特許第6590836号(P6590836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590836
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】自己計測衣類
(51)【国際特許分類】
   A41H 1/02 20060101AFI20191007BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20191007BHJP
   G01B 7/28 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   A41H1/02 Z
   G06Q30/06 300
   G01B7/28 A
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-566634(P2016-566634)
(86)(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公表番号】特表2017-519120(P2017-519120A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】IB2015053336
(87)【国際公開番号】WO2015181661
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年4月13日
(31)【優先権主張番号】62/004,320
(32)【優先日】2014年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/030,631
(32)【優先日】2014年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/538,909
(32)【優先日】2014年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516328801
【氏名又は名称】ライク ア グローヴ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】クーパー、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】スロボドキン、ミカエル
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/188908(WO,A1)
【文献】 特表2008−513152(JP,A)
【文献】 特開2012−214968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 1/00 − 43/04
G01B 7/00 − 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定機器であって、
ヒト被験者の身体の一部の上に着用される衣類として構成される弾性の布と;
前記身体の一部の上に着用された場合に前記弾性の布と共に伸縮するように、前記弾性の布に統合される1つまたはそれ以上の導電性繊維と;そして
前記弾性の布の伸縮に応答して変化する、前記1つまたはそれ以上の導電性繊維のインダクタンスを測定し、そして前記測定されたインダクタンスに基づいて前記身体の一部の寸法の指標を出力するように接続されるコントローラと;
を有し、
前記1つまたはそれ以上の導電性繊維は、前記弾性の布にジグザグの縫い目で縫い込まれ、前記ジグザグの縫い目の区画の間の角度が前記弾性の布の伸縮に応答して変化し、それにより前記インダクタンスを変化させる、ことを特徴とする測定機器。
【請求項2】
弾性の布細片を有し、少なくとも1つの前記導電性繊維が前記弾性の布細片に取り付けられ、そして前記弾性の布細片は前記衣類の前記弾性の布に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記弾性の布細片は前記衣類に前記少なくとも1つの導電性繊維により取り付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導電性繊維は、ミシンのボビンに導電性繊維を取り付け、そして前記ミシンを操作して前記ジグザグの縫い目を形成することにより、前記弾性の布細片に縫い込まれる、ことを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項5】
前記弾性の布細片は横方向の伸縮に抵抗を示しながら縦方向に伸縮するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項6】
前記1つまたはそれ以上の導電性繊維は、前記衣類内の多重の異なる経路に沿って配置される多重の導電性繊維を有し、そして前記コントローラは、前記異なる経路に対応する前記身体の一部の多重の寸法の指標を出力するように構成される、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項7】
前記多重の異なる経路は、前記多重の寸法が、1つの衣料品がフィットされる前記身体の一部の形状を示すように選択される、ことを特徴とする請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記衣類は非弾性領域を有し、そして前記機器は前記衣類の前記非弾性領域に統合される少なくとも1つの基準繊維を有し、そして前記基準繊維は標準を提供するために前記コントローラに接続され、前記1つまたはそれ以上の導電性繊維の電気的特性は前記基準に対して測定される、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項9】
前記衣類はブラジャーを含む、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項10】
前記衣類は靴下を含む、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項11】
前記衣類は前記ヒト被験者の胴体の上に着用されるように構成される、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項12】
前記コントローラは、無線通信リンクを有し、そして前記無線通信リンクを介して前記寸法の指標をコンピューティング装置に出力するように構成される、ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の機器。
【請求項13】
前記ヒト被験者により着用されるべき、1つまたはそれ以上の適合した寸法の衣料品を識別するように構成される、コンピューティング装置を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記コンピューティング装置は、前記ヒト被験者が少なくとも1つの前記衣料品を選択できるように、前記1つまたはそれ以上の衣料品をディスプレイ上に提示するように構成される、ことを特徴とする請求項13に記載の機器。
【請求項15】
フィッティングの方法であって、
被験者の身体の一部の上に着用されるように構成される、弾性の布を有する1つの衣類を提供するステップと、
前記衣類は、前記弾性の布と共に伸縮するために前記弾性の布に統合され、そして、前記身体の一部の上に着用された場合に、前記弾性の布の伸縮に応答して変化する前記1つまたはそれ以上の導電性繊維のインダクタンスを検知することにより、前記弾性の布の伸縮に応答して前記身体の一部の寸法の指標を電気的に出力するように構成される、1つまたはそれ以上の導電性繊維を有し、
ここにおいて前記1つまたはそれ以上の導電性繊維は、前記弾性の布にジグザグの縫い目で縫い込まれ、前記ジグザグの縫い目の区画の間の角度が前記弾性の布の伸縮に応答して変化し、それにより前記インダクタンスを変化させ;
前記衣類から前記寸法の前記指標を受け取るステップと;そして
前記身体の一部の前記寸法に応答して、前記被験者により着用されるべき1つまたはそれ以上の適合する寸法の衣料品を識別するステップと;
を有することを特徴とする、フィッティングの方法。
【請求項16】
前記指標を受け取るステップは、前記指標を含むメッセージを受信するステップを有し、前記メッセージはコンピューティング装置からネットワークを介して送信され、前記コンピューティング装置は前記指標を前記衣類から受信する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記被験者に関するアカウントの詳細を保管するステップと、そして、前記識別された衣料品の1つが前記被験者に提供されるという1つの売買取引での使用のため、前記アカウントの詳細を前記身体の一部の前記寸法にリンクさせるステップを有する、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記衣類は非弾性領域を有し、そして前記方法は、1つの標準を提供するために少なくとも1つの基準繊維を前記衣類の前記非弾性領域に統合するステップを有し、ここで前記1つまたはそれ以上の導電性繊維の前記インダクタンスは前記標準に対して測定される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
モニタリングの方法であって、
被験者の身体の一部の上に着用されるように構成される、弾性の布を有する1つの衣類を提供するステップと、
前記衣類は、前記弾性の布と共に伸縮するために前記弾性の布に統合され、そして、前記身体の一部の上に着用された場合に、前記弾性の布の伸縮に応答して変化する前記1つまたはそれ以上の導電性繊維のインダクタンスを検知することにより、前記弾性の布の伸縮に応答して前記身体の一部の寸法の指標を電気的に出力するように構成される、1つまたはそれ以上の導電性繊維を有し、
ここにおいて前記1つまたはそれ以上の導電性繊維は、前記弾性の布にジグザグの縫い目で縫い込まれ、前記ジグザグの縫い目の区画の間の角度が前記弾性の布の伸縮に応答して変化し、それにより前記インダクタンスを変化させ;
モニタリングの期間にわたる多重の時点において、前記衣類から前記寸法の前記指標を受信するステップと;そして
前記受信した指標に応答して、前記身体の一部の前記寸法の経時変化を追跡するステップと;
を有することを特徴とする、モニタリングの方法。
【請求項20】
前記変化を追跡するステップは、ボディビル、フィットネストレーニング、または減量のプログラムの進捗を評価するステップを有する、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に衣類のフィッティングに関し、特に衣類の寸法の自動的計測およびフィッティングのための方法および機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は2014年11月12日出願の米国特許出願14/538、909(特許文献1)の一部継続出願であり、そして2014年5月29日出願の米国暫定特許出願62/004,320(特許文献2)および2014年7月30日出願の米国暫定特許出願62/030,631(特許文献3)の恩恵を主張する。これら関連出願の全てはここに参照として採り入れられる。
【0003】
衣類または靴を店舗で、または特にネットで買う場合、最初に試着することなしに、正しい寸法、またはその商品がどれだけフィットするかを知ることは難しい。非常に多くの場合、公称寸法それ自体は十分な標示ではない、なぜならば、同一の表示寸法の異なる衣類が、異なる輪郭と寸法を持ち、それは、その衣類を着ようとする人の身体の輪郭および寸法に常に適合するとは限らないからである。
【0004】
この問題に対する多くの解決策が特許文献において提案されてきた。例えば米国特許7,162,441(特許文献4)は、乳房の寸法、形状、および配置の多様性に起因して、乳房それ自体の無定形の性質により、そして、多くの女性がブラの寸法を専門的にまたはそれ以外の方法で、測定したことが無いという事実により、ブラのフィッティングにおける固有の困難さを説明している。さらに、月経サイクルの異なる時期において、そして加齢と共に、さらに妊娠の最中または後で、乳房の寸法と形状の変化が起こる。ブラを通信販売カタログから、またはインターネット経由で選ぶ場合、フィッティングのためにブラを試着する選択肢はずっと制限される、なぜならば、もしブラがフィットしない場合、ブラは提供者に、通常郵送で、返品されなければならず、その後次の選択が行われる。もし消費者が彼女の必要な寸法について不確かな場合、数回の試着が必要となり、適切なブラが見つかるまでに多くの時間が消費され、フラストレーションが溜まる。正確にフィットするブラを見つけるという探求は、多くの女性が利用可能な標準寸法の中間の寸法であり、また所謂標準寸法が異なるブラのメーカーとスタイルの中で統一されていない、という問題によりさらに複雑化されている。
【0005】
この問題に対応して米国特許7,162,441(特許文献4)は、実際のブラのサンプルから測定されたブラサイズ、ブラカップサイズを含むブラの特性データからなるブラのデータベースを確立するステップを有する、方法について記載している。装着者の乳房と胴の寸法が計測されて、装着者特性データが得られる。装着者特性データに適合するデータベース内のブラ特性データが検索され、装着者特性データに特性が適合する任意のブラが、装着者による選択のためにリストアップされる。この特許はブラの測定機器を記載し、それはブラを支持する支持手段、支持されたブラのカップの中の内部液圧の下で拡張可能な少なくとも1つの嚢と、ブラのカップが液体で満たされた時の嚢内の液体の体積および/または圧力を測定するための測定手段を有する。
【0006】
もう1つの事例として、米国特許4,635,367(特許文献5)は、身体計測と衣類を制作するシステムを記載し、ここで身体計測は人に複数の測定テープを取り付けることにより行われる。それぞれの測定テープは少なくとも1つの電気的に検知可能な測定範囲を備え、その範囲の中で少なくとも1つの個別の測定点が、その測定点に配置される電気コネクタの手段により検知され、その電気コネクタは検知された測定点を電気信号に変換する。それぞれの測定点からの信号は中央記憶および計算ユニットに提供され、そのユニットにおいてその人の身体測定値は衣類の制作のためのパターンに変換される。
【0007】
さらに1つの事例として、米国特許7,905,028(特許文献6)は身体計測値を集め、実際およびターゲットの体型のモデルを疑似的にシミュレートし、衣類寸法のフィッティングを確実にし、そして衣類の注文を処理するためのシステムと方法を提供する。身体測定値は測定装置を使用して集められ、それは第1の測定目盛のスケールを持つベルトと、第2の測定目盛のスケールを持つ帯を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願14/538、909
【特許文献2】米国暫定特許出願62/004,320
【特許文献3】米国暫定特許出願62/030,631
【特許文献4】米国特許7,162,441
【特許文献5】米国特許4,635,367
【特許文献6】米国特許7,905,028
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は身体寸法の測定のための改善された機器と方法、およびまたこのような測定値に基づいて、ユーザが適切な寸法の衣類を選択することを可能にする方法およびシステムを提供する。
【0010】
したがって本発明の1つの実施形態によれば、ヒト被験者の身体の一部の上に着用される衣類として構成される弾性の布を含む測定機器が提供される。1つまたはそれ以上の導電性繊維が、身体の一部の上に着用された場合に弾性の布と共に伸縮するように、弾性の布に統合される。コントローラは、弾性の布の伸縮に応答して変化する、1つまたはそれ以上の導電性繊維の電気的特性を測定し、そして測定された特性に基づいて身体の一部の寸法の指標を出力するように接続される。
【0011】
いくつかの実施形態では、コントローラは、弾性の布の伸縮に応答して、1つまたはそれ以上の導電性繊維のインダクタンスの変化を測定するように構成される。1つまたはそれ以上の導電性繊維は、弾性の布にジグザグパターンで取り付けられ、ジグザグパターンの区画の間の角度が弾性の布の伸縮に応答して変化し、それによりインダクタンスを変化させる。
【0012】
さらにあるいは、機器は、弾性の布細片を有し、少なくとも1つの導電性繊維が弾性の布細片に取り付けられ、そしてその弾性の布細片は衣類の弾性の布に取り付けられる。1つの実施形態では、少なくとも1つの導電性繊維は弾性の布細片に縫い込まれる。さらにあるいは、弾性の布細片は上記衣類に少なくとも1つの導電性繊維により取り付けられる。
【0013】
あるいはさらに、コントローラは、弾性の布の伸縮に応答して、1つまたはそれ以上の導電性繊維の抵抗の変化を測定するように構成される。典型的に、上記衣類は、衣類内の多重の異なる経路に沿って配置される多重の導電性繊維を有し、そしてコントローラは、その異なる経路に対応する身体の一部の多重の寸法の指標を出力するように構成される。多重の異なる経路は、多重の寸法が、その上に1つの衣料品がフィットされる身体の一部の形状を示すように選択される。
【0014】
開示された実施形態では、上記衣類は非弾性領域を有し、そして機器は上記衣類の非弾性領域に統合される少なくとも1つの基準繊維を有し、そして基準繊維は標準を提供するためにコントローラに接続され、1つまたはそれ以上の導電性繊維の電気的特性はその基準に対して測定される。
いくつかの実施形態では、上記衣類はブラジャー、靴下またはレギンスを含む。他の実施形態では、上記衣類はヒト被験者の胴体の上に着用されるように構成される。
【0015】
開示された実施形態では、コントローラは、無線通信リンクを有し、そしてその無線通信リンクを介して寸法の指標をコンピューティング装置に出力するように構成される。コンピューティング装置は一般的にヒト被験者により着用されるべき、1つまたはそれ以上の適合した寸法の衣料品を識別するように構成され、そしてヒト被験者が少なくとも1つの衣料品を選択できるように、1つまたはそれ以上の衣料品をディスプレイ上に提示する。
【0016】
本発明の1つの実施形態によれば、被験者の身体の一部の上に着用されるように構成され、そして、身体の一部の上に着用された場合に、弾性の布の伸縮に応答して身体の一部の寸法の指標を電気的に出力するように構成される弾性の布を有する1つの衣類を提供するステップを含む、フィッティングの方法が提供される。上記衣類から寸法の指標が受信される。身体の一部の寸法に応答して、被験者によって着用されるべき1つまたはそれ以上の適合する寸法の衣料品が識別される。
【0017】
いくつかの実施形態では、指標を受け取るステップは、指標を含むメッセージを受信するステップを含み、メッセージはコンピューティング装置からネットワークを介して送信され、コンピューティング装置はその指標を上記衣類から受信する。被験者に関するアカウントの詳細は保管され、そして、識別された衣料品の1つが被験者に提供される売買取引での使用のため、身体の一部の寸法にリンクされる。開示された実施形態では、1つまたはそれ以上の衣料品を識別するステップは、1つまたはそれ以上の衣料品を、被験者による選択のための注文ボタンと共にディスプレイ上で被験者に提示するステップを有する。方法は、保管されたアカウントの詳細を使用し、衣料品の1つと共に提示された注文ボタンの被験者による選択に応答して、被験者による選択に関する追加の入力なしに、売買取引を完結させるステップを含んでもよい。
【0018】
さらにあるいは、1つまたはそれ以上の衣料品を識別するステップは、1つまたはそれ以上の衣料品を識別するために、1つまたはそれ以上のオンライン店舗にわたる検索において身体の一部の寸法を使用するステップを有する。代替の実施形態では、指標を受け取るステップは、商業施設においてヒト被験者に着用される衣類からの送信を受信するステップを有し、そして1つまたはそれ以上の衣料品を識別するステップは、ユーザに商業施設で売りに出されている1つの衣料品を提示するステップを有する。
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、被験者の身体の一部の上に着用されるように構成される、弾性の布を有する1つの衣類を提供するステップを有するモニタリングの方法がさらに提供され、上記衣類は、弾性の布と共に伸縮するために弾性の布に統合され、そして、身体の一部の上に着用された場合に、弾性の布の伸縮に応答して変化する1つまたはそれ以上の導電性繊維のインダクタンスを検知することにより、弾性の布の伸縮に応答して身体の一部の寸法の指標を電気的に出力するように構成される、1つまたはそれ以上の導電性繊維を有する。モニタリングの期間にわたる多重の時点において、寸法の指標が上記衣類から受信される。受信した指標に応答して、身体の一部の寸法の経時変化が追跡される。変化を追跡するステップは、例えば、ボディビル、フィットネストレーニング、または減量のプログラムの進捗を評価するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は以下に示す実施形態の詳細な説明と、付属の図面によりさらに完全に理解されよう:
図1】本発明の1実施形態による、自己測定衣類の絵画的概略図である。
図2】本発明の1実施形態による、自己測定衣類の電気的構成要素を概略示すブロック図である。
図3】本発明の1実施形態による、衣服のフィッティングと購買のためのシステムの絵画的概略図である。
図4】本発明の代替的1実施形態による、自己測定衣類の絵画的概略図である。
図5A】本発明の1実施形態による、自己測定衣類で使用される検知要素の概略的詳細図である。
図5B】本発明の1実施形態による、検知細片の概略的詳細図である。
図6】本発明の別の1実施形態による、自己測定衣類の絵画的概略図である。
図7】本発明のさらに別の1実施形態による、自己測定衣類の絵画的概略図である。
図8】本発明の1実施形態による、衣類のフィッティングと購買のための方法を概略示す、流れ図である。
図9】本発明の1実施形態による、オンライン小売サイトにより提示されるコンピュータディスプレイの概略図である。
図10】本発明の別の1実施形態による、店舗内で自己測定衣類を使用する方法を絵画的概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において開示される本発明の実施形態は、人が実際に衣服を試着する必要なく人の身体の形状及び寸法を測定し、並びにその測定値に衣服を適合させるための装置及び方法を提供する。以下に説明する実施形態は、伸縮性生地と電子機器から作られ、人の体の一部を抱え込み、自動的に人の体の形状および/または寸法を電気的に測定し、そしてそれにより、衣服のサイズの身体寸法へのより良いマッチングを可能にする、衣類を提供する。開示された実施形態は、ブラジャーや靴などの適合が難しい物品を選択する際に特に有益であるが、身体の任意の部分の上に着用する、実質的に任意の種類の衣類のフィッティングに使用できる。
【0022】
いくつかの実施形態では、この自己測定衣類は、オンラインショッピングのための方法と併せて使用され、本明細書に記載の身体形状測定およびフィッティング技術の助けにより、ユーザに対し、よりフィットした服を選択することを可能にする。代替実施形態では、自己測定衣類は、「れんがとモルタル」店で購入のためのアイテムを提案するために、身体の形状および寸法の測定値を使用するための方法と併せて使用することができる。自己測定衣類が提供する身体測定値は、個人的な測定アカウントと共に、同じまたは他の店舗またはオンラインでのその顧客による後日の使用のため、保存することができる。
【0023】
以下に詳細に説明するように、本発明のいくつかの実施形態では、身体の一部の上に着用される衣類を形成するために切断され縫い合わされた、伸縮性の布を有する測定装置、本明細書では「自己測定衣類」と呼ぶ、が提供される。一つ以上の導電性繊維は、伸縮性布地に統合され、そして身体の意図された部分の上に着用された場合、布地と共に伸縮する。一般的に衣地に取り付けられる電子コントローラは、布地の伸びに応答した、インダクタや抵抗などの導電性繊維の電気的特性の変化を測定し、そして対象となる身体の部分の1つまたはそれ以上の寸法の指標を出力する。
【0024】
典型的には、自己測定衣類は、衣類内の複数の異なる経路に沿って配置された複数の導電性繊維を含み、それにより、コントローラが異なる経路に対応した、当該身体の一部の複数の寸法の指標を出力することを可能にする。複数の異なる経路は、それらが提供する寸法が身体の一部の形状を示すように選択される。したがって、例えば、衣類がブラジャーの形状を有し、胸周り寸法とカップサイズだけでなく、被験者の上半身及び乳房の完全な形状プロファイルを与える、他の測定値を出力してもよい。他の例として、その衣類は、靴の選択を可能にするための、靴下、またはレギンスの形状を有していてもよく、またはシャツ、ジャケットやズボンのように、被験者の胴体上に着用されるように設計されてもよい。この後者のカテゴリでは、複数の異なる種類の衣服のフィッティング用に、単一のフルボディ測定スーツを使用できる。
【0025】
測定は、実際の衣類により行われるため、呼吸や他の体の動きや条件によって起こる形状および寸法の変化を含みうる。ユーザは、いくつかの体位で測定を行うだけでなく、最小と最大のサイズ要件を表す異なる測定を行うように促されうる。たとえば自己測定のパンツやレギンスを使用した場合、ユーザは立って1つの測定を行い、そして座って他の1つの測定を行い、その後歩くときと座ったときの両方に最適なフィットを見つけるために、衣服のサイズの適切なソフトウェアを実行しているコンピュータで両方の結果が分析される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コントローラは無線通信リンクを備え、それを介して身体寸法の指標がコンピュータ(タブレットPCを含む)、またはスマートフォンのようなコンピューティング装置に出力される。コンピューティング装置は、次いで、測定された寸法に基づいて、被験者が着用するのに適したサイズの衣料品の一つ以上の物品を識別し、そして被験者が少なくとも1つの物品を選択できるように、これらの物品をディスプレイ上で表示してもよい。コンピューティング装置による適切な衣類の識別は、コンピューティング装置によりローカルに保管されたデータ、または遠隔サーバによって提供されるデータ、またはその両方に基づいてよい。
【0027】
オンラインアプリケーションでは、一般的にコンピューティング装置はネットワークを介してサーバに身体寸法を送信し、サーバは、表示及びユーザによる選択のために、ユーザのコンピューティング装置に適切な製品情報を返信する。この設定は、例えば、ブラジャーや靴のように試着が難しい衣類でさえも、その衣類がフィットするという確信を持って、ユーザがネット上で購入することを可能にする。これと同時に、自己測定衣類は、自己完結型で使いやすく、自己測定衣類からの出力を受ける従来型のコンピューティング装置以外にカメラや他の外部機器を必要としない。このような実施形態は、ユーザのプライバシーを維持しつつ、一方で迅速で正確なフィッティングと製品選択を可能にするという、二重の利点を持つ。
【0028】
(自己測定衣類の設計と運用)
図1は、本発明の実施形態による、自己測定衣類20の概略的絵画図である。自己測定衣類20は、弾性の布からなる基材を有し、それはブラジャーの形に切断され、形づくられ、そして縫製される。一般的な変圧器で使用されるタイプのエナメルコイル線のような、薄い導電性繊維22、24、25が、図に示すように、乳房と胸郭下部の周り、および肩を超えてなどの、異なる経路に沿って布に統合されている。しかし、これらの特定の縫い目経路は、単に例示のために示され、そして導電性繊維は、アプリケーションの要件に応じて他の経路に沿って同様に縫い付けられてもよい。
【0029】
本実施例では、導電性繊維22、24及び25は、ジグザグの縫い目パターンで上記の弾性の布に縫着されている。これらのパターンは、例えば、ミシンの下側ボビンに導電性繊維を取り付け、上側ボビンに通常の非導電性糸を取り付け、そしてその後、所望の経路に沿って縫い目を生成するために、導電性繊維が通常の糸であるかのようにミシンを操作することにより、形成することができる。縫い目のパターン、密度、及び幅などのパラメータは、当該分野で公知の技術を用いて変化させることができる。あるいはさらに、より大きな又は小さなインダクタンス(および、必要な場合ほぼゼロインダクタンス)のジグザグ以外のパターン、およびさらに自己測定衣類の伸縮と共により大きい又は小さい度合までインダクタンスが変化する他のパターンが使用されてもよい。
【0030】
導電性繊維22、24および25のジグザグパターンは、縫い目の密度(または、等価的にジグザグの角度と幅)の関数であるインダクタンスを生成する。衣類20の布が、特定の次元に沿って伸長する場合、対応する繊維の縫い目の角度が大きくなり、そしてインダクタンスはそれに応じて減少する。コントローラ26(図2を参照して以下に詳細に説明する)は、インダクタンスを感知し、そしてそれに応じて、その導電性繊維の経路に沿った自己測定衣類の測定値を計算する。導電性繊維22、24及び25の異なる縫い目密度は、対応する経路に沿った所望の測定分解能に応じて選択されてもよい。追加的または代替的に、所定の導電性繊維は、その寸法を測定すべき領域で密に縫合されてもよく(例えば、図1において被験者の肩を超えて延在する導電性繊維24の部分のように)、そして、測定区画をコントローラ26に接続するだけを意図された区画においては、より粗く縫合されてもよい。あるいは、これらの後者の区画では、本質的に低インダクタンス(ジグザグよりも)の異なる縫い目パターンが使用されてもよい。その結果、測定されるべき領域における自己測定衣類20の延伸は、コントローラによって検知されるインダクタンスに、より顕著な効果を持つことになる。追加的または代替的に、導電性繊維を破壊から保護するために、導電性繊維は弾性の帯と一体化されてもよい。
【0031】
図2は、本発明の1実施形態による、コントローラ26の詳細を概略示すブロック図である。コントローラ26は、通常、1つ以上の集積回路チップおよび関連部品が実装されたプリント回路基板(可撓性または剛性であってもよい)を含む。基板と部品は、その後適切な容器に封入され、それは自己測定衣類20に縫い付けられ、そうでない場合は固定される。容器は、洗濯またはこぼしに起因する損傷から内部回路を保護するために、例えば、防水布で保護されているか、そうでなければ密封されている。
【0032】
コントローラ26は、インダクタンス−デジタル変換器(LDC)30を含み、それは導電性繊維22、24、25のインダクタンスを測定するため、そして特に、インダクタンスの値を検出するために接続される。LDC30は、テキサス・インスツルメンツ(ダラス、テキサス州)によって生産されるLDC1000またはLDC1614デバイスのような、市販の部品を含んでもよい。LDC30は、例えば、導電性繊維22、24、25の各々と並列に既知の静電容量を接続し、適切な周波数カウンタを使用して、得られるLC回路の発振周波数を測定することによって、動作してもよい。この種の測定は、呼吸や他の体の動きによる変化を検知するために、毎秒複数回繰り返されてもよい。追加的または代替的に、LDC30は、導電性繊維22、24、25上に短いパルスを送信し、そして、インダクタンスの変化と、導電性繊維に沿った変化が起こった位置と、の両方を示す、導電性繊維のインピーダンスの局所変化を検出するために、導電性繊維から返された信号を分析する、構成要素部品によって代替または補完されてもよい。
【0033】
LDC30は、デジタル形式の測定値をバス34経由でプロセッサ32に出力する。プロセッサ32は、一般的に中央処理装置(CPU)を有し、それは本明細書に記載の機能を実行するソフトウェアまたはファームウェアによって駆動される。測定データは、一時的にランダムアクセスメモリ(RAM)36に保管することができ、一方不揮発性メモリ40はソフトウェアまたはファームウェアコード、そして場合によって較正データ、ユーザ識別およびその他の個人情報などの永続的なデータも保管する。典型的には、較正データは、種々の導電性繊維22、24、25の測定されたインダクタンスと、長さとの関係を示し、その関係は工場の較正手順で決定され、保管され、そしてその関係はプロセッサ32がインダクタンス測定値を物理的な寸法に変換することを可能にする。代替的にまたは付加的に、プロセッサ32は、ローカルコンピュータまたは遠隔サーバのような外部コンピューティング装置による物理的寸法への変換のため、生のインダクタンス値を出力してもよい。
【0034】
Bluetooth(登録商標)または他の短距離無線ユニットのような無線通信リンク37は、プロセッサ32が収集したデータを、アンテナ38を介して、近くのコンピューティング装置に送信し(図3に示すように)、そしてまたオペレーションの指示および/またはコードの更新をそのコンピューティング装置から受信してもよい。代替的にまたは追加的に、コントローラ26は、適切なケーブル(図示せず)を介して通信するように接続されてもよい。選択肢として、通信のセキュリティを確保するために、暗号化および/または復号化ユニット42が含まれてもよい。
【0035】
一体化された、または交換可能なバッテリ44は、コントローラ26の構成要素に電力を提供する。バッテリ44が充電可能なタイプである場合は、バッテリ充電回路46が提供されてもよく、それはコネクタ48または当該技術分野で公知の無線充電コイル50を介した電力入力を有する。コントローラ26の回路は、スイッチ54、または自動電源オン回路52のいずれかによって起動され、それは例えば、ユーザが自己測定衣類20を着用したときにスイッチオンする。バッテリ寿命を延長するために、コントローラ26は、導電性繊維22、24および25のいくつかまたは全てのインダクタンスを一つずつ、約10ミリ秒のような短い総時間スパンにわたって測定し、そしてその後、その結果を無線リンクを介して、外部コンピューティング装置37に送信してもよい。プロセッサ32は、次に、例えば、回路のクロック周波数を低減することによって、制御装置26の構成要素の大部分をアイドルまたはスリープモードに置く。コントローラ26は、定期的に、例えば300ミリ秒に一度、目覚め、上記の簡単な測定および伝送手順を繰り返し、そしてスリープ状態に戻る。
【0036】
コントローラ26は、選択肢として、身体の傾斜角度および加速度を示すために、慣性感知チップ(一般に、ジャイロセンサと称する)などの他の構成要素(図示せず)を含んでもよい。他の場合には、この種の一つ以上のチップが異なる場所において衣類20に取り付けられ、そして有線でコントローラ26に接続されてもよい。
【0037】
図3は、本発明の1実施形態による、自己測定衣類20に基づく、衣類のフィッティング及び購入のためのシステム60の概略絵画図である。ユーザ62は、自己測定衣類20を着用し、そしてコントローラ26はユーザの身体の関連測定値の指標をコンピューティング装置64に無線で出力する。図示の例では、コンピューティング装置64はデスクトップコンピュータであるが、しかし代替的に、コンピューティング装置はポータブルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、または適切な通信及び表示能力を有する任意の他のデバイスあってもよい。
【0038】
コンピューティング装置64は、自己測定衣類20からの測定データをローカルに分析してもよいが、しかし図示の実施形態においては、コンピューティング装置64は、インターネットなどのネットワーク66を介して、データをフィッティングサーバ68に送信する。フィッティングサーバは、典型的には、汎用コンピュータからなり、適切なコミュニケーションとメモリ機能を有し、それは、自己測定衣類20によって送信された出力値を服の選択に関連する寸法と形状パラメータに変換するように、ソフトウェアでプログラムされる。例えば、図示の例では、サーバ68は、入手可能なブラジャーのタイプとサイズとの比較のために、種々の周囲長、ストラップの長さ、およびカップのサイズと形状を抽出してもよい。追加的または代替的に、これらのサイズおよび形状パラメータは、寸法に合わせて作られるカスタムメイドの衣類の寸法の特定において、ユーザ62に適合するために使用されてもよい。
【0039】
フィッティングサーバ68は、ユーザが選択した衣類の最適なサイズを推奨し、あるいは、ユーザ62の体型に最適にフィットする衣料品でさえ選択するために、オンライン店舗70に寸法と形状のパラメータを通信する。この選択は、フィッティングサーバ68又はオンライン店舗70内の適切なサーバによって行うことができる。代替的に、図3に示すフィッティングサーバ68は、オンライン店舗70とは別個のエンティティとして示されるが、フィッティングサーバの機能は、既存のサーバまたはオンライン店舗70のサーバに統合されてもよい。いずれの場合も、寸法および体型のパラメータは、その後のショッピングセッションおよび他の店で買い物をするためにさえも、フィッティングサーバ68に保管されてもよい。スタイルおよび色のような他のユーザの嗜好は、コンピューティング装置64を介して入力され、および/またはオンライン店舗70のフィッティングサーバ68により保管され、そしてその後、ユーザ62へオファーされる衣料品を識別する際に考慮されてもよい。
【0040】
オンライン店舗70は、1つまたは複数の特定のブラジャーのスタイルと寸法などの選択された衣類の詳細をコンピューティング装置64に返信する。コンピューティング装置64は、これらの商品をディスプレイ72上の画像74でユーザ62に示し、それは、可能であれば、ユーザの測定された寸法を有する人の身体に着せた場合に見えるように、各商品の画像74を示してもよい。自己測定衣類20は、動きの間のユーザの寸法の変化を測定するために操作された場合には、画像74は、そのアイテムを着用する動くアバターの画像を提示することによって、衣類のアイテムが動きにどのように応答するかを示すことさえできる。
【0041】
コンピューティング装置64はまた、提示される項目の1つを購入するためにユーザ62によって選択される、オファーボタン76または他のコントロールをディスプレイ72上に提示することができる。ユーザ62がオンライン店舗70で口座を開設済みである(それにより店が彼女の支払いと出荷の詳細を持っている)と仮定すると、自己測定衣類20が適切なサイズを決定するのに必要なすべての情報を提供しているため、ユーザは、自分の注文を完了するためにさらになにも入力する必要が無い。オファーボタン76をシングルクリックする他は、その後何も必要とされない。
【0042】
図4は、本発明の代替的な1実施形態による、自己測定衣類80を絵画的に示す概略図である。自己測定衣類80は、そのデザインと機能性において上記の自己測定衣類20に類似しているが、ただし、身体寸法の測定が導電性繊維を含む伸縮性の布の細片82、84、85に基づく点が異なり、それは自己測定衣類80の弾性の布に縫い込まれるか、または統合される。細片82、84は、例えば、Less EMF社(レーサム、ニューヨーク州)から入手可能なSilverell(登録商標)布地を含んでもよい。本発明者らは、この布地の導電性繊維の電気抵抗が伸縮されると変化することを見出した。
【0043】
従って、細片82、84、85の抵抗を測定することにより、コントローラ26は身体寸法を示す指標を出力することができる。この目的のために、インダクタンス−デジタル変換器(LDC)30の代わりに、コントローラ26は、細片82、84、85と直列に既知の抵抗と、各細片と直列な抵抗の両端に既知の電圧を印加する電源と、を含むことができる。アナログ/デジタル変換器が、その後、結果として生じる細片の両端の電圧、従って、細片の抵抗を測定してもよい。
【0044】
代替的に、細片82、84、85は引張力(したがって、自己測定衣類80の伸縮)に応じて変化する抵抗を有する、他の種類の導電性繊維を含むことができる。これらの細片は、自己測定衣類80の布の外部または内部に取り付けることができ、またはそれらの細片は、代替的に自己測定衣類80の布地に直接、導電性繊維を織合わせ、編み込み、または縫い合わせることによって形成することができる。
【0045】
さらに選択肢として、細片82、84、85は、伸縮性布の中に1つのパターンで織り込まれ、縫い付けられ、または取り付けられる導電性繊維からなり、それによりその導電性繊維のインダクタンスが、布が伸縮する場合に変化してもよい。(導電性繊維22、24、25も同様に使用することができる。)この種の細片は、以下の図5Aに詳細に示されている。
【0046】
図5Aは、本発明の1実施形態による自己測定衣類20または80(または、本明細書に記載の他の自己測定衣類)に用いることができる検知要素90の概略詳細図である。自己測定衣類は、通常、非導電性合成繊維で作られた弾性布94からなる。導電性繊維92は、織り、編みまたはステッチによって弾性布94に統合される。導電性繊維92は、例えば図1に示すように、ジグザグ縫いで弾性布94に縫い付けられてもよい。
【0047】
図5Bは、本発明の実施形態による自己測定衣類20または80(または、本明細書に記載の他の自己測定衣類)に用いることができる検出細片91の概略詳細図である。細片91は、例えば、図1及び図6に示す縫い込まれた導電性繊維22、24及び25の代わりに使用することができる(また図4に示した導電性細片82、84及び85の代わりに)。導電性繊維93、例えば積層銅線は、非導電性経糸95と緯糸96との間に織られる。この実施形態では、経糸95は、伸縮性、弾性繊維であり、一方緯糸96は相対的に非弾性であり、それにより、細片91はその長さに沿って自由に伸縮するが、しかしその幅方向には伸縮しない。細片91の弾性特性、すなわち、縦方向に伸縮しながら横方向の伸縮に抵抗を示す特性は、導電性繊維93をこのような横方向の伸縮に起因する破壊から防止するのに有用である。
【0048】
細片91を製造するには、緯糸96が緯糸入れ針97によって挿入され、一方導電性繊維93が挿入ブレード98によって挿入される。結果として、導電性繊維93が細片91の中に、事前設定のパターン、例えば、図に示すようなジグザグパターンで結びつけられる。長さ方向の細片91の伸縮は導電性繊維93のジグザグの角度(または他の特性)を変化させ、従ってそのインダクタンスを変化させる。インダクタンスの測定は、上記のように、細片が取り付けられている自己測定衣類を着用している人の対応する身体寸法の指標を与える。
【0049】
導電性繊維93は、図5Bに示すように、その幅の大部分にわたって細片91に織り込まれることができ、あるいは、縫い針によって導電性繊維を損傷することなく自己測定衣類に縫い付けるための空間を上部と下部に残して、細片の中央領域に限定されてもよい。細片91は、当技術分野で知られているような、例えば、チェーンスティッチまたはワイドジグザグを使用して、自己測定衣類に取り付けることができる。別の1例として、細片91は導電性繊維なしで最初に織られてもよく、その後導電性繊維は、3点ジグザグミシンを使用して細片に縫合されてもよい。1実施形態では、ミシンにおける下糸が導電性繊維であって、そして上糸は、通常のミシン糸である。
【0050】
図6は、本発明の別の1実施形態による、自己測定衣類100の概略的絵画図である。この場合、自己測定衣類100は、靴下の形状を有し、それは靴やブーツのような履物のフィッティングに使用することができる(本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「衣服」、「衣類」及び「衣類」は履物を含む)。導電性繊維22、24、25は、自己測定衣類20(図1)のように、ジグザグ縫いで自己測定衣類100の布に取り付けられる。コントローラ26は上述のように、足の様々な寸法を計算し出力するために、ジグザグ導電性繊維22、24、25のインダクタンスを測定する。代替的に、コントローラおよび導電性繊維は、自己測定衣類80(図4)のように、抵抗値の測定用に構成されうる。
【0051】
図7は、本発明のさらに別の実施形態による、自己測定衣類110の概略的な絵画図である。自己測定衣類110は被験者の胴体の上に伸長し、従って、自己測定衣類の異なる領域上にジグザグに縫合される多くの数の導電性繊維22、114を含む。身体の周囲のみが自己測定衣類110により測定されると仮定する場合、ジグザグ導電性繊維22、114は主に横方向に沿って縫い付けられ、そして自己測定衣類110は例えば、水平方向に伸びるが垂直には伸びない布から作製されてもよい。導電性繊維22および114は、直接縫い付けされているように図7に示されているが、実際には、これらの導電性繊維は、代替的に、例えば、弾性細片に取り付けられ、または他の任意の適切な手段によって自己測定衣類110に取り付けられてもよい。
【0052】
インダクタンスの正確な測定のために、サブコントローラ116が、胴体下部の導電性繊維114に接続され、それによりこれらの導電性繊維は、測定のために、メインコントローラ112までの長い距離を延伸される必要が無い。1つのサブコントローラ116が図に示されているが、自己測定衣類110は、この種の複数のサブコントローラを異なる領域に含むことができる。サブコントローラ116は、リンク118を介してメインコントローラ112に測定結果を伝達し、リンクはデジタル又はアナログであってよい。メインコントローラ112は、一般的に図2に示すコントローラ26とその構造と機能が類似し、リンク118を追加として有し、一方サブコントローラ116は、この機能の限られた一部のみを実行してもよい。
【0053】
導電性繊維22および114のインダクタンスは、布の伸縮によってのみでなく、温度や被験者の皮膚及び身体組織の電気的性質などの環境因子によっても影響を受ける可能性がある。これらの効果を補償するために、自己測定衣類110(ならびに上述した他の衣類)は、非弾性領域120を含んでもよく、少なくとも1つの基準導電性繊維122がこの非弾性領域に組み込まれる。基準導電性繊維122は、基準を提供するためにコントローラ112に接続され、その基準に対して導電性繊維22、114のインダクタンス(又は他の電気的特性)が測定される。コントローラ112は、このように環境要因の影響を打ち消すために、基準導電性繊維122によって提供される測定を、導電性繊維22、114の測定値の較正に使用する。
【0054】
上述しそして図面に示される実施例は、具体化及び明確化のために、自己測定衣類の特定のタイプと構成に関しているが、本発明の原理は、実質的に身体のどの部分の上にも着用される、他のタイプと構成の自己測定衣類の作製に同様に適用することができる。このような自己測定衣類は、上述された誘導性および抵抗の測定の原理だけではなく、また、静電容量などの導電性繊維のその他の電気的特性の測定も使用することができる。本明細書に記載の原理および技術のすべてのそのような代替的実装は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0055】
(衣服の選択における自己測定衣類の使用)
図8は、本発明の実施形態による、フィッティングおよび衣類の購入のための方法を概略示すフローチャートである。方法は、利便性及び明確化のために、図3に示す自己測定衣類20およびシステム60の要素を参照して記載されているが、しかし、この方法の原理は、任意の適切な種類の自己測定衣類及びシステム構成を使用して同様に適用することができる。この方法のすべてのステップは、ユーザの自宅またはユーザが便利と思う他の場所から行うことができる。
【0056】
図8の方法は、一般的に、アカウント作成ステップ130において、ユーザ62がオンライン店舗70で個人アカウントを作成した後に始まる。このステップは、請求先と配送の詳細のような個人情報ならびに様々なユーザの嗜好を入力してもよい。選択肢として、ユーザが店舗70のウェブサイトを閲覧し、そして所定の衣料品やその種類に関心をしめした時に、方法が始まってもよく、その場合、ユーザは、後の段階で彼女の個人アカウントの作成を求められることがある。
【0057】
ユーザが特定のタイプの衣類−本実施例ではブラジャー−を店70のウェブサイト上で閲覧する時に、サイトは自己測定衣類のオーダーステップ132において、自己測定衣類20のような「フィッティングアイテム」を注文するようにユーザに促す。たとえば、ウェブサイトは、ユーザの次のオンライン店舗70からの購入に対して自己測定衣類の費用をクレジットする約束の下で、ユーザに自己測定衣服を販売することをオファーしてもよい。代替的に、店舗70は、一部またはすべてのユーザに無料の贈り物として自己測定衣料20を提供してもよい。いずれの場合においても、ユーザ62が自己測定衣類20を注文すると、自己測定衣類の出荷ステップ134で、店舗70はユーザに自己測定衣類を出荷する。
【0058】
自己測定衣類20を受け取ると、ユーザ62は、アプリケーションダウンロードステップ136において、コンピューティング装置64にソフトウェア・アプリケーションをダウンロードし、インストールする。アプリケーションは、典型的には、フィッティングサーバ68のクライアントであり、それはコンピューティング装置64がコントローラ26から測定値指標を無線で受信し、そしてそれをネットワーク66上でフィッティングサーバと通信することを可能にする。ユーザ62は、自己測定衣類の活性化ステップ138において、自己測定衣類を着用しそして起動し、それにより、自己測定衣類はユーザの対象部位の適切な測定値を収集し、そして測定値を無線でコンピューティング装置64に送信する。コンピューティング装置は、測定値アップロードステップ140において、これらの測定を含むメッセージをネットワーク66を介してフィッティングサーバ68に送信し、フィッティングサーバはその測定値を処理し、そしてそれをオンライン店舗70にアップロードする。
【0059】
追加的にまたは代替的に、ユーザ62は、フィッティングサーバ68上にアカウントを作成してもよく、フィッティングサーバはその後、ステップ140で受信されるユーザの測定値(おそらく、異なる自己フィッティング衣類または全身スーツを使用して得られた、多重の異なる身体部分の測定値を含む)を保管する。オンライン店舗70は、ユーザプロファイル作成ステップ142において、ユーザの身体のこれらの測定値を、ユーザアカウントの他の詳細(例えばステップ130にて入力された)とリンクさせる。オンライン店舗70は、オンライン店舗のサーバが、フィッティングサーバ68からフィッティングデータを受信し、そしてフィッティングサーバ68の機能性を利用することを可能にするために、ソフトウェアプラグインをインストールしてもよい。オンライン店舗70のユーザプロファイルは、ユーザがオンライン店舗70のウェブサイト上で実際に閲覧を開始する前に、事前に作成し保存されてもよい。代替的にまたは付加的に、ユーザ62がオンライン店舗70でウェブ閲覧する時に自己測定衣類20を着用しているのであれば、ユーザの測定値は、フィッティングサーバ68を介して自己測定衣類20からリアルタイムでアップロードされてもよい。
【0060】
いずれの場合においても、ログインステップ144において、ユーザは、オンライン店舗70のウェブサイトへ入り、そして彼女のアカウントにログインする。ユーザ62はウェブに彼女が求めている服のタイプ、スタイル、色を指示してもよく、または、オンライン店舗70は、記憶されたユーザ嗜好データから、そしてもしユーザが自己測定衣類20を起動させた場合は、コントローラ26により送信された信号から、この情報の一部またはすべてを推測してもよい。いずれの場合にも、オンライン店舗70は、衣類表示ステップ146において、自己測定衣類20により提供されたユーザ62の測定値に基づいて、ユーザに適した服のモデルとサイズを表示する。ユーザ62は、その後、製品購入ステップ148において、購入のためにこれらのアイテムの一つ以上を選択してもよい。一般的に、ユーザ62はこのようなやり方で一度自分自身を測定し、そしてその後自己測定衣類20を脱ぐことで、十分である。測定値は保管され、それにより、ユーザはこれ以前のステップを繰り返すことなく、ステップ144から148を繰り返すことができる。
【0061】
図9は、本発明の1実施形態による、オンライン小売サイトによって提示されるコンピュータディスプレイ150の概略図である。コンピュータディスプレイ150は、ステップ146で、自己測定衣類20によって提供される測定データに基づいて、オンライン店舗70によって生成された類のディスプレイを意味してもよい。この場合、サイトは、ユーザにより選択された、または、ユーザに提案された衣類154(本実施例では水着、しかしこのアプローチは、同様に他の適切なタイプの任意の衣類の買物に適用されてもよい)のタイプと共にユーザアカウント152を特定している。画面上の追加のコントロール156は、ユーザが購入したい衣類のカテゴリ、色や価格帯などの嗜好を彼女が特定することを可能にするために提供されてもよい。
【0062】
オンライン店舗70は、ユーザアカウントデータおよび自己測定衣類20によって提供される測定値に基づいて、ユーザに合ったタイプとサイズの衣類のアイテムの画像158をディスプレイ150上に提示する。サイズ情報は、各衣料品に対する最良の寸法の選択を検索し、識別し、提示するために、フィッティングサーバのサービスを呼び出す、上述したソフトウェアプラグインを用いて、決定され表示されうる。画像は、典型的には、製品の詳細とサイズの推奨を与えるテキスト(図示せず)を伴ってもよい。各画像158は、ディスプレイ150上に関連するオファーボタン160を有していてもよい。図3を参照して先に説明したように、ユーザは、例えば、マウスや接触型インターフェイスを使用してオファーボタン160を一度クリックすることで、表示される衣料品のどれでも購入することができる。オンライン店舗70は、トランザクションを完了し、ユーザの住所に商品を出荷するのに、それ以上の情報を必要としない。
【0063】
このアプローチのもう1つの代替方法として、フィッティングサーバ68は、ユーザの測定および個人データを使用して、よくユーザにフィットし、彼女の好みを満足させる服を複数の店舗で検索してもよい。その後サーバ68は、ユーザに適したサイズの、複数の異なるブランドや店舗からの選択結果をユーザに提示する。
【0064】
図10は、本発明の別の実施形態による、実店舗の靴店のような商業施設170における、自己測定衣類100の使用を示す概略的な絵画図である。よくフィットする靴を探すために顧客が多くの異なるモデルやサイズの靴178を試着する必要性を低減するため、自己測定衣類100は顧客の足の寸法を測定し、そして店内か店に関係するコンピュータ172に測定データを送信する。コンピュータ172は、メモリ176に記憶された、店がオファーする靴に関するフィッティングデータを含む製品データと測定データを比較し、そして結果をディスプレイ174に提示する。顧客および/または営業担当者は、その後、顧客が試着するために、または顧客が事前にそれらを試着せずに購入するために、靴178をディスプレイ174から選択することができる。
【0065】
顧客の足(または商業施設において測定される他の身体部分)に関する測定データも、その店舗への以降の訪問時での使用のため、メモリ176に保管されてもよい。追加的または代替的に、メモリ176の測定データは、同じ顧客によるその後のオンライン購入においてアクセスされ使用されてもよい。
【0066】
もう1つの事例として、顧客が店に入ると、彼(または彼女)は、店舗で販売される衣類を選択しフィッティングするために、スマートフォンのような自身の携帯コンピューティング装置上で実行中のアプリケーションを使用してもよい。アプリケーションが携帯コンピューティング装置にまだインストールされていない場合、顧客は店に入ったときにそうするように求められるかもしれない。顧客は、店舗内の棚やハンガーから自己測定衣類を選び、自己測定衣類を試着室に持ち込み(必要な場合)、それを着用し、その後、自己測定衣類から測定値を得るため、携帯コンピューティング装置上でアプリケーションを使用する。アプリケーションは、顧客に合う所望のタイプやスタイルの服を求めて店を検索するのに、これらの測定値を使用する。同時に、店は、顧客の測定値および個人データを後の使用のために受信し保管してもよい。自己測定衣類は、その後の他の顧客による使用のために店に残り、そして使用の間に洗濯されてもよい。
【0067】
図面には示されていない他の形状やデザインの自己測定衣類を含む上述のタイプの自己測定衣類は、衣類のショッピングだけでなく、身体寸法の測定に関係する、または利益を得ることができる他のアプリケーションに使用できる。例えば、別の1実施形態(図示せず)では、自己測定衣類はボディビル、フィットネストレーニング、および/または減量プログラムの参加者を評価するために使用することができる。このようなプログラムの参加者は、選択された身体(胸部、腹部、腕、および/または足の周囲など)の寸法の繰り返し測定に基づいて、時間経過における彼または彼女の進捗状況を監視し、追跡することができる。測定は、対象となる身体寸法の一定の監視期間にわたる変化を追跡するため、定期的に、例えば、週に一度行うことができる。
【0068】
また、この種の自己測定衣類の使用は、ヒトに限定されず、例えば、適切なセーターや他の衣類を選択する目的で、イヌおよびおそらく他の動物の測定に、拡張することができる。
【0069】
上記の実施形態は例示のために引用され、そして本発明は上記に特に示され、そして記載されたものに限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は上記に記載された種々の特徴の組み合わせおよびサブ組み合わせを含み、そして上記の記載を読んだ当業者が想起する、従来技術に無いそれらの変化形および修飾を含む。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10