特許第6590908号(P6590908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6590908試料コンテナキャリヤ、ラボラトリ試料分配システム、およびラボラトリ自動化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590908
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】試料コンテナキャリヤ、ラボラトリ試料分配システム、およびラボラトリ自動化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20191007BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20191007BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
   G01N35/02 G
   B65G54/02
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-503097(P2017-503097)
(86)(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公表番号】特表2017-522565(P2017-522565A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015066798
(87)【国際公開番号】WO2016012517
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】14178221.9
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,ヘニー
(72)【発明者】
【氏名】マリノウスキ,ミハル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】リーター,クリスティアン
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02589966(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02589967(EP,A1)
【文献】 特開2012−021611(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099647(WO,A1)
【文献】 特開平11−059901(JP,A)
【文献】 特表2005−509172(JP,A)
【文献】 特開2010−271204(JP,A)
【文献】 特表2012−516130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリ試料分配システム(100)用の試料コンテナキャリヤ(10)であって、
前記試料コンテナキャリヤ(10)は、1つまたは複数の試料コンテナ(15)を担持するように構成され、
前記試料コンテナキャリヤ(10)は、前記ラボラトリ試料分配システム(100)の移送面(110)の上で移動されるように構成されており、
前記試料コンテナキャリヤ(10)は、
磁気的移動力が前記試料コンテナキャリヤ(10)に加えられるように、前記ラボラトリ試料分配システム(100)を用いて発生された磁場と相互作用するように構成されている磁気的能動デバイス(30)と、
前記磁気的能動デバイス(30)を被覆している強磁性カバー(40)と、を備え、
前記カバー(40)は、磁力線密度が前記移送面(110)に向かう方向に高くなるように、前記磁気的能動デバイス(30)から生じる磁力線を整列させ集中させるように構成されることを特徴とする、試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項2】
前記試料コンテナキャリヤ(10)は摺動部材(20)を備え、前記摺動部材(20)は前記試料コンテナキャリヤ(10)が前記移送面(110)上に置かれる場合に前記移送面(110)と接触するように構成されており、前記カバー(40)および前記摺動部材(20)が空洞を画定し、前記磁気的能動デバイス(30)が前記空洞の内部に配置されている、請求項1に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項3】
前記カバー(40)が前記摺動部材(20)の方向に開口を有する、請求項2に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項4】
前記磁気的能動デバイス(30)および/または前記カバー(40)が、円形水平断面を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項5】
前記カバー(40)が、前記磁気的能動デバイス(30)より上に配置された板(46)を備え、
前記板(46)が、前記磁気的能動デバイス(30)を越えて横方向に延在している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項6】
前記カバー(40)が、前記磁気的能動デバイス(30)の側方を少なくとも部分的に包囲しており、および/または
前記カバー(40)が、前記磁気的能動デバイス(30)の側方を包囲するいくつかのセクタを備え、前記セクタが相互に離間している、請求項1から5までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項7】
前記カバー(40)がキャップ形状をしていて、前記磁気的能動デバイス(30)上に組み付けられている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項8】
前記試料コンテナキャリヤ(10)が、試料コンテナ(15)用の保持手段(12)を備える、請求項1から7までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項9】
前記保持手段(12)が、円錐(52)を構成している取入口要素(50)を備え、前記円錐(52)が、前記試料コンテナ(15)の端部分を案内して、一部を取り入れるように構成されている、請求項8に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項10】
前記保持手段(12)が、前記試料コンテナキャリヤ(10)の最上部に配置されるいくつかのばねアーム(64)を備え、前記ばねアーム(64)が前記試料コンテナ(15)を固定するように構成されている、請求項8または9に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項11】
前記保持手段(12)が、前記カバー(40)より上に配置される、請求項8から10までのいずれか1項に記載の試料コンテナキャリヤ(10)。
【請求項12】
ラボラトリ分配システム(100)であって、
請求項1から11までのいずれか1項に記載のいくつかの試料コンテナキャリヤ(10)と、
前記試料コンテナキャリヤ(10)を支持するように構成されている移送面(110)と、
前記移送面(110)より下に固定して配置されているいくつかの電磁アクチュエータ(120)であって、磁場を発生させて、前記移送面(110)の上部で前記試料コンテナキャリヤ(10)を移動させるように構成されている、電磁アクチュエータ(120)と、
前記試料コンテナキャリヤ(10)が対応する移送路に沿って移動するように、前記電磁アクチュエータ(120)を駆動することによって、前記移送面(110)の上部で前記試料コンテナキャリヤ(10)の動きを制御するように構成されている制御デバイス(150)と
を備える、ラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項13】
前記カバー(40)の水平断面における半径が、電磁アクチュエータ(120)の中心と、隣接する電磁アクチュエータ(120)の円周との間の最小距離と同一であるまたはそれより僅かに小さい、請求項12に記載のラボラトリ試料分配システム。
【請求項14】
ラボラトリ自動化システム(5)であって、
析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションの形態をとる、いくつかのラボラトリステーション(6、7)と、
前記ラボラトリステーション(6、7)の間で試料コンテナキャリヤ(10)および/または試料コンテナ(15)を分配するように構成される、請求項12または13に記載のラボラトリ試料分配システム(100)と
を備える、ラボラトリ自動化システム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ試料分配システム用の試料コンテナキャリヤ、そのような試料コンテナキャリヤを備えるラボラトリ試料分配システム、およびそのようなラボラトリ試料分配システムを備えるラボラトリ自動化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
試料コンテナキャリヤを備えるラボラトリ試料分配システムは、通常ラボラトリ自動化システムで使用される。そのようなラボラトリ自動化システムは、分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションのようなラボラトリステーションを備える場合がある。
【0003】
そのようなラボラトリ試料分配システムに関する例は、WO2011/138448A1に開示されている。ラボラトリ試料分配システムは、移送面と、移送面より下に配置される複数の電磁アクチュエータとを備える。ラボラトリ試料分配システムは、試料コンテナを担持するように構成されているいくつかの試料コンテナキャリヤをさらに備える。そのような試料コンテナは、例えば透明材料で作られた管であることができる。
【0004】
EP0896936A1は、複数の固定子と、内部に複数の永久磁石が設けられたキャリヤとを備えた固定子テーブルを有するキャリヤ移送デバイスを開示している。キャリヤは、磁気的伝導性材料を含むキャリヤ本体の表面に付着された板を備える。
【0005】
EP2589967A1は、磁気的能動デバイスを含むコンテナキャリヤを開示しており、試料コンテナキャリヤは、移送平面と接触するように構成されている摺動部材を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エネルギー効率が良く、信頼性の高い試料コンテナキャリヤ、ラボラトリ試料分配システム、およびラボラトリ自動化システムを提供することが、本発明の目的である。
この目的は、請求項1に記載の試料コンテナキャリヤと、請求項12に記載のラボラトリ試料分配システムと、請求項14に記載のラボラトリ自動化システムとによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ラボラトリ試料分配システム用の試料コンテナキャリヤに関する。
試料コンテナキャリヤは、例えば従来型の試料管の形態をした、1つまたは複数の試料コンテナを担持するように構成される。
【0008】
試料コンテナキャリヤは、ラボラトリ試料分配システムの、例えば水平な、移送面の上で移動されるようにさらに構成される。
試料コンテナキャリヤは、磁気的移動力が試料コンテナに加えられるように、ラボラトリ試料分配システムを用いて発生された磁場と相互作用するように構成されている磁気的能動デバイスを備える。試料コンテナキャリヤは、例えば試料コンテナキャリヤに好適な向きを導入するために、複数の磁気的能動デバイスを備えることができることを理解されたい。磁気的能動デバイスは、永久磁石、電磁石であってもよく、および/または強磁性材料でできていても、またはそれを含んでいてもよい。
【0009】
試料コンテナキャリヤは、磁気的能動デバイスを被覆するカバーをさらに備える。
カバーは、1より大きい、好ましくは10より大きい、好ましくは100より大きい、好ましくは1000より大きい、好ましくは10000より大きい比透磁率μγを有する材料でできていても、またはそれを含んでいてもよい。
【0010】
カバーは、強磁性材料またはフェリ磁性材料でできていても、または強磁性材料またはフェリ磁性材料を含んでいてもよい。
カバーは、磁気的軟材料、好ましくは構造用鋼材でできていても、またはそれを含んでいてもよい。この材料が、目的の用途に適切な特性を示すことは証明され、そして、この材料は安価で、容易に入手可能である。
【0011】
カバーは、例えばドーム形状を有することができ、この形状が、目的の用途に適切であると証明された。
カバーは、磁力線密度が移送面に向かう所望の方向で高くなるように、磁気的能動デバイスから生じる磁力線を整列させ集中させており、磁気的能動デバイスの磁場は、ラボラトリ試料分配システムを用いて発生される磁場と相互作用するように意図されている。このことは、移送面の上で試料コンテナキャリヤを駆動するときに、消費電力を減少させることを可能にする。
【0012】
実施形態によれば、磁気的能動デバイスおよび/またはカバーは、試料コンテナキャリヤの底部と垂直に整列される。
実施形態によれば、試料コンテナキャリヤは摺動部材を備え、摺動部材は、試料コンテナキャリヤが移送面上に置かれる場合に、移送面と接触するように構成される。カバーおよび摺動部材は、例えば閉じた、空洞を画定する。磁気的能動デバイスは、空洞の内部に配置されている。試料コンテナキャリヤは、摺動部材上の移送面上で摺動する。摺動部材は、移送面と摺動部材との間の摩擦が低減されるように、構成され得る。
【0013】
実施形態によれば、カバーは、摺動部材の方向に開口を有する、またはその方向に開いている。これにより、特に磁気的能動デバイスがカバーの下、かつ摺動部材より上に置かれるときに、移送面に向かう磁力線の好ましい出口を可能にする。
【0014】
磁気的能動デバイスおよび/またはカバーは、水平方向に円形断面を有することができる。「水平な」という用語は、使用中の試料コンテナキャリヤの典型的な向きを表している。したがって、試料コンテナキャリヤの好適な向きは、省略され得る。
【0015】
実施形態によれば、カバーは、磁石より上に配置された板を備え、板は、好ましくは、磁気的能動デバイスを越えて横方向に延在している。これにより、磁石の上方の磁力線を遮蔽することが可能になる。
【0016】
実施形態によれば、カバーは、磁気的能動デバイスの側方を少なくとも部分的に包囲している。これにより、磁気的能動デバイスの周囲全体で、遮蔽または場誘導が可能になる。あるいは、カバーは、磁気的能動デバイスの側方を包囲するいくつかのセクタを備えていてもよく、セクタは、相互に離間している。そのような実施形態は、1つの好適な向きまたは複数の好適な向きを可能にする。例えば、カバーは、2個から10個までのセクタを備えていてもよい。
【0017】
実施形態によれば、カバーの側方包囲部分は、磁気的能動デバイスから離間している。これにより、上側部で磁気的能動デバイスから離れる磁力線を専用に曲げることが可能になる。
【0018】
実施形態によれば、カバーの側方包囲部分および/または磁石より上に配置されたカバーの部分は、磁気的能動要素によって誘発された典型的磁場で磁気飽和を防止するように構成された厚さを有する。そのような典型的磁場は、例えば約0.7Tの値を有することができる。飽和は、目的通りに磁力線を曲げるためのカバーの能力低下をもたらすだろう。
【0019】
実施形態によれば、磁石より上に配置されているカバーの部分は、少なくとも部分的に磁気的能動デバイスに当接している。このことは、磁気的能動デバイスからカバーまで増強された磁力線をつなげることをもたらす。例えば、カバーは、上で論じられた板を用いて磁気的能動デバイスに当接することができる。
【0020】
実施形態によれば、カバーは、磁気的能動デバイス上に組み付けられたキャップの形態をとる。
別の実施態様によれば、カバーおよび磁気的能動デバイスは併せて、キノコの形態をとり、磁気的能動要素が、キノコの軸部を構成し、カバーが、キノコのかさ部を構成している。そのような実施態様が、典型的な用途に適していることは証明された。
【0021】
実施形態によれば、試料コンテナキャリヤは、試料コンテナを担持するために、試料コンテナ用の保持手段を備える。保持手段は、試料コンテナ用の取入口として円錐を構成している円錐要素を備えることができる。保持手段は、試料コンテナキャリヤの最上部に配置されるいくつかのばねアームをさらに備えていてもよく、ばねアームは、側面から試料コンテナと係合するように構成されている。そのような実施態様が、試料コンテナキャリヤを用いて典型的試料コンテナを保持して移送するのに適していることが証明された。
【0022】
実施形態によれば、保持手段は、カバーより上に配置される。これにより、試料コンテナキャリヤの横方向にコンパクトな設計が可能になる。
本発明はさらに、本発明によるいくつか(1〜500)の試料コンテナキャリヤと、試料コンテナキャリヤを支持するように構成されている移送面と、移送面より下に固定して配置されているいくつか(4〜1024)の電磁アクチュエータであって、磁場を発生させて移送面の上部の試料コンテナキャリヤのそれぞれを移動するように構成されている電磁アクチュエータと、それぞれの試料コンテナキャリヤが対応する移送路に沿って移動するように電磁アクチュエータを駆動することによって、移送面の上部の試料コンテナキャリヤのそれぞれの動きを制御するように構成されている制御デバイスと、を備えるラボラトリ試料分配システムに関する。
【0023】
移送面は、移送表面と表すこともできる。試料コンテナキャリヤを支持することは、試料コンテナキャリヤを担持することと表すこともできる。ラボラトリ試料分配システムの電磁アクチュエータは、移送面の上で試料コンテナキャリヤを駆動する磁場を発生させるために使用され得る。試料コンテナキャリヤは二次元的に動かすことができ、試料コンテナキャリヤを移送するときに、例えばラボラトリステーションの間で移送するときに、大きな融通性を提供することができる。
【0024】
実施形態によれば、カバーの水平断面における半径は、電磁アクチュエータの中心と直接隣接する電磁アクチュエータの円周との間の最小距離と同一である、またはそれより僅かに小さい。そのような設計が、移送面の上で試料コンテナキャリヤを効率的に移送するのに適していることが証明済みされた。あるいは、半径は、電磁アクチュエータの中心と隣接する電磁アクチュエータの円周との間のほぼ最小距離であると言うことができる。
【0025】
アクチュエータ間の距離は、典型的実施態様では、20mm、または約20mmである。
移送面は、電気伝導材料で作ることができ、接地することができる。強磁性カバーは、電気伝導材料、例えば鉄鋼などで形成されてもよい。強磁性カバーは、キャップ形状またはベル形状(bell−shape、鐘状)を有していてもよい。キャップまたはベルの開口を画定する強磁性カバーの下端は、試料コンテナキャリヤが移送面上に置かれる場合には、移送面と直接接触するように構成することができる。強磁性カバーおよび移送面は、試料コンテナキャリヤが移送面上に置かれる場合には、空洞を画定する。磁気的能動デバイスは、空洞の内部に配置されることができる。磁気的能動デバイスは、強磁性カバーの上端で強磁性カバーに固定することができる。強磁性カバーは、例えば強磁性カバーの上端に置かれている、試料コンテナ用の保持手段を備えることができる。例えば、保持手段は、試料コンテナを受けるように構成される、例えば円形断面を有する止まり穴として具現化され得る。この実施形態は、試料コンテナキャリヤが移送面の上で移動する場合に、移送面の静電帯電、および試料コンテナキャリヤの底部の静電帯電を防止する。
【0026】
磁気的能動デバイスまたは試料コンテナキャリヤの磁気的要素は、磁気的移動力が、移送面上に置かれている試料コンテナキャリヤの角度に依存するように配置されることができる。そのような実施形態を用いて、試料コンテナキャリヤを好適な方向に誘導することが可能である。好適な方向のない試料コンテナキャリヤを使用する従来技術と比較すると、試料コンテナキャリヤの不随意的な回転の影響を防止することができる。このことは、例えばエネルギー消費をおさえて、動きを安定化させることができる。
【0027】
磁気的移動力が傾斜に依存するという文言は、磁気的移動力、例えば磁気的移動力の量が、外部磁場に対する試料コンテナキャリヤの向きに依存していることを意味し得る。例えば、試料コンテナキャリヤが垂直軸を中心にいくらかの量だけ回転される場合には、試料コンテナキャリヤが同じ位置で観察されても、磁気的移動力は別の量を有していても別の方向に向いていてもよい。
【0028】
磁気的能動デバイスは、正多角形の水平断面、好ましくは正方形断面を有することができる。
強磁性カバーまたは案内デバイスは、好ましくはアームとして具現化される、いくつかのセクタを備える水平断面を有することができ、セクタは相互に離間しており、それぞれが、案内デバイスの共有中心部から始まっている。
【0029】
セクタは、十字を形成するように配置されることができる。
摺動部材は、中心部から延びるいくつかのアームを含む水平断面を有することができ、摺動部材は、アームの間の凹形の水平断面を有する。
【0030】
摺動部材は、いくつかの下縁部を備えることができ、下縁部は、移送面と接触するように構成されている摺動部材の部分を包囲しており、下縁部は、少なくとも部分的に斜めになっている。
【0031】
摺動部材は、摺動部材が移送面と接触していない、中央に位置する凹部を有していてもよい。凹部は、移送面と接触するように構成されている摺動部材の部分によって包囲されていてもよい。
【0032】
電磁アクチュエータ、特にそれぞれの磁気コイルおよび/または磁気コアは、正多角形の水平断面、好ましくは正方形断面を有することができる。
電磁アクチュエータに関連する特定のカバーの、先程検討した実施態様は、電磁アクチュエータを用いて試料コンテナキャリヤを駆動するのに特に効果的であることが証明された磁力線の流れを可能にする。
【0033】
本発明は、さらに、いくつかの分析前(ラボラトリ)ステーション、分析(ラボラトリ)ステーション、および/または分析後(ラボラトリ)ステーションを備えるラボラトリ自動化システムと、ラボラトリステーションの間で試料コンテナキャリヤおよび/または試料コンテナを担持するように構成された、上記の通りのラボラトリ試料分配システムとに関する。ラボラトリステーションは、ラボラトリ試料分配システムに隣接して配置され得る。
【0034】
分析前ステーションは、試料、試料コンテナ、および/または試料コンテナキャリヤの任意の種類の前処理を行なうように構成され得る。
分析ステーションは、試料または試料の一部、および測定信号を発生させる試薬を使用するように構成されることができ、測定信号は、分析物が存在しているかどうか、もし存在すれば、その濃度を示す。
【0035】
分析後ステーションは、試料、試料コンテナ、および/または試料コンテナキャリヤの任意の種類の後処理を行なうように構成され得る。
分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションは、キャップ除去ステーション、キャップ再取付ステーション、分取ステーション、遠心分離ステーション、保管ステーション、ピペッティングステーション、選別ステーション、管型識別ステーション、および試料品質決定ステーションの少なくとも1つを備えることができる。
【0036】
本発明は、以下の図面に関して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1aおよび図1bは、それぞれ試料コンテナキャリヤを示す分解図である。
図2】試料コンテナキャリヤを示す断面図である。
図3】試料コンテナキャリヤを示す斜視断面図である。
図4】試料コンテナキャリヤを示す斜視上面図である。
図5図5aは、カバーのない永久磁石を磁力線と共に示す図であり、図5bは、カバーのある永久磁石を磁力線と共に示す図である。
図6】ラボラトリ試料分配システムを含むラボラトリ自動化システムを示す図であり、ラボラトリ試料分配システムは、試料コンテナキャリヤを備える。
図7】別の実施形態による試料コンテナキャリヤを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1aおよび図1bは、本発明の1つの実施形態による試料コンテナキャリヤ10を示す。図1aは、試料コンテナキャリヤ10を上から見た分解図で示す一方、図1bは、試料コンテナキャリヤ10を下から見た分解図で示す。
【0039】
摺動部材20は、試料コンテナキャリヤ10の底に配置される。摺動部材20は、ラボラトリ試料分配システムの移送面の上で摺動することができるディスクとして具現化されている。摺動部材20は、上側に延びている4本の柱22を備え、柱22は、試料コンテナキャリヤ10の別の要素を取り付けるためのものである。
【0040】
摺動部材20の上には、永久磁石30の形態をした磁気的能動デバイスが、配置されている。永久磁石30は、硬磁性材料で作られており、この磁石は、垂直軸を有するコイルと同様に磁場を発生させるように、永久的に磁化されている。
【0041】
磁石30の上には、カバー40が配置されており、軟磁性材料で作られている。カバー40は、磁石より上に配置され、磁石の上で横方向に延在する最上部板46と、側方包囲部分48とを備える。側方包囲部分48は、磁石30を完全に包囲しており、したがって、試料コンテナキャリヤ10には好適な向きはない。カバー40は、カバー40の最上部側部に延在する3本の柱42と、柱42の上に配置されているリング44とをさらに備える。柱42およびリング44は、保持手段12をカバー40の上に機械的に連結するように構成される。
【0042】
保持手段12は、円錐要素50およびばね要素60を備える。円錐要素50は、リング44の中に挿入され、内径が上側から下側に向かって減少している円錐52を備える。この円錐52は、異なった径を有する管形状試料コンテナであっても側方から保持することができる。
【0043】
ばね要素60は、ディスクの中央にボア62を有するディスクとして具現化されている。ボアは、試料コンテナを通過させることができるように構成される。ばね要素60は、ボア62の周辺に配置される3本のばねアーム64をさらに備える。ばねアーム64は、側方から管形状試料コンテナと係合し、それによって管形状試料コンテナを固定するように構成される。
【0044】
図2は、組立状態にある試料コンテナキャリヤ10の断面図を示す。図示されるように、永久磁石30は、摺動部材20の上に載っている。最上部板46は、永久磁石30の上に載っている。したがって、これらの要素は、直接的に接触している。カバー40の包囲要素48は、半径方向に、ある間隔を有した状態で永久磁石30の側方を包囲している。
【0045】
保持手段12の円錐要素50およびばね要素60は、カバー40の真上に配置される。柱22は、摺動要素20を固定する。
さらなる詳細に関しては、図1aおよび図1bについての上記説明で述べている。
【0046】
図3は、試料コンテナキャリヤ10を別の断面図で示しており、今回は斜視図である。試料コンテナキャリヤ10の要素に関して、図1a、図1bおよび図2についての上記説明で述べている。
【0047】
図示されるように、円錐52は、保持手段12に収納された試料コンテナに対する側方支持を提供する。
図4は、組立状態にある試料コンテナキャリヤ10を斜視図で示している。試料コンテナキャリヤ10は、摺動部材20を用いてラボラトリ試料分配システムの移送面の上で移動するように構成され、ラボラトリ試料分配システムの電磁アクチュエータによって発生された磁場によって駆動されて、永久磁石30の磁場と相互作用していることができる。試料コンテナキャリヤ10は、保持手段12の中で試料コンテナを収納する、または担持することができる。
【0048】
図5aおよび図5bは、カバー40のある永久磁石30の磁力線と、カバー40のない永久磁石30の磁力線との比較を概略的に示している。
図5aは、カバー40のない永久磁石30を示す。図示されるように、永久磁石30によって発生される磁気磁力線は、上側および下側に対照的に延びる。
【0049】
図5bは、その上にカバー40が組み付けられた永久磁石30を示す。図示されるように、永久磁石30およびカバー40は併せて、キノコの形状を有しており、磁石30が、軸部を構成している。
【0050】
磁力線がカバー40の中に集中されるように、図5bの永久磁石30によって発生される磁力線は、カバー40に案内される。結果的に、歪んでいる上側および側方の浮遊磁場が減らされる。このことにより、移送面上で互いに隣接して配置されたまたは移動している試料コンテナキャリヤ間での望ましくない磁気的結合が減らされる。さらに、移送面および移送面より下に配置された電磁アクチュエータの方へ向けられた磁束が、増やされ、したがって、結果的な磁気駆動力を増大させる。したがって、ラボラトリ試料分配システムのエネルギー使用量は、低減され得る。
【0051】
図6は、第1のラボラトリステーション6と、第2のラボラトリステーション7と、ラボラトリ試料分配システム100とを備えるラボラトリ自動化システム5を示す。試料コンテナ10の中に収納された試料がラボラトリ試料分配システム100によってラボラトリステーション6とラボラトリステーション7の間で分配され得るように、ラボラトリステーション6、7は、ラボラトリ試料分配システム100に隣接して配置される。
【0052】
ラボラトリ試料分配システム100は、移送面110を備え、その上で、コンテナキャリヤ10が、試料を移動させることができる。図6では、1つの試料コンテナキャリヤ10だけが、概略的に示されているが、典型的なラボラトリ試料分配システム100は、複数の試料コンテナキャリヤ10を備えることに留意されたい。試料コンテナキャリヤ10は、試料を含むように構成された試料コンテナ15を収納する。
【0053】
複数の電磁アクチュエータ120が、移送面110より下に配置されており、それぞれが、強磁性コア125を備える。電磁アクチュエータ120は、移送面110の上で試料コンテナキャリヤ10を移動させるのに使用される磁場を発生させるように構成される。さらに、複数のホールセンサ130が移送面110上に配置されており、ホールセンサ130は、試料コンテナキャリヤ10のそれぞれの位置を測定するように構成される。
【0054】
試料コンテナキャリヤ10の側方延長部は、その延長部が、電磁アクチュエータ120の上で、延長部がそれぞれの隣接した電磁アクチュエータの縁部まで配置されている電磁アクチュエータ120の上で延在するようになっている。このことが、電磁アクチュエータ120を用いて移送面110の上で試料コンテナキャリヤ10を移動させるときに高性能をもたらすことが証明された。
【0055】
ラボラトリ試料分配システム100は、制御装置150をさらに備え、制御装置150は、試料コンテナキャリヤ10が、所定の経路に従って移動するように、電磁アクチュエータ120を駆動するべく構成される。
【0056】
制御装置150は、各試料コンテナキャリヤ10の位置を測定するために、さらに、ホールセンサ130に接続されている。制御装置150は、試料コンテナキャリヤ10を、一つ一つ独立して任意のラボラトリステーション6、7に向けることができる。
【0057】
試料コンテナキャリヤ10が、本発明によって、永久磁石30を被覆している強磁性カバー40を備えるように構成されているおかげで、ラボラトリ試料分配システム100のエネルギー消費量は、低減され得、位置決め精度を上げることができる。
【0058】
図7は、別の実施形態による試料コンテナキャリヤ10’を断面図で示す。
試料コンテナキャリヤ10’は、永久磁石30の形態をした磁気的能動デバイスと、電気伝導材料、例えば鉄鋼で作られたベル形状の強磁性カバー40’とを備える。強磁性カバー40’の下側部分49は、強磁性カバー40’の開口を画定しており、試料コンテナキャリヤ10’が移送面110上に置かれるときに、移送面110と直接接触するように構成される。強磁性カバー40’および移送面110は、試料コンテナキャリヤ40’が、移送面110上に置かれるとき、空洞を画定する。磁気的能動デバイス30は、空洞の内部に配置されている。
【0059】
磁気的能動デバイス30は、強磁性カバー40’の上端で強磁性カバー40’に固定されている。
強磁性カバー40’は、試料コンテナ用の保持手段12’を備える。保持手段12’は、円形断面を有する強磁性カバー40’の中の止まり穴として具現化されており、試料コンテナを受け取るように構成される。
【0060】
この実施形態による移送面110は、電気伝導材料で作られて、接地されている。
この実施形態は、試料コンテナキャリヤ10’が、移送面110の上を移動するときに、移送面110および試料コンテナキャリヤ10’の静電帯電を防止する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7