特許第6590821号(P6590821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6590821ノイズシェーピングを用いた充電器ノイズ低減のためのタッチスクリーンコントローラおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590821
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ノイズシェーピングを用いた充電器ノイズ低減のためのタッチスクリーンコントローラおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20191007BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/041 510
   G06F3/044 120
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-552284(P2016-552284)
(86)(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公表番号】特表2017-510885(P2017-510885A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015016070
(87)【国際公開番号】WO2015123648
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】14/180,404
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】バブー ヴィクルハムシン ゴウレスンカー
(72)【発明者】
【氏名】ランガ セシュ パラドゥグ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー リー ドーレンボス
【審査官】 木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−243058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/03−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンをホストシステムとインターフェースするためのコントローラであって、
つまたは複数の励磁信号を接続されたタッチスクリーンに選択的に提供するようにスキャンモードで作用し得る駆動回路
前記接続されたタッチスクリーンから複数の入力信号を受信するように前記スキャンモードで作用し得る感知回路
前記感知回路により受信されるサンプルされた入力信号に従ってデジタルサンプルを提供するようにサンプリング周波数で動作するアナログ‐デジタルコンバータ
遮断周波数により規定される通過帯域を備えるデジタルローパスフィルタであって、前記デジタルサンプルをフィルタして、前記タッチスクリーンのつまたは複数の部分のユーザ操作を検出するためフィルタされたデジタルサンプルを提供するように作用し得る、前記デジタルローパスフィルタ
パネルスキャン周波数でデジタルサンプルの一連のセットをシーケンシャルに取得するようにパネルスキャンニングを実装するために、前記駆動回路前記感知回路の動作を制御するように構成されるパネルスキャンコントローラであって、前記デジタルサンプルのセットの個々が前記タッチスクリーンの複数の位置に対応する、前記パネルスキャンコントローラ
前記アナログ‐デジタルコンバータからの前記デジタルサンプルに対応する第1の統計のセットと、前記デジタルローパスフィルタからの前記フィルタされたデジタルサンプルに対応する第2の統計のセットとを計算するように構成されるノイズトラッカー
前記第1及び第2の統計のセットが前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、前記アナログ‐デジタルコンバータの前記サンプリング周波数前記パネルスキャンコントローラの前記パネルスキャン周波数の少なくともつを選択的に調整するように構成されるノイズシェーパ
を含む、コントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
複数のパネルスキャンについて前記タッチスクリーンの個々のノードの前記第1及び第2の統計のセットの値を計算
前記第1の統計のセットの値を第1の閾値と比較
前記第2の統計のセットの値を第2の閾値と比較
前記タッチスクリーンの前記個々のノードの所与のノードについて、前記第1の統計のセットの対応する値が前記第1の閾値より大きく、前記第2の統計のセットの対応する値が前記第2の閾値より大きい場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを選択的に調整させる
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項3】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
前記複数のパネルスキャンについて、前記タッチスクリーンの個々のノードのためのノード値の標準偏差値として、前記第1及び第2の統計のセットを計算
前記第1の統計のセットの標準偏差値を第1の閾値と比較
前記第2の統計のセットの標準偏差値を第2の閾値と比較
前記タッチスクリーンの前記個々のノードの所与のノードについて、前記第1の統計のセットの前記対応する標準偏差値が前記第1の閾値より大きく、前記第2の統計のセットの前記対応する標準偏差値が前記第2の閾値より大きい場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを選択的に調整させる
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項4】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記第1び第2の閾値が同一である、コントローラ。
【請求項5】
請求項4に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
前記第1及び第2の統計のセットの前記計算、それらと前記第1び第2の閾値とのそれぞれの前記比較を繰り返
前記閾値比較に基づいて、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整させることを選択的に繰り返
前記閾値比較の結果を変更することなしに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して所定数の値が試された場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整させることを中断する
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項6】
請求項5に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
前記閾値比較の結果を変更することなしに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して所定数の値が試され場合、前記第1び第2の閾値を選択的に調整
前記閾値比較の結果を変更することなしに異なる第1び第2の閾値に対して、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して所定数の値が試され場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整させることを中断する
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項7】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記第1び第2の閾値が個々に調整可能である、コントローラ。
【請求項8】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
前記第1及び第2の統計のセットの前記計算前記第1及び第2の統計のセットの前記第1び第2の閾値との前記それぞれの比較を繰り返
前記閾値比較に基づいて、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整させることを選択的に繰り返
前記閾値比較の結果を変更することなしに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して所定数の値が試され場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整させることを中断する
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載のコントローラであって、
前記コントローラが、前記閾値比較の結果を変更することなしに前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して前記所定数の値が試され場合、前記ホストシステムに通知するように構成される、コントローラ。
【請求項10】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、前記タッチスクリーンの前記個々のノードの所与のノードについて、前記第1の統計のセットの前記対応する値が前記第1の閾値より大きく、前記第2の統計のセットの前記対応する値が前記第2の閾値より大きい場合、前記ノイズシェーパに、前記アナログ‐デジタルコンバータの前記サンプリング周波数を選択的に調整させるように更に構成される、コントローラ。
【請求項11】
請求項2に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、前記タッチスクリーンの前記個々のノードの所与のノードについて、前記第1の統計のセットの前記対応する値が前記第1の閾値より大きく、前記第2の統計のセットの前記対応する値が前記第2の閾値より大きい場合、前記ノイズシェーパに、前記パネルスキャンコントローラの前記パネルスキャン周波数を選択的に調整させるように更に構成される、コントローラ。
【請求項12】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが前記第1及び第2の統計のセットの前記計算を繰り返すように更に構成され、
前記ノイズシェーパが、前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在の前記統計により示されるものを変更することなしに前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して所定数の値が試され場合、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを調整することを中断するように更に構成される、コントローラ。
【請求項13】
請求項12に記載のコントローラであって、
前記コントローラが、前記閾値比較の結果を変更することなしに前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつに対して前記所定数の値が試され場合、前記ホストシステムに通知するように構成される、コントローラ。
【請求項14】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、前記複数パネルスキャンについて前記タッチスクリーンの個々のノードのノード値の標準偏差値として、前記第1及び第2の統計のセットを計算するように更に構成され、
前記ノイズシェーパが、前記第1及び第2の統計のセットが前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを選択的に調整するように更に構成される、コントローラ。
【請求項15】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、前記第1及び第2の統計のセットが前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、前記ノイズシェーパに、前記アナログ‐デジタルコンバータの前記サンプリング周波数を選択的に調整させるように更に構成される、コントローラ。
【請求項16】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、前記第1及び第2の統計のセットが前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、前記ノイズシェーパに、前記パネルスキャンコントローラの前記パネルスキャン周波数を選択的に調整させるように更に構成される、コントローラ。
【請求項17】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記ノイズトラッカーが、
単一のパネルスキャンについて、前記タッチスクリーンの複数のノードに対応する前記第1の統計のセットの第1の空間的統計を計算
前記単一のパネルスキャンについて、前記タッチスクリーンの前記複数のノードに対応する前記第2の統計のセットの第2の空間的統計を計算
前記第1の空間的統計を第1の閾値と比較
前記第2の空間的統計を第2の閾値と比較
前記タッチスクリーンの所与のパネルスキャンについて、前記第1の空間的統計が前記第1の閾値より大きく、前記第2の空間的統計が前記第2の閾値より大きい場合、前記ノイズシェーパに、前記サンプリング周波数前記パネルスキャン周波数の前記少なくともつを選択的に調整させる
ように更に構成される、コントローラ。
【請求項18】
タッチスクリーンコントローラであって、
接続されたタッチスクリーンに励磁信号を提供、前記接続されたタッチスクリーンから入力信号を受信するように作用し得るアナログ回路と、
前記アナログ回路により受信される入力信号をサンプリングするアナログ‐デジタルコンバータと、
前記アナログ‐デジタルコンバータからのデジタルサンプルをフィルタリングするデジタルローパスフィルタと、
デジタル処理回路であって、高周波数ノイズが前記デジタルローパスフィルタの通過帯域にエイリアスされるかどうかを検出する手段、前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域への前記高周波数ノイズの検出されるエイリアシングの低減を促進するために、前記アナログ‐デジタルコンバータのサンプリング周波数と前記タッチスクリーンコントローラのパネルスキャン周波数との一方または両方を選択的に調整する手段を含む、前記デジタル処理回路と、
を含む、タッチスクリーンコントローラ。
【請求項19】
タッチスクリーンコントローラにおける高周波数ノイズのエイリアシングを軽減する方法であって、
サンプリング周波数で動作するアナログ‐デジタルコンバータを用いて、パネルスキャン周波数で、接続されたタッチスクリーンから、入力信号のデジタルサンプルの一連のセットをシーケンシャルに取得すること
遮断周波数により規定される通過帯域を備えるデジタルローパスフィルタを用いて、前記デジタルサンプルをフィルタリングすること
前記アナログ‐デジタルコンバータからの前記デジタルサンプルに対応する第1の統計のセットを計算すること
前記デジタルローパスフィルタからの前記フィルタされたデジタルサンプルに対応する第2の統計のセットを計算すること
前記第1及び第2の統計のセットが前記デジタルローパスフィルタの前記通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、前記サンプリング周波数および/または前記パネルスキャン周波数を選択的に調整すること
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記第1の統計のセットを第1の閾値と比較すること
前記第2の統計のセットを第2の閾値と比較すること
前記タッチスクリーンの個々のノードの所与のノードについて、前記第1の統計のセットの対応する値が前記第1の閾値より大きく、前記第2の統計のセットの対応する値が前記第2の閾値より大きい場合、前記サンプリング周波数および/または前記パネルスキャン周波数を選択的に調整すること
更に含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、タッチスクリーンデバイスに関し、特に、タッチスクリーンデバイスをホストシステムとインターフェースさせるためにタッチスクリーンコントローラを動作させる制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、スマートフォン、タブレット、ポータブルナビゲーションデバイス、ラップトップおよびデスクトップコンピュータ、ポータブル音楽プレーヤ、並びに、その他の一般的なユーザインターフェースおよび民生用電子デバイスなど、様々な用途で広く用いられており、タッチスクリーンにより、ユーザは、表示スクリーンを単にタッチすることにより、および、様々な方法で、プロンプトされた選択肢から直感的に選択すること、および、その他のユーザインターフェース動作を行うことが可能になる。静電容量タッチスクリーン、表面静電容量タッチスクリーン、投影静電容量タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、表面弾性波タッチスクリーン、およびその他のものを含め、種々のタッチスクリーン技術が開発されている。タッチスクリーンコントローラは、タッチスクリーンデバイスと、タッチスクリーン対応のタブレットコンピュータのマイクロプロセッサなどのホストシステムとをインターフェースし、また、ユーザによる表示スクリーン上の様々な位置の操作またはタッチを検出するように動作され得る。タッチスクリーンデバイスは、典型的に、行および列のアレイとして構成され、コントローラが、パネルスキャンニング動作において、タッチスクリーンデバイスの列接続を感知する一方で、励磁信号を行接続に提供することにより、ユーザによるタッチが検出される。バッテリ駆動のポータブルユーザデバイスにおけるその他の回路要素と同様に、タッチスクリーンコントローラ性能およびタッチスクリーンパネルのスキャンニングは、バッテリ充電器に接続されるときに特に、充電器が、タッチスクリーンデバイスにノイズを結合し得る場合にノイズにより影響され得、これにより、ユーザによるタッチ操作を検出する機能が影響を受ける。タッチ信号の周波数は、約10Hzまたはそれ以下など、典型的にDCに近接しており、理論的には、ローパスフィルタリングにより一層高い周波数充電器ノイズから分離され得る。しかし、こうした分離は、アナログ‐デジタル変換サンプリングレートおよびパネルスキャンレートに関与するマルチレートサンプリング手順におけるエイリアシングにより、実際には困難である。典型的な構成において、タッチスクリーンコントローラは、比較的高いサンプリング周波数で動作する一つまたは複数のアナログ‐デジタルコンバータを含み、パネルスキャン動作は、より低い周波数で行われる。実際には、充電器動作と関連したノイズがローパスフィルタの通過帯域にエイリアスされる状況が生じると、エイリアスされたノイズを、ユーザによるタッチ発生と区別することが困難になる。
概要
説明される実施例において、充電器ノイズおよびその他の高周波数ノイズが、エイリアシングがある状態でタッチスクリーンから除去される。デジタルローパスフィルタが、高周波数ノイズを除去する。ノイズトラッカーが、ノイズがローパスフィルタ通過帯域にエイリアスされているかどうかを判定する。ノイズシェーパが、アナログ‐デジタルコンバータサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を調整して、エイリアスされたノイズをローパスフィルタ通過帯域外に移動させようと試みることにより、エイリアシングを人為的に誘導または修正する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】例示的な実施形態の一つまたは複数の態様に従って、デジタルローパスフィルタ通過帯域から充電器ノイズを除去するため、実装されたノイズトラッキングおよびノイズシェーピングを備える、タッチスクリーンデバイスをホストプロセッサにインターフェースする例示的なコントローラの概略系統図である。
【0004】
図2】例示的な実施形態の別の態様に従って、タッチスクリーンコントローラにおいて高周波数でエイリアスされたノイズをノイズシェーピングするための例示的な方法のフローチャートである。
【0005】
図3】ユーザによるタッチがなく、ノイズがある状態での、デジタルローパスフィルタの前および後の、図1におけるタッチスクリーンのノード静電容量値についての1組の標準偏差のグラフである。
【0006】
図4】高周波数バッテリ充電器ノイズが、ローパスフィルタ通過帯域にエイリアスされ、および、閾値レベルを超える第3の列において、ノイズおよびユーザによるタッチがある状態での、デジタルローパスフィルタの前および後の、図1におけるタッチスクリーンのノード静電容量値についての1組の標準偏差のグラフである。
【0007】
図5】ノイズエイリアシングを修正するためのパネルスキャン周波数の調整後、第3の列においてノイズおよびユーザによるタッチがある状態での、図1におけるタッチスクリーンのノード静電容量値についての、1組のフィルタ前およびフィルタ後の標準偏差のグラフである。
【0008】
図6】ローパスフィルタ後の標準偏差値を閾値より低くし、デジタルローパスフィルタの通過帯域外に充電器ノイズを適切に自動的に移動させることを示す、図1のタッチスクリーンコントローラによるパネルスキャン周波数の更なる調整の後の、1組のフィルタ前およびフィルタ後の標準偏差のグラフである。
【0009】
図7】エイリアスされた充電器ノイズをローパスフィルタ通過帯域外に移動させるように、図1におけるノイズシェーパによる、ローパスフィルタ通過帯域内での初期の高周波数充電器ノイズエイリアシングと、その後のノイズシフトを示す、1組の周波数スペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明される実施例において、充電器ノイズおよびその他の高周波数ノイズが、ローパスフィルタの通過帯域へのノイズのエイリアシングを軽減するように選択的にシェーピングされ、これにより、ユーザによるタッチ発生を識別する能力が向上される。デジタル処理回路要素が、ノイズがデジタルローパスフィルタ通過帯域にエイリアスされているかどうかを判定し、ローパスフィルタ通過帯域からの、エイリアスされたノイズの除去を促進するように、アナログ‐デジタルコンバータサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を調整することによりエイリアシングが修正される。このように、現在のサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数が、ローパスフィルタの、充電器ノイズおよびその他の高周波数ノイズを効果的に除去する能力を妨げる場合、コントローラは、チャージしながらユーザデバイス動作を促進するように、スキャンニング動作を自動的に再構成し得る。
【0011】
少なくとも一つの実施例において、タッチスクリーンコントローラが、コントローラ感知回路要素により受信される入力信号に従ってデジタルサンプルを提供するようにサンプリング周波数で動作するアナログ‐デジタルコンバータと、デジタルサンプルをフィルタリングするように、および、タッチスクリーンの一つまたは複数の部分のユーザ操作を検出するため、フィルタされたデジタルサンプルを提供するように動作するデジタルローパスフィルタとを含む。コントローラはさらにノイズトラッカーを含み、ノイズトラッカーは、アナログ‐デジタルコンバータにより出力されるデジタルサンプルに対応する統計の第1のセット、および、デジタルローパスフィルタからのフィルタされたデジタルサンプルに対応する統計の第2のセットを計算する。ノイズがデジタルローパスフィルタの通過帯域にエイリアスされることを統計が示す場合、コントローラのノイズシェーパが、アナログ‐デジタルコンバータサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を選択的に調整する。このように、コントローラが、選択的なノイズシェーピングを通じて、ローパスフィルタ通過帯域にエイリアスされる、検出された高周波数ノイズの低減を促進する。
【0012】
ローパスフィルタの前および後の統計は、様々な実施形態において、時間的または空間的にノイズトラッカーにより計算され得、標準偏差および平均値などの様々な形をとり得る。幾つかの実施形態において、ノイズトラッカーは、ローパスフィルタの前および後の両方で、複数のパネルスキャンについてタッチスクリーンの個々のノードの時間的な統計を計算する。ノイズトラッカーは、幾つかの実施形態において、統計の第1および第2のセットに対する閾値を用い、統計の第1のセットの要素が第1の閾値を超えるか、および、統計の第2のセットの要素が第2の閾値を超えるかを判定し、これらの閾値は、幾つかの実施形態において同一のものであり得、コントローラによって調整可能とされ得る。或る実装において、所与のタッチスクリーンノードについて、統計の第1のセットの対応する値が第1の閾値を超え、および、統計の第2のセットの対応する値が第2の閾値を超える場合、ノイズトラッカーは、ノイズシェーパに、サンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を選択的に調整させる。単一のパネルスキャンについて複数のタッチスクリーンノードに対応して、様々な実施形態におけるノイズトラッキングに空間的統計が用いられ得、統計の第1のセットおよび第2のセットが、デジタル値について計算され、および、それぞれ、ローパスフィルタの前および後の閾値と比較される。このように、ノイズトラッカーは、ローパスフィルタが高周波数ノイズを除去する際に有効でない状況を検出し得、ノイズシェーパによるノイズシェーピング調整を開始し得る。
【0013】
或る実装において、エイリアスされたノイズがローパスフィルタ通過帯域外に十分に移動されるまで、または、調整されたサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数のための所定数の値が試されたが不成功に終わるまで、プロセスは複数回繰り返され、不成功に終わる場合、コントローラがホストシステムに通知し得る。また、更なる実施形態において、コントローラは、調整プロセスの間、閾値の一方または両方を選択的に調整し得、閾値比較の結果を変更することなく、異なる閾値に対して所定数の周波数値が試された場合、サンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数のノイズシェーピング調整を中断し得る。
【0014】
タッチスクリーンコントローラにおける高周波数ノイズエイリアシングを軽減するための方法、および、例示的な実施形態の更なる態様に従って、こうした方法を行うためにコンピュータにより実行可能な命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。こういった方法は、アナログ‐デジタルコンバータを用いて、パネルスキャン周波数で、接続されたタッチスクリーンから入力信号の一連のデジタルサンプルセットをシーケンシャルに取得すること、および、デジタルローパスフィルタを用いてこうしたデジタルサンプルをフィルタリングすることを含む。方法はさらに、アナログ‐デジタルコンバータからのサンプルに対応する統計の第1のセットを計算すること、デジタルローパスフィルタからのフィルタされたデジタルサンプルに対応する統計の第2のセットを計算すること、および、統計の第1および第2のセットが、デジタルローパスフィルタの通過帯域へエイリアスされるノイズの存在を示す場合、サンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を選択的に調整することを含む。方法の或る実施形態は、統計の第1のセットおよび第2のセットを、対応する第1の閾値および第2の閾値と比較すること、および、所与のタッチスクリーンノードについて、統計の第1のセットの対応する値が第1の閾値より大きく、また、統計の第2のセットの対応する値が第2の閾値より大きい場合、サンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数を選択的に調整することを含む。
【0015】
例示的な実施形態の技法およびタッチスクリーン制御装置により、バッテリ充電器およびその他の高周波数ノイズ源によりもたらされる、エイリアスされたノイズの悪影響が、ローパスフィルタ通過帯域におけるエイリアスされたノイズの検出に応答して、タッチスクリーンコントローラにおいて実装される選択的なノイズシェーピングを通じて自動的に軽減され得る。例示的な実施形態のこういった様々な技法は、静電容量性タッチスクリーンを含むがこれに限定されない、任意のタイプのタッチスクリーンデバイスをホストシステムとインターフェースするためのコントローラに関連して用いられ得る。また、タッチスクリーンコントローラは、これらに限定されないが、消費者製品、産業用ユーザインターフェース、軍用機器、またはその他の用途において用いるための集積回路タッチスクリーンコントローラを含め、任意の適切な形態で実装され得る。
【0016】
図1は、タッチスクリーンデバイス4を備える例示的なシステム2を図示し、タッチスクリーンデバイス4は、ノードまたは空間サンプリングポイントまたは位置6のアレイを有し、ノードまたは空間サンプリングポイントまたは位置6は、ホストプロセッサ12とインターフェースするためにタッチスクリーンコントローラ10と電気的に結合するように、対応する電気的行接続8aおよび列接続8bを備える行および列で構成される。図示される実施例において、タッチスクリーンデバイス4は、10個の行および6個の列を備える静電容量性タッチスクリーンであり、デバイス4の表示スクリーンとの物理的相互作用により、ユーザにより成され得る単一または複数のタッチ動作の一つまたは複数のタイプを登録するために、60個のノード6から成るアレイがタッチスクリーンパネルを形成する。周知のように、タッチスクリーンデバイス4は、様々なビジュアルレンダリングをユーザに表示するように動作可能な表示部を含み得、タッチスクリーン4の一つまたは複数の部分のユーザ操作が、ドライバまたは励磁信号を行接続8aに提供すること、および、列接続8bからの対応する入力信号を感知することにより、選択的に検出され得る。静電容量性タッチスクリーンの例において、例えば、デバイス4は、透明な窓層と、誘電体材料により隔離されるインターリーブされた行および列を備えるタッチパネル層とを含み、LED、LCD、または、その他のタイプの表示パネルが、偏光層、タッチパネル層、および、窓層(図示せず)を介して観視され得るビジュアルイメージを描画する。タッチスクリーン4のこの形態において、透明な窓層とのユーザの物理的相互作用が、行接続8a上の励磁信号によりつくられる静電界を変化させ、コントローラ10は、ユーザがタッチスクリーン4を押している一つまたは複数の位置を評価するために、接続8bを介して入力信号を感知する。システム2は、ポータブルユーザデバイス(例えば、タッチスクリーン対応のラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)用などのバッテリ16により電力供給され得、電力インターフェース14が、バッテリ16からホストプロセッサ12およびコントローラ10に電力を提供し、あるいは、バッテリ16を充電するためおよび/またはホストプロセッサ12およびタッチスクリーンコントローラ10を動作させるために、外部ソースから充電器18を介して電力が提供されることを可能にする。しかし、前に述べた通り、システム2内またはその付近のバッテリ充電器18およびその他のソースは、高周波数ノイズをタッチスクリーンデバイス4に結合し得る。
【0017】
さらに図1に示すように、例示的なタッチスクリーンコントローラ10は、アナログ回路20またはアナログフロントエンドを含み、アナログ回路20またはアナログフロントエンドは、それぞれ、タッチスクリーンデバイス4の行および列との相互接続のために行駆動回路要素22および列感知回路要素24を含む。列感知回路要素24は、アナログ多重化を含み得、これにより、複数の感知された列ラインが、デジタル値またはサンプルへの最終的な変換のために、アナログ信号チェーンを介して提供され得る。図示される実施例において、列感知回路24は、アナログ信号出力をアナログフィルタ26(例えば、一例において、約250KHzの遮断周波数を備えるアンチエイリアシングローパスフィルタ)に提供し、その出力が、調整可能な感知増幅器回路28に提供される。増幅器出力は、アナログ‐デジタルコンバータ(ADC)30に入力として提供され、ADC30は、感知回路24により受信されたサンプリングされた入力信号に従ってデジタルサンプル32を提供するようにサンプリング周波数34(Fs)で動作する。行ドライバ22および列感知回路24の動作は、パネルスキャン周波数48(Fp)でデジタルサンプル32の一連のセットをシーケンシャルに取得するためにパネルスキャンニングを実装するようにパネルスキャンコントローラ46により制御され、個々のデジタルサンプルセットは、タッチスクリーン4上の複数の位置に対応する。
【0018】
デジタル処理回路36が、任意の適切なプログラムされたプロセッサや論理回路等であり得るアナログ‐デジタルコンバータ30からデジタルサンプル32を受信する。行ドライバ22および列感知回路要素24を動作させるためスキャンコントローラ46のパネルスキャン制御機能を実装するように、および、タッチスクリーンデバイス4へのユーザ入力がホスト12へ中継されることによってタッチスクリーン4をホストプロセッサ12とインターフェースするためのその他の機能を行うように、処理回路36がプログラムされるかまたは他の方式で構成される。また、幾つかの実施形態において、アナログフィルタ回路要素26における一つまたは複数のローパスフィルタ、感知増幅器28のプログラマブルゲインおよび/またはオフセット、並びに、アナログ‐デジタルコントローラ30のサンプリング周波数34の構成など、アナログ回路20の一つまたは複数の動作パラメータはプログラム可能であってよい。幾つかの実施形態におけるコントローラ10は、アイドルモードまたはスリープモード、パネルスキャンモード、および、パネルスキャンモードへの選択的な移行のためにタッチスクリーン列の自己容量の変化を評価するための低電力タッチ感知のためのモニタリングスキャンモードなど、ホストプロセッサ12の制御下で様々な異なるモードで動作可能である。デジタル処理回路要素36はさらに、DCから遮断周波数Fcまでの通過帯域を備えるデジタルローパスフィルタ38を実装し、これは、アナログ‐デジタルコンバータ30からのデジタルサンプル32をフィルタし、タッチスクリーン4の一つまたは複数の部分のユーザ操作を検出する際に用いるためのフィルタされたデジタルサンプル40を提供する。フィルタされたデジタルサンプル40は、ノード、パネルおよびI/O処理部42に提供され、ノード、パネルおよびI/O処理部42は、ホストプロセッサ12との適切な接続44を介したICまたはその他の適切な通信形態を実装する。
【0019】
また、例示的な実施形態の一つまたは複数の態様によれば、デジタル処理回路36は、高周波数ノイズがデジタルローパスフィルタ38の通過帯域にエイリアスされるかどうかを検出するように構成されるノイズトラッカー50と、アナログ‐デジタルコンバータ30のサンプリング周波数Fs34およびパネルスキャン回路要素46のパネルスキャン周波数Fp48の一方または両方を選択的に調整するように構成されるノイズシェーパ58とを含む。パネルスキャンは、タッチスクリーンデバイス4の複数のノードまたは空間感知位置6のサンプリングを指し、パネルスキャン周波数48は、パネルスキャン間の時間の逆数である。前に述べた通り、図示したアナログ回路20は、単一のアナログ‐デジタルコンバータ30を備える単一のアナログ信号チェーンを利用するために、アナログ多重化、または、列感知回路24のその他の適切な構成を提供し、それゆえ、パネルスキャン回路要素46は、接続8aにおいて行駆動回路22を介して個々の行を選択的に励起または駆動するように、および、列感知回路24および接続8bを介してタッチスクリーン列の特定のタッチスクリーン列を感知するように動作し、そのスキャンニングは、タッチスクリーン4上の特定の空間的位置のユーザ操作を検出するように、任意の適切なスキャンニングアルゴリズムにより成され得る。
【0020】
デジタルローパスフィルタ38の通過帯域への高周波数ノイズの検出されたエイリアシングの低減を促進するように、ノイズシェーパ58に、周波数34、48の一方または両方を選択的に調整させるために、図示される実施形態におけるノイズトラッカー50は、任意の適切な信号または値であり得るノイズフラグ52を提供する。この点で、ノイズトラッカー50の幾つかの実施形態は、アナログ‐デジタルコンバータ30からの元のデジタルサンプル32、および、デジタルローパスフィルタ38からのフィルタされたデジタルサンプル40に基づいて、様々な統計54(図1において、LPF前の統計の第1のセット54bおよびLPF後の統計の第2のセット54a)を計算する。計算された統計54が、デジタルローパスフィルタ38の通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、ノイズトラッカー50は、ノイズフラグ52をノイズシェーパ58に選択的に提供する。このように、充電器18またはその他の高周波数ノイズ源からのノイズが、デジタルローパスフィルタ38の遮断周波数Fcにより規定される通過帯域外にあっても、やはり、周波数Fpでのパネルスキャンニング、および、アナログ‐デジタルコンバータ30のサンプリング周波数Fsでの一層高いレートのサンプリングの動作により通過帯域にエイリアスされる特定の状況に、コントローラ10は選択的に応答する。この点で、サンプリング周波数Fsは典型的にパネルスキャン周波数Fpよりもはるかに高く、周波数FsおよびFpは、デジタルローパスフィルタ38の遮断周波数Fcよりも相当高く、Fcは典型的に約10Hzまたはそれより低い典型的なタッチ信号周波数範囲の低周波数のみを通過させるように設定され、単一のアナログ‐デジタルコンバータ30は、約50〜400Hzのパネルスキャン周波数Fpに対しタッチスクリーン4の60個のノード6をサンプリングするために、最大でおよそ4MHzのサンプリング周波数Fsで動作する。実際には、充電器18は、50Hzから数百kHzにわたるノイズをタッチスクリーンデバイス4に結合し得、安価な充電器18は、ピークツーピークで10Vまたはそれ以上の高周波数電圧を結合し得る。
【0021】
対抗策(例示的な実施形態のインテリジェントなノイズトラッキングおよびシェーピングなど)がない場合、タッチスクリーンコントローラのマルチレートサンプリングの性質により、エイリアシングは通常、ノードデータに導入される。また、エイリアシングは、ノイズがある状態においてのみ問題となり、ノイズがタッチ信号と同じスペクトル帯域にエイリアスされる場合にタッチ検出が妨害される。例えば、入力信号は、アナログ回路20におけるアンチ−エイリアシングフィルタ26により最大周波数Fmaxに帯域制限され、サンプルは、Fsのレートでコンバータ30を介して取得される。ここで、Fsは、典型的にFmaxよりもはるかに高く、シャノン−ナイキストサンプリング理論に従ってエイリアシングを引き起こす。また、第2のサンプリングがパネルスキャンにより生じ、ここで各ノードは、パネルスキャン周波数またはレートFpが典型的にコンバータサンプリング周波数Fsよりもはるかに低い状態で、時分割的にサンプルされ得る。この場合、[0,Fs/2]範囲における信号が、[0,Fp/2]範囲に下方へエイリアスされ得、データは、まず[0,Fs/2]範囲へ、そしてさらに[0,Fp/2]周波数範囲へ、2度エイリアスされ得る。
【0022】
ノイズトラッカー50およびノイズシェーパ58は、このような複数のエイリアシング状況、および、エイリアシングが(サンプリングのみにより、または、パネルスキャンニングのみにより)一度だけ生じるケースに対処するように用いられ得る。例示的なノイズトラッカー50は、(ローパスフィルタ38の前の)コンバータ30からのデジタルサンプル32に対応する統計の第1のセット54b、および、ローパスフィルタ38の後の、フィルタされたデジタルサンプル40に対応する統計の第2のセット54aを計算する。統計54が、デジタルローパスフィルタ38の通過帯域にエイリアスされるノイズの存在を示す場合、ノイズトラッカー50は、ノイズフラグ52をアクティベートして、ノイズシェーパ58に、ノイズシェーピングを提供するため、コンバータサンプリング周波数34(Fs)、および/または、パネルスキャン制御部46により用いられるパネルスキャン周波数48(Fp)の一方または両方を調整させる。
【0023】
図2も参照すると、タッチスクリーンコントローラにおける高周波数ノイズエイリアシングを軽減するためのプロセスまたは方法60が図示されており、これは、コントローラ10におけるノイズトラッカー50およびノイズシェーパ58介して実装され得る。例示的な方法60は、一連の行為または事象の形態で図示および説明されるが、例示的な実施形態は、本願において具体的に述べられる場合を除いて、このような行為または事象の図示する順番に限定されない。この点で、下記で具体的に提供される場合を除いて、いくつかの行為または事象は、本明細書においてこれらの図示および説明されるものとは別のその他の行為または事象と、異なる順番で、および/または、同時に成され得、すべての図示されるステップが、例示的な実施形態に従ってプロセスまたは方法を実装するために必要とされなくてもよい。図示される方法は、本願で説明されるノイズシェーピング機能を提供するために、例えば、コントローラ10のデジタル処理回路36において、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェア、プロセッサにより実行されるファームウェア、FPGA、論理回路要素等、またはそれらの組合せにおいて実装され得る。
【0024】
コントローラ10は、図2における62で、それぞれ、初期のパネルスキャン周波数48およびサンプリング周波数34(FpおよびFs)を用いて、パネルスキャンニングおよびサンプリングを行い、ノード、パネルおよびI/O処理回路要素42は、タッチスクリーン4の任意の認識可能なユーザによるタッチを識別するために、収集されたフィルタされたサンプル40を用いる。任意の適切な処理アルゴリズムが、一つまたは複数のユーザによるタッチを検出するために用いられ得、コントローラ10は、通信接続44を介してホストプロセッサ12に、認識されたタッチ入力を報告する。一つのあり得る実装において、処理回路要素42は、サンプル値40を受信し、また、タッチスクリーン4上のXY位置(ノード位置6)を補間するために用いられるピークの大きさとして報告されるZ値を備える、タッチについてのXおよびY座標を生成するように線形近似を用いる補間処理のために、較正データを減じること、および、一つまたは複数ピーク(例えば、最も高い4つのピーク)を識別することにより、調整を行い得る。
【0025】
図2における64で、ノイズトラッカー50(図1)は、現在のパネルスキャン動作について、デジタルローパスフィルタ38の前および後で、ノード静電容量サンプル32、40を取得し、66で、デジタルローパスフィルタの前および後の両方の、表示されるノード静電容量統計54を計算する。計算された統計は、様々な実装において時間的又は空間的なものであり得る。図示される実施形態において、トラッカー50は、デジタルローパスフィルタ38に先行する(それより前の)データサンプル32に対する統計の第1のセット54bを計算し、デジタルローパスフィルタ38に続く(その後の)データサンプル40の統計の第2のセット54aを計算する。一つの非限定的な例において、ノイズトラッカー50は、ローパスフィルタリングの前および後の両方で、複数のパネルスキャンについてタッチスクリーン4の個々のノード6の標準偏差値として、統計を時間的に計算し、66での計算は、500などの、整数個のスキャンにわたって計算された統計の更新版である。中間値または平均値などの、異なる形態およびタイプの統計が66で計算される、その他の実施形態も可能である。また、図示される実施形態において、ノイズトラッカー50は、一つまたは複数の閾値56を記憶および保持し、統計の第1のセット54bの要素が個々に第1の閾値56bを超えるかどうかを判定し、また、統計の第2のセット54aの要素が第2の閾値56aを超えるかどうかを判定する。様々な実施形態において、閾値56bおよび56aは同一の値であり得、閾値56は、自動的におよび/またはホストプロセッサ12の制御下で、コントローラ10により調整可能であり得る。
【0026】
図2における68で、ノイズトラッカー50は、ディスプレイノード静電容量統計値54b(ローパスフィルタリング前)および54a(ローパスフィルタリング後)を、対応する閾値56bおよび56aと比較し、70で、所与のタッチスクリーンノードについて、統計の第1のセット54bの対応する値が第1の閾値56bを超えるかどうか、および、統計の第2のセット54aの対応する値が第2の閾値56aを超えるかどうかを判定する。超えない場合(70でNO)、ノイズトラッカー50はノイズフラグ52を(予めオンである場合に)オフにし、プロセス60は、上述のように、64で別のサンプルを取得するために戻る。
【0027】
図3も参照すると、グラフ80および82は、タッチスクリーン4の60個の番号付けされたノード6の各々の、例示的なノード静電容量標準偏差統計値54bおよび54a(0から100%の所定の範囲)を、点線で示した対応する閾値56bおよび56aと共に図示しており、番号付けされたノード6は、例示的なタッチスクリーン4の6つの列(図3における、列1、列2、列3、列4、列5、および列6)に対応するノードの6つのセットにグループ分けされる。図3に示される状況において、全てのノードの標準偏差値54bはすべて、対応するローパスフィルタリング前の閾値56bよりも十分に低く、類似の状況が、対応する第2の閾値56aより低い、フィルタリング後の標準偏差値54aに示される。この状況において、ユーザは、タッチスクリーン4にタッチしておらず、ノイズトラッカー50は、デジタルローパスフィルタ38の通過帯域におけるエイリアスされるノイズの存在を推定しない。
【0028】
図2および図4を参照すると、図2における64で、デジタルローパスフィルタ38の前および後の両方で、ノイズトラッカー50が、ノード静電容量サンプルを再び取得し、66で、標準偏差統計54を計算または更新し、68で、デジタルローパスフィルタリングの前および後の統計を、対応する閾値56と比較する。図4におけるグラフ84および86は、異なる統計的状況を図示しており、この状況において、ユーザがタッチスクリーン4を作動させ、および、(例えば、図1における充電器18からの)ノイズが、ローパスフィルタ38の通過帯域にエイリアスされる(下記の図7におけるグラフ96も参照)。図4のグラフ84に示すように、第3のタッチスクリーン列(列3)のノード20〜30の標準偏差値54bは、コンバータ30からのフィルタリング前のサンプル32についての第1の閾値56bを超える。また、グラフ86において、ノード20〜30のフィルタリング後の統計値54aは、第2の閾値56aを超える。この場合、ノイズトラッカー50は、デジタルローパスフィルタ38の前および後の両方で閾値ノイズレベルに達したかもしくは閾値ノイズレベルを超えたと判定し(図2における70でYES)、これに応じて、高周波数ノイズがデジタルローパスフィルタ38の通過帯域にエイリアスされると結論付ける。所定の最大数の調整が試みられたかどうかについての判定が、図2における74で、ノイズトラッカー50によって成される。該当しない場合(74でNO)、図2における78で、ノイズトラッカーがノイズフラグ52をアサートし、ノイズシェーパ58が、アナログ‐デジタルコンバータ30のサンプリング周波数34(Fs)および/またはパネルスキャンコントローラ46により用いられるパネルスキャン周波数48(Fp)の一方または両方を調整する。
【0029】
図5も参照すると、プロセス60は、上述のようにその後64〜70で繰り返され、ノイズトラッカー50は、更新されたサンプリング周波数34および/またはパネルスキャン周波数48を用いるローパスフィルタ38の前および後の両方で、閾値ノイズレベルが到達されるかどうかを再び判定する。図5はグラフ88および90を示し、当該グラフにおいて、デジタルローパスフィルタリング前の標準偏差値54bは、おおよそ図4と同じレベルであるが、ノイズシェーパ58によるサンプル周波数および/またはパネルスキャン周波数の調整が、タッチされるノード20〜30について、フィルタリング後の標準偏差値54aを減少させる。グラフ90に示すように、例えば、これらの値は、第2の閾値56aを依然として上回るが、図4のグラフ86に示したものと比較すると、著しく低減されている。この点で、デジタルローパスフィルタリングの前および後の両方で、ノイズの閾値量が依然として達成されるので(図2における70でYES)、ノイズトラッカーは、74で、調整の最大数が試みられたかどうかを再び判定し、試みられていない場合(74でNO)、ノイズフラグ52を再びアサートして、ノイズシェーパ58に周波数34および/または48の一方または両方を調整させる。この処理は、エイリアスされるノイズがローパスフィルタ通過帯域外に十分に移動されるまで、または、調整されたサンプリング周波数および/またはパネルスキャン周波数のための所定数の値が試されたが、不成功に終わるまで(図2における74でYES)、何度も繰り返され得、不成功に終わる場合、図2における76で、コントローラ10がノイズフラグをホストプロセッサ12に送信する。
【0030】
図6におけるグラフ92および94も参照すると、図示される実施例におけるサンプリング周波数34およびパネルスキャン周波数48の一方または両方のさらなる調整の結果、グラフ94に示すように、第2の閾値56aを下回る、フィルタリング後の標準偏差値54aの低減となる。従って、ノイズトラッカーは、70で、充電器18からの高周波数ノイズが、ローパスフィルタ38の通過帯域外にうまくシェーピングされていると判定し(図2における70でNO)、これに応じて、72で、ノイズフラグ52をオフにする。このように、デジタル‐アナログコンバータ30およびパネルスキャンコントローラ46の調整された動作が、バッテリ充電器18の動作の間ノイズがある状態で、タッチスクリーン4の実際のユーザによるタッチを良好に識別し得るように、ノイズトラッカー50およびノイズシェーパ58の動作が、システムのエイリアシングをうまく調整している。また、図2に示すように、コントローラ10は、この動作モードで進行し、システム2における変化するノイズ条件に自動的に適合するように、ノイズトラッカー50およびノイズシェーパ58を介して必要に応じて選択的に調整を行う。
【0031】
ノイズシェーパ58は、コンバータ30およびパネルスキャンコントローラ46の動作周波数34および48の一方または両方に対し、任意の適切な形態の調整を実装し得る。一つの非限定的な例において、ノイズシェーパ58は、パネルスキャンコントローラ46に、FpおよびFsに基づいて計算された或る量(ΔFp)だけパネルスキャンニング周波数48を調整させる。代替としてまたは組合せで、ノイズシェーパ58は、或る変化量(例えば、ΔFs)をコンバータ30に送信し得、一つまたは複数の動作パラメータ、統計54、または、その他の変数に基づいて、当該変化量を計算し得る。別の可能な実装において、ノイズシェーパ58は、周波数34および/または48の一方または両方のための所定の値の整数により構成され、ノイズトラッカー50によるノイズフラグ52のアサートに応答して(図2における78で)調整を選択的に行い、値の或る数(または、周波数値34のセットと、複数の周波数値48のセットとの組合せ)が試されたが、不成功に終わると(図2における74でYES)、コントローラ10は、選択的なノイズシェーピングを中断し得、76でノイズフラグをホストプロセッサ12に送信するなど、一つまたは複数の報告および/または是正措置を取り得る。ホスト12は、バッテリ充電器18等を切断するようにユーザに通知する等など、一つまたは複数の措置を取り得る。
【0032】
また、幾つかの実施形態において、閾値比較結果を変更することなくサンプリング周波数34およびパネルスキャン周波数48の一方または両方のための所定数の値が試された場合、高周波数エイリアスされるノイズの全部または少なくとも一部をデジタルローパスフィルタ38の通過帯域からうまく移動させる組合せを発見するようにさらに試みるために、コントローラ10は、選択的なノイズシェーピングの一部として閾値56bおよび/または56aの一方または両方を選択的に調整(例えば、増加は減少)し得る。また、閾値比較の結果を変更することなく、周波数値34、48の所定数が、異なる閾値56に対して試された場合、ノイズトラッカー50は、ノイズシェーパ58に、周波数34、48の一方または両方を調整させることを中断し得る。
【0033】
図7も参照すると、グラフ96は、デジタルローパスフィルタ38の通過帯域98内で初期にエイリアシングする高周波数充電器ノイズ97の周波数スペクトルを図示する。上述のように、ノイズトラッカー50は、ノイズ97がフィルタ38の通過帯域98内でエイリアスされるかどうかを検出するために、統計的分析および閾値比較を行い、エイリアスされる場合、ノイズシェーパ58に、エイリアシングするシステムを修正するように周波数34、48の一方または両方を調整させる。図7におけるグラフ99は、ローパスフィルタ通過帯域98外への、エイリアスされた充電器ノイズ97の移動またはシフトをもたらす、ノイズシェーパ58による後続のノイズシフトを図示する。
【0034】
前に述べたように、ノイズトラッカー50は、様々な実施形態におけるノイズトラッキングのための空間的統計54を代替的に計算および用い得る。一つの可能な例において、ノイズトラッカー50は、単一のパネルスキャンについて複数のタッチスクリーンノード6に対応する、一つまたは複数の平均値、標準偏差値、または、その他の適切な統計値54を計算し、それぞれ、ローパスフィルタ38の前および後で、統計の第1のセット54bおよび第2のセット54aが、デジタル値32および40のために計算される。例えば、ノイズトラッカー50は、アナログ‐デジタルコンバータ30からのフィルタリング前のサンプル32に基づいて、単一のパネルスキャン動作においてスキャンされるタッチスクリーン4の全てのノード6の単一の統計値54bを計算し得、また、フィルタリング後のサンプル40に基づいて、同じパネルスキャン動作において全てのタッチスクリーンノード6の単一の統計値54aを同様に計算し得る。この場合、ノイズトラッカー50は、第1の値54bを第1の閾値56bと比較し、第2の統計値54aを第2の閾値56aと比較し、両方の統計値54がそれらの対応する閾値56を上回る場合、選択的に、ノイズシェーパ58に、周波数34、48の一方または両方を調整させる。
【0035】
特許請求の範囲内で、説明された実施形態において改変が可能であり、その他の実施形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7