部17に表示されるエラー通知画像の例を示す図である。
【0058】
まず、コマンド解析部12が、通信部18を介して受信された印刷ジョブに含まれるコマンドを解析する(ステップS21)。ここで、印刷ジョブに用紙設定コマンドが含まれていた場合、その用紙設定コマンドに従い、媒体設定15aに含まれるジョブ設定15cを更新する。なお、以前に受信した印刷ジョブから取得したジョブ設定15cは、一定期間経過後などに削除することができ、その場合、ステップS21の時点でジョブ設定15cが存在しなかった場合には、新たにジョブ設定15cを記憶すればよい。
【0059】
次に、媒体設定管理部14は、媒体検知部19からの検知結果を受け取り、画像形成装置10に用紙がセットされているか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22でNOの場合、つまり未だ印刷用紙がセットされていない場合、媒体設定管理部14は、表示部17に図8に示されるエラー画像53を表示させる(ステップS23)。エラー画像53は、ジョブ設定(印刷ジョブ設定)15cの一覧、及び用紙がない旨の通知文を含むことができる。このように、媒体設定管理部14は、情報処理装置30から印刷ジョブを受信した場合で、且つ媒体検知部19により媒体収容部20への印刷媒体の収容が検知されなかった場合、印刷ジョブに含まれるジョブ設定15cを示す情報を表示部17に表示させることが好ましい。このような表示により、ユーザは、このエラー画像53が表示された画面を見ることで、セット(収容)すべき印刷用紙の用紙設定を知ること、つまりどのような用紙設定の印刷用紙をセットすればよいのか知ることができる。
【0060】
次に、媒体設定管理部14は、媒体検知部19からの検知結果を受け取り、印刷用紙がセットされたか否かを判定し(ステップS24)、用紙セットが検出された段階(YESとなった段階)で、用紙検知処理として、図6に示される用紙検知処理を実行する(ステップS25)。なお、図7には図示されないが、用紙セット待ち状態で操作部16のキャンセルボタンを押下することで、用紙セット待ち状態を解除し、受信した印刷ジョブを破棄することもできる。
【0061】
ステップS22でYESの場合(既に印刷用紙がセットされていた場合)、又は、ステップS24において印刷用紙がセットされたことを検出し、ステップS25において用紙検知処理が実行された場合、判定部13が装置設定15bとジョブ設定15cとにミスマッチが存在するか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26でNOの場合、つまり用紙設定が一致していた場合、主制御部11は、印刷制御部21に印刷を指示し、印刷制御部21が印刷部22を制御して印刷を実行させ(ステップS34)、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS26でYESの場合、つまり用紙設定が一致していなかった場合、媒体設定管理部14は、表示部17に図9に示されるエラー画像54を表示させる(ステップS27)。エラー画像54は、印刷用紙のミスマッチエラーを通知する通知文を含むことができる。また、エラー画像54は、ジョブ設定15cのうち装置設定15bと異なる設定項目の一覧を含むことができる。このように表示により、ユーザは、一致していない用紙設定の項目を知ることができ、どのような用紙設定の印刷用紙をセットすればよいのか知ることができる。
【0063】
また、表示部17は、このような一覧に限らず、ジョブ設定15cと装置設定15bで異なる情報を表示できればよい。この場合、媒体設定管理部14は、情報処理装置30から印刷ジョブを受信した場合で、且つ媒体検知部19により媒体収容部20への印刷媒体の収容が検知された場合、印刷ジョブに含まれるジョブ設定38(ジョブ設定15c)が装置設定15bと異なるか否かを判定することで、そのような情報を得ることができる。また、図6を参照して説明したように、媒体設定管理部14は、媒体設定として設定されている装置設定15bを、媒体検知部19から出力された媒体計測情報に基づき更新する場合(図7に示されるステップS25の処理が実行された場合)にも、このような処理を行うことができる。
【0064】
また、媒体設定管理部14は、エラー画像54を表示中に操作部16に備えられたキャンセルボタンが押下されたか否か(つまり印刷キャンセル指示があったか否か)を判定する(ステップS28)。ステップS28でYESの場合、媒体設定管理部14は、印刷をキャンセルしてこのエラーの状態を解除し、受信した印刷ジョブを破棄し(ステップS29)、処理を終了する。
【0065】
また、媒体設定管理部14は、エラー画像54を表示中に操作部16に備えられた用紙交換ボタンが押下されたか否か(つまり、用紙交換指示があったか否か)を判定する(ステップS30)。媒体設定管理部14は、ステップS30でYESの場合、エラーを解除するために正しい印刷用紙をセットすべきケースであるため、印刷用紙を排出して用紙交換可能な状態にした後(ステップS31)、ステップS23に戻り、再び図8に示されるエラー画像53を表示部17に表示させる。ステップS23の後の処理は、上述した通りである。
【0066】
また、媒体設定管理部14は、エラー画像54を表示中に操作部16に印刷実行ボタンとして備えられたOKボタンが押下されたか否か(つまり、強制印刷指示があったか否か)を判定する(ステップS32)。ステップS32でYESの場合、媒体設定管理部14は、ジョブ設定15cを装置設定15bに上書きするように更新し(ステップS33)、ステップS34へ進む。このジョブ設定15cは、ステップS21でジョブ設定38と同じ内容に更新済みの設定である。このように、媒体設定管理部14は、判定部13により異なると判定された後に、操作部16から印刷指示(エラー出力後であるため強制印刷指示と称している)を受け付けた場合、記憶部15に記憶されている媒体設定を、装置設定15bからジョブ設定15cに書き換えることが好ましい。
【0067】
次いで、媒体設定管理部14は、エラー画像54を表示中に操作部16のこのエラーを無視し、強制的に印刷を継続させ、印刷制御部21を介して印刷部22に強制的に印刷を実行させ(ステップS34)、処理を終了する。なお、ステップS33とステップS34の順序は逆であってもよい。
【0068】
上述したステップS33の処理により、図6で示される用紙セット時の自動的な用紙検知処理では検知することが難しい又は不可能な用紙設定について、ユーザが用紙交換時に装置設定15bを更新するのを忘れたままプリンタドライバ37で正しいジョブ設定(用紙設定)38を指定して印刷を実行したケースにて、交換された印刷用紙とプリンタドライバのジョブ設定38は一致しているのに、画像形成装置10の装置設定15bと、プリンタドライバで指定したジョブ設定38が用紙設定コマンドとして画像形成装置10に送信されてコマンド解析された結果として更新されたジョブ設定15cとが不一致となるために発生してしまった用紙ミスマッチエラーを、強制印刷によって装置設定15bを正しい状態に更新し、且つ印刷することができるようになる。
【0069】
すなわち、強制印刷時にプリンタドライバ37で指定した用紙設定(ジョブ設定38)を画像形成装置10の用紙設定に上書きすることで、実際にセットされている印刷用紙と画像形成装置10の用紙設定を一致させ、更なる問題を未然に防ぐとともに、ユーザ自身が画像形成装置10の操作部16を操作して用紙設定を更新することなしに、画像形成装置10の用紙設定を更新することが可能になる。
【0070】
また、上述した通り、プリンタドライバ37で指定したジョブ設定38が、印刷を実施することによってジョブ設定15cを介して装置設定15bに反映されることから、ユーザは、印刷に先立って画像形成装置10の操作部16を用いて装置設定15bの設定値を選択する操作及び変更する操作を行う必要がなくなる。
【0071】
また、ステップS32では、操作部16から強制印刷指示を入力したが、画像形成装置10は、強制印刷指示を情報処理装置30から受信するように構成することもできる。具体的には、媒体設定管理部14は、判定部13により異なると判定された場合、情報処理装置30に、強制的に印刷を実行するか否かを問い合わせるとよい。そして、画像形成装置10は、通信部18を介して、情報処理装置30から強制的に印刷を実行することを示す返信(強制印刷指示)を受け取った場合、記憶部15に記憶されている媒体設定を、第2の媒体設定から第1の媒体設定に書き換えることが好ましい。
【0072】
以上に説明したように、この実施の形態に係る画像形成システム1では、次に説明するような画像形成装置10における設定方法が適用されている。この設定方法は、情報処理装置30から受信された印刷ジョブに含まれる、印刷媒体への印刷領域を示す情報を少なくとも含む第1の媒体設定が、記憶部15に媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、この判定ステップにより異なると判定された場合、記憶部15に記憶されている媒体設定を、第2の媒体設定から第1の媒体設定に書き換えるステップと、を有する。その他の応用例については、画像形成システム1について説明した通りであり、その説明を省略する。
【0073】
また、上述した画像形成装置10は、媒体設定管理部14で例示した制御部(又は主制御部11)に、次のようなプログラムを組み込むことによっても実現することができる。このプログラムは、この制御部に、情報処理装置30から受信された印刷ジョブに含まれる、印刷媒体への印刷領域を示す情報を少なくとも含む第1の媒体設定が、記憶部15に媒体設定として設定されている第2の媒体設定と異なるか否かを判定する判定ステップと、この判定ステップにより異なると判定された場合、記憶部15に記憶されている媒体設定を、第2の媒体設定から第1の媒体設定に書き換えるステップと、を実行させるためのプログラムである。また、このようなプログラムは、コンピュータ読取可能な各種の非一時的な記録媒体に記録することで、又はネットワークを介してサーバ装置から提供することで、流通させることができる。
【0074】
また、上述した実施の形態では、情報処理装置30から画像形成装置10へ用紙設定が通知されるが、図6に示した用紙セット時に行われる自動検知処理で検知された用紙設定を画像形成装置10から情報処理装置30へ通知し、情報処理装置30のジョブ設定38に反映させるように構成することもできる。つまり、画像形成装置10は、媒体検知部19で計測された媒体計測情報を、情報処理装置30に通知し、情報処理装置30は、その媒体計測情報に基づき、ジョブ設定38を更新することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成システム、 10 画像形成装置、 11 画像形成装置の主制御部、 12 コマンド解析部、 13 判定部、 14 媒体設定管理部、 15 画像形成装置の記憶部、 15a 媒体設定、 15b 装置設定、 15c ジョブ設定、 16 画像形成装置の操作部、 17 画像形成装置の表示部、 18 画像形成装置の通信部、 19 媒体検知部、 20 媒体収容部、 21 印刷制御部、 22 印刷部、 30 情報処理装置、 31 情報処理装置の主制御部、 32 情報処理装置の通信部、 33 情報処理装置の操作部、 34 情報処理装置の表示部、 35 情報処理装置の記憶部、 36 アプリケーション、 37 プリンタドライバ、 38 ジョブ設定。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9