(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590912
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】回転切削工具及び回転切削工具用の可変幅の副逃げ面を有するリバーシブル切削インサート
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20191007BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/10 D
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-512824(P2017-512824)
(86)(22)【出願日】2015年8月11日
(65)【公表番号】特表2017-528329(P2017-528329A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】IL2015050818
(87)【国際公開番号】WO2016046811
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】14/492,761
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バラス,アサーフ
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0004251(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/006609(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0266353(US,A1)
【文献】
米国特許第03229349(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバーシブル切削インサート(20)であって、
連続周囲面(24)によって相互に接続される反対側の第1及び第2の端面(22)であって、正中面(M)が、前記第1及び第2の端面(22)の間の中間に配置され、かつ、前記周囲面(24)と交差してインサート境界線(Lb)を形成する、第1及び第2の端面(22)と、前記正中面(M)に対し垂直であって、その周りで前記切削インサート(20)が割出し可能なインサート軸(A1)と、を備え、
前記周囲面(24)が、3つのコーナー面(28)と交互に存在する3つの側面(26)を含み、
前記側面(26)及び前記コーナー面(28)が、それぞれ側縁部(32)及びコーナー縁部(34)で、前記第1及び第2の端面(22)の両方と交差し、各側縁部(32)が主切れ刃(36)を有し、及び各コーナー縁部(34)がコーナー切れ刃(38)及び副切れ刃(40)を有し、
各コーナー面(28)が2つの副逃げ面(48)を有し、各副逃げ面(48)はその関連する副切れ刃(40)から延在し、
前記正中面(M)に対して垂直に延在しかつ前記コーナー切れ刃(38)のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの地点で交差する第1仮想直線(L1)が、前記インサート境界線(Lb)の内側で前記正中面(M)を通過し、
各副切れ刃(40)が、前記インサート軸(A1)に沿った前記切削インサート(20)の端面視において、投影される副切削長さ(LM)を有し、
各副逃げ面(48)が、前記正中面(M)の完全に片側に配置されており、かつ、各副逃げ面(48)は、前記インサート軸(A1)に対して垂直な水平面(PH)に含まれる前記副逃げ面(48)の2つの横方向境界地点の間に副逃げ幅(W)を有し、前記副逃げ幅(W)は前記水平面(PH)と前記正中面(M)との間のオフセット距離(DO)とともに変化し、
各投影される副切削長さ(LM)が、その関連する副逃げ面(48)の最大副逃げ幅(WMAX)より大きい、リバーシブル切削インサート(20)。
【請求項2】
前記オフセット距離(DO)が増大するにつれて前記副逃げ幅(W)が増大する、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項3】
各副逃げ面(48)の最小副逃げ幅(WMIN)が、零に等しい値を有するオフセット距離(DO)で生じる、請求項1又は2に記載の切削インサート(20)。
【請求項4】
各コーナー切れ刃(38)が第1及び第2終端点(E1、E2)の間に延在し、
各主切れ刃(36)及び副切れ刃(40)が、関連するコーナー切れ刃(38)のそれぞれ前記第1終端点(E1)及び第2終端点(E2)から、前記正中面(M)に向かって傾斜する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項5】
各主切れ刃(36)が前記第1終端点(E1)からその長さ全体に沿って前記正中面(M)に向かって傾斜する、請求項4に記載の切削インサート(20)。
【請求項6】
各側面(26)が、前記インサート軸(A1)を含む第2垂直面(PV2)によって二等分され、
各主切れ刃(36)がその関連する前記第2垂直面(PV2)と交差する、請求項5に記載の切削インサート(20)。
【請求項7】
各副切れ刃(40)が前記第2終端点(E2)からその長さ全体に沿って前記正中面(M)に向かって傾斜する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項8】
各コーナー切れ刃(38)が、前記インサート軸(A1)に沿った前記切削インサート(20)の端面視において、投影されるコーナー切削長さ(LC)を有し、
各副切れ刃(40)の前記投影される副切削長さ(LM)が、その関連するコーナー切れ刃(38)の前記投影されるコーナー切削長さ(LC)より大きい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項9】
前記正中面(M)に対して垂直に延在しかつ前記副切れ刃(40)のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの地点で交差する第2仮想直線(L2)が、前記インサート境界線(Lb)の内側で前記正中面(M)を通過する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項10】
前記インサート軸(A1)と同一平面上にありかつ各副逃げ面(48)上のいずれかの地点と接線であるか各副逃げ面(48)と一致する仮想直線状逃げ線(LR)が、その関連する端面(22)が面する方向と同じ方向において前記インサート軸(A1)の方に収束する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項11】
前記正中面(M)に対して垂直に延在しかつ前記主切れ刃(36)のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの地点で交差する第3仮想直線(L3)が、前記インサート境界線(Lb)の内側で前記正中面(M)を通過する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項12】
インサート軸(A1)に沿った前記切削インサート(20)の端面視において、各コーナー切れ刃(38)が湾曲状であり、各副切れ刃(40)が直線状である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項13】
各副逃げ面(48)が平坦である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項14】
前記周囲面(24)が、ちょうど3つのコーナー面(28)と交互に存在するちょうど3つの側面(26)を有し、
前記切削インサート(20)が前記インサート軸(A1)の周りで3回回転対称を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項15】
各側面(26)が、前記正中面(M)に対して垂直な平坦な側方中間領域(46)を有し、
各コーナー面(28)が、前記インサート軸(A1)を含む第1垂直面(PV1)によって二等分され、
各側方中間領域(46)が、隣接するコーナー面(28)の前記第1垂直面(PV1)と鋭角の第1角度(α1)を形成し、前記第1角度(α1)が30°の値を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項16】
各コーナー面(28)と関連付けられる前記2つのコーナー切れ刃(38)がそれぞれ、前記関連する第1垂直面(PV1)の両側に完全に配置される、請求項15に記載の切削インサート(20)。
【請求項17】
前記周囲面(24)が未研削である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項18】
各コーナー面(28)が、2つの部分的に円錐状のコーナー逃げ面(44)を有し、各コーナー逃げ面(44)は、その関連するコーナー切れ刃(38)から延在する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の切削インサート(20)。
【請求項19】
工具軸(A2)の周りを回転可能な切削工具(52)であって、
切削本体(54)と、
前記切削本体(54)のインサート受け入れポケット(56)に取り外し可能に固定される請求項1に記載の少なくとも1つのリバーシブルの切削インサート(20)と、を備える切削工具(52)。
【請求項20】
稼働する主切れ刃(36)、コーナー切れ刃(38)、及び副切れ刃(40)が工作物においてスクエアショルダフライス加工を実行することができるように各切削インサート(20)が構成されかつ取り付けられる、請求項19に記載の切削工具(52)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、金属切削プロセスで使用するための切削インサート及び切削工具に関し、特に、フライス加工用のリバーシブル切削インサートを有する回転切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
フライス作業で使用される回転切削工具の分野内で、リバーシブル切削インサートの多くの例は、切削本体に取り外し可能に固定される。場合によっては、これらの切削工具は、スクエアショルダフライス加工を実行するように構成される。
【0003】
米国特許出願公開第2013/0004251号は、三角形の形状を有する割出し可能なインサートを開示しており、前記インサートは、上面及び底面と、前記面を接続する周囲面と、コーナー周囲の切れ刃と、を有する。主切れ刃は、長手方向縁部に沿って上面及び底面に存在する。各主切れ刃は、より短い第2切れ刃を有し、これはその主切れ刃にのみ関連付けられる。第2切れ刃は、比喩的に言えば、それぞれ上面及び底面から延びるコーナーをトリミングすることによって形成される。第2切れ刃は、2つの主切れ刃に隣接し、主切れ刃に対して異なる角度で延在する。
【0004】
本発明と共通に所有される米国特許第8,708,616号は、3つのコーナー面と交互に存在する3つの側面を含む連続する周囲面によって相互に接続された2つの反対側の端面を有するリバーシブルの切削インサートを開示する。側面及びコーナー面は、それぞれ側縁部及びコーナー縁部で両方の端面と交差し、ここで各側縁部は主切れ刃を有し、各コーナー縁部はコーナー及び副切れ刃を有する。各主切れ刃及び副切れ刃は、その相互に関連付けられるコーナー切れ刃の、それぞれ第1終端点及び第2終端点から、正中面に向かって傾斜する。各副切れ刃と関連付けられる副逃げ面は、正中面に対して垂直であり、一定の幅を有する。
【0005】
機械加工される工作物の改善された表面仕上げを促す切削インサート及び切削工具を提供することが本発明の目的である。
【0006】
同じく、コンパクトな副逃げ面と、比較的長い副切れ刃又はワイパと、を有する改善された切削インサートを提供することが本発明の目的である。
【0007】
側面あたり2つの主切れ刃を有する改善された切削インサートを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0008】
頑丈な切れ刃を有する改善された切削インサートを提供することが本発明のなおもさらなる目的である。
【0009】
スクエアショルダフライス加工を実行することができる改善された切削インサートを提供することが本発明のなおもその上さらなる目的である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様によれば、リバーシブル切削インサートが提供され、このリバーシブル切削インサートは、
連続周囲面によって相互に接続される反対側の第1及び第2の端面であって、正中面が第1及び第2の端面の間に配置され、周囲面と交差してインサート境界線を形成する第1及び第2の端面と、その周りで切削インサートが割出し可能な、正中面に対し垂直なインサート軸と、を備え、
周囲面は、3つのコーナー面と交互に存在する3つの側面を含み、
側面及びコーナー面は、それぞれ側縁部及びコーナー縁部で、第1及び第2の端面の両方と交差し、各側縁部は主切れ刃を有し、及び各コーナー縁部はコーナー切れ刃及び副切れ刃を有し、
各コーナー面は2つの副逃げ面を有し、各副逃げ面はその関連する副切れ刃から延在し、
正中面に対して垂直に延在しかつコーナー切れ刃のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの地点で交差する第1仮想直線が、インサート境界線の内側で正中面を通過し、
各副切れ刃が、インサート軸に沿った切削インサートの端面視において、投影される副切削長さを有し、
各副逃げ面が、インサート軸に対して垂直な水平面に含まれる副逃げ面の2つの横方向境界地点の間に副逃げ幅を有し、副逃げ幅は水平面と正中面との間のオフセット距離とともに変化し、
各投影される副切削長さは、その関連する副逃げ面の最大副逃げ幅より大きい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、工具軸の周りを回転可能な切削工具であって、インサート受け入れポケットを有する切削本体と、インサート受け入れポケットに取り外し可能に固定される、上に記載した種類の少なくとも1つのリバーシブルの割出し可能な切削インサートとを含む切削工具が提供される。
【0012】
より深く理解するために、次に本発明を単なる例として添付の図面を参照して記載する。図面中、鎖線は部材を部分的に見るために切り取られた境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による切削インサートの斜視図である。
【
図2a】
図1に示される切削インサートの端面図である。
【
図2b】
図1に示される切削インサートの詳細な端面図である。
【
図3a】第1垂直面PV1に沿って見られた、
図2aに示される切削インサートのコーナー側面図である。
【
図3b】
図3aに示される切削インサートの詳細なコーナー側面図である。
【
図4】第2垂直面PV2に沿って見られた、
図2aに示される切削インサートの側面図である。
【
図5】線V−Vに沿って取られた、
図2bに示される切削インサートの部分断面図である。
【
図6】線VI−VIに沿って取られた、
図2bに示される切削インサートの部分断面図である。
【
図7】線VII−VIIに沿って取られた、
図2bに示される切削インサートの部分断面図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態による切削工具の斜視図である。
【
図11】半径方向面Prにおいて
図10に示される切削工具の稼働する切れ刃によって刻み込まれる外形線の図式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、連続周囲面24によって相互に接続される反対側の第1及び第2端面22を有する、
図1及び
図2aに示されるようなリバーシブルの切削インサート20に関し、周囲面24は、3つのコーナー面28と交互に存在する3つの側面26を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は好ましくは、タングステンカーバイドなどの超硬合金を成形圧縮し焼結することによって製造されてもよく、コーティングされてもされなくてもよい。
【0016】
図3a及び
図4に示されるように、切削インサート20は正中面Mを有し、正中面Mは、第1及び第2端面22の間に位置付けられ、かつ周囲面24を分割しインサート境界線Lbを形成する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、切削インサート20は、端面視において、
図2aに示されるように、切削インサート20のどの部分もインサート境界線Lbを越えて延在しないように構成されてもよい。
【0018】
図3a及び
図4に示されるように、切削インサート20は、正中面Mに対して垂直なインサート軸A1を有し、その周りで切削インサート20は割出し可能である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、インサート軸A1と同軸の貫通穴30が、第1及び第2端面22の間に延在し、かつその両方の端面において開口してもよい。
【0020】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、3つの側面26は同一であってもよい、3つのコーナー面28は同一であってもよい。
【0021】
さらに、本発明のいくつかの実施形態では、周囲面24は、ちょうど3つのコーナー面28と交互に存在するちょうど3つの側面26を有してもよい、切削インサート20はインサート軸A1の周りで3回回転対称を示してもよい。
【0022】
図2aに示されるように、切削インサート20は、端面視において、等辺三角形の基本形状を有してもよい。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、インサート軸A1の方向に沿って直接圧縮することによって製造されてもよい。
【0024】
また、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート20は、その最終形状に圧縮されてもよく、周囲面24は未研削であってもよい。
【0025】
図3a及び4に示されるように、側面26及びコーナー面28は、それぞれ、側縁部32及びコーナー縁部34で第1及び第2端面22の両方と交差し、各側縁部32は主切れ刃36を有し、各コーナー縁部34はコーナー切れ刃38及び副切れ刃40を有する。
【0026】
従って、切削インサート20は、側面26あたり2つの主切れ刃36と、コーナー面28あたり2つのコーナー切れ刃38及び副切れ刃40と、を備えて有利に構成され、従ってインサート軸A1の周りで3回回転対称を示す実施形態では、切削インサート20は、合計6つの主切れ刃36、コーナー切れ刃38及び副切れ刃40を有する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、
図2a及び
図2bに示されるように、インサート軸A1に沿った切削インサート20の端面視において、各コーナー切れ刃38は湾曲状であってもよい、各副切れ刃40は直線状であってもよい。
【0028】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、第1及び第2端面22は、同一であってもよく、それぞれ正中面Mと実質的に平行な支持面42を有する。
【0029】
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、2つの支持面42は、正中面Mから等距離であってもよい。
【0030】
図5に示されるように、各コーナー切れ刃38は、支持面42のそれぞれよりも正中面Mから遠くに完全に位置付けられてもよい。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、各コーナー面28は、2つの部分的に円錐状のコーナー逃げ面44を有してもよく、各コーナー逃げ面44は、その関連するコーナー切れ刃38から延在する。
【0032】
各部分的に円錐状のコーナー逃げ面44は、「逆転された」逃げ面としても知られ、その関連するコーナー切れ刃38から正中面Mに向かって外側に(すなわちインサート軸A1から離れる方向に)全体的に延在し、その結果、各コーナー切れ刃38は有益に支持され、有利に頑丈であることを認識されたい。
【0033】
図2b及び
図5に示されるように、正中面Mに対し垂直に延在しかつコーナー切れ刃38のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの点で交差する第1の仮想直線L1が、インサート境界線Lbの内側で正中面Mを通過する。
【0034】
第1の仮想直線L1は、
図2bに示されるように切削インサート20の端面視において点のように見えることを認識されたい。
【0035】
図2aに示されるように、各コーナー面28は、インサート軸A1を含む第1垂直面PV1によって二等分され、各側面26は、インサート軸A1を含む第2垂直面PV2によって二等分される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、各第1垂直面PV1は、第2垂直面PV2の1つと同一平面上にあり得る。
【0037】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、各側面26は、正中面Mに対して垂直な平坦な側方中間領域46を有し得る。
図2bで見られるように、各側方中間領域46は、隣接するコーナー面28の第1垂直面PV1と鋭角の第1角度α1を形成してもよく、第1角度α1は30°の値を有してもよい。
【0038】
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、各副切れ刃40は、その関連する第1垂直面PV1と鋭角の第2角度α2を形成してもよく(
図2b参照)、第2角度α2は60°〜80°の値を有してもよい。
【0039】
それぞれ
図3及び
図4に示されるように、正中面Mは、各第1垂直面PV1と交差してコーナー軸Acを形成し、正中面Mは、各第2垂直面PV2と交差して側方軸Asを形成する。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、各コーナー面28は、その関連するコーナー軸Acの周りで2回回転対称を示し得る。
【0041】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、各側面26は、その関連する側方軸Asの周りで2回回転対称を示してもよい。
【0042】
図3bに示されるように、各コーナー面28は、2つの副逃げ面48を有し、各副逃げ面48は、その関連する副切れ刃40から延在し、及び、インサート軸A1に対して垂直な水平面PH内に含まれる副逃げ面48の2つの横方向境界地点の間に副逃げ幅Wを有する。
【0043】
副逃げ面48の横方向境界地点は、周囲面24の他の副表面と横方向に接する地点であることを認識されたい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、
図6に示されるように、インサート軸A1と同一平面上にありかつ各副逃げ面48上のいずれかの地点と接線であるか各副逃げ面48と一致する仮想直線状逃げ線L
Rは、その関連する端面22が面する方向と同じ方向においてインサート軸A1の方に収束してもよい。従って、各副逃げ面48は、「逆転した」逃げ面としても知られるが、有益に支持され、有利に頑丈である。
【0045】
図2b及び
図6に示されるように、正中面Mに対して垂直に延在しかつ副切れ刃40のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの地点で交差する第2仮想直線L2は、インサート境界線Lbの内側で正中面Mを通過し得る。
【0046】
第2の仮想直線L2は、
図2bに示されるように切削インサート20の端面視において点のように見えることを認識されたい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、各副逃げ面48は平坦であってもよい。
【0048】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、各コーナー面28と関連する2つの副逃げ面48は離間されてもよい。
【0049】
インサート軸A1に沿った切削インサート20の端面視において、
図2bに示されるように、各副切れ刃40は、投影される副切削長さL
Mを有する。
【0050】
各副切れ刃40の投影される副切削長さL
Mは、インサート軸A1に対して垂直な仮想面上に投影される場合、その2つの終端点の間で測定される最短距離であることを認識されたい。
【0051】
本発明によれば、副逃げ幅Wは、水平面PHと正中面Mとの間のオフセット距離D
Oと共に変化し、各投影される副切削長さL
Mは、その関連する副逃げ面48の最大副逃げ幅W
MAXより大きい。これは、各副切れ刃と関連付けられる副逃げ面が一定の幅を有する前述の米国特許第8,708,616号と対照的である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、副逃げ幅Wは、オフセット距離D
Oと共に連続的に変化する一方、これらの実施形態の下位組合せにおいて、副逃げ幅Wは、オフセット距離D
Oとともに連続的に直線的に変化する。
【0053】
各副切れ刃40はワイパと称される場合もあり、及び各副切れ刃40の投影される副切削長さL
Mをその関連する副逃げ面48の最大副逃げ幅W
MAXよりも大きくなるように構成することによって、切削インサート20を用いて機械加工される工作物の改善された表面仕上げを促進することを認識されたい。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態において、副逃げ幅Wは、オフセット距離D
Oが増大するにつれて増大し得る。
【0055】
オフセット距離D
Oが増大するにつれて増大するように副逃げ幅Wを構成することによってコンパクトな副逃げ面48と比較的長い副切れ刃40又はワイパとが有利にもたらされることを認識されたい。
【0056】
同じく、本発明のいくつかの実施形態において、各副逃げ面48の最小副逃げ幅W
MINは、零に等しい値を有するオフセット距離D
Oにおいて生じ得る。
【0057】
図3に示されるように、各コーナー切れ刃38は、第1終端点E1と第2終端点E2との間に延在する。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態において、各コーナー切れ刃38は、
図2bに示されるように、インサート軸A1に沿った切削インサート20の端面視において、投影されるコーナー切削長さL
Cを有してもよく、各副切れ刃40の投影される副切削長さL
Mは、その関連するコーナー切れ刃38の投影されるコーナー切削長さL
Cより大きい可能性がある。
【0059】
各コーナー切れ刃38の投影されるコーナー切削長さL
Cは、インサート軸A1に対して垂直な仮想面上に投影される場合、その第1及び第2終端点E1、E2の間で測定される最短長さであることを認識されたい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態において、
図2b及び
図3bに示されるように、各第2終端点E2は、その関連する副切れ刃40の終端点と一致し得る。
【0061】
同じく本発明のいくつかの実施形態において、
図3bに示されるように、各主及び副切れ刃36、40は、関連するコーナー切れ刃38のそれぞれ第1及び第2終端点E1、E2から、正中面Mに向かって傾斜し得る。
【0062】
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、各主切れ刃36は、その相互に関連付けられるコーナー切れ刃38から正中面Mに向かってその長さ全体に沿って傾斜し得る。
【0063】
なおもさらに、本発明のいくつかの実施形態において、各主切れ刃36は、その関連する第2垂直面PV2と交差し得る。これらの実施形態に関して、各主切れ刃36は、その関連する側面26の周囲長さの半分超に沿って延在することを理解することができる。
【0064】
なおもその上さらに、本発明のいくつかの実施形態において、各主切れ刃36は、第1終端点E1においてその関連するコーナー切れ刃38と結合する直線部分を含み得る。
【0065】
図4に示されるように、各側面26は、2つの主逃げ面50を有し、各主逃げ面50はその関連する主切れ刃36から延在する。
【0066】
各主逃げ面50は、「逆転された」逃げ面としても知られ、その関連する主切れ刃36から正中面Mに向かって外側に(すなわちインサート軸A1から離れる方向に)全体的に延在し、その結果、各主切れ刃36は有益に支持され、有利に頑丈であることを認識されたい。
【0067】
図2b及び
図7に示されるように、正中面Mに対し垂直に延在しかつ主切れ刃36のいずれか1つとその長さに沿ったいずれかの点で交差する第3の仮想直線L3が、インサート境界線Lbの内側で正中面Mを通過してもよい。
【0068】
第3の仮想直線L3は、
図2bに示されるように切削インサート20の端面視において点のように見えることを認識されたい。
【0069】
図3bに示されるように、各副切れ刃40は、その相互に関連付けられるコーナー切れ刃38から正中面Mに向かってその長さ全体に沿って傾斜し得る。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態において、
図3bに示されるように、各副切れ刃40は、その関連する第1垂直面PV1と交差し得る。
【0071】
同じく本発明のいくつかの実施形態において、各コーナー面28に関連付けられる2つのコーナー切れ刃38は、関連する第1垂直面PV1の両側にそれぞれ完全に配置され得る。
【0072】
図8〜
図11に示されるように、本発明は切削工具52にも関し、切削工具52は、工具軸A2の周りを回転方向Zに回転可能であり、切削本体54と、上記のリバーシブル切削インサート20の少なくとも1つとを有する。各切削インサート20は、切削本体54のインサート受け入れポケット56に取り外し可能に固定される。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態では、各切削インサート20は、締結ねじ58によってインサート受け入れポケット56の中に取り外し可能に固定することができ、締結ねじ58は、貫通穴30を通過しインサート受け入れポケット56の座面(不図示)のねじ穴(不図示)とねじ係合する。
【0074】
図11に示されるように、各切削インサート20は、以下のように切削工具52内で構成されることができる。すなわち、切削工具52がその工具軸A2の周りで回転する間、稼働するコーナー切れ刃38が、工具軸A2を含む半径方向面Prに円弧状の第1の外形線C1を刻み込み、この時、第1の外形線C1は、90°のコーナー切削角度δに及ぶ一定の曲率半径Rを有する。
【0075】
同じく
図11に示されるように、各切削インサート20は、以下のように切削工具52内で構成されることができる。すなわち、切削工具52がその工具軸A2の周りで回転する間、稼働する主切れ刃36及び副切れ刃40が、それぞれ、直線状の第2の外形線C2及び第3の外形線C3を、半径方向面Prに刻み込み、この時、第2の外形線C2は工具軸A2と実質的に平行であり、また、第3の外形線C3は工具軸A2と実質的に垂直である。
【0076】
本記載を通して、第2及び第3の外形線C2、C3の工具軸A2に対するそれぞれ平行度及び垂直度は0.5°の精度誤差を有することを認識されたい。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、回転切削工具52はフライス作業に使用することができる。
【0078】
フライス作業の間、稼働するコーナー切れ刃38は、90°のコーナー切削角度δに及ぶ一定の曲率半径Rを有するコーナーを工作物(不図示)中に切削し、その結果、低減された応力集中がコーナーに有利にもたらされ、従って破壊の危険性が最小化されることを認識されたい。
【0079】
フライス作業の間、「逆転された」主逃げ面50は、各リバーシブル切削インサート20の後続する稼働していない主切れ刃36に、工作物からのより大きい隙間を有益に提供し、従って比較的より小さい直径の切削工具52にそれらを配置することが有利に可能になることをさらに認識されたい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態では、
図11から容易に理解することができるように、各切削インサート20は、稼働する主切れ刃36、コーナー切れ刃38、及び副切れ刃40が、直角、すなわち90°の肩を削るフライス作業を工作物において実行するように、切削工具52内で構成されることができる。
【0081】
直角、すなわち90°の肩を削るフライス作業の間、機械加工される肩の高さは切削インサート20によって制限されないことを認識されたい。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、
図9及び
図10に示されるように、各切削インサート20は、稼働する主切れ刃36が正の軸方向すくい角βを有し、稼働する副切れ刃40が正の半径方向すくい角θを有するように、切削工具52内で構成されることができる。
【0083】
稼働する主切れ刃36及び副切れ刃40にそれぞれ正の軸方向すくい角β及び正の半径方向すくい角θを提供することによって、より低い切削力が発生され、機械スピンドルはより少ない作動力を必要とし、工作物はより滑らかな切削作用を受けることを認識されたい。また、生じる切屑は、稼働する切れ刃からの有利に排出される方法である。
【0084】
本発明をある程度特異的に記載してきたが、以降で特許請求される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を施すことができることは理解されよう。