(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アミノプラスト樹脂が、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物であるかまたは尿素−ホルムアルデヒド縮合物であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
請求項11または12に記載の香料入りの液体消費者製品または香料入りの粉末消費者製品であって、前記製品がホームケア製品であるかまたはパーソナルケア製品であることを特徴とする、前記香料入りの液体消費者製品または香料入りの粉末消費者製品。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ポリイソシアネートで架橋されており、油、特に香油を封入しているコア−シェル型アミノプラストマイクロカプセルに関する。前述のカプセルは、該カプセルのコア内に高い香料負荷量を有しつつ極めて少量のアミノプラスト樹脂を含有する。前述のカプセルは特性の向上を示し、特に困難を伴う媒体における香料漏出の低減を示す。前述のアミノプラストマイクロカプセルの、特に界面活性剤に富む液体水性消費者製品における、貯蔵時に該消費者製品中に放出される遊離ホルムアルデヒドの量を低減させる効果を示しつつその嗅覚的性能の向上を示す香料送達系としての使用、および前述のカプセルを含む界面活性剤に富む液体水性消費者製品もまた、本発明の目的である。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する課題の一つとして、芳香性化合物によりもたらされる嗅覚的な有益性が、その揮発性ゆえに、特に「トップノート」の揮発性ゆえに比較的に急速に失われてしまうことが挙げられる。この課題に対しては、一般的には、制御された様式で香気を放出するための送達系、例えば香料を含むカプセルを使用する取り組みがなされている。疎水性活性物質のカプセル封入には、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂で形成されるアミノプラストマイクロカプセルが使用されることが多く、このようにしてこうした活性物質が保護され、かつその制御された放出が提供される。
【0003】
しかし、界面活性剤を含む消費者製品、例えば香料消費者製品において使用される場合には、カプセル、例えばアミノプラストカプセルは、特に高温での長期貯蔵後に、安定性の課題に悩まされる。このような製品においては界面活性剤が存在しており、カプセル封入された活性物質がこの界面活性剤によって生成物ベースにおいて可溶化されうることで壁を通じた拡散が生じることによって、たとえカプセル壁が損傷されないままであったとしても、カプセル封入された活性物質がこのカプセルから漏出する傾向にある。この漏出現象によって、活性物質を保護しかつその制御された放出を提供する際にカプセルの効率が低下する。このことは、活性物質が揮発性成分、例えば香料である場合に特に不利である。
【0004】
アミノプラストカプセルの安定性を向上すべく、すなわち、香料消費者製品における香料漏出を低減すべく、様々な技術が開発されてきた。EP1767185においては、カプセル封入された物質の組成が、特に漏出を回避するように設計されている。先行技術、例えばUS2005/0112152およびUS2005/0153135に記載の他のアプローチは、香料漏出を低減すべく、log P>5.5の極めて疎水性の高い等量の溶媒に香油をさらに希釈することからなる。しかし、これによってカプセル内の純粋な香油の負荷量が大幅に低減する。US2006/0248665も、酸、金属塩または高温の触媒作用による壁における硬化架橋反応の触媒作用による香料漏出率の低減に取り組んでいる。
【0005】
また、例えばWO2004/016234のようないくつかの先行技術文献は、追加の層またはシェル(2シェル系)でのカプセルのコーティングを開示している。
【0006】
香料漏出の課題に対処すべく提案されてきたいかなる解決策も、こうした従来技術はいずれも、カプセルの疎水性コア内に封入される香油の量に対するカプセル壁の作製に使用されるアミノプラスト樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド)の量の比率が比較的高いという事実を共通して有している。なぜならば、カプセル壁の作製に多くのメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用するほどそのカプセルの貯蔵安定性は良好になり、従って、例えば布地用柔軟剤、液体洗剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、またさらにはシャワージェル等の界面活性剤に富む水性消費者製品における香料漏出が低減されることが、これまで当業者によく知られているためである。上述の様々な特許出願において例示されるような、カプセルの香油負荷量に対する壁の作製に用いられる純粋なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率は、典型的には0.12〜0.20で可変である。
【0007】
しかしながら、多量のアミノプラスト樹脂を使用することによって、(壁を厚くすることによって)カプセルの安定化が支援されかつ香料漏出が低減されるとの記載が常になされてきたが、これはカプセルの嗅覚的性能に対して悪影響を及ぼし、それによってその香料負荷分を放出するためのカプセルの崩壊がより困難となり、このようにして最終消費者の利益が低減される。
【0008】
近年、WO2008/098387A1には、メラミンホルムアルデヒド壁を架橋するために水相中で芳香族ポリオール、例えばレゾルシノールを使用することによって、これが安定化され、かつ貯蔵時の香料漏出が低減されることが記載されている。しかし、従来技術では、使用されるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の香油に対する比率が低いほど、布地用柔軟剤における貯蔵時の香料漏出がより高度に生じる旨の教示が依然としてなされている。特に、上記のレゾルシノールを用いたより安定なカプセルに関してすら、上述の比率は0.15〜0.09に低減され、貯蔵時に香料漏出が2倍近くになり、従って、香油に対するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率をさらに低減させた場合には、有益性の期待は限定的なものとなる。本出願人によるWO2013/092375A1には、こうした目標の一部を達成するための他の方法が記載されており、これは、カプセル封入の前に香油コアに少量予め溶解させたポリイソシアネート架橋剤を用いてアミノプラストマイクロカプセルを安定化させることにより行われる。
【0009】
こうした教示にもかかわらず、アミノプラスト系香料送達系の改善が依然として求められている。特に、界面活性剤に富む水性消費者製品においてカプセルの良好な貯蔵安定性と香料漏出の低減とを併せ持つと共に、穏やかな取り扱いの間におよび擦った際に嗅覚的性能の向上/崩壊し易さを示す香油封入カプセルを見出すことが有利である。この嗅覚的性能は、例えば乾燥した布地において知覚される香料強度をもたらす。
【0010】
発明の概要
本発明は、上述の課題に対する解決策をもたらし、かつ、安定性と嗅覚的性能との適正なバランスを提供しながら、その壁をより薄くしかつ高い香料負荷量とすべく、極めて少量のアミノプラスト樹脂を用いて作製されたカプセルによってさらなる利点を提供する。本発明の第一の目的は、以下:
1)香油と、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとを混合することにより、油相を形成するステップ;
2)アミノプラスト樹脂と任意に安定剤とを水に分散または溶解させることにより、水相を形成するステップ;
3)前記水相に前記油相を添加することにより、水中油型分散物を形成するステップ、ここで、平均液滴サイズは1〜100μmに含まれるものとする;
4)硬化ステップを行うことにより、液体分散物の形態の少なくとも1つのマイクロカプセルを形成するステップ;および
5)任意に前記液体分散物を乾燥させることにより、少なくとも1つの乾燥したコア−シェル型マイクロカプセルを得るステップ;
を含む方法によって得ることができる1シェル系のアミノプラストコア−シェル型マイクロカプセルであって、
ここで前記アミノプラスト樹脂が、前記分散物中の前記アミノプラスト樹脂と前記香油との質量(w/w)比が0.001〜0.09に含まれる量で添加されている前記マイクロカプセルからなる。
【0011】
本発明の第二の目的は、以下のものを含有する付香組成物である:
(i)上記で定義されるマイクロカプセル;
(ii)香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分;および
(iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤。
【0012】
第三の態様において、本発明は、以下のものを含有する香料入りの液体消費者製品に関する:
a)該消費者製品の総質量に対して2〜65質量%の少なくとも1種の界面活性剤;
b)水および/または水混和性の溶媒;および
c)上記で定義されるマイクロカプセル。
【0013】
第四の態様において、本発明は、以下のものを含有する香料入りの粉末消費者製品に関する:
a)該消費者製品の総質量に対して2〜65質量%の少なくとも1種の界面活性剤;および
b)上記で定義されるマイクロカプセル。
【0014】
香料送達系としての界面活性剤に富む消費者製品における上記で定義されるカプセルの使用も、本発明の一部である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、香油に対するアミノプラスト樹脂の比率に応じた、37℃または43℃のいずれかで柔軟剤を2週間貯蔵した後でのカプセルから柔軟剤ベースへの香料漏出のパーセンテージを表す。
【
図2】
図2は、香油に対するアミノプラスト樹脂の比率に応じた、37℃または43℃のいずれかで柔軟剤を4週間貯蔵した後でのカプセルから柔軟剤ベースへの香料漏出のパーセンテージを表す。
【
図3】
図3は、新たに製造された柔軟剤についての、香油に対するアミノプラスト樹脂の比率に応じた、擦る前および擦った後のカプセルからの香料強度を表す。
【
図4】
図4は、柔軟剤中で37℃で4週間貯蔵した後の、香油に対するアミノプラスト樹脂の比率に応じた、擦る前および擦った後のカプセルからの香料強度を表す。
【
図5】
図5は、柔軟剤中で43℃で4週間貯蔵した後の、香油に対するアミノプラスト樹脂の比率に応じた、擦る前および擦った後のカプセルからの香料強度を表す。
【0016】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、%は組成物の質量(重量)によるパーセンテージを示すことを意味する。
【0017】
ポリイソシアネートの量をWO2013/092375A1に記載されているように一定に保ちながらも、香油を封入するアミノプラストマイクロカプセルの壁の作製に必要なアミノプラスト樹脂の量を次のように劇的に低減できることが予想外にも見出され、すなわち、該カプセルの貯蔵安定性を維持するだけでなくこれを実際に大幅に向上させ、それと同時に嗅覚的性能を大幅に向上させ、すなわち、極めて穏やかな取り扱いの間および擦った後の乾燥した布地におけるより高い香料強度により示されるような該カプセルの崩壊し易さを大幅に向上させつつも、該アミノプラスト樹脂の量を劇的に低減できることが予想外にも見出された。本発明の他の予想外の利点とは、壁の作製に用いられるアミノプラスト樹脂の量を減少させた場合に、壁から消費者製品へと放出される遊離ホルムアルデヒドの量が、壁内のアミノプラスト樹脂の減少率の何倍も減少することである。
【0018】
従って、本発明の第一の目的は、以下:
1)香油と、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとを混合することにより、油相を形成するステップ;
2)アミノプラスト樹脂と任意に安定剤とを水に分散または溶解させることにより、水相を形成するステップ;
3)前記水相に前記油相を添加することにより、水中油型分散物を形成するステップ、ここで、平均液滴サイズは1〜100μmに含まれるものとする;
4)硬化ステップを行うことにより、液体分散物の形態の少なくとも1つのマイクロカプセルを形成するステップ;および
5)任意に前記最終分散物を乾燥させることによって、少なくとも1つの乾燥したコア−シェル型マイクロカプセルを得るステップ;
を含む方法によって得ることができる1シェル系のアミノプラストコア−シェル型マイクロカプセルであって、
ここで、前記アミノプラスト樹脂が、前記分散物中の前記アミノプラスト樹脂と前記香油との質量比が0.001〜0.09に含まれる量で添加されている前記マイクロカプセルである。
【0019】
ここで、本技術分野におけるすべての教示に反して、ポリイソシアネートと組み合わせてアミノプラスト樹脂を極めて少量のみで使用することは、送達系の良好な安定性および嗅覚的性能の向上の達成にとって明らかに有益であることが予想外にも見出された。特に、アミノプラスト樹脂を、分散物中のアミノプラスト樹脂と香油との質量比が0.001〜0.09、好ましくは0.003〜0.06、最も好ましくは0.005〜0.04、最も好ましくは0.005〜0.009に含まれる量で添加する場合に、これらの特性の向上を示すカプセルが得られ得ることが見出された。
【0020】
明確にするために記すと、「1シェル系」または「1壁系」という用語とは、前述のマイクロカプセルが、異なる材料かまたは皮膜形成性ポリマーによって内部被覆された壁も外部被覆された壁も有しないことを意味する。いずれにせよ、本発明のカプセルは、ポリシロキサンおよび/またはPVP(ポリビニルピロリドン)、ならびにその共重合体を有しない。前述のマイクロカプセルは、その表面上に堆積された材料、例えばコロイド安定剤またはカチオン性ポリマーを有することができるが、これはいずれにせよ、他のポリマーまたは樹脂を構成要素とする連続相、皮膜、壁、コーティングを形成するのには不十分な量である。
【0021】
明確にするために記すと、「コア−シェル型マイクロカプセル」という表現または類似の表現は、本発明において、カプセルがミクロン範囲(例えば、約1〜100μmに含まれる平均直径)のサイズを有し、かつ、オリゴマーをベースとする外側の固体シェルまたは壁と、この外側のシェルによって囲まれた内部連続油相とを含む。つまり、例えばコアセルベートまたは押出物等の物体(すなわち、液滴を含む多孔質固相)は、本発明の一部ではない。本発明の一実施形態によれば、ステップ3)における液滴サイズに相当する前述のマイクロカプセルのサイズは、約5〜50μm、またはさらには約5〜25μmに含まれる。
【0022】
明確にするために記すと、「分散物」という表現は、本発明において、異なる組成の連続相中に粒子が分散している系を意味し、これには特に懸濁物またはエマルションが含まれる。
【0023】
「香油」は「香料」とも呼ばれ、これは本明細書においては、約20℃で液状である成分または組成物を意味する。上記実施形態のいずれか1つによれば、前述の香油(この香油中に少なくとも1種のポリイソシアネートがステップ1)において溶解される)は、単独の付香成分であっても成分の混合物であってもよい。「付香成分」とは、本明細書においては、心地よい効果を付与するための付香調合物または組成物において使用される化合物を意味する。換言すれば、付香成分であると考えられるべきこのような成分は、単に香りを有しているものとしてではなく、組成物の香りをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。本発明の目的のためには、悪臭対抗成分も「付香成分」の定義に包含される。
【0024】
香油中に存在する単数または複数の付香成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な記載は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者は、自身の一般知識に基づき、また用途および所望の感覚刺激性の効果に応じて、それらを選択することができる。一般的に言えば、これらの付香成分は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、含窒素複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物および精油といった様々な化学種に属し、また前述の付香成分は天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。こうした成分の多くは、いずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる著書Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA、若しくはその最新版に、または類似の性質の他の論文に、および香料分野における多数の特許文献に列挙されている。前述の成分は、様々な種類の付香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0025】
カプセル封入すべき単数または複数の付香成分を、香料産業において通常使用されている溶媒に溶解させることができる。従って、カプセルのコアは、純粋な付香成分であってもよいし、適切な疎水性溶媒中の付香成分の混合物であってもよい。溶媒は、好ましくはアルコールではない。このような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン系樹脂、Eastmanより入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチルおよびイソパラフィンである。好ましくは、香油は、20%未満、より好ましくは10%未満の溶媒を含み、ここで、これらのすべてのパーセンテージは香料の総質量に対して質量により定義される。最も好ましくは、香料は溶媒を実質的に含まない。
【0026】
本発明の特定の一実施形態によれば、香料は、自重の10%未満の第1級アルコール類、自重の15%未満の第2級アルコール類、および自重の20%未満の第3級アルコール類を含む。好ましくは、香料は、第1級アルコール類を全く含まず、かつ15%未満の第2級アルコール類および第3級アルコール類を含む。アルコール類のこうした限定された量は、香料と反応するイソシアネート官能基の量が低減するという利点を有する。
【0027】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、香油は、ステップ3)の後に得られる分散物の総質量に対して約10質量%〜60質量%、またはさらには20質量%〜45質量%に相当する。
【0028】
特定の一実施形態によれば、油相は、本質的に、香油と少なくとも1種のポリイソシアネートとからなる。
【0029】
ステップ1)において形成される油相は、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。
【0030】
前述のポリイソシアネートは、イソシアネート官能基を6つまで、または4つのみまで含むことができる。上記実施形態のいずれか1つによれば、前述のポリイソシアネートは、少なくとも3つのイソシアネート官能基を含む。官能基の数に応じて、ポリイソシアネートとアミノプラスト樹脂との最適な反応が達成され、ポリイソシアネート化合物1つ当たりのイソシアネート基の数が多いほど、より多くの架橋が生じる。
【0031】
その毒性の低さゆえ、低揮発性のポリイソシアネートが好ましい。
【0032】
少なくとも1種のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートであってもよいし、芳香族ポリイソシアネートであってもよいし、芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの双方の混合物であってもよい。ポリイソシアネートの混合物の場合には、該混合物の各構成要素は少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する。
【0033】
一実施形態によれば、少なくとも1種のポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0034】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語には、本明細書において、芳香族部分を含む如何なるポリイソシアネートも包含されることが意図される。好ましくは、これは、フェニル部分、トルイル部分、キシリル部分、ナフチル部分またはジフェニル部分を含み、より好ましくは、トルイル部分またはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレットおよびポリイソシアヌレートであり、より好ましくは、上記で挙げた特定の芳香族部分のうちの1つを含むものである。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)RCで市販)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)L75で市販)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学より商品名Takenate(登録商標)D−110Nで市販)である。最も好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0035】
他の実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。
【0036】
「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を全く含まないポリイソシアネートと定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学より入手可能)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)N100で市販)であり、これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0037】
他の実施形態によれば、前述の少なくとも1種のポリイソシアネートは、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態であり、ここで、これら双方ともに少なくとも2つまたは3つのイソシアネート官能基を含み、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、これは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。
【0038】
好ましい一実施形態において、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとは、80:20〜10:90、好ましくは75:25〜20:80、より好ましくは60:40〜20:80、さらにより好ましくは60:40〜30:70、最も好ましくは45:55〜30:70に含まれる各モル比で使用される。
【0039】
上記実施形態のいずれか1つによれば、少なくとも1種のポリイソシアネートは、好ましくは、分散物中の香油に対する該ポリイソシアネートの質量比が0.001〜0.1、好ましくは0.003〜0.06、最も好ましくは0.005〜0.04に含まれる量で添加される。
【0040】
ステップ2)において、水相の形成には、使用されるアミノプラスト樹脂は、カプセル封入される香油コアの量に対するカプセル壁の作製に使用される純粋な樹脂の比率が極めて低くなるような量で必要とされる。このようなアミノプラスト樹脂は、1種以上のアミンと1種以上のアルデヒドとの、好ましくはホルムアルデヒドとの重縮合の反応生成物である。適切なアミンの例としては、尿素、メラミンおよびその誘導体が挙げられる。好ましくは、アミノプラスト樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物および尿素−ホルムアルデヒド縮合物から選択され、最も好ましくはメラミン−ホルムアルデヒド縮合物から選択される。このようなメラミン−ホルムアルデヒド縮合物および尿素−ホルムアルデヒド縮合物はカプセル封入の当業者によく知られており、そのような縮合物を開示している入手可能な多数の文献に詳細に記載されている。このような縮合物の形成には、様々な材料および方法ステップが適している。アミノプラスト樹脂の形成に適した方法は、例えば、Dietrich K.,Bonatz E.,Nastke H.,Herma H.,Walter M.and Teige W.;Acta Polymerica 41(1990),pp.91−95、Bonatz E.,Dietrich K.,Herma,H.,Walter M.and Teige W.;Acta polymerica 40(1989),pp.683−690、Dietrich K.,Bonatz E.,Geistlinger H.,Herma H.,Nastke R.,Purz H.−J.,Schlawne M.and Teige W.;Acta Polymerica 40(1989),pp.325−331、Dietrich K.,Herma H.,Nastke R.,Bonatz E.and Teige W.;Acta Polymerica 40(1989),pp.243−251、Lee H.Y.,Lee S.J.,Cheong I.W.and Kim J.H.;J.Microencapsulation 19(2002),pp.559−569に詳細に記載されている。従って、このようなカプセル封入ポリマーについては本明細書では詳細な記載は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではない。
【0041】
純粋なアミノプラスト樹脂は、分散物中の該アミノプラスト樹脂と香油との質量比が0.001〜0.09、好ましくは0.003〜0.06、より好ましくは0.005〜0.04、最も好ましくは0.005〜0.009に含まれる量で添加される。
【0042】
水相は、任意に安定剤を含む。典型的には、分散物は少なくとも1種の安定剤を約0質量%〜5質量%含み、ここで、パーセンテージは、ステップ3)の後に得られる分散物の総質量に対して質量/質量ベースで表したものである。本発明のその他の態様において、分散物は少なくとも1種の安定剤を約0質量%〜2質量%含む。本発明のその他の態様において、分散物は少なくとも1種の安定剤を約0質量%〜1質量%含む。
【0043】
明確にするために記すと、本文脈において、「安定剤」という表現または類似の表現は当業者によって理解される通常の意味を意図したものであり、すなわち、例えばマイクロカプセルの例えば適用の際かまたはその調製の間にアグリゲーションまたはアグロメレーションを防ぐため、系を安定化することが可能であるかまたは系を安定化するために添加される化合物を意味する。前述の安定剤の使用は、当業者の標準的な知識である。
【0044】
本発明の目的のためには、前述の安定剤は、イオン性界面活性剤であっても非イオン性界面活性剤であってもコロイド安定剤であってもよい。そのような安定剤の正確な性質は、当業者によく知られている。非限定的な例として、以下の安定剤を挙げることができる:非イオン性ポリマー、例えばセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレンまたはポリプロピレンオキシドとの共重合体、アルキルアクリレートとN−ビニルピロリドンとの共重合体;イオン性ポリマー、例えばアクリルアミドとアクリル酸との共重合体(例えば、CibaからのAlcapsol(登録商標)144)、例えばアクリル酸とアクリルアミドとのモノマー混合物から製造される酸/アクリルアミド共重合体(その際、アクリル酸含分は30〜70%の範囲であるものとする)、酸アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、スルホネート基を有するアクリル系共重合体(例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム、およびビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体。
【0045】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、前述の安定剤はイオン性界面活性剤であり、例えばアクリルアミドとアクリル酸との共重合体である。
【0046】
ステップ3)は混合ステップであり、これは十分に知られており、当業者はこれを行う方法を知っている。しかし、特定の一実施形態によれば、前述のステップにおいて水相のpHを典型的には約4〜7、好ましくは4.5〜6に調整できることは言及に値する。
【0047】
ステップ4)において本発明のマイクロカプセルが形成される。そのようなステップを行うための手段もまた十分に知られており、かつ当業者はこれを行う方法を知っている。US4,353,809は、本発明において適用することができる方法を開示している。非限定的な例として、壁形成が完了するまで分散物を約60℃〜95℃に加温することにより、またはさらには加圧下に分散物を130℃まで加温することにより、硬化を行うことができる。ステップ4)は、得られた分散物を室温に冷却することにより完了される。ステップ4)の後に得られる生じた生成物は、「スラリー」とも呼ばれる液体分散物である。
【0048】
本発明の特定の一実施形態によれば、ステップ4)の終了時に、本発明のスラリーに若干のカチオン性ポリマーを添加することもできる。前述のカチオン性ポリマーは当業者に十分に知られており、例えばWO2008/098387、第5頁、第10行〜第30行に記載されている。
【0049】
好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、また好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有し得る。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験の下で米国薬局方において記載されているようにケルダール法により測定可能である。
【0050】
好ましいカチオン性ポリマーは、第1級、第2級、第3級および/または第4級アミノ基を含む単位を含むものから選択され、ここで、このアミノ基は、ポリマー主鎖の一部を形成することもできるし、これらに直接結合した側鎖置換基により担持されることもできる。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000〜2Mダルトンであり、より好ましくは50,000〜1.5Mダルトンである。具体例としては、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性共重合体、供給元:BASF)、またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC550、もしくはSupreme(ポリクオタニウム−11〜68、またはさらにはビニルピロリドンの四級化共重合体、供給元:BASF)、またはJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)が挙げられる。
【0051】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、約0質量%〜5質量%、またはさらには約0.1質量%〜2質量%に含まれる量のカチオン性ポリマーが添加され、ここで、パーセンテージは、ステップ4)の後に得られるスラリーの総質量に対して質量/質量ベースで表したものである。前述の添加されるカチオン性ポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに組み込まれる/マイクロカプセルシェル上に堆積されることは、明らかに当業者の当然とするところである。
【0052】
本発明の特定の一実施形態によれば、ステップ4)の終了時に、任意に、このスラリーに、室温への冷却の直前または後に、残留遊離アルデヒド、例えばホルムアルデヒドの捕捉剤であることが知られている化合物を添加することができる。このような化合物は当技術分野において十分に知られており、例えば、尿素、またはエチレン尿素であることができる。
【0053】
ステップ4)の終了時に得られる前述の水性スラリーを、付香成分として、特に例えば柔軟剤または液体石鹸といった水性ベースの用途で、直接使用することができる。従って、本発明の他の目的は、本発明のマイクロカプセルを含む水性スラリーであり、例えば該マイクロカプセルの製造方法から直接得られるスラリーである。前述のスラリーはさらに、いくつかの配合助剤、例えば安定剤、または粘度調整剤、またはさらには殺生物剤、または殺菌剤を含むことができる。
【0054】
また、任意のステップ5)において、上記の方法により得られるスラリーを、乾燥、例えば噴霧乾燥に供することができ、それにより、そのようなマイクロカプセル、すなわち粉末形態のマイクロカプセルが提供される。そのような乾燥を行うために当業者に知られているいかなる標準的な方法も適用可能であるものと理解される。特に、スラリーを、好ましくは高分子担体材料、例えばポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または変性デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナン、またはセルロース誘導体の存在下に噴霧乾燥して、それにより、粉末形態のマイクロカプセルが提供されてもよい。
【0055】
本発明のもう1つの目的は、以下:
− 香油を含むコア;
− ポリイソシアネートで架橋されたアミノプラスト樹脂を構成要素とするシェル;
を含み、かつ1〜100μmに含まれるサイズを有する前記1シェル系のアミノプラストコア−シェル型マイクロカプセルであって、前記カプセル中の前記アミノプラスト樹脂と前記香油との質量比が、0.001〜0.09、好ましくは0.003〜0.06、より好ましくは0.005〜0.04、最も好ましくは0.005〜0.009に含まれることを特徴とする、前記1シェル系のアミノプラストコア−シェル型マイクロカプセルである。
【0056】
本発明のもう1つの目的は、以下:
1)香油と、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとを混合することにより、油相を形成するステップ;
2)アミノプラスト樹脂と任意に安定剤とを水に分散または溶解させることにより、水相を形成するステップ;
3)前記油相と前記水相とを混合することにより、水中油型分散物を調製するステップ、ここで、平均液滴サイズは1〜100μmに含まれるものとする;
4)硬化ステップを行うことにより、液体分散物の形態のマイクロカプセルを形成するステップ;および
5)任意に、前記液体分散物を乾燥させることにより、乾燥したコア−シェル型マイクロカプセルを得るステップ;
を含むアミノプラストマイクロカプセルの製造方法において、
前記アミノプラスト樹脂を、前記分散物中の前記アミノプラスト樹脂と前記香油との質量比が0.001〜0.09に含まれる量で添加することを特徴とする前記方法からなる。
【0057】
本発明のもう1つの目的は、以下:
(i)上記で定義されるマイクロカプセル;
(ii)香料担体、付香補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分;および
(iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含有する、付香組成物である。
【0058】
香料担体として、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料において一般に使用される溶媒が挙げられる。香料において一般に使用される溶媒の性質および種類については、すべてのものを余すことなく詳細に説明できるものではない。しかし、非限定的な例として、例えばジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール、またはクエン酸エチルといった溶媒を挙げることができ、これらは最も一般的に使用されている。香料担体と香料ベースとの双方を含む組成物については、上述のもの以外の適した香料担体として、エタノール、水/エタノール混合物、イソパラフィン類、例えばIsopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)で知られているもの、またはグリコールエーテル類、およびグリコールエーテルエステル類、例えばDowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)で知られているものも挙げることができる。
【0059】
付香補助成分は、上記で定義されるマイクロカプセルではない。さらに、「付香補助成分」とは、本明細書では、心地よい効果を付与するための付香調合物または組成物において使用される化合物を意味する。換言すれば、付香補助成分であると考えられるべきこのような補助成分は、単に香りを有しているものとしてではなく、組成物の香りをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者には認識されるはずである。
【0060】
存在する付香補助成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な記載は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、当業者は、自身の一般知識に基づき、また用途および所望の感覚刺激性の効果に応じて、それらを選択することができる。一般的に言えば、これらの付香補助成分は、アルコール類、ラクトン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、含窒素複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物および精油といった様々な化学種に属し、また前述の付香補助成分は天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。こうした補助成分の多くは、いずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる著書Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA、若しくはその最新版に、または類似の性質の他の論文に、および香料分野における多数の特許文献に列挙されている。前述の成分は、様々な種類の付香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0061】
「香料補助剤」とは、本明細書では、例えば色、特定の光に対する耐久性、化学的安定性等といったさらなる付加的な有益性を付与しうる成分を意味する。付香ベースにおいて一般に使用される補助剤の性質および種類については、すべてのものを余すことなく詳細に説明できるものではないが、そのような成分は当業者に十分に知られていることを申し添えておかねばならない。
【0062】
好ましくは、本発明による付香組成物は、上記で定義されるマイクロカプセルを0.1〜30質量%含む。
【0063】
本発明のマイクロカプセルは、困難を伴う媒体、例えば界面活性剤をベースとする消費者製品において使用される際の香料漏出に関する安定性と、香り性能、すなわちカプセルを擦った後の強度との適正なバランスを有するという利点を示す。従って、本発明のさらなる目的は、界面活性剤に富む消費者製品における香料送達系としての上記で定義されるカプセルの使用である。漏出の低減によって、香り性能が向上する。それに加えて、かつ予想外にも、そのような消費者製品において使用される場合に、前述のカプセルは、制限された量の遊離ホルムアルデヒドの放出を示した。
【0064】
本発明は、以下のものを含有する香料入りの液体消費者製品にも関する:
a)該消費者製品の総質量に対して2〜65質量%の少なくとも1種の界面活性剤;
b)水および/または水混和性の親水性有機溶媒;および
c)上述のアミノプラストマイクロカプセル。
【0065】
典型的な水混和性の親水性有機溶媒としては、例えば非イオン性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(例えば、Witoc Chemical CorpによりUS3,169,930またはGB1455283に記載)、低分子量ポリエチレングリコール(例えば、HenkelによりUS4,929,380に記載)、グリコールエーテル、エタノールアミンベースの分子、または低分子量のアルコールまたはアミンが挙げられる。
【0066】
以下のものを含有する香料入りの粉末消費者製品も、本発明の一部である:
a)該消費者製品の総質量に対して2〜65質量%の少なくとも1種の界面活性剤;および
b)上記で定義される少なくとも1つのマイクロカプセル。
【0067】
本発明による香料入りの消費者製品は、以下の実施例に示されるように、その中で使用されるカプセルが、良好な安定性、すなわち香料漏出の低減と、良好な香り性能とを併せ持つという利点を示す。
【0068】
ステップ5)の後に得られるマイクロカプセル、またはステップ4)の後に得られるスラリーは、例えば、消費者製品中に0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、最も好ましくは0.1〜1質量%の量で組み込まれることができ、ここで、これらのパーセンテージは、該消費者製品の総質量に対して質量により定めたものである。当然のことながら、上述の濃度を、各製品における所望の嗅覚的効果に応じて適合させることができる。
【0069】
消費者製品は、ホームケア製品またはパーソナルケア製品(液体または粉末)の形態であってもよいし、水性ファインフレグランス製品の形態であってもよい。パーソナルケア製品の例としては、シャンプー、リーブオンタイプまたはリンスオフタイプのヘアコンディショナー、ボディウォッシュ、例えばシャワージェル、シャワーオイル、シャワームース、バスジェル、バスオイル、バスムース、衛生製品、ボディスプレーまたはヘアスプレー、化粧用調製物、ボディローション、脱臭剤または制汗剤、例えばロールオンタイプの脱臭剤または制汗剤が挙げられる。水性ファインフレグランス製品の例としては、香水、アフターシェーブローション、またはコロンが挙げられる。ホームケア製品の例としては、液体洗剤、汎用洗浄剤、布地用柔軟剤、または布地用リフレッシャー、アイロニングウォーター、粉末洗剤、乾燥機用シート、または洗剤若しくは布地用柔軟剤のモノドースタイプの液体ポッドが挙げられる。洗剤としては、本明細書においては、例えば、様々な表面を洗浄または清浄化するための、例えばテキスタイルまたは硬質表面(床、タイル、石床等)の処理用の洗剤組成物または洗浄製品といった製品が挙げられる。好ましくは、表面はテキスタイルである。
【0070】
消費者製品ベースの配合は、そのような製品に関連する多数の文献において見ることができる。これらの配合については本明細書では詳細な記載は保証されないが、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではない。このような消費者製品の配合の当業者は、自身の一般知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。特に、このような配合の例を、そのような製品に関連する特許および特許出願において、例えばWO2008/016684(第10頁〜第14頁)において、US2007/0202063(段落[0044]〜[0099])において、WO2007/062833(第26頁〜第44頁)において、WO2007/062733(第22頁〜第40頁)において、WO2005/054422(第4頁〜第9頁)において、EP1741775において、GB2432843において、GB2432850において、GB2432851において、またはGB2432852において見ることができる。
【0071】
所望の安定性は、例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性、両性イオン性および半極性非イオン性界面活性剤といった様々な種類の界面活性剤を、該消費者製品の総質量に対して65質量%まで、より好ましくは2〜50質量%の範囲の量で含む消費者製品において得られる。本発明の目的のために、界面活性剤は、好ましくは、消費者製品において一般的に使用されるものとして意図される。それらは当業者によく知られており、本明細書ではより詳細な記載は保証されない。このような界面活性剤の非網羅的な例には、アニオン性界面活性剤については、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、および脂肪酸塩が含まれ;非イオン性界面活性剤については、エトキシル化アルコール類、アルキルN−メチルグルカミド、およびアルキルポリグルコシドが含まれ;カチオン性界面活性剤については、第4級アンモニウム塩、例えばアルキルトリメチルアンモニウムの塩化物、またはアルキルトリメチルアンモニウムのメチル硫酸塩、ジ(タローオキシエチル)ジメチルアンモニウム、ジタロージメチルアンモニウムが含まれ;両性および双性イオン性界面活性剤については、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミンオキシドが含まれる。本発明の目的のために、界面活性剤には、好ましくは、カプセル封入プロセスにおいてエマルションの安定化に典型的に用いられる高分子安定化乳化剤、例えばアクリル系共重合体およびアラビアゴムが除かれることが意図される。
【0072】
本発明の好ましい一実施形態において、カプセルは香料入りの液体水性消費者製品中で安定であり、その結果、該カプセルがそのような製品中で貯蔵されている際に、該カプセルからの初期香料負荷の漏出は、60%未満、好ましくは40%未満である。こうした安定性が好ましく達成される貯蔵の時間および温度は、消費者製品の種類に依存する。好ましくは、例えば液体洗剤および布地用柔軟剤といった製品については、37℃または43℃で4週間貯蔵した後にこうした安定性の結果が達成される。
【0073】
ここで、本発明を実施例によりさらに説明する。特許請求の範囲に記載される本発明は、決してこれらの実施例による限定が意図されているわけではないことが理解されるであろう。
【0074】
実施例
以下の実施例は、本発明の実施形態の例示であって、本発明を限定するものと考えられるべきではなく、さらに先行技術の教示に対する本発明のカプセルの利点を実証するものである。
【0075】
実施例1
WO2013/092375A1による対照アミノプラストマイクロカプセルの調製
WO2013/092375A1による対照アミノプラストマイクロカプセル(カプセルA&B)を、以下の成分を用いて調製した:
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
油相を、ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Takenate(登録商標)D−110N、供給元:三井化学)と、第2表に列挙された成分を含む香油とを混合することによって調製した。この油相は、Takenate(登録商標)D−110N 2%と香油98%とからなっていた。好ましいことに、Takenate(登録商標)D−110Nのような少なくとも1種のポリイソシアネートを、0.1%〜10%、好ましくは0.5%〜5%に含まれる量で添加した。カプセル化を行い、かつTakenate D−110Nを使用してメラミン−ホルムアルデヒド壁を架橋させた後に、香油中の未反応のポリイソシアネートの残留レベルは極めて低かった。そのため、カプセルの内部コアは香油のみを構成要素としていた。参照カプセルAはWO2013/092375A1の実施例1の再現である。これに対して、参照カプセルBはカプセルAの最適化物であり、その際、カプセルA中のものに代えて2種のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の混合物を使用し、この新たな第2のより疎水性の高いメラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるCymel 9370は、界面活性剤に富む製品中での貯蔵時にカプセルの若干より高い安定性をもたらすことが示された。
【0078】
カプセルスラリーを製造するために、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を水に溶解させて、水相を形成させた。次に、この溶液に予備混合香油を添加し、酢酸でpHを5に調整した。カプセルの硬化を可能にするために、温度を2時間にわたって90℃に上げた。この時点でカプセルが形成され、これを架橋し、これは安定であった。その後、この混合物に、水中の3%のSalcare(登録商標)SC60(Cibaからの商標)の溶液を90℃で添加し、90℃で1時間反応させた。その後、エチレン尿素(水中で50質量%)の溶液を通常通りに添加した。これを、残留遊離ホルムアルデヒドを捕捉するための薬剤としてのアミノプラストカプセルを用いて行った。最終スラリーは、該スラリーの質量に対して約3質量(w/w)%のエチレン尿素を含んでおり、この混合物を室温まで放冷した。水酸化ナトリウムを用いて最終pHを7に調整した。
【0079】
実施例2
本発明によるアミノプラストマイクロカプセルの調製
カプセルC〜Lを、WO2013/092375A1に基づく対照例(実施例1)と比較して、香油の量に対する、カプセル壁の作製に使用する純粋なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率を有意に低くして、実施例1に記載のプロトコールに従って調製した。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例3
本発明のカプセルの平均直径
対照カプセルAおよびB、並びにカプセルC〜Lのサイズ分布を、光学顕微鏡法および光散乱(Mastersizer S、Malvern)により制御し、カプセルの種類ごとに平均直径を算出(算術平均)した。結果を第4表にまとめた。
【0082】
【表4】
【0083】
実施例4
本発明による布地用柔軟剤
第5表に列挙した成分を示した量で混合することにより、香料入りでない布地用濃縮柔軟剤ベースを調製した。パーセンテージは、この香料入りでない布地用柔軟剤ベースの総質量に対して質量により定めたものである。
【0084】
【表5】
【0085】
柔軟剤C〜Lを、該柔軟剤の総質量に対して0.45質量%のカプセルC〜Lを穏やかな振盪下に第5表の香料入りでない柔軟剤ベースに添加することにより調製した。
【0086】
対照カプセルAおよびBを含む布地用柔軟剤の調製:
対照柔軟剤AおよびBを、該柔軟剤の総質量に対して0.45質量%の対照カプセルAおよびBを穏やかな振盪下に第5表の香料入りでない柔軟剤ベースに添加することにより調製した。
【0087】
布地用柔軟剤中でのアミノプラストマイクロカプセルの安定性
対照柔軟剤A&B中および柔軟剤C〜L中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。これらの柔軟剤を、37℃または43℃で最長で1カ月間貯蔵した。その後、これらのカプセルから漏出した香料の量を、溶媒抽出およびGC−MS分析により測定した。結果を第6表にまとめた。
【0088】
【表6】
【0089】
図1および
図2に示したこれらの結果から、本発明のカプセルC〜Jの各々が、WO2013/092375に記載の対応する対照カプセルAおよびBよりも柔軟剤ベース中でより安定であったことが明らかである。これは、貯蔵期間後にこれらのカプセルから漏出した香料がより少なかったためである。このことは、一定の香料の負荷において、メラミン−ホルムアルデヒド壁を架橋すべく香油中に疎水性ポリイソシアネートを添加したため、カプセル壁の作製に必要なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のレベルが、以前に当技術分野において記載されているものに比べてはるかに低いことを示している。このメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の量の減少は、柔軟剤中でのカプセルの貯蔵安定性に悪影響を与えないばかりでなく、予想外にも対照カプセルに対する貯蔵安定性の大幅な向上をもたらし、このことは、比較的多量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を用いた場合よりも比較的少量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂で、カプセル壁の予想外のより良好な/より効率的な架橋が生じることを示唆している。香油の量に対する純粋なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率は参照カプセルAおよびBにおいて0.109であるのに対して、これを0.002〜0.06、好ましくは0.005〜0.05に低下させた場合に最良の結果が達成された。
【0090】
カプセルK&Lの安定性はさらに次のことを示しており、すなわち、アミノプラストを減少させると同時に、乳化剤として使用されるアクリルアミドとアクリル酸との共重合体の量、および使用されるカチオン性ポリマーの量も減少させた場合であっても、このことはカプセルの安定性に対してほとんど悪影響を及ぼさないことを示している。カプセルK&Lのいずれも対照カプセルA&Bよりも有意に安定であり、実際には、アミノプラストの使用量を減少させただけの対応するカプセルD&Eと極めて類似した安定性を示す。従って、この後者の減少は、観察された安定化における重要な要因である。
【0091】
本発明の布地用柔軟剤におけるアミノプラストマイクロカプセルの嗅覚的性能
対照カプセルAおよびB、並びにカプセルC〜Lの嗅覚的性能を、新鮮な状態と、37℃または43℃で最長で4週間貯蔵した後との双方で、対照柔軟剤AおよびB、並びに柔軟剤C〜Lにおいて評価した。
【0092】
コットンテリータオル(20枚、それぞれ18cm×18cm、約30g)を、洗濯機(Miele Novotronic W300−33CH)中で40℃でショートサイクルプログラムを使用して、香料入りでない洗剤(標準粉末)30gを用いて洗浄した。この洗浄の後に、柔軟剤C〜Lまたは対照柔軟剤AおよびB 12.7gを用いて900rpmですすいだ。その後、これらのテリータオルを、評価前に24時間吊り干しした。
【0093】
柔軟剤C〜L、並びに対照柔軟剤AおよびBで処理した乾いたタオル上での香料の知覚の強度を、訓練を受けた20名のパネリストのパネルによって評価した。彼らに、最初に極めて穏やかに取扱い(これらのタオルをつまみ上げて彼らの鼻にもっていき、香りを嗅ぐ)、次いで第二の段階において彼らの手の中でタオルを擦った後に、これらのタオルを評価するように依頼した。どちらの段階においても、彼らに香料の知覚の強度を1〜10の範囲のスケールで評価するように依頼した。その際、1は無香であることを意味し、10は香りが極めて強いことを意味する。結果を以下の表にまとめた。
【0094】
【表7】
【0095】
図3〜
図5に示すこれらの結果から次のことが明らかであり、すなわち、清潔なタオルにおいて、カプセル壁を作製するためのアミノプラスト樹脂を比較的少量使用することによって、香油に対する純粋なアミノプラスト樹脂の比率が0.006を上回る場合(カプセルC〜H)に、擦る前および擦った後のいずれにも、参照カプセルAおよびBに対して布地上でのカプセルの嗅覚的性能が有意により高くなることが明らかである。使用されるアミノプラスト樹脂が極めて少量である場合(香油に対する純粋なアミノプラスト樹脂の比率が0.001〜0.006である、カプセルI&J)には、これらのカプセルは、擦る前には2つの参照カプセルAおよびBよりも性能が高いが、擦った後は性能が劣る。これらの結果は、満足のいく嗅覚的影響力を達成するためには、アミノプラスト樹脂(極めて低い濃度にもかかわらず)とポリイソシアネートとの双方の組み合わせが必要であることを示している。
【0096】
対照柔軟剤A&Bと比較して、貯蔵後の結果は、新鮮な状態に対して得られる結果と一致している。本発明のカプセルは、香油コアに対する純粋なアミノプラスト樹脂の比率が0.006を上回る場合(カプセルC〜H)に、擦る前と擦った後のいずれにおいても、参照カプセルAおよびBよりも優れている。使用されるアミノプラスト樹脂が極めて少量である場合(香油コアに対する純粋なアミノプラスト樹脂の比率が0.001〜0.006である、カプセルI&J)には、これらのカプセルは、擦る前には2つの参照カプセルAおよびBよりもより性能が高いが、擦った後は性能が劣る。このことは、一定の香料の負荷において、メラミン−ホルムアルデヒド壁を架橋すべく香油中に疎水性ポリイソシアネートを添加したため、カプセル壁の作製に必要なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のレベルが、以前に当技術分野において記載されているものに比べてはるかに低いことを示している。このメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の量の減少は、柔軟剤中でのカプセルの貯蔵安定性に悪影響を与えないばかりでなく、予想外にも対照カプセルに対する貯蔵安定性の大幅な向上をもたらし、このことは、比較的多量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を用いた場合よりも比較的少量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂で、カプセル壁の予想外のより良好な/より効率的な架橋が生じることを示唆している。カプセルコア(香油)の量に対する純粋なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率が対照カプセルAおよびBにおいて0.109であるのに対して、これを0.002〜0.06、好ましくは0.005〜0.05に低下させた場合に最良の結果が達成される。
【0097】
アミノプラスト樹脂を減少させ、かつポリアクリレート乳化剤を減少させ、かつカチオン性ポリマーを減少させたカプセルK&Lも、対照カプセルA&Bよりも優れており、かつ、対照カプセルA&Bに対してアミノプラストカプセルを減少させただけの対応するカプセルD&Eに極めて類似した性能を示しており、このことは、アミノプラスト樹脂の減少が、この予想外の向上にとっての決め手となる要因として重要であることを明確に強調している。43℃で4週間貯蔵した後にも、同様のパターンが観察される。
【0098】
実施例8
アミノプラストマイクロカプセルを添加した後の、本発明の布地用柔軟剤において検出可能な遊離ホルムアルデヒド
対照柔軟剤Bおよび柔軟剤C〜Eにカプセル1%を添加した後に、これらの布地用柔軟剤の製品において検出可能な遊離ホルムアルデヒドの濃度を評価した。これらの柔軟剤を、37℃または43℃で最長で2カ月間貯蔵した。その後、カプセルから布地用柔軟剤マトリックス中に放出される検出可能な遊離ホルムアルデヒドの量を、誘導体化およびHPLC−MS分析(約1ppmの遊離ホルムアルデヒドの検出閾値を有する方法)により測定した。結果を第8表にまとめた。
【0099】
【表8】
【0100】
予想通り、カプセル壁の作製に使用されるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の量を減少させることによって、貯蔵時に布地用柔軟剤マトリックス中に放出される検出可能な遊離ホルムアルデヒドの量も減少する。しかし予想外にも、布地用柔軟剤において検出可能な遊離ホルムアルデヒドの減少は、カプセル壁の作製に使用されるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の減少よりもはるかに顕著である。
【0101】
実施例9
カプセルを含む濃縮液体洗剤の調製
洗剤C、D、EおよびGを、該洗剤の総質量に対して0.6質量%のカプセルC、D、EおよびGを市販の濃縮液体洗剤ベースPersil(登録商標)3X Small and Mighty(英国Unileverの商標)に添加することにより調製した。このベース(pH 〜8)は、非イオン性界面活性剤(例えば、アルコールエトキシレート)、およびアニオン性界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびアルキルエーテル硫酸ナトリウム)5%〜15%を含み、かつ脂肪酸石鹸5%未満をも含む。
【0102】
対照カプセルBを含有する濃縮液体洗剤の調製
対照洗剤Bを、該洗剤の総質量に対して0.60質量%の対照カプセルBを市販の濃縮液体洗剤Persil(登録商標)Small and Mighty(英国Unileverの商標)に添加することにより調製した。
【0103】
本発明の濃縮液体洗剤におけるアミノプラストマイクロカプセルの嗅覚的性能
その後、カプセルC、D、EおよびG、並びに対照カプセルBの嗅覚的性能を、洗剤C、D、EおよびG、並びに対照洗剤Bにおいて評価した。
【0104】
布地(コットンテリータオル2kg)を標準的な欧州の水平軸型機械中で40℃で洗浄した。この洗浄の開始時に、これらの布地の入ったドラム内に配置された小さな計量供給カップで、新たに調製した洗剤35gを計量分配した。この洗浄の後に布地を吊り干しし、1日間乾燥させた後に、これらのコットンタオルの香りの強度を、訓練を受けた20名のパネリストのパネルによって評価した。これらのパネリストに、最初に擦る前にこれらのタオルの香りの強度を1〜7のスケールで評価し、その後、これらの布地を手で穏やかに擦った後に1〜7のスケールで評価するように依頼した。その際、1は無香に相当し、7は香りが極めて強いことに相当する。結果を第9表に示す。
【0105】
【表9】
【0106】
カプセル壁の作製に使用するアミノプラスト樹脂を比較的少量にすることによって、香油に対する純粋なアミノプラスト樹脂の比率が0.014を上回る場合(カプセルC、D、EおよびG)に、擦る前と擦った後のいずれにおいても、布地上でのカプセルの嗅覚的性能が対照カプセルBに対して有意に高くなることが明らかである。
【0107】
本発明の濃縮液体洗剤中でのアミノプラストマイクロカプセルの安定性
洗剤C、D、EおよびG中、並びに対照洗剤B中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。これらのカプセルを含む洗剤を37℃で最長で4週間貯蔵し、これらのカプセルから漏出した香料の量を、溶媒抽出およびGC−MS分析により測定した。結果を以下の表にまとめた。
【0108】
【表10】
【0109】
これらの結果から、本発明のカプセルC、D、EおよびGの各々が、WO2013/092375に記載の対応する対照カプセルBよりも濃縮液体洗剤ベース中でより安定であることが明らかである。これは、貯蔵期間後にこれらのカプセルから漏出した香料がより少なかったためである。このことは、一定の香料の負荷において、メラミン−ホルムアルデヒド壁を架橋すべく香油中に疎水性ポリイソシアネートを添加したため、カプセル壁の作製に必要なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のレベルが、以前に当技術分野において記載されているものに比べてはるかに低いことを示している。このメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の量の減少は、濃縮液体洗剤中でのカプセルの貯蔵安定性に悪影響を与えないばかりでなく、予想外にも対照カプセルBに対する貯蔵安定性の大幅な向上をもたらし、このことは、比較的多量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を用いた場合よりも比較的少量のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂で、カプセル壁の予想外のより良好な/より効率的な架橋が生じることを示唆している。香油の量に対する純粋なメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の比率は対照カプセルBにおいて0.109であるのに対して、これを0.01〜0.06に低下させた場合に最良の結果が達成される。