【実施例】
【0039】
図1および
図2において、10は本発明の実施例1に係るフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグ)である。このフレコンバッグ10は、4枚の側布(側面シート)11の突き合わせ側の端部を縫着(接合)し、かつ上端が開口した角筒状の胴部12と、胴部12の下端の開口を塞ぐ正方形の底布(底面シート)13とを有する角型のバッグ本体14と、胴部12の上端に縫着され、災害で発生した不燃物・可燃物(充填物)を胴部12に投入するための投入部15と、投入部15の上端に有する災害で発生した不燃物・可燃物の投入口16を開閉自在に封止する第1の線ファスナ(投入口封止手段)17と、胴部12の各コーナー部分に、隣接する2枚の側布11の端部を跨いだ状態でそれぞれ上方に向かうように縫着され、かつバッグ本体14を吊り上げる8点支持、4本吊り部方式の吊りベルト19と、上端が開口し、かつバッグ本体14を覆った状態でバッグ本体14に縫着される角型の外袋20と、投入口16を封止して折り畳んだ状態の投入部15の上から、外袋20の開口を塞ぐこの外袋20に設けられた正方形の外蓋布(外蓋シート)21と、外蓋布21により外袋20の開口を開閉自在に封止する第2の線ファスナ(外袋封止手段)22と、投入口16を封止して折り畳んだ状態の投入部15の上に配置され、かつ外周部の上面に雌型面ファスナ(一方の面ファスナ)23が縫着されたトップシート24とを備えたものである(
図7)。フレコンバッグ10は、内容量1.125m
3のものである。
【0040】
以下、
図1〜
図5を参照して、これらの構成体を具体的に説明する。
図2に示すように、胴部12を構成する各側布11は、1,500deのポリプロピレン繊維からなり、かつ裏面(内面)に図示しない止水用の樹脂フィルムがラミネートされた織布を所定形状に裁断し、かつ適宜縫製することで作製された縦1,500mm、横(高さ)500mmの矩形布である。なお、実際の胴部12は、長さ6,000mm、幅500mmの長尺な織布を裁断し、その長さ方向の端を縫着することで得られる。この胴部12の下辺(一方の長辺)を、底布13の4つの辺に適宜縫着することで、バッグ本体14が得られる(後述する裏地胴部12Aも同じ)。
底布13は、側布11と同一素材からなる縦横1,500mmの正方形の布である。
【0041】
胴部12の内面には、角筒状の裏地胴部12Aが縫着されている(
図3参照)。これにより、胴部12は二重布構造となり補強される。この裏地胴部12Aは、胴部12の側布11と同一素材、同一サイズの4枚の側布11Aを適宜縫製して得られた縦6,000mm、横(高さ)500mmの矩形布である。
裏地胴部12Aの高さ方向の中間部の内面には、充填された災害で発生した不燃物・可燃物による胴部12(裏地胴部12Aを含む)の変形を防止する環状の保形ベルト28が、各コーナー部分を除く裏地胴部12Aの周方向の全域にわたって縫着されている。詳しくは、各側布11Aの長さ方向の中間部分(長さ600mm)のみに、保形ベルト28の一部分が縫着されている。
【0042】
保形ベルト28は、ポリプロピレン短繊維から作製された幅100mm、長さ約4,950mmの厚布からなり、かつ平面視して八角形に配される1本の無端ベルトである。
なお、胴部12の各側布(表シート)11と、裏地胴部12Aの対応する側布(裏シート)11Aとの間には、厚さ3mmの発泡ポリウレタンシート(発泡合成樹脂シート)27を挟むように構成してもよい(
図4参照)。同様に、底布(表シート)13の上面にも、発泡ポリウレタンシート27と、底布13と同一素材、同一サイズの裏布(裏シート)26とを、順次、積層して3層構造としてもよい。こうすることで、バッグ本体14にクッション性が発現し、バッグ本体14の防護性を高めることができる。
【0043】
投入部15は、胴部12と同一素材からなり、かつ下端の開口部分が胴部12の上端の開口部分に縫着された、上方へ向かって徐々に先細りした略円筒布である。投入部15の上端の投入口16の直径は1,000mm、投入部15の高さ(長さ)は1,000mmである。
投入口16には、前記第1の線ファスナ17が周設されている。この第1の線ファスナ17は、投入口16の周方向の半分の領域で、線状に固定された細長い断面凹形の凹条エレメント(図示せず)と、投入口16の残りの半分の領域に線状に固定され、かつ凹条エレメントに対応した細長い断面凸形の凸条エレメント(図示せず)とを有したものである。投入口16の封止時には、この投入口16を半折して、凹条エレメントと凸条エレメントとを掛合する。
なお、バッグ本体14の内部空間には、投入部15の高さとバッグ本体14の高さとを合わせた長さを有する図示しない内袋を収納してもよい。内袋は、例えばポリエチレン製である。
【0044】
吊りベルト19は、ポリプロピレン短繊維から作製された長さ19,600mm、幅100mmの厚布からなる1本の無端ベルトである。吊りベルト19は、4枚の側布11の長さ方向の両端部および底布13の外周部の外面に、ちょうど四葉のクローバーを一筆書きするように引き回して縫着されている(
図5参照)。この吊りベルト19の具体的な縫着域は、底布13の各辺部との対峙部分と、4枚の側布11の各長辺部との対峙部分とである。これにより、胴部12の各コーナー部分の上縁には、吊りベルト19のうち、胴部12の上縁から上方へ延びる4つの吊り部18がアーチ状に突設されている。各吊り部18の長さは1,300mmである。
このとき、胴部12の各コーナー部分において、吊り部18の左右一対の基端部が縫着される2つの吊り点(支持点)P1,P2の位置は、平面視して、該当するコーナー部の頂点Aから400mmずつ離間した、隣り合う2枚の側布11の上縁の位置である。なお、吊りベルト19からなる吊り部18は100mmの幅がある。そのため、ここでの“吊り点P1,P2”は、吊り部18の幅の中間点(中間位置、一方の端から50mmの位置)とする。
【0045】
外袋20は、胴部12と同一素材からなり、かつバッグ本体14の側布11と同一サイズ、同一形状の4枚の側布29と、胴部12と同一素材からなり、かつバッグ本体14の底布13と同一サイズ、同一形状の底布30とを縫着して、角型の袋状としたものである。
外袋20の底布30の内面には、この底布30と略同一サイズ、同一形状の厚肉な補強用不織布31が縫着されている。補強用不織布31は、ポリエステル繊維を短絡して作製された厚肉な布材である。
外袋20の内側には、ポリエチレン製の図示しないインナーが展着されている。また、外袋20とバッグ本体14とは、複数箇所が縫着されることで一体化している。
外蓋布21は、胴部12と同一素材からなり、かつ外袋20の底布30と同一サイズ、同一形状のものである。この外蓋布21は、その基端側の辺部が、外袋20の1つの側布29の上縁部に縫着されている。
外蓋布21の各コーナー部分には、対応する吊り部18が挿通され、かつ外蓋布21による外袋20の開口の封止時に、胴部12の対応するコーナー部分に配された吊り点P1,P2間を結ぶ直線aの長さ方向へ延びる4本のベルト通し用スリットSが配設されている。
【0046】
外袋20の上端の各辺には、4枚のフラップ布(フラップシート)32の基端側の辺部が縫着されている。
各フラップ布32は、胴部12と同一素材からなり、かつ長さ1,500m、高さ(幅)400mの矩形状のものである。
これらのフラップ布32の内面の略全域には、長尺な幅200mmの雄型面ファスナ(他方の面ファスナ)33が、上下2段で縫着されている。さらに、4枚のフラップ布32のうち、向かい合う一対のフラップ布32のみには、その長さ方向の両端部の表面に、小判な矩形状の雌型面ファスナ34が縫着されている。
【0047】
第2の線ファスナ22は、対峙する長尺側の辺部に多数のエレメント(務歯)を所定ピッチで並べた2本のテープ22a,22bと、両テープ22a,22b間を移動し、かつ一方のテープ22aのエレメントと、他方のテープ22bのエレメントとを掛止または掛止解除するスライダ22cとを有している。このうち、一方のテープ22aは外袋20の開口部に周設され、他方のテープ22bは外蓋布21の外周縁に周設されている。また、スライダ22cは、通常時、他方のテープ22bのエレメントのみに装着されているものの、外袋20の閉蓋時には、一方のテープ22aのエレメントにも掛止されるように構成されている。
【0048】
トップシート24は、胴部12と同一素材からなり、かつ外蓋布21と同一サイズ、同一形状の厚肉な布材である。その外周部の上面(表面)には、幅400mmの矩形枠状の雌型面ファスナ23が縫着されている。なお、トップシート24は、必ずしも使用しなくてもよい。
また、トップシート24の中央部の裏面には、胴部12と同一素材からなり、かつ縦横1,100mmの矩形状のポケット35が設けられている。ポケット35の開口部は、図示しない面ファスナにより開閉自在となっている。
ポケット35には、縦横1,000mmの保形用の天板36が出し入れ自在に挿入されている。
天板36の素材は、剛性が高い厚さ5mmのプラスチック板である。
【0049】
次に、
図6のフローシートを主に参照して、本発明の実施例1に係るフレキシブルコンテナバッグ10への充填物の充填方法を説明する。
まず、現場において、作業者が、外袋20を保持する平面視して正方形状の型枠(図示せず)に外袋20を収納する(ステップ101)。型枠は、4枚の木製パネルを角筒状にボルト連結したものである。その内部空間のサイズは、縦横1,500mm、高さ500mmである。
次に、この型枠に被せるように投入部15を裏返し、バッグ本体14の開口を広げる(ステップ102)。
その後、災害で発生した可燃物・不燃物をユンボを用いて、投入部15の投入口16からフレコンバッグ10の中に順次投入し、バッグ本体14への可燃物・不燃物の充填完了後、その表面を平らにならす(ステップ103)。
【0050】
次に、作業者がこの裏返った投入部15を元に戻し、その後、投入口16を第1の線ファスナ17によって封止する(ステップ104)。次いで、この投入部15を、対峙する2つの三角片部15aが上下に重なるように折り畳む(ステップ105、
図7参照)。ここで、上側に配された三角片片部15aの頂上部を、短尺な引きロープ37の一端部に連結されたクリップ38により挟み、それから引きロープ37を引っぱり、引きロープ37の他端部を外袋20の上縁の一辺の中間部に固定された連結用紐リング39に縛り付ける。これにより、投入口16の折り畳み状態を堅固に保持することができる。
【0051】
次いで、この折り畳まれた投入部15の上にトップシート24を載置し、その後、作業者が4枚のフラップ布32を内折りする(ステップ106、
図8参照)。その際の折り順は、まず両端部の表面に小判な雌型面ファスナ34が縫着された2枚のフラップ布32を先に内折りし、次に残り2枚のフラップ布32を内折りする。これにより、後折りした2枚のフラップ布32の両端部(この部分に配された雄型面ファスナ33)が、表面側の小判な雌型面ファスナ34を介して、しっかりと掛止される。その結果、この小判な雌型面ファスナ34が配設されていない場合に懸念される、後折り側のフラップ布32の両端部分からの剥がれや、この剥がれ部分を通しての災害で発生した不燃物・可燃物の漏出などを防止することができる。
このように、トップシート24の上から4枚のフラップ布32を内折りすることで、トップシート24の雌型面ファスナ23と各フラップ布32の雄型面ファスナ33とが重なり合って、封止状態で折り畳んだ投入部15に被せられたトップシート24を、外袋20の開口部に堅固に掛止することができる。
【0052】
その後、外袋20の開口に外蓋布21を配置して、吊りベルト19の4本の吊り部18を、対応するベルト通し用スリットSに通す(ステップ107)。
その後、作業者が第2の線ファスナ22を利用し、外袋20の開口を外蓋布21により封止する(ステップ108、
図9参照)。
その後は、作業者がフォークリフト車の近接配置した2本のフォークに、隣り合う2本の吊り部18を離間した状態(4点吊りの状態)で引っ掛け、操縦者の操縦により、両フォークを上方移動させてフレコンバッグ10を型枠から吊り上げた後、これをトラックの荷台に積み込む。または、ユンボのバケットに4本の吊り部18を一括して引っ掛け、これらを一点吊りした状態でトラックの荷台に積み込む。
【0053】
このように、バッグ本体14を外袋20により被覆し、投入部15を外蓋布21によって覆うように構成したため、周辺環境の物体との衝突等を原因としたバッグ本体14の破損を防止することができる。しかも、仮にバッグ本体14が破損したり、第1の線ファスナ17による投入口16の封止状態が一部解除された場合であっても、バッグ本体14から零れた災害で発生した不燃物・可燃物は外袋20の中に留まる。そのため、災害で発生した不燃物・可燃物の外部露出または袋外への落下を防ぐことができる。
また、外蓋布21の各コーナー部分にベルト通し用スリットSを形成し、各ベルト通し用スリットSに、対応する吊り部18を通すように構成したため、フレコンバッグ10の見掛け上の吊り位置がフレコンバッグ10の中央部へ移動する。これにより、バッグ吊り上げ時(特に1点吊り時)に各吊り部18の吊り角度が小さくなり、その結果、吊り部18の吊り角度と張力との関係を示す張力係数が小さくなって各吊り部18の張力が低下する。一例を挙げれば、この吊り角度が60°から30°に低下すれば、張力係数は1.16から1.04に低下する。
【0054】
4本吊りの場合、吊り部18にかかる張力は、以下の式で求められる。
張力=質量/4×9.8×張力係数
ここでの質量は、充填物(災害で発生した不燃物・可燃物)が充填されたフレコンバッグ10の質量をいう。
【0055】
したがって、見かけ上の各吊り点をバッグ中央部へ移動させることで、バッグ吊り上げ時、特に1点吊り時において、各吊り部18をバッグ中央部へ引き寄せる力は弱まる。そのため、バッグ本体14に充填された災害で発生した不燃物・可燃物は、従来に比べてバッグ中央部へ移動する量が減り、フレコンバッグ10の上面の膨出が抑えられる。
しかも、このように各ベルト通し用スリットSに各吊り部18を通すように構成したため、従来はアーチ状の吊り部18の(左右)一対の基端部が胴部12に縫着される箇所に集中していたバッグ10の吊り荷重が、各吊り部18の基端部が接触した外蓋布21のコーナー部の一部分、および、ベルト通し用スリットSの形成部分などに分散される。その結果、吊り部18の胴部12からの外れや破袋を防止することができる。
【0056】
さらには、各ベルト通し用スリットSの長さ方向を、胴部12の対応するコーナー部分に配された吊り点P1,P2間を結ぶ(仮想の)直線aの長さ方向に揃えたため、バッグ吊り上げ時、それらのベルト通し用スリットSが対応する直線aに揃っていない場合に比べて、吊り部18の一対の基端部分(縫着部に近い部分)の押し当てにより生じるスリットSの過剰な(歪な)広がりを抑制することができる。これにより、バッグ吊り上げ時のベルト通し用スリットSの裂けや伸びといった損傷を防止できるとともに、仮に災害で発生した不燃物・可燃物が外袋20の中に零れたとしても、その災害で発生した不燃物・可燃物がベルト通し用スリットSからバッグ外へ零れ落ちるおそれは少ない。
【0057】
また、投入口封止手段として、投入部15の投入口16を塞ぐ第1の線ファスナ17を採用し、また外袋封止手段として、外蓋布21を外袋20の開口に掛止する第2の線ファスナ22を採用したため、投入部15の投入口16と外袋20の開口とを簡単かつ確実に封止または封止解除することができる。
さらには、平坦な天板36をトップシート24の中央部に着脱自在に取り付けたため、バッグ吊り上げ時、災害で発生した不燃物・可燃物がバッグ中央部へ強制的に移動させられて発生するバッグ上面の膨出現象を、さらに抑制することができる。なお、トップシート24は、天板36をポケット35から抜き取って使用してもよい。
【0058】
さらにまた、裏地胴部12Aを介して胴部12の内面には、胴部12の各コーナー部分を除き、この胴部12の周方向の全域にわたって、環状の保形ベルト28を縫着したため、保形ベルト28が胴部12の内張りとなり、バッグ本体14に投入された災害で発生した不燃物・可燃物による胴部12の変形を抑制することができる。しかも、このように保形ベルト28が、各コーナー部分で(裏地胴部12Aを介して)胴部12の内面に縫着されていないため、対応するコーナー部分において、保形ベルト28は、災害で発生した不燃物・可燃物の内圧を低減するための隔壁として機能する。