(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される静電容量式タッチセンサでは、複数の検出部にそれぞれパルス信号及び反転パルス信号を印加するためのパルス発生回路を設ける必要がある。したがって、回路構成が複雑化する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構成により誤検知を低減することのできる入力装置及び入力検出方法並びに車載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに距離をあけて配置された複数の電極部と、各前記電極部の静電容量の変化に応じた入力信号をそれぞれ出力する信号処理部と、前記信号処理部から出力された複数の前記入力信号に基づいて、少なくともいずれか一つの前記電極部への操作体の近接を判定する判定部とを備え、前記判定部は、いずれかの前記入力信号が予め設定された第1閾値以上であり、かつ、他の前記入力信号の所定の積分期間内における積分値が予め設定された第2閾値以上である場合に、前記第1閾値以上の前記入力信号に対応する前記電極部へ操作体が近接したと判定する入力装置を提供する。
【0008】
本発明の入力装置によれば、各電極部の静電容量に基づく入力信号が信号処理部によってそれぞれ生成され、判定部に出力される。判定部は、いずれかの入力信号が予め設定された第1閾値以上であり、かつ、他の入力信号の所定の積分期間内における積分値が予め設定された第2閾値以上である場合に、第1閾値以上の入力信号に対応する電極部へ操作体が近接したと判定する。このように、1つの電極部に生じた静電容量の変化だけでなく、その電極部の周辺に配置されている他の電極部の静電容量の変化を考慮して、操作体が近接したか否かを判定するので、ノイズによる誤検知を低減することが可能となる。
上記電極部間の距離は、例えば、15mm以上40mm以下の範囲とされている。
【0009】
上記入力装置において、前記判定部は、各前記電極部にそれぞれ対応する近接判定部を備え、各前記近接判定部は、対応する前記電極部の入力信号である第1入力信号が前記第1閾値以上であるか否かを判定する第1判定部と、他の前記電極部の入力信号を前記積分期間に渡って積分する積分演算部と、前記判定部によって前記第1入力信号が前記第1閾値以上であると判定され、かつ、前記積分演算部の積分結果が前記第2閾値以上である場合に、対応する前記電極部へ操作体が近接したと判定する第2判定部とを備えることとしてもよい。
【0010】
上記入力装置において、前記積分演算部は、前記第1入力信号が前記第1閾値以上であるか否かにかかわらず、前記積分時間における積分を連続的に実行してもよい。
【0011】
このような構成によれば、積分演算部は、第1入力信号が第1閾値以上であるか否かにかかわらず、積分を連続的に実行しているので、例えば、第1入力信号が第1閾値以上であることが検出された場合には、その時点よりも前から積分が開始されている状態となる。これにより、操作体が近接したか否かの判定時間を短くすることが可能となる。
【0012】
本発明は、上記入力装置を備える車載機器を提供する。
【0013】
本発明は、互いに距離をあけて配置された複数の電極部を備える入力装置に適用される入力検出方法であって、各前記電極部の静電容量の変化に応じた入力信号をそれぞれ出力し、いずれかの前記入力信号が予め設定された第1閾値以上であり、かつ、他の前記入力信号の所定の積分期間における積分値が予め設定された第2閾値以上である場合に、前記第1閾値以上の前記入力信号に対応する前記電極部への入力操作を検出する入力検出方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構成により誤検知を低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る入力装置及び入力検出方法並びに車載機器について、図面を参照して説明する。本実施形態では、車載機器、例えば、センターコンソールの操作ボタンとして静電容量式センサを用いた入力装置を例示して説明するが、この例に限られず、本発明の入力装置は、携帯電話機等の通信端末、その他電子機器等、様々な分野において幅広く適用することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置が備える電極部の配置について説明するための図、
図2は、電極部の取り付け構造の一例について説明するための図である。
図1、2に示すように、入力装置10は、互いに距離をあけて配置された複数の電極部1a、1b、1cを備えている。例えば、各電極部1a、1b、1cは、ハザードスイッチ、ワイパーの操作スイッチ、空調スイッチ等のように、車載の各種機器を操作するための操作ボタン(操作入力部)に対応してそれぞれ設けられている。
【0018】
各電極部1a、1b、1cは、例えば、
図2に示すように、ばね3によってそれぞれ基板5に接続されている。このように、ばね3のばね圧により電極部1a、1b、1cが基板5に押し当てられているため、各電極部1a、1b、1cと各ばね3との間に接触抵抗が発生する。ばね圧が十分に高ければ車両の振動による影響は受け難いが、ばね圧が低い場合には、車両の振動などの何らかの衝撃を受けることで、電極部1a、1b、1cとばね3との位置に相対的なずれが生じ、接触抵抗が変化する。接触抵抗が変化すると、静電容量が変化し、誤検知につながるおそれがある。本実施形態に係る入力装置10は、このような使用環境によるノイズに起因する誤検知を低減することを目的の一つとしている。
各電極部間の距離Lab、Lac等は、例えば、約15mmから約40mmの間とされている。
【0019】
図3は、本実施形態に係る入力装置10の概略構成を示した図である。
図3に示すように、入力装置10は、各電極部1a、1b、1cの静電容量の変化に応じた入力信号Ad1、Ad2、Ad3をそれぞれ出力する信号処理部11と、信号処理部11から出力された複数の入力信号Ad1、Ad2、Ad3に基づいて各電極部1a、1b、1cへの操作体の近接を判定する判定部12とを備えている。信号処理部11及び判定部12は、
図1に示した基板上に搭載されている。
【0020】
信号処理部11は、例えば、
図4に示すように、AD変換器21及び減算器22を備えている。信号処理部11において、各電極部1a、1b、1cから出力されるアナログ信号Sg1、Sg2、Sg3はAD変換器21によってデジタル信号Sg1´、Sg2´、Sg3´に変換される。各デジタル信号Sg1´、Sg2´、Sg3´は減算器22に入力され、デジタル信号Sg1´、Sg2´、Sg3´と予め設定されている基準信号の差分が演算され、その差分に応じたデジタル値の入力信号Ad1、Ad2、Ad3が出力される。なお、信号処理部11は、AD変換器21または減算器22から出力された信号を増幅して出力する増幅器(図示略)等を更に備えていてもよい。
【0021】
判定部12は、例えば、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(ReAd Only Memory)、及び各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)等を備えている。後述する各部によって実現される種々の処理は、CPUがROMに格納されている各種プログラムをRAMに読み出して実行することにより実現される。なお、上述した信号処理部11も、マイコンに内蔵されていてもよい。
【0022】
判定部12は、いずれかの入力信号(例えば、入力信号Ad1)が予め設定された第1閾値以上であり、かつ、他の入力信号(例えば、入力信号Ad2、Ad3)の所定の積分期間内における積分値が予め設定された第2閾値以上である場合に、第1閾値以上の入力信号(例えば、入力信号Ad1)に対応する電極部(例えば、電極部1a)へ操作体が近接したと判定する。
【0023】
具体的には、判定部12は、
図5に示すように、各電極部1a、1b、1cにそれぞれ対応する近接判定部30a、30b、30cを備えている。ここで、以下の説明において、各近接判定部30a、30b、30cにそれぞれ対応する電極部1a、1b、1cをそれぞれ「メイン電極部」、メイン電極部の周辺に配置されている他の電極部を「周辺電極部」という。
【0024】
近接判定部30aは、メイン電極部1aの入力信号Ad1と、周辺電極部1b、1cの入力信号Ad2、Ad3とを用いて、電極部1aに操作体が近接したか否かを判定し、判定結果Output1を出力する。
近接判定部30bは、メイン電極部1bの入力信号Ad2と、その周辺電極部1c、1aの入力信号Ad3、Ad1とを用いて、メイン電極部1bに操作体が近接したか否かを判定し、判定結果Output2を出力する。
また、近接判定部30cは、メイン電極部1cの入力信号Ad3と、その周辺電極部1a、1bの入力信号Ad1、Ad2とを用いて、メイン電極部1cに操作体が近接したか否かを判定し、判定結果Output3を出力する。
【0025】
ここで、操作体がいずれかの電極部、例えば、電極部1aに近接した場合、電極部1aの静電容量が変化するとともに、その周辺に配置されている周辺電極部1b、1cの静電容量も変化する。例えば、
図6はいずれか1つの電極部に操作体(例えば、人の指先)が近接した場合の各電極部1a、1b、1cの入力信号Ad1、Ad2、Ad3の波形の一例を示した図である。
図6において、波形a、dは電極部1aに、波形b、eは電極部1bに、波形c、fは電極部1cに、人の指先が近接した場合の波形を示している。
図6に示すように、いずれかの電極部に指先が近づいた場合には、その電極部だけではなく、周辺電極部にも静電容量の変化が生じる。一方、上述した振動等の使用環境によるノイズの場合、いずれか一つの電極部の静電容量が変化したとしても、その周辺電極部の静電容量は変化しない。したがって、周辺電極部における静電容量の変化にも着目することで、操作体の近接による静電容量の変化なのか、ノイズによる静電容量の変化なのかを容易に判定することができる。
【0026】
図7は、近接判定部30aが備える機能を示した機能ブロック図である。なお、近接判定部30b、30cも同様の構成及び機能を備えるため、近接判定部30aについて
図7を用いて説明し、近接判定部30b、30cについては説明を省略する。
【0027】
図7に示すように、近接判定部30aは、第1判定部31aと、積分演算部32aと、第2判定部33aとをそれぞれ備えている。
第1判定部31aは、メイン電極部1aの入力信号Ad1が予め設定された第1閾値TH1以上であるか否かを判定する。積分演算部32aは、周辺電極部1b、1cの入力信号Ad2、Ad3を所定の積分期間に渡って積分する。第2判定部33aは、第1判定部31aによって、メイン電極部1aの入力信号Ad1が第1閾値TH1以上であると判定され、かつ、積分演算部32aの積分結果が第2閾値TH2以上である場合に、メイン電極部1aへ操作体が近接したと判定する。
ここで、積分演算部32aは、後に詳述するように、第1判定部31aによって、メイン電極部1aの入力信号が第1閾値TH1以上であると判定されるか否かにかかわらず、所定の積分期間における周辺電極部1b、1cの入力信号の積分を連続的に実行する。
【0028】
次に、各近接判定部30a、30b、30cによって実行される処理について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8及び
図9は、近接判定部30a、30b、30cによって実行される入力検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0029】
以下に述べる入力検出処理において、メイン信号値「MainAd」は、メイン電極部の入力信号Adの信号値、周辺信号値「OtherAd」は、周辺電極部の入力信号の信号値の和、周辺積分値「sumOtherAd」は周辺信号値の積分値である。
【0030】
例えば、近接判定部30aによって実行される場合、メイン信号値「MainAd」は電極部1aの入力信号Ad1の信号値、周辺信号値「OtherAd」は、周辺電極部1b、1cの入力信号Ad2、Ad3の信号値の和となる。
また、近接判定部30bによって実行される場合、メイン信号値「MainAd」は電極部1bの入力信号Ad2の信号値、周辺信号値「OtherAd」は、周辺電極部1c、1aの入力信号Ad3、Ad1の信号値の和となる。
また、近接判定部30cによって実行される場合、メイン信号値「MainAd」は電極部1cの入力信号Ad3の信号値、周辺信号値「OtherAd」は、周辺電極部1a、1bの入力信号Ad1、Ad2の信号値の和となる。
【0031】
以下に述べる近接判定処理は、例えば、入力装置10の電源がオフからオンに変化したときに開始される。
【0032】
まず、ステップSA1において、初期設定を行う。初期設定では、ステータスを「OutOff_InOff」に設定するとともに、4サイクル前の周辺信号値である「Old4OtherAd」、3サイクル前の周辺信号値「Old3OtherAd」、2サイクル前の周辺信号値「Old2OtherAd」、1サイクル前の周辺信号値「Old1OtherAd」にそれぞれゼロを設定する。
ここで、ステータス「OutOff_InOff」の「OutOff」は出力がオフ、換言すると、操作体が近接していない場合を示しており、「InOff」は、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満であることを示している。
【0033】
続いて、1サイクル(例えば、10ms)の時間が経過すると(ステップSA2)、メイン信号値「MainAd」、周辺信号値「OtherAd」を取得する(ステップSA3)。次に、現在のステータスが「OutOff_InOff」であるか否かを判定する(ステップSA4)。この結果、ステータスが「OutOff_InOff」の場合には、ステップSA5に進み、4サイクル分の周辺信号値を積算して周辺積分値「sumOtherAd」を算出する。次に、ステップSA6において、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1以上であるか否かを判定し、「YES」であれば、ステップSA7に移行して、ステータスを「OutOff_InOn」に変更し、周辺積分値「sumOtherAd」に周辺信号値「OtherAd」を加算し、サイクル「Cycle」に0(ゼロ)を設定し、ステップSA8に移行する。
【0034】
一方、ステップSA6において、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満の場合には、そのままステップSA8に移行する。
ステップSA8では、現在のステータスが「OutOn」であるか否かを判定し、この結果ステータスが「OutOff」であれば、ステップSA10に移行して出力を「Output=Off」とし、現在のステータスが「OutOn」であればステップSA11に移行して出力を「Output=On」とする。
【0035】
続いて、ステップSA11において、周辺信号値の更新を行う。具体的には、4サイクル前の周辺信号値「Old4OtherAd」に3サイクル前の周辺信号値「Old3OtherAd」を、3サイクル前の周辺信号値「Old3OtherAd」に2サイクル前の周辺信号値「Old2OtherAd」を、2サイクル前の周辺信号値「Old2OtherAd」に1サイクル前の周辺信号値「Old1OtherAd」を、1サイクル前の周辺信号値「Old1OtherAd」に今回のサイクルの周辺信号値「OtherAd」を設定し、ステップSA2に戻る。
【0036】
次に、上記ステップSA4において、ステータスが「OutOff_InOff」でない場合には、ステップSA12に移行し、ステータスが「OutOff_InOn」であるか否かを判定する。この結果、ステータスが「OutOff_InOn」である場合には、ステップSA13に移行し、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満であるかを判定する。この結果、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満である場合には、ステップSA14に移行し、ステータスを「OutOff_InOff」に変更し、ステップSA8に移行する。
【0037】
一方、ステップSA13において、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1以上である場合には、ステップSA15に移行し、周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値TH2以上であるか否かを判定する。この結果、周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値以上である場合には、ステップSA16に移行し、ステータスを「OutOn」に変更するとともに、4サイクル分の周辺信号値をゼロに初期化して、ステップSA8に移行する。
【0038】
一方、ステップSA15において、周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値TH2未満である場合には、ステップSA17に移行し、現在のサイクル値「Cycle」が予め設定されている所定の判定サイクル以上であるか否かを判定する。すなわち、メイン信号「MainAd」が第1閾値TH1以上であると判定されてから所定の積分期間が経過したか否かを判定する。この結果、現在のサイクル値「Cycle」が判定サイクル(所定の積分時間)以上である場合には、積分時間超過と判断して、ステップSA18に移行し、ステータスを「OutOff_InErr」に変更するとともに、4サイクル分の周辺信号値をゼロに初期化して、ステップSA8に移行する。一方、ステップSA17において、現在のサイクル値「Cycle」が判定サイクル値未満である場合には、すなわち、メイン信号「MainAd」が第1閾値TH1以上であると判定されてから所定の積分期間が経過していない場合には、ステップSA19に移行し、現在の周辺積分値「sumOtherAd」に周辺信号値「OtherAd」を加算するとともに、サイクル「Cycle」を1加算して、ステップSA8に移行する。
【0039】
また、上記ステップSA12において、ステータスが「OutOff_InOn」でない場合には、ステップSA20に移行し、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満であるかを判定する。この結果、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1以上であれば、そのままステップSA8に進み、メイン信号値「MainAd」が第1閾値TH1未満であれば、ステップSA21においてステータスを「OutOff_InOff」に変更した後に、ステップSA8に進む。
【0040】
次に、電極部1aに操作体が近接することによって、
図10に示すような入力信号Ad1、Ad2、Ad3が入力された場合の入力検出処理について説明する。
まず、
図10の時刻t1に至るまでは、
図8のステップSA2〜SA11のループが繰り返し実行される。そして、
図10の時刻t1において、入力信号Ad1が第1閾値TH1以上となると、
図8のステップSA6において「YES」と判定され、ステップSA7において、ステータスが「OutOff_InOn」に変更されるとともに、周辺信号値の積分が開始される。
【0041】
続いて、ステップSA8、SA10、SA11を経て次のサイクルに入る。次のサイクルでは、ステータスが「OutOff_InOn」に設定されていることから、ステップSA4において「NO」と判定され、続くステップSA12において、「YES」と判定される。そして、これ以降においては、メイン信号値「MainAd」が第1閾値未満となるか(ステップSA13において「YES」)、周辺積分値「sumOtherAd」の値が第2閾値以上となるか(ステップSA15において「YES」)、または、サイクル「Cycle」が判定サイクルを超えるか(ステップSA17において「YES」)のいずれかに該当するまで、ステップSA12、SA13、SA15、SA17、SA19、SA8、SA10、SA11、SA2、SA3、SA4のループが繰り返し実行される。
【0042】
そして、
図10の時刻t2において、周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値以上になると、
図9のステップSA15において「YES」と判定され、ステップSA16において、ステータスが「OutOn」に変更されるとともに、4サイクル分の周辺信号値がゼロに初期化される。この結果、ステップSA8において「YES」と判定され、ステップSA9において、出力「Output」が「On」に変更される。これにより、
図10に示すように、時刻t2においてOutput1の出力が「On」に変化する。
【0043】
続いて、次のサイクルからは、ステータスが「OutOn」に設定されていることから、ステップSA2、SA3、SA4、SA12、SA20、SA8、SA9、SA11のループが繰り返し実行される。そして、
図10の時刻t3において、メイン信号値「MainAd」が第1閾値未満となると、ステップSA20において「YES」と判断され、ステップSA21に移行し、ステータスが「OutOff_InOff」に変更される。これにより、続くステップSA8において「NO」と判定され、ステップSA10において出力が「Output=Off」に変更される。この結果、
図10に示すように、時刻t3において出力「Output」が「Off」に変化する。
【0044】
このように、電極部1aに操作体が近接した場合には、メイン信号値「MainAd」が第1閾値以上となってから所定の積分期間内に周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値以上になるので、操作体の近接が検出される。
【0045】
次に、外部要因によるノイズによって、
図11に示すような入力信号Ad1、Ad2、Ad3が入力された場合の入力検出処理について説明する。
【0046】
まず、
図11の時刻t1に至るまでは、
図8のステップSA2〜SA11のループが繰り返し実行される。そして、
図11の時刻t1において、入力信号Ad1が第1閾値TH1以上となると、
図8のステップSA6において「YES」と判定され、ステップSA7において、ステータスが「OutOff_InOn」に変更されるとともに、周辺信号値の積分が開始される。
【0047】
続いて、ステップSA8、SA10、SA11を経て次のサイクルに入る。次のサイクルでは、ステータスが「OutOff_InOn」に設定されていることから、ステップSA4において「NO」と判定され、続くステップSA12において、「YES」と判定される。そして、これ以降においては、メイン信号値「MainAd」が第1閾値未満となるか(ステップSA13において「YES」)、周辺積分値「sumOtherAd」の値が第2閾値以上となるか(ステップSA15において「YES」)、または、サイクル「Cycle」が判定サイクルを超えるか(ステップSA17において「YES」)のいずれかに該当するまで、ステップSA12、SA13、SA15、SA17、SA19、SA8、SA10、SA11、SA2、SA3、SA4のループが繰り返し実行される。
【0048】
そして、
図11の時刻t2において、メイン信号値「MainAd」が第1閾値以上であることが検出されてからの積分時間が所定の積分時間を超えることにより、サイクル「Cycle」の値が判定サイクルを超えると、ステップSA17において「YES」と判定され、ステップSA18において、ステータスが「OutOff_InErr」に変更される。すなわち、今回のメイン信号値「MainAd」はエラーによって入力されたものと判定する。そして、このステータス状態で、ステップSA8〜SA11を経由して次のサイクルに入る。
【0049】
次のサイクルでは、ステータスが「OutOff_InErr」に設定されていることから、ステップSA4、SA12において「NO」と判定され、ステップSA20に移行する。そして、これ以降においては、入力信号Ad1が第1閾値未満となるまで、ステップSA8、SA10、SA11、SA2〜4、SA12、SA20のループが繰り返し実行される。そして、
図11の時刻t3において、入力信号Ad1が第1閾値TH1未満となると、ステップSA20において「YES」と判定され、続くステップSA21においてステータスが「OutOff_InOff」に変更される。
【0050】
このように、外部ノイズが原因で電極部1aの静電容量に変化が生じた場合には、メイン信号値「MainAd」が第1閾値以上となってから所定の積分期間内に周辺積分値「sumOtherAd」が第2閾値に至らないので、エラーによる入力であると判定し、ノイズによる誤検出を回避することが可能となる。
【0051】
図12は、第2閾値TH2の値、積分期間を変化させて上述した入力検出処理を実行した場合の誤検知回避率を示した図である。
図12に示される結果から、判定サイクル(積分時間)を比較的長くするとともに、それに伴い第2閾値TH2も比較的大きな値に設定した方が、誤検知回避率が高いことが分かる。この結果から、例えば、判定サイクル(積分期間)は、120ms以上400ms以下の範囲、第2閾値は5以上20以下で設定すればよく、より好ましくは、判定サイクル(積分期間)は120ms以上400ms以内の範囲、第2の閾値は10カウント以上20カウント以下の範囲で設定するとよい。なお、この範囲は一例であり、センサの感度やセンサの取付環境、使用状態等によって変化する。したがって、実機試験やシミュレーション等を行い、その結果から所望の誤検知回避率が得られる範囲に第2閾値及び積分期間を設定するとよい。
【0052】
以上説明してきたように、本実施形態に係る入力装置及び入力検出方法並びに車載機器によれば、いずれか一つの電極部1a、1b、1cの静電容量が大きく変化した場合に、その周辺に配置されている他の電極部の静電容量の変化も用いて操作体の近接を判定するので、簡易な構成によりノイズ等による誤検知を低減することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態では、3つの電極部を備える入力装置10を例示して説明したが、入力装置10が備える電極部の数はこれに限られず、2個以上であればよい。
また、本実施形態においては、各電極部1a〜1cが車載の各種機器を操作するための操作ボタン(操作入力部)に対応してそれぞれ設けられている場合を例示したが、必ずしも各電極部と操作ボタンとが対応している必要はない。例えば、操作ボタンと対応付けられた電極部の周辺に配置された電極部については、操作ボタンと対応付けられた電極部への操作体の近接を検出するためだけに使用される電極部であってもよい。この場合、近接判定部は操作ボタンと対応付けられた電極部に対して設けられていればよいこととなる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。